研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2014年8月11日月曜日

ホンダNC750X・DCTの試乗記で忘れていたこと


その忘れていたことは、アイドルアップとクリープ走行のような現象についてである。

クルマでもそうだが、ツインクラッチの制御は難しい。発売された当初のツインクラッチ(日本ではアウディが最初)では、チグハグな制御が目立っていたのだが、現在ではそれもない。指摘されたことを謙虚に受け止めて、改良を重ねてきたからである
 
700のDCTではこのような状況での走りを体験しなかったので、把握しなかったが、やはり距離が多い状態であると、普段、まず発生しない問題の走りが出てくる。イレギュラーは事故に結びつくので、改良の余地があると思う。

その問題の走りは、エンジンが中途半端に冷えているときに起きた。冷却水の温度は、エンジン始動後のアイドルアップのマップを要求する状況にあったのだろう。走り出して減速しようとアクセルを戻したが、思うように速度は低下しない。もちろん低速状態での話し。

いくらギヤミッションのATであっても、思うように速度調整が出来ないのは、一瞬あせりに。そのときには、「アッアッアッ、速度が落ちない」。いったい何が起きたのか見当も付かない状態だった。

そりゃそうだ、アクセルは完全に戻しているわけだから、ブレーキを使わなくても速度が低下し、最終的には停止にならなければいけない。なのに10~20キロほどの速度を維持したがる。徐行状態からのUターンだったので、慌ててフロントブレーキに手がかかったが、路面がドライであったため事故にはならなかった。

何故このようなことが起きたのか、しばらく考えながら走行したが、そこでの判断は、冷却水温度の低下とエンジンオイル温度の低下がリンクしていないためである、との結論だ。

どういうことかというと、走行後であれば、ラジエターを持つ冷却水の方が冷えるのは早い。再始動のときには、その冷却水温度によって、冷間時始動と同様にアイドルコントロールバルブが開き、燃料が増量され、アクセルを完全に戻していても、その状態に関係なくアイドル回転は上がる。

これが、エンジンオイルも冷えている状態であれば、オイルのフリクションによって勝手な行動が表に出ることはないのだろうが、前記のような症状が出たときには、エンジンオイルはまだ温まっている状態。つまりフリクションは小さい。

エンジン回転が上がっているという条件だけを取れば、バイク側の判断は「ライダーはアクセルを開き、走行を要求している」ことになるため、クラッチは接続を切り離す行為をしなかった。

これを防ぐには、アイドルアップが作動中で1速、2速ギヤで走行中(トップギヤからのダウンシフトでも)、アクセルを全閉した場合は、クラッチを切るという指令が必要で、そのようなことになれば問題も起きない。

また、マニュアルクラッチ仕様と違って、エンジンオイル温度センサーが取り付けられているので、そこからの情報を確実に利用すれば、冷却水温度が低下して、アイドルアップしたい条件であっても、エンジンオイル温度がそれを認めないような制御を組み入れれば、このような「暴走」とも取れることにはならないはずだが。