研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2010年10月3日日曜日

73年もののフィアット500をいじる

友人が持ち込んできたフィアット500だが、なんとなくアイドル回転が乱れて、500cc2気筒のリズミカルな排気音がしていない。そこで、リヤのエンジンルームを覗くと、気になる配線やプラグコードの取り回しなど目立っていたので、これを解決してやることにした。

その気になる部分とは、オルタネーター(発電機)のB端子に接続されている太いコード。中間で固定せず直接B端子へ繋がっているため、エンジンの大きなゆれで端子部分に応力が集中し破断する可能性がある。これは、一次クランプをオルタネーター本体としてやれば済むことなので(しっかりとボルト穴もある)、絶縁を考えながら、固定する。

次は、プラグコード。2気筒の360度クランクでは、同時点火が可能となるため、このフィアット500もディストリビューターを外して、同時点火コイルを装備している。そのため、プラグコードもコイルへ直接接続されているが、途中の振れ止めとして細工した部分に問題を見つけた。

プラグコード2本を直接ステーにタイラップで締め付けているため、プラグコードの被服に亀裂が出来る可能性を持つ。亀裂が出来れば、そこから電気は漏れるので、プラグはスパークしない。

このプラグコードは、ウルトラのシリコンプラグコードへ交換する。ダストブーツなどもシリコンゴムを使用しているので、しっかりと密着して耐久性が非常に高い。


点火コイルのコード差込穴に発生していた緑青(銅などを含む金属に発生する腐食物)も、エレキクリーナーと接点復活剤を塗布してきれいにしたので、今後このようなトラブルは出ないだろう。

さらに点火プラグのメンテナンスも同時に行ったため、アイドル回転は安定し、2気筒等間隔燃焼の排気音はリズミカルな状態を取り戻した。

 
1.プラグコードの中間固定部分に気になる所を発見。直接タイラップで金属に締め付けているため、コードの被服に亀裂が生じる可能性がある。トラブルとなりそうなリスクは取り除くと言うのが基本。



2.プラグキャップのダストブーツも亀裂が入っているので、雨天走行では漏電の可能性を持つため、ここはプラグコードを交換したほうが良いだろうということになった。



3.同時点火のコイルから、これまでのプラグコードを引き抜いてみると、見事に緑青が噴き出ていた。低電流・高電圧では、それほど影響が出ないけれど、腐食が進行すれば、コイルの断線などにも結びつくので、これはきれいに掃除して置いて損はない。



4.エレキクリーナーや接点復活剤などを吹きつけ、コイルのプラグコード取り付け穴に発生した緑青を洗い流す。穴の中に残ってしまう洗浄剤は、缶を逆さにしてガスだけを出せば、その勢いで吹き飛ばせる。



5.交換するプラグコードだが、実績のあるウルトラのシリコンコードが良い、とオーナーが言うのでそれに決める。特別な長さのものまで製作してくれるし、点火コイルとのインピーダンス(回路中の抵抗値)をきちんと取るため(ラジオなどへの雑音防止もある)点火エネルギーのロスが出ない、と言う特徴もある。



6.ディストリビューターがないので、プラグコードの交換は気を使う必要なし。それよりも、振れ止めとしての中間固定部分をどう処理するかだが、安定的に留める方法として、樹脂製のコルゲートチューブをプラグコードに巻き、それをタイラップで固定してから、ホルダーへ通した。これで、プラグコードの被服に亀裂が入ることもなくなった。



7.最後はオルタネーターのB端子コード処理。一次クランプをオルタネーター本体とするため、鉄板を曲げ、自転車のチューブを巻き付けて固定。これで、端子の疲労を防ぐことが出来る。




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