研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2019年9月4日水曜日

最近考えることがあった それはハイドロプレーニングと各種の姿勢支援制御である



自動ブレーキや走行レーンキープ制御、自動追従走行など運転支援を搭載したクルマが数多く発売されるようになったが、その安全性に走行中の環境がどのように関係するのか気になり始めた。

特に雨天時に発生することがあるハイドロプレーニングである。

一瞬にしておきるハイドロプレーニングに対して、その一瞬を越える制御が組み込まれているのだろうか。特にFWDが多くなっている乗用車では、高速走行中にどちらかのタイヤ(左とすると)にハイドロプレーニングが起きると、次の瞬間右へハンドルを強く取られ、その大きさによっては、走行状態が大きく乱れ、事故に結びつく。

この動作は、全て一瞬で起きるため、果たしてハイドロプレーニングによって空転し始めたタイヤの制御を、ブレーキLSDなどを作動させ、止めることが出来るのだろうか。

よく考えてみると、ブレーキLSDを作動させても、一瞬で起き、一瞬で開放される状況には対応できないと思われる。FWDであってもフロントブレーキはディスク。ディスクブレーキの物理的構造により、空転し始めたタイヤをその一瞬で走行速度まで低下させ、速度と同調させる制御にならなければ、ブレーキLSDを使用して、ハイドロプレーニングを制御するのは無理ではないのか。

いくら通信速度を上げて、その容量を増やすために車載の通信をキャンからイーサーネット通信に切り替えたとしても・・・

瞬間・一瞬起きるハイドロプレーニングだが、タイヤが空転することで駆動力は低下し、次の瞬間その空転していたタイヤが路面にグリップすれば、駆動力はそのタイヤに大きく作用し、走行安定性は失われる。それによって直進性がなくなり大きくふらついて事故を起こす。

ドライバーの意思に反してハンドルが大きく取られるわけだから、そうならないように造れば良い。一瞬を機械的に制御するのは不可能だとしても、電子的、電気的になら出来るはず。

ハンドルが取られないよう、ドライバーはそれを見越してしっかりとハンドルを握って、更に肘が曲がるぐらいのドライビングポジションを取れば、いくらハイドロプレーニング起きようと、対処できる。

つまり、これと同じことをクルマにさせれば良い訳で、それには現在当然となったEPS(電動パワーステアリング)をうまく働かせれば良い。

タイヤが空転したことでコントロールを失うわけではなく、次の瞬間その空転したタイヤが速度以上の回転で路面をグリップするから、そのタイヤによる駆動力が高まり、制御を失うことになる。

であるなら、EPSのモーターを使ってステアリングシステムにブレーキを掛けるようなことをすれば、ハンドルは取られない。

タイヤの空転が起きてからステアリングにブレーキ(EPSのモーターが外力によって回らないよう制御する)を掛けるような制御とするための時間差はあるはずだからだ。

でもすでにそのようなことは組み込まれているのかな???

2019年9月1日日曜日

冠水道路を走行するならアイドリングストップはダメ



最近大雨によるクルマへの被害が多く報道されているが、その中で少し気になることがあった。それは、冠水した道路を走らなければならない事情があった場合に、どの様なことに注意すればいいのかということ。

いつも通りの走り方ではないことは当然と思うが、その内容が重要で、これはいつも通りではいけない、と言う話。

特に注意したいのはアイドリングストップ付のクルマ。マフラーの出口付近まで冠水していても、エンジンが掛かっていれば問題は起きないが、そこまで冠水している状況でエンジンが止まると(水によるエンジンルームのトラブルではなく)、マフラー出口から水を吸い込む。

エンジンは止まる瞬間にどこかのシリンダーで、その圧縮を乗り越えられず、クランクは逆転する。逆転するときにどこかのシリンダーの排気バルブが開いていればマフラーから外気を吸い込む。

ほんの僅かに吸い込むのだが、それが何回も続くと再始動のときにグズツキ始める。それを気が付いたときにミッションをニュートラルにして、アクセルを大きく踏みつけ、マフラー内に溜まっている水を噴出す行為をすればいいのだが、たぶんほとんどの方はそのようなことをしないだろう。

そしてエンジンはストップしたままとなる。

このようなことが起きないよう、アイドリングストップを切って置けばいいのだ。

更に問題が発生する可能性が高いクルマはハイブリッド。それは、ドライバーの意思に関係なく、バッテリーの残量でエンジンは勝手に停止と始動を繰り返すからだ。

でも常にエンジンが始動している状態を作り出せばいいので、走行前に走行バッテリーを空にして走れば、エンジンによる発電でモーターを回すことになるので、エンジン停止によるトラブルは起きない。

昔のハイブリッドはエアコンを作動させるとエンジンは始動したが、最近のものは、エアコン駆動がエンジン動力ではなく、専用のモーターになっている場合があるので、そうなるとエアコンを作動させてもエンジンが始動するとは限らない。

なお、ハイブリッドやEVで冠水しても、感電などは起きない。感電が起きる条件は、感電する人間に電流が流れての話で、片方の電気がいくら流れても感電状態にはならない。

片方の電気(電流)には誰でも触ったことがあるはず。ガソリンエンジンの点火プラグには数万ボルトの電気が加わっているが、エンジン始動中にエンジン周りに触れても感電はしない。電車に使われる電気についても同様で、踏み切りでレールの上に載っても、何も感じない。

このことをよく理解しない連中が、水没したハイブリッドの周りに行くと、その電気によって感電する、などというとんでもないデマを流すから、話がややこしくなる。

感電は、感電する人の身体に電流が流れて始めて起きるもの。つまり、同時にプラスとマイナスのターミナルを握らないと起きない。

2019年8月26日月曜日

アクセルとブレーキの踏み違いは、前方もしくは後方に障害物があったときにのみ作動するが、それだけでは足らないように思う


これだけでブレーキとアクセルの踏み違いによる事故は防げるのだろうか。

どうもそうではないことにある時気が付いた。港の埠頭からクルマが海に落ちる事故は、どう想定しているのだろうか?

海に墜落したクルマについて報道されているとき、ブレーキを掛けた跡がない、と言うことを聞く。勿論事情による故意の場合もあるだろうが、埠頭から海に墜落したクルマの全ての事故がそうではないと思う。

そう考えたとき、前方もしくは後方のカメラ画像処理から(レーダーでも判断出来そうと思うが)、その先には道路など何もないことが分かるのではないか。岸壁、埠頭などの海だけではなく断崖、急傾斜でもその状態を判断し、アクセルペダルを踏んでもクルマが動かない、ブレーキが効いているような制御は出来ないのだろうか?

2019年7月28日日曜日

新型スカイラインの3.0L V6ツインターボに採用された新しいシリンダー技術はカヤバの技術だ



新型スカイラインの405PS仕様には、ミラーボアコーティングと呼ばれるシリンダーブロックが採用されたが、これはシリンダーのフリクションを小さくする手法である。ただし新しい技術ではない。数十年前にバイク用として出来上がっていたものだ。それを今回のスカイラインエンジン用として取り入れたのである。

これまでのシリンダーブロックは、総鋳鉄製かアルミブロックの中に鋳鉄スリーブを同時鋳込みしたもの。鋳鉄とアルミの熱膨張は違うわけで、それによる変形は、フリクションの増加や燃焼ガスの吹き抜けなど、エンジンとしての資質が悪くなる条件が多く発生する。

そこで、バイクのエンジンでは数十年前に確立し、すでに多く採用されている技術である、スリーブレスで更にフリクションが少なく、熱変形にも強いオールアルミのシリンダーの採用が浮上したのである。勿論そのままでは耐摩耗性に問題が出るので、シリンダー表面に鉄の粉を高温高速で吹きつける方式を取った。

キラキラ光っているシリンダー壁だが、この光沢はディスプレイ用として磨き上げたもの。実際にはオイル保持の加工など、ホーニングで出来るクロスハッチの跡があるはず。いづれにしても、磨耗に強く耐焼き付き性にも優れる。当然フリクションは少ないはずである。熱変形にも強いわけで、燃費、排ガス、動力性能としても効果は大きい
 
これは、カワサキのオートバイエンジンで数十年前に採用されていたもので「爆射」と呼ばれる方式。カワサキが当時の2ストロークエンジンに採用したこの方式は、ショックアブソーバーメーカであるカヤバの技術で、当時GPマシンのフロントディスクブレーキ強化でアルミ(軽量化と放熱重視が目的)を採用することになったとき、ブレーキパッドはアスベストでシンタード(セミメタル)などではなく、全ての条件をカバーできるのがアルミで、それの耐摩耗性に制動能力を求めた結果、アルミディスクにパッドの当たる部分だけ爆射加工していたのである。

サーペンタイン方式で駆動される補記類。それにしてもかなりコストが高そうである
 
何でそんなことを知っているかというと、カワサキのバイクに対しては当時の技術としてカワサキ広報から発表されていたし、他のバイクメーカーが耐摩耗性に耐焼き付き性などを考えたマーレーの技術であるニカジェル(ニッケル・シリコン・カーバイト)の特許に抵触しない技術を開発して採用されていたので、それに殴り込みをかける意味合いもあったようだ。

カワサキのGPマシンに対する情報は、何のことはない我が家にそのアルミディスクとブレーキキャリパーがあったからである。カヤバ技術部に知り合いがおり、棚卸しという制度によって、廃棄される部品を我が家に送ってくれたのである。

数十年そのままにしておいたが、小遣い稼ぎにヤフーのオークションで売ってしまったのでもう手元にはないが。
話はそれてしまったが、そういうわけで特に新しい加工技術ではないということ。爆射もいいけど、ニカジェルのほうが実績があるので、こちらが良かったと思うのだが、どこでスリーブレスの技術を知ったかで、造られるものは違ってくるので、何とも言いがたいが。

2019年6月30日日曜日

高齢者による事故が多いと言うことで、安全装置の付いた車種に限り運転免許の更新を認めると言うのは、正しいのか


年齢が高くなると、動作が遅くなり、瞬時の判断能力も低下して、勘違い操作による事故が多いので、その勘違いや操作遅れがあっても、事故にならない装備が装着されている車種に乗るなら免許の更新を認めよう。

と言うような話が持ち上がっていると言うことなのだが、果たしてその規制や判断は正しいのか、と言うことについて考えてみた。

結論から言うと、ひとつも正しくない。まず大きな間違いは、その安全装置は常にパーフェクトに作動しないということ。

これまでの実績からして、30%は作動していないので、その効果に頼るのは危険、と言う検証もある。

それはその通りで、絶対は存在しないと考えている。で、万が一、そのクルマで事故を起こした場合(装置が作動条件に合致している)、誰が責任を負うのか。ドライバーは国がこのクルマに乗れば事故を回避できる、と言うから選んだので、私のせいではない、というだろう。

では、そのクルマを作った自動車メーカーは「絶対の作動するものではありません」と説明書にも記載しているので、我々のせいではありません。と言うことになって、そのクルマを認定し、推薦した「国」が責任を持つのか。

物損だけの事故なら補修費用だけで済むだろうが、人身となったらヤッカイ。さ~どうする。自動運転と同じ議論に発展するのだが、そこまで詰めた議論をしていると言う話は、聞こえてこない。

どのようなことがあっても確実に作動する、と言う目標に向かって自動車メーカーとそのサプライヤーは、日夜開発に挑戦しているのだが、そうなるにはあと何年かかるのだろうか。クルマ内部システムの通信も重要で、その技術も発達し、現在はほとんどキャン通信であるが、それでは情報のやり取り量に追いつかないため、イーサーネットを使い始めたクルマもある、と言う話をサプライヤーから聞いたことがある。

それともうひとつ、自動に何とかしてくれる、と言う勘違いで、漫然と運転すれば、意識がしっかりとしない状況でもクルマは走るため、直接大きな事故は起こさなくても、その事故が大きな事故を引き起こす要因となることは十分考えれれる。

ドライバーの運転姿勢まで検証する(日野自動車がバス用として開発)装置が必要となるのではないか。

2019年6月7日金曜日

福岡でのエスティマ暴走は、助手席の方に少しの知識があれば、事故を最小限にすることは可能だった???


対向車線にはみ出しながら、かなりの速度で走り続けるトヨタのエスティマ。その走り方を良く見ると、対向車を僅かに避けながら走行しているように感じる。

助手席に乗車している奥様が、対向車線に飛び出さないよう必死にハンドルを動かしていたのではないのか、と言うことは考えられる。

でも、このような状態になったら、助手席に乗る人は何も出来ない、と言うテレビのコメンテーターがいるのにはびっくり。パーキングブレーキを利かせることは出来なくても(上級モデルでは、電動パーキングシステムを採用している車種もあるので、パーキングブレーキを利かせるのは簡単。また、そのブレーキ性能も高い。でも残念ながらこのエスティマには装備されていない)、速度を低下させることは出来る。

どのような行為をすればいいのかというと、ATのセレクター(俗に言うシフトレバー)をNレンジへ変えるだけである。

こうすれば、エンジンからの動力は寸断されるので、クルマは前進力を失う。

緊急時、冷静にこのような行動をとるのは難しいだろうが、普段から頭の中に入れておくことだが、そうは言ってもいざとなったら簡単ではない。そこで停止時でいいので助手席から、DレンジからNレンジへの操作を体験するのもひとつと言える。

ここでひとつ自動車メーカーに提案なのだが、電動パーキングシステムを採用しているクルマは、走行中にこのパーキングレバーを作動させたら、エンジンのスロットル装置がアイドリングとなるような、パーキングブレーキオーバーライドを、ブレーキペダルだけではなく、センターコンソールにあるパーキングレバー(スイッチ)にも組み込んだらどうだろうか。

また、イグニッションキーにスマートキーを採用しているクルマでは、エンジンの始動(スタート)停止(ストップ)をひとつのボタンで行うシステムが採用されている。そして、このボタンが中央より(センターコンソールとは限らない)に取り付けられているのなら、助手席からでもそのボタンに触ることが出来るはず。

そこで、いざとなったら、走行中にこのボタンを押してエンジンをストップさせてしまう。この方法もある。

ついでだが、あるコメンテーターは、ブレーキとアクセルの踏み間違いに付いて、特別なブレーキペダルとアクセルペダルの話をしながら、自分も左足でのブレーキ操作をしてみたが、いきなりガツンとブレーキペダルを踏んでしまい、うまくいかなかった。と言うことでお勧めはしないらしい。

左足でのブレーキ操作に関しては、経験と訓練をしない限り無理である。周りに迷惑がかからない場所で、Dレンジ走行状態からブレーキを踏む、と言う行為ではなく。エンジン始動時から(ブレーキペダルを踏んでいないとエンジンは始動しない)左足でブレーキペダルを踏み、エンジンが始動したらATのセレクターをDレンジに入れ、アクセルペダルは踏まず、そこからゆっくりとブレーキペダルを踏みつける力を抜き(完全に離さず足は乗せたまま)、クリープで走行させる。

クリープ走行させながら、時々ブレーキペダルを踏みつけ、制動がどのように高くなるか、身体で覚える。

その後、アクセルペダルを踏むようにして、速度を上げる。そこから再びアクセルペダルから足を離しながら、左足でブレーキペダルを踏む。と言うような行為を繰り返せば、身体がひとりでに覚えて、左足でのブレーキ操作が出来るようになる。

左足でのブレーキ操作がいいことは、アクセルとブレーキペダルの踏み間違いだけではなく、周りの状況から危険を感じたとき、自然に左足はブレーキペダルの上に行くこと。それにより、何か緊急な状態が発生しても、パニックブレーキとなりにくい。つまり、冷静にブレーキ操作が出来てしまう。

この状態を例えると、自転車で走行中、前方を走る自転車の行為が「何だか危ないな~」と感じていないと、パニックブレーキとなり、事故になることも。しかし、その行動を予測して、ブレーキレバーに手を添えていると、緊急ブレーキ操作はしても、冷静に操作するので、前方を走る安定しない自転車の、行動を避けることが出来てしまう。これは、自転車を乗る方の大半が経験していると思う。

左足でのブレーキ操作に関して、10年以上前に、新車の試乗会で「左足でブレーキペダルを踏む場合、爪先が何かの部品に接触して、緊急ブレーキのときに躊躇することがあり、芳しくない」と言うような苦言を述べたところ、対応していた開発者は「そんなに左足ブレーキにこだわるのでは、MT車の運転は出来ないでしょう」と言う決め付けで返事を返してきた。

そこで、「でも、サーキットを走るときにはトゥ&ヒルやるんですが」といったとたん黙り込んでしまった。つまり、そのくらい認識していないと言うことなのだろう。

2019年5月3日金曜日

また、ブレーキとアクセルの踏み違いによる事故が起きた。だから、ブレーキペダルは左足で踏んだほうが良い、と言う意見が出るのだ


これまでもブログで書いたが、2ペダル(ATなど)の運転では、左足でのブレーキ操作がベターである、と言う話を何回かした。でも運転免許を管轄する警察庁がそれをOKしない。

ブレーキペダルは、絶対に右足で操作する、と言うことから他を認めていないのだ。

ま、仕方がないか、実際に混雑した中でクルマを運転しない官僚がガンバッテいるのだから。新しい考えより、自分達の立場が優先するような組織が牛耳っていれば、新しい考えに対する取り組みはしない。それこそ、どこかの国の議会のようで、新人、若い議員からの新しい意見は無視するだけではなく、そのような考え方をする人物、意見を排除するようなことをやってしまい、それが後にどのようなことになるか、考えないのと同じだ。これでは発展性が見られない。

例えば、運転免許教習所でAT限定免許を取る場合、左足でのブレーキ操作を教習すれば、ブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違いによる事故は起きようがない。右足での操作か左足での操作か、教習生に自由に選ばせるようなことが重要であるのだが。(教習の途中で変更することも可能とする)

もちろん、教官が左足でのブレーキ操作が完璧で、教習生の見本とならなければ意味がないので、そのときには確実に教官への教習が必要となる。教官の教習する人物がいない、というのであるなら、左足ブレーキの操作が重要、と言う意見を持つ人物(私のその中に入るだろう)を集め、実際にどのようなものになるか、教官やお役人たちは体験すべきであると考える。

これにより、教習所の教習方法が大きく変化することを願うのだ。

TVの解説では、衝撃があって(事故などで)パニックになると、足を踏ん張ってしまうので、アクセルを踏みつけていると言う意識はなくなり、暴走に繋がると言う。

左足でのブレーキ操作も、衝撃による反応で両足で踏ん張ることになるためブレーキペダルを左足で踏んでも、アクセルが踏まれているため制動力が有効ではないと言うのだが、この解説者は、現在のクルマの構造を理解していない。

電子制御スロットルが付いた時点で、国土交通省は「左足でのブレーキ操作をする方もいるのだから、アクセルを踏んだ状態でも、ブレーキペダルを踏んだらスロットルバルブが戻ってしまう構造にするのが望ましい」と言う指針を発表した結果、今では、日本で販売する日本車の全てのクルマに、ブレーキ優先制御(ブレーキオーバーライド)と言うシステムが組み込まれている。

であるから、左足でブレーキペダルを使うことにより、パニックになったときに、暴走と言う状態にはならない。

TVで、いろいろ特集として、AT車(ATに限らないと思うが)の暴走事故を取り上げて、それに対する解説を、その筋の方にお願いするのはいいが、あまりにも構造を知らない方が多く、正しい説明、解説が出来ていない。

正しい情報を、視聴者に知ってもらわないと、それが例え間違っていても、次にくる正しい情報を「正しい」と認識するには、10年近くかかったりする現状を見ている者にとって、気になる解説内容である。

クルマだけではなく、左手でクラッチレバーの操作を必要とするバイクの運転でも、訓練と慣れによって普通に操作できるようになるし、昔の英国製バイクのように、後輪ブレーキは左足での操作をしなければならない構造であっても、慣れにより、それこそパニック(飛び出したクルマや歩行者に対して)になったとしても、後輪ブレーキを有効に使っていた経験がある。

それでは、クルマの場合、ATとMTは間違いなくどちらも運転できるようになるのだろうか、と言うと「出来ます」ということを即答する。それは、私自身がマイカーはMT車であり、試乗会で乗るクルマのほとんどがATで、仕様が変わっても普通にハンドルを握って運転しているからである。

確かに、初めて(大学生のころ)ATを運転したときには、一回だけクラッチのつもりでブレーキペダルを踏んでしまい、タイヤをロックさせた経験を持つが、それ以来、間違い操作はしていない。

ここからは経験談である。

長年、AT(右足でブレーキ)とMTを乗り続けていると、あるとき何もしていない左足のことを考え、左足でブレーキペダルを踏むようにできないか、と言う自問自答をやった。「そういえば、昔左足でのブレーキ操作を完璧にやっていた時代があったな~」と、思い出したとたん(左足ブレーキの大型バイクに乗っていた)、普通に左足でブレーキペダルを操作できてしまった。

ということから、誰でも左足を使うブレーキ操作は出来るようになると思っている。

また、その行為、つまり左足でのブレーキを使うと言うことに対して、完璧な操作が出来るようなクルマを作ったメーカーとその開発責任者の話を聞いたことがある。

その開発責任者に試乗後、私から「このクルマ、左足でのブレーキ操作がやりやすいですね」、と言ったとたん「わかりましたか~」と、身を乗り出してきた。

何のことはない、それまで数多くのジャーナリストが試乗していても、そのクルマのブレーキ性能を十分に理解した人物がいなかったと言う話である。

左足でのブレーキペダル操作を完璧とするには、これまでには考えなかった設計を取り入れなければならないと言う。

ドライバーシート左足の太ももが当たる部分のスポンジ。ブレーキペダルのペダルそのものだけではなく、アームに取り付けられるペダルの角度、アームの形状、ブレーキペダルアームピボットの位置、そして、素早く素直に立ち上がる制動力。

これが非常に重要で、左足でのブレーキ操作は、クルマの走行状態を先読みし、前方の信号が変わったときには、ブレーキペダルに足を乗せながら、ゆっくりと力を入れていく。そして、ブレーキパッドがブレーキローターに接触し、制動を発揮したところまで追いかけてのチューニングが必要であると言う。

その点が右足でのブレーキ操作と違うのだそうだ。右足だと、ブレーキペダルをいきなり踏みつける操作が普通で、ブレーキ液圧が上がり、パッドがローターに押し当てられる状態での評価、性動力となるようだが、左足であるとそれが違うと言う。

ここのチューニングが難しかったと言う。
 
ではそのクルマは何かと言うと。10年以上前に発売されたスバルレガシイ・アウトバック初代モデルである。

余計なことだが、このあたりからスバルのブレーキが良くなったように思う。

2019年4月4日木曜日

エコカー減税に対する基準・基本は正しいのか?


エコカーと言われるグループに属するクルマは、いろいろな減税の対象となっているが、果たして本当にエコカーなのだろうか。

走行中にクルマから排出されるCO2の量で決めているようだが、そのクルマを作るために排出されたCO2は計算されないのである。重要なのは見える状況での結果を基準とするのではなく、そのクルマが完成し、走り出す瞬間までに発生したCO2を加えて、総合的に判断し、それがエコカーであるかどうかの判断基準とするべきであると考えている。

現状のエコカー減税は、その基準に合致しているクルマを買える状況で生活している方々だけに与えられた特権で、お金が乏しい一般庶民に対する政策ではない。

話は違うが、目の前にあることだけで判断すると、原子力発電所は発電コストが安いので、大いに価値を認めてどんどん原子力発電所を造ろう、と言う話に行き着いてしまう。

でも、福島の原発事故以来、原発で問題視されるのは、事故が発生したときにどうするかだけではなく、その原発を解体整理するときの時間とコストで、そこを計算すると、造るべきではないことが分かってきた昨今である。(でも、少しでも原子力、放射能に知識があると、危険性と全体でのコストが高いと言うことは分かっていた)

これは、いくら電気料金が安くてもバランスできる状況にはならない。と言うこともあって、原発はトータルで見た場合高くつくし、その処分でCO2の排出も高くなるので否定されているのだ。もちろん放射能の問題も重要であるが、ここでは原発を例えとして取り上げただけなので、詳しい話はなし。

話を戻して、FCVやEV、ハイブリッドなどの動力にはモーターが使われる。そのモーターの性能(動力ばかりではなく効率も)を高める構造や内容にはCO2を多く発生することになるので、諸手を挙げて賛成できない、と言う話をする方がいる。これはその通りであると思う。

FCV(燃料電池を使用したクルマ)では、水素を溜めるボンベが必要で、そのボンベを造るのにどの位のエネルギーが必要なのだろうか。それは、CO2の排出と関係ないのだろうか・・・電気を溜めるリチュウムイオンバッテリーを製造するのに、どの位のエネルギーがいるのかは知らない。

2019年3月3日日曜日

80過ぎてモトクロスを楽しむ、とんでもない御歳より


この方は、バイクレース運営組織でアマチュア団体MCFAJ(全日本モーターサイクルクラブ連盟)の理事長である**栄一さん。

MCFAJの理事長を務める。ご自身は当然バイク大好き人間。体力の続く限りこの組織に関わりたいとか
 
今年の8月を過ぎると82歳となると言うから恐れ入る。

モトクロスコースでのレース参加だけではなく、三宅島でのエンデューロにも参加するというのだ。でも最近は、マシントラブルなどで完走できないことが続いているとか(残念。今年もやるのかな?)。

ゼッケン78が理事長。手前の88のライダーも御年69歳と言う。レースのタイトルは2ST_MANIA/SENIA80-70-60/VMX。いろいろなマシンと一緒に走ると言うことだ

スタートではフロントホイールを浮かせぎみとしながらダッシュ。理事長の乗るマシンはヤマハのYZ250F。当然レーシングマシンである
 
写真のレースは今年(2019年)2月17日に行われたもので、モトクロスコース(年寄り専用ではない。エキスパートが走るそのもの)を5周で争うが、自分の体力とテクニックを常に考えて、楽しい走りを心がけるとか。

そのため、結果は1周ラップされはしたものの、スタートではご自身より若いライダーを蹴散らして、第一コーナーまで3番につけた。でもその後は体力が続かず(と言うより、転倒などのアクシデントでレースがつまらなくならないよう気を使った)、かなりのマイペース。
バンクの強いコーナーを気持ちよく加速する理事長
 
でもそれでいいのだ。怪我をせずに思いっきり老後(???)を楽しむ、と言う基本的なことを絶対としているのだから。

2019年2月17日日曜日

FWD(FF)に限らず、ドライブシャフト・ジョイントのダストブーツは破損しにくくなった。その理由は


FWDではあたりまえのドライブシャフト・ジョイント部にあるダストブーツだが、数十年前までホイール側のブーツはハンドルを切ることによるストレスが加わり、耐久性は短かった(5万キロぐらい)。特に気にしないで駐車するときにハンドルを大きく切ったままであると、ジョイント部にあるブーツが強く引っ張られ続けられることで、大きなストレスとなり、ブーツの耐久性に影響した。

でも、最近のクルマはこのドライブシャフト・ダストブーツは、破損することが少なくなっている。

数十年前だが、新車試乗会でブーツの材質が代わっている事に気が付き、その理由を開発者に聞いてみると「アメリカの規則によるものです」と言う返事だった。

なぜアメリカはゴムではなく、簡単に破損しないものを要求したのかと言うと、砂漠地帯のブッシュを走る機会は日本に比べたら計り知れないほどあるわけで、そのときにゴムのダストブーツであるとブッシュを巻き込んで簡単に切れてしまい、そこからグリースが飛び出し、更のそのまま乗り続けると、ジョイントが破損する(アメリカ人はクルマに対する気の使い方が日本人ほどではないため)。ドライブシャフトが破損すれば当然走行不可能となり、砂漠の真ん中だったら遭難事故になる可能性が高いことも関係しているとの話。

何がどう代わっていたのかというと、それまで、当然のようにゴム製のブーツだったが、そのクルマに採用されていたものは樹脂プラスチック(現在発売されている日本のクルマは全てプラスチックだと思う)。

このように材質の変化がオーナーの使い方によるトラブルもカバーするように造られるのが日本車でもある。

そういえば、最近、FWD車で変な音を出しながら走行するクルマを見かけなくなった。これは、アウトボード側(ホイール側)等速ジョイントのトラブルが発生していないことを意味する。つまり、しっかりとダストブーツが性能を保持しているからである。

これ切れたダストブーツ。グリースはもともと添加剤混入のため黒い。ブレーキシリンダーにオイル汚れがあるので、かなり前にブーツは破損していたと考えられる。
 
ついでの話だが、水冷エンジンの冷却に使うLLC(ロング・ライフ・クーラント)、その交換時期(使用年月や走行距離)は自家用車において特に決められていない。

一般的に10万キロ対応となっているため(トヨタではスーパーLLCと称するものを使っている場合には17万キロ或いは7年毎と言う記載があるので、これまでのように2年で一回と言う話はない)、新車で車を購入した場合、走行距離が特別多いユーザー以外、交換を考える必要がなくなってきた。

交換なしとした理由は(交換しなくても良いLLCが製造できただけではなく、その状態でも腐食しないアルミ合金が開発されたからだが、最初の自動車メーカーはホンダだったように記憶している)、排出したLLCを下水などに流してしまったり、適当なところに放出するからで、このLLCに含まれる成分が環境破壊に結びつくと言うことからだった。

2019年2月4日月曜日

スペアタイヤに代わりに搭載のパンク修理キットだが、修理後の信頼性のないことをしっかりと理解する必要がある


最近はあたりまえになってしまったパンク修理キット。スペアタイヤより管理が簡単で、使い方のマニュアルを読めば、ひ弱な(失礼)女性でもパンク修理が出来る、と言うことが売込みだった。

確かに、女性(だけとは限らない)がスペアタイヤの交換をする作業は、少し無理だろう。女性に限らず男性であっても、正しい位置にジャッキを掛け(間違えると事故になる。またはクルマを痛める)タイヤ交換をする行為はかなり大変。ジャッキアップする前にホイールの締め付けナットを少し緩めておく、と言うやり方を使わないと、大事なところでトラブルとなるし・・・

また、せっかく交換したスペアタイヤの空気圧が不足しており、ペッチャンコなどということは当然のように起きている。

それならタイヤ交換よりその場で簡易的にパンク修理が出来ないものか、と言うことでまとめられたのが、パンク修理キットと言うやつだが、これでパンク修理が出来ても、完全ではないと言うことが周知されていないから、走行中に空気圧が不足して、大きな事故となることは考えられる。

また、カーショップなどで販売されている「瞬間パンク修理」用品だが、これもかなり条件が整っていないと効果は発揮しない。

基本的にはチューブレスタイヤのみであると言うこと。昔、チューブタイヤ(バイク)に使用したことがあるが、一時的にもタイヤが膨らむことはなかった。その理由は、パンク修理材は圧縮された状態で噴出するときにゴム状となり、接着性が生まれてパンクした穴を塞ぐからだ。

チューブレスなら(場所によるが)タイヤゴムの間を修理材が抜け出るとき、圧縮されることになるため、ゴムと化すのである。試しに少し噴出させて、それを指ですりつぶしてみると分かる。こうするとゴムと化すのだが、ほっといたのでは何の変化も起きずに、そのうち液体に変化する。

チューブタイヤでは、チューブを修理材が抜けるときに圧縮されないため、ゴム化しないから、パンクした穴はふさがらない。

また、チューブレスタイヤのパンク修理を、この瞬間パンク修理キットで行った場合には、出来るだけ早いうちに、本修理するように指導されている。

つまり、この行為(パンク修理キットを使った場合も)を行ってのパンク修理は、本修理ではないと言うこと。

で、その本修理とはどういうものかというと、ホイールからタイヤを外し、タイヤの内側から傘状のゴムをパンクした穴に通し、接着剤で接合する方法。外側からやれるキットもあるが、業者に頼むなら内側からをお勧めしたい。

2019年1月23日水曜日

なぜクルマとバイク、環境とテクノロジーに対する次元が同じようにならないのだろうか


クルマはEVだとかハイブリッドだとか、FCVなど、さまざまな動力を具現化して、今ではそこいらじゅうに走っている、と言うのが実状。対してバイクはというと、実験中や一部の制限があるものは条件をつけて市販などしているが、まだまだ実用性は低い。

では、実用性は今後どうなるのだろうか。いつも考えてしまうのでが、クルマのようにボディが大きくないバイクでは、今の技術力を酷使しても、到底成り立たないように思う。でもそれはいつかブレークスルーすることで達成できるのだろうか。

期待してもいいと思うが・・・・

と言うのも、今では当たり前となっているクルマの技術でも、その昔は無理だ、と言われたものが、ごく普通に市販され、お金を出せば誰でも購入できる環境は出来た。

そう簡単な話ではないだろうが、EVを例えにしてみると、やれば出来そうな感じである。小さな原付での実用性は今の状態では無理だろうが、それ以上に大きな軽2輪扱いとなれば、容量が大きなバッテリーを搭載することは可能であるし、モーターに対しては十分に対応できそうである。

以前マラソン、駅伝に使うカメラバイクや白バイなど、大型スクーターをベースにしたEVバイクを使うべきだ、と言う提案をバイクメーカーにしたこともある。でもそのときには否定的な反応をされた。モーターの駆動力は確保できてもバッテリーが持たないという。でも、一定速で走行するマラソンなら、十分にバッテリーは持つだろうし、容量が不足する事態が発生したら、次の中継所だけではなく、途中に同様のバイクを用意して、バトンタッチすれば済むはず。バッテリーバイクをどのように使ったらいいか考えれば、自ずと結論がでそうなのだが。

そしたら、小池都知事は「オリンピックのときにEVバイクで伴走させたい」と言うような発言をされていた。

いよいよ来たか~である。発言力を持つ誰かが言い出さないと新しいものへ挑戦することが出来ない国民性、それは日本人なのかもしれない。

マラソンの先頭を走る中継車や審判車でも、排ガス規制が強くなる前であると、ランナーはディーゼルトラックの黒煙と強烈な匂いを吸いながら走っていた。これでいいのか、と言うことを当時の陸上競技雑誌のジャーナリストに聞いてみたことがあるが、トップランナーの全てが、ディーゼルの匂いと黒煙を何とかして欲しい、と陸連にお願いしていたようだが、当時の陸連は「気にも留めてくれなかった」という。

クルマ雑誌でマラソンの伴走車に対する実状を、トップランナーの目から見たものを掲載してくれるなら、原稿料など要らない、彼らの気持ちを取材するので、ぜひ掲載してくれないか、と言われたことがある。

その掲載誌を持って陸連に出かけ「陸上競技に関係のないクルマ雑誌でさえ、伴走車の排ガスが、如何にランナーをいじめているか掲載している。何とかして欲しい」と言うことを直訴したいと言う話だった。

編集会議でそのことを話したが、ページを取ってくれなかった。あの時掲載ページを取っていれば、自動車雑誌の権威とか立場がもう少し高くなっていただろうに、と思うことりである。

ま、気にしている人にとっては、重大なことなのだが、そうでない人にとっては、どうでも良い内容となり、それに向けた改革は面倒なので、手を付けたくない、と言うのが実状だろう。

これでは進歩しないな~

2019年1月14日月曜日

EVが走行の途中で、或いは出先で電欠(俗に言うバッテリー上がり)となった場合の救済方法は考えているのだろうか


ニッサンはEVにかなり力を入れているが、その中でEVを活用することも、EVを広く認知させるため、いろいろと活動内容を編集していて、なるほどと感心することもあったが、「ハタ」とひらめいたことがある。

それは、タイトルにも書いたが、出先での電欠。電欠となる前にどこかで充電すればいいのだが、時と場合によってはそれが叶わないこともある。

せいぜい他のEVを派遣することぐらいだろう。牽引して、充電が出来る場所まで持ってくればいいが、それよりもっと良い方法は、派遣した(或いは同行している)EVのバッテリーから、電欠したEVのバッテリーに充電できるシステムを作ればいいのではないのか、と言う話。

もちろん普通に接続したのでは、いくら元気なEVのバッテリーでも、電欠(俗に言うバッテリー上がり)したEVのバッテリーに、しっかりと充電できる電圧とはならないから、ここは昇圧回路を組んで、ボルトを高くし充電効率を上げることが必要。

充電するには、充電器(或いはバッテリー)の容量よりも電圧が重要で、高いところから低いところへ流れるには、高いボルトを要求されるからである。

2018年12月25日火曜日

雪道、アイスバーン走行で必要とされるタイヤーチェーンだが、絶対ではない、使い方を間違えると・・・


今期から、大雪注意報が発令された場合には、スタッドレスタイヤだけでは通行させない。タイヤチェーンの装着を義務付ける場合があると言う。

この法律、できるようになった経緯はわかるが、タイヤチェーンを付けることによる不都合やトラブルについては、審議された方の経験と知識不足を感じてしまう。

東京での大雪(と言うほどでもないが)。今年の首都高速での渋滞原因は、テレビで見る限り大型トラックのタイヤに巻いたタイヤチェーンによるものだった。雪がない上り坂でのタイヤーチェーンは、舗装路でグリップしない。硬い鉄と硬い舗装路、これはどう見ても食い込まないので、駆動力は伝わらない。あの状態なら、トラックを止めてタイヤチェーンを取り外せば済むのに、なぜそれをやらせなかったのか、不思議でならない。

タイヤチェーンが舗装路ではグリップしないと言うことは、トンネルの中では同様なことが起きるので、排気ブレーキ(フットブレーキでなくとも)を使用したとたんスリップ、激突の事故は起きるだろう。

また、このような事例を目撃したことがある。それは、苗場スキー場からの帰り道。トンネル手前のダラダラの上り坂。荷物を積んでいない大型トラックが徐行しており、その後ろには助手と思われる方が、注意喚起をしている。

なぜノロノロ走行なのか見ると、タイヤチェーンを付けているが、圧雪された雪にはそのチェーンが食い込まない。ほとんど空転状態で何とか走っている。恐らく一度でも停止したら、その場から動くには雪かきして、走行抵抗を大きく下げなければ無理だろう。

以上のことから、タイヤチェーン絶対ではなく、ケースバイケースで使用する事が大事である。

チェーンでも金属ではない、樹脂やゴムのものならその効果はある程度期待できると思うが、大型トラック用の物はあるのだろうか。

それと、雪道でスタックしてしまうのは、圧倒的にトラック(大型)が多い。それなのに、全てのクルマにタイヤチェーン装着を義務付けるのはナンセンスなのでは。

それと、以前にも書いたが、乗用車でのタイヤチェーン装着は、前輪なのか後輪なのか。

上り坂ではFF、FRに関係なく駆動輪だが、下り坂となると少し違う。

FFで駆動輪(つまり前輪タイヤ)にチェーンを装着して、気持ちよくコーナリング。速度が出すぎているのでアクセルを戻したとたん、後輪が外側へスリップ。

これは当然の状況で、しっかりと路面を掴んでいるんは前輪だが、後輪は何もないため、その横力に耐えることが出来ず、スピンに至るのである。

そのため、タイヤチェーンが2本しかないのだったら、前輪に巻いてあるどちらかを外して、対角線上にある後輪に巻くこと。これをすることでコーナリング中のスピンはなくなるが、上り坂では駆動輪のタイヤチェーンの巻いていないほうがスリップするので、登坂は厳しくなる。

FRの場合には、上りも下りも速度を注意すればスピンに至ることはないが、ゆるい下り坂の渋滞路でクリープ走行中にブレーキペダルを軽く踏んでも減速が難しくなる。強く踏めばタイヤチェーンを巻いてある後輪が雪などに噛み付いて、制動力を発揮するが、軽く踏んだ場合には、前輪のタイヤチェーンを装着していないタイヤが、先にロックしながらABSが作動する。後輪はタイヤチェーンが雪道にしっかりと食い込むため、軽い制動ではロックになっていないのでので前進は止まらない。では、常に強くブレーキペダルを踏めば良い、と言う話になるが、これは急制動を意味するので、追突される危険が生まれる。そこで、渋滞路では下り坂でなくてもATのセレクターを動かして、Nポジションにし軽くブレーキペダルを踏む方法が理想的。

2018年11月30日金曜日

自動車の整備まで、海外から日本へ来る方に任せるのは、整備に対する考え方が違うので疑問


日本での働き手不足を補うため、人材を海外にゆだねると言う話が決まりそうだが、クルマの整備までそれを行うと言うことについて、ヒューマンエラーの実態を多く見たり体験している者からの意見としては、基本的に反対である。

というのも、この法律を決めようとしている議員さんたちは、ディーラーメカニックの技量を知らなさ過ぎるからであると断言できる。技量と言う内容は少し幅が広いが、全てのメカニックではなく、一部のメカニックであっても、走る凶器とまで言われたクルマ。メカニック自身の気質を、本人自身が理解しないまま、他人のクルマを整備することに対し、何か問題が発生して当然なわけで、考え方がそのことに行き着かないのが不思議である。

人間のやることは、そこにエラーが発生しても不思議ではないし(新幹線や飛行機の整備でも発生している)、発生して当然なのである。それを理解していない議員さんたちが、自動車の整備まで海外の人材を活用すると言うのは、あまりにも冒険過ぎる。

コンピューターではない人間なのだから、ミスをやってもフリーズすることはない。だからミスである作業を、その後発生する事故によって表面にでるまで見つけられないのだが、更に追求すると、その整備ミス(ヒューマンエラー)をしたメカニックのところまで結果が届くだろうか、と言うと、まずそれはない。自動車ディーラーの場合、フロントと言う受付でユーザーからの苦情がストップするようになっているからだ(現場から直接聞いた内容)。

以前のブログにも書いたと思うが、整備ミスをやってお客さんに迷惑を与えたメカニックは、事務所に呼びつけて(朝礼のような、大勢がいるところではダメ。自尊心が傷つくので)、個人的に叱責はしないのか、と言う質問を、当時の自動車メーカーサービス技術部担当者にしたら「怒ると辞めてしまうから、見てみぬ振りをするか、それとなく伝える」と言うのである。

これではクルマ、バイクをいじるための感性は育たない。本当は自分のクルマやバイクをいじるときにヒューマンエラーをして欲しいのだが(それによって他人に危害が加わるようではダメだが)、自分でクルマやバイクが所有できる環境にあるかどうかだ。

クルマをいじる環境について、ある自動車部品のサプライヤーで聞いたことがある。工場が休日のとき、そこを使ってのクルマいじり(ラリーカーを造ったり)を認め、技術と感性が育つことを推奨。それを実行していると言う。

また、少し内容は違うが、ある自動車メーカーに勤める方より、同じ系列の部品サプライヤーに勤める従業員のほうが、クルマやバイクが好きで仕事熱心、目的意識を持って取り組むと言う。

このあたりの考え方も重要ではないのか。

街の中にある何でも受け付ける修理工場のメカニックには優秀な方が多いのだが、それは全てではない。自動車整備士の給料が高くていいのだが、それに見合った仕事の内容であるべきだと思う。

2018年10月30日火曜日

ニッサン・セレナe-POWERを再試乗してわかったこと


話題となっているニッサンのミニバン、セレナe-POWERだが、発表会直後の試乗会では、アクセルを離した直後に起きる回生ブレーキ(これにより発電機の能力を高めて走行用のバッテリーに充電する)の立ち上がりが強烈で、とてもじゃないが評価する基準ではない、と言うような原稿を書いたのである。

その真実が開発陣に届いたのであろうか、「もう一度試乗してください」と言う案内が届いた。そして、試乗してみると、これなら問題ない。

ドライブモードをS/ECO或いはノーマルと切り替えても、ノーマルは当然として、そのほかのモードでも、アクセルを離したとき、強烈な立ち上がりの回生ブレーキは発生しない。

この制御であるなら、ドライバーはもとより同乗者も不快に感じることはない。最初からこの状態で試乗させてくれていれば、もっと他の記事も書けただろうし、クルマの良し悪しを評価できただろう。

例えば最初のジャーナリスト向け試乗会で、何か指摘されたら、そこから造り込みすれば・・・と言う自動車メーカーもいるが、それはあまりにもひどい話。しっかりと納得できるまで開発、造り込みをしてから市場に出すべきである。

回生ブレーキ、つまり駆動用モーターを駆動用バッテリーに充電するための発電システムは、どのように発電を行って回生させるかで、クルマの減速タイミングが大きく変化する。その変化が、突如に、やってくると強烈なエンジンブレーキと同じで、不愉快極まりないばかりではなく、同乗者はクルマ酔いしてしまう。そこで、どのようなタイミングで回生率を立ち上げるかが肝となる。これは当然のことで、それによってクルマの評価が大きく変わってしまう。ここは確実に周りの意見を素直に聞いて、作りこみをしなければいけないのである。

2018年10月16日火曜日

思い出したぞ、やってもらわなければ良かった初回点検


数十年前のことだが、あるイベントの現場でトラブルに巻き込まれ、それを人脈と技術で克服した話をしてみる。

そのイベントとは、今でこそメジャーになったイーハトーブトライアルである。

公道、林道、ハイキングコースを走りながら、そこここに点在する(主催者側が人工的に或いは自然に地形を利用して)セクションと呼ばれる障害物的な場所に専用のバイクでトライし、そこを如何にスムーズに走り抜けられるか、的な評価で勝敗を争うイベント。詳しく言うのは面倒なので割愛。

そのイーハトーブトライアルに、当時同僚だった人間が取材を兼ねて参加するので、経験の有る私が同行し面倒を見ることとなった。私が乗るバイクはスペインのオッサMAR(ミック・アンドリュース・レプリカ)で、その問題の出た同僚が乗るのは、当時再販したホンダのTL125(イーハトーブ)。

新車で購入し、意気揚々と会場に集合。前日には当時のホンダ・サービス拠点の中枢であるSFに持ち込んで、初回点検を済ませてきたと言う。この点検をやると言う話は事前に聞いていたので「止めとけ、今現在問題のない状態なら、一部でも手を付かないほうがいいぞ」と助言したのだが、聞く耳を持たない彼は、その拠点にバイクを持ち込んで、初回点検(何をしたのかは不明)をやってもらった。コレが大失敗。

イベントの前日にクルマから降ろしたバイク(イーハトーブ)のエンジンを始動させようとしたが、いくらキックペダルを蹴飛ばしても始動しない。そこで点火プラグにスパークがあるかどうか確認したところ、何も起きない。これはやばい・・・

そこで、何が不具合なのかわからないので、とりあえずシリンダーヘッド左側にある、点火タイミングを決めるパルサーがどうなっているか点検したが、見るだけのことしか出来ないので、結果は不明。

このままでは問題を発見できないので、クランクケース左側に取り付けられているフラマグ(ダイナモ)のカバーを外すと、なんと中から6mmのボルトが1本出てきた。そして、更にそのボルトが何をしたのか見ると、点火発電用のコイルを切断していた。フライホイールは磁石になっているので、それによりガチャガチャに掻き回されたのだろう。

だが、こんな山奥に部品はない。そこで、このイベントを積極的に応援し裏方で動いている盛岡のホンダディーラーの方に相談すると、「まだメンバーはバイクショップにいるので、新車から取り外して持ってくることは可能」というが、その取り外した部品を補充しないといけないのだが、そのトラブルを起こした原因は、SFのメカニックであるので、バイクのオーナーがそれを負担するのはおかしい。

そこで、ホンダ広報に電話をかけると、責任者で親しい方がまだ会社にいた。経緯を話して、部品の補充を盛岡ホンダへやってもらうことの約束を取り付ける。

盛岡ホンダから届いた部品を組み付ければ問題解決。2日間にわたるイベントは無事終了。

さて、何でこのようなトラブルが起きたのか考えてみると、サービスの現場があまりにも整いすぎていたからとしか言いようがない。(必要な部品は常に多数保管して有る)つまり、意味もなくエンジン左のカバーを開け、なにやら増し締めみたいなことをやったのだろう。そのとき、カバーの締め付けネジはどのように管理していたかである。近くには強力な磁石がある。それを無視すると・・・

1本見つからない。探したのだけれども(恐らくすでにフライホイールの磁石に張り付いていただろう)見つからないので、部品庫に出かけ同じボルトを探して組み付けたと思われる。表面的には問題解決だが、その奥に爆弾が仕掛けられたことを知る由もない。

そして、イベントの前日にその爆弾が爆発した。

で、この初回点検だが、私は「問題がなければヤルナ」と口を酸っぱくしてその同僚に話していたのだが、聞く耳を持たなかったため、メカニックのヒューマンエラーに巻き込まれたと言う話。

人間がやることに対しては、常に「大丈夫かな?」と言う気持ち、疑いの目を持つことは重要と思っている。

2018年10月7日日曜日

ホンダエコマイレッジチャレンジの車両規則に疑問



エコノパワーと言う名称を使い始めたときから、毎年取材や参加、或いは観戦に出かけているのだが、どうも疑問に感じる規則が多い。これまでも、チクチクと競技委員長などに問題を投げかけたり、(2014年10月5日にアップした本田エコマイレッジチャレンジ2014で見た、とんでもない光景を見ればわかる)ブログで事実を公表することでだいぶ正常(?)になったかとは思うのだが、まだ足らない部分がある。

それは、使用するバッテリーのこと。私が参加した時代はインジェクションがなかったので、バッテリーは12V8AHまで、と言うレギュレーションがあった。

しかし、インジェクションの普及と共に、それまでのバッテリー容量では不足する、と言う話がどこからとも沸きあがり、容量の規則は消し飛んだ。実際のところ、12V8AHで十分で、現在インジェクションのマシンでも、この容量で足りているどころか、有り余っている。

さてここでの問題は、バッテリーは市販品なら制限がないという点。何ボルトでも容量何アンペアでもいいということだから、ずる賢いチームはモーターを主動力としたハイブリッドのマシンを造り出しそう。

もちろんエンジンは付いているが、それを使用するのはスタート時だけで、その後のスピードアップは、クランクケース内に組み込まれたギヤを切り替え、セルモーターで加速する。バッテリーの消費が多いのは停止時からのトルクを多く必要とするときだけだから、走り出したらそれほどのバッテリー消費はない。

それでも、どの位の容量のバッテリーがあればいいのかわからないから、小型自動車で使われる12V36Bなどのものを用意すれば事足りるだろう。
 
もしこのような違法改造マシンで競技会に参加したら、とんでもない記録が出ることになる。リッター10000キロ????改造の手間と費用はたかが知れてる。
 
スタート前の車検では、エンジン内部構造がどうなっているかわからないので、競技終了後にそれぞれのクラス上位2台ぐらいは、再車検でエンジン分解を義務付けるべき。それを規則に入れることで、このようなズルク気持ちの悪い改造はなくなると思うのだが・・・。
 
以前には以上のようなことを書いて、主催者に提出したことがあるが、その後何の音沙汰もない。また、当時は「分解なんて出来ないよ。構造がどうなっているかわからないマシンだから」と逃げていたが、レースでも再車検の分解はそのチーム自身で行うことになっているため、オフィシャルが手を出す必要はないので、同様に規則を作ればいいだけだ。


2018年10月4日木曜日

ATFの交換方法 その4  究極の交換方法がこれ、そのやり方をレポートしてみた 


その②で書くべきことだったのだが、忘れていたことがある。それは、メルセデスに搭載されているATには、トルクコンバーターに、ATFのドレンプラグが付いている(最近のものはわからない)。これを外せばトルクコンバーターに溜まっているATFを排出できるので、交換率はかなり高くなる、と言う話。

もうひとつ、それはレベルゲージの見方。HOTとCOLDの刻印がゲージの先端についているので、完全にエンジンとAT本体が冷えているときに新油を注入する場合、COLDの刻印で注入量OKの判断をしてしまうが、この刻印はあくまでも目安であり、正しくは60分ほど走行させ、完全暖機の状態で点検することが必要。

交換方法としては、外部のポンプを使った強制循環で交換と言う方式も有るが、これは多量(正確には知らないが20~30リッター位らしい)のATFを使って、強制的にATFをAT内部に押し込み、循環させることで新油とするもの。それだけ聞くと問題ないように見えるが、実は強制的に高圧のATFを流し込むことで、それまで各部分におとなしく溜まっていたスラッジが浮き上がり、AT内部に漂うこととなって、その後ジャダーの発生(スラッジのボールベアリング効果から発生)などのトラブルに結びつくので、やらないほうが良い。ただし、ジャダーなどの発生は6ヶ月を過ぎたあたりから小さくなる。(これは、再びスラッジが落ち着く場所に落ち着いたからで、それでもATリビルダーはトラブルと評価するらしい)料金も多量のATFを使用することから、かなりの額になるようだ。

交換の方法をいくつか試しても、暫くするとATFの色が、きれいな赤ではなく、どす黒い状態になっている、と言うことであると、これはATそのものを完全に分解して、内部の洗浄を行い、更にバージョンアップされた一部の部品を交換するなど、完全にリビルドしなければならないのが普通だが・・・

この状態のATであると(走行13万キロ)、走行中にセレクターをDからLなどに動かし、エンジンブレーキを強く利かせるようなことをすると、そのときに発生するショックはかなり大きく、壊れてしまうのではないかと思うほど(経験から)。

でも、いくらかでもベストな状態に近づきたいと言うのであるなら、私がやったように、ATのオイルパンを外した状態でエンジンを始動し、ATFのフィルターから新油を吸引させATF交換を行う方法がベスト。

使用するATFは純正品。容量としては8~12リッターぐらいだろう。さらに、ATのオイルパンも剥がすので、組みつけに使うパッキン(或いはシーラー)も購入。そして、バルブボディに取り付けられているATFのストレーナーも購入(再使用してもいいが)。ストレーナーには銅パイプをハンダ付けする必要があるので、そのための銅パイプ(ホームセンターで売っている)も購入。ついでにそのパイプへ取り付けられるビニールホースも必要。

取り外したオイルパン内部をバルブボディや磁石など、金属の破片がないことを確認したら、バルブボディに取り付けられているATFのフィルターを取り外す。その目的は、フィルターの状態確認だけではなく、ATF吸引口にホームセンターで購入した銅のパイプをハンダ付けするため。よって、ハンダ付けが完璧に出来ない方には無理の作業。もちろん自身でなくとも知り合いに頼むと言う方法もあるが・・・

銅のパイプをハンダ付けしたフィルターを元の位置に取り付け、そこにビニールホースを接続し、その反対側をATFの入った缶に差し込む。

なお、AT本体のオイルポンプは吸引能力が高くないので、リフトに載せて高い位置での作業は出来ない。リジットラックで固定するぐらいの高さで行う。

AT本体の下側には、オイルパンよりも大きい受け皿を用意し、エンジンを始動する。ATFを吸引し始めたら、アイドリング状態からATのセレクターをDレンジとし、更に新油を吸引させるのだが、セレクターを動かしたら、素早くアクセルを軽く踏んで、60キロぐらいに速度を上げる。するとAT内部のほとんどの通路に新油が流れ込む。

吸引させている新油がなくならないうちにアクセルを離すと、アキュムレーターに溜まっている古く汚れたATFが「ゴボゴボ」と言いながら排出される。この汚れたATFが問題なので、コレを見届ける必要がある。

8リッターほどのATFを使用してこの作業を行えば、AT内部の各所に新油が送られるので、ほとんどの場所でATFが入れ替わる。
 
オイルパンを外してエンジンを始動させる、ということに違和感があるだろうが、ウエットサンプのエンジンだって、オイルをクランクケースの下に有るオイルパンに溜めているだけなので、それは便宜的にそのような構造としているだけで、そのオイルパンがなくても、ストレーナーからオイルが吸引できるような状態としておけば、これも普通に回して差し支えないのだ。