研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2015年4月24日金曜日

マツダCX-3に採用されたナチュラル・サウンド・スムーザーって何だ?その効果を検証する


CX-3に搭載されるエンジンは、なんと全てディーゼルだけ。そうは言っても、そのうちにガソリンエンジン搭載モデルの出現可能性は否定できない。つまり、マーケット次第だからである。

そのディーゼルだが、少しでも快適に、そして静かなエンジンとするため採用されたシステムが“ナチュラル・サウンド・スムーザー”と呼ばれるもので、ディーゼルに限らずガソリンエンジン(質量の関係で音は小さいから目立たない)でも発生する、コンロッドとピストンの、ある回転数と負荷による共振音を取り去ることが目的。

ディーゼルのノック音とも取れるカラカラ音だが、時と場合によっては騒音状態になるようだが、室内での騒音というより、室外、つまり周りに放射する音に気を遣って、ディーゼルの「うるさい」という悪い評価を、少しでも払拭させることが目的である。

本来、静かな「スカイアクティブ・ディーゼル」の更なる進化を目指したもので、動力性能に関係するものではない。

左はまだナチュラル・サウンド・スムーザーを押し込んでいないピストンピン。中央がナチュラル・サウンド・スムーザーで、これをピストンピンに圧入したものが右になる。わかり易くするため、一部をピンの穴から見せているが、本来はしっかりと入り込む構造
 
ピストンピンの穴の中に組み込むのだが、重量増による影響はどうなのだろうか。せっかく、ムービングパーツを軽く造り、気持ちよく回るディーゼルを造ったのだが、それは達成できているのだろうか。開発者に効くのを忘れた
どのような構造かというと、ピストンとコンロッドが共振するときに、どこかにダイナミックダンパーを取り付け、逆位相の振動を造れば、その造られた振動により、逆の振動はカラカラ音を打ち消すことになって、目的とする回転域と軽負荷時にピストン、コンロッドが暴れる音を軽減できるという発想である。

では、どこにそのダイナミックダンパーとなる装置を組み込むのかというと、それは、ピストンピンの穴部分である。

サウンド・スムーザーの構造は、中央部分が太くなっており、それをプレスでピストンピンに押し込むことで固定され、左右にはバネ鋼を介して、目的とする周波数帯を設定する小さな錘が取り付けられる。この錘がダイナミックダンパーの代わりをするのである。

このような周波数帯でカラカラ音を低減できるというが、その効果が目に見えているとはいえない
では実際にその効果はどうなのだろうか。これがなかなか難しい。当日は雨天ということもあって、走行ノイズが大きく、確認できない。また、完全に同じ仕様でなければ、これも判断が難しい。

そこでやってみたのが、停止してボンネットを開け、ニュートラル状態で、少しずつアクセルを踏み、エンジンからのノイズがどう変化するかテストすると、ある回転を境に(2500~3000)僅かだがエンジンからの音がいきなり消えることを確認できた。

それが、ナチュラル・サウンド・スムーザーの効果であるかどうかは不明だが、装備していない仕様では、そのような発見はなかったことを付け加えておこう。

CX-3は搭載されるエンジンの全てがディーゼルという設定だが、そのうちに・・・・・・
ディーゼルに限らず、エンジンからのカラカラ音は、ピストンコンロッドクランクシャフト、そして、クランクプーリーから放射される、ということを突き詰めた自動車メーカーがあり、それに対する対策を行ったことで、騒音を低減できた、という事例があるので、これを参考にして、更なる騒音対策をしてはどうか?ということをマツダの開発者にアドバイスしておいた。

2015年4月10日金曜日

巷に、まるでラリーカーを運転しているかのようなハンドルさばきが見られるのは何故だ


自動車教習所では、左折について、安全に曲がるには、教習生にどのように教えているのか。巷で見るドライバーの曲がり方からすると、十分でないような場面が多く出くわす。

左折では、出来るだけ道路の左側に寄り、左へ自転車やバイクが入ってこないようにするのが基本だが(それ以前の問題として、ブレーキを踏む前に方向指示器を出す、と言う訓練も十分に必要)、そうすると、素早いハンドル操作と、どの位置からハンドルを切ればいいかを、瞬間的に判断する必要に迫られる。

つまり、左へ曲がろうとする交差点で、どのくらい鼻先を交差点に突き出していれば、素早くハンドルをロックするまで切っても、左側を接触させないか、を知らなければいけない。

しかし、これをマスターするには、教習所内で脱輪、ポールへの接触を納得行くまでやらせる必要がありそうだ。

どのようにハンドルを切っていけば、クルマがどう曲がって、その判断が正しいのか、あるいは間違いなのか、教習生が自分で学習する必要があると思う。

集中できなくて、交差点を左へ曲がろうとすると、せっかく左側に寄って交差点に差し掛かっても、左の接触、脱輪を気にするあまり(特に電柱などが角にあると)、大回り、つまり一度右へハンドルを切って、左角に必要以上のクリアランスを作り、曲がることになる。果たしてそれでいいのだろうか。

自分一人の道路ではないので、曲がれればいいというものではないはず

左折でも交差点が広ければ、素早いハンドル操作は必要ないが、4m道路へ曲がるような場合は、素早いハンドル操作をするか(一度右へ切ってから左へという操作はしない場合)、ゆっくりとした速度で曲がれば、右に切ってから左へ曲がる、というような行為はやらないようだが、少しでも速度があると、どういうものか、一度右へ切ってから左へ曲がる、と言う行為が至るところで見受けられる。

左側を開ければ、そこにバイクや自転車が入り込む、という可能性を教習所で教えられているはずなのに、すっかり忘れる。

バイク乗りでもいろいろいるし、自転車ならなおさら。クルマと歩道の狭い間を走り、窮屈な思いをしてきたところに、広場(前方のクルマが右に寄ったため)が出来れば、ごく自然にそこへ行ってしまう。そして、次の瞬間、右側からクルマが押し寄せることになる。

でも、もし教習所で、どうして、何故を、徹底して教えられ、左折の場合は一度右へ切ってから左へ曲がるようなことをしてはいけない、と、教習所内のコースでも、ことあるごとに教え込んでおいたら、左折でポケット(隙間)など作るようなことはしないし、物理的に、一度右へ切ってから左へ曲がらなければならないような交差点では、十分に周囲(特に左後方)の安全を確かめるような習慣が身に付くはず。

そして、左折する場合、右へ切ってから、左へ切るな、と、息子にもさんざん言っておいたが、教習所を卒業してきたら(つまり免許を手にした)一度右へ切って、それから左へ曲がる、と言う習慣が身に付き、それを直させるのに時間が掛かった。つまり、教習所で矯正されていないということだ。

本人もこの曲がり方で何もいわれなかったと話していた。一度習慣になると、それを直すのは難しい。とにかく本人は、そんな操作をしている、と言う自覚がないのだから始末が悪い。

もっとひどい運転になると右折なのに、一度左へハンドルを切ってから右へ、という状況も見られる。

モータースポーツのラリーでは、コーナーを出来るだけ早く、そしてエンジン回転を保ったまま、ということを目標に、目的とする方向と反対にハンドルを切り、尻(クルマの後部)を振り出すきっかけの行為として行われる。

つまり、これはクルマを不安定な状態としながら、それをコントロールするための高度なテクニックであり、そのような状態での一般的な走行はありえない、というものだ。

そのあたりを十分に理解しないで、無意識の行為としてのハンドル操作を行うと、路面がスリップし易い状況では、クルマの後部が大きく流れ、コントロールが失われて事故を起こす。

さすがに雪国の人には見られない行為。降雪路でこのようなハンドル操作を無意識のうちにすれば、気が付いたときにはスピンして、事故になることは明白なのだから。

バイクに乗って、クルマの後についているとよくわかるのは、走行速度に関係なく、ブレーキを掛ける前に方向指示器を出し、左を開けずに左折をきれいに決めることの出来る人が、非常に少ないということ。

これは何とかしたいと常日頃思っているのだが・・・

2015年3月22日日曜日

不定期連載:数式を使わない、クルマの走行安定性の話・10/17


リヤのロール同位相制御が操縦問題を大きくする

一時期、リヤサスペンションの作動に、ロール同位相コントロールを行うことでコーナリングの安定を図る、というシステムを導入することが流行した。しかし、これには大きな問題点が二つある。ひとつ目は轍を斜めに通過したときに発生するもので、リヤが左右に振られ、まるでパンクでもしたかのような感じ。船が大きな波のうねりにもまれているかのような感じでもある。一瞬安定性を失い、速度によってはコントロールも失う。

ふたつ目は3車線の高速走行で発生する。たとえば、私を追い越して走行レーンに戻ったクルマが、いきなりブレーキングを行ったので、こちらはハンドルで車線を替える回避をしながらブレーキング。ここまでなら安定した状態を保てるが、私が回避したその車線に、前車(ブレーキングしたクルマ)がいきなり再度のレーンチェンジをしたので、こちらは元のレーンに戻るため、ブレーキングをしたままステアリングを切るといったい何が起きるのか。

何と最初にステアリングを切ったときに作用した(ロールしているので)、リヤサスペンションに対する同相が残り、この時点では逆相の作用となり、リヤの安定性が失われる。リヤのトーインが少しでも強い設定であると、オーバーステアとなりコントロールを失うことで、スピンに至る。こんなバカなことが有ってはいけないのだ。

ロールトーコントロールとブレーキングによるアンチリフトジオメトリーが、合併症を起こしたのである。こんなクルマを知らずに購入したユーザーがかわいそうである。この状態から大事故に至ったケースが有るのではないだろうか。但し、当事者がクルマの挙動を理解していないと、何が起きているのか・・・

このときには、トーの変化とキャンバーの変化が合併している。つまりキャンバースラストが作用するわけで、強烈な横力が発生して、リヤからクルマを振り乱そうとする。その力は非常に強く、ハンドルを軽く押さえているぐらいでは、姿勢を元に戻すことはできない。一瞬のトー変化はなにもクルマに影響を与えないが、そこに、キャンバーが加わると、バイクのコーナリングと同じ、キャンバースラストで、いきなり向きが変わるのである。

この特性を逆利用すれば、ロールしてキャンバー変化が発生したとき、キャンバースラストが起きないような、トーアウト設計するとその作用はでないのだろうが、ロールするたびに、タイヤのトラクションは低下することになるので、これもだめである。

フロントのロワアーム形状にも、クルマとしての資質が隠されている。LアームであろうがIアームであろうが同じことが言える。このアームには、走行中前後方向の力が常に加わる。この力をどこに分散するかである。設計のしやすさからすると、Iアームではフロント側からテンションロッドとすることが多い。回転半径やステアリングのラック取り付け位置などを考えると、フロント側へテンションロッドを取り付けた方がやりやすいのだが、この部分にどのような方向の力が加わり、それがボディに対してどのような力となって作用するかを考えたときには、あまり好ましい作用点とは言えない。

クルマがタイヤより入ってくる外乱をどのように受け、その力をどこへ逃がすかは重要なポイントになるはず。たとえばフロントにその作用点を取り付ければ、クルマの中心に対する力は強く働くことになるが、中心に近いところ、つまりロワアームであるとプッシュロッドスタイルにするか、L型のデザインを後ろへのばす形では、作用点がクルマの中心に近くなるので、そこから加わる力はそれほど大きくならない。その結果、”何か変な動き”を感じることがなくなるはずである。

2015年3月2日月曜日

メルセデスは旧車のパーツについても、積極的にユーザー側に立ったサービスを展開していた


欧州車は古くてもパーツが揃うから維持し易い、という話は旧車マニアから聞くが、メルセデスの場合どの程度なのかを知る機会があった。

我が家に存在したベンツ300(1953年式)の、現在手元にあるパーツは、ヒーターファン(左右にあるので対の2個)とボンネットオーナメント、そしてワイパーアーム1本だけ。後のボディ本体は処分してしまった。今から40年以上前の話である。

そして、これらの部品は、使い道がないのか、ゴミなのか?

メルセデス日本の広報部にメールして、必要なら差し上げますが、ということを、画像と共に送ったのだが、この機種については日本国内での需要がなく、必要ない、という話だった。残念、でもその後に続く内容は、日本の自動車メーカーでも取るべき内容ではないのかな、と思うものだった。

メルセデスは、ドイツ本社で、壊れた部品を回収し、それを再生する(本社ばかりではないと思う、サプライヤーも関係しているだろう)サービスを行っている。

リマン部品と呼び2010年より部品販売の世界戦略の一つとしているようだ。

ATなどはファクトリー・リビルドとして、40年以上前から普通に行われている。

日本でもアイシンAW(トヨタ系)が積極的にATのリビルドを行って、トラブルを起こしているATを下取りで受け取ることにより、安価な再生ATを市場に送り出している。

他の日本自動車メーカーは、このATリビルドに対して、あまり積極的ではない。そのため高価である。

もっと積極的に再生部品の販売を行い、古いものを大事にする文化を根付かせて欲しい。でも、ダメか~。日本政府が古いクルマの税金を高くするようでは。欧州では(全部ではないが)古くなればなるほど自動車税が安く、或いは無料になるという政策を打ち出している。

日本では、古いものは「悪」的な考えが政府、自治体にはあるようで、貴重な建造物を取り壊し、そこに新しい建物を建てるという図式が普通だから、このような考えを払拭しない限り、住みやすい日本など実現しないだろうと思う。

自動車のポンコツや(解体屋)に行けばわかるのだが、事故車ではない、まだ十分に走行できるクルマが解体を待っている。このような状況は、世界中を探しても日本だけである。何故こうなるのか、使い捨てが絶対優先の文化か?そうじゃないだろう。

2015年2月22日日曜日

不定期連載 数式を使わない、クルマの走行安定性の話・9/17


リヤサスが作動しなくても問題を感じなかったレーシングマシン

FWDにおけるフロントWウイッシュボーン・サスペンションの採用は、リスクが多すぎる。構造上で考えると、設計値どおりに長年にわたり作動させることが不可能である。ブッシュの劣化、ダンパーの劣化、ボールジョイントの磨耗、アームの劣化などによってジオメトリーが狂う。

いくら等長のドライブシャフトであっても、加速、減速によってエンジンの傾きが発生すれば、等長なんて関係なく、ジョイントの左右角が変化し、トルクステア(どのような状況でトルクステアが発生するかの分析が出来ているので、今では死語)が加速時でも、減速時でも発生する。これは前記のことと関係し易い。

Wウイッシュボーンでも、アンチダイブやアンチスクオート、ダイブダイブによるキャスターの増加など、複雑な動きに対する設計を追加しないなら、このような状態は発生しにくと考えるのだが。

クルマの自然な動きに反する作用をさせれば、当然その反撃に遭うわけで、正しい動きを持続するのが難しくなって当然。特にアッパーアームの強度と剛性、取り付け点における強度、剛性、精度も問題になる。

クルマの荷重をどこで受けるかも問題となる。サスペンションのアームで受けることはさけるべきである。考えてみれば当然のことで、荷重に対抗してサスペンションアームは曲げや捻りの外力が入る。サスペンションとして作動する以外の外力が加わり、ブッシュは思わぬ方向に変形し、ダイナミックアライメントばかりでなく、ジオメトリーまで悪い方向へ変化する。

こうなればブッシュのヘタリも早い。さらに、アームのボールジョイントにもクルマの荷重が加わることになり、摩耗が起きやすい。ただしWウイッシュボーンやマルチリンクでも、ストラットのような形で、ナックルに対してショックとスプリングを付けることにより、直接荷重を受けることができるし、プログレッシブに作動させることも可能だ。足回りの耐久性を考えて、このような設計を施したクルマもある。

日本車におけるサスペンションの非常に悪い点を見たことがある。それは、'89年のルマン24時間でのこと。ルーティングでピットに入ってきたマツダ・ロータリー。ドライバーチェンジ後に、スタートのOKを出そうと思ったメカニックが、なにげなくリヤフェンダーを見ると、何かで擦れた穴があることを発見した。

ピットの上からマツダチームを24時間張り付きで取材していた私も(実際には24時間ではなくレース当日早く起きてサーキットへ行き、レースが終わってホテルに帰って、メディア関係者と打ち上げだから40時間以上)、同時にそれを発見していた。タイヤで擦れて穴が開いたのだ。なぜそうなったのかというと、ダンパー&スプリングの取り付けボルトが脱落したからだ。ただそれだけ、と見てしまう人もいるが、そこには大きな問題が他にあったのである。

サスペンションのアームがどこかにぶつかって、ボディが路面を擦るようなことはなかったが、サスペンションとしての機能は果たしていないわけだ。にもかかわらずドライバーからは何もコメントがでていないのである。

つまり、このクルマにはリヤサスペンションは必要なかったのである。非常に情けないことだが、サスペンションスプリングは、ただの車高調整用のスペーサーでしかなかったわけだ。サスペンションが有ろうが有るまいが、クルマの操縦・走行安定性に変化がないなら、とてつもなく金と時間をかけてサスペンションを開発する必要はない。

このような状態を経験したマツダは、改良に成功し'91年のルマン24時間に見事優勝したのである。

ボディ剛性のなさがサスペンションとして機能していたとしたら、これほど情けない話はないが、たぶんそのとおりであると思う。あるいは、現在のF1のように、フロントサスペンションの動きを各チームごとに計算し制御して、タイヤやシャシー構造の特性から、一時期は作動させないで(年月によって変わっているので決め付けられない)、リヤのみに作動ストロークを造ることにより、バンピーな路面でのステアリング安定性と正しいダウンフォースを確保していることから、マツダREも、もしかすると、リヤの代わりをフロントが作動を受け持っていたのかもしれない。

グラチャン(グランドチャンピオンシップレース)をフジスピードウエイのバンクを使ってやっていた頃、現・筑波ガレージの社長・堀氏は、当時のサスペンションセッティングを見て、これなら、サスペンションなど必要ないと、自分でシャシーをサスペンションなしで造り、見事に優勝したのである。

2015年2月15日日曜日

今だから話そう:実は2007年、当時ホンダのF1開発関係者と:こんなやり取りをしていた 画像追加


ホンダがシャシーの開発まで行っていた前回のF1であるが、そのシャシー開発には未知な部分が多く、特にフロントサスペンションについては、苦労の連続であることを見て取れていた。

そこで、秘蔵していた“チャンピオンマシン・ルノー(アロンソのマシンと同型)のサスペンション内部構造を撮影した画像を、ホンダのF1関係者に送ったのだ。

アロンソがチャンピオンを取る前年のルノーF1マシン。サスペンションなどの構造はチャンピオンマシンと同じだという

これが証拠のルノーF1フロントサスペンション構造。この写真を撮影しようとしたのではなく、クラッチ、ブレーキペダルはどのように配置されているのか知りたくて、中を覗いたら、トーボードが外されていて、サスペンション構造が丸見えだったということ。エンジンは外されている、ということを関係者は言っていたので、もしかすると、ワイヤーハーネスと一緒になっているアクセルなどと共にトーボードも取り外さなければならない構造だったのかもしれない
 
それを踏まえて、以下のようなメールを出した

先日のルノーF1サスペンションいかがでしたか?

ところで、○月○日に、ホンダレーシングの発表会がありますが、ホンダF1シャシー担当者への質問として、フロントサスペンションはどうしているのか、以下のような質問をしてもよろしいでしょうか。

F1のフロントサスペンションは、かなり以前から作動させないほうがベストである、という結論が出て(F1ばかりではないと思うが)、フェラーリやルノーは、スプリングを持たない方式でやってきている。

完全リジッドではなく、圧縮側に作動するストロークを持たず、伸び側に僅かなストロークを持つだけ。

ホンダは、昨年の最終戦までは(はっきりしない)、スプリングを持つ方式でやってきたようだが、これでは、フロントウイングに対する空力が悪くなると考えられる。当然、空力だけではなく、操縦性の全てに関しても同様だと考える。

何故、さっさとスプリングレス方式にしなかったのか?更にルノーF1の2006年モデルでは。フロントについてはサスペンションを完全に作動させないリジッド方式を採用していたという話も聞くが、このような情報に対して、ホンダの今後の取り組みはどのようなするのか。

という、答えにくい質問をしようと思うのですが、いかがでしょうか?

このようなメールの返信は・・・・・・

 
F1マシンの発表会があることは承知していますが、このような込み入った、内容の濃い秘密の質問には答えてくれないでしょうし、質問しないほうがいいと思います。ややこしくなりそうですから。

ルノーのサスペンションは写真から詳細に分析中です。当然、作動のジオメトリーを含めてです。

さて、かなり気になっているホンダのフロントサスペンションですが・・・ルノーと同じようなレイアウトになっています。

現段階ではスプリングはまったくなく、圧縮側、伸び側はダンパーで考えています。

ただし、コースによっては縁石を使うことによるタイムアップを狙う観点から、過渡領域での空力変化を最小限に押さえ込むことのアイディアとして、トーションバーとスタビとの組み合わせでの効果を考えていることも事実です。

リジッドにした場合のストレートのバンピー路面での車体挙動の安定化、ダウンフォースのよる接地タフネスなど、サードダンパーの使い方などいろいろ考えているところです。

という返事が来ていたのである。当時、いかに右往左往していたか、よくわかる。今では、笑い話の部類だが・・・

そして、最近のマシンでは、フロントサスペンションの動きを、タイヤやシャシー剛性、リヤサスペンションとの絡みで、実にバランスよく作動させていることがわかる。作動させすぎのマシンはやはり性能が劣っている。

2014年チャンピオンマシンのメルセデスは、実に穏やかな動きで、そのスムーズな作動が素晴らしい。バランスのよさも見て取れる。このシャシーに勝てるマシンは出てくるのだろうか。無理だろうな~

2015年2月9日月曜日

コーナリングの癖が欠点ともいえるNC700Xだが、今ではマイバイクにしている。その理由と、よりよい物とする改良②


最後にやった改良は、ホーンボタンの位置

どういうものか、最近のホンダ大型バイクの大半が、ホーンボタンは方向指示器スイッチの上側にあり、形や力を加える方向からも使いにくい。というよりホーンが鳴らせない。

ホーンは緊急時に使用するものなので、親指が無意識に動く範囲にホーンボタンがないと、いざというときに役に立たない。

事実、これまでのツーリングでは、ホーンを鳴らし損ねたことが数回ある。事故に至らなかったのは、飛び出してきたクルマが、こちらから走るバイクを発見してくれたからであり、そうでなかったら事故。

アメリカのMVSS(モーター・ビークル・セーフティ・スタンダード)によるものなのか定かではないが、道路事情がアメリカとは違う。MVSSなんて無視すべき。確かに輸出仕様と同じにすれば、製造コストは下がるが、日本国内での安全性は担保されないと思う。

飛び出すクルマ、飛び出す人などはまずいないのがアメリカ。例え飛び出したとしても、道路の幅が広いので、十分に避けられる。

ハーレーの左ハンドルスイッチを見ると、確かに方向指示器スイッチ(スライドではなくプッシュするもので、右用は右のハンドルスイッチ部分にある)は方向指示器スイッチの上側だが、上下に長く親指が適当な動きをしても、ホーンボタンは無意識のうちに押せそうだ。

アメリカ・ハーレー
 

緊急時の押し易いホーンボタン位置は、一番下側であるのは当然の話。

欧州製バイクの左ハンドルスイッチを見ると、どのバイクも一番下側にホーンボタンがある。親指の守備範囲からすれば、ごく自然な位置であり、緊急時に使用するホーンのことを考えれば、当然で当たり前過ぎである。

ドイツ・BMW

イタリア・ドカティ

 

そこで、とりあえずアルミ板を加工して、ホーンレバー形状を作って使ってみた。親指を適当なところへ持っていっても、ホーンを鳴らすことが出来る。そして、これによる効果は一度経験したが、まだ納得できる状態ではない。

納得は出来ていないので、ガレージにあった適当な左ハンドルスイッチから、ホーンボタン部分だけを移植する作戦を慣行。

接点があるので。そこから延びるコードを確実に利用する。ただし、その接点を使うには、空間(ボックス)が必要になる。

つまり、既存のハンドルスイッチ部分でベストなところへホーンボタンを貼り付けるとなると、ハンドルスイッチに加工などの作業は最小限に止めたい。万が一のことを考えたときに、既存状態は絶対に必要だからだ。

ホーンボタンの接点を収めるボックスは、適当なプラスチックボックスから切り出して、接着剤により形を整える。それを、既存のハンドルスイッチ部分のベストな位置へ取り付けるには、そのハンドルスイッチの取り付ける部分の形に合わせる必要がある。

ピタリと形状が合っている必要があるため、ハンドルスイッチ側にアルミテープを貼り、取り付けるホーンボタンを組み込んだボックスに、アルミホイール修正パテを適量盛り付け、その状態からハンドルスイッチの、新しいホーンボタン取り付け部分に押し当て、パテ樹脂がある程度固まるまで放置。

固まってからパテが変形しないよう剥がし、更にハンドルスイッチ側に貼り付けておいたアルミテープも取る。

これで、パテが完全の硬化するまで放置し、盛り付けたパテの仕上げに移る。凸凹を修整するだけだが。

次は、ハンドルスイッチの中に組み込まれている接点に、新しく取り付けるホーンボタンからの配線コードを、正しい位置にハンダ付けする。

ハンダ付けがきれいに出来ないと、ショートなどのトラブルにつながるので、ここは注意して、小さなハンダごてを使って、1~2秒の作業で完成させることが重要。

ハンダで取り付けた部分には、トラブル防止を考えてビニールテープを貼っておく。

取り付けは、強力両面テープを使用。使っているうちに剥がれるようなら、両面テープを貼った上から工業用の瞬間接着剤で処理する。

これが完成した左ハンドル側のスイッチ。新たにホーンボタンを一番下の親指が自然に届く位置に取り付けた。既存のホーンボタンにもレバーを貼り付けた状態だが、これはいずれ取り外す
 

これで完成。ホーンボタンは納得の出来る位置に取り付けられた。万が一のことを考えて、既存のボタンはそのまま使える状態を保つ。

2015年2月8日日曜日

コーナリングの癖が欠点ともいえるNC700Xだが、今ではマイバイクにしている。その理由と、よりよい物とする改良①


コーナリングの強い癖は750になってほとんど解消しているが、700については前後タイヤを750と同じものに変更するまで、依然としてこの癖は残る。しかし、その状態を乗りこなすと、かなり楽しく、また、利点となり、スピーディであることがなんとなくわかってきた。ただし、走行状態のよっては疲労がたまるけれど。

では、何故このような癖の強いバイクを選んだのかというと、それは、270度クランクの2気筒で、更に左右シリンダーのバルブタイミングまで変更。それによる燃焼のアンバランス、回転のアンバランスによる心地よい鼓動、振動が好きで、100キロからの加速でもアンバランスな(もちろん気持ちの良い状態)鼓動から、グスグスという振動を尻から腰、背中にまで伝達する。これがたまらないからである。

乗るたびに新しい発見があることも、私にとってはNC700Xの魅力かもしれない。

もちろんそれだけではなく、普通のバイクなら燃料タンクとなる部分はフルフェイス・ヘルメットが入るほどのボックスとなっていること。

ここにツーリング用品を押し込んで出かければ“ツーリングです”状態を他人に悟られること無く、スマートに走りを楽しめる。更に燃費のよさもある。なんと、これまでの最高は38km/Lで、それまで乗っていた、燃焼改善しているXLR250Rよりも良いのである。

そして、このNC700Xを不満状態(コーナリングの強い癖意外)で乗ることは、許しがたく、安全・快適に乗るため少々の改良に着手した。

一番の癖である切れ込むコーナリングは、半尻落しのレーシングスタイルを取らなければいけない。そうなると直線では問題の無いフットレストが、表面にゴムを貼っていることで(正確には空間がありクッション性を持つ)、必要な踏ん張りが不安定になるのだ。こんなに癖の強いコーナリングでなければ、ゴムで中空のフットレストは、ツーリングバイクとしての感触は受け入れられるのだが。

この切れ込む癖からコーナリングを、自分のものとするには、しっかりとしたフットレスト形状が求められる。

つまり、半尻落しのライディングスタイルは、コーナリング中、外側のフットレストを抱え込むように踏みつけるため、ライディングブーツとフットレストは、確実に一体となった状態が要求される。

でも、最近のホンダ・スポーツバイクは、同じフットレスト形状で、中空ゴムを貼り付けたもの。つまり、グニャグニャなのである。

これでは信頼してフットレストを踏みつけることは出来ない。常に「裏切りに・・・」が頭から離れない。なお、タイヤ変更でこの問題点が解決されたNC750は1000キロ以上のツーリング走行で、気になる不安な状態は体験しなかったので、フットレストの変更はする必要がない。

この問題を解決するには、ゴムの貼っていないものと交換する以外には無い

調べてみると、幸い、この手のフットレストは、どれでも使えそうな感じであることがわかった。

ガレージの部品箱の中にそれらしきものを発見したのだが、右側しかない。同じ車種(CBR400R・NC23用)の左側を注文するためホンダ・バイクショップに出かけ、ネットで在庫を調べてもらったが、品切れ状態。

仕方がないので、オークションサイトから取り付け可能な、アルミ一体型のフットレストを購入。短い長さのためアルミの角棒をアルゴン溶接し、表面にギザギザ形状をヤスリで作り使用していた。

見た目は全体的に細いので多少頼りないが、安心性と実用性は大きく向上し、踏ん張るブーツはしっかりと安定した状態を作り出してくれている。

ほぼ満足状態でいたが、年明けのスワップミートでホンダ車の、アルミ一体フットレストを発見。1000円で購入し、調べて見るとCBR250R(MC17)用で、組み合わせ部分の形状(リターンスプリングを入れるところ。その後、耐久性に問題が出たのだろう、今の形状に変更された)が違うけれど、取り付けてみると、バランスが良い。

これがホンダ純正、CBR250R用で、リターンスプリングを掛ける位置と形は違うが、取り付けは可能だった。これで安心感が増した
上が標準のフットレスト。ゴムは中空でしっかり感はない。下は、オークションサイトから購入し、短いので溶接で長くしてからヤスリで加工したもの。使用感はいいが、見た目は少し頼りない
 
これでフットレストについては解決。でも、何故コストのかかるフットレストを取り付けているのだろうか。アルミに中空ゴム(振動対策?)を貼り付ける構造は、意味がないはずだが。

フットレスト周りでは、直接関係ないが、もうひとつ改造を行った。それは、ブレーキペダルのブーツと接する部分。

実はこれも、左側へ大きくリーンさせているとき、コーナーラインや速度調整で、僅かに使用するリヤブレーキの、ペダルにつま先を掛けているときに生ずる不安感を解消したいからである。

ライディングスタイルから、どうしてもブーツは前開きの状態でフットレストに乗る。同時にブレーキペダルに対しても、ペダルの先端(右の端)に引っかかる程度の位置を好む。

そうなると、ブレーキペダルは足の動きを確実に、そして常に受け入れるような接触状態が望まれる。そのときには、フットレストを踏み変えて、ブレーキペダルに対してベストな位置に移動すればいいのではないこと思われるが、踏ん張っているフットレストから足を上げたとたん、バランスを崩して事故?は十分考えられる。

なのでやりたくない。右足ブーツが踏みつける(自然に載っている)ブレーキペダルからスリップして外れないよう願うだけ。

これを解消するには、ブレーキペダルの先端に小さな出っ張りを作れば良いと判断

ピカピカ光って、つるつるのブレーキペダルを使用しているホンダバイク。見た目にはいいが、機能としてはどうなのか疑問が残る。

最初は溶接で小さな出っ張りをひとつ作ろうか、と考えたが、不都合なことになったら取り外すことを考えると、小さなビスをねじ込む方が良い、との結論となり、3mmのビスを取り付けた。ドライバーを当てるところは、丸ネジなので、ブーツが強く引っかかるようなことはないと判断した。

まだ、強くリーンさせなければならないコーナリングを体験していないので、良否はハッキリしないが、普通のコーナーで不都合は感じていない。不都合になったら現場で取り外せばいいのだから、そのあたりは使い勝手が良い。
ブレーキペダルの先端に滑り止めとして3mmのビスを取り付けた。これでの効果はまだ確認できていない
 

 

2015年1月28日水曜日

不定期連載 数式を使わない、クルマの走行安定性の話・8/17


一瞬のトー変化はクルマの挙動を乱さない

最近(といってもだいぶ前だが)でも同様のシステムを採用するクルマがある。それは、ジャガーXJ8などに見られるもので、一見するとリヤのロワアームは幅10cmほどのIアーム一本だけである。アームはデフの下の部分に取り付けられ、デフ側はもちろんブッシュによる取り付けで、サスペンションのスイングピボットになる。そしてデフはサスペンションメンバーに大きめのゴムブッシュを介して取り付けられている。

この構造であると一般的には、ハブがアームと一体で造られ、スイングアクスルのストラット構造でないと成立しない。つまり、がっちり結合されたものでないと、タイヤが倒れ込んでしまうが、ここもゴムブッシュによる取り付けで、ピボットになっている。しかしそれを押さえるストラットのようなものもない。さらに素晴らしいのは、ロワのIアームが10cmほどの幅しかないのに、そこには1953年のメルセデスベンツ300のようにトルクロッドがないのである。

アッパーアームはどこにあるのだろうか。このデザインでは絶対にアッパーアームがなければサスペンションとして作動しない。しかし、よくそのサスペンションを見ると、ドライブシャフトのジョイントは等速ジョイントではなく、プロペラシャフトなどに使われるクロスジョイント(ユニバーサルジョイント)である。このジョイントは軸方向にスライドしないから、前後をしっかりと固定すれば、サスペンションのアームとして使えることが分かった。

そう、ドライブシャフトがアッパーアームの代わりをしているのだ。すごい設計である。日本人にはとても発想できないスタイルだろう。もちろんスポーツカーで、サスペンションストロークが少ないから、これを可能にしているが、タイヤの幅(確か245255)に関係する走行上の問題点を、これでカバーできればそれでいいのである。

トルクロッドのないこのようなサスペンションでは、走行中のタイヤに加わる力で、タイヤは前後に大きく動き、クルマの中心に対するトーの変化は非常に大きい。にもかかわらずクルマの挙動安定性には問題が生じない。もちろん、このトー変化は一瞬のことであり、瞬間的に元の正しい位置にタイヤは戻ることになる。ということは、一瞬のトー変化はクルマの挙動安定性に問題を与えないと言うことである。

特にデフを中心にした左右のトータルトーにおける、一瞬の変化は問題にならないようで、日本車にも同じような動きになるサスペンションを持つクルマがある。それは、三菱のデリカ・スターワゴンである。もちろんリヤサスペンションでの話だ。

リーフリジッドのサスペンションなのだが、スプリングの前側取り付けに使われるブッシュは前後方向に大きく、楕円の形をしている。そして、そこにはNVH性能を向上させる目的で造られた、大きなスグリがある。しかし、このスグリがNVHだけではなく、クルマの走行安定性にも大きな影響を与えていたのだ。

リーフスプリングの前側取り付けブッシュにスグリがあるということは、走行中にクルマの中心から見た瞬間的なトーの変化が起きる、ということである。ただし、クルマの中心から見た場合ではトーの変化が起きているのに対し、左右合わせたトータルトーで見ると、変化していないのである。左右がつながったりジッドサスペンションなのだから当然のことではある。

2015年1月24日土曜日

白バイの役目は取り締まり、それとも事故防止。事故防止が重要だと思うが


1月始めだったと思うが、九州方面の女性白バイ隊員の活躍(???)を取材したものが流れていた。

確かに彼女のライディングテクニックはすごい。ウエットな状態であるのにもかかわらず、1300ccフル装備した白バイを、鋭い感性をフルに使い、リヤが滑り出すことを計算しながら、パイロン走行を転倒せずこなしてしまう。

運転訓練では、転倒という恐怖感を克服するため、恐怖・転倒ということに意識がいかないよう、数え切れないほどの転倒を経験させ、いわば自己洗脳するまで徹底的に乗り、転倒という文字を頭から消し去るような状態にするのだから、自分中心での走るテクニックはすごくなる。

ここまでは良かったのだが・・・

彼女の取り締まり取材が行われた。スピード違反車両や携帯電話使用を見つけ、追尾して違反切符を切ることは、事故を未然に防ぐ行為なので、認めるとしても、問題は、事故が多い場所での取り締まり方法。

事故の多いT字路で一時停止、安全確認をしない違反車両を隠れて張る。

もちろん違反車両は取り締まれるのだが、事故を起こす前の、安全を確認させる状況にはならない。

隠れていることで、違反車両(とは限らないが)による事故の起きる可能性は高い。事故は少しも減らない。

事故が起きてから、逃亡車両を検挙できるだろうが、それは事故防止ではない。

白バイが、見える状況で周辺に停車していれば、当然違反車両はなくなる(事故も、違反車両についても絶対ゼロではないが)。

もし、隠れて取り締まっている最中に、白バイ隊員(テレビの取材であると女性)の親族、それも自身の家族や子供が、優先道路通行中でも、その事故に巻き込まれたら(場合によっては死亡事故)、それでいいのか?

白バイが(パトカーでも同様)、その道路近くで、見えるように止まっていたら、このような事故は、起きる可能性は少ない。

でも、隠れて取締りを行っていたとき、事故が起きてしまった場合に、その白バイ隊員は「自分の行動は間違っていなかったのだろうか、いや、事故なのだからしょうがない」とあきらめられるのだろうか。自己嫌悪に陥らないのか。

元交機隊の友人は、当時の白バイ乗務で、「事故を未然に防ぐには、自分達がどのような立場で、どのような行動をとればいいのか、いつも気にしていた。事故の多い場所で、違反車両を隠れて取り締まるのは、事故を防げないのでやらない」と話していたが。

2015年1月12日月曜日

国土交通省と警察に物申す


クルマやバイクの前方に取り付けるライトの色についてであるが、赤以外で300カンデラ(これがなかなか難しい。夜間なら見える社幅灯の明るさであるという)までなら認めるというのだが、どうもこの決まりがいい加減というか、見てみない振りというか、既得権?(法律でこれはまずいはず)で、堂々とまかり通っている状況が街のそこかしこに走り回っている。

ライトの明るさに関係なく、赤はダメ、といっているのに、赤が前方からハッキリと見える普通のクルマがあるではないか。

それは、タクシーの「空車」という表示。

これ、どう見たって赤でしょ。なにに何のオトガメもなし。

続々と駅に戻るタクシー。フロントウインドウの中にある空車の表示は、全て赤である。これいいの?
昨年だったと思うのでが、関西方面のカー用品店に、その筋の役人が乗り込み、店頭に並ぶドライブレコーダーにイチャモンを付けた。「ドライブレコーダーが作動中に点灯する赤色LEDが前方に向いて取り付けてあるものは、撤去せよ」というような内容だったらしい。

ウッ、確かに赤色を前方に向けて点灯させてはいけない法律があるので、その筋の役人が指導したことに文句は無いが、その赤色LEDは僅かに見える程度(カメラが作動中ですよ的な)で、停車中で夜間でも注目しなければわからないもの。

それに引き換え、タクシーの「空車」文字は、遠くからでもハッキリと見える状態。

赤色は、明るさに関係なく点灯すると違反のはずなのに、何故これが見逃されているのか、理解に苦しむ。昔は色が違っていたように思うのだが。それとも特別に、利用者のことを考えて、遠くからでもよくわかるように、タクシーの「空車」表示は、赤でOKとなったのか?

2014年12月28日日曜日

不定期連載 数式を使わない、クルマの走行安定性の話・7/17


トルクロッドもなくサスペンションアームも持たない独立懸架

サスペンションは、コーナリングの性能を上げるための全体設計ではなく、ニュートラルな走行時におけるサスペンションのあり方を最重点項目として考えるべきである、と考える。コーナリングにおける横力は、直進時におけるクルマの不安定要素をいとも簡単に越えてしまうわけで、コーナリングが素晴らしいクルマが直進安定性がいいと言うことはない。逆に、直進安定性のいいクルマは、コーナリング性能も素晴らしいというのが事実でもある。

ステアリングを切ったときの、クルマに発生する横力の計算は簡単に求められるのだが、直進時における外乱に対しては、いくらスーパーコンピューターを使えども分析できる状況にはならない。

コーナリングの特性から言うと、日本車は、タイヤのコーナリングパワーで曲がるのに対し、西独車はコーナリングパワー+キャンバースラストをバランスよく使っている。そのためレーンチェンジや高速コーナリングでもロールが少ない。特にフロントの沈み込みは少なく、タイヤからのスキール音はでにくい。

ル・マン24時間耐久レースでのことだが、89年に見たマーシャルカーはメルセデス560SELのノーマルカーである。これにオフィシャルが4人乗ってあのグループCカーを引っ張るのだ。これがただのクルマであったのなら、スピードが遅いことにドライバー達からクレームがでる。しかし、メルセデスは違っていた。ストレートでのスピードはもとより、コーナリングもバランスを崩すことなくレーシングカーを引っ張ったのである。翌年登場した日本車のマーシャルカーは、もちろんバリバリの3リッター・ターボ付きレーシングカーであった。

タイヤは幅が広くなればなるほど、路面の凸凹を受けながら、グラグラしながらも目的の場所に向かって転がっていく。このときに発生するグラグラ力はかなり強いものがあり、これをどのように処理するかが一つのポイントでもある。

リヤサスペンションにおいては次のような事例も見られる。まず一つ目は1953年式のメルセデスベンツ300に見られる。 デフをボディ(このときにはシャシーを採用していた)に取り付けて、その両側にスイングアクスルとするタイプである。スイングアクスルとなれば、当然タイヤにかかる前後方向の力を処理するために、ラジアスロッドやトルクロッドの取り付けがあるのが自然なのだが、このベンツ300は当然とも言える、ロッドの取り付けを行なわなかった。次回にはもうひとつの例を記載します。

1953年式のベンツ300。前オーナー曰く「当時は、外車に決まった価格は無く、オークションだったので、輸入の数が少なかったベンツ300は、ロールスロイスより高かったのだぞ」と。我々のところに来たベンツ300はなんと左ハンドルで、コラムシフトのマニュアルミッション(当時はろくなATはなかったので)。ステアリングにはアシストなど付いていない
 
 
つまり、ラバーマウントされたデフを中心にして、タイヤは前後に、自由に動くことになる。これがいったい何を意味するものなのか。NVHだけではないように思う。

フロントは上下アームが非常に短いWウイッシュボーンで、形や寸法からして、どう考えても素晴らしいサスペンション回りとは思えない。

12年ほどたった中古のベンツであったが、その時の走りときたら素晴らしいものであったことを覚えている。とにかく、ステアリングの遊びが多いにも関わらず、どのような路面状態であっても、ハンドルを取られることがないばかりか、左右に振られたり、向きが変わることもない。この状態が100km/h以上まで続いたのである。120km/hまでは出したが、それ以上は出せる道路がなかったので、確認できなかった。

知り合いから譲り受けたベンツ300だったが、当然整備が必要な状態であったため、下回りは分解して交換するのだが、デフのピニオンギヤベアリングはテーパーではなくローラーが使われていた。そのベアリングだが、DIN規格であるのは当然のこと。日本製でも呼び名こそ違っても同じサイズのものがあるので、それを使う。大学時代の機械製図の先生は、JIS規格作った方で、「面倒だから、時間もないし、DINの寸法をまねた」と教えてくれていたため、躊躇無くベアリングは日本製を選んだのだ。

これはそのベンツ300のボンネット先端に取り付けられていたボンネットマスコット。ラジエターキャップと勘違いしていた方もいるようだが、そうではなく、これを取り外すとその中にラジエターキャップがあったと思う。破損したためか、オリジナルとは違っている
これが当時のベンツ300に使われていたヒーターファン。エンジンルーム内に、左右ひとつずつ取り付けられていた。それ程強力ではなかったように記憶する 
 

2014年12月21日日曜日

バイクの駆動系にトーショナルダンパーの硬さアジャストを付ける


クルマでは、トーショナルダンパーのことを、駆動系の捻り振動や曲げ振動低減のために使用されるダイナミックダンパーである、と説明しているが、バイクの場合ではリヤスプロケットばかりではなく、クランクからの1次減速ギヤ(クラッチなどがある部分)の部分に組み込まれることも多い。ただ、クルマのようにダイナミックダンパーとしての目的は無い様に思うのだが。捻り振動はバイクでも目的に入るだろうが、ややこしい話は別として・・・本題に入る。

ダンパーラバーはスプロケットが取り付けられるリヤドリブン・フランジとホイールハブの間に挟みこまれ、加速・減速でのショックを和らげる役目なのだが、経年劣化するとその感触が悪さを発揮する
 
バイクのリヤスプロケット取り付け部分には、ギヤの変速ショックやアクセルの開閉で起きるギクシャク感を低減する目的で、ゴムの挟まれている場合があり、それが災いというか、感触の悪い方向へ劣化する体験をしているのである。

全てのメーカーが、このダンパーゴムを採用しているわけではなく、ホンダ車に多い。

例えば、同じオフロード車であっても、ヤマハTT250Rでは、リヤのハブに直接スプロケットが取り付けられているのが、同年代のホンダのXLR250Rでは、ストロークの大きなゴムダンパーを間に挟む感じで組み立てられる。

もちろん、このゴムダンパーは簡単に交換できるので、シフトショックやアクセル開閉の感触が悪くなったら、交換すればいいのだが、そのダンパーが絶対取り付けなければならないダンパーだとしたら、そのバイク造りは、少し疑問がわく。

ここのゴムが劣化(熱による加硫が進み硬化する。更に摺れて磨耗する)して、ダンパーのストロークが多くなってしまうと、僅かにアクセルを開けたとき(エンジンブレーキ状態の減速中から穏やかにやると)、一瞬遅れて動力(駆動力)が発生するかのように感じてしまう。

どのようになるかというと、エンジンの回転が空転した後となるので、ガツンという軽いショックを伴ってから駆動力が伝わる。実に愉快な感触なのである。

開発実験で、過酷な走行後を長距離、長時間、高温・低温にわたって行わないと、一般ユーザーが感じる経年劣化による不快感は出ないだろうから、それならそのような状態となった(絶対同じではないが)ダンパーゴムを作って、感触を確認すれば済むこと。

で、その確認が出来た後の処理が問題。ただ単純に「ダンパーゴムの耐久性を引き上げる。とか、交換すれば済むこと」とやったのでは、次に進む楽しいバイクは出来ない。

リヤスプロケット取り付け部分にゴムによる緩衝装置として、絶対に必要な状態であるなら、そのダンパーストロークを可変にする装置を組み込めば済むはず。

スプロケット取り付けボルトを利用して、ダンパーゴム側へ突き出している動力伝達部分をカム状にし(挟んだスチールプレートを膨らませるような形でも良い)、これを外部から回しゴムダンパーへ動力を伝える部分の厚さや圧力を可変にすれば、新車のときからライダーの好みに合った、駆動系の伝わり方が選べるはず。

新車の時には、まるでシャフトドライブでもあるような、アクセルの開閉に間髪を入れず反応していた、気持ちの良い感触のバイクが、1万キロ近くなると、「あのときの感激はどこへ」の寂しさも防げる。簡単に出来そうな感じなのだがな~

2014年12月8日月曜日

不定期連載 数式を使わない、クルマの走行安定性の話・6/17


バイクで大切なのはステアリングヘッド

バイクの話をしてみよう。クルマとはコーナリングにおけるスタイルが違い、リーンにおけるタイヤのキャンバースラストが、コーナーを曲がる力となる。では、直進時はどうかというと、これはクルマと同じことが要求される。フレーム剛性と、サスペンション剛性、そこにホイールとタイヤの剛性まで関係し、安定性を出す。

そして、その裏にはキャスター/トレール、タイヤの幅も考えた設計がなされるが、最近のレーサーレプリカのように、キャスター角が立っている設計は、短いホイールベースと合わせ、太いタイヤを使用して、コーナリング性能を上げても、ヒラヒラ感を求めた結果、自然の成り行きであのような設計になったもの。

タイヤが太くなれば、当然路面からの外乱は受けやすくなる。それをキャンセルするにはラジアルタイヤの採用であったり、トレール量の変更であったりしたわけだ。しかし、ここで大切なことはステアリングヘッドである。

バイクにおけるステアリングヘッドの役目は、コーナーを曲がるためばかりでなく、直進性と走行安定性を保つためでもある、と考えたらどうだろうか。このステアリングは感じないぐらいのストロークで、絶えずグラグラしながら、バイクのバランスを保ち続けている。

路面からの外乱は、直進時ばかりでなくコーナリング中にも受ける。つまりスムーズにステアリングヘッドが左右に動くことで、バイクのバランスは保たれることになるわけで、もしこのステアリングヘッドががっちり締め付けられていたとしたら、直進しながら横転するし、コーナリングするために、リーンしても旋回性能は発生せず、ハンドルをライダーが切る、という行為をしなければならない。

一度コーナリングを開始したらそのままの姿勢を保ち続けようとする力が強く、立て直すことは出来ずに転倒する。仮に直進に戻すために、バイクを立て直したらその瞬間反対側へ転倒する。

バイクのステアリングヘッドは、ライダーに感じさせないぐらいのストロークと周波数で、絶えず左右に動いていることは知っておきたい。このことはクルマにもいえることで、タイヤに対し、クルマが安定して走るに足りるストロークで、自由にしてやるのがポイントではなかろうか。

また、ゴムは摩擦が大好きであることを忘れてはいけない。そして、その摩擦は非常に強いもので、縁石に接触した大型トラックをいとも簡単に跳ね上げるほどである。

ゴムは摩擦が大好きで、そこが一番と言うことの証明として次のようなものがある。それは平ベルトと中央が高くなった樽型プーリーの関係である。

一般的には、Vベルトを使うと考えられがちだが、プーリー間の距離があり、テンショナーなどを使えない場合、また、回転方向を右や左に変える必要があるときなど、たすきがけができることから平ベルトの方が融通が利く。

この平ベルトに対するプーリーは、前記したように中央が高くなった樽型である。何故樽型なのかを考えてみると、それはベルト/ゴムが摩擦の多いところを好むからである。平ベルトと樽型プーリーの回転する様は、実にユーモラスで、外れそうになると中央に戻り、またはずれそうになると中央に戻る、という動作を繰り返す。欠点はスリップすると瞬間に外れてしまうことである。

これはタイヤと路面との関係にも似たものがある。何事もなくタイヤが転がっているときには安定しているクルマが、スリップを始めたとたんコントロールを失うのと同じだ。