研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2020年5月16日土曜日

ハンドル操作に遅れが生じるスポーティなコンパクトカー



バイクとクルマのジャーナリズムの世界に40年余り足を突っ込んでから、現在までにケチやアドバイスをつけた項目数十点 その

クルマの試乗会会場が箱根のターンパイク近くであると、いつもやっていたことがある。それは、ATのDレンジのままでターンパイクを下ること。ブレーキペダルは一切踏まず、遅いクルマが居ればアクセルを踏みつけて加速し、それを素早く追い越す。でも、次に現れるコーナー入り口でTAのセレクターはそのまま、ブレーキペダルも踏まない。ほとんど利かないエンジンブレーキだけで駆け抜ける。

コーナー近くになってもDレンジのエンジンブレーキだけで曲がるので、かなりの度胸が要る。

なぜこのような走り方をしたかというと、それは、ブレーキを掛けずに、コーナリングのためハンドル操作すれば、そのクルマの素性が全て出る、と考えたからだ。

つまり、誰が運転しても傍から見ると、安定した速度で(かなり速いが)コーナーを駆け抜けられれば安心できる。そこには、運転テクニックの必要がないことは当然。また、自分の考えていたカーブよりきつかった場合でも、ブレーキを掛けなくても曲がれるとしたら(限界はあるが)、それは自損事故を起こさないことに繋がるはず。ブレーキを掛けると、サスペンション回りに大きな力が作用するわけで、それによってサスペンションジオメトリー(アンチダイブジオメトリーなんていう構造も組み込まれるので、サスペンションの動きは阻害される)も変化がおき、タイヤの持つ方向性やグリップ力が失われる。

でも、安定したコーナリングが非常に高い速度でも可能となったら、普通にハンドルを操作するだけでそのコーナーを走りぬけることが出来るわけだ。

これが重要!!!

リヤが流れ出す感覚をマスターする必要もなく、勿論カウンターになることもない。要するに、ベテランの運転感覚は必要なく、初心者の感覚で十分。タイヤが滑り出して強烈な音を発することもないのだから。

この状況を要求すると、ほとんどのクルマはアウト。今ではそのような緊張するテスト走行はしないが、当時はそれをやってしまった。

以前別のブログでも書いたが、これまでの最高記録は三菱のランサーセディアワゴン・ラリーアートエディション(2001年5月発売)で、なんと平均時速は120km以上。コーナーに突入するときの速度は140kmである。そこからブレーキも掛けずにハンドルを操作することで、タイヤに掛かるストレスがブレーキ作用となるので、速度は落ちる。

このような走り方を普通にやっていたある日、コンパクトスポーティなクルマの試乗会で、同様な走り方をしようと、いつもの速度まで上げてハンドル操作した瞬間、一瞬遅れて向きが変わる。何があったのか理解できない。何回か違うコーナーで試したがその都度動きが違う。それも、その動作は速度によって反応・・・。

この状態では、ハードな試乗は無理なので、早々に基地まで引き上げ、足回りの責任者と話をすると「それ感じましたか。我々もその症状が出ることを理解していて、フロントサスペンション周りの補強などやったのですが、解決していません」と言う話だった。

実務的な話をかなり長くやって、お互いの分析力を確認できたおかげで、その方とは非常に親しくなった。その方は後のモデルチェンジ開発責任者となり、しばらくすると海外に移動となってしまった。

その問題のクルマは、スズキ・スイフトスポーツ2代目の2005年発売モデルだ。