研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2018年10月16日火曜日

思い出したぞ、やってもらわなければ良かった初回点検


数十年前のことだが、あるイベントの現場でトラブルに巻き込まれ、それを人脈と技術で克服した話をしてみる。

そのイベントとは、今でこそメジャーになったイーハトーブトライアルである。

公道、林道、ハイキングコースを走りながら、そこここに点在する(主催者側が人工的に或いは自然に地形を利用して)セクションと呼ばれる障害物的な場所に専用のバイクでトライし、そこを如何にスムーズに走り抜けられるか、的な評価で勝敗を争うイベント。詳しく言うのは面倒なので割愛。

そのイーハトーブトライアルに、当時同僚だった人間が取材を兼ねて参加するので、経験の有る私が同行し面倒を見ることとなった。私が乗るバイクはスペインのオッサMAR(ミック・アンドリュース・レプリカ)で、その問題の出た同僚が乗るのは、当時再販したホンダのTL125(イーハトーブ)。

新車で購入し、意気揚々と会場に集合。前日には当時のホンダ・サービス拠点の中枢であるSFに持ち込んで、初回点検を済ませてきたと言う。この点検をやると言う話は事前に聞いていたので「止めとけ、今現在問題のない状態なら、一部でも手を付かないほうがいいぞ」と助言したのだが、聞く耳を持たない彼は、その拠点にバイクを持ち込んで、初回点検(何をしたのかは不明)をやってもらった。コレが大失敗。

イベントの前日にクルマから降ろしたバイク(イーハトーブ)のエンジンを始動させようとしたが、いくらキックペダルを蹴飛ばしても始動しない。そこで点火プラグにスパークがあるかどうか確認したところ、何も起きない。これはやばい・・・

そこで、何が不具合なのかわからないので、とりあえずシリンダーヘッド左側にある、点火タイミングを決めるパルサーがどうなっているか点検したが、見るだけのことしか出来ないので、結果は不明。

このままでは問題を発見できないので、クランクケース左側に取り付けられているフラマグ(ダイナモ)のカバーを外すと、なんと中から6mmのボルトが1本出てきた。そして、更にそのボルトが何をしたのか見ると、点火発電用のコイルを切断していた。フライホイールは磁石になっているので、それによりガチャガチャに掻き回されたのだろう。

だが、こんな山奥に部品はない。そこで、このイベントを積極的に応援し裏方で動いている盛岡のホンダディーラーの方に相談すると、「まだメンバーはバイクショップにいるので、新車から取り外して持ってくることは可能」というが、その取り外した部品を補充しないといけないのだが、そのトラブルを起こした原因は、SFのメカニックであるので、バイクのオーナーがそれを負担するのはおかしい。

そこで、ホンダ広報に電話をかけると、責任者で親しい方がまだ会社にいた。経緯を話して、部品の補充を盛岡ホンダへやってもらうことの約束を取り付ける。

盛岡ホンダから届いた部品を組み付ければ問題解決。2日間にわたるイベントは無事終了。

さて、何でこのようなトラブルが起きたのか考えてみると、サービスの現場があまりにも整いすぎていたからとしか言いようがない。(必要な部品は常に多数保管して有る)つまり、意味もなくエンジン左のカバーを開け、なにやら増し締めみたいなことをやったのだろう。そのとき、カバーの締め付けネジはどのように管理していたかである。近くには強力な磁石がある。それを無視すると・・・

1本見つからない。探したのだけれども(恐らくすでにフライホイールの磁石に張り付いていただろう)見つからないので、部品庫に出かけ同じボルトを探して組み付けたと思われる。表面的には問題解決だが、その奥に爆弾が仕掛けられたことを知る由もない。

そして、イベントの前日にその爆弾が爆発した。

で、この初回点検だが、私は「問題がなければヤルナ」と口を酸っぱくしてその同僚に話していたのだが、聞く耳を持たなかったため、メカニックのヒューマンエラーに巻き込まれたと言う話。

人間がやることに対しては、常に「大丈夫かな?」と言う気持ち、疑いの目を持つことは重要と思っている。

2018年10月7日日曜日

ホンダエコマイレッジチャレンジの車両規則に疑問



エコノパワーと言う名称を使い始めたときから、毎年取材や参加、或いは観戦に出かけているのだが、どうも疑問に感じる規則が多い。これまでも、チクチクと競技委員長などに問題を投げかけたり、(2014年10月5日にアップした本田エコマイレッジチャレンジ2014で見た、とんでもない光景を見ればわかる)ブログで事実を公表することでだいぶ正常(?)になったかとは思うのだが、まだ足らない部分がある。

それは、使用するバッテリーのこと。私が参加した時代はインジェクションがなかったので、バッテリーは12V8AHまで、と言うレギュレーションがあった。

しかし、インジェクションの普及と共に、それまでのバッテリー容量では不足する、と言う話がどこからとも沸きあがり、容量の規則は消し飛んだ。実際のところ、12V8AHで十分で、現在インジェクションのマシンでも、この容量で足りているどころか、有り余っている。

さてここでの問題は、バッテリーは市販品なら制限がないという点。何ボルトでも容量何アンペアでもいいということだから、ずる賢いチームはモーターを主動力としたハイブリッドのマシンを造り出しそう。

もちろんエンジンは付いているが、それを使用するのはスタート時だけで、その後のスピードアップは、クランクケース内に組み込まれたギヤを切り替え、セルモーターで加速する。バッテリーの消費が多いのは停止時からのトルクを多く必要とするときだけだから、走り出したらそれほどのバッテリー消費はない。

それでも、どの位の容量のバッテリーがあればいいのかわからないから、小型自動車で使われる12V36Bなどのものを用意すれば事足りるだろう。
 
もしこのような違法改造マシンで競技会に参加したら、とんでもない記録が出ることになる。リッター10000キロ????改造の手間と費用はたかが知れてる。
 
スタート前の車検では、エンジン内部構造がどうなっているかわからないので、競技終了後にそれぞれのクラス上位2台ぐらいは、再車検でエンジン分解を義務付けるべき。それを規則に入れることで、このようなズルク気持ちの悪い改造はなくなると思うのだが・・・。
 
以前には以上のようなことを書いて、主催者に提出したことがあるが、その後何の音沙汰もない。また、当時は「分解なんて出来ないよ。構造がどうなっているかわからないマシンだから」と逃げていたが、レースでも再車検の分解はそのチーム自身で行うことになっているため、オフィシャルが手を出す必要はないので、同様に規則を作ればいいだけだ。


2018年10月4日木曜日

ATFの交換方法 その4  究極の交換方法がこれ、そのやり方をレポートしてみた 


その②で書くべきことだったのだが、忘れていたことがある。それは、メルセデスに搭載されているATには、トルクコンバーターに、ATFのドレンプラグが付いている(最近のものはわからない)。これを外せばトルクコンバーターに溜まっているATFを排出できるので、交換率はかなり高くなる、と言う話。

もうひとつ、それはレベルゲージの見方。HOTとCOLDの刻印がゲージの先端についているので、完全にエンジンとAT本体が冷えているときに新油を注入する場合、COLDの刻印で注入量OKの判断をしてしまうが、この刻印はあくまでも目安であり、正しくは60分ほど走行させ、完全暖機の状態で点検することが必要。

交換方法としては、外部のポンプを使った強制循環で交換と言う方式も有るが、これは多量(正確には知らないが20~30リッター位らしい)のATFを使って、強制的にATFをAT内部に押し込み、循環させることで新油とするもの。それだけ聞くと問題ないように見えるが、実は強制的に高圧のATFを流し込むことで、それまで各部分におとなしく溜まっていたスラッジが浮き上がり、AT内部に漂うこととなって、その後ジャダーの発生(スラッジのボールベアリング効果から発生)などのトラブルに結びつくので、やらないほうが良い。ただし、ジャダーなどの発生は6ヶ月を過ぎたあたりから小さくなる。(これは、再びスラッジが落ち着く場所に落ち着いたからで、それでもATリビルダーはトラブルと評価するらしい)料金も多量のATFを使用することから、かなりの額になるようだ。

交換の方法をいくつか試しても、暫くするとATFの色が、きれいな赤ではなく、どす黒い状態になっている、と言うことであると、これはATそのものを完全に分解して、内部の洗浄を行い、更にバージョンアップされた一部の部品を交換するなど、完全にリビルドしなければならないのが普通だが・・・

この状態のATであると(走行13万キロ)、走行中にセレクターをDからLなどに動かし、エンジンブレーキを強く利かせるようなことをすると、そのときに発生するショックはかなり大きく、壊れてしまうのではないかと思うほど(経験から)。

でも、いくらかでもベストな状態に近づきたいと言うのであるなら、私がやったように、ATのオイルパンを外した状態でエンジンを始動し、ATFのフィルターから新油を吸引させATF交換を行う方法がベスト。

使用するATFは純正品。容量としては8~12リッターぐらいだろう。さらに、ATのオイルパンも剥がすので、組みつけに使うパッキン(或いはシーラー)も購入。そして、バルブボディに取り付けられているATFのストレーナーも購入(再使用してもいいが)。ストレーナーには銅パイプをハンダ付けする必要があるので、そのための銅パイプ(ホームセンターで売っている)も購入。ついでにそのパイプへ取り付けられるビニールホースも必要。

取り外したオイルパン内部をバルブボディや磁石など、金属の破片がないことを確認したら、バルブボディに取り付けられているATFのフィルターを取り外す。その目的は、フィルターの状態確認だけではなく、ATF吸引口にホームセンターで購入した銅のパイプをハンダ付けするため。よって、ハンダ付けが完璧に出来ない方には無理の作業。もちろん自身でなくとも知り合いに頼むと言う方法もあるが・・・

銅のパイプをハンダ付けしたフィルターを元の位置に取り付け、そこにビニールホースを接続し、その反対側をATFの入った缶に差し込む。

なお、AT本体のオイルポンプは吸引能力が高くないので、リフトに載せて高い位置での作業は出来ない。リジットラックで固定するぐらいの高さで行う。

AT本体の下側には、オイルパンよりも大きい受け皿を用意し、エンジンを始動する。ATFを吸引し始めたら、アイドリング状態からATのセレクターをDレンジとし、更に新油を吸引させるのだが、セレクターを動かしたら、素早くアクセルを軽く踏んで、60キロぐらいに速度を上げる。するとAT内部のほとんどの通路に新油が流れ込む。

吸引させている新油がなくならないうちにアクセルを離すと、アキュムレーターに溜まっている古く汚れたATFが「ゴボゴボ」と言いながら排出される。この汚れたATFが問題なので、コレを見届ける必要がある。

8リッターほどのATFを使用してこの作業を行えば、AT内部の各所に新油が送られるので、ほとんどの場所でATFが入れ替わる。
 
オイルパンを外してエンジンを始動させる、ということに違和感があるだろうが、ウエットサンプのエンジンだって、オイルをクランクケースの下に有るオイルパンに溜めているだけなので、それは便宜的にそのような構造としているだけで、そのオイルパンがなくても、ストレーナーからオイルが吸引できるような状態としておけば、これも普通に回して差し支えないのだ。

2018年9月18日火曜日

メガーヌ ルノー・スポール こりゃこれまでのスポーティハッチバックと違うぞ


何がって、245/35R19と言う幅広いタイヤを履きながら、なんら違和感を覚えない、普通のセダン感覚の走り。更に、サスペンションの作動にストレスが無いのだろう。路面の荒れたところでも細かい振動はあるものの、ドタバタ感はない。

そして、ここまでくれば当然のことなのだろうが、走行ノイズが、また少ない。245/35R19と言うサイズのタイヤを装着していれば、パターンノイズと称する騒音が、室内まで響き渡って当然なのだが、それがないのである。

今のトレンドは5ドアのハッチバックであるということから、そのものを取り入れて開発された
 
シートを通しての上下動、細かい振動がドライバーに伝わらない(レーシングシートのようなバケットタイプを標準装着しているが)ので、年寄りドライバーが長時間、長距離高速走行をしても、疲労は驚くほど少ないだろう。(経験上)

ルノーが5ドアのハッチを具現化した背景には(これまでは3ドアだったのだが)現在のトレンドが、5ドアであると言う状況から考え方を切り替えた結果だ。

もちろん乗り味を最高のものとするため、サスペンション周りにも手が加えられている。初代メガーヌ ルノー・スポールから採用されているものを更に熟成。ダブル・アクシス・ストラット・サスペンション(DASS)と呼ばれるもので、ステアリングアクシスがストラットに頼らない構造。そのため、サスペンションの構造に制約を受けることなく、理想的な作動アライメントを引き出せる。もちろん作動中の変化も、ドライバーが必要と感じる状態で、素直にタイヤが向きを変え、更に素直なキャンバースラスト効果によって、気持ちの良い高速コーナリングが、コーナーの大小に限らず体験できるのには、完全に脱帽である。

メガーヌGTに比べてフロントを60mm、リヤを45mm広げたフェンダーは、これまでにない安定感を生み出した
 
この素晴らしいコーナリング性能には、4WS方式が大いに関係している。方式としてはルノー メガーヌGTに搭載されているもので、更に熟成度を高くしているのは当然の話。レースモードを選択しなければ、時速60キロで変化する。60キロ以下であるとリヤは逆位相になるが、それも速度によってその角度は最大1度。また、60キロ以上では同位相制御で、最大2.7度の角度変化が起きる。ステアリングホイール操作の角速度から、どのようにRSを走らせているか、走らせたいのかを検出し、作動角度を割り出すのだ。

日本でもこれまで4WSを積極的に採用(日産自動車)されていたが、特殊なクルマを除いてあまり謳い文句にしなくなった。でも、ルノー・スポールでは違う。

センター排気となっただけではなく、ディフューザー効果を最大限に発揮する形状で、ダウンフォースを高めている
 
扁平率が高いタイヤながら、その悪さを出さないための工夫として、ショックアブソーバーがある。ショックアブソーバー底部に組み込まれた機構で、そのオリフィス変化によりフルストローク時の減衰力を高くしようというもの(日本の萱場製だと聞いた)。バイクのフロントサスペンションに採用されるテレスコピックフォークの構造は正にこれで、バンプストッパーを取り付けられない構造のため、ボトム付近での減衰力を高くすることで、金属同士が当たる底突きを防いでいる。ルノー・スポールはその構造を更に高めたものであると判断した。

1.8リッターターボとなっているが、その特性と性能に不安を覚えることはない
 
そして、エンジンについても見直しが図られ、これまでの2リッターターボから、1.8リッターターボに変更。排気量が小さくなっても、パワフルで扱いやすく、必要以上に振り回されることがない。常にアクセルペダルと一体と言う感触が沸きあがる。

文句なしのドライビングポジションは、ツーリング走行でも不満のでることはない。バケットタイプのシートはこれまた素晴らしい
 
変速機はもちろんツインクラッチ方式の6EDCでゲトラグ社との共同開発であるという。機構的に素晴らしいのは当然だろうが、問題はそれに関わる制御。このことも素晴らしく、常にドライバーの意思を繫栄させるプログラムを選び出す。更に、走行モードが5個あり(ルノーはこのようなことが好きで、それに長けているとも言える)ドライバーの好みで選べるが、コンフォーとかニュートラルで十分だ。

パドルシフトを思いのままに使用でき、つながりの良いギヤチェンジはまるでCVTを操作しているかのように反応する。もちろん自動でのギヤシフトでも十分に走行を楽しめることは確かである。



2018年9月16日日曜日

ATFの交換方法について、ややこしいがそれなりに効果のある交換方法をレポートしてみた その③ニッサン推奨方式もある


正しい量のATFが注入されていたことを確認したら、抜いた量だけを入れ替えると言うことは重要で、そのためにはニッサンがサービスマニュアルで説明していた方法も良い。それは、ATFのクーラーライン(ATFの温度管理する熱交換ライン。エンジンラジエターにビルトインしているものや、完全に空冷としたものがある)に繋がるホースを取り外す。エンジン始動で排出する側にホースを繋ぎ、それをオイルジョッキなどに入れる。

これでエンジンを始動させるとATFが排出されるが、その排出された量をレベルゲージ(ここから新油も入れる)から注入すると言うもの。完全に出し切ってしまわないことが重要。

クーラーラインにはAT内部に存在するATFの大半が通過する構造となっているので、残量が多いトルクコンバーターやバルブボディに溜まっているATFの一部は押し出されることになる(アキュムレーターはATを作動させないとATFは出て来ない)。

この方法は、排出させた分だけを同時に継ぎ足す、と言うことが重要で、排出が止まってからであると、ATF通路に空気が入り込み、新油を入れてエンジンを始動し、走行させたときにたときにその空気が圧縮され、暫くするとその空気で出来た泡が破裂し、それによってバルブボディなどの通路に溜まっているスラッジが浮き上がる。このことによって一時的にジャダーなどの発生が起きることが有る。

そのため、入れ過ぎは気にせずに、多かったら、レベルゲージの穴からホームセンターで販売されている注入器などで吸い取る方法が良い。

2018年9月14日金曜日

ATFの交換方法について、判断間違いがあるようなのでレポートしてみた その②オイルパンを取り外して内部を点検


走行距離がもう少し長い場合には、オイルパンを使用している車種なら、このオイルパンを取り外して、中の状況を見たほうが良い。見る部分はオイルパン底部に有る磁石。ここに金属粉が吸着しているのは仕方がないのでが、金属片となると話は別で、その金属片がどこからやってきたものかを確かめる必要がある。でも、その確かめはほとんど不可能だから(完全に分解しないと見極められない)、金属片が出たと言うことだけを頭に入れて使用するしかない。

更にバルブボディに取り付けられているフィルターも取り外し、フィルターの目詰まりも見る。ここにクラッチ板の破片やごみが張り付いていたら、これも要注意となる。

ホンダ車ではオイルパンの付いていない車種もあるので、その場合には、フィルターの交換や点検も出来ない(分解しないと出てこない)のであきらめるしかないのだが、そもそもそのようなホンダ車は、変速機機構が他の車種と違う。

一般的なステップATでは、遊星ギヤや湿式多バンのクラッチ、ブレーキバンドなど、各種の摩擦や高速回転するギヤなどが組み合わされており、その構造から磨耗粉が発生しても仕方がないが、オイルパンを持たないホンダ車は、遊星ギヤはなくブレーキバンドもない。

変速ギヤの方式は、遊星ギヤではなく常時かみ合い方式を持つマニュアルミッションの、シンクロ機構部分にクラッチ機構を持つと言うもので、それぞれのギヤにあるこのクラッチを制御して変速すると言う構造だから、ATFの中に磨耗粉の混入は少なくて当然。そのためオイルパンを持たないと考える。

新しいATFを注入するときには、注入量がハッキリとしないので、おおよそで注入して、充分に走行させAT本体とATFを完全に暖める。その後、ATFのレベルを計るのだが、アイドリング中で、サイドブレーキをしっかりと利かせ。ATセレクターをゆっくりとPRNDⅠⅡなど、全てのポジションへ持って行った後に、レベルゲージを抜き、再度差し込んで、レベルの確認をする。以下次回

2018年9月6日木曜日

ATFの交換方法について、判断間違いがあるようなのでレポートしてみた その①


ATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)は交換の必要はない、と言う開発者やオーナーが居る。確かに交換無しで20万キロ走行しても破損することは無いようだが、変速シフトの快適性については走行距離と共に低下する(つまりATFの劣化など)。快適性が失われてもかまわないと言うことであるなら、あえて交換を薦めない。

快適に最後まで使用したいのであるならATFの交換はするべきであると思う。ドレンプラグ(ついていない車種もあるがそれは除く)から排出させての交換では、走行距離としては5万キロが目安と判断している。

ただしエンジンオイルのように、エンジンが暖まっているときに排出させるのではなく、一晩経ってからドレンプラグを外すこと。その意味は、AT内部に入り込んでいるATFをオイルパンに戻る時間を稼ぐためだ。

エンジンを止めて直ぐにドレンプラグを外して排出させると、出てくる量の少なさに驚く。そして、いつまで経ってもドレンプラグの穴からタラタラ滴り落ちる。滴り落ちる量は半端ではないが、自宅ガレージに余裕があるのなら、その状態で一晩置くというのもOK。ただし、廃油受けの量は大きなものを用意しないと、翌朝・・・

さてここで交換に使うATFの選び方であるが、カーショップで販売されているATFは使うべきではない。それが例え有名石油メーカーやクルマメーカーの名前がプリントしているのもでも、購入しないこと。

この手のATFで購入・使用しても問題とならない時代もあった。それは数十年前まで当時の標準ATFでもあったディキシロンⅡやⅢというATFが使われていたころの話。しかし、制御が細かくなり、動力性能ばかりではなく燃費にも関係してくると、それを満足させるものとして、自動車メーカーと石油メーカーが共同で開発したものが絶対の位置を占める。

例えATの型式が同じであっても、そのクルマに要求されている性能を持っているかどうかがわからないので、純正を購入することに越したことはない。

これを無視して手短なところで販売するATFを使用すると、シフトショックが出たり変速パターンが変化したりする。

ではどのようなATFを購入すればいいのか、というと、自動車メーカー純正のATFである。ディーラーも危ないので、ここは自動車部品商に出向き、初年度登録年月、型式、車台番号や原動機の型式、型式指定番号、類別区分番号を伝え(全てを伝えないと購入できない)、そのクルマ、そのミッションに適合したATFを最低4リッター購入する。

一晩置いてドレンプラグから排出させた場合で、交換量は2~3リッター。ここでどの位のATFを注入するかであるが、それは、排出した量が目安。排出ATFをオイルジョッキなどに移し、おおよその分量を量って、その量をレベルゲージ穴から注入する。

その後、完全暖機の状態を作るため、しっかりと走行させること。熱による膨張率もエンジンオイルより大きいので、ここまでしっかりと条件を同じにしないといけない。また、ATFはエンジンオイルより、レベルについては微妙で、多少少ないには問題ないが、多いと(レベルゲージで2~3cm)プラネタリーギヤなどにかき回され、攪拌抵抗によりATFの温度が上昇。その結果、ブリーザープラグから泡となって噴出す。

走行中はそれでも何とかなるが、停止し一晩経って、AT本体も冷えるとATFも冷え、その結果、AT内部に溜まっているはずのATFは少なくなり、エンジン始動後にセレクターをDとしても直ぐに発進せず、暫く経ってから、と言うような現象も起きる。

もっとしっかりと交換率を高くして作業したい、と言う話は次回に

2018年8月28日火曜日

2020年のパラリンピックについて、競技の知名度を上げれば観客が増えて入場券が売れる、と言う気持ちでいるように見えるが、果たしてそれだけで・・・


パラリンピックに対する知名度は確かに低い。でもそれが、競技会場に観戦に来る人が少なく、入場券が売れない、と言うことに結びつくので、知名度の低い競技を重点的に取り上げ、テレビでの企画を行っている。果たしてそれだけで十分なのだろうか。

競技会場に入場券を購入して、足を運ぶ方の、そのめんどくさい、でも行きたいという力はどこから来るのだろうか。

全ての競技(モータースポーツも)に言えることだと思うが、それは、話題の中心となる人物が要るかどうかなので、そのような人物を探し出し(あるいは意図的につくり)大々的に取り上げることだと思う。早い話が、今のF1はどうなのだろうか、と考えた場合、日本人のヒーローがいない。だから観客もサーキットに足を運ばない。TVでもろくに放映しない。悪循環となって話題がなくなり、雑誌も新聞もTVも報道しない。

これでは注目度は急勾配で下降する。人気がないから何をやってもダメと言う判断は間違いだと思う。人気は競技そのものだけではなく、そこに登場する人物、チームにも向けられているはず。

パラリンピックで話題の中心となると、その競技と言う話ではなく、そこに登場する人物や使用する機器に焦点を当て(特に認知度が低い競技)競技と共に紹介するような企画をTV局や雑誌、新聞で作り、言ってみればヒーロー的な状態で、一般に浸透させることだ必要ではないかと考えている。

モータースポーツで言うと鈴鹿8時間耐久レース。観客動員数は昔ほどではないが、根強い人気を保つ。その理由のひとつはチームの応援、ライダーの応援に尽きると思う。その強さが、高い入場券を購入し、更に東京から(東京だけではない)それを見に出かけるエネルギーとなる。

ライダーやチームに魅力を感じるから、強い欲望が生まれて行動力に結びついていると考えてもおかしくない。

現在人気のスポーツ(オリンピック、パラリンピックに限ったことではない)でも、最初観客はパラパラ。人気のミュージシャンであっても、地道な努力の積み重ねで現在が有る。そう考えると、集客力の裏側には、人=ヒーローの力が大きいと判断して見たがどうだろうか。

2018年8月18日土曜日

小さなクロカン・ジムニー なのに挙動の穏やかさを感じさせるのはなぜだろう


軽自動車と言う枠にあって、クロカンというジャンルを独り占めにしてきたジムニー。そのジムニーがフルモデルチェンジしたわけだが、開発に込められた並々ならぬ思いが伝わってきた。

住宅地でもなんとなく溶け込んでしまうジムニー
今回の試乗では残念ながら、オフロードそれもハードなコースでの走りはなかったが、舗装路の凹凸が激しいところでの安定性は十分に確認できた。また、走行中の振動(特にシートバックから背中に伝わる部分)、ノイズ、更にサウンドとも申し分なし。ただしこれは試乗車がMTの場合であって、ATは1500ccのジムニーシエラしか試乗車が用意されていなかったので、同様であるとの確認はない。

操縦性や静粛性、安定性が高くなった理由は、Xメンバーの変更やクロスメンバーなどを追加したラダーフレーム(これによって捻り剛性は1.5倍向上したという)に有るが、そこにはフレームとボディの接合部に使われるゴムブッシュの形状見直しも関係する。

3リンクのサスペンションは現場での改造が出来ないのが残念
補強されたラダーフレームは良いことばかりだった
 
唯一気に入らなかったのは、サスペンション形式で、リジッドでもいいからリーフスプリング式が良いのだが。と言うのも、3リンク式リジッドであると、横力を確保するためラテラルリンクを必要とし、そのリンクがサスペンションを大きく作動させたとき、ボディを左右に振り回す動きになってしまうからだ。

また、スプリングがコイル式であると、簡単に車高調整が出来ない(一部規則違反になるが)。リーフリジッドであると、シャックルピンのところにある取り付けプレートを長いものに変更すれば、現場でも簡単に車高調整が出来る。ただし、最低地上高の調整は無理。

ステアリングギヤボックスはリサキュレーションボール方式。ラック&ピニオン式は昔から採用できなかったが、それがまたいい方向へジムニーを引き寄せた
 
また、滑りやすい場所でのトラクションを確保するため、ブレーキLSDやトラクションコントロールは全てのクラスに標準装備されているのはうれしい。ただし、ブレーキLSDはレスポンスに遅れが生じるため、ハードな場所を走行する機会があるのなら、OPのヘリカルギヤ式トルセンデフLSD(リヤのみ)を組み込むべきだろう。なお価格は組み込み費ともで(本体価格79920円)11万円を超える。

走り出してビックリしたのは、そのレスポンスと更にスムーズで力強い加速性能。これまでのジムニーと比較したらビックリである。過渡特性が良いのは、ターボとのマッチングも大きく関係しているだろう。どのような手法でこの性能を手に入れたのか試乗後に開発者に聞いてみると「エンジンがこれまでのK6Aから、ワゴンRなどと同様なR06Aとして、ロングストーロークになりましたから」と言う話。また、最大トルクの回転数とその特性も変わって、実用領域でのトルクアップが効いているという。数字上では先代エンジンのほうが僅かだがトルクは大きいのだが、それがレスポンスとの関係から言うと、新型エンジンのほうがフリクションが少ない分、加速力にも優れると言うことになる。
トランスファーはAT・MTのどちらにも装備される。MTのシフトフィーリングも大きく向上した
こちらの画像はジムニーシエラAT。実は左足でのブレーキ操作がやりにくい。ステアリングシャフトが邪魔してブレーキペダルの正面に足を持って来られない。左角を踏みつける形になり、操作性が悪いのである


価格の安さにも驚く。これほど走破性の高さを確保しながら150万円以下からの設定だからだ。ベース価格が安くても、必要と思われる装備を付けると、思わぬ価格になってしまう、と言うのが軽自動車でもあるからだ。製造コストはセダン系あたりよりかかっていると思うのだが、それを払拭している。これほど込み入った機構と性能を確保しながら、魅力ある価格に出来るのは、ジムニーの歴史そのものから来るのかもしれない。

社会人になって初代ジムニー(LJ10)を新車で購入し、360ccと言う排気量から来る走行性能を納得しながら、河川の土手(道になっているところ)などを走り回ったが、その登坂力とコンパクトな造りは、動力性能以上のものを感じさせた。

フロントウインドウを前方に倒し、風をもろに受けながら40キロぐらいの速度で走らせるとき、隣に座らせている愛犬も満足げだったことが思い出される。最高速度は70km/h以下であるし、直進性も良くなかったから、のんびりと走らせる以外になかったのだが、現在のジムニーはかなり違うようだ。

2018年7月27日金曜日

シートの造りが悪いと言うレポートの多いNC700XとNC750Xだが、私の場合にはそんなこと気にすらならない


NC700Xをマイバイクとしてから数年経つが、その間にNC700DCT、750DCTなど、オートシフトのバイクにも乗ってみた。自分のバイクはともかく、これらの2台においても数十キロの走行ではなく、数百キロ(千キロを超えることも)、1~2泊でのツーリングである。

この距離を乗ると、そのバイクの癖をほとんど理解できるし、性能も把握する機会もある。

少しずつ改良を施し、手足に馴染むバイクに仕立てた。実は、リヤのキャリアはデイトナ製だが、高さを限界まで下げる目的で、溶接加工をしているから標準ではない。タイヤはもちろんミシュランである
 

また、「NC700Xや750Xのシートは座り心地が悪くて、尻が痛くなる」と言う話が理解できない。もちろん休み休みでの走行ではなく、一度走り出したら最低2時間、距離にすると一般道であるなら70~80キロ(場合によっては100キロ以上)。高速道路なら159キロぐらいノンストップ。

それでも尻が痛くなると言う経験をしたことがない。尻が痛くなって60分持たない、と言う方がいるけれど、その方はどのようなライディングスタイルなのであろうか。

シートにたっぷりと体重を掛けるアメリカンスタイルなのだろうか?これ、本人はそうではないと思っていても、物理的に判断すると、意外にシート荷重が高いこともある。

私の場合、どのようなライディングスタイルなのだろうかと、改めて考えてみたが・・・シートにたっぷりではなく、フットレストは土踏まずで荷重を加えず、指の付け根あたりで(つま先に近い場所)、フットレストを常時踏みつけており、必要時には土踏まずの位置にずらす、と言うことを自然にやっている。

薄いから尻が痛くなる、と言う考え方は間違い。シートに加わる荷重を均等に分散させる状態にあるか。また、その座り方も重要だと判断する
 

もちろんハンドルにはそれ相当の力が加わっているが、コーナリング時には力を抜く。

よくよく考えてみると、ハンドルを少し前方にして(マウントのボルトを緩め、持ち上げるようにすれば移動できる)、フットレストにかける体重(踏ん張りとして)を高くすることで、尻への負荷が少なくなるのではないか

このような乗り方を理論的に考えて乗っているわけではない。あくまでも自然にライディングスタイルとバイクにかかる重量を決めているのだろうから、尻が痛くなることはないのだ。身体の大きさは体重72Kg、身長178cm(最近の身体検査でのデータ)で、かなりの年寄りであるから、尻の肉はない。

2018年7月15日日曜日

冠水した道路をクルマで走る場合に注意したいこと それはアイドリングストップを作動させないこと


昨今の豪雨被害を見ていて、ふと気が付いたことがある。それは、マフラーのテールパイプ出口が水没する深さになる冠水場所を走行する場合、アイドリングストップさせると、とんでもないことが起きると言うことが考えられた。

それは、水がマフラーテールパイプから逆流する現象で、エンジン燃焼室内に水が浸入することとなって、再始動が不可能となると言う話。

なぜ水がマフラーのテールパイプから逆流するのかと言うと、まずアイドリングストップすると、クルマの後方下側に有るメインマフラー内に水が浸入。エンジンが始動していれば、排気の圧力でマフラー内の水が入り込むことは無いが(と言っても冠水の深さがあるとその水圧が排気圧に勝ちマフラー内に水が浸入する)、吐き出す作用が止まれば水は浸入する。

最初の何回かは、この状態となってもエンジンは始動してくれるが、エンジンは吸気バルブと排気バルブを同時に開くタイミングがあり、このときには当然テールパイプ側から排気ガスを引き込むような作用があり、ここに水があればそれを吸引。

もちろん一回でシリンダー内に入り込むことはないが、渋滞などで何回かのアイドリングストップからの再スタートにより、マフラー⇒排気管⇒触媒⇒エキゾーストマニホールドに到着し、再始動不可能になる。

そのような状態になると言うことを理解して、再始動した瞬間にギヤをニュートラルにして、エンジンを高回転に回し、排気系に入ってしまった水を吐き出させれば事なきを得られるが、冠水状態の場所で、常にこの作用をさせるにはミスも出る。

そこで簡単なのが、アイドリングストップをしないように停止ボタンを押しておくことである。

それでも水深のある場所を通過するときには、どうしても排気するための圧力が高くなり、不調の原因となるため、ニュートラルにして、アクセルを大きく踏み込み、マフラーテールパイプから、勢いよく内部の水を吐き出させる行為を行わないといけない。

もうひとつ知っておいて損はないものがある。それは、冠水の深い道路をどうしても走らなければならないときの取って置き方法。

水かさが増していれば、そこを走らせることによりエンジン吸気系から水を吸い込み(大型や背の高いクルマは別)エンジンストップ、或いはエンジン破損につながる。

でもそのような場所を通過しなければならないこともある。ひとつはバスなどの大型の後ろを出来るだけ近づいて走行する。大型のタイヤが水を左右に押しのけるので、水深が浅くなり何とかトラブルから回避できる。

それも出来ないようなときには、エンジンルームにある吸気の入り口近くに走行による水が当たらないような工夫をする。一番いいのは食品ラップをフロントグリル全てに貼り付けること。ラップがなかったら新聞紙でも十分。その新聞が落ちないようガムテープなどで止める。

フロントグリル内にはエンジン冷却用のラジエターがあるが、そこに当たる風を一時的に遮断しても、オーバーヒートなどのトラブルは起こさない。

このようにして水深の有る道路を走行する場合、エンジン回転は出来るだけ低くすること。ATであると簡単な話ではないが、アクセルを大きく踏み込まなければ可能なことである。

2018年6月25日月曜日

アウトボード・モーターボート用エンジンにもディーゼルがあった


2018年、今年パシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展」で、ディーゼルのアウトボード・モーターボート用のエンジンが展示されていた。クルマではないのだが、興味が持てる。同じアウトボード・モーターボートエンジンとしては、スズキが展示していたが、これは昨年の東京モーターショーで発表されていたもの。

パシフィコ横浜に展示されていたものは、日本のヤンマーが関係するもので、排気量804cc、2気筒直列、ターボ付き、コモンレール。そして、振動低減を目的にしたデュアルカウンター回転クランクシャフトでバランスを取っていると言う話。
 

デュアルカウンター回転クランクシャフトとはどのようなレイアウトなのだろうか、興味が持てるが、調べてもよくわからない。普通に逆転する配置に同じ質量の回転体を設け、それをギヤで逆回転させるように設計すれば、回転変化の反動トルクもなくなるし、当然振動も低減できる。

この構造とすることで、エンジン振動の低減だけではなく、アクセル開閉時に起きる反転するトルクがなくなるので、ハンドル操作が素直になり、操船性が向上すると言う。
 

クランクとしてではないが、バイクの世界では、すでにホンダが数十年前からクランクと逆回転させるクラッチ、ミッション軸を設け、完全に反動トルクをキャンセルしている。GL1800(それ以前のGL1000も)などがそうであるが、あえて反動トルクを僅かに残すような設計も有る。

ホンダであるとGL400やGL500、BMWも最近の高性能モデルでは、これまで以上に反動トルクが強くなることから、縦置きされた(ホンダも同様)クランクシャフトの下側に、クラッチを持って来て、それをスパイラルギヤで逆回転させることで、反動トルクを低減し、快適性と高性能を達成させた。個々のバイクによって設計が違うので、この説明が全てではない。

それはともかくとして、アウトボードエンジンにも4ストロークで大排気量の高出力型が主流(2ストロークの水中排気。排気ガスに含まれるエンジンオイルの問題から。スイスとドイツに跨るボーデン湖規制が有名だった)になった。それまでは4ストロークと言えばインボードエンジンやインボード・アウトボート(スターンドライブ)のような大掛かりなものが当然のように言われてきたが、装置そのものが大きく搭載性やメンテナンス性が悪いため、アウトボードエンジンに主力が傾きつつあるようだ。

アウトボード・モーターボートエンジンに4ストロークが当然になったことで、モーターボートエンジンも大きく様変わりした。ただし、このエンジンにはかなりのノウハウがあるようで、最初のうちは、アメリカの大手モーターボートエンジン・メーカーでも、日本からのOEM製品を販売していたのだ。

4ストロークのアウトボード・モーターボートエンジンは、日本のホンダが最初ではないはず。今から50年以上前にアメリカの(ホームライトとか言うメーカーだったと思う)メーカーが販売していた。当時は、その性能があまりにも低かったため、ユーザーからも受け入れてもらえず、いつの間にか消えたのだが、その後にホンダが同様なエンジンで発売したときも、性能的に、重量的に受け入れる土壌はなかった。当時を振り返って・・・

1964年にホンダが発売したGB30と言うエンジンは、4ストローク単気筒、171cc、4psで空冷。汎用エンジンのG30を流用したもので、ベルトドライブだから、カバーを取り外すと、現場での動力源に使用できると言う設計だったのは評価できる。

2018年6月23日土曜日

自動ブレーキのテレビCFに対して、よく警視庁や警察庁がクレームを出さないな


各車(全車ではない)で、最近の新型車、マイナーチェンジモデル車に、当然のように取り付け採用を始めた自動ブレーキ。

これ絶対に作動すると言う根拠はなく、有る機関での検証では30%ほど作動しなかったと言う事例も有る。

それより問題としたいのは、テレビCFで「よそ見運転をしていても、万が一の時にはブレーキがかかります」と言う表現や「ボーッとして運転していても大丈夫」、と言うような表現で、その魅力をアピールしている。それって、良いことなのだろうか。

重要なことは、あくまでも緊急時には・・・であり、これらの表現では、いい加減な気持ちで運転していても大丈夫、と言うような感じで捉えられる。

よそ見運転、不注意運転を助長しているように思えて仕方がない。警視庁、警察庁は、この実態を知っているのか、或いは無関心なのか。何か大きな問題に発展する前に、対策を打っておく必要はないのかな。

2018年6月13日水曜日

ニッサン・セレナe-POWERの回生制御で、バッテリー充電重視の快適とはいえないプログラムに疑問


ニッサンは、エンジンで発電機を回し、そのエネルギーによりバッテリーへの充電や走行用モーターを駆動することで、クルマを走らせるシステムを構築し、手始めにノート(ノートe-POWE)でそれを達成。燃費性能と動力性能、クルマ購入のコストバランスの点からかユーザーが増えた。

確かに結果としてはそうなるのだが、果たして快適にドライブが楽しめる穏やかな回生状態なのかと言うと、とてもそうは思えない。特に最新のセレナe-POWEの回生制御がすごいことになっていると感じる。

何がすごいと言うのかと言うと、アクセルを戻したときのクルマの慣性力を利用する回生(この力をバッテリーの充電に使う)ブレーキである。ベーシックなガソリンエンジン・マニュアルミッション車のエンジンブレーキに相当する減速状態で、確かにクルマを減速させることについては、非常に有効で、慣性力を生かしたことはハッキリとわかる。しかし・・・その強い減速状態が乗員を不快な思いにさせる、と言っても過言ではない。

この制御にはノーマルモードとe-POWEドライブと言う2つがあり、さらにe-POWEドライブには加速力の異なるSモードとECOモードがあり、希望走行状態を選べることになっているが、問題は加速力などではなく、減速時(アクセルを離したとき)の回生ブレーキがどのような強さで、更にその回生状態がどの時点で作用し始め、最大となるのは何時なのか?である。

e-POWEドライブを選択すると、アクセルから足を離したとたんに急減速。体が前のめりになるほどに強い。バッテリーへの充電を重視してのプログラムなのだが、いくら燃費を良くしても、快適性が失われたのでは意味がない。

どのような感じなのか例えを考えてみたら、例えばMT車で2速走行しながら速度を高め、60キロぐらいになっていきなりアクセルを離したときの強いエンジンブレーキ。これで不快に感じない乗員はいないだろう。

そして、このような状態になることを嫌うドライバーは、その強い減速が起きないようにドライブしようとすると、アクセルペダルを踏み込むときには、いつものクルマと同じでいいのだが、アクセルペダルから足を離すときには、それこそサーボモーターでの制御のように、スムーズにバランスよく右足の向うずねに神経を集中させながら(この操作はかなり足が疲れる)力を抜いていかないと、乗員(運転手も)を不快な思いにさせてしまう。

では、普通のCVTエンジンモデルと同じような制御だ、と言うノーマルモードではどうなのだろうかというと、バッテリー残量が少ない状態だと(メーターがあるので判断できる)回生制御が、強くはないが働いて、アクセルペダルから足を離したとたん体が前方へ持っていかれる。それでも、バッテリーの残量が80%以上になると、さすがにオナカ一杯になるようで、回生制御はほとんどなくなり(普通のドライバーだと、その違いには気付く人は少ないだろうが・・・)、これなら合格の制御と言える。でもこれだとバッテリーへの充電が思うようにならないのである。

ノーマルモードでは、恐らくバッテリーへの回生充電が十分ではなく、燃費に大きく影響するのだろう。だからといって、アクセルを離したとたんに最大に回生充電が開始されるのは、快適とはかけ離れた状態。走行速度とバッテリー残量、クルマの総重量(その時々で変化する)により、どの減速タイミングから回生量を大きく立ち上げ、それによりスムーズに減速させることで(例えばMT車であればいきなりクラッチを接続させるのではなく、エンジンブレーキを有効に使う場合でも、エンジン回転の上昇具合と減速の状態を考え、クラッチを繋ぐのだから)、ドライバーに負担をかけないような制御が求められる。燃費さえよければそれで良いんだ、と言う人にはどうでも良い話だが。

また、走行性能には関係ないが、走行時の静粛性が高いことは賞賛に値する。ただしその理由の解説をしているレポートがどこにもない。防音材を多用したからという言う話だけではなく、大きな点は、ボディの床下に配置したモーター駆動用のバッテリ-によるものであると言うこと。バッファーが大きくなったので、走行騒音と振動はここで減衰するのである。
一部の騒音対策みたいな状態となり、そこばかりが静かでも、もぐらたたき状態で、別なところからの騒音が目立つので、対策が大変だったと言うが、エンジンからの騒音(特に加速騒音)対策から比較したらたいした話ではないと思う。

2018年5月11日金曜日

樹脂系のステアリングもケアすることによって握りが安定することがわかった


レザーのステアリングは、長いこと日に当たる状態で保管されると、表面の油脂成分が蒸発?するのか、とにかく水分が抜けたようになって、ツルツル。水を含ませなければハンドル操作も危うくなる、と言う事実を経験したことがあり、その対策として**ソンのベビー**をたっぷりと、何回も塗るつける(てんこ盛り状態で)と言う方法により、当時と同じように、いやそれ以上にシットリとした握り心地が得られる実証実験は成功した。

では、樹脂のステアリングはどうなのだろうか。これも年月を重ねるとツルツル状態になってくる。ブレーキクリーナー等で洗浄したところで何も変化無し。

摺りこむのではなく、ベタベタと塗りつけた状態で保つ
 
人の油脂分が付着してワックスとなり、それがすべる原因なのか?とも思ったが、どうもそうではないらしい。そこで、革のステアリングと同じローションを使ったケアを試みた。

このような状態で一昼夜すると、ほとんどしみこむのか蒸発するのかわからないが、とにかく消える。これを数回繰り返せば握り心地のいいステアリングに回復する
 
当然革よりも時間がかかり、直ぐに染み込むことはないから、効果が出るまでに時間がかかった。しかし、あるとき気が付いた。少しずつの変化であるため、いつの間にかなのである。でも、とにかく感じの良い表面に変化し、乾燥した年寄りの手のひらでも滑る感触はなくなった。

2018年5月6日日曜日

ひたち海浜公園は、その昔、水戸の射爆場と呼ばれた。そこで開催されたエンデューロレースが「シルバー200」だ


その射爆場跡地で開催されたエンデューロレース「シルバー200」のプログラムを掲載してくれた雑誌がある。「自然山通信」と言うトライアル中心の雑誌だ。自然山通信4月号が欲しい方は℡045-989-1360.Fax045-989-1362(280円+税)まで問い合わせて欲しい。

自然山通信と言う表題の付いたトライアル専門誌がシルバー200のことを取り上げてくれた
 
水戸の射爆場は、戦後米軍が管理していた広大な森林と雑草が生い茂る演習場。その場所を日本政府に、返還することになったのだが、それを記念して何かバイクのイベントが出来ないだろうか、と言う話が、横田基地のバイク仲間から沸きあがっていたらしい。バイクが好きな隊員(米軍横田基地内にはMCFAJ・モーターサイクル・クラブ連盟にクラブ登録しているグループもあった)が多く、「アメリカで開催されているような広大な場所でのエンデューロレースができるといいのだが、水戸の射爆場跡地を利用して」、と言うような話がモーターサイクリスト編集部に舞い込んできた。

「水戸の射爆場跡地」なんていわれても、戦後に日本人がそこに入ってレースなどやったことはないし、ましてどこにあるのかさえ定かでなかった。

でもそれは面白そうだということで横田基地の将校さん宅を訪ねると、彼らはすっかりやる気で「さーどうする」的な話で迫ってくる。コースはどうなっているのか聞くと「射爆場の外周近くを走るコース」を考えており、大まかなレイアウトが出来上がっていた。

モーターサイクリスト誌(八重洲出版)は、今は亡き初代社長の酒井文人氏がモータースポーツ大好きで、浅間テストコースでのロードレースを主催したことがある。

そのモーターサイクリストはMCFAJという組織を作っていたわけで、そのような組織を巻き込めば水戸の射爆場跡地を使ったエンデューロもやれるのではないか、と米軍グループは考えたのだろう。

横田基地で打ち合わせに立ち会うこととなった私は、MCFAJの事務局長や理事長とも親しく、いろいろお手伝いする中で、いつの間にか競技の運営にも首を突っ込むことになったほどだった。

そんなこともあり、横田基地の担当者と話をする最中、計時や保険は?と言う問いかけをすると、計時も保険もまだ結論がでていない。何とかしなければならないのだが・・・

そこで、計時はMCFAJのレースで、常に計時の判定を行っていた方にお願いすることに。そして保険は、これもMCFAJの事務局長に相談済み。保険は何とかなります、と言う私の言葉に米軍関係者全員が「イヤー、ラッキー」「自分達はそれが一番心配だった」というのである。

レースの名称についての相談もしたが、シルバー200と言う名前になった経緯は忘れた。何かに引っ掛けたことは確かなのだが。

レースの開催日時はこちらのスケジュールで良いというので、編集の仕事が一段落する次の日曜日の7月30日に決定。コースの下見と確認は横田基地の関係者と編集部員の大光明(おおみや)が試走を2回ほど行い決定した。

コース1周の距離は12キロ。海岸線の波打ち際も走る。レースは時間レースで、そのときに一番周回数の多いライダーが総合優勝となるもの。スターと時刻は午前10時。終了は午後4時と決まった。

レースの内容は転倒事故の多い状態で(海岸線から上ってくる場所の埃がすごく、前が見えない)、私もコースマーシャルとして何周かしたが、転倒者を見つけて助けている直ぐその脇で、“ドデン”という転倒の音を何回か聞いたが、その状況が見えていたわけではない。

参加者には、今そのリストを見ると、有名人がかなり多いことが、初めてわかった。当時は、レースを最後までやりきることに神経を集中していたので、参加者の名前まで気が回らなかった。ここでその方々の名前はあえて出さないが(漏れると失礼になるので)、お許し願いたい。

そして午後4時にチェッカーフラッグを最初に受けたライダーは、勝俣輝勝さん。何周したか忘れたが10周ぐらいだったと思う。

2018年4月20日金曜日

夜間の歩行者とクルマの事故は、歩行者がクルマから見て右から横断する場合に多いらしい


夜間に年寄りが道路を横断するとき起きるクルマとの交通事故は、クルマ側から見て右側から横断する場合が多い、というレポートを掲載した会報があるのだが、どうして? 何故?がない。

そこで少し考えてみると、日本はクルマが左側通行。普通のヘッドライトは、ロービームでも左側に立つ歩行者などが発見し易いように、左上がりの配光パターンである。

右は対向車のことを考えた配光だから、歩行者や障害物はいくら明るいHIDでもまるで見えない。

その状態を右側にいる歩行者側から見ると「まぶしくないので距離感が取りにくい」ばかりではなく、「緊迫感」がないのだろう。

そのため、近づいてくるクルマやバイクとの距離目測を誤り、事故に結びつく?ただし、この右側から出てくるお年寄りに関しては、昼間でも左側より多く発生しているのはどういうこと?

恐らく距離と速度の感覚を把握する能力が低下するからだろう。でも、そのことを自覚していれば衝突事故はある程度防げると思うのだが。

クルマやバイク側からすると右側から出てくる人物は、お年寄りでも若者でも、夜間では発見しにくい。

左側であると左上がりの配光パターンがその目的を達成し、比較的手前から歩行者の発見が出来るので、その歩行者の動向を把握し易い。つまり、事故を回避できると考えたのだが。

高級車に取り付けられているインテリジェント・ヘッドライトなら、歩行者を見つけて照らしてくれるから、発見が遅れることは少ないのだが、価格の点で一般には採用例がないが、自動ブレーキがそうだったように、時間と共に下のクラスに採用がされるだろう。そうなったら、夜間における「歩行者の発見が、ヘッドライトの関係で・・・」という言い訳は効かなくなる。
早くそうなることを願いたい。

2018年3月29日木曜日

無関心すぎやしないか


これは数週間前の話だ。自宅近くのJR駅ホームでのこと。いつも乗る場所に行くと、若者が柱を背にして座り込んでいる。体調がおかしく助けが必要かもしれないので、自然と声をかけた。

「どうしました?」「気分が悪いのですか」顔色を見ると赤い。と言うことは二日酔い。直感でそう感じたため「二日酔いですか?」と言う質問に若者は「そうです」と言う返事。駅員さん呼びましょうか?」と言う質問に対し、「暫くここにしゃがんでいれば何とかなります」。と言うので、それ以上のことはしなかった。
 
この時大丈夫ですか、と言う声掛けはしない。それは、助けを必要としている方が、反射的に「大丈夫です」と言う返事をしてしまうからだ。これでは、その方が助けを必要としているかどうか、判断が難しくなる。ついつい「大丈夫ですか」と声を掛けてしまうので、注意して言葉を選んで声を掛けるようにしている。

何か異変があるといけないので、暫くその彼を観察。私以外に若者から年寄り(男女を問わず)まで彼の前を50人ぐらい通るのだが、誰一人として声をかけない。

おい大丈夫か、日本は!!!周りの異変に無関心すぎるヨ

2018年3月26日月曜日

トヤマハトレールDT1誕生50周年記念のイベントが埼玉入間のモクロスビレッジで4月15日に開催されるぞ


今から50年ほど前のオフロード界は、ヤマハから発売されたDT1が話題を独り占めにしていた。

スリムで軽量、強烈なパワーはないが、その扱いやすさは特別。開発のライダーは今でも元気な鈴木忠男(チュー)さん。先日のモーターサイクルショーでお会いしたとき「4月15日のイベントには参加されるのですか?」と言う質問をすると「当然です。私が開発ライダーでしたから」と即答。でもチューさんは「本来ならプライベーターではなく、ヤマハが主催するべきだと思うのだが・・・」。確かにその通りだと思う。本社が出てこなくても、支店でいいわけだし。

ビンテージバイクのモトクロス大会なので、マシンばかりではなくライダーも気遣いしながらアクセルを開ける。レースばかりではなく、進行ものんびりとしたもの。アットホームとはこういうものなのである。目くじらを立てず、全てに優しく、安全にイベントを楽しむ。年齢も関係なく、パドックに行けばそれこそ、中学校の同窓会的な話題で盛り上がる。

そのDT1と言えば、発売当時モーターサイクリスト編集部でモトクロスに参加していた関係もあり、当時の編集長が「試乗記は先輩の***が書くので、君はカメラマンを兼ねて、ついでに乗って来い」と言ううれしい業務命令。そして試乗DT1は2台あり、1台はGYTキットを組んだものと、他は完全ノーマルのもの。

当時は浜松周辺では警察もそれほどうるさくないのだろう、メーカーがこのようなチューニングキットを組み込んだバイクを試乗車として貸し出していたのだ。

ただし、GYTキットを組んであると言っても、マフラーはレース用ではなかったから、エンジンパフォーマンスとしては強烈ではなかったが、高回転まで気持ちよく吹き上がる特性は、それまでには味わったことのない、気持ちのいいものだったと記憶している。

その前の年のモーターショーには、このDT1が展示されており、晴海の貿易センターで行われるこのイベントに、我々メディアは搬入当日の午後に会場へ入り、しっかりと撮影、更にいじりまわしていた。スリムで軽量なDT1をトレールと言う言葉を知らなかったので、間違って「トライアル」と言っていたら、広報の方に「それ違いますとレールと言います」と訂正されたことを思い出す。

2018年3月21日水曜日

レースで重要なことに気が付いたのか。だとすれば今年のホンダF1はこれまでより楽しそうだ


マクラーレンとコンビを組んで、全てでうまく進行せず、何のためにF1をやっているのかさえ、皆目検討が付かない状態が昨年末まで延々と続いた。その結果、レースを見ても(たぶんやっている方も)つまらない。そして、マクラーレンもホンダも、ただ単に契約期間が終了するまでの、消化事業を行っていたかのようにも思えるからだ。

その原因は、人間関係にあると見ている。というのも、それ以前にホンダとマクラーレンが組んでいた時代はうまく行っていたが、新しいシャシーの開発で、厳しくなったクラッシュテストを合格させるためのデザインで意見がわかれた。それは、コクピット開口部分の大きさについてだ。マクラーレンはドライバーの出入りが楽に出来るよう、大きな(と言ってもそれまでよりは小さいらしいが)開口を要求したが、ホンダが考える開口部分はもっと小さい。

もちろんシャシー設計製作はマクラーレンが担当だが、ホンダでもシャシー開発ができるよう、十分な技術を溜め込んでいた。こうなるとホンダ側からも意見が出てくる。

もしクラッシュテストに合格しなかったら、次の年のレース参加が危うくなる。それは避けたいので、ホンダ側は頑として譲らなかった。

その結果何が起きたのかと言うと、マクラーレンとホンダの喧嘩別れである。これは噂ではなく、数年後にホンダ側の当事者から直接聞いたもの。マクラーレンと喧嘩別れした翌年(?)には、ホンダが鈴鹿サーキットなどで走らせた、カラーリングが施されていない、真っ黒な(カーボンファイバーそのもの)F1カーを見た記憶のある方がいるだろう。これこそ、ホンダがホンダ自身で開発していた技術により作り上げたもの「ホンダだってやれば出来るのだ」と言うことを世界に向けて発進させたと言うわけだ。

その後、暫く経っての共同開発。ホンダとマクラーレンが手を結び、エンジンはホンダ、シャシー周りはマクラーレンが担当となったが、「これ、まずうまく行かない」と言うのが私の見立て。それは、マクラーレン側は、喧嘩別れしたときの親分である、ロン・デニスが陣頭指揮を執っていたからだ。

とりあえず紳士的に振舞っても、心の奥での感情はわからない。まして、喧嘩別れしたときの担当者はホンダを定年退職している。マクラーレンと喧嘩別れしたときの状況をホンダ側で知っている方はいるのだろうか。その当時の担当者(出来れば喧嘩した方)がロン・デニスと会って、「あの時はごめんなさい」「これからはしっかりと手を組んで戦いましょう」と言う会話を交わしていればともかく、それは、ない。(このことは当の喧嘩した本人から聞いた)

こうなると、マクラーレン側には蟠りが残っているわけで、力の限りマシンの開発にエネルギーを注ぎこむことはしないだろう。言い方は悪いが、適当に、ホンダよりお金を引き出し、契約期間にレースをやりつくせれば良い。と言う、浅ましい考え方がでてきたとしても不思議ではない。

エンジン開発、セッティングには、シャシー周りからの情報が絶対的に必要で重要だと思っているのだ。シャシーからの情報が滞ると、レースでは制御系に多くの影響がでる。シビアに情報のやり取りがあってこそ、上位に入賞できる性能が引き出せる。エンジンばかりが優秀でも、シャシーだけが一人歩きしても、レースでは結果がでない。

それはマクラーレン側もホンダ側もわかっていたのに、「それを言っちゃーおしまいよ」的な気持ちが強く、チーム一丸となって・・・と言う状況にはなりえなかった。

でも今年は違う。トロ・ロッソと組んで、綿密に開発とテストが繰り返され、チーム全体の動きも素晴らしく、F1の記事を読んでいても気持ちがいい。傍から見て楽しそうにやっているチームは、レースでも結果が自然と付いてくる。なので、今年のホンダF1は楽しみなのだ。