研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2018年10月4日木曜日

ATFの交換方法 その4  究極の交換方法がこれ、そのやり方をレポートしてみた 


その②で書くべきことだったのだが、忘れていたことがある。それは、メルセデスに搭載されているATには、トルクコンバーターに、ATFのドレンプラグが付いている(最近のものはわからない)。これを外せばトルクコンバーターに溜まっているATFを排出できるので、交換率はかなり高くなる、と言う話。

もうひとつ、それはレベルゲージの見方。HOTとCOLDの刻印がゲージの先端についているので、完全にエンジンとAT本体が冷えているときに新油を注入する場合、COLDの刻印で注入量OKの判断をしてしまうが、この刻印はあくまでも目安であり、正しくは60分ほど走行させ、完全暖機の状態で点検することが必要。

交換方法としては、外部のポンプを使った強制循環で交換と言う方式も有るが、これは多量(正確には知らないが20~30リッター位らしい)のATFを使って、強制的にATFをAT内部に押し込み、循環させることで新油とするもの。それだけ聞くと問題ないように見えるが、実は強制的に高圧のATFを流し込むことで、それまで各部分におとなしく溜まっていたスラッジが浮き上がり、AT内部に漂うこととなって、その後ジャダーの発生(スラッジのボールベアリング効果から発生)などのトラブルに結びつくので、やらないほうが良い。ただし、ジャダーなどの発生は6ヶ月を過ぎたあたりから小さくなる。(これは、再びスラッジが落ち着く場所に落ち着いたからで、それでもATリビルダーはトラブルと評価するらしい)料金も多量のATFを使用することから、かなりの額になるようだ。

交換の方法をいくつか試しても、暫くするとATFの色が、きれいな赤ではなく、どす黒い状態になっている、と言うことであると、これはATそのものを完全に分解して、内部の洗浄を行い、更にバージョンアップされた一部の部品を交換するなど、完全にリビルドしなければならないのが普通だが・・・

この状態のATであると(走行13万キロ)、走行中にセレクターをDからLなどに動かし、エンジンブレーキを強く利かせるようなことをすると、そのときに発生するショックはかなり大きく、壊れてしまうのではないかと思うほど(経験から)。

でも、いくらかでもベストな状態に近づきたいと言うのであるなら、私がやったように、ATのオイルパンを外した状態でエンジンを始動し、ATFのフィルターから新油を吸引させATF交換を行う方法がベスト。

使用するATFは純正品。容量としては8~12リッターぐらいだろう。さらに、ATのオイルパンも剥がすので、組みつけに使うパッキン(或いはシーラー)も購入。そして、バルブボディに取り付けられているATFのストレーナーも購入(再使用してもいいが)。ストレーナーには銅パイプをハンダ付けする必要があるので、そのための銅パイプ(ホームセンターで売っている)も購入。ついでにそのパイプへ取り付けられるビニールホースも必要。

取り外したオイルパン内部をバルブボディや磁石など、金属の破片がないことを確認したら、バルブボディに取り付けられているATFのフィルターを取り外す。その目的は、フィルターの状態確認だけではなく、ATF吸引口にホームセンターで購入した銅のパイプをハンダ付けするため。よって、ハンダ付けが完璧に出来ない方には無理の作業。もちろん自身でなくとも知り合いに頼むと言う方法もあるが・・・

銅のパイプをハンダ付けしたフィルターを元の位置に取り付け、そこにビニールホースを接続し、その反対側をATFの入った缶に差し込む。

なお、AT本体のオイルポンプは吸引能力が高くないので、リフトに載せて高い位置での作業は出来ない。リジットラックで固定するぐらいの高さで行う。

AT本体の下側には、オイルパンよりも大きい受け皿を用意し、エンジンを始動する。ATFを吸引し始めたら、アイドリング状態からATのセレクターをDレンジとし、更に新油を吸引させるのだが、セレクターを動かしたら、素早くアクセルを軽く踏んで、60キロぐらいに速度を上げる。するとAT内部のほとんどの通路に新油が流れ込む。

吸引させている新油がなくならないうちにアクセルを離すと、アキュムレーターに溜まっている古く汚れたATFが「ゴボゴボ」と言いながら排出される。この汚れたATFが問題なので、コレを見届ける必要がある。

8リッターほどのATFを使用してこの作業を行えば、AT内部の各所に新油が送られるので、ほとんどの場所でATFが入れ替わる。
 
オイルパンを外してエンジンを始動させる、ということに違和感があるだろうが、ウエットサンプのエンジンだって、オイルをクランクケースの下に有るオイルパンに溜めているだけなので、それは便宜的にそのような構造としているだけで、そのオイルパンがなくても、ストレーナーからオイルが吸引できるような状態としておけば、これも普通に回して差し支えないのだ。