研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2018年6月25日月曜日

アウトボード・モーターボート用エンジンにもディーゼルがあった


2018年、今年パシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展」で、ディーゼルのアウトボード・モーターボート用のエンジンが展示されていた。クルマではないのだが、興味が持てる。同じアウトボード・モーターボートエンジンとしては、スズキが展示していたが、これは昨年の東京モーターショーで発表されていたもの。

パシフィコ横浜に展示されていたものは、日本のヤンマーが関係するもので、排気量804cc、2気筒直列、ターボ付き、コモンレール。そして、振動低減を目的にしたデュアルカウンター回転クランクシャフトでバランスを取っていると言う話。
 

デュアルカウンター回転クランクシャフトとはどのようなレイアウトなのだろうか、興味が持てるが、調べてもよくわからない。普通に逆転する配置に同じ質量の回転体を設け、それをギヤで逆回転させるように設計すれば、回転変化の反動トルクもなくなるし、当然振動も低減できる。

この構造とすることで、エンジン振動の低減だけではなく、アクセル開閉時に起きる反転するトルクがなくなるので、ハンドル操作が素直になり、操船性が向上すると言う。
 

クランクとしてではないが、バイクの世界では、すでにホンダが数十年前からクランクと逆回転させるクラッチ、ミッション軸を設け、完全に反動トルクをキャンセルしている。GL1800(それ以前のGL1000も)などがそうであるが、あえて反動トルクを僅かに残すような設計も有る。

ホンダであるとGL400やGL500、BMWも最近の高性能モデルでは、これまで以上に反動トルクが強くなることから、縦置きされた(ホンダも同様)クランクシャフトの下側に、クラッチを持って来て、それをスパイラルギヤで逆回転させることで、反動トルクを低減し、快適性と高性能を達成させた。個々のバイクによって設計が違うので、この説明が全てではない。

それはともかくとして、アウトボードエンジンにも4ストロークで大排気量の高出力型が主流(2ストロークの水中排気。排気ガスに含まれるエンジンオイルの問題から。スイスとドイツに跨るボーデン湖規制が有名だった)になった。それまでは4ストロークと言えばインボードエンジンやインボード・アウトボート(スターンドライブ)のような大掛かりなものが当然のように言われてきたが、装置そのものが大きく搭載性やメンテナンス性が悪いため、アウトボードエンジンに主力が傾きつつあるようだ。

アウトボード・モーターボートエンジンに4ストロークが当然になったことで、モーターボートエンジンも大きく様変わりした。ただし、このエンジンにはかなりのノウハウがあるようで、最初のうちは、アメリカの大手モーターボートエンジン・メーカーでも、日本からのOEM製品を販売していたのだ。

4ストロークのアウトボード・モーターボートエンジンは、日本のホンダが最初ではないはず。今から50年以上前にアメリカの(ホームライトとか言うメーカーだったと思う)メーカーが販売していた。当時は、その性能があまりにも低かったため、ユーザーからも受け入れてもらえず、いつの間にか消えたのだが、その後にホンダが同様なエンジンで発売したときも、性能的に、重量的に受け入れる土壌はなかった。当時を振り返って・・・

1964年にホンダが発売したGB30と言うエンジンは、4ストローク単気筒、171cc、4psで空冷。汎用エンジンのG30を流用したもので、ベルトドライブだから、カバーを取り外すと、現場での動力源に使用できると言う設計だったのは評価できる。

2018年6月23日土曜日

自動ブレーキのテレビCFに対して、よく警視庁や警察庁がクレームを出さないな


各車(全車ではない)で、最近の新型車、マイナーチェンジモデル車に、当然のように取り付け採用を始めた自動ブレーキ。

これ絶対に作動すると言う根拠はなく、有る機関での検証では30%ほど作動しなかったと言う事例も有る。

それより問題としたいのは、テレビCFで「よそ見運転をしていても、万が一の時にはブレーキがかかります」と言う表現や「ボーッとして運転していても大丈夫」、と言うような表現で、その魅力をアピールしている。それって、良いことなのだろうか。

重要なことは、あくまでも緊急時には・・・であり、これらの表現では、いい加減な気持ちで運転していても大丈夫、と言うような感じで捉えられる。

よそ見運転、不注意運転を助長しているように思えて仕方がない。警視庁、警察庁は、この実態を知っているのか、或いは無関心なのか。何か大きな問題に発展する前に、対策を打っておく必要はないのかな。

2018年6月13日水曜日

ニッサン・セレナe-POWERの回生制御で、バッテリー充電重視の快適とはいえないプログラムに疑問


ニッサンは、エンジンで発電機を回し、そのエネルギーによりバッテリーへの充電や走行用モーターを駆動することで、クルマを走らせるシステムを構築し、手始めにノート(ノートe-POWE)でそれを達成。燃費性能と動力性能、クルマ購入のコストバランスの点からかユーザーが増えた。

確かに結果としてはそうなるのだが、果たして快適にドライブが楽しめる穏やかな回生状態なのかと言うと、とてもそうは思えない。特に最新のセレナe-POWEの回生制御がすごいことになっていると感じる。

何がすごいと言うのかと言うと、アクセルを戻したときのクルマの慣性力を利用する回生(この力をバッテリーの充電に使う)ブレーキである。ベーシックなガソリンエンジン・マニュアルミッション車のエンジンブレーキに相当する減速状態で、確かにクルマを減速させることについては、非常に有効で、慣性力を生かしたことはハッキリとわかる。しかし・・・その強い減速状態が乗員を不快な思いにさせる、と言っても過言ではない。

この制御にはノーマルモードとe-POWEドライブと言う2つがあり、さらにe-POWEドライブには加速力の異なるSモードとECOモードがあり、希望走行状態を選べることになっているが、問題は加速力などではなく、減速時(アクセルを離したとき)の回生ブレーキがどのような強さで、更にその回生状態がどの時点で作用し始め、最大となるのは何時なのか?である。

e-POWEドライブを選択すると、アクセルから足を離したとたんに急減速。体が前のめりになるほどに強い。バッテリーへの充電を重視してのプログラムなのだが、いくら燃費を良くしても、快適性が失われたのでは意味がない。

どのような感じなのか例えを考えてみたら、例えばMT車で2速走行しながら速度を高め、60キロぐらいになっていきなりアクセルを離したときの強いエンジンブレーキ。これで不快に感じない乗員はいないだろう。

そして、このような状態になることを嫌うドライバーは、その強い減速が起きないようにドライブしようとすると、アクセルペダルを踏み込むときには、いつものクルマと同じでいいのだが、アクセルペダルから足を離すときには、それこそサーボモーターでの制御のように、スムーズにバランスよく右足の向うずねに神経を集中させながら(この操作はかなり足が疲れる)力を抜いていかないと、乗員(運転手も)を不快な思いにさせてしまう。

では、普通のCVTエンジンモデルと同じような制御だ、と言うノーマルモードではどうなのだろうかというと、バッテリー残量が少ない状態だと(メーターがあるので判断できる)回生制御が、強くはないが働いて、アクセルペダルから足を離したとたん体が前方へ持っていかれる。それでも、バッテリーの残量が80%以上になると、さすがにオナカ一杯になるようで、回生制御はほとんどなくなり(普通のドライバーだと、その違いには気付く人は少ないだろうが・・・)、これなら合格の制御と言える。でもこれだとバッテリーへの充電が思うようにならないのである。

ノーマルモードでは、恐らくバッテリーへの回生充電が十分ではなく、燃費に大きく影響するのだろう。だからといって、アクセルを離したとたんに最大に回生充電が開始されるのは、快適とはかけ離れた状態。走行速度とバッテリー残量、クルマの総重量(その時々で変化する)により、どの減速タイミングから回生量を大きく立ち上げ、それによりスムーズに減速させることで(例えばMT車であればいきなりクラッチを接続させるのではなく、エンジンブレーキを有効に使う場合でも、エンジン回転の上昇具合と減速の状態を考え、クラッチを繋ぐのだから)、ドライバーに負担をかけないような制御が求められる。燃費さえよければそれで良いんだ、と言う人にはどうでも良い話だが。

また、走行性能には関係ないが、走行時の静粛性が高いことは賞賛に値する。ただしその理由の解説をしているレポートがどこにもない。防音材を多用したからという言う話だけではなく、大きな点は、ボディの床下に配置したモーター駆動用のバッテリ-によるものであると言うこと。バッファーが大きくなったので、走行騒音と振動はここで減衰するのである。
一部の騒音対策みたいな状態となり、そこばかりが静かでも、もぐらたたき状態で、別なところからの騒音が目立つので、対策が大変だったと言うが、エンジンからの騒音(特に加速騒音)対策から比較したらたいした話ではないと思う。