研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2018年3月21日水曜日

レースで重要なことに気が付いたのか。だとすれば今年のホンダF1はこれまでより楽しそうだ


マクラーレンとコンビを組んで、全てでうまく進行せず、何のためにF1をやっているのかさえ、皆目検討が付かない状態が昨年末まで延々と続いた。その結果、レースを見ても(たぶんやっている方も)つまらない。そして、マクラーレンもホンダも、ただ単に契約期間が終了するまでの、消化事業を行っていたかのようにも思えるからだ。

その原因は、人間関係にあると見ている。というのも、それ以前にホンダとマクラーレンが組んでいた時代はうまく行っていたが、新しいシャシーの開発で、厳しくなったクラッシュテストを合格させるためのデザインで意見がわかれた。それは、コクピット開口部分の大きさについてだ。マクラーレンはドライバーの出入りが楽に出来るよう、大きな(と言ってもそれまでよりは小さいらしいが)開口を要求したが、ホンダが考える開口部分はもっと小さい。

もちろんシャシー設計製作はマクラーレンが担当だが、ホンダでもシャシー開発ができるよう、十分な技術を溜め込んでいた。こうなるとホンダ側からも意見が出てくる。

もしクラッシュテストに合格しなかったら、次の年のレース参加が危うくなる。それは避けたいので、ホンダ側は頑として譲らなかった。

その結果何が起きたのかと言うと、マクラーレンとホンダの喧嘩別れである。これは噂ではなく、数年後にホンダ側の当事者から直接聞いたもの。マクラーレンと喧嘩別れした翌年(?)には、ホンダが鈴鹿サーキットなどで走らせた、カラーリングが施されていない、真っ黒な(カーボンファイバーそのもの)F1カーを見た記憶のある方がいるだろう。これこそ、ホンダがホンダ自身で開発していた技術により作り上げたもの「ホンダだってやれば出来るのだ」と言うことを世界に向けて発進させたと言うわけだ。

その後、暫く経っての共同開発。ホンダとマクラーレンが手を結び、エンジンはホンダ、シャシー周りはマクラーレンが担当となったが、「これ、まずうまく行かない」と言うのが私の見立て。それは、マクラーレン側は、喧嘩別れしたときの親分である、ロン・デニスが陣頭指揮を執っていたからだ。

とりあえず紳士的に振舞っても、心の奥での感情はわからない。まして、喧嘩別れしたときの担当者はホンダを定年退職している。マクラーレンと喧嘩別れしたときの状況をホンダ側で知っている方はいるのだろうか。その当時の担当者(出来れば喧嘩した方)がロン・デニスと会って、「あの時はごめんなさい」「これからはしっかりと手を組んで戦いましょう」と言う会話を交わしていればともかく、それは、ない。(このことは当の喧嘩した本人から聞いた)

こうなると、マクラーレン側には蟠りが残っているわけで、力の限りマシンの開発にエネルギーを注ぎこむことはしないだろう。言い方は悪いが、適当に、ホンダよりお金を引き出し、契約期間にレースをやりつくせれば良い。と言う、浅ましい考え方がでてきたとしても不思議ではない。

エンジン開発、セッティングには、シャシー周りからの情報が絶対的に必要で重要だと思っているのだ。シャシーからの情報が滞ると、レースでは制御系に多くの影響がでる。シビアに情報のやり取りがあってこそ、上位に入賞できる性能が引き出せる。エンジンばかりが優秀でも、シャシーだけが一人歩きしても、レースでは結果がでない。

それはマクラーレン側もホンダ側もわかっていたのに、「それを言っちゃーおしまいよ」的な気持ちが強く、チーム一丸となって・・・と言う状況にはなりえなかった。

でも今年は違う。トロ・ロッソと組んで、綿密に開発とテストが繰り返され、チーム全体の動きも素晴らしく、F1の記事を読んでいても気持ちがいい。傍から見て楽しそうにやっているチームは、レースでも結果が自然と付いてくる。なので、今年のホンダF1は楽しみなのだ。