研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2016年4月14日木曜日

インド・スズキが生産するバレーノに乗ってみた。とくに1000cc3気筒ターボが気になる


1000ccで3気筒というものは特別新しいものではないが、ターボが付いて、3気筒特有の振動騒音がない。実にスムーズでそれはまるで4気筒のごとくである。更にそのターボの過給圧制御に興味がそそられた。

3気筒のエンジンルームはすっきりと広く余裕がある
 

なんと、過給圧制限に使用するウエストゲートバルブが逆作用する。つまり、普段はウエストゲートが開いて、排気ガスの流れはタービンに疎外されることが少なく、スムーズに排出される。つまり、ふん詰まりがない。

ウエストゲートバルブの作動が逆となることで、何がいいのかを説明する画像。確かに、普段閉まっているウエストゲートバルブであると、排気ガスは狭いタービンの間をすり抜けるような形となるため、排気ガス抵抗が発生し、ポンプロスとなる。それがないことで効率は高い
 

開発は日本、製造はインドで現地の部品調達率は80%程になるらしい。その仕上がりは問題を発見できなかった。というより、問題が出ないような造り方は当然で、更に要所要所では日本人スタッフが目を光らせている。ただし、これは、長く続けてはいけないように感じる。それは、現地の方が「我々を信用していないんだ。それなら問題を見つけても、指摘されるまで動かないでいよう」などという気持ちを持ってしまう。そうなって欲しくないからである。

さて、その1000ターボだが、これがまたすばしっこいというより、素直で感触のいい走りをする。

過給が必要となる領域までウエストゲートバルブが開いていることも関係するのだろうが、大きなトルク変動がない。つまりターボラグがない。それはまるで排気量の大きな、1500cc自然吸気エンジンのごとくであり、それでいてエンジン重量が軽いため、ハンドリングが優しい。

常時タービン・コンプレッサーが回転していないのに、ターボラグの発生がないということは、自然吸気状態(過給圧がかかっていない)でのエンジン効率が高いことを意味する。

過給が開始されるまで開いているウエストゲートバルブ、という構造のため少しターボ周りは複雑な構造を見せる
 

ただ、この開いた状態から閉めて過給圧を発生させる制御はかなりややこしく、ドライバーの求める状況を先取りするような形で開閉を行うようである。
 
ミッションはクラッチ板を用いたステップ6AT。CVTを採用すれば燃費はもっと良くなると思うのだが、幅変速機を用いている構造のため、ターボによるトルクをカバーするには難しく、耐久性に問題が出ることが予想されるからだ。但し、この問題は近い将来解決されることを期待する。

なんで~と感じたのは、数キロ下り坂を走ってきて、エンジンルーム内に鎮座しているインタークーラーやそれに接続されるパイプを手で触れたとき「アレッ、暖かくない、いやそれ以上に冷たい」。

確かに冷却効率が高いところへインタークーラーは取り付けれれているが・・・エンジン効率が高いということか
 

過給をさせながら走行したわけではないので、熱くはなっていなくても不思議ではないが、冷たいのだから????エンジンルームの熱で、同じ温度であって当然のはずだが。

ひとつ気になるのは、ブレーキオーバーライド(アクセルペダルを踏んでいてもブレーキペダルを踏んだときに、スロットルバルブが閉じる制御)が敏感すぎること。

左足でブレーキペダルを踏むドライバーにとって、ブレーキオーバーライドが有っても良いが、それが機敏すぎると走りの部分で性能を阻害することがある。

つまり、コーナー深くまでブレーキペダルを踏まず、というよりアクセルを開けたまま状態からステアリングを切り、アンダーステアとなる寸前で、それを回避するためにブレーキを掛けながらアクセルを踏む、という行為が感覚的ではなくなる。

しっかりとアクセルペダルを戻し、スロットルのアイドル接点を接続させた状態からブレーキペダルを踏み、その後アクセルペダルを踏む、という操作に切り替えないと、アクセルペダルの操作に対して、エンジンは何も反応しない。

プログラムの基本的な考え方は正しいのだが、もっとアクセルペダルからの信号を受け付けて、アクセルペダルをその状態から更に踏みつけるような場合には、ある程度エンジンが反応すべきであると思う。そのようなプログラムが組み込まれた車種はあるように捉えている。