研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2015年5月21日木曜日

コーナリングに強いクセを持つ、NC700Xのフロントタイヤをピレリ・SCORPION TRAILに変更して、問題を解決方向へ


NC700系におけるコーナリング(シビアではなく普通に角を曲がるときにも)の非常に問題となる曲がりこむクセは、これを乗りこなすライディングテクニック(テクニックというより、どう乗りこなせばいいかを気が付くことだが)は、それが出来ない人にとって、コーナーが怖くて、ワインディングがひとつも楽しくない、という現状が露呈する。

ネットで購入したピレリ・SCORPION TRAIL。ビッグエンデューロバイク用として開発したものだという。ドイツ製という表示がある
 
確かに、どのようなライディングスタイルなら、気持ちよくコーナリングを楽しめるのか、これを見つければ済むことなのだが、そう簡単な話ではない。

一言で言うなら、サーキットにおける排気量の大きなバイクを操るときの、半ケツ落しで膝を開き、ひじは突っ張らず、ハンドルを押さえないで、肩から入るスタイル。

このライディングフォームが自分のものになれば、楽しいワインディング走行となるのだが、しかし、それが出来る人は多くない。

先日のツーリングで、峠の頂上駐車場に、NC700Xを乗る若者が着たので「NCのコーナリングは楽しいですか?」と質問してみると、「コーナーでハンドルが切れ込んでくるので、それが怖くて、楽しくないです」という返事。

そこで、半ケツ落しのライディングで、ハンドルを押さえ込まないようにしながら、肩からコーナーに入るようなスタイルで、外側の足の太股でタンク(正式にはBox)を押さえつければ、自然にその足はフットレストを踏ん張ることになり、リヤが少しぐらい滑っても、振り回されることはないし、コーナーが楽しくなりますよ、と話しながら「よろしかったら、私の後ろについてきてもらい、どのようなライディングスタイルとなるか参考にしてください」、ということで、彼を引っ張って峠を下ってみた。

数十分後、止まって印象を聞いてみた。すると「あのような速度で片手運転でのコーナリングは、怖くて出来ません。しっかりと練習して見ます」という感想を述べてくれた。

このように、やはりXC700系のクセを御して乗る方が少ないことは明白。それを簡単に解決する手段は、NC750系に採用されているタイヤ、ピレリ・SCORPION TRAIL(スコーピオン・トレイル)に変更することである。

また、コーナリングばかりではなく、大型トラックが走ることで出来る轍跡の走行でもハンドルが大きくとられて、それを予見しながら走るのは疲れが溜まる。

どのような形でハンドルがとられるのか観察してみると、谷側(つまり低いほう)へ取られる(流れるとも表現する)のである。普通、このような路面状況であると山側に取られるはずなのだが・・・その理由は、タイヤの側面が強く当たることで、キャンバースラストが発生し、それは、山側にハンドルと持っていこうとする力が発生するからだが。

NC700系に標準装着されているBSタイヤは、ヒョットするとショルダー部分が柔らかく、それによる問題を引き起こす要因をNC700系が持っているということなのか。

ピレリ・SCORPION TRAILはドイツ製で、ビッグエンデューロ向けに開発したとある。BMWなどにあるバイクのことを言っているのだろうか。

フロントだけだがとりあえず交換して走らせると、タイヤ全体の柔らかさをハンドルへのショックで感じ取れる。更に、これは当然の用件なのだが、コーナリングでの巻き込むクセは大幅に低減。

更に、轍におけるハンドル流れも非常に少なくなった。普通に走らせられる状態なので、ツーリングバイクとしての性能は向上したと言える。

もちろん、半ケツ落しのライディングにも耐えることは、NC750DCTの1000km以上にわたる走行で確認できているので、疲労の少ないバイクに変更できたのがうれしい。

NC700系をお乗りの方で、コーナリングが不安定で楽しくない、と感じている方は、タイヤ交換の機会にぜひピレリ・SCORPION TRAILを選ぶことをお勧めしたい。ただし、まだ高価である。フロントの120/70ZR17で、ネットで安く購入しても22000円ぐらいはする。

2015年5月4日月曜日

不定期連載:数式を使わない、クルマの走行安定性の話・11/17


FWD車のフロントアライメントで、トーをアウトとする絶対的な理由

ヨーロッパ車における素晴らしく高速直進性のいいFWD車で、なぜそのようになるのか、これまで考えても見なかったが、あるとき、イタリアのフィアットを整備していて、とんでもなくおもしろい状況を発見した。それは、バックするとフロントの車高が低くなる現象である。前進方向では、この逆でフロントは持ち上がる。

なぜこうなるのかを考えながら、ホイールを外してみると、サスペンションアームに秘密があった。ストラットのそのサスペンションは、ロアアームが一見Aアームに見える。しかし、よく観察すると、そのアームは2本が組み立てられており、接合部にはゴムブッシュを使っているため、前後方向への自由度が非常に高い。

加速では前側にスピンドル軸が移動しようとする。しかし、ホイールアライメントのトーを僅かにアウト方向とすることで、タイロッドによりホイールは、トーがそれ以上アウトにならないよう規制を受け、その結果、フロントサスペンションを引き下げるような働きになり、速度を出せば出すほど、フロントは沈み込む力が加わり、高速安定性が高くなる。

この作用を無視して、フロントのトーをニュートラルかイン側にすると、非常にみっともないスタイルで走行することになる。つまり、タイヤの前側がつぼまる力を出すことにより、フロントは大きく浮き上がろうとするからだ。

高速道路で安定しやすい1代目、2代目ゴルフも同様で、アライメント屋で日本車のようなトーに調整されてしまうと、街乗りでは日本車のようにナチュラルでも、高速道路になると、ふらふら状態で、これも当時の日本車のごとくである。さらに、センターコンソールへ入れてある小物が、スタートの加速で手前に滑り出る。つまりフロントが大きく持ち上がっているのである。

ところが、このようになるゴルフでも、フロントのトーを僅かにアウトとすることで、高速安定性の素晴らしいヨーロッパ車へ戻るのである。もちろん、コンソールから小物は滑り出ない。

このようなことから、我が家にあるクルマは全て(息子のクルマも)、フロントホイールのトーを僅かにアウト側にしている。FWDではない、スズキのエブリイでさえ、昨年末の車検時にテスター屋さんでサイドスリップを計測したとき、スリップ量はアウト2mm(規制では±3mm)だったが、これは計算していたこと。

RWDでさえ、僅かにフロントのトーをアウトとすることで、走行安定性が高くなる。もちろん高速走行ばかりではなく、加速、制動時にも同じことが言える。