野沢温泉の「まるじ」という変わった名前の民宿は、偶然に見つけた。というのも、それまでにも数回、野沢温泉にはお邪魔していたが、しっくり、安らぎを感じる宿に出くわさなかった(もちろん個人差があるので)。
何か定宿としてリラックスできる宿はないかと、野沢温泉の宿を検索していると「1972年の札幌オリンピックに出場していたスキーヤーが営む」という民宿にたどり着いた。それが「まるじ」である。
ひらめきでこの民宿を選んだのだが、何故ここに決めたのかというと、1972年の札幌オリンピックの最中は、実は当時勤めていた出版社を2ヶ月休職して(当時の社長が海外を見て来い、そのためには休職を認めるという話をしていたので)、アメリカ横断往復の旅にロスからクルマでフロリダに向かっている最中だった。しかも、日の丸飛行隊の活躍を、今ではアスリートが合宿することでメジャーになった「アルバカーキ」のモーテルで、ラジオから流れる中継を聞き、感動したという思い出があった。なお、「まるじ」のご主人はジャンプ競技ではなくアルペン競技で、その後もスイスのアイガー北壁をバックにした、ダウンヒル競技にも参加したという経歴を持つ。
そんなこんなで、この「まるじ」という民宿を定宿と決めたのである。
ここでお断りしておくが、休職とはいっても旅すがら取材を兼ねており、フロリダ・デイトナで行われるストックカーレース(デイトナ500)と、その翌月行われるバイクのレース(デイトナ200)を取材して、デイトナ200は撮影したフィルムを翌日には、ジャクソンビルの郵便局に持ち込み、速達で日本へ送る、ということまでやる約束だった。もちろんちゃんと約束は守ったぞ。
初めて「まるじ」を訪れたのは、2009年8月15日。我がバイククラブの5名でお邪魔した。一番後ろにおいでになるのが亡くなられたご主人
「まるじ」は2年ほど前にご主人を亡くしたが、それでも定宿としている我々のような中途半端な人間にも、優しく親切に接してくれるのが、これまたたまらない。ご主人とは面識があったので、亡くなられた翌年には、特別にお線香を上げさせていただいた。
そして2014年の夏。「まるじ」にお邪魔すると、食堂でとんでもなくスタイルが良くて、かわいらしい娘さんが配膳準備をしていた。一目見て、まるじの娘さんであることがわかった。お母様に良く似ていたからだ。
右端にいるのが「まるじ」の娘さん。お母様に良く似ている。この日は夏休みで実家に帰省していたようだ
帰り際に集合写真を撮影したが、これをブログに載せていいのか判断できず、今年になって、お母様から許可を得たので、掲載した。撮影当時「何かモデルのようなことをしているのですか」という問いに対して「長野のほうで少し」という返事だった。あまり根掘り葉掘り聞くのは失礼なので、それ以上はなし。
今年の5月連休初日にも2名でお邪魔した。バイクはハーレーソフテイル1600とホンダNC700X。夜は後のガレージに入れさせていただく