南カリフォルニアのアメリカ海兵隊航空基地跡、特設コースで開催された“NISSAN360”だが、ニッサンにおける数多くの事柄を説明・理解するには、2日間と言う時間が短すぎるばかりではなく、内容の項目が多いため、知識として頭に残すのが難しい状態であったのが残念だった。
滞在日数を長く取ればそれなりに十分消化できるとは思うが、それには予算がかかりすぎるだろう。
プレゼンテーションではニッサン・ブランド「ニッサン、インフィニティ、ダットサン」の紹介と、これからの方向性を説明するのだが、どれも時間の関係で短く内容は薄い。個別に質問すればいいのだろうが、時間がない。せいぜい僅かな昼食時だけだった。
また、試乗したいクルマも多くあり、ほんの数分と言う短さの中では(一般公道の試乗も可能なクルマもあったが・・・)、何かを感じるには難しいのが現実で、今振り返ると、試乗車の数を少なく選び、それを何回も乗る方法がよかったと反省している。
ただ、収穫も多くあった。それは、ニッサンにおけるクルマへの取り組む姿勢が理解できたこと。
過去から未来へと繋がる乗り物、貨物運搬までを考えた場合、世界規模で生き残っていくには、発展途上国での認知度が重要。それには、軽自動車からの波及モデルではなく、専用設計の現地製造が重要であるとのこと。これは確かにその通りで、ニーズに合い、それでいて少し上級の、手が届きそうなクルマの製造販売に力を注ぐと言うこと。
考えてみれば、我が日本でも、我々がバイクやクルマに興味を持ち、いつしか自分もオーナーになりたいと願ったとき、手がすぐに届く、直ぐに飽きてしまうようなバイクやクルマではなく、背伸びしても、少し高価なものを選んできた。それと同じと考えれば、ニッサンの戦略は正しいと言えよう。
もちろん近未来での開発も具現化しており、その代表例が自動走行だろう。EVのリーフをベースとしたモデルで、運転席には座らせてもらえなかったが、同乗走行で実力は確認できた。
これで完成ではなく、センサーなどがトラブルを起こしたときのフェールセイフについては、「どのようにしてドライバーに伝え、またどのような走らせ方をすればいいのか、これからの課題」、と話すのは開発責任者の松村さん。
更にEVの可能性をトコトン追求するニッサンは、EVレーシングカーNissan ZEOD RCで来年(2014年)のル・マンに挑戦し、「結果を出す」、と宣言しており、楽しみである。そのZEODレーシングカーのプロトタイプとして造られたのが、リーフをベースにした「リーフRC」。これにハンドルを握る機会が与えられたのは、非常に素晴らしい。