研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2016年3月26日土曜日

国土交通省が主催する“超小型のモビリティシンポジウム”に出かけてみた。しかし、後ろ向きの発言が多かった。前向き、法規改善に向けた取り組みに期待したが・・・


3月22日、東京国際フォーラムで行われた、国土交通省が主催する“超小型のモビリティシンポジウム”超小型のモビリティの成果と可能性、の会場に出かけて、国と自動車メーカー、サプライヤーの意見と考え方を聞いてみたが、質疑応答があるわけではないので、突っ込んだ内容は一切なし。これからどうする、どうすべきだ、というようなこともなく、ただ単に、「こうなってます」的な発表会(失礼)に過ぎなかったのは残念でしょうがない。

参加費無料という魅力は有ったが、内容は・・・。自動車メーカー、サプライヤーなどの関係者が多くいたが、はたして皆さん納得できる内容だったのだろうか。私にとっては内容が有ったとは思えない。あまりにもお粗末とは言わないが、もっと深い、内容の濃い話と研究内容を期待したのだが
 
現在、日本で購入するとなると85万円ぐらいになるようだが、これはその使用目的でもっと安く出来る。一律に企画した性能一杯を求める結果、高性能バッテリー(これが一番高価の原因)、高性能モーター(ここでの要求はトルクが少なくて良いということではない)の開発と採用がコスト高を招いている。

どうすればコストを下げられるのか、三菱がアイミーブを発売した当初にも提案したことだが、それは、走行性能を使用者のニーズに合わせて盛り込むこと。つまり、高性能・高価格のバッテリーは要らない。モーターや駆動系も同様で、そこそこ走ればいい。

となると、製造コストが安い(高性能ではないが十分に使える)地域、国で開発製造された、製品を組み合わせれば販売価格は下げられる。更に、製造メーカーは重要保安部品を組み付け、コストの高い部品はDIY、或いは街の修理工場で組み付けられるような構造で設計・製造すれば、当然販売価格は抑えられ、暇でしょうがない地方の修理工場も少しは利益を生むことが出来るだろうし。

大手の家電販売店でも、この超小型のモビリティを販売すれば、ディスカウント販売も可能となる。

超小型のモビリティについて、イギリスでの話が出ていた。年間15万台も製造販売しているという。

イギリスなど欧州では、家庭用電気が200V以上であり、充電というシステムで、日本よりやりやすい。ただし、日本でも電気温水器を取り付けている家庭(3線単相は200V)。更に、全国に散らばる農家では、動力線としての200V(動力線なので3相)があるから、意外に地方のほうが充電インフラは整うのが早いかもしれない。

で、イギリスの話だが、日本と大きく違うのは、道路運送車両法保安基準の適用方法と社会的背景。

とにかく、保安基準に適合していれば(TVでトピックとして出てくるベッドが街を走るシーンなど)、自作したバイクやクルマも正式なナンバープレートをつけて走行できる。つまり、木製のシャシー(古くは木製のフレームが正式な自動車として販売されていた事実もある)を使うクルマもOK。極端な話し、ダンボールだってOKとなってしまうのがイギリス。

例えば、今でこそバイクにおいてもヘッドライトのようなものを取り付ける規則が出来ているが、数十年前までは、夜間走行しないのならヘッドライトは不要、という規則になっていた。もちろん方向指示器やテールランプ、ブレーキランプも不要。バックミラーも要らない。ホーンは、100円ショップで売っているような、ラッパでOK。

当時のトライアルバイクでは、点火用の発電システムは装備していても、それ以外の電源用のコイルは装備していなかった。ただし、ガソリンタンクはFRPでの販売は不可で、コンペティションバイクではアルミタンクが採用されていた。

DIY王国というとアメリカを想像するが、実はイギリスであるということを認識して欲しい。ホームセンターやDIYショップ、カー用品店に行くと、日本では考えられないようなものが販売されているばかりではなく、素晴らしいアイディア製品が多くみれれる。

日本であると、新しい企画のもの(この場合にはバイクや自動車)を作って、実際に街で走らせようとなったとき、そのような乗り物のカテゴリーが出来ていれば、それにあわせて造られているかどうかの判定をして、許可が下りるのだが。そうでない場合にはとても大変。

実績がない状態であると、まず特区を作って、使用するに当たり問題が出ないかの検証を数年にわたり行った後に、やっと国は腰を上げる。これを何とかして欲しい。

こんな格好のいいEVが街の中を走っていたら、誰もが振り向くだろう。但し、販売価格が大きく問題となる。それが解決できれば販売は延びるのだが・・・
 
また、モーターの出力が大きくなると軽自動車扱いとなる(2人乗りは原付の範疇だが4人乗りとなると)。つまり、車検、重量税がかかる。ランニングコストが上がるし、めんどくさい。

車検は必要という気持ちもわかるが、EVとなると定期交換部品はほとんどない。エンジンオイルない。冷却水ない。ブレーキは回生での制動が高いので、ライニングやパッドはほとんど磨耗しない。ここの磨耗がないということは、ブレーキフルードの劣化も進行が遅い。更に、高速走行がないとすれば、ブレーキフルードの沸点に対する制約も強くいらない。足回りの部品に磨耗は出るだろうが、2年に1回の車検でなくても十分に交換サイクルは伸びる。

車検までの間に走る距離を考えたら、ガソリン車の5分の1ぐらいだろうから、それに合わせた、超小型モビリティ専用の車検システム、重量税のあり方が大切に思う。

2016年3月1日火曜日

NC700Xのフロントフォーク作動フリクションを低減させ、乗り心地を改善する改良


テレスコピックスタイルのフロントフォークを採用する日本車では、一部のBMWのような形式のものと違って、走行中におけるフロントフォークの摺動フリクションは多い。

そのため、小さな衝撃では、サスペンションが作動する前に、バイク全体がその衝撃を受けて、ライダーにショックが伝わる。特にフロントブレーキを使うと、軽く制動を与えている場合でも、テレスコピックには捻る力が加わるため、その分フリクションが増える。

オフロード系のバイクであるとサスペンションストロークが大きいため、インナーチューブとアウターチューブ(ボトムケース)の接触間隔が大きい分だけ、制動時のフォークに対する入力が分散される結果、ロードバイクよりもライダーに対する衝撃は少ないようだ。

そこで、この作動フリクションを少しでも低減して、乗り心地を確保する作戦を立てた。

どのようにやるかについては、あるサスペンションメーカーの、広報の方から伺っていた、インナーチューブのバフ掛けである。

硬質クロームメッキがされているので、当然ピカピカで、表面は滑らかに見える。それでも、徹底的にフリクションを少なくするということから、そのメーカーには「名物おじさん」がいて、とことんインナーチューブにバフをかけるらしい。

同様なことをNC700Xに行ってみることにした。万が一失敗(バフ掛けの最中に重要な部分に傷をつけるなど)したときのことを考慮し、オークションで左右のフロントフォークを購入。

ただし、NC700Xには仕様によってスプリングの長さなどに違いがある。私のバイクはローダウンなので、その諸元から同じものであることを確認して購入。

作動油を抜いてからカラーとスプリングを取り出し、さらにインナーチューブ内の作動油を再使用するため、しっかりと容器に移す
 
バイクから左右のフロントフォークを取り外したら、ボトムケース下にあるフォークソケットボルトを取って、作動油を排出。これでインナーチューブが限界まで引き出せるため、バフ掛けによる有効なストロークが増える。

後は、自宅にある双頭グラインダーの片側をバフに交換(使うので常にバフが付いている。交換したときにはバランスを確実に取らないとグラインダーが暴れて作業性が落ちる)して、研磨剤を塗りつけて作業開始。

見た目にも光り輝いてきたので、これにて終了。バフ掛けに要した時間は1本当たり40分。もっと磨いてもいいのだろうが・・・

双頭グラインダーの片側にバフを取り付け研磨剤を時々塗布しながら、片側40分かけて研磨した
 
組み立て、作動油の量を確認調節。多すぎると、作動したとき内部の空間が不足し、その分空気圧の反発となって、作動量が低下する。少ない場合には、伸びきったときに減衰力がなくなるのだが、そこまで低下することはない。

組み換え後のテスト走行はまだやっていないが、気候が良くなってきたので、そろそろ・・・。結果が出たときには、またレポートしたいと思う。

NC700Xだけではなく、その後のNC750Xでもフロントフォークのフリクションについては開発側も気になっていたようで、最近マイナーチェンジされた同車では、フロントフォークの作動性を向上させる改良が加えられた。どう変わったのか、機会があれば試乗してみたい。