研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2012年7月20日金曜日

オレのと違うな~実験結果が

自動車火災の発生が多いことを踏まえて、国土交通省は「適正な交換が必要で、それを守らないとエンジントラブルから、火災に繋がる」と発表した。

確かに適切なエンジンオイルの交換は重要なことであるし、オイルレベルについても定期的に調べておくことも必要だ。

原因は、「エンジンオイルが入っていても、ストレーナーなどが詰まり、潤滑不足から焼きつき、シリンダーブロックの破損となり、オイルが噴出し火災となる」、と言うのである・・・

それを実証する実験の結果を発表した。

実験のやり方は、ストレーナーの吸引口を90%以上塞ぎ(1/16開口)、潤滑不足を作り出しての走行実験。オイルは適正の量が入っている。

暖機後に時速20キロで走行させたら、9分後にエンジン破損でオイルが噴出し、白煙を噴いたが火災には至らなかった、というもの。

白煙を噴いた原因は、コンロッドが折れたことによる、シリンダーブロックの破損で、オイルが噴出したことによる。

ここで「違うな~」となるのである

これまで、エンジンオイル無しでどの位走行できるのか、と言う実験を数多くやってきた者にとって、時速20キロでの走行では、数時間走行して、別のトラブルで停止、と言う状況しかない。

まして、国土交通省の実験では少量でもオイルは回っているし、エンジンの回転数は1000回転ぐらいだろうから、吸引されるオイルの量も少ないはず。或いは十分な潤滑量と言えなくもない。

コンロッドが折れると言うことになるには、かなりの回転と負荷が加わっていなければ起きない話であるし、折れる前にピストンが焼きついて停止する。

我々がやってきた実験では、エンジン内部の磨耗状況にもよるのだが、クランク周りであると、メタルが焼きつき、それを無理やり回せば、メタルが溶け出し、ベアリングキャップの破損で停止に至る。

または、カムシャフトが焼きついて停止。タイミングベルトを使っているエンジンでは、そのベルトが切れて停止。

その状態のエンジンを分解してみると、ピストンとシリンダーは僅かに引っかき傷があり、軽い焼き付を発生したことがわかる。

クランク周りのメタルについては、熱による溶け出しが僅かにある。

でもカムのジャーナル部分は、全てに焼き付き跡がある。

新品のエンジンでもなければ、簡単には焼きつかないし、コンロッドが折れることもない。さらにオイル交換をやらなかったエンジンでは、そのことによるオイルスラッジが多量にあり、それが潤滑の役目をするので、軽負荷では焼きつくまでに時間がかかるはず。冷却水まで抜いてあるのなら別だが。



2012年7月18日水曜日

その後のスバル1000スポーツはどうなった?

2010年10月24日にアップしたブログには、スバル1000スポーツに1300Gのエンジンを載せて、クラシックカーを楽しんでいる友人がいる、と言う記事を書いたが、その後、オリジナルのエンジンに戻した、と言うので訪ねてみた。
これが完全に再生された昭和43年スバル1000スポーツ。登録ナンバーは、当時と同じ番号を選んだ。もちろんクラシックカーイベントでは、フロントだけ当時のナンバーを貼り付けて、若き日への郷愁を誘う 

 すると、昔懐かしいと言うよりも、記憶がはっきりとしない状態の1000スポーツエンジンが確かに搭載されている。ソレックスのツインキャブでCVタイプ。インテークマニホールドこそ1000スポーツのものではないが(オリジナルは鉄製だが、アルミが付いていた)、それ以外は1000スポーツ。
楕円形のエアクリーナー。ツインキャブの証でもある。非常によく再生されたエンジンは、その部分だけ鮮やかだった 

 エンジン再生をその筋のプロにお願いしたと言うこともあり、シリンダーブロックやヘッドはサンドブラスト処理がなされ、新車時以上に(知らないが、おそらく)きれいな状態。

 エンジンを始動させると、1300Gを載せていたときとは違うサウンド。それは当然で、排気量ばかりではなく、エンジンそのものから発せられる独特の音と、アクセルを踏んだときのレスポンスの良さなど、普通のセダンとは明らかに違う感触。

 点火系はどうしたのか見れば、以前、私が手を加えたウルトラ(永井電子)のセミトランジスター点火に、同社のシリコンコードはそのまま使っていた。
エアクリーナーを外すと、ソレックスのツインキャブが現れる。点火装置は以前、私が手を入れた状態で使われていた。ウルトラのセミトランジスター点火システムとシリコンコードだから安心していられる 

 ディストリビューターなどはどうしたのか聞いてみると、それまで使っていた1300Gのものだという。

 これは正解、と言うよりも、それを使った方が安心。なぜかというと、このディスビも、私が作動不良を見つけ、修理していたものだからだ。バキュームアドバンサーやガバナ進角、ポイントカムなど、一通りメンテしたのである。

 ボディ塗装などには痛みも見えるが、再塗装せず、このままにして、歴史を語れる方がいい、と言う話をしているのだが、一方では、きれいに塗装しなおした方が見栄えがいいので・・・と言う方もいるようだ。でも私は賛成しかねる。

2012年7月13日金曜日

ホンダNC700X・ツーリング主体として開発されたバイクだが、どこかチグハグな感触がある

これまでとは100%違う設計思想により開発されたエンジンを搭載し、更にガソリンタンクがシート下に移され、これまでのガソリンタンク位置には、フルフェシスのヘルメットがすっぽりと入ってしまうBoxを装備する。こりゃ一度乗ってみる必要がある、との判断でホンダ広報より拝借して、数百キロ走ってみた。

確かに便利なニーグリップ部分のBox

 NC700Xと言う名称だから、エンジンの排気量は当然700cc。そして前傾並列2気筒。ここまではどこにでもありそうなエンジンだが、内容は大きく違う。ひとつはクランクの角度が270度であると言う点。ただし、このクランク角度のバイクは、既にヤマハが市販している。

 270度と言うクランクは何ぞや、と思うだろうが、燃焼間隔の違いに現れる。つまり360度であるなら等間隔燃焼だが、それ以外の角度は、不等間隔燃焼ということになる。180度クランクも、2気筒では不等間隔燃焼となるが、更に進んでそれを270度としたものもあるのだ。
高回転高出力というこれまでのホンダイズムから脱却し、実用性を重視したエンジンを作り上げた。確かに走る感覚は楽しく、鼓動にあふれている。270度と言うクランク角度は特別の意味合いがありそうだ 
 
 このようなエンジンを既に市販しているヤマハのサイトには「360度や180度クランクでは、左右のピストン位置において、どちらかが下死点なら隣のピストンは下死点か上死点。つまり、クランクに対して上下に動くものが、左右同時に停止する瞬間が出来る。これは運転するライダーとして、心地の良い振動を打ち消してしまう」とある。

そこで、常にどちらかのピストンを動かしておき、「躍動感を持たせて、運転する、アクセルを開ける楽しさを呼び起こすようにした」と言うようなことが書かれていた。ヤマハのモトGPマシンも同様な工夫がされているというのだから恐れ入る。

 ただしホンダはその270度クランクだけにとどまらず、左右シリンダーのバルブタイミングまで変えて、更に鼓動を強調するバランサーの装着までやって、小気味良い加速時の息遣いを強調している。
新しい思想により開発されたNC700X。フレーム構造を見るとまるでビッグスクーターの様である。ガソリンタンクはシートの下、その前にポッカリと開いたスペースはヘルメットも入るボックスが付く 

 そんなバイクだから、エンジンのフィーリングは、バイクの素晴らしさを理解できるライダーにとって、とても気持ちの良い状態であることは確かだ。
リヤフェンダーとタイヤのクリアランスが大きいのも最近のデザイン。もう少し詰めれば足付き性が向上すると思うのだが。全体のイメージからすると、やはりホイールの径が小さい。その影響は出ている 

 ギヤを入れ、アクセルをほとんど開かずとも、トルクを使える状態としたエンジンは、これまでのホンダ車とは一味もふた味も違う。ス~と動き出しグスグスという鼓動を尻の下から、背中から感じさせ、レスポンス良い挙動を見せる。

 それはまるでシャフトドライブのバイクを操るかのようで、駆動系に余分なバックラッシュを持たず、ギヤをシフトした瞬間から、すぐさま駆動が伝わり、加速状態となる。

走り出しからギヤチェンジの瞬間まで、全ての領域で鼓動が楽しめる

 グスグスと言う加速時の鼓動は、なんともたまらない魅力を持つものだが、「それを味わって欲しいと言う」、なんていったところで、その鼓動の魅力とは何かを知らない人物に、「味わえば分かる」と説明しても、万人が理解できるものではないのが残念なところ。
一番の特徴は、何と言っても普通ならガソリンタンク部分にあるボックス。フルフェイスのヘルメットが入ってしまう容量があるので、当然ツーリングで使う用品を収納するには十分。身軽に見える形でスマートにツーリングできる 

そして5速、6速となると、エンジンは2000回点以上回しておく必要に迫られる。それは、270度クランクと言う構造的なものなのか、1シリンダー350ccと言う排気量が影響するのかわからないが、とにかくギクシャクして走りにくい。

 ただし、高速道路を100km/hで走行(3000回転ほど)中でも、そこからアクセルを開ければ、小気味良いグスグス振動が尻から伝わり、なんとも言えない味わいを楽しめる。この状態が、かなりの速度まで続くのは、うれしい限りである。

 加速・減速時の上下動も、ギクシャクした感じはなく、常に動力が路面に伝わっているようで、全てにおいてダイレクトな感触を持つ。ただ、ツーリングを主体とするバイクとした場合、もう少し柔軟な感触が欲しくなる。つまりそれは優しさであり、優しければ疲労は少なくなるからだ。
排気量が700ccであっても、コンパクトにまとめられているため、フロントスタイルはスリム。もう少しカバー類があってもいいのではないかと思う 

 ところで排気量が700ccあって、シリンダーは前傾並列2気筒となれば、シートの高さは低いと言うか、足付き性がいいだろうと想像するが、これは違っていた。表現は悪いが、シートが広いために蟹股スタイルとなり、シートは低くてもバイクを支えるときの足の置き場に苦労する。身長180cm近いライダーが乗ってこの状況だから、小柄な方では大変だろう(後日、シート高を30mm下げたモデルが追加された)。
でっぷりとしたシート。スポンジのストロークは少ない。故に足つき性が十分ではない。足を着くときに邪魔となるシートの肩部分は、ライディング中に接触しないところだろうから、改良の余地はありそうだ 

 それでも救われるのは、極低速走行でのバランスの良さである。エンジンやクラッチが、左右に大きく出ていない分、偏りがないので意外なほど走りやすい。それは250ccのシングルより優れていた。

 速度を上げていくと、俗に言う「立ちが強くなる」ことはなく、ほとんどニュートラルの雰囲気があるが、それは、どうやらフロント周りからきているようだ。つまり、フロントのタイヤ径を小さくし、ヒラリ感を強くしたことが影響していると考える。

 ヒラリ感についてはいろいろな意見があるが、何処を走らせるのか、どの目的で走るのか、誰が(年齢も)乗るのかまで盛り込んで決めないと、一部での性能は突出しても、全体として理解できない性能(性格)が浮き出てくる。

 高速道路など直線での走行は問題ないが、峠ではその性格が露出する。それも素晴らしいとはいえない状況で、この性格は、どう見てもサーキット用、としか思えない。つまり、かなり構えてのライディングを要求される。

どのような場所を楽しく走らせるバイクなのか、目的がチグハグで分からなくなってしまった

 ツーリングスタイルとなれば、普通はリーンウイズ(バイクとライダーの傾きが同じ)で、周りの景色を見ながらコーナーを楽しむだろうが、このライディングスタイルであると、どうも不安感が強くなりリラックスできない。

 ではどのようなライディングスタイルならいいのかというと、それは、しっかりと構えてコーナーへ入るスタイル。尻を内側へ少し落とし、同時にひざを開き、腕は突っ張るように曲げて、低い姿勢から目的の方向を定める。俗に言う肩から入るスタイル。これはサーキットの走り方で、周りを楽しむ余裕など出ない。
 
極端の例で言うと、あるコーナーをツーリングスタイルで走行した場合、不安を感じる速度が80km/hだったとすると、構えて乗ることで100km/hでも不安がない。当然この速度では景色は楽しめない。「ナンダこれ」と思わず声に出してしまった。
ガソリンはリヤシートを開ければキャップがある。よく観察すると、ヘルメットホルダーもあるのだが、使いにくい。また、二人分必要だろう 

 また、フロントのタイヤ径が小さいということは、路面の小さな凹凸を吸収する能力がないため、一般道では常に小さな衝撃がハンドルとシートの前方に入る。これも疲労に結びつく。やはり優しさがツーリングバイクには求められる。辛くても速ければいい、と言うスポーツバイクとは違うのだから。

 そして、このセッティングだからだろうが、下りのコーナーをアクセルオフ状態で曲がると、ハンドルが切れ込んでくる。下りでもアクセルを開けていればその症状は出ない。どのようなときでもニュートラルステアがツーリングバイクでは当然と思うので、疑問を感じる。
エンジンは当然インジェクション。触媒も装備するが、2気筒という構造から来る鼓動を強調させるため、クランクはホンダ初となる270度を採用。更に左右シリンダーのバルブタイミングを変更し、発生する燃焼圧力差によるアンバランスをうまく利用。バランサーの構造で問題を解決しながら、気持ちのいい鼓動を引き出した 

 更に気がついたのは、フロントブレーキの使いにくさと言うか、効かせるレバーのフィーリングが十分ではない。確かに剛性感はしっかりとあるのだが、剛性があればそれでいいというわけではない。剛性感を出す前に十分な制動があればそれに越したことはないわけで、ソフトなレバータッチがあって、それでいて強力に制動する性能が求められる。

 これだけの重量があり、かつキビキビ動くバイクには、スッと握って、しっかりと制動がかからないと、止まる位置を行き過ぎてしまう。サーキットのようなところを走るのなら、ガツンというブレーキを掛けることが多いので、この性格でもいいのだろうが、一般道では千差万別、それに対応できるもの造りが欲しい。

 同様に、チェンジペダルの設計も、ペダルストロークを小さくし、その分フットレストに近いため、シフトアップでは爪先を突っ込むような角度にしなければならず、シフトがやりづらい。あと10mmほどフットレストから離れていれば問題ないのだが。試しにペダルの高さ調整をしてみたが、幾分良くなったものの解決しなかった。
コンパクトにまとめすぎたチェンジペダル。スポーツ走行用ならコンパクトでシフトストロークが少なくてもいいが、ツーリングや普段では、シフトのしやすさが重要。せめて後10mmほどフットレストと離れたところにペダルがあれば、納得できるのだが。高さ調整では解決しなかった 

 また、操縦性などには関係ないことだが、エンジン回転リミッターの効き方にも問題がある。回転計はバーグラフ式で6500回転からレッドゾーン。どのような感じなのか2速ギヤで引っ張ってみると、レッドゾーンに入ったとたん、いきなりエンジンがストール。リミッターというより、エンジンキルスイッチが作動したような感触で、強い減速感を伴うため、危険な挙動を生じる。もう少し穏やかなリミッターが欲しいところだ。
 
 最後になったが、気になる燃費の素晴らしさ。郊外の大きな渋滞がない条件でのことだが、何と平均燃費33km/Lと言う数字を記録した。高速道路を主に走行したら、これ以上の数字が出ることは確かだ。

2012年7月3日火曜日

イギリスの道路工事で交互通行指示は中間に立つおばさんが持つボード

 これは道路工事で片側交互通行に関すること。日本では、工事区間の前後に赤/白の旗や赤色の誘導灯を持った人が、一人ずついて、旗や誘導灯を振り回して、止まれだの、進めだのとよくわからないアクションで、クルマや人を誘導している。その振り方は決まりがないので、勘違いすることも多く、事故や喧嘩になることすらある。
 
で、イギリスはどうなっているか。かなり前経験したこと、それは、文字で表現する。つまり、裏と表にGO/STOPと書いた大きなボードを掲げているのである。100mぐらいの距離では一人のおばちゃんが、絶妙にクルマを裁いている。

 交通量が多いところでは、裏と表にGO/STOPの表示だけでは、切れ目のない通行状態であると役に立たないが、GO側に対してSTOPに変えられる構造を組み込めば、双方向ともSTOPを表示出来るので、トラブルにはならない。

そんなことより、文字を見てはっきりと誘導する人の意思がわかることが大切で、これがあると安心して通過出来る。日本でもこれはまねをして欲しいものである。

 クルマに乗っていると、何やら意味不明の情報はうれしくない。誤解を招くだけである。そういえば、北海道を走っていたときのこと、ブラインドコーナーの途中で「この先道路工事中・速度落として」というボードを持ったおじさんがいた。わかりやすい。安心して減速を開始する。

一般道でも速度の速い(スピード違反)北海道ならではのことなのだが、現場監督さんが偉いのだろう。これが、他の地方のように意味不明?の旗を振っていたら、たぶんほとんどの人は減速しない。そして、いきなり工事現場に出くわし、あわててブレーキ、追突寸前で止まる。ダレが悪いの?

 クルマと人を捌く場所でも、このような文字での誘導は必要になる。STOP/GOでは味気ないので「進んでください/止まってください」と書いたボードを提示すれば、気持ちよくそれに従えると思うのだが、誰か道路工事の現場でやってみて欲しい。イギリスでこの状態に出くわしたときには、何の違和感もなく、素直にそれに従えた。