研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2020年12月16日水曜日

久しぶりにケチをつける話 ブレーキ解除後、逆方向へ勝手に走り出す初期のEV


1997年、H社が主にアメリカへ輸出(日本国内はリース販売)するEVの試乗会が行われた。技術説明の後、いざ試乗だが、走行切り替えのセレクターはPRNDしかなかった。

当然、回生ブレーキ構造となっているわけで、走行中にアクセルペダルを放すと、回生ブレーキが働き、速度が低下する。バッテリ-への充電機構が働くことで、減速度が高くなるわけだが、ブレーキペダルを踏むと更に回生率が高くなる、と言うことはバッテリーへの充電量が増す。

それなら、走行中に左足でブレーキペダルを踏みながらセレクターをRにシフトすると同時にアクセルを踏めば、回生率がさらに高まるのではないかと考え、これをやってバッテリーへの充電量を増やそうという、走らせ方をしてみた。

その実験をやってみると、確かにグググーと言う音を発して、回生量が増えているとこを想像できたのだが、その状態で停止し、アクセルペダルとブレーキペダルから足を離した瞬間、いきなり後退し始めた。

操作を間違って、アクセルを踏んでいるのかと思い、後退での走行でも同様な実験をしてみると、同じように、今度は前進する。もちろん誤操作ではなく、アクセルペダルを踏んでいるわけではない。

今でこそTAのセレクターはほとんどが電気的なスイッチだが、その当時はそこまで全てが進んでいるわけではなかった。でも、試乗したEVは当然だがATのセレクターは、走行目的を選ぶスイッチとなる。

この発生する問題を担当者(何の担当か忘れた)に話をすると「普通のATでも、そのような実験をするのですか」と反撃してきたので「特集取材の意地悪テスト以外ではしません」と切り替えしたが、暴走の件は説明がなかった。

それはそうだろう、私がやった実験を、開発者は想定していないわけだから、そこまで踏み込んだ説明が出来るはずもない。でも、ヒョットすると、会社に帰ってからの報告で、自分がいかにも発見したかのようなレポートを提出すれば、上司の評価は上がる、のではないかな・・・

ついでだが、その年に谷田部のJARI(旧自動車研究所)で行われたEVフェスティバルに持ち込まれたほかの自動車メーカーの試作車は、走行中にATのセレクターを動かすと、バッテリーからの電気が遮断され、一度停止後にNポジションとしてから、IGを入れなおさないと走行できなかった。