その光景はテレビで放映されたのだが、いくら軽量でトルクが素晴らしくても、普通の状態であの火山灰地は登坂できない。
そこでトヨタが考えたのは、リヤホイールの外側にもうひとつのホイールを取り付け、そこにロープを巻きつけ、巻き取るロープにより無理やり引き上げる、と言う方策。
ロープがその取り付けたホイール一杯になると、いちいち巻きついたロープを解き、再度ホイールに取り付けて、巻取りを開始し登坂すると言う行為を、延々と繰り返していた。
この行為に要する時間はかなり長く、時間のロスが続いた。
それを見て『何で、キャプスターンドラム』形状のホイールとして、効率よく作業を進めないのか。まだ健在だった父親とそのTVを見ながら「何やってんだあいつらは」と言う言葉が飛び出した。
キャプスターンドラムは、大型船舶などを接岸させるときに見られるチョッと変わった形状の回転するドラム。
甲板などに取り付けられたキャプスターンドラムを見ていると、それを扱う船員の動きは、航海士の指令によって(或いは港側にいる関係者の指示により)、ロープを引いたり緩めたりして、少しずつ接岸させてから、別のロープで船と港を固定する。よく見るとその作動に素晴らしいものが見られる。
ドラムの形状は、中心部が細くなっており、そのドラムに2~3回転ほどロープを巻きつけ、ドラムが回転している最中に、ロープを引くと、ドラムに巻きつく力が強く発生し、ロープを引き寄せる。
また、瞬時に巻きつく状態を解除する必要が出たら、ロープを引く力を無くせばいい。
なお使用するロープは、綿を編んだソフトなもので、そのロープが船舶や関係者に接触しても、その接触した相手にダメージが加わらないものだった。
このキャプスターンドラムを使えば、いくら長いロープでも、巻き取る必要はないので、例えば、今回のように距離の有る登坂でも、用意されたロープの長さを短時間で効率よく使うことが出来る。
何故このような形状のドラムがあることを知らなかったのかは不明だが、知識以下の情報だったから、当時「どなたか良いアイディアを・・・」と、メッセージを出してくれていたら、的確なアドバイスが出来たのだが。
ついでに言っておくが、自動車評論家では、これらのことは知らないと思うので、聞くだけ無駄・・・