研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2012年11月15日木曜日

2013年次RJCカーオブザイヤー顛末記

インポート部門に、会始まって以来の同点が


今年もやってきました、RJCカーオブザイヤーの時期が。しかし、蓋を開けてみたら、インポート部門に同点のクルマが出てしまった

 

11月13日のツインリンクもてぎ。ここには、ベストシックスに選ばれた国産車、輸入車、テクノロジー、そして、RJC技術選定委員会(委員長は私、青池が勤めました)の特別賞候補である技術が並べられた。
テストデー当日早朝。まだRJC会員を迎える準備が着々と進行している。さてどのような結果が出るのだろうか

これより前の11月1日には、公開でベストシックスの開票が行われたわけだが、前評判とは少し違ったクルマやテクノロジーが、最終選考会のツインリンクもてぎへ持ち込まれることが決まった。
RJC会員が集合して、まず最初に始めるのは、当日集められたクルマの撮影。同じアングルで撮りたいカメラマン。それに応えるため走り回る会員がいる

2013年次RJCカーオブザイヤー・シックスベストは、ホンダN-BOX/N-BOXプラス、マツダCX-5、三菱ミラージュ、ニッサン・ノート、スズキ・ワゴンR、トヨタ・アクア。以下同様に順不同

インポート部門のシックスベストは、アルファロメオ・ジュリエッタ、アウディ・A4/S4、BMW・3シリーズ、シトロエン・DS5、メルセデス・Bクラス、フォルクスワーゲン(以下VW)・up!

テクノロジーのシックスベストは、マツダ・スカイアクティブ-D、ニッサンノート・エコスーパーチャージャー、スズキ・グリーンテクノロジー、トヨタ・プリウス用プラグインハイブリッドシステム、VW・up!に搭載のシティエマージェンシーブレーキ

技術選定委員会からの特別賞技術は、三菱ふそう・キャンターエコハイブリッドに搭載される、トラック初のハイブリッドモーター内蔵ツインクラッチミッションが持ち込まれた。

会員の最終確認が終わり、投票から開票へと移る。まず最初は特別賞。

この特別賞については、その技術を信任するかしないかで決まるわけだが、これまでテストデー当日に、不信任で却下されたことはないので、まず信任されるはず。当然その読みは正しかった。
特別賞は、三菱ふそう・キャンターエコハイブリッドに搭載された、 トラックとしては初のハイブリッドモーター内蔵ツインクラッチミッション

次はテクノロジーだが、私が押していたマツダのスカイアクティブ・ディーゼルは、イヤー賞とならず残念。

このすごい、世界のディーゼル・エンジニアが注目する位置にあるディーゼルエンジンであるが、それを理解していなければ、高い評価点を与えることは出来ない。理解不足が招いた結果とも言える。

つまり、RJC会員に対するマツダのディーゼル勉強会が足らないだけではなく、テストデー直前での復習勉強会などの開催も重要であったと思う。世界最高の技術であると言う判断が出来るには、それなりの基礎技術が頭に入っていなければ無利と考えるからだ。

RJC会員の大半は、この基本的な技術(ディーゼルに限らず)の知識はないのだから、そのあたりからの勉強会は今後も必要だと思う。

で、テクノロジー部門のイヤー賞は、スズキのグリーンテクノロジーに決まった。スズキとしては、初のテクノロジー賞受賞である。
テクノロジー賞は、マツダのスカイアクティブ・ディーゼルを寄せ付けず、スズキ・グリーンテクノロジーが獲得

インポート部門のイヤー賞は何と2台。VW・up!とBMW3シリーズ。

衝撃が走ったのはインポート部門。実は、イヤー賞となったVW・up!とBMW3シリーズは、点数を読み上げるたびに同点得票、逆転得票、逆転の逆転を繰り返し、最後の投票用紙を読み上げたところで、同点の得票になる、と言う結末が。
インポートでイヤー賞となったBMW3シリーズ。ディーゼル搭載モデルもあり、輸入車なのにガソリン仕様との価格差は少ない
同数でインポート部門のイヤー賞となった、VW・up!。これまでとは違うVWの先を見越したクルマといえそう

イヤー賞で同点となった場合の扱いは決めていなかったので、会長の一言「両車ともにイヤー賞です」で、会始まって以来の出来事が起きた。

最後はRJCカーオブザイヤー賞の開票であるが、これは大方の予想通りニッサン・ノートが受賞。開票の始めから順当に得票を伸ばし、追い上げるマツダCX-5を突き放した。
大方の予想通りに票を獲得したのは、はやりニッサン・ノート。クルマのできは、コンパクトカーの領域を超えている

2012年11月2日金曜日

ポイント式点火装置を勉強する その⑥

ポイントのギャップが大きいときには、このように乱れた波形になってしまう

 

ポイントのギャップで重要なのは、閉じている時間と開いている時間のバランス。つまり、ギャップが狭くても(コイルの発熱が多くなる)広くてもダメ。

広いと何がダメなのかと言うと、高回転時のコイルへの通電時間が短くなり(業界用語ではコイルへのチャージと言う)、その結果スパークエネルギーが低下する。

ポイントギャップが広くなると、1次波形も、ポイントが閉じるとき電流に乱れの生じている様子が分かる。この結果、次の点火に支障が出てしまう

1気筒エンジンなら、かなり適当にいじってもそれほど問題とはならないが、マルチエンジンでは重要となる。自作したデモ機の場合には、3気筒だったので、その点ではかなり有利。

これが、4気筒、6気筒となったら、シビアになる。まして、昔のV8エンジンとなったら、非常にデリケート。そして、いくらギャップを正しくしても、6気筒や8気筒ようなエンジンでは高回転時の点火エネルギーが不足し、かつ点火時期が遅れるため、高回転時の燃焼が難しくなってしまう。

2次波形を見るとそのエネルギーが小さく、そして放電時間も短いことが分かる。これではまともに燃焼できず、HCを多量に排出することとなる

2012年10月28日日曜日

トラックにもツインクラッチとハイブリッドの組み合わせが登場してきた

三菱ふそう・キャンターエコハイブリッドの試乗会へ参加して気がついたことがある

 

開発・企画で大切なことは「自分の欲しいもの」であって、「これなら売れる」と言う発想で開発すると失敗が多い。ただし、「自分の欲しいもの」と言う考えがまとまるには、趣味や興味が大きなきっかけを作る

 

キャンターエコハイブリッドには、ボルグワーナーの特許に関わらないツインクラッチのシステムと、更に、リチウムイオンバッテリー搭載のモーターによるハイブリッドシステムが組み合わされている。

これが、三菱ふそうで開発された、トラック用のツインクラッチシステムとハイブリッドモーターが組み合わされたミッション。モーターだけでの走行も可能だが、エンジンの停止はしない。それをやるには補機類の駆動を見直す必要が有り、まだ時間がかかる。ツインクラッチなので、乗用車同様2ペダルのATである 

駆動モーターの電池に充電するのは、エンジンの動力ではなく、減速時のモーター/ジェネレーターによる回生ブレーキ発電でのみ。

ディーゼルエンジンなので、エンジンブレーキを強く利かせるため、排気ブレーキも付いているが、その作動開始は実に穏やか。排気ブレーキのバルブが閉ると、回生ブレーキを一瞬少なくし、その後再び、回生率を上げるので、強い減速力が起きず、ドライバーに優しい制御も組み込まれた。

試乗している最中に考え付いたのは、「トラックは積載量によって、走りが大きく違う。空荷のときと積載のときにハイブリッドモーターのアシスト量を変化させたらどうか」というもの。

もちろんモーターのアシスト量は、積載量として500kg増しごとぐらいで段階的に変化させれば十分。リニアな変化である必要はない。

空荷のときにはアシスト0でもいい。積載量が増えるにしたがって、アシスト量も増やしていくことが重要。

この狙いは、最大加速性能を一定として、ドライバーの運転負荷を減らすことが目的。

もちろん、積載量によっては、同じようにはならない(モーターの能力次第だが)だろうが、普通状態に近くなればそれで十分。

500kg増すごとに、最大積載重量までの段階で、アシストの変化が付け難いことはないだろう。この発想は乗用車とは違ったものとなるのだが、総重量が大きく変化するトラックでは十分使えると思う。

キャンターエコハイブリッド仕様。多くの種類を乗ることができた


2012年10月26日金曜日

ポイント式点火装置を勉強する その⑤

ポイント接点のギャップが狭いとどうなるのか

 

正常なポイントギャップの1次波形と2次波形、狭いときの波形を比べると、大きな違いは見当たらない。デジタルオシロなら違いを見つけられるのだろうが、アナログオシロでは無理のようだ。

実際のギャップは、指定された寸法の半分ほど。これで安定した火が飛び続ければそれでもいいのだが、実は、イグニッションコイルへの通電時間が長くなることによって、コイルが発熱し、効率が下がり、プラグへのエネルギーが低下する。

低速運転ほどその傾向が強くなるので、実用上の問題が出るため、やはり指定のポイントギャップが大切と言う話。

ポイントギャップが狭くなることで、ポイントが閉じた瞬間のバウンスはなくなるため、きれいに0Vとなることが分かるが、それならベストと言うわけではない

2次波形は放電時間とエネルギーを計測している。正常なポイントギャップのものと変化は放電時間の僅かな違いだが、それは、シャッタータイミングの違いかもしれない

2012年10月23日火曜日

ポイント式点火装置を勉強する その④

ポイントの接点が完璧でないと、1次電圧が低くなる。荒れることで接点間の抵抗が増え、イグニッションコイルへの通電量が低下するからだ


前回の1次波形を見ると分かるのだが、ポイントが荒れていると電圧の立ち上がりは問題ないとしても(時間設定のゼロ点位置が違うので同じ位置から表示していないが)、電圧は低く、点火エネルギーに影響する状況だった。

正常な状態のポイントを使った1次波形。十分な電圧と鋭い立ち上がりで、イグニッションコイルには確実に電気を送っていることがわかる。縦方向が電圧で一枡20V設定だから、最大80Vと言うことになる 

正常なポイントの1次波形を見るとバッテリー電圧の12Vではなく、瞬間は最大80~100Vであることが分かる(流れている電流は遮断した瞬間に高電圧が発生するので)。つまり、点火コイルには、ポイントが開いた瞬間この電圧が一瞬かかり、その衝撃によって点火コイルの2次側に溜まっている電流が放出され、点火プラグにスパークが起きる。

正常なポイントによる2次波形。しっかりときれいな放電波形が見える

2012年10月15日月曜日

ポイント式点火装置を勉強する その③

ポイントが正常でなければ波形も変化する


ポイント接点の状態とポイントギャップが重要。もちろん点火時期や進角装置が正しく作動していなければならないのは当然のこと


 進角装置にはふたつ組み込まれているのが一般的。ガバナ進角とバキューム進角。ガバナ進角は、エンジン回転数上昇に合わせてある回転まで点火時期を進める装置。バキューム進角は、基本的にエンジンの負荷によって点火時期を変化させるのだが、排気ガス規制が出来たことで、少し目的が変わってしまった、と言うより機能が追加された。

 バキューム進角は、スロットルバルブに作用するバキューム圧(スロットルバルブとスロットルボア間に発生する)を利用するのだが、スロットルバルブが完全に閉じている場合に、少しでも燃焼条件を良くするため、アイドル時だけの進角を行ったり、軽い負荷が加わったとき、遅角(点火時期を遅らせる。NOx対策)も行う機構が組み込まれているものもある。

 これらの装置が正しく作動しているとして、話を進める。

 ポイント式点火装置の波形を見ることで、しっかりと点火エネルギーが出ているかどうかの判断が出来るのだが、それを見るためには、点火装置のデモ機を造る必要があるのだが、それは前回のレポートのように何とか完成した。

 当初は100Vから電気を取り・・・と考えていたが、それよりもバッテリーを2個使用し、点火装置用、モーター用としたほうがよさそうだと言うことが分かった。と言うよりその方が造りやすいのだ。

 波形測定には数十年前に購入したアナログのオシログラフを使う。2現象だが、同時に(といっても代わり番になるが)測定すると、波形がややこしくなるのでプローブはそれぞれ繋いだ状態にして、別々に測定する。
波形測定に使用したオシログラフ。今じゃ骨董品。デジタルオシロが欲しいけれど・・・表示のボルトを設定するダイアルは、1次波形は2Vで、2次波形は0.2Vとした

 1次波形はコイルのマイナス側から取り、2次波形は点火プラグのアース側とデモ装置のグランドの間に、特別に製造してもらったアダプターを入れ、電流値を電圧に変換したものを測定し、エネルギーの比較を行う。電圧の波形を取ることも可能だが、比較が難しそうなのでやめた。
これが電流値と電圧値を計測するためのアダプター。エネルギーは電流であらわされるので、それを計測する

アダプターは点火プラグのアースとデモ機のグランド間に入れ、プローブは点火コイル側にプラスを繋ぎ、アースはデモ機のグランド側にする

 また、当初、回転数を可変にするということで、可変抵抗などを組み合わせたが、これは間違いだった。それは、回転数が変化すると波形も変化するからだ。そのため、最初にテストしたときの波形は使えないので、改めて配線をやり直し、可変抵抗器を取り去り、ダイレクトに12Vを加え、最高回転数での波形だけに止めた。
回転数は7000RPMを目標としたが、ポイントの状態もあって少々表示は上下する

 結果として、ポイントが荒れた状態を再現できなかったので(磨いてしまったので)、ポイントが荒れたときの波形は、その後に見る波形と状態が少し違っている。ただし、ファンクションダイヤルの位置は変更していないので、荒れた状態のポイントによる1次波形は、違いがしっかりと分かる。また、そのときの2次波形も取り忘れた。
装置としての状態も、実際に使用する上では重要な部分。たまには分解してガバナの作動や、バキューム進角の作動チェックをしたい

荒れた状態のポイント。導通常件が悪くなればコイルに加わる電圧に影響を及ぼす。結果として、プラグに飛ぶ火が弱くなる

荒れた状態のポイントによる1次波形。これだけ見たのでは、違いが分からない。コイルの1時側に加わる瞬間最大電圧は約40V。本来はもっと上のボルトになる。正常なポイントの波形は次回に。なお、説明したように2次波形は取り忘れた

2012年9月20日木曜日

専用ハーネスがない後付け電装用品は取り付けないほうが懸命だ

取り付けるべきではない、と断言したくなるトラブルも出ている。それは、配線ミスによるクルマの火災だ


火災にはならなかったが、自身にも経験がある、それは、ある用品開発メーカーから「空燃比計を取り付けてあげますので、会社までクルマを持ってきてください」「A/Fセンサーとの調整も必要ですから4~5日預かります」と言うので持参、出来上がりを待つ。

期限通りに空燃比計が取り付いて、如何に燃料が無駄に消費されているか理解できたまではよかったが、その年の夏、夕方、スモールライトを点灯させようとスイッチをひねった瞬間、変な音がしてイルミネーションとテールやスモールライトが消えた。

他人が電装用品の取り付けをやって、それが原因であるかどうか分からないトラブルを解決させる。これはかなり大変で、時間がかかるだろうと予測。イルミネーション関係のフューズが切れるのが、取り付けた用品が原因であるのか、別の原因なのか分からないからだ。

取り付けた用品にミスがあるかもしれない、と言う判断の元に、ダッシューボード周りを取り外していくと、ありました原因が、イルミネーションとしての電源を取る追加の配線が、ダッシューボードとボディの間に挟まれ、数ヶ月たったその年の夏、暖められた配線ビニールの被覆が切れ、ボディと接触、ショートしたのだ。

この電装用品にはもちろん専用ハーネスとしてはあるが、それでも取り付け方や配線のやり方によってトラブルが起きると言うこと。電気の取り方が間違っていれば、フューズが飛ばずにコードが燃え、火災に発展する。クルマの火災は(特に電気の場合)まず消火するのは難しい。

電装用品にもいろいろあるが、単純なアナログ電流計や電圧計などであるなら、配線ミスでのトラブルは少ないだろうし、専用ハーネスなどと言うものもないので、これらの用品は除外してもいいだろうが、どちらにしても注意は必要である。

また、中古品やオークションで競り落としたとき、専用ハーネスが付属していない場合に問題となるのだが、カーショップで販売されている中にも、この専用ハーネス(車種別と言うことだけではない)を付属させていないものもあるようで、その場合には、適当なものを使い、指示通りに接続配線(ハーネス)を、自分で造るよう指示されている。このような場合、これを見よう見まねで配線する、ということはリスクが大きいし、最近のクルマでは別のトラブル(キャン通信を使った電気系統が正常でなくなる)も出てくる。

他社製品のハーネスを利用する、なんていう、とんでもない情報も出ているようだが、これは絶対にダメ。途中で設計変更されていることだってあるわけで、それが伝わっていなければ、当然トラブルが引き起こされる。

クルマの火災を招きたくないなら、多少高価でもしっかりと部品・用品が揃った確実なものを選ぶべきだ。

2012年9月11日火曜日

ポイント式点火装置を勉強するためのデモ機を作る②

どのように造っていくか、完成予想を頭に入れながら現物合わせとする

 

ディストリビューターと駆動用のモーターをどのように配置するかは重要なこと。それは、モーターからの回転駆動を、プーリーで取り出すか、ダイレクトに何かで繋げるかということ。

装置を造る前にディストリビューターを分解して、作動の点検を行う。なお、ポイントの接点は点検も磨きもしない。それをやるのは実験の最後だ

ディストリビューターの横にモーターを持ってくれば、確かにコンパクトにまとめられそうだが、駆動方法が難しそうで、セルモーターに装備しているスプロケットを使うにしても、同様なものを手に入れて、それをディストリビューターのシャフトに取り付けるのが大変そう。

そこで、直列配置を考えてみた。セルモーターの駆動シャフトとディストリビューターのシャフトは同じぐらいの太さ。その間をフレキシブルジョイントで繋げばいい。

何がジョイントとして向いているのか、考えた結果、エアコンプレッサーのホースを使うことにした。無理やり押し込める太さなので、スリップせず都合がいい。ディストリビューター側のシャフトは研磨されているので、回転砥石で縦方向の擦り傷を作ることで対策。

ガレージの中を散らかし放題で作業。西日が当たるようになると室温が高くなるので注意。2日間、延べ4時間ほどの作業を行った

ベースのフレームは、ホームセンターで購入しておいた木の板。適当な長さに切り、左右を繋いで幅を2倍にする。そこに、まずディストリビューターを直角に取り付ける。

木の板にはホールソー(20mm)を使ってディストリビューター・ハウジングが通る穴を開ける。その板をベースにしっかりと取り付けて、ディストリビューターをセットし、固定すると確実に取り付けが終了。

駆動用のモーターは、当初アルミ板を使ってブラケットを造ろうと思ったが、取り付け剛性のことを考えると、やはり木の板が有利であるとの判断から、トレースゲージを使ってモーターの逃げを写し取り、その部分をカットしてから、高さをあわせ、これもベースに取り付けて、モーターを固定。もちろんその前に、ジョイントとなるホースは押し込んでおく。

取り付けが出来たところで、バッテリーから電気を取り回してみる。振れもなく、調子よく回るので、とりあえず安心。後は電源をどうするかであるが、前回書いたNゲージ用に自作したパワーパックは、容量が10Aあるものの、そのほかのコードや可変抵抗器の容量が不足しているので、バッテリーから直に取ることにした。

駆動用モーターの電源は、当初、数十年前に息子が集めたNゲージ用に自作したパワーパック(100Vから12Vにするトランス、整流用のダイオード・共に容量は10A、などの他、可変抵抗器)を使用する予定だったが、可変抵抗器と内部の配線が細いので、これの使用をしないことにする

バッテリーと可変抵抗の容量が大きなものを探した。抵抗は20Ωなので少し大きすぎるが、微妙な回転調整は必要ないので、これでやれそうだ

木の板でベースを作り、モーターとディストリビューターを直列で取り付ける。ジョイントはエア用のホース。試しに回してみたが、バランスよく出来たことを確認した

2012年9月3日月曜日

ポイント式点火装置のメンテナンス重要度を勉強する

そのため、ポイント式点火装置のデモ機を作る①


クラシックカーやクラシックバイクでもなければ、今の点火装置にポイントは使われていない。回転信号とエンジンの負荷を検出し、ベストな(燃費・排ガスなどを)燃焼をさせるプログラムをECUに組み込んでおり、そこから信号を取って、点火のタイミングとしているからだ。

数十年前なら、永井電子(ウルトラ)には当時発売されたばかりの、電子式エンジン回転計のデモ用として、ポイント式の点火装置と電源部(回転を可変させる必要もある)、回転計をセットにしたものを、販売店などに貸し付けていたのだが、今となってはそのデモ機もない。なければ造る、これしかない。

とはいっても、ポイント式の点火装置など、ましてディストリビューターとのセットとなると、持ち合わせがない。知り合いのポンコツ屋さんを当てにするしかないのだ。

電話をしてみると、「昨日550ccの軽トラックをバラシタので、あれはたぶんポイント式、だけど3気筒だよ」というのだが、もちろん4気筒でなければならないことはない。ディストリビューター(デモ機を作る上での構造的なものが必要)とポイントならそれでいいのだ。

早速出かけてみると、ありましたポイント式のディスビが。イグニッションコイルは手元にある。ディスビを回すモーターは、これも手元にあるスーパーカブ用のセルモーターが使えそう。回転可変装置は可変抵抗器を使うか、容量が合えば自作したNゲージ用のパワーパック。それと、容量の大きなバッテリーを組み合わせれば、何とかなるのではないかと思う。
以下次号

ポンコツ屋さんからいただいてきたポイント式のディストリビューター。軽トラック用で3気筒だというが、贅沢は言っていられない。これを回せばとりあえず何とかなる

ディストリビューターを回すモーターは、ある程度トルクがあって、回転数も高くないといけない。当初は、ラジエターの電動ファンも考えたが、自宅にあったスーパーカブ用のセルモーターを使ってみることにした


点火コイルは、数年前、永井電子から頂戴してきた丸型のものを使う。これらをセットし、電源部を調達すれば、デモ機が出来そうだ

2012年7月20日金曜日

オレのと違うな~実験結果が

自動車火災の発生が多いことを踏まえて、国土交通省は「適正な交換が必要で、それを守らないとエンジントラブルから、火災に繋がる」と発表した。

確かに適切なエンジンオイルの交換は重要なことであるし、オイルレベルについても定期的に調べておくことも必要だ。

原因は、「エンジンオイルが入っていても、ストレーナーなどが詰まり、潤滑不足から焼きつき、シリンダーブロックの破損となり、オイルが噴出し火災となる」、と言うのである・・・

それを実証する実験の結果を発表した。

実験のやり方は、ストレーナーの吸引口を90%以上塞ぎ(1/16開口)、潤滑不足を作り出しての走行実験。オイルは適正の量が入っている。

暖機後に時速20キロで走行させたら、9分後にエンジン破損でオイルが噴出し、白煙を噴いたが火災には至らなかった、というもの。

白煙を噴いた原因は、コンロッドが折れたことによる、シリンダーブロックの破損で、オイルが噴出したことによる。

ここで「違うな~」となるのである

これまで、エンジンオイル無しでどの位走行できるのか、と言う実験を数多くやってきた者にとって、時速20キロでの走行では、数時間走行して、別のトラブルで停止、と言う状況しかない。

まして、国土交通省の実験では少量でもオイルは回っているし、エンジンの回転数は1000回転ぐらいだろうから、吸引されるオイルの量も少ないはず。或いは十分な潤滑量と言えなくもない。

コンロッドが折れると言うことになるには、かなりの回転と負荷が加わっていなければ起きない話であるし、折れる前にピストンが焼きついて停止する。

我々がやってきた実験では、エンジン内部の磨耗状況にもよるのだが、クランク周りであると、メタルが焼きつき、それを無理やり回せば、メタルが溶け出し、ベアリングキャップの破損で停止に至る。

または、カムシャフトが焼きついて停止。タイミングベルトを使っているエンジンでは、そのベルトが切れて停止。

その状態のエンジンを分解してみると、ピストンとシリンダーは僅かに引っかき傷があり、軽い焼き付を発生したことがわかる。

クランク周りのメタルについては、熱による溶け出しが僅かにある。

でもカムのジャーナル部分は、全てに焼き付き跡がある。

新品のエンジンでもなければ、簡単には焼きつかないし、コンロッドが折れることもない。さらにオイル交換をやらなかったエンジンでは、そのことによるオイルスラッジが多量にあり、それが潤滑の役目をするので、軽負荷では焼きつくまでに時間がかかるはず。冷却水まで抜いてあるのなら別だが。



2012年7月18日水曜日

その後のスバル1000スポーツはどうなった?

2010年10月24日にアップしたブログには、スバル1000スポーツに1300Gのエンジンを載せて、クラシックカーを楽しんでいる友人がいる、と言う記事を書いたが、その後、オリジナルのエンジンに戻した、と言うので訪ねてみた。
これが完全に再生された昭和43年スバル1000スポーツ。登録ナンバーは、当時と同じ番号を選んだ。もちろんクラシックカーイベントでは、フロントだけ当時のナンバーを貼り付けて、若き日への郷愁を誘う 

 すると、昔懐かしいと言うよりも、記憶がはっきりとしない状態の1000スポーツエンジンが確かに搭載されている。ソレックスのツインキャブでCVタイプ。インテークマニホールドこそ1000スポーツのものではないが(オリジナルは鉄製だが、アルミが付いていた)、それ以外は1000スポーツ。
楕円形のエアクリーナー。ツインキャブの証でもある。非常によく再生されたエンジンは、その部分だけ鮮やかだった 

 エンジン再生をその筋のプロにお願いしたと言うこともあり、シリンダーブロックやヘッドはサンドブラスト処理がなされ、新車時以上に(知らないが、おそらく)きれいな状態。

 エンジンを始動させると、1300Gを載せていたときとは違うサウンド。それは当然で、排気量ばかりではなく、エンジンそのものから発せられる独特の音と、アクセルを踏んだときのレスポンスの良さなど、普通のセダンとは明らかに違う感触。

 点火系はどうしたのか見れば、以前、私が手を加えたウルトラ(永井電子)のセミトランジスター点火に、同社のシリコンコードはそのまま使っていた。
エアクリーナーを外すと、ソレックスのツインキャブが現れる。点火装置は以前、私が手を入れた状態で使われていた。ウルトラのセミトランジスター点火システムとシリコンコードだから安心していられる 

 ディストリビューターなどはどうしたのか聞いてみると、それまで使っていた1300Gのものだという。

 これは正解、と言うよりも、それを使った方が安心。なぜかというと、このディスビも、私が作動不良を見つけ、修理していたものだからだ。バキュームアドバンサーやガバナ進角、ポイントカムなど、一通りメンテしたのである。

 ボディ塗装などには痛みも見えるが、再塗装せず、このままにして、歴史を語れる方がいい、と言う話をしているのだが、一方では、きれいに塗装しなおした方が見栄えがいいので・・・と言う方もいるようだ。でも私は賛成しかねる。

2012年7月13日金曜日

ホンダNC700X・ツーリング主体として開発されたバイクだが、どこかチグハグな感触がある

これまでとは100%違う設計思想により開発されたエンジンを搭載し、更にガソリンタンクがシート下に移され、これまでのガソリンタンク位置には、フルフェシスのヘルメットがすっぽりと入ってしまうBoxを装備する。こりゃ一度乗ってみる必要がある、との判断でホンダ広報より拝借して、数百キロ走ってみた。

確かに便利なニーグリップ部分のBox

 NC700Xと言う名称だから、エンジンの排気量は当然700cc。そして前傾並列2気筒。ここまではどこにでもありそうなエンジンだが、内容は大きく違う。ひとつはクランクの角度が270度であると言う点。ただし、このクランク角度のバイクは、既にヤマハが市販している。

 270度と言うクランクは何ぞや、と思うだろうが、燃焼間隔の違いに現れる。つまり360度であるなら等間隔燃焼だが、それ以外の角度は、不等間隔燃焼ということになる。180度クランクも、2気筒では不等間隔燃焼となるが、更に進んでそれを270度としたものもあるのだ。
高回転高出力というこれまでのホンダイズムから脱却し、実用性を重視したエンジンを作り上げた。確かに走る感覚は楽しく、鼓動にあふれている。270度と言うクランク角度は特別の意味合いがありそうだ 
 
 このようなエンジンを既に市販しているヤマハのサイトには「360度や180度クランクでは、左右のピストン位置において、どちらかが下死点なら隣のピストンは下死点か上死点。つまり、クランクに対して上下に動くものが、左右同時に停止する瞬間が出来る。これは運転するライダーとして、心地の良い振動を打ち消してしまう」とある。

そこで、常にどちらかのピストンを動かしておき、「躍動感を持たせて、運転する、アクセルを開ける楽しさを呼び起こすようにした」と言うようなことが書かれていた。ヤマハのモトGPマシンも同様な工夫がされているというのだから恐れ入る。

 ただしホンダはその270度クランクだけにとどまらず、左右シリンダーのバルブタイミングまで変えて、更に鼓動を強調するバランサーの装着までやって、小気味良い加速時の息遣いを強調している。
新しい思想により開発されたNC700X。フレーム構造を見るとまるでビッグスクーターの様である。ガソリンタンクはシートの下、その前にポッカリと開いたスペースはヘルメットも入るボックスが付く 

 そんなバイクだから、エンジンのフィーリングは、バイクの素晴らしさを理解できるライダーにとって、とても気持ちの良い状態であることは確かだ。
リヤフェンダーとタイヤのクリアランスが大きいのも最近のデザイン。もう少し詰めれば足付き性が向上すると思うのだが。全体のイメージからすると、やはりホイールの径が小さい。その影響は出ている 

 ギヤを入れ、アクセルをほとんど開かずとも、トルクを使える状態としたエンジンは、これまでのホンダ車とは一味もふた味も違う。ス~と動き出しグスグスという鼓動を尻の下から、背中から感じさせ、レスポンス良い挙動を見せる。

 それはまるでシャフトドライブのバイクを操るかのようで、駆動系に余分なバックラッシュを持たず、ギヤをシフトした瞬間から、すぐさま駆動が伝わり、加速状態となる。

走り出しからギヤチェンジの瞬間まで、全ての領域で鼓動が楽しめる

 グスグスと言う加速時の鼓動は、なんともたまらない魅力を持つものだが、「それを味わって欲しいと言う」、なんていったところで、その鼓動の魅力とは何かを知らない人物に、「味わえば分かる」と説明しても、万人が理解できるものではないのが残念なところ。
一番の特徴は、何と言っても普通ならガソリンタンク部分にあるボックス。フルフェイスのヘルメットが入ってしまう容量があるので、当然ツーリングで使う用品を収納するには十分。身軽に見える形でスマートにツーリングできる 

そして5速、6速となると、エンジンは2000回点以上回しておく必要に迫られる。それは、270度クランクと言う構造的なものなのか、1シリンダー350ccと言う排気量が影響するのかわからないが、とにかくギクシャクして走りにくい。

 ただし、高速道路を100km/hで走行(3000回転ほど)中でも、そこからアクセルを開ければ、小気味良いグスグス振動が尻から伝わり、なんとも言えない味わいを楽しめる。この状態が、かなりの速度まで続くのは、うれしい限りである。

 加速・減速時の上下動も、ギクシャクした感じはなく、常に動力が路面に伝わっているようで、全てにおいてダイレクトな感触を持つ。ただ、ツーリングを主体とするバイクとした場合、もう少し柔軟な感触が欲しくなる。つまりそれは優しさであり、優しければ疲労は少なくなるからだ。
排気量が700ccであっても、コンパクトにまとめられているため、フロントスタイルはスリム。もう少しカバー類があってもいいのではないかと思う 

 ところで排気量が700ccあって、シリンダーは前傾並列2気筒となれば、シートの高さは低いと言うか、足付き性がいいだろうと想像するが、これは違っていた。表現は悪いが、シートが広いために蟹股スタイルとなり、シートは低くてもバイクを支えるときの足の置き場に苦労する。身長180cm近いライダーが乗ってこの状況だから、小柄な方では大変だろう(後日、シート高を30mm下げたモデルが追加された)。
でっぷりとしたシート。スポンジのストロークは少ない。故に足つき性が十分ではない。足を着くときに邪魔となるシートの肩部分は、ライディング中に接触しないところだろうから、改良の余地はありそうだ 

 それでも救われるのは、極低速走行でのバランスの良さである。エンジンやクラッチが、左右に大きく出ていない分、偏りがないので意外なほど走りやすい。それは250ccのシングルより優れていた。

 速度を上げていくと、俗に言う「立ちが強くなる」ことはなく、ほとんどニュートラルの雰囲気があるが、それは、どうやらフロント周りからきているようだ。つまり、フロントのタイヤ径を小さくし、ヒラリ感を強くしたことが影響していると考える。

 ヒラリ感についてはいろいろな意見があるが、何処を走らせるのか、どの目的で走るのか、誰が(年齢も)乗るのかまで盛り込んで決めないと、一部での性能は突出しても、全体として理解できない性能(性格)が浮き出てくる。

 高速道路など直線での走行は問題ないが、峠ではその性格が露出する。それも素晴らしいとはいえない状況で、この性格は、どう見てもサーキット用、としか思えない。つまり、かなり構えてのライディングを要求される。

どのような場所を楽しく走らせるバイクなのか、目的がチグハグで分からなくなってしまった

 ツーリングスタイルとなれば、普通はリーンウイズ(バイクとライダーの傾きが同じ)で、周りの景色を見ながらコーナーを楽しむだろうが、このライディングスタイルであると、どうも不安感が強くなりリラックスできない。

 ではどのようなライディングスタイルならいいのかというと、それは、しっかりと構えてコーナーへ入るスタイル。尻を内側へ少し落とし、同時にひざを開き、腕は突っ張るように曲げて、低い姿勢から目的の方向を定める。俗に言う肩から入るスタイル。これはサーキットの走り方で、周りを楽しむ余裕など出ない。
 
極端の例で言うと、あるコーナーをツーリングスタイルで走行した場合、不安を感じる速度が80km/hだったとすると、構えて乗ることで100km/hでも不安がない。当然この速度では景色は楽しめない。「ナンダこれ」と思わず声に出してしまった。
ガソリンはリヤシートを開ければキャップがある。よく観察すると、ヘルメットホルダーもあるのだが、使いにくい。また、二人分必要だろう 

 また、フロントのタイヤ径が小さいということは、路面の小さな凹凸を吸収する能力がないため、一般道では常に小さな衝撃がハンドルとシートの前方に入る。これも疲労に結びつく。やはり優しさがツーリングバイクには求められる。辛くても速ければいい、と言うスポーツバイクとは違うのだから。

 そして、このセッティングだからだろうが、下りのコーナーをアクセルオフ状態で曲がると、ハンドルが切れ込んでくる。下りでもアクセルを開けていればその症状は出ない。どのようなときでもニュートラルステアがツーリングバイクでは当然と思うので、疑問を感じる。
エンジンは当然インジェクション。触媒も装備するが、2気筒という構造から来る鼓動を強調させるため、クランクはホンダ初となる270度を採用。更に左右シリンダーのバルブタイミングを変更し、発生する燃焼圧力差によるアンバランスをうまく利用。バランサーの構造で問題を解決しながら、気持ちのいい鼓動を引き出した 

 更に気がついたのは、フロントブレーキの使いにくさと言うか、効かせるレバーのフィーリングが十分ではない。確かに剛性感はしっかりとあるのだが、剛性があればそれでいいというわけではない。剛性感を出す前に十分な制動があればそれに越したことはないわけで、ソフトなレバータッチがあって、それでいて強力に制動する性能が求められる。

 これだけの重量があり、かつキビキビ動くバイクには、スッと握って、しっかりと制動がかからないと、止まる位置を行き過ぎてしまう。サーキットのようなところを走るのなら、ガツンというブレーキを掛けることが多いので、この性格でもいいのだろうが、一般道では千差万別、それに対応できるもの造りが欲しい。

 同様に、チェンジペダルの設計も、ペダルストロークを小さくし、その分フットレストに近いため、シフトアップでは爪先を突っ込むような角度にしなければならず、シフトがやりづらい。あと10mmほどフットレストから離れていれば問題ないのだが。試しにペダルの高さ調整をしてみたが、幾分良くなったものの解決しなかった。
コンパクトにまとめすぎたチェンジペダル。スポーツ走行用ならコンパクトでシフトストロークが少なくてもいいが、ツーリングや普段では、シフトのしやすさが重要。せめて後10mmほどフットレストと離れたところにペダルがあれば、納得できるのだが。高さ調整では解決しなかった 

 また、操縦性などには関係ないことだが、エンジン回転リミッターの効き方にも問題がある。回転計はバーグラフ式で6500回転からレッドゾーン。どのような感じなのか2速ギヤで引っ張ってみると、レッドゾーンに入ったとたん、いきなりエンジンがストール。リミッターというより、エンジンキルスイッチが作動したような感触で、強い減速感を伴うため、危険な挙動を生じる。もう少し穏やかなリミッターが欲しいところだ。
 
 最後になったが、気になる燃費の素晴らしさ。郊外の大きな渋滞がない条件でのことだが、何と平均燃費33km/Lと言う数字を記録した。高速道路を主に走行したら、これ以上の数字が出ることは確かだ。

2012年7月3日火曜日

イギリスの道路工事で交互通行指示は中間に立つおばさんが持つボード

 これは道路工事で片側交互通行に関すること。日本では、工事区間の前後に赤/白の旗や赤色の誘導灯を持った人が、一人ずついて、旗や誘導灯を振り回して、止まれだの、進めだのとよくわからないアクションで、クルマや人を誘導している。その振り方は決まりがないので、勘違いすることも多く、事故や喧嘩になることすらある。
 
で、イギリスはどうなっているか。かなり前経験したこと、それは、文字で表現する。つまり、裏と表にGO/STOPと書いた大きなボードを掲げているのである。100mぐらいの距離では一人のおばちゃんが、絶妙にクルマを裁いている。

 交通量が多いところでは、裏と表にGO/STOPの表示だけでは、切れ目のない通行状態であると役に立たないが、GO側に対してSTOPに変えられる構造を組み込めば、双方向ともSTOPを表示出来るので、トラブルにはならない。

そんなことより、文字を見てはっきりと誘導する人の意思がわかることが大切で、これがあると安心して通過出来る。日本でもこれはまねをして欲しいものである。

 クルマに乗っていると、何やら意味不明の情報はうれしくない。誤解を招くだけである。そういえば、北海道を走っていたときのこと、ブラインドコーナーの途中で「この先道路工事中・速度落として」というボードを持ったおじさんがいた。わかりやすい。安心して減速を開始する。

一般道でも速度の速い(スピード違反)北海道ならではのことなのだが、現場監督さんが偉いのだろう。これが、他の地方のように意味不明?の旗を振っていたら、たぶんほとんどの人は減速しない。そして、いきなり工事現場に出くわし、あわててブレーキ、追突寸前で止まる。ダレが悪いの?

 クルマと人を捌く場所でも、このような文字での誘導は必要になる。STOP/GOでは味気ないので「進んでください/止まってください」と書いたボードを提示すれば、気持ちよくそれに従えると思うのだが、誰か道路工事の現場でやってみて欲しい。イギリスでこの状態に出くわしたときには、何の違和感もなく、素直にそれに従えた。