研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2011年5月17日火曜日

フィアット500ツインエアってどんなクルマだ

フィアット500に2気筒モデルが戻ってきた。でも、搭載されているエンジンはアッとビックリするツインエアの900cc。ツインエアエンジンは、吸気バルブの開閉に油圧を使うところに特徴がある。

カムシャフトから駆動されるそれぞれのプランジャー式油圧ポンプは、アキュムレーターを持ち、途中に有るソレノイドバルブを制御して吸気バルブの開閉タイミングを自由に取ることができるもので(バルブスプリングは使っている)、バルブとピストンがぶつからない範囲で急激なバルブ開閉も可能であるため、エンジン性能ばかりでなく、排ガス性能にも大きく貢献する優れものだ。

もちろん自由にバルブのリフト量も変更できることから、スロットルバルブを持たない構造として、エンジンレスポンスと燃費の向上に寄与している。

考えてみれば、スロットルバルブを持たないということは、吸気バルブの裏側には常に過給圧か大気圧が掛かっているわけで、アクセルペダルを踏み込んだ瞬間に、次の燃焼に必要とされる空気が入り込む形となるため、燃料の噴射量に合わせた空気量を瞬時に取り込めることから、HCの発生も少なく燃焼に関して一瞬の遅れも生じないと言うことになる。

このエンジンは、自然吸気ではなく小型のターボチャージャーを装備する。もちろん小排気量エンジンで不足するトルクを補うためであるが、ツインエア機構との協調制御は素晴らしく、過給圧が高まる、ということは微塵も出さずにごく当たり前に鋭い加速性能を発揮する性格だ。

そして、500ツインエアのミッションは5速ギヤAT(セレスピード)である。シングルクラッチを電子制御しながら、シフトチェンジするのだが、新しいモデルとなるたびにシフトアップ時の加速G変化が少なくなり、アクセルペダルを軽く踏んで、そのまま保持するように穏やかな運転では、ギヤのつながりに違和感など変化は見られず、エンジン回転と振動の変化を感じるだけでアップシフトしていく。

アイドリング近辺では少しメカ的な金属音が混じっていたが(クランク後端で1/2逆回転するバランサーのギヤ音かもしれない)、それもほんの少しアクセルを踏んだときから、一切のメカノイズは消え綺麗なエンジンサウンドのみが残る。

特に全開加速を行うと、まるでBMWの水平対向エンジンバイクに乗っているかのような、ズズズズ~ンという穏やかで力強いサウンドと、これまた応えられない振動(いや鼓動といったほうが良いだろう)を味わうことが出来る。BMWのボクサーエンジン(水平対向)を知っているドライバーには、たまらない感触だ。

このフィアット500ツインエアには、アイドリングストップ機構が採用されている。2気筒(等間隔燃焼の360度クランク)ということもあり、停止寸前のときの振動は大きく、再始動時も同様な振動が有るのは致し方ないところだろう。

また、再始動から発進可能な回転までに、僅かだが他の4気筒モデルと比べ、時間がかかるのも止むを得ないことかもしれない。特に左足ブレーキを使用するドライバーでは、ブレーキペダルを離した瞬間からアクセルを踏むので、発進までのギャップに違和感を覚えてしまうことになる。

パワー走行ばかりでなく、最先端の燃費走行用ECOボタンがインパネ上に慎ましく付いているが、これを使うとかなりおとなしい走りと、穏やかなハンドリングになる。例えば、アクセルを少し踏んで、ゆっくりと発進させた場合、1速から2速へのアップシフトは通常より700回転ほど低い。2000回転でアップシフトし、2速になると1200回転ほどだから、2気筒エンジンでは駆動系のノッキング限界。2速へ入った瞬間はドドドドドという排気音と軽い振動を伴っているが、別に悪いことではない。

2気筒モデルだからといって、走行中の騒音を蔑ろにしていないのは、うれしい限りである。エンジン音やエキゾーストサウンドを、ロードノイズで邪魔されないのは、走らせる喜びがいっそう高まる。

ロードノイズが室内へ侵入しないよう、リヤのタイヤハウス内にはインナーフェンダーを装備している。チッピング処理よりインナーフェンダー取り付けのほうがコストは安いとも思えない。最近はコンパクトカークラスとなる日本車でも(スズキのスイフトでは)、リヤのタイヤハウス内へインナーフェンダーを取り付けている。そのため非常に静かである。同様なことが行われているのだろう。


1.外観はこれまでのフィアット500と大きく変わるところはないが、どことなく精悍さが加えられた。

2.お洒落なスタイルは日本車にはない優しさがある反面、一旦アクセルを大きく踏み込むと、その走りはイタリア車そのものに変貌する。

3.エンジンルームには、ターボ付きの2気筒が収まる。900cc2気筒だからと侮れない性能は、魅力がぎっしりと詰まっていた。

4.搭載されるエンジンがこれ。2気筒360度クランクだから等間隔燃焼。アイドリング近辺ではバランサーギヤからと思われるメカ音が出ているが、少しアクセルを踏めばその音は消える。
          
5.ツインエアエンジンの特徴である吸気バルブの駆動方式は、エキゾーストカム側に設けられた、それぞれ専用のカムによるプランジャーポンプが油圧を造り、アキュムレーターに蓄圧させながら、電磁バルブの開閉で吸気バルブを押し開く。バルブスプリングの使用で、自由な開閉タイミングを選べるばかりではなく、開閉量の制御も可能なことから、スロットルバルブレスのシステムも採用している。

6.ダッシューボードの左には、申し訳なさそうにECOボタンがある。これを押すとギヤシフトのタイミングが早くなって、穏やかな走りとなるばかりではなく、ステアリングの操作感も、アシスト量を増やし優しい方向へ変化する。

7.セレスピードのシフトレバーには、オートモードとマニュアルモードがある。マニュアルモードを使用すると、気持ちの良いシフトでそれまでとは打って変わったスポーティな走りが味わえる。

8.走行中の穏やかで力強い振動やノイズの少なさは、一部のエンジンマウントに鋳鉄を使うなど、これまでとは違ったもの造りが大きく関係していそうだ。

一週間ほどボランティア活動に参加した

「とにかくひどい、それ以外の言葉は出ない」。津波でやられた南三陸・志津川の市街地に入ったとき、思わずハンドルを握る手から力が抜けた。

ボランティア活動にもいろいろあるが、私が参加したのは、あの冒険ライダー風間深志さんが村長を務める地球元気村のベースキャンプ。行政からの支援はなく自給自足のキャンプ生活となる。

ユニークなのはバイクを使って、細かな御用聞きを行い、行政では出来ないボランティア活動をすること。

最初のうちは、「訳の分からないバイク乗りが来て走り回っている」、と警察に通報されたこともあったとか。それも今では笑い話になって、彼らの行動が行政を動かし始めた。

そのベースキャンプではボランティア活動の面倒を見る【マサとトキ】はすでに1ヶ月を超えるキャンプ生活。彼らの体力ばかりではなく、気力の強さにも頭が下がる。

ベースキャンプは、神割崎キャンプ場だが、あくまでも一部を使わせていただくだけで、電気は発電機を使い、水は飲料に適する近くの沢から持ってくる。トイレは森の中を数百メートル歩いたところのポットン式。当然電灯はないので夜中は行く気がしない。食事は自分達で作るのだが、ボランティア活動をさせてくれたお宅から時々差し入れがあるのは、地域密着型の活動をしているからだろう。避難所の生活より環境は厳しいが、何とか我慢できる。建物の中を使わせてくれれば良いのだが・・・

小さな集落の被災者は行政から見放された場所が多くある。そこへ出向いて瓦礫の後片付けを行った。後列左から2番目の青いベストを着用した方がボランティア活動を依頼された佐々木さん。なんとこの中には北九州からボランティア活動に参加した7名(女性6名)がいる。

ボランティア活動は作業に限ったことばかりではない。この日は、近くの避難所にいるお子さんたちを対象に、ご飯を食べるときに使う「箸を作る」工作教室を開催。材料はヒノキ。初めて使うカンナに戸惑いながら、マイ箸を作る子供たちのハシャギ声は、周りの大人達の疲れを吹き飛ばすに十分なエネルギーを放っていた。

海水に浸かってしまったバイクを見てくれないかという依頼があり、各部の点検を行うと、やはり時間の経過と共に海水はシリンダーの中に入り込み、更に配線のコネクターは腐食が発生していた。こうなるとエンジンのOHだけではなく、ワイヤーハーネスの交換やコンピューターの交換など、多額の費用が必要となる。バイクばかりではなく自動車も同様で、特に数多くのコンピューターを採用している現在のクルマでは、どうにも再生できない状態となるだろう。水没、即バッテリーのターミナルを外す、ということが出来たなら、或いは状況がもう少し良かったかもしれない。