研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2020年10月11日日曜日

池袋の事故で、被告とTVコメンテーターに言いたいことがある

これは被告だけではなく、TVに出ているコメンテーターに対しても言えるものだ。

 

それは、いくらアクセルがトラブルを起こして、戻らなくても(フライバイワイヤーなので、機械的にスロットルバルブと連結していない)、ブレーキペダルを踏めば、クルマは停止状態まで持ってこれると言うこと。

 

踏力が足らなくても、速度をそれ以上にしない状態にはなる。或いは、少しずつでも速度を低下できるはず。また、プリウスの場合(トヨタ車の多くは)、ブレーキブースターは吸気管に作用するバキュームではなく、油圧ポンプによるブースターなので、いくら多くブレーキペダルを踏みつけても、ブースター能力が低下することはない。

 

そして、ブレーキの性能は、エンジンの出力よりも勝っているのであるから、速度が上昇することはない。

 

このあたりをTVコメンテーターはしっかりと説明して、視聴者を納得させる必要があるのだが、なぜそこに至らないのか不思議でならない。

2020年10月8日木曜日

ホンダとトヨタがF1のコンストラクターをやっていたとき、ケチをつけに担当者のところへ

今でこそ、当然のことが、当時は「それでいいの?」と言う内容の開発と目標が実しやかに発表されていた。

その内容は「完走を目標にする」ということで、トヨタでは記者発表のたびに言っていたのだ。

 

完走を目標にしたら完走できるデータを得られても優勝できるデータは得られないので、いつまでたっても優勝はない。エンジンの一部が破損しても、それを元に開発を進めれば、いつかは優勝となる。海外のレースをやるチームでは、当然のように「完走なんて要らない」、と発言していたのだ。

 

完走目的で走らせば、それ以上の結果は出ない。優勝出来そうな走り方をすることで、エンジン周りにトラブルが発生したら、そのトラブルが出ない改良をやる、それを繰り返せば、いつか優勝できると言うのだ。

 

そこで、トヨタの発表会のとき「いつまで完走目的にするのですか」と言う質問をするつもりで、質問時間に手を上げたのだが(当時の社長も、私が手を上げ続けていることがわかり、司会者に対して、しきりにアクションを起こしてくれていたが、広報が決めた人以外、指名されることはないと分かったので、終了後に、素早く開発責任者(以前からの顔見知り。グループCのエンジン担当もやっていたので)のところへ飛んで行き、「いつまで完走を目標にするのですか。それだと優勝に結びつかないのですが」と言ったところ「そうなんです。ですから今年から攻めにせめて、優勝目標のデータを集めます」と言う話をしてくれた。

 

そばにいた、他の記者さんたちも、この質問と開発担当の話は、レースと言うものに対する目標として、十分に参考となったはずだ。

 

その日の午後にはホンダがF1の新しいエンジン発表会を行うと言うので、そこにも出かけた。

 

当時のホンダ技術研究所の社長(後に本田技研工業の社長となる)は、10年以上も前から取材などでいろいろと関係があった方。基本的にはバイク開発の責任者を努めたので、そこからのつながりは深い。

 

一通りの説明の後、記者からの質問となるが、難しいこととなると、質問は出ない。

 

そこで、「福井さん、完走は要らないですよね。あくまでも優勝狙いのデーターが必要ですよね」と、傍から見ると、とんでもない質問を大勢の前で声を大きくして言ったもんだから、周りは一瞬静まり返ったが、次の瞬間「その通りです」と、福井さんの返事に、他の記者さんたちは、納得してペンを走らせていた。

アーア

2020年9月24日木曜日

トヨタが試作した2ストロークエンジンについてケチをつけた16

トヨタがポペットバルブ式2ストロークエンジンを試作したことがあったのをご存知だろうか。当時は、2ストローク開発が盛んで、スバルが開発していたのはポペットバルブではなく、バイクエンジンのようにシリンダーに開いたポートで吸気と排気のタイミングを取るもの。

もちろんスーパーチャージャーを装備し(クランク室の1次圧縮がないから、過給装置は絶対に必要)、クランク室はウエットサンプで、オイルリングが取り付けられているのは当然。 排気タイミングも重要で、当時バイク(ヤマハのYPVSとかホンダのATACなど)でしっかりと開発が進行していた構造を採用した。しかし、実験で造ったのは1シリンダーモデル。これでやれると思い、4気筒としたら、排気タイミングの機構が動かない。

更にクランク室のオイルが燃焼室に入り、排気煙がひどいばかりではなく、アイドリング回転も高くて普通に走行できる状態ではなかった。 そんな状況は、実際にそのスバル2ストロークを研究所に取材に出かけていたので、目の前で見ていた。単気筒試作エンジンを造った方と、その実験結果をマルチシリンダーに使って設計した方が違っていたのは、不思議なことだった。

原因は、各シリンダーの熱が、他のシリンダーにどのような影響を与えるか、と言う考えに及ばなかったこと。「聞いてくれれば教えてあげたのに」と、開発者に申し上げたが、失敗作扱いで、すでに開発は終了していて・・・

話は代わって同時期に、トヨタが試作した2ストロークエンジン試乗会での性能を、フリーライターから聞いて「どのように設計したのかを想像できた」 その性能は、とにかく回転が上がらない。動くことは動くが、走ると言う表現は使えない。回転計を見ると2000rpmが精一杯、と聞いていたので、おおよそ見当がつく。

そして、その年のモーターショーにそのエンジンが展示されていたので、開発者を捕まえて、かなり強烈な質問を浴びせた。 「このエンジンは、ヒョットすると、4ストロークと同じように、吸気側のバルブが大きく、排気側が小さい設計ですね」と言ったものだから、その担当者は「その通りです、よくわかりましたね」と言ってきたので、「いくら過給しているからといって、その過給圧で排気と掃気を考えた場合、吸気バルブと排気バルブの開口面積は、4ストロークと同じに考えたのでは、ただ始動できるだけのエンジンとなって、中身がないでしょう」、と言ったものだから相手は少しビックリ。

バイクエンジンのように1次クランク室の過給圧を利用して、掃気と排気を行えれば、それに越したことはないが、ポペットバルブを使用した2ストロークとなると、そんな理論は通用しない。

スーパージャージャーを採用して、その圧力により僅かの時間に開いている吸気バルブから空気を押し込み、僅かな時間に開いている排気バルブから排気ガスを押し出し、かつ、シリンダー内に新気となる空気を十分に送り込ませる必要がある。 吸気工程が存在しないと言っても過言ではない状況だから、それは非常に短い時間で完結させなければならないわけで、そうなると吸気側のバルブは小さくして(1シリンダー4バルブだったら、3ブルブを排気側とするなど)、過給圧を高くし、しっかりと空気を送り込みながら、掃気と排気を助ける設計が絶対に必要だからだ。

ここに行き着かなければ、2ストロークポペットバルブエンジンは実用化しない。 また、カムシャフトはエンジン回転数と同じに回転し、バルブの開閉もそれに合わせて、4ストロークの倍となるため、バルブそのものやバルブスプリング、リテーナーなどの関係パーツは、チタンなどの軽量素材を使う必要がある。 その後に他のメーカーが試作した同様な機構の2ストローク軽自動車のエンジンでは、ムービングパーツの全てをチタンとしたものが、モーターショーで展示されたこともあったが・・・

トヨタの場合、そのモーターショーには別の2ストロークエンジンが展示されていたと思う。排気量の小さな(600ccだっだと思う)2ストローク2気筒の試作エンジンで、スーパーチャージャーはルーツではなくリショルム式が採用されており、過給圧を高めてエンジンとしての資質に成功している。 この試作エンジンを搭載した試作モデルの取材申し込みにも広報を通さずに可能となり(後日話はしたが)、当時の東富士研究所に出向き、エンジン音や走行状態を見て、その完成度の高さに驚かされたが、やはり製造コストの問題が尾を引いており、量産化にはならなかったのは残念。同時期にヤマハも同様なエンジンの開発をやっていたと言う記憶があるが、取材していないので詳細は不明だ。

2020年9月17日木曜日

2ストロークエンジンに耐久性がないという話は、真実なのだろうか?



今でこそ、排気ガスの関係で2ストロークのクルマやバイクは市販(レーサーは別)されなくなったが、それまでにも言われてきた「2ストは耐久性がない」と言う話は、真実なのだろうか。

なぜそういう結論を出したのか少し考えてみると、勘違いが多くあることに行き着いた。

結論から言うと、2ストロークのほうが耐久性は高い。それは、常に新しいエンジンオイルが供給されているから。また、発熱量も小さいため、熱による歪も少ないので、潤滑オイルに負担が掛からないことも耐久性に影響している。

では、なぜ2ストロークは耐久性がない、と言う話がまことしやかに叫ばれるようになったのだろうか。

それは、エンジンの造り方と組み立て方、使用するオイルに潤滑方法などが関係している。

分離給油(ヤマハが最初)が出てくるまでの潤滑は、ガソリンとエンジンオイルを混合する、混合方式。15:1から始まり30:1などにグレードアップしたが、いずれにしてもオイルとガソリンの混合方式であると、エンジンに負荷がかからないアイドリングから、急な坂での登坂と言う、エンジンにとっては過酷な状況の中でも、決まったオイルの混合比でまかなうということになる訳で、エンジンに負荷が少ない領域では、未燃焼のオイルはカーボンとなり、エンジン内やエキゾースト周りに堆積する。

この溜まったカーボンは、走行中にホットスポットとなるばかりではなく、排気ガスがスムーズに排出されないことで、排気の熱がエンジンに溜まり、オーバーヒートから焼き付きという結果を招く。

では、なぜ2ストロークは・・・となってしまったのだろうか。それは、そのエンジンの造り方が間違っていたからだ。

研究者の経験が間違っていたとしたら、どうなるのだろうか?その間違いは「2ストロークはどのように造っても耐久性はないし焼きつきも起こしやすい」というようなことで、これがそもそもの間違いと言える。

2ストロークの構造的な問題は、シリンダーに吸気(クランクケースの場合もある)と掃気、更に排気のポートが付いていることで、このことが何を呼び起こすのか、と言う点についての研究がなされていないと、「やっぱり2ストロークは・・・」となってしまう。

耐久性が高かった事例としては、ホンダCRM250Rをバイク便として使った例がある。それまでは、高性能なシングルバイクが良い、と言う評判でそれを使っていたが、業務で、酷使すると、本来持っている性能が露呈する。それは最高速度や走破性という見えるものではなく、如何に長持ちするかと言う耐久性である。

そうなると、2ストロークのネックとなる設計不良を取り除いて、トータルの性能向上を果たしたバイクの評価が高くなる。

どの部分が2ストロークとして重要かということになるが、それは、熱歪をいかにして、それが起き難い基本的な設計に行き着くかである。

特に排気ポート周りの熱歪に対する考え方は重要で、どのような形状がいいか、当時の空冷方式では(強制空冷を含めて)、排気ガスからの影響で高温となる部分は、冷却風による冷却効率を高めようと、排気ポート周りの厚みを薄くする(確かに薄くすれば熱伝導率が高くなり、冷却と言う点からだけ見ると、それでいいのだが)、と言うことにこだわると、薄く造れば熱による歪は大きくなり、その結果排気ポートからの歪はシリンダー内のいたるところに波及し、シリンダーの変形により焼きつきと言う現象になる。

しかし、そのエキゾーストポート周りをたっぷりとした容量の大きな形状で造ると、空冷による冷却効率は下がるが、熱による歪は少なく、安定したエンジンとすることが出来る。

ある強制空冷の2ストロークを分解してみたことがあるが、シリンダーの排気ポート上部に、焼きつきやオイル切れによる引っかき傷はなく、ピストンの接触面もきれいな状態を保っていた。そして、そのシリンダーを観察してみると、排気ポート周りはこれでもか、と言うほどの金属の塊で構成されていた。その結果、熱歪は少なく、エンジンの性能ダウン(ダレという表現をする)は見られないと言うことだ。

これにより焼き付きや、歪による異常磨耗はなく、酷使しても最後までエンジンは使えるというのだ。

バイクに限らず、360cc時代の軽自動車(当然強制空冷)でも、オイル管理と使用するオイルを選ぶことで、20万キロ以上にわたり快適に走っていたと言う話を、そのオーナーから聞いたことがある。「2ストロークエンジンの耐久性がない、と言うのは違う」とその方も力説していた。

また、アウトボードモーターボートエンジンでは、その昔常識的に採用されていた。パワーがありコンパクトで軽量と言うのが理由だが、排気は水中(マフラーなど付けられる状況ではない)であるから、排気ガスにオイルが含まれることになるので、海や湖などが汚染される。

そこで出てきた規制が、かの有名なボーデン湖規制と言うやつ。どの程度の規制なのか忘れたが、かなり厳しいもので、そのためにガソリンに混合するオイルは60:1や100:1などと言うとんでもなく薄い比率。この薄さで全負荷運転するのだから、そこに求められるエンジンの材質と規格はものすごいこととなる。

2ストロークのロードレーサーも100:1や120:1と言う、オイルが混じっていることを確認できないくらいの混合比で走らせていたのだ。

この少ないオイルで性能を発揮できるし、4ストロークのたっぷりとあるエンジンオイルに比べたら、普通に使う限り問題などでなくてあたりまえ、と言うことが言えそうだ。

このボーデン湖規制が更に強くなった結果、現在の4ストロークアウトボードエンジンが開発された。

余談だが、当初は4ストロークのアウトボードエンジンが海外メーカーでは、求められる性能で開発できなかったため、日本のスズキやヤマハからのOEMで賄っていた。

2020年9月7日月曜日

②面白い画像と写真。何用のエンジンなのかの説明


は、スバルがF1エンジン・コンストラクターをやろうとしたときのもので、シャシーはミナルディを使うことになっていたが・・・このチームには通訳として日本人が居た。でも、幅が広くなるエンジンは空気抵抗が多く、結局ものにならなかった。エンジンの設計はイタリアのキティ博士。

さすがにイタリア、フェラーリと同様の考え方をしているのが分かるだろうか。

12気筒なのにクランクシャフトのジャーナル(支持部分)は、なんと4箇所しかない。スバルの考え方なら13個になる。4箇所のジャーナルではまともに高回転しない。フェラーリのF1エンジンも同様に設計されていたと言う(ホンダがF1から撤退するとき、当時のフェラーリエンジンを分析し、ホンダ流の設計で試作して、その試作エンジンと図面などのデーターをフェラーリに譲渡した)。フリクションが多いなら、そのフリクションとなる部分を減らしてしまえ、と言う、イタリアならではの設計で実に分かり易い考え方が見えていた。
 

そして、水平対向ではない。フェラーリも市販のスーパーカーエンジンは、同様な造り方で、ピストンは対向状態になっていなかった。

V90度エンジンのように、ひとつのクランクピンに対して、左右のコンロッドを取り付けるタイプ。90度Vであると、エンジンの1次振動(エンジン1回転ごとに出る一番大きな振動)がなくなるのでいいのだが、180度Vと言うレイアウトではそれを望むことは出来ない。

ここにもクランクシャフト剛性をどう考えているのか不思議に見える。対向ピストンとすれば大きな問題は片付くのだが。

今ではこんなエンジンは市販車にもない。水平対向となれば、2気筒でも振動は少ない(BMWのバイク)。ホンダのバイクにもある、水平対向6気筒となるとエンジン単体での始動でさえ、固定しない状態で、アクセルを大きく開けても、その場で暴れだすことはないという話も聞いた。

で、キティ博士設計のこのエンジンは、1年後だったかのWSPCにエントリーしていたが、練習、予選で、走行シーンを見ることはなかった。

 

マツダがル・マン24時間耐久レースで優勝したときのエンジン全体図

トルクカーブを力強くするため、インテークには長さを電子制御するテレスコピックのエアホーンが装備された。最初のエアホーンはスロットルと連動だったと思うが、定かではない。
 

 

メルセデスがグループCでのレース用として新しく開発したエンジン。水平対向12気筒である。インテークとエキゾーストが上側にある。吸気効率と排気効率にエンジン搭載の高さを考えたらこのような設計となるが、排気が上側と言うのは、エキゾーストパイプの高温を冷却する効率が悪い。
 
 

カウルの中に高温が溜まるので、トラブルの元。このエンジン搭載のレースは、鈴鹿サーキットで行われたWSPC。ドライバーのひとりはM・シューマッハだったが、ピットでの給油で失敗し、クイックチャックが閉まりきらなかったようでガソリンが噴出し、火が着いたのをシューマッハも気が付き、逆バンクを上がる途中でグリーンに飛び出し、クイックチャックの蓋を閉めようと、火がチョロチョロ着いている状態でいじっていたが火は消えない。

そこにオフィシャルが消火器を持ってきて、火を消そうと言うアクションを起こしたので、シューマッハはそのオフィシャルの行為を止めようとしていた。その理由は知らない。しかし消火器は噴射され、火は消えたがシューマッハはリタイアとなった。レース(正確にはピット作業やマシンの状態とメカニズム)を取材に行っていたので、この状況は肉眼で確認した。

2020年8月23日日曜日

新型エンジンの造り方を見て、これまでにない設計に唖然としてケチをつけた⑮



整備でヒューマンエラーが起きない、起き難いクルマを設計製作していたT社が発表した新型車は、オイルフィルターが交換しづらい場所にあった。

そのメーカーのクルマを数多く取材に使い、「さすがに世界で認めるだけのことはある」といつも感心していたが、あるとき???

それは、定期的に交換しなければならないエンジンオイルのフィルターが、特別な方法でないと見えるような形に取り付けられていないことだった。

オイルフィルターは、ボンネットを開けても見えないし、ハンドルを大きく切っても見えない。

一部のメーカーでは、シリンダーブロックのラジエター側に取り付けられていたり、ハンドルを右にロックまで切って、そこからタイヤハウスの中を覗くと、目の前にフィルターが取り付けられている、と言うほど交換性が良かったのだが、その問題となっているクルマは、シリンダーブロックの後ろ側に取り付けられており、ピット作業かジャッキでクルマを持ち上げ、そのクルマの下にもぐらなければ手が届かない位置にあった。それはまるでFWD初期のモデル(RWDレイアウトのエンジンを流用していた)のような状態だった。

発表会ではT社のエンジン開発担当者が居なかったので、その詳細を聞くことは出来なかったが、試乗会に呼ばれたときにはエンジン開発担当者と会う機会があり、なぜこのようなレイアウトになったのかしつこく聞いてみた。

というのも、そのメーカーのクルマ開発では、整備性が重要項目であり、自社評価の100点主義を旨としていたからだ。

そのことは、これまでの取材の中で、直接整備性を検証する担当重役から聞いていた。「とにかく自社が決めている100点が重要で、他のメーカーと比べた場合、ある一箇所が劣っていたら、設計変更を要求する」と言う厳しいものだった。

この組織は、サービス技術部とは違うもので、あくまでも市場でのメンテナンス時に、ヒューマンエラーが起きない構造であったり、余計な作業を必要としない構造を要求していた。

とにかく扱いやすく、人間(ディーラーのメカニック)のやることを信用していないと言うか、当てにしていないような設計と製造が各所に見られた。

そんなことを重点にしているメーカーから???のエンジンが出現したので、開発担当にしつこく迫ってみたのだ。

「貴方の会社が作るクルマは整備性が優先されていたはずだが、なぜこのような構造となったのか」。整備性評価グループから指摘はなかったのか。

すると、そのうるさい組織は当然知っているわけで、「その組織の担当者の全てがOKの印を押しているのです。当時はコストも関係したと思います」。と言う話だった。

現在は、そのエンジンに対する評価がどうなっているかは知らないが、雑誌の編集をやっているときに、読者からいろいろ質問が来る。その中で、どのメーカー、どのクルマが整備初心者にはお勧めか、と言う問いに対しては、T社のファミリークラスを勧めたほどだ。

2020年8月15日土曜日

だいぶ前だが、試乗会でブレーキペダルを踏むときに、つま先が何かに当たり・・・と言うケチをつけた⑭



そのクルマは、そのメーカーのトップブランドと言えるクラス。当時から左足でのブレーキ操作をしていたのだが、その問題となるクルマは、緊急的に左足をブレーキペダルに持っていこうとすると、つま先にワイヤーハーネスの太い部分が当たり、一瞬別な行為になったのかと感じて、ブレーキ操作が遅れる。

右足ではそのような問題は出ないが、それでいいというわけにはいかない。

開発者との話で、左足ブレーキのことを強調していたら「それほど左足でのブレーキ操作にこだわるなら、MT車には乗れないでしょう」と言う質問と言うか、言いがかりをつけてきた。

ここで、思いっきり反論しようかと思ったが、数秒時間を置いて「でも、サーキットではトー&ヒール使うんですよ」と言ったらその後は黙り込んでしまった。

ATで左足ブレーキを完璧に使える人が、MTに乗った場合、ろくに操作が出来ない、と言う考え方は間違いである。

それは、試乗会などのイベントで乗るクルマは、ほとんど2ペダルのATだが、マイカーは、なんと5速のMTである。どちらを運転しても、操作でまごつくことはないからだ。

2020年8月10日月曜日

警察官と拳銃の事件が報道されるたびに、アメリカ・ニューヨーク市での拳銃についてのことが思い出される



銃社会のアメリカでは、いくら警察官と言えど直ぐに引き金を引く人物がいるらしい。そこで考えられたのが(だいぶ前のことだが)銃身を短くし、撃鉄を起こせない構造のダブルアクション式リボルバー。

この構造であると、しっかりと目標物に照準を合わせることが難しく、かつ銃身が短い(5cmぐらい)ので、弾はまっすぐに飛ばない。

この短い銃身を持つ拳銃での射撃をやったことがあるが(アメリカで)、ダブルアクションではない構造のものでも、いくら正確に的を狙って引き金を引いたところで、弾はあらぬ方向へ向かっているようで、10m先につるされた的には当たらず、その的をつるす金属にぶつかり、溶けた鉛が跳ね返って熱い思いをするだけだった。普通のブローニング拳銃(自動拳銃)に交換すると、確実に的を射抜いた。

話は戻って、それでもニューヨークにおける警官の拳銃事故はなくならず、次の一手を考えた。それは、弾の材質を金属からプラスチックへ変更した。(日本でも警官の拳銃訓練ではプラスチック弾が使用されていると言う話を聞いたが。それは、金属だとお金がかかるから)

では、なぜニューヨークではプラスチック弾なのだろうか。それは、金属弾であると貫通銃創の場合、場所によっては致命傷とならず、犯人は逃亡することができてしまう。

もちろん痛さは有るが、弾が突き抜けることで出血は少なく、当たった場所によっては、ダメージが少ない。

そこで考えられたのが、プラスチックの弾。軽いので致命傷にはならないが、貫通銃創を起こさないため、その痛さはすごいらしい。人体の骨がない部分に当たれば、いくらプラスチック弾と言っても、内部にめり込んだり、眼球を破壊する(弾が脳に達するだろうから死亡)ようだが、それ以外の場所では、どこに当たっても七転八倒(しちてんばっとう)の痛さで、容疑者はその場から逃げることはできないと言う。

ただし、現在がどうなっているかは定かではない。プラスティックの銃弾であって欲しいが・・・

この方法がいいと思うのだが。日本の警察官が持つニュー南部と言う名前の拳銃は、射程距離が長く命中率も高いと言うが、射程距離が長い必要はどこにあるのだろうか。凶暴な犬1匹に対して、その場に居た警官二人は13発発砲して、処分したと言う????

我が家では、いまだに警官による拳銃の発砲があると、凶暴とは言えども犬1匹に対して、射殺するまでに13発も発射したと言う記事が話題になる(漫画のバカボンに出てくる、お巡りさん状態)。パニックになって、むやみやたらに発砲したのだろうから、その流れ弾が心配。そうすると、プラスチックの弾に行き着く。

プラスチック弾だったら、交番を襲撃して警官の拳銃を奪う、と言う凶暴な行為も少なくなるのではないかと思う。それに、日本の警察では、いまだに45口径(45/100インチ)だから、約11ミリ。殺傷力は高いが、それの必要性はどこにあるのだろうか。

銃を所持して、人を殺そうと構えている犯人に対して発砲するにしても、射程距離が的が見えないくらいの距離を持っていたとして、それがなんの役に立つのだろうか???

2020年8月5日水曜日

ブレーキペダルの応答性と、効きの悪さに疑問を呈した⑬



あるときなんとなく気が付いた(現代ではない)、それは、2リッタークラスのクルマで低速走行しているとき、ブレーキペダルを急激に(急ブレーキ状態)踏み込んだ場合でも、タイヤがロックするような状態にはならないこと。

特に4輪ディスクとなるとこれがひどい。

でも、排気量が小さな(1300cc)クルマとなると、ブレーキペダルに対するブレーキシステムの反応がまるで違う。それは、走行中でなくても検証できる。

どのようにしたかと言うと、駐車場でエンジン・アイドリング始動中、ギヤはニュートラル。その状態でブレーキペダルを力強く、素早く踏み込んでみれば、その反応で判断できる。

排気量の小さなクルマは、ブレーキペダルがフロア近くまで下がるが(タイヤがロックする状態)、排気量が大きなクルマは、ブレーキペダルからの反発が大きく、どんなに力を入れても、踏み込むのに時間が掛かる。つまり、タイヤがロックする状態まで、ブレーキパッドはローターを締め付けていない。その前に停止してしまうし、制動距離は伸びる。

排気量が大きなクルマは、普段使用するときのペダル踏み込み力を小さくするため、ブレーキブースターを大きくしたり、ダブルとしたりの構造だが、これが災いを招いている。

ブレーキブースターの基本的な構造は、大気圧を利用することで、如何にその大気圧を素早くブースター内に取り込むかが重要だが、それが簡単ではない。

大気圧を素早く大量に取り込めばいいのだが、そればかりを目標に製造すると、ブレーキペダルを踏みつけたとたん(どんなにゆっくりとやっても)、ブースターの力によってマスターシリンダーは強く押され、いきなりタイヤはロックする。

ブレーキペダルを踏みつける力を、素早く、かつバランスよくブレーキ・マスターシリンダーに伝えるには、微妙な構造と調整が重要となるのだ。

また、マスターシリンダーに対する助勢力が加わった瞬間には、その助勢力を維持する構造が必要で、更に、それ以上マスターシリンダーを押す力が加わらないようにしないといけない。そこで組み込まれているのがリアクションディスクと言うゴムの板。でもこのゴムの硬さと厚さが重要。これが難しい。さらに、大気圧を取り込むバルブの大きさやそのバルブに作用するストロークも重要となる。

これがブレーキブースターの構造。よく観察しても作動を理解するには時間が掛かる。定圧室と書かれている所は、エンジンのバキューム圧が掛かるところ

 
当時の我が愛車は、1秒ぐらいかけてブレーキペダルを踏み込めば、恐らくロックするであろう位置までペダルは踏み込めるが、時間を掛けてのペダル操作では、緊急ブレーキとして役に立たない。

この応答性が悪いブレーキ、何とかしたいと思い、雑誌編集の企画で改良を考えた。そして、大切なことは、マスターバックの構造を理解すること。構造を理解することで、ブレーキのバージョンアップできるヒントが見つかるかもしれないからだ。

そして、この問題となるブレーキの性能は、ブレーキメーカーはもとより、ブースターを製造するメーカーもかなり前から知っていたということが、取材していく最中に分かってきた。

ついでに述べておくが、現在のクルマでは、ABS装着によって、ABSモジュレーターは、ブレーキペダルの踏み込む力が不足していても、ABS作動を目的にブレーキラインの圧力を一杯まで上昇させる構造なので、昔のような(原稿に出てくる表現)問題は起きない。ABS作動条件も、アクセルペダルから足が離れてブレーキペダルを踏み、ブレーキスイッチがONするまでの時間から、急ブレーキ、タイヤロックの条件として、ABS作動となる。もちろん実際にブレーキロック寸前から(タイヤにあるスピードセンサーの波形を使う)ABS作動は基本だが。

実は、ABSの作動スタンバイ、と言うような状態があるようで、各ホイールのスピードセンサーからの信号が不釣合いとなると、ブレーキ信号に関係なく、ABSは作動していると言う話だ。

そのことを聞いたので、路面が良くない場所(ダートなど)を走行しながら、ABSユニットが本当に作動しているかどうか、アクセルペダルを踏んで、ホイールが空転する状態を作り、ブレーキペダルに軽く足を乗せると「ココココココ」と言う軽い信号のようなものを感じた。これがABS作動中という信号らしい。

このようなことを調べていたら、モーターショーの会場、部品館で「高応答型ブレーキブースター」なるものが展示されていたのを発見。

これは取材したいと思い、ブースに居た方にお願いすると「モーターショーが終わったらOKです」と言う返事をもらった。そして、その部品メーカーと言うのが、東京にあるということで、取材に出かける。

取材当日、その高応答型ブレーキブースターは、ブースターそのものと言うより、大気圧を取り込む部分の構造にあることが分かった。大気圧バルブの構造が2重になっており、ブレーキの踏み込む速度と力によって、大気圧バルブの開くストロークが変化すると言うことで、問題を解決すると言う。

それでは、これまでのブレーキペダルフィーリングについて、そのサプライヤーさんはどう感じていたのだろうか聞いてみると、「急ブレーキ状態のときにブレーキペダルが踏み込めない状況が存在するのはかなり前から知っていたが、その状況を著名な自動車評論家の試乗記を読んでも、問題が指摘されていなかったので、なんとなく無視していた」と言うとんでもない状況を知らされた。

それからは、試乗の度にブレーキペダルとその能力について検証し、問題があると開発者に説明を求めたが、内容をはぐらかすばかりで、肝心なことには行き着かなかった。つまり、行き着かないというより、ブレーキブースターとそこに関係する大気圧バルブのことが、理解されていなかったのだと分かった。

しばらくして、ある自動車メーカーが、当時の谷田部(自動車研究所)で、2種類のブレーキブースターを組み付けたクルマの検証を行いますから、体験と確認をしてください、と言う話が舞い込んできた。

その2種類のブースターとは、1点は先ほどの構造が複雑なタイプで、もうひとつは、リアクションディスクの厚みを変更した、ごくシンプルな改良モデルだった。

そして、実際のブレーキペダル感覚と制動感覚を比較すると、どちらも遜色のないことを確認。その結果、その自動車メーカーは、コストが安く、問題の解決に結びつくリアクションディスク改良型を採用した。

そして、マイカーにある問題点はどのようにチューニングすれば解決するのか・・・まず、ブレーキ周りのオーバーホール。キャリパー周りからマスターシリンダー、そしてブースターについて同様に分解して確認する。

すると、大気圧が流れ込む部分にフィルターが二重で付いていることを発見。ここのフィルターはある程度重要で、ここから入った大気圧(空気)はエンジンに吸引されるので、そのことも計算されている。

ブレーキペダルを踏んだときに出る音消しもあるようだから、その音より性能を重視して、片方のフィルターを取り外す。ただし、このフィルターは音消しよりも、吸い込まれる空気(大気)中のごみを除去することが目的なので、無視してはまづい。

このようは改良を行ったことで、緊急ブレーキ性能は少し改良された。

このブレーキブースターレスポンス問題は、各自動車メーカーも重点的に取り上げ、ブースターの基本的な構造が見直されたものも出てきた(現在ではあたりまえになったが)。それは、インテークに作用するバキューム圧を利用すると言うものではなく、油圧モーターとアキュムレーターの採用で、油圧ブースターとしてきたのだ。

最初にやったのは、矢田部の体験試乗で呼んでくれたメーカー。そのメーカーの最上級モデルに採用された。でも、それほどの感激はなかった。

他のメーカーでも巷からの意見を踏まえて、油圧ブースター方式が取り入れられた。とくにハイブリッドカーでは、エンジンが回転していない状況で、バキューム圧が低下していれば、ブレーキ性能がダウンするので、安定的にブースター性能を確保しようとしたら、モーター駆動による高圧オイルポンプと、その圧力を使うブースターは必須項目だった。

T社の構造はかなり複雑で、ストロークセンサーと言うものまで取り付けられたが、確かにブレーキ性能と、そのフィーリングは向上していた。現在ではこれが標準装備となっているようだ。



2020年7月31日金曜日

ロードスターNCのハンドリングについてケチをつけた⑫

マツダロードスターが2リッターとなったNC(3代目)だが、筑波サーキットでの試乗会で、特性を確かめられた。それは、左コーナーの第一ヘアピンを走り抜けるときだ。チョイと他の方と違う走り方をすると、とてつもなくタイムを縮められることが分かっている。果たしてモデルチェンジされたロードスターは、これまでのNBよりも優れたコーナリング性能を示すのだろうか。

ワクワクしならが第一ヘアピンに突っ込み、これまでと同様な操作をすると・・・ その走り方は、NBでのレース直前にマスターしたもので、そのレース決勝では大雨でスリップし易い中を(練習時はドライだった)、ドライと同様な走り方が可能だった。

どのような走り方かと言うと、コーナーのクリッピングポイント手前10mぐらいのところで、ハンドルをコーナーに合わせて左に切りながら、2速ギヤで、いきなりアクセル全開に踏み込む。 この目的は、リヤを振り出してカウンターステアを当てながら、走り抜けようとするものだったが、パワーがないロードスターでは、リヤが流れる状態とはならず、逆にフロントがハンドルの向きと反対となるアンダーステア状態が僅かに発生した。

そのときにアクセルを戻すと不安定な状態となるため、リヤが流れ始める。すかさずアクセルを全開にすると同時にハンドルを若干戻すカウンター状態だが、それをすることによってハンドルは直進状態を向いている。そして、このときにはロードスターも進行方向をしっかりと向いており、アクセルに対する反応も良くなり(荷重がバランスよく働いている)、ホイールスピンすることもなく、いきなり奪取する。そして、この状態が右回りとなる第二ヘアピンまで持続した。 この走りの状態をモデルチェンジしたNCでやってみたが、フロントが飛び跳ねてしまい、どうにも楽しくてスピーディーな走りが出来ない。

その点について開発者には意見を述べたが、明確な返事は返ってこなかった。 ロードスターレースのときにマスターした条件を考えてみれば、オープンカーにレース用のロールケージを装備しているので、その分ボディ剛性は高い。それが、コーナリング性能にも影響しているのか? 疑問だらけだったNCのコーナリング特性について、そのことが解決する状況が出てきた。それは、排気量も小さくなったNDが発売されたときである。

新しい開発者に、NCの筑波サーキットでの走りについて、何気なく聞いてみると「NCの場合は、サスペンション周りをロータリーのRX8用を流用しましたから、ボディ剛性などとのバランスが取れていなかったと思います」と言う返事が返ってきた。 つまり、NCでのコーナリング性能で下した評価は、正しかったと言うことが分かった。 

2020年7月23日木曜日

国産初のジェット旅客機は???



ジェット旅客機に話しになると必ず出てくるのが、三菱重工の純国産ジェット旅客機に話し、しかし、テレビでの解説では国産初のジェット旅客機という表現をしているが、国産初のジェット旅客機はYS11と理解しているが違うのだろうか。

YS11は確かにプロペラはついているが、そのプロペラを回す動力はジェットエンジン。ターボプロップと呼ばれるもので、この形式のジェット旅客機は(旅客機に限らず)今でも製造されており、数多くある。なおYS11に使用されていたのはロールスロイス製のエンジン。

なのに、どうして三菱重工が開発する飛行機を国産初のジェット旅客機と言う言い方をするのか理解に苦しむ。

それとも、ジェット推進で飛行する飛行機だけをジェット旅客機と言うのなら別だが。

話は違うが、20年以上前のことだが、茨城県潮来にあるボート製造工場で面白いエンジンを見つけた。それは星型の(何気筒だったか忘れた)エンジンで、工場の床にデンと置かれていた。

「今でもこんなエンジン使っているのですか?」と聞いたところ、「自衛隊の飛行機では、まだ使っていますヨ」とのことだった。

しかし、このエンジンはどんなボートに使用するのか興味があったので、ついでに聞いてみると、「エアボート用」と言う話。霞ヶ浦ではなく、それよりも太平洋側にある北浦。水深は浅くスクリューのボートでは、走る場所が限られるので、非常時などのことを考えると、エアボートが必要なんだそうだ。

現在はそのようなボートがなくても、ジェットスキーなどのボートで、非常時には対応できるだろうから、まだこのようなエアボートを作っているとしたら、完全にレジャー用だろう。

ネットでエアボートと北浦について調べていると、観光用として使用していることが分かった。興味のある方は問い合わせてみるといいかもしれない。

2020年7月16日木曜日

試乗会などでバリアフリーと言う説明に対しケチをつけた⑪



オリンピックが近づくとバリアフリーの話が出てくる。前回の東京オリンピックのときにもそうだった。でも、彼らが言うところのバリアフリー化は達成できていない。

今回の話はオリンピックと関係のないもので、自動車メーカーでも一時期「バリアフリー・・・・」を謳いものにするクルマが発売された。

バリアフリーと言う言葉に違和感を持っていたので、試乗会での説明などで「このクルマはバリアフリーをコンセプトにしました」などという発言を聞くと、その言葉が終わるか終わらないうちに「バリアフリーって何ですか?」「どこかに健常者が区分けの線を引いて、ここからは障害者、その手前は健常者」と言うようなことを言っているから、素晴らしいものや街、物事が先に進まないのではないですか。

あなたたちがバリアフリーと言って差別と区分けをするような発言をしてはいけないのです。という話を数回したら、いつの間にか自動車メーカーの説明から、バリアフリーが消えた。

バリアフリーなんていっているから、バリアを造ることになるのだ、と日頃から思っている人間にとって、この言葉は気になるのだ。

障害者に優しい道路やクルマ、人が動くときだけではなく(駅などの階段もある)全ての事柄に対しても差別無しとしておくこと。自分もいつかはお世話になる事柄だから、これをフリーにしておけば、住みやすく生きやすくなると思うのだが。

2020年7月3日金曜日

ツインリンクもてぎがオープンするときにもケチをつけた



クルマやバイクばかりではなく、関係する組織にもケチをつけた

ツインリンクもてぎのスーパースピードウエイのオーバルコースは、ここでアメリカのレースが開催されることになっている。NASカーはガソリンが燃料なので、火災が発生したときにはそれなりの消火方法が必要だが、インディカーとなると燃料はアルコール。

アルコールを使用する理由は、どこかのジャーナリストが「環境に優しい」からだと言う。でも当時のアルコールはメタノール。メタノールはアルミやゴムを溶かす。なので、走るたびにマシンの燃料ラインはクリーニングすると言う、実にヤッカイなものだった。さらに、高速燃焼(内燃機関などの場合)させると「ホルムアルデヒド」と言う毒ガスを発生する。

その毒ガスに変化するメタノールがその後どうなったのかの話は後に取っておいて、燃料として使った場合の火災はどうのように消火するのか、と言うことに行き着く。

アルコール=水であるので、水による消火は可能となる。それを理解していれば、オーバルコースのイン側に、散水栓を常設すれば利用価値が高い。

そこで、ジャーナリスト関係者の下見会に参加し、初代社長(ホンダの広報時代からの知り合い)と2代目社長となる方の3人となったときに、インディカーと燃料についての質問と、アルコールなら消火栓の設置はどうしたか聞いてみた。この質問は、お二人の立場を考えて、私以外の方が、アクティブトレーニングセンタの説明に出かけているときを見計らった。

その結果、消火栓はどこにも設置していないことだけではなく、燃料つまりアルコールなので、水で消火できる、と言う認識もなかった。

コースのイン側に取り付けることは出来ないが、ピットなら側溝が手前に通っているので、その中を水道管が通せること。さらに、中央付近には、グランドスタンド側からピット側に水を流す、太い水道管があることも分かり、それを使うということで、私の提案は受け入れられた。インディカーのメカニック達は、この設計変更には喜んだはずだ。

いくら火の点いていることが分かりにくいアルコールでも、消火に使える水が手元にあることで、アクシデントが発生したときには、慌てずに利用できるからだ。散水用のホースばかりではなく、ドラム缶に入れた水をピットまで運ぶ、と言う作業からも開放された。

オーバルコースのピット内側、排水の側溝から飛び出しているパイプが、私のアドバイスで取り付けられた散水栓
 
ついでの話だが、アルコール燃料は、その後メタノールからエタノールに変更され、ホルムアルデヒドの心配や、ゴムとアルミの溶解はなくなったんだが、100%エタノールであると、それを飲んでしまう人が居るので、ガソリンを5%(だったと思う)ぐらい混合したという。そのため、当初日本でのエタノール使用が、酒税法に抵触するので、「税金をかける」とかの問題が国税庁から出されていたが、それも解決した。

2020年6月25日木曜日

ニッサン・スカイライン32GTRと33GTRの違いに素早く反応した結果は、33GTRは・・・



33GTRにケチをつけた

32GTRの素晴らしさは、菅生サーキットでの試乗会で体感していた。それまで菅生サーキットをクルマで走ったことのないのに、いきなりアクセル全開。前方に走るベテランレポーターがブレーキを掛ける時点を確認したら、「オレは彼よりも10m先からブレーキを掛ける」なんていうことを考えながら、試乗を楽しんだ。

とにかく、運転者の気持ちと技量を32GTRは読み取ってくれているようで、不安な要素はひとつもなかった。そこから「アクセルを踏み込め」なんていう動きの状態まで理解できる。32GTRと意思の疎通がやれているような気持ちを味わった。

もちろん、32スカイラインのフロントサスペンション周りに欠点があるということはこのときに知る由もなかったが。

フロントのマルチリンクサスペンションは、コンピューター解析により生まれたものだが、熟成と詰めは甘かった。サスペンションジオメトリーとそのジオメトリー通りにサスペンションを作動させるには、サスペンション周りのボディ剛性、取り付け点の精度、さらに使用されるゴムブッシュの硬さの均一化が必要となるのだが・・・

それはともかく、33GTRが発売されたときの試乗会は筑波サーキットで行われた。筑波サーキットは走り慣れたサーキットであるし、32GTRでも走っていたので、32GTRの操縦性の素直さや素晴らしさは十分に理解していた。

100Rから90Rに変化する最終コーナーでは、3速エンジンブレーキのアンダーステアとなる状況から、アクセルを全開にするまで踏み込むタイミング。そして、4WDのアテーサETSによるフロントへの駆動力配分もよく、アンダーステアはピタリと止まり、それと同時に気持ちの良い加速力を味わえた。つまりドライバーの気持ちがそのまま反映され、狙ったラインを確実にトレースする素晴らしさは、これまで味わったことのないものだった。

その経験から33GTRはもっとすごいのだろうと言う期待を持って試乗したのだが、見事に裏切られた。

速度が高い最終コーナー。32GTR同様の挙動が帰ってくるのかと期待したが、いくら待っても返答はない。どこからアクセルを踏み込めばいいのか分からないのだ。で、楽しく試乗は出来なかった。

反対に、カウンターステアを得意とする試乗者は、パワフルで思いのままだ、と言う評価であったが、私とは正反対。

この制御ではダメだ、と言う評価をしたのだが、それは、その後の市場が端的に良否の判断をしている。33GTRは販売が伸びなかったのだ。チューニングショップの評価もそうであったし、一般の方が買い替えしたときの評価は、最低だったからだ。

高性能カーは、ドライバーとのコミュニケーションがしっかりと取れていないと、安全で楽しくは運転できないということであると思う。

2020年6月17日水曜日

燃費競技会のホンダエコノパワー(エコマイレッジチャレンジに代わる前だけではなく、現在の運営組織にも)に対してもケチをつけた



ケチをつけは話

数十年に 亘り取材や運営のアドバイスをしていると、他の方では気が付かないことに目がいく。

例えばそれは、走行中にオフィシャルが振るフラッグに対してがまず最初だったように思う。コース上にトラブルで停止している競技車があれば、それを後続のクルマに知らせて、事故などが起きないようにするのだが、その旗を振る位置や高さがベストではないと気が付いた。フラッグの振る位置が高すぎるのである。

これであると、あの狭く窮屈なドライビング状態から、旗の色と振り方から、何を表現しているのか判断に悩むだけではなく、旗が振られていることさえ認識しにくい。

いくら速度が遅いからといって、目の前で旗が振られたのでは、走行ラインを変えるとこは不可能。ましてブレーキを掛けるという行為は、そのイベントからの脱落を意味するのだから。

事故になるかもしれない状況を見ると(実際に事故が起きる手前から事故後まで、全てを見ることもあった)、現場で競技関係者にそのことを伝える。

また、スタート最終チェックでは、燃料が正しい位置まで入っているかを見て、不足している場合だけではなく、レベルが高すぎるときにも、スポイトなどを使用してその燃料(ガソリン)をレベルに合わせるのだが、運営組織が変わってから、その過不足を調整するガソリンが、テーブルのオイルジョッキに入って、無造作に置かれていたことも。

この状態で、誰かが机にぶつかり、ジョッキに入っているガソリンをコース上にぶちまけ、それにビックリした関係者が、持っている工具などを落としたとしたら、そこのこぼれているガソリンの蒸発ガスに簡単に火が点く。

これが想定されたので、そのことを関係者に話したら「ここにいる連中は、こぼれたガソリンに火をつけるようなやつは居ないから、心配ない」と言う
返事。故意に火をつけることはなくても、事故は起きる。
 
運営組織が変わったことで、何が重要なのかがわからなくなり、適当に運営すると、このような大きな事故要素が生まれる。勿論、この現状は直ぐに改善させた。

では、それまでの運営組織はどのようにガソリンの管理をしていたのか、当時の組織に聞いてみると「ガソリンメーカーをスポンサーにしていたので、全てはそのガソリンメーカーのエキスパートが管理して、どこから見ても事故が起きないようにしていた」、と言う話だ。あるほど、昔の画像を見てもそのような危険な状態は発見できなっかた。

またあるとき、車検後の路面に青く広がった痕を発見。これはエンジンオイルが垂れたもので、多量ではないが事故の元になることはある。

なぜこのようなことになっているかと言うと、燃費競技会に使うエンジンは、ウエットサンプ潤滑の状態が必要なく、適当にオイル分が各所にあれば良い。そのため、勿論オイルポンプもない(改造してあるエンジンは)。場合によっては、シリンダーヘッドのヘッドカバー内に、必要最低のオイルを滴下させたエンジンも。そして、当然軽量化と熱量低減のため、クランクケース下は密封されていない。

こうなれば、滴下したオイルの行き先は、走行路面と言うことになる。それを防止するため、どのようなエンジンであっても、クランクカース下にオイル受けを付けるという規則を作った。

また、あるとき燃料の温度についても管理と規制が必要である、と気が付いた。それは、埼玉県桶川にあるホンダのレインボー教習所の直線コースで行われた大会で、関係者が、配給されたガソリンの入ったガラス容器を、ドライアイスで60分ほど冷やす行為。これによりガラス容器のガソリンは体積が小さくなり、ビックリするほどガソリンレベルが低下していた。

これでスタート前チェックでは、レベルの下がったガソリンを補給してくれるわけで、燃費の計算としては有利になる。

ただこの行為をやったマシンは、テレビ局のアナウンサーが乗るもので、乗り方がいい加減だから本来の性能は出ない。そのため、結果に対して文句を言うものは居なかった。

これを思い出したので、最終燃料調整のところで、非接触型(今巷で使用している体温測定と同じもの)の温度計を使って、燃料温度を測るべきだという提案をした。

翌年のイベントでは、全てのマシンに対して、燃料の温度を測定する行為が見られた。

その後の規則には燃料を冷やしてはいけない、と言う条項が追加されたが、エコマイレッジチャレンジと言う開催名に変わってから、この燃料温度の計測がない。

その旨を競技関係者に伝えたら、決勝日になって、どこからか1個だけ借りてきた温度計で、抜き打ち検査をしていたが、抜き打ちではダメで、全車やる必要がある。

その温度測定違反に引っかからなかったラッキーなマシン、チームが出てしまっては、規則が何のためにあるのか分からなくなるからだ。