研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2015年8月24日月曜日

新幹線のカバー外れは、人為的ミスと断言できるが、それを起こさない物造りや取り組みはは可能だ


新幹線のサイドカバーが外れて、大きな事故になりそこなったのは、防ぐことが出来たのだろうか。もちろん出来た、と断言できる。

俗に言うヒューマンエラーによるトラブルだが、その原因は、ボルトの締め忘れ。しっかりと締めていなかったことが原因である。

トルクレンチなどを使う必要はなく(トルクレンチを過信してはいけない。それは、ネジの渋さもトルクに跳ね返るので、しっかりと部品が締め付けられていなくても、ネジを締めるだけのトルクが出てしまうからだ)、普通にレンチ(種類はあるが、ここではその説明を省く)で、しっかりと締めればいいだけ。

だが、その行為をやる人間は、時として確実性を失う。その原因のひとつは、いつもやっている行為のため、流れ作業が災いしたことによる。

作業の分担化もトラブルの原因。それは、自分は決められたことを集中して行うため、他人が犯しているミスを発見できないのである。

テレビの解説に出てきた人物は、新幹線の整備もやったことがあるそうだが、そのときには締め付けられているボルトに、ペイントマークをして、締まっていることが一目でわかる、また、マークがずれていれば、緩んでいることがわかる、という説明をしていたが、これはかなり古い整備のやり方。

その昔、自動車の下回り整備では、ペイントマークを付けることが当然のように行われていた。そのような規則があったわけではないのだが・・・

すると、締め付けや磨耗の点検を行っていないのに、流れ作業的なペイントマークが当然のように横行。結果として、走行中に大きなトラブルを引き起こすようになり、現在の規制では、ペイントマークをしてはいけないことになっている。

締め付けが確実であるかどうかが問題なので、それを目で見て判断するのは不可能といっても過言ではない。締め付け確認用のペイントマークは当てに出来ないからだ。

クルマの整備でもヒューマンエラーによるトラブルは日常茶飯事(そんなことはない、とお叱りを受けるだろうが、それが事実なのである)。

このようなことはメーカーが主催する試乗会でも起きる。確か以前にもブログに書いたと思うが、サスペンション周りのボルト点検で、締め忘れ部分があった。恐らく、そのボルトに取り組んでいた方は、締め付けを完全に行う前に、関係者から呼び出しを受け、すっかり締め付けを忘れたのだろう。

新幹線事故でも同様なことは考えられる。手だけで締めたところへ「お~い誰か来てくれ~」などの声がかかれば、それまで自分がやっていたことが中途半端な状態でも、つい頼まれたほうへ動いてしまう。

一目見て締め付けが完全に行われていないということを、その場の関係者に知らせる方法としては、取り外したボルトやナットの一部を、その近くに放り出しておく。また、取り付いているはずのボルトやナットがなければ、そこから記憶のヒントが蘇り、ネジを締めていなかったことを思い出す。

 

何だこの部品、と思わせる行為は重要なのである


クルマの場合では、ホイールボルト・ナットの締め付け不良、締め付け足らずが多い。つまり、仮締めによるトラブルである。

この場合も、見ただけで本締めされていないことがわかるように、ボルトやナットを全部取り付けず、一つふたつ仮締めしないで、床に放り出しておく。こうすれば、見ただけで、ホイールにネジがなく、そのネジが床に転がっていれば、本締めしていないことに気が付く。

新幹線で発生した事故を防ぐ、もうひとつのやり方は、セルフロックの付いたボルトやナットを使用することである。これを使えば、しっかりと本締めされていなくても、ボルトが脱落することはない。しかし、振動で部品が破損して、脱落という自体は・・・

セルフロックではなく、渋いネジの組み合わせを使うという方法もある。数十年以上前のメルセデスでは、下回りのネジにおいて、指先だけで軽く回せるような造りをしていなかった。

最初からレンチを使って、それもかなり力が必要で、それは、まるでピッチの違うネジを使っているかのような状態だった。

最初からレンチを使うわけだから、仮締め状態は作れないため、しっかりと本締め状態になる。そして、その締め付けトルクが多少たらなくても、ネジが緩むことはない。

どの方法を使うのがいいのか、コストや手間がかからないのは、関係するボルトやナットを全て取り付けず、一部を床に放り出しておく。これが簡単で一番確かだと思うが・・・ただし、整備をやった人が最終チェックも担当しないとダメ。それはなぜか、わかるだろう。

2015年8月19日水曜日

NC700XのフロントタイヤをNC750Xと同じピレリのSCORPION TRAIL(スコーピオン・トレイル)に変更して思ったこと


人間とは、実にわがままなものである、ということを自分の感情で改めて知る


 
ホンダNC700X(Xだけに限らないと思う)のコーナリング性能は、独特のクセというより欠点があり、それを克服しなければコーナーは不安で、特にタイトな下りでは足を出したくなるほどの巻き込み現象が出る。何も知らずに購入した人は気の毒である、というのが本音。

正直な話、最初は不安で、乗りにくくて、いやになってしまったが、思い切ったライディングスタイルを取ることで、難なくコーナリングが出来ることを発見した。

それは、リーンウイズのツーリングスタイルではなく(ツーリングバイクというコンセプトなのに)、お尻半分を曲がる側の内側に落とし、ハンドルへの腕は突っ張らず、肩から突っ込むように、ひじは軽く曲げるライディングスタイル。これでステアリング周りは自由になる。

ステアリング周りが自由になることで、バイクが持つ本来のスタビリティは確保され、多少フロントが取られても、リヤが滑っても、それすら不安材料とならない安定感が生まれる。それは、まるでレーシングバイクでサーキットを楽しく走らせているような錯覚さえ覚えるのだ。

尻がそれ以上落ちないように太ももの内側でしっかりとガソリンタンクを押さえつけながら(というより、ぶら下がってガソリンタンクを押さえつけてバイクを寝かせる感じ)、同じ外側の足はフットレストを強く踏みつける形になる。

なので、バイクに対するライダーの加重はリヤが滑ったときにリーンアウトと同じになり、そのため滑ってもライダーは置いてきぼりにならず、素直な走りとなる。ここの行為はこのライディングスタイルとすることで、自然に生まれる。

簡単な話、大型バイクのサーキット走行ライディング・スタイルである。両腕を突っ張らなければ、バイクが持っているスタビリティ、或いはタイヤのグリップも自然に確保出来るので、かなり攻め込んでも不安な感じは出ない。

このライディングスタイルを習得してから、コーナリングはかなりオーバーなアクションとはなるものの、不安な感じは微塵もなく、一種の楽しささえ覚え始めていたが、コーナー(小さなカーブ、交差点を曲がるときも)では、常にこのライディングフォームを取らなければならないため、長距離の峠道走行やツーリングでは疲労が溜まる。

つまり、尻を左右にずらす必要があるわけで、その都度、尻を軽く持ち上げ、移動させる行為は???

話しは変わるが、あるとき、峠の頂上で同じNC700Xに乗る若者と会ったので「コーナーは楽しいですか」という質問をしてみた。それの答えは「いや、よくわからなくて、ハンドルが取られて怖いです」、という返事。

そこで、おせっかいなオジサンは、ライディングフォームの話をした後「では、私の後についてきてください、そして、そのライディングフォームを少しでも真似て、習得してください」と話し、その若者を30分以上引っ張った。

下りのコーナーばかりだから、しっかりとしたライディングフォームを取らないと、少しも楽しくNC700Xを走らせられない。

少しは理解してもらえたかな、という距離を走って「いかがでしたか」と聞いて見ると「少しは理解できたような気がします。でも片手ばなしの運転は、当分出来そうにありません」という返事。

片手離し???そういえば、その若者のペースに合わせて走ったため、腰周りが痛くなったので、直線ばかりではなく、コーナリングの最中にも走りながらポンポンと腰を叩いていた気がする。

「いや~そんなつもりではなかったのですが・・・」。我々は、途中から左へ曲がるので、その若者とはそこで別れた。少しでもライディングフォームを習得して、楽しく走らせて欲しいものである。

標準で取り付けられていたブリヂストンは、コーナーを攻める必要が会ったので、かなりリーンさせていたことがわかる。交換したピレリは、そのようなことはないようだ
 
それでも、やはり年寄りには長距離ツーリングでの疲労は多いので、フロントタイヤを思い切って、NC750Xと同じ、ピレリのSCORPION TRAILに交換してみたのだが、しばらくすると、何のことはない、それまで使用していたBSのバトラックスを履いていたときのライディングが懐かしくなってしまった。

確かに、ピレリでは低速でも安定した走りなのだが、バイクを御するということからすると、そこには究極の楽しみがない。もはやわがまま?。

オークションでNC700Xのフロントホイールを購入して、時と場合に合わせて、タイヤを選んで走るか・・・、それはちょっと

2015年8月5日水曜日

数式を使わない、クルマの走行安定性の話・14/17


ルマン24時間で見た、ザウバーメルセデスC9の走り方に影響される

クルマの挙動安定性を見極めるポイントはエンジンブレーキ状態で判断できる、と確信を持って気が付くきっかけとなったのは、’91年のルマン24時間でのことである。タイムアタックしている予選のとき、フォードコーナーというクランクが続く最終コーナーで、ザウバーメルセデスC9の走り方が他のマシンと、大きく違うことに気が付いた。

グランドスタンド手前の、クランクがふたつ連続するようなコーナー(確かフォードコーナーという名称だった)で、突っ込みでのブレーキング開始と解除のポイントは他のマシンと同じ。では何が違っていたのかというと、ブレーキを解除して、次に来るコーナリングで、スルリと回頭するのがメルセデス。立ち上がりで、他のマシンがアクセルを踏むような操作をしても、メルセデスは何もしない。続くコーナーで、もちろんブレーキングはしない。

ルマンを走るザウバーメルセデスC9
 
他のマシンはリヤをホッピングさせながらブレーキングして、何とかコーナーを曲がる。立ち上がりではパワーを掛けすぎリヤが大きく流れる。でもメルセデスは何もしない。ただ単にエンジンブレーキ状態で、連続するコーナーを安定して駆け抜け、スムーズに立ち上がっていくのである。

その間のタイムはアクセルを踏みブレーキングする他のマシンと変わらない。なんたることか、このすごさは。これじゃマシンの傷みは少ないばかりか、燃費もいい。当然優勝する。

これは、その年の鈴鹿サーキットで行われた、SWC(その後WSPCに変わる)でも見せつけられた。予選・決勝ともカシオトライアングル(今は名称が違う)の、イン側にある山(コーナーをはみ出すので、その対策)に、一切乗らないのである。他のマシンはことごとく乗り上げて通過する。当然ボディは飛び上がり、タイヤやサスペンション、エンジンなど全てにダメージが加わる。でもザウバーメルセデスC9はインにもアウトにもはみ出ず、実にきれいに曲がっていくのである。

予選が終了した日の夕方、メルセデス広報が「とある場所で、ドライバーとの夕食会がありますから、参加しませんか」、という連絡があり、それはうれしい、というわけで、いそいそと会場へ。

同じテーブルには、その後パリダカなどに自作バギーで出場した、シュレッサーさんが同席。通訳をかってくれたのは、なんと現在のメルセデスジャパン社長である上野金太郎さん。

シュレッサーさんに、ルマンでの走り方、特にコーナリングの素晴らしさ、更に鈴鹿でのカシオトライアングルの走り方など、他のマシンとはまるで違うのだが、あれは何か特別なことがあるのか? という質問を投げかけると「いや、あれはドライバーの腕がいいからだ」と、お茶を濁すので。

そうではないと思いますがと言いながら、C9はエンジンブレーキでの安定性が高いので、アクセルを踏んでいないとドライバーの意とした挙動が生まれないほかのマシンと違って、ハンドリングはやさしく、普通に運転していれば自分の狙ったラインをトレースするからではないのですか、メルセデスC9は、と切り返すと「素晴らしい、そこまで分析しているジャーナリストは貴方だけだ」「まさにその通り、だから我々は常に優勝できる」というお褒めの言葉をいただいた。

その走りのすばらしさは決勝でも見せつけられた。ザウバーチームのメカニックが、ポールポジションを取ったマシンのメンテで、スタート前にミスをし、オイルラインを破損させてしまったのだが、短時間でケミカルを使って修復し、ピットスタートから優勝させてしまう実力に、ただ唖然とするばかりであった。

そして気になるのは、そのケミカルである。破損させた部分はエンジンかミッションオイルのパイプライン(その後ガソリンパイプ周りではという話も出ているが)で、当然オイル漏れが起きていたわけだから、通常のケミカル(接着剤)では漏れ止めにならない。彼らはいったいどんなものを使ったのであろうか。非常に興味が持てる。

スタート前5分から、メカニックが5人ほどで、1番ピットへ押し戻してからの作業であるから、時間はそれほどない。洗浄剤でオイル分を吹き飛ばしたところで、完全に脱脂することは不可能。染み出るオイル或いはガソリンに対してどう対処したのだろうか。燃料が漏れたとしたところで、同様の問題は起きるわけだから・・・