研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2018年8月28日火曜日

2020年のパラリンピックについて、競技の知名度を上げれば観客が増えて入場券が売れる、と言う気持ちでいるように見えるが、果たしてそれだけで・・・


パラリンピックに対する知名度は確かに低い。でもそれが、競技会場に観戦に来る人が少なく、入場券が売れない、と言うことに結びつくので、知名度の低い競技を重点的に取り上げ、テレビでの企画を行っている。果たしてそれだけで十分なのだろうか。

競技会場に入場券を購入して、足を運ぶ方の、そのめんどくさい、でも行きたいという力はどこから来るのだろうか。

全ての競技(モータースポーツも)に言えることだと思うが、それは、話題の中心となる人物が要るかどうかなので、そのような人物を探し出し(あるいは意図的につくり)大々的に取り上げることだと思う。早い話が、今のF1はどうなのだろうか、と考えた場合、日本人のヒーローがいない。だから観客もサーキットに足を運ばない。TVでもろくに放映しない。悪循環となって話題がなくなり、雑誌も新聞もTVも報道しない。

これでは注目度は急勾配で下降する。人気がないから何をやってもダメと言う判断は間違いだと思う。人気は競技そのものだけではなく、そこに登場する人物、チームにも向けられているはず。

パラリンピックで話題の中心となると、その競技と言う話ではなく、そこに登場する人物や使用する機器に焦点を当て(特に認知度が低い競技)競技と共に紹介するような企画をTV局や雑誌、新聞で作り、言ってみればヒーロー的な状態で、一般に浸透させることだ必要ではないかと考えている。

モータースポーツで言うと鈴鹿8時間耐久レース。観客動員数は昔ほどではないが、根強い人気を保つ。その理由のひとつはチームの応援、ライダーの応援に尽きると思う。その強さが、高い入場券を購入し、更に東京から(東京だけではない)それを見に出かけるエネルギーとなる。

ライダーやチームに魅力を感じるから、強い欲望が生まれて行動力に結びついていると考えてもおかしくない。

現在人気のスポーツ(オリンピック、パラリンピックに限ったことではない)でも、最初観客はパラパラ。人気のミュージシャンであっても、地道な努力の積み重ねで現在が有る。そう考えると、集客力の裏側には、人=ヒーローの力が大きいと判断して見たがどうだろうか。

2018年8月18日土曜日

小さなクロカン・ジムニー なのに挙動の穏やかさを感じさせるのはなぜだろう


軽自動車と言う枠にあって、クロカンというジャンルを独り占めにしてきたジムニー。そのジムニーがフルモデルチェンジしたわけだが、開発に込められた並々ならぬ思いが伝わってきた。

住宅地でもなんとなく溶け込んでしまうジムニー
今回の試乗では残念ながら、オフロードそれもハードなコースでの走りはなかったが、舗装路の凹凸が激しいところでの安定性は十分に確認できた。また、走行中の振動(特にシートバックから背中に伝わる部分)、ノイズ、更にサウンドとも申し分なし。ただしこれは試乗車がMTの場合であって、ATは1500ccのジムニーシエラしか試乗車が用意されていなかったので、同様であるとの確認はない。

操縦性や静粛性、安定性が高くなった理由は、Xメンバーの変更やクロスメンバーなどを追加したラダーフレーム(これによって捻り剛性は1.5倍向上したという)に有るが、そこにはフレームとボディの接合部に使われるゴムブッシュの形状見直しも関係する。

3リンクのサスペンションは現場での改造が出来ないのが残念
補強されたラダーフレームは良いことばかりだった
 
唯一気に入らなかったのは、サスペンション形式で、リジッドでもいいからリーフスプリング式が良いのだが。と言うのも、3リンク式リジッドであると、横力を確保するためラテラルリンクを必要とし、そのリンクがサスペンションを大きく作動させたとき、ボディを左右に振り回す動きになってしまうからだ。

また、スプリングがコイル式であると、簡単に車高調整が出来ない(一部規則違反になるが)。リーフリジッドであると、シャックルピンのところにある取り付けプレートを長いものに変更すれば、現場でも簡単に車高調整が出来る。ただし、最低地上高の調整は無理。

ステアリングギヤボックスはリサキュレーションボール方式。ラック&ピニオン式は昔から採用できなかったが、それがまたいい方向へジムニーを引き寄せた
 
また、滑りやすい場所でのトラクションを確保するため、ブレーキLSDやトラクションコントロールは全てのクラスに標準装備されているのはうれしい。ただし、ブレーキLSDはレスポンスに遅れが生じるため、ハードな場所を走行する機会があるのなら、OPのヘリカルギヤ式トルセンデフLSD(リヤのみ)を組み込むべきだろう。なお価格は組み込み費ともで(本体価格79920円)11万円を超える。

走り出してビックリしたのは、そのレスポンスと更にスムーズで力強い加速性能。これまでのジムニーと比較したらビックリである。過渡特性が良いのは、ターボとのマッチングも大きく関係しているだろう。どのような手法でこの性能を手に入れたのか試乗後に開発者に聞いてみると「エンジンがこれまでのK6Aから、ワゴンRなどと同様なR06Aとして、ロングストーロークになりましたから」と言う話。また、最大トルクの回転数とその特性も変わって、実用領域でのトルクアップが効いているという。数字上では先代エンジンのほうが僅かだがトルクは大きいのだが、それがレスポンスとの関係から言うと、新型エンジンのほうがフリクションが少ない分、加速力にも優れると言うことになる。
トランスファーはAT・MTのどちらにも装備される。MTのシフトフィーリングも大きく向上した
こちらの画像はジムニーシエラAT。実は左足でのブレーキ操作がやりにくい。ステアリングシャフトが邪魔してブレーキペダルの正面に足を持って来られない。左角を踏みつける形になり、操作性が悪いのである


価格の安さにも驚く。これほど走破性の高さを確保しながら150万円以下からの設定だからだ。ベース価格が安くても、必要と思われる装備を付けると、思わぬ価格になってしまう、と言うのが軽自動車でもあるからだ。製造コストはセダン系あたりよりかかっていると思うのだが、それを払拭している。これほど込み入った機構と性能を確保しながら、魅力ある価格に出来るのは、ジムニーの歴史そのものから来るのかもしれない。

社会人になって初代ジムニー(LJ10)を新車で購入し、360ccと言う排気量から来る走行性能を納得しながら、河川の土手(道になっているところ)などを走り回ったが、その登坂力とコンパクトな造りは、動力性能以上のものを感じさせた。

フロントウインドウを前方に倒し、風をもろに受けながら40キロぐらいの速度で走らせるとき、隣に座らせている愛犬も満足げだったことが思い出される。最高速度は70km/h以下であるし、直進性も良くなかったから、のんびりと走らせる以外になかったのだが、現在のジムニーはかなり違うようだ。