研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2013年6月26日水曜日

ホンダN-BOXのブレーキオーバーライドとアイドルストップの関係に結論が出た

 結論から先に言うと、開発者の緊急脱出・事故回避に対する想定が甘く、数字的な性能優先が先走った。これを見直さない限り、ブレーキオーバーライド(ブレーキ優先制御)状態で停止するようなこととなった場合、リスクを背負い込むと考えられるので、くれぐれも注意して、ブレーキオーバーライドとならないように、ブレーキペダルを踏んだまま、アクセルを数回踏み替え、ブレーキオーバーライド制御をキャンセルさせることが必要になる。

でも、言うのは簡単だが、実際には半分パニックのなかで、冷静な判断により、どのような行動がベストなのか見極めるのは無理だ、と断言しておこう。

ただし、これはアイドルストップしないターボ仕様では関係ないこと。もちろんN-ONEも同様である。

このブログをアップすることになった経緯は、昨年(2012年)11月19日のブログで、N-BOX(アイドルストップ付)のブレーキオーバーライドとアイドルストップの関係がおかしいことを表記したら、1ヶ月ほどしてホンダ広報から一通の文書が届いた。実際には、RJCカーオブザイヤーの最終確認テストデー(ツインリンクもてぎ)で、そこにいた開発者二人(どの部分の開発だったか不明)に同乗してもらい、ブレーキオーバーライドとアイドルストップの関係がおかしいことを、再現し確認してもらってもいたのだ。そのときのブログはこれ
http://aonikike.blogspot.jp/2012/11/blog-post_19.html

届いた文書の内容は、公表すると書いた本人の名誉に関わりそうなので、あえて発表しないが、基本的には、私、青池の感覚がおかしい、と言うことのようだった。

これを黙って見逃すわけには行かないので、ある人(元ホンダOBのお偉いさん)を通じて、その文書を担当に突きつけてもらい、「青池が文句を言っている、そのことに対する返事を・・・」とやってもらった。

その結果が半年以上経った6月末に届いたのである。

それによると、「お説のように、ブレ-キオーバーライド状態で停止すると、エンジンはアイドルストップしてしまいますが(12月の文書ではアイドルストップはしないといっていたが、少しは自社の制御を理解してきたのか)、ブレーキペダルから足を離し、再始動で0.3秒かかっても、1秒後には他社製品より速度が出ていますから、問題ありません」と言うのだ。

正直、この話を聞いたとき、思わず「何だそれ」と言ってしまった。1秒後の世界ではなく、それより前の状況がどうなのか、と言うことだからである。

アイドルストップさせ、そこから再始動を0.3秒でやっても、その瞬間から動き出すわけではない(この動き出すと言うことが重要で、事故回避につながる)。トルクコンバーターが回転し、そこから動力が伝達され、そして始めて動き出す。

アイドルストップさせていなければ、トルクコンバーターは作動中であり、ブレーキペダルから足を離せば、直ぐに動き出す。

この僅かな、0.3~0.5秒の時間があれば、数十センチ、いや数メーター前進することで、車両の側面衝突から回避できる可能性はあると判断する。

更に、「常にアイドルストップさせることで、JC08走行モード燃費は向上することから、停止したら、アイドルストップさせる」、と言う考え方が重視された結果であると言う。

燃費と事故回避、どちらを優先させなければいけないのか、考える必要はないと思うが。

2013年6月21日金曜日

充電式ドライバーなどに使うバッテリーを、手軽に入手できるものと交換する

 充電式ドリル・ドライバーやインパクトレンチでの問題は、バッテリーが劣化したときのバッテリー購入コストである。なんとバッテリーパックを定価で購入すると、同じ性能(公称だから確かではないが)の安物が、スペアバッテリーと充電器付のフルセットで購入できてしまう、と言うとんでもない状況が起きる。

メーカーが安売りすればいいと思うのだが、リビルドをやってくれるメーカーであっても、その価格はバッテリー定価の半分ぐらい。当然5000円以上かかる。これじゃ~やってられない。

そこで、同じようなバッテリーを購入して入れ替えてしまう、と言う工作をするが、品切れだったりすることもあり、思うように進まない。
充電式ドリル・ドライバーなどに使用されるバッテリーは、少し前(時間的に今劣化が起きる)のバッテリーはニッカドが主流で、N-1300SCRやKR2000SCなどが多い。これが入手できれば、後はバッテリーパックの分解にチャレンジし、バッテリー間を接続するためのステンレス半田ができれば済むのだが、そう簡単な話ではない。

まず、どのようにバッテリーがレイアウトされているか、そして、その配線はどこを通ってどのバッテリーに接続されているか、しっかりと写真でも撮って記録するか、論理を理解して組みつけに備えることが重要。

また、異状な温度上昇を検出するセンサーも付いているので、それの位置はともかく、バッテリーにしっかりと貼り付けることを計算する。

で、ここからが本題。これらのニッカドバッテリーが手に入らなかったらどうするか。

ハタと気が付いた。同じような長さの単四バッテリーで、ニッカドではなくニッケル水素が使えないかということ。
ニッカドと寸法比較すると、工夫次第で組み込むことが可能と分かる。容量はこれまでのものより多くなる計算だが、3本を並列に繋ぐため、個々の性能差があって計算どおり行かないが、これまでより少なくなることはないはず

単四に限らずニッケル水素バッテリーは、100円ショップで販売されている。これを利用する。

寸法を測ってみると、ニッカドのN-1300SCR(KR2000SCも)ほぼ長さは単四と同じで、ニッカドが42mmほど、単四は44mmだが、プラス側の出っ張りを除けば42mmの寸法だから、ハンダ付けの位置を出っ張りの側面にすれば長さの問題は解決。

肝心の容量だが、KR2000SCで2000mAh、N-1300SCRはかなりの急速充電に耐えるとは言っても1300mAhだから、これらを上回る容量は欲しい。

100円ショップのダイソーブランド単四ニッケル水素の容量は750mAhであるから、これを3本束ねて使用すればこれまで以上の容量となる。計算上は2250mAhだが、それぞれのバッテリーの性能差(公差)があるので、この数字にはならないが、十分な性能は確保できる。

3本束ねて(写真は単四のアルカリだが、ニッケル水素とサイズは同じ)の直径はニッカドより1mm小さいので、ケースの収納は可能だ

さて、3本を束ねたときの直径はどうであるか計測すると、KR200SCなどでは22.5mmで、単四を3本束ねるとその直径は21mm。十分収納可能だ。

ニッケル水素バッテリーやニッカドバッテリーの外装はステンレスなので、それに対応したハンダでないと、瞬時に接続できないのため、専用ハンダは購入する。ニッケル水素に限らず、ハンダ付けで高温となるとバッテリーが劣化するのだ

適当なコード(バッテリーの配置があるので必要最低限の長さが重要)で各バッテリーを接続したら、ショートしないように絶縁体などを使って処理し、バッテリーケースの中に押し込み、無理やりでもいいから蓋を閉めて、場合によってはビニールテープで固定すれば終了。
バッテリーをケースに押し込むときには、必 ず絶縁板などを挟むことは重要
これは、電動ラチェットレンチに使われていたニッカドを、ダイソーブランドの単四ニッケル水素9本で蘇らせたもの。性能はこれまで以上で、とりあえずの問題は何もない

後は充電して、正常に動作するか確認するだけ。なお、充電中の温度と、バッテリー間でのショートには十分以上に注意して、自己責任で改造して欲しい。


2013年6月2日日曜日

試乗会で見つけたとんでもないクルマたち その③

とりあえず今回で終了予定のとんでもないクルマたち。最後となるのは、世界的なメーカーであるT社の有名なコンパクトカーV。

そのVが新しいコンセプトの元に発売されたときの試乗会。1000cc4気筒のエンジンは、ボアピッチなどが同じベースエンジンがあるため、型式からそれとなく分かってしまうと言う状態で、手抜きとは言わないが、「新型エンジンと言うなら、その新型らしさを取材しよう」と言う目的で、案内のあった試乗会場へ出向き、AT仕様を試乗して、戻ってきたときに、そのおかしな行動が目に入った。

当時はまだパワーステアリングの動力にエンジンからベルトで油圧ポンプを作動させ、その油圧によりステアリング操作をアシストすると言うもので、ごく当たり前のシステムだったが、その当たり前のシステムに問題のあることを見つけてしまった。

何が問題かと言うと、Dレンジに入れ、ブレーキペダルから足を離し、ステアリングを切るとエンジン回転が異常に上昇する。

このように、エンジン回転を上げるのは、エアコンなどの負荷が加わったときにも同様なことになるのだが、油圧パワステにおいても、負荷が加わるわけで、エンジン回転が低下しすぎないよう、アイドルコントロールバルブが作動し、回転数を保つようなことは当然行っている。

それが、この新型コンセプトモデルVでは強すぎるようで、クリープ走行しながら、ステアリングを左右に素早く切ることを繰り返すと、そのつどエンジンは回転数を上げ、速度が増していく。

令間時始動の直後ではアイドルアップをさせる必要があるので、回転数は高く保たれて当然だが、試乗会では、常に完全暖機状態であるのは当然のこと。

このことを、エンジン開発者に告げると「いや何かの操作ミスです、そのようなことは絶対にありません」と言うので、「では同じクルマで確認してください」と試乗を促し、20分以上その場で行ったり  来たりを繰り返し、試乗車から降りてきたときには、汗びっしょり。

「おっしゃるとおり、アイドル回転数が高くなりすぎて、暴走に近い状態が生じています」「コントロールプログラムのミスですから、書き換えれば直ります」

で、肝心な「エンジンについての取材をしたいのですが」、と言う申し出に対し「いや、今日は勘弁してください」と別室に逃げ込んでしまった。

気分は完全にブルー

私に指摘されたことが真実であったため、かなりのショックを受けたのだろう。

システム的に理解のできる人間で、いろいろな運転方法も自由にやれる試乗者なら、見つけられる事柄なのだが、これも、左足でのブレーキ操作が自由に使えないと、数十分乗っただけでは発見できないだろう。

そういえば、メーカーは違うが、あるクルマの試乗会で、左足でのブレーキ操作をもっとやりやすくして欲しい、と言う要望に対して、「左足でブレーキペダルを踏んでいると、マニュアルミッション車には乗れないでしょう」、と言ってきたので「でも、サーキット走行ではトゥ&ヒル使うんですがね~」と言ったら、その後何も言わず、話を聞くだけだった