研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2010年9月22日水曜日

新型スズキ・スイフトに乗る

操縦性を大幅に向上させた新型だが、燃費志向でトルクに細さを感じる

新型スイフトで大きく変化したのは、向上したステアリングフィールだ。先代モデルでは、スポーツを含めて、ステアリングは切り始めから瞬時に向きを変えることがなく、速度によっては(それほど速い訳ではない)完全に一呼吸遅れてフロントが回りこんでくる。特にエンジンブレーキのときにそれが出る。

このようなことから、コーナリングの横Gの大きさで、反応テンポが違うため、安全で楽しい走りをするには難しい操縦性を持っていた。それでも、モデル最終時期にはかなり改良が進み、設計値近くまで引き上げられていたが、誰でも納得できる状態までには行き着いていなかった。

このステアリングに対する反応の甘さの原因は、ボディ剛性の不足(特にリヤ開口部)や、ステアリングラック取り付け部の剛性不足などが原因と見られる。

そこで今回のモデルチェンジでは、高張力鋼板も使用部位を大きく増やし、さらにリヤの開口部の面積を小さくして、ボディ全体の剛性バランスを引き上げた。それに合わせてステアリングのギヤ比もクイックな方向へ変更し、より素直な操縦性を求めた。これにより、これまでのような応答遅れはなくなって(同じ走行条件ではないので、確かではない)、ドライバーの期待値から外れることは見られなかったが、ボディ剛性が上がった分リヤサスペンションに妙な動きを感じるときがある。

それはコーナリング中の路面に凹凸があると、リヤが左右にヒョコッと妙な動きをすること。この点について開発者は「リヤのサスペンション取り付け部分のブッシュに問題があるようで、これでも先代より悪さをするブッシュの動きは半分になっているのだが、新型ではボディ剛性が上がったため、その動きを顕著に感じる。先代ではボディがその動きを吸収していたようで、感じることはなかった」と語っている。

当然、新型スイフトスポーツも同時に開発しているだろうから、このあたりの問題点は、ブッシュの動きをもっと抑制するような構造として対処しないと、スポーツ走行では、いきなりリヤがスライドしてしまうというアクシデントも・・・

また、今回のCVTモデルには、副変速機付が採用されたが、燃費志向を追求したエンジンとCVTセッティングのため、Dポジションでの走行性は、かなりのストレス、というよりドライバーの期待値からずれてしまう加速感が気になる。上級モデルのXSでは、ステアリングにマニュアルシフトのパドルを持つので、その操作を意識的に取り込んで、走りたくなる。

例えば、Dポジションで走行中アクセル全開としても、思うようなキックダウンはしないため、仕方なくシフトパドルをダウン方向へ操作すると、エンジンは勢いよく回り、素直な加速力を発揮して、速度がスムーズに伸びる。ただ、パドルの操作に対するシフトの反応は遅く(特にシフトダウン)、エンジンブレーキを少し有効利用しようとしても、必要以上にシフトダウン操作を行ってしまう状況が発生した。

また、パドル操作後における、そのポジションでのホールド時間が短く、直ぐにDポジションとなるのも気になる。例えば登坂時にパドルシフトダウンから加速、そしてコーナリングを開始し、その後少し緩加速となると、いつの間にかDポジションとなり、次の加速では、再びシフト操作が必要となる。もちろん、これを回避するには、CVTセレクターのMモードを選べば良いのだが、Dポジションを有効活用しようとすると、どうしてもDのままで、シフトパドルの操作になるのは当然であると思う。

パドル操作の遅れとホールド特性について、開発者に聞いてみると「実際に担当したわけではないので、どのような意味合いでこの特性としたか分かりませんが、パドルシフト後のDポジションへ直ぐに戻る、というのは、燃費を気にしているからです。また、キックダウンの領域が狭いことも、燃費が基本にあります」、と言うことだったが、基本的な部分(つまり、クルマを走らせると言うこと)にストレスを生むようなセッティングは、好ましくないと思う、と伝えておいた。

 
新型となったスズキ・スイフト。寸法としてはこれまでより少し大きくなったが(ホイールベースはプラス40ミリ)、全体のデザインに大きな変更が見られないけれど、購入者の目にはどのように映ったのだろうか。





2.上級モデルのXSには16インチタイヤと、リヤにもディスクブレーキが装備される。この手のモデルで、ここまでの装備は必要ないと思うが、スポーツの登場を計算すれば、当然の成り行きか。



3.リヤの剛性バランスを大きく向上させるため、ゲートの開口面積はかなり小さい。ここに高張力鋼板を使用するより、デザイン的なことを含めて、目的を達成しやすいからだそうだ。



4.リヤシートのスペースは、十分に広いとはいえないものの、大の大人が長時間腰を下ろしても疲労を感じさせないぐらいの余裕はある。



5.ステアリング操作に対する反応の感覚だが、今のところ問題は発見できていない。リヤの変な動きも大半の人は気がつかないだろう。よって、気にしなくても良いかもしれない。



6.エンジンは、2007年5月から変更された1200cc。吸排気共にVVT(可変バルブタイミング機構)を採用し、自己EGRの量を増やして排ガスと燃費の向上を狙ったが、燃費については10・15モード、JC08モードも先代モデルと同等の数字。実燃費に効果を期待したい。




スイフト欧州テスト走行