研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2018年8月18日土曜日

小さなクロカン・ジムニー なのに挙動の穏やかさを感じさせるのはなぜだろう


軽自動車と言う枠にあって、クロカンというジャンルを独り占めにしてきたジムニー。そのジムニーがフルモデルチェンジしたわけだが、開発に込められた並々ならぬ思いが伝わってきた。

住宅地でもなんとなく溶け込んでしまうジムニー
今回の試乗では残念ながら、オフロードそれもハードなコースでの走りはなかったが、舗装路の凹凸が激しいところでの安定性は十分に確認できた。また、走行中の振動(特にシートバックから背中に伝わる部分)、ノイズ、更にサウンドとも申し分なし。ただしこれは試乗車がMTの場合であって、ATは1500ccのジムニーシエラしか試乗車が用意されていなかったので、同様であるとの確認はない。

操縦性や静粛性、安定性が高くなった理由は、Xメンバーの変更やクロスメンバーなどを追加したラダーフレーム(これによって捻り剛性は1.5倍向上したという)に有るが、そこにはフレームとボディの接合部に使われるゴムブッシュの形状見直しも関係する。

3リンクのサスペンションは現場での改造が出来ないのが残念
補強されたラダーフレームは良いことばかりだった
 
唯一気に入らなかったのは、サスペンション形式で、リジッドでもいいからリーフスプリング式が良いのだが。と言うのも、3リンク式リジッドであると、横力を確保するためラテラルリンクを必要とし、そのリンクがサスペンションを大きく作動させたとき、ボディを左右に振り回す動きになってしまうからだ。

また、スプリングがコイル式であると、簡単に車高調整が出来ない(一部規則違反になるが)。リーフリジッドであると、シャックルピンのところにある取り付けプレートを長いものに変更すれば、現場でも簡単に車高調整が出来る。ただし、最低地上高の調整は無理。

ステアリングギヤボックスはリサキュレーションボール方式。ラック&ピニオン式は昔から採用できなかったが、それがまたいい方向へジムニーを引き寄せた
 
また、滑りやすい場所でのトラクションを確保するため、ブレーキLSDやトラクションコントロールは全てのクラスに標準装備されているのはうれしい。ただし、ブレーキLSDはレスポンスに遅れが生じるため、ハードな場所を走行する機会があるのなら、OPのヘリカルギヤ式トルセンデフLSD(リヤのみ)を組み込むべきだろう。なお価格は組み込み費ともで(本体価格79920円)11万円を超える。

走り出してビックリしたのは、そのレスポンスと更にスムーズで力強い加速性能。これまでのジムニーと比較したらビックリである。過渡特性が良いのは、ターボとのマッチングも大きく関係しているだろう。どのような手法でこの性能を手に入れたのか試乗後に開発者に聞いてみると「エンジンがこれまでのK6Aから、ワゴンRなどと同様なR06Aとして、ロングストーロークになりましたから」と言う話。また、最大トルクの回転数とその特性も変わって、実用領域でのトルクアップが効いているという。数字上では先代エンジンのほうが僅かだがトルクは大きいのだが、それがレスポンスとの関係から言うと、新型エンジンのほうがフリクションが少ない分、加速力にも優れると言うことになる。
トランスファーはAT・MTのどちらにも装備される。MTのシフトフィーリングも大きく向上した
こちらの画像はジムニーシエラAT。実は左足でのブレーキ操作がやりにくい。ステアリングシャフトが邪魔してブレーキペダルの正面に足を持って来られない。左角を踏みつける形になり、操作性が悪いのである


価格の安さにも驚く。これほど走破性の高さを確保しながら150万円以下からの設定だからだ。ベース価格が安くても、必要と思われる装備を付けると、思わぬ価格になってしまう、と言うのが軽自動車でもあるからだ。製造コストはセダン系あたりよりかかっていると思うのだが、それを払拭している。これほど込み入った機構と性能を確保しながら、魅力ある価格に出来るのは、ジムニーの歴史そのものから来るのかもしれない。

社会人になって初代ジムニー(LJ10)を新車で購入し、360ccと言う排気量から来る走行性能を納得しながら、河川の土手(道になっているところ)などを走り回ったが、その登坂力とコンパクトな造りは、動力性能以上のものを感じさせた。

フロントウインドウを前方に倒し、風をもろに受けながら40キロぐらいの速度で走らせるとき、隣に座らせている愛犬も満足げだったことが思い出される。最高速度は70km/h以下であるし、直進性も良くなかったから、のんびりと走らせる以外になかったのだが、現在のジムニーはかなり違うようだ。

2018年7月27日金曜日

シートの造りが悪いと言うレポートの多いNC700XとNC750Xだが、私の場合にはそんなこと気にすらならない


NC700Xをマイバイクとしてから数年経つが、その間にNC700DCT、750DCTなど、オートシフトのバイクにも乗ってみた。自分のバイクはともかく、これらの2台においても数十キロの走行ではなく、数百キロ(千キロを超えることも)、1~2泊でのツーリングである。

この距離を乗ると、そのバイクの癖をほとんど理解できるし、性能も把握する機会もある。

少しずつ改良を施し、手足に馴染むバイクに仕立てた。実は、リヤのキャリアはデイトナ製だが、高さを限界まで下げる目的で、溶接加工をしているから標準ではない。タイヤはもちろんミシュランである
 

また、「NC700Xや750Xのシートは座り心地が悪くて、尻が痛くなる」と言う話が理解できない。もちろん休み休みでの走行ではなく、一度走り出したら最低2時間、距離にすると一般道であるなら70~80キロ(場合によっては100キロ以上)。高速道路なら159キロぐらいノンストップ。

それでも尻が痛くなると言う経験をしたことがない。尻が痛くなって60分持たない、と言う方がいるけれど、その方はどのようなライディングスタイルなのであろうか。

シートにたっぷりと体重を掛けるアメリカンスタイルなのだろうか?これ、本人はそうではないと思っていても、物理的に判断すると、意外にシート荷重が高いこともある。

私の場合、どのようなライディングスタイルなのだろうかと、改めて考えてみたが・・・シートにたっぷりではなく、フットレストは土踏まずで荷重を加えず、指の付け根あたりで(つま先に近い場所)、フットレストを常時踏みつけており、必要時には土踏まずの位置にずらす、と言うことを自然にやっている。

薄いから尻が痛くなる、と言う考え方は間違い。シートに加わる荷重を均等に分散させる状態にあるか。また、その座り方も重要だと判断する
 

もちろんハンドルにはそれ相当の力が加わっているが、コーナリング時には力を抜く。

よくよく考えてみると、ハンドルを少し前方にして(マウントのボルトを緩め、持ち上げるようにすれば移動できる)、フットレストにかける体重(踏ん張りとして)を高くすることで、尻への負荷が少なくなるのではないか

このような乗り方を理論的に考えて乗っているわけではない。あくまでも自然にライディングスタイルとバイクにかかる重量を決めているのだろうから、尻が痛くなることはないのだ。身体の大きさは体重72Kg、身長178cm(最近の身体検査でのデータ)で、かなりの年寄りであるから、尻の肉はない。

2018年7月15日日曜日

冠水した道路をクルマで走る場合に注意したいこと それはアイドリングストップを作動させないこと


昨今の豪雨被害を見ていて、ふと気が付いたことがある。それは、マフラーのテールパイプ出口が水没する深さになる冠水場所を走行する場合、アイドリングストップさせると、とんでもないことが起きると言うことが考えられた。

それは、水がマフラーテールパイプから逆流する現象で、エンジン燃焼室内に水が浸入することとなって、再始動が不可能となると言う話。

なぜ水がマフラーのテールパイプから逆流するのかと言うと、まずアイドリングストップすると、クルマの後方下側に有るメインマフラー内に水が浸入。エンジンが始動していれば、排気の圧力でマフラー内の水が入り込むことは無いが(と言っても冠水の深さがあるとその水圧が排気圧に勝ちマフラー内に水が浸入する)、吐き出す作用が止まれば水は浸入する。

最初の何回かは、この状態となってもエンジンは始動してくれるが、エンジンは吸気バルブと排気バルブを同時に開くタイミングがあり、このときには当然テールパイプ側から排気ガスを引き込むような作用があり、ここに水があればそれを吸引。

もちろん一回でシリンダー内に入り込むことはないが、渋滞などで何回かのアイドリングストップからの再スタートにより、マフラー⇒排気管⇒触媒⇒エキゾーストマニホールドに到着し、再始動不可能になる。

そのような状態になると言うことを理解して、再始動した瞬間にギヤをニュートラルにして、エンジンを高回転に回し、排気系に入ってしまった水を吐き出させれば事なきを得られるが、冠水状態の場所で、常にこの作用をさせるにはミスも出る。

そこで簡単なのが、アイドリングストップをしないように停止ボタンを押しておくことである。

それでも水深のある場所を通過するときには、どうしても排気するための圧力が高くなり、不調の原因となるため、ニュートラルにして、アクセルを大きく踏み込み、マフラーテールパイプから、勢いよく内部の水を吐き出させる行為を行わないといけない。

もうひとつ知っておいて損はないものがある。それは、冠水の深い道路をどうしても走らなければならないときの取って置き方法。

水かさが増していれば、そこを走らせることによりエンジン吸気系から水を吸い込み(大型や背の高いクルマは別)エンジンストップ、或いはエンジン破損につながる。

でもそのような場所を通過しなければならないこともある。ひとつはバスなどの大型の後ろを出来るだけ近づいて走行する。大型のタイヤが水を左右に押しのけるので、水深が浅くなり何とかトラブルから回避できる。

それも出来ないようなときには、エンジンルームにある吸気の入り口近くに走行による水が当たらないような工夫をする。一番いいのは食品ラップをフロントグリル全てに貼り付けること。ラップがなかったら新聞紙でも十分。その新聞が落ちないようガムテープなどで止める。

フロントグリル内にはエンジン冷却用のラジエターがあるが、そこに当たる風を一時的に遮断しても、オーバーヒートなどのトラブルは起こさない。

このようにして水深の有る道路を走行する場合、エンジン回転は出来るだけ低くすること。ATであると簡単な話ではないが、アクセルを大きく踏み込まなければ可能なことである。

2018年6月25日月曜日

アウトボード・モーターボート用エンジンにもディーゼルがあった


2018年、今年パシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展」で、ディーゼルのアウトボード・モーターボート用のエンジンが展示されていた。クルマではないのだが、興味が持てる。同じアウトボード・モーターボートエンジンとしては、スズキが展示していたが、これは昨年の東京モーターショーで発表されていたもの。

パシフィコ横浜に展示されていたものは、日本のヤンマーが関係するもので、排気量804cc、2気筒直列、ターボ付き、コモンレール。そして、振動低減を目的にしたデュアルカウンター回転クランクシャフトでバランスを取っていると言う話。
 

デュアルカウンター回転クランクシャフトとはどのようなレイアウトなのだろうか、興味が持てるが、調べてもよくわからない。普通に逆転する配置に同じ質量の回転体を設け、それをギヤで逆回転させるように設計すれば、回転変化の反動トルクもなくなるし、当然振動も低減できる。

この構造とすることで、エンジン振動の低減だけではなく、アクセル開閉時に起きる反転するトルクがなくなるので、ハンドル操作が素直になり、操船性が向上すると言う。
 

クランクとしてではないが、バイクの世界では、すでにホンダが数十年前からクランクと逆回転させるクラッチ、ミッション軸を設け、完全に反動トルクをキャンセルしている。GL1800(それ以前のGL1000も)などがそうであるが、あえて反動トルクを僅かに残すような設計も有る。

ホンダであるとGL400やGL500、BMWも最近の高性能モデルでは、これまで以上に反動トルクが強くなることから、縦置きされた(ホンダも同様)クランクシャフトの下側に、クラッチを持って来て、それをスパイラルギヤで逆回転させることで、反動トルクを低減し、快適性と高性能を達成させた。個々のバイクによって設計が違うので、この説明が全てではない。

それはともかくとして、アウトボードエンジンにも4ストロークで大排気量の高出力型が主流(2ストロークの水中排気。排気ガスに含まれるエンジンオイルの問題から。スイスとドイツに跨るボーデン湖規制が有名だった)になった。それまでは4ストロークと言えばインボードエンジンやインボード・アウトボート(スターンドライブ)のような大掛かりなものが当然のように言われてきたが、装置そのものが大きく搭載性やメンテナンス性が悪いため、アウトボードエンジンに主力が傾きつつあるようだ。

アウトボード・モーターボートエンジンに4ストロークが当然になったことで、モーターボートエンジンも大きく様変わりした。ただし、このエンジンにはかなりのノウハウがあるようで、最初のうちは、アメリカの大手モーターボートエンジン・メーカーでも、日本からのOEM製品を販売していたのだ。

4ストロークのアウトボード・モーターボートエンジンは、日本のホンダが最初ではないはず。今から50年以上前にアメリカの(ホームライトとか言うメーカーだったと思う)メーカーが販売していた。当時は、その性能があまりにも低かったため、ユーザーからも受け入れてもらえず、いつの間にか消えたのだが、その後にホンダが同様なエンジンで発売したときも、性能的に、重量的に受け入れる土壌はなかった。当時を振り返って・・・

1964年にホンダが発売したGB30と言うエンジンは、4ストローク単気筒、171cc、4psで空冷。汎用エンジンのG30を流用したもので、ベルトドライブだから、カバーを取り外すと、現場での動力源に使用できると言う設計だったのは評価できる。

2018年6月23日土曜日

自動ブレーキのテレビCFに対して、よく警視庁や警察庁がクレームを出さないな


各車(全車ではない)で、最近の新型車、マイナーチェンジモデル車に、当然のように取り付け採用を始めた自動ブレーキ。

これ絶対に作動すると言う根拠はなく、有る機関での検証では30%ほど作動しなかったと言う事例も有る。

それより問題としたいのは、テレビCFで「よそ見運転をしていても、万が一の時にはブレーキがかかります」と言う表現や「ボーッとして運転していても大丈夫」、と言うような表現で、その魅力をアピールしている。それって、良いことなのだろうか。

重要なことは、あくまでも緊急時には・・・であり、これらの表現では、いい加減な気持ちで運転していても大丈夫、と言うような感じで捉えられる。

よそ見運転、不注意運転を助長しているように思えて仕方がない。警視庁、警察庁は、この実態を知っているのか、或いは無関心なのか。何か大きな問題に発展する前に、対策を打っておく必要はないのかな。

2018年6月13日水曜日

ニッサン・セレナe-POWERの回生制御で、バッテリー充電重視の快適とはいえないプログラムに疑問


ニッサンは、エンジンで発電機を回し、そのエネルギーによりバッテリーへの充電や走行用モーターを駆動することで、クルマを走らせるシステムを構築し、手始めにノート(ノートe-POWE)でそれを達成。燃費性能と動力性能、クルマ購入のコストバランスの点からかユーザーが増えた。

確かに結果としてはそうなるのだが、果たして快適にドライブが楽しめる穏やかな回生状態なのかと言うと、とてもそうは思えない。特に最新のセレナe-POWEの回生制御がすごいことになっていると感じる。

何がすごいと言うのかと言うと、アクセルを戻したときのクルマの慣性力を利用する回生(この力をバッテリーの充電に使う)ブレーキである。ベーシックなガソリンエンジン・マニュアルミッション車のエンジンブレーキに相当する減速状態で、確かにクルマを減速させることについては、非常に有効で、慣性力を生かしたことはハッキリとわかる。しかし・・・その強い減速状態が乗員を不快な思いにさせる、と言っても過言ではない。

この制御にはノーマルモードとe-POWEドライブと言う2つがあり、さらにe-POWEドライブには加速力の異なるSモードとECOモードがあり、希望走行状態を選べることになっているが、問題は加速力などではなく、減速時(アクセルを離したとき)の回生ブレーキがどのような強さで、更にその回生状態がどの時点で作用し始め、最大となるのは何時なのか?である。

e-POWEドライブを選択すると、アクセルから足を離したとたんに急減速。体が前のめりになるほどに強い。バッテリーへの充電を重視してのプログラムなのだが、いくら燃費を良くしても、快適性が失われたのでは意味がない。

どのような感じなのか例えを考えてみたら、例えばMT車で2速走行しながら速度を高め、60キロぐらいになっていきなりアクセルを離したときの強いエンジンブレーキ。これで不快に感じない乗員はいないだろう。

そして、このような状態になることを嫌うドライバーは、その強い減速が起きないようにドライブしようとすると、アクセルペダルを踏み込むときには、いつものクルマと同じでいいのだが、アクセルペダルから足を離すときには、それこそサーボモーターでの制御のように、スムーズにバランスよく右足の向うずねに神経を集中させながら(この操作はかなり足が疲れる)力を抜いていかないと、乗員(運転手も)を不快な思いにさせてしまう。

では、普通のCVTエンジンモデルと同じような制御だ、と言うノーマルモードではどうなのだろうかというと、バッテリー残量が少ない状態だと(メーターがあるので判断できる)回生制御が、強くはないが働いて、アクセルペダルから足を離したとたん体が前方へ持っていかれる。それでも、バッテリーの残量が80%以上になると、さすがにオナカ一杯になるようで、回生制御はほとんどなくなり(普通のドライバーだと、その違いには気付く人は少ないだろうが・・・)、これなら合格の制御と言える。でもこれだとバッテリーへの充電が思うようにならないのである。

ノーマルモードでは、恐らくバッテリーへの回生充電が十分ではなく、燃費に大きく影響するのだろう。だからといって、アクセルを離したとたんに最大に回生充電が開始されるのは、快適とはかけ離れた状態。走行速度とバッテリー残量、クルマの総重量(その時々で変化する)により、どの減速タイミングから回生量を大きく立ち上げ、それによりスムーズに減速させることで(例えばMT車であればいきなりクラッチを接続させるのではなく、エンジンブレーキを有効に使う場合でも、エンジン回転の上昇具合と減速の状態を考え、クラッチを繋ぐのだから)、ドライバーに負担をかけないような制御が求められる。燃費さえよければそれで良いんだ、と言う人にはどうでも良い話だが。

また、走行性能には関係ないが、走行時の静粛性が高いことは賞賛に値する。ただしその理由の解説をしているレポートがどこにもない。防音材を多用したからという言う話だけではなく、大きな点は、ボディの床下に配置したモーター駆動用のバッテリ-によるものであると言うこと。バッファーが大きくなったので、走行騒音と振動はここで減衰するのである。
一部の騒音対策みたいな状態となり、そこばかりが静かでも、もぐらたたき状態で、別なところからの騒音が目立つので、対策が大変だったと言うが、エンジンからの騒音(特に加速騒音)対策から比較したらたいした話ではないと思う。

2018年5月11日金曜日

樹脂系のステアリングもケアすることによって握りが安定することがわかった


レザーのステアリングは、長いこと日に当たる状態で保管されると、表面の油脂成分が蒸発?するのか、とにかく水分が抜けたようになって、ツルツル。水を含ませなければハンドル操作も危うくなる、と言う事実を経験したことがあり、その対策として**ソンのベビー**をたっぷりと、何回も塗るつける(てんこ盛り状態で)と言う方法により、当時と同じように、いやそれ以上にシットリとした握り心地が得られる実証実験は成功した。

では、樹脂のステアリングはどうなのだろうか。これも年月を重ねるとツルツル状態になってくる。ブレーキクリーナー等で洗浄したところで何も変化無し。

摺りこむのではなく、ベタベタと塗りつけた状態で保つ
 
人の油脂分が付着してワックスとなり、それがすべる原因なのか?とも思ったが、どうもそうではないらしい。そこで、革のステアリングと同じローションを使ったケアを試みた。

このような状態で一昼夜すると、ほとんどしみこむのか蒸発するのかわからないが、とにかく消える。これを数回繰り返せば握り心地のいいステアリングに回復する
 
当然革よりも時間がかかり、直ぐに染み込むことはないから、効果が出るまでに時間がかかった。しかし、あるとき気が付いた。少しずつの変化であるため、いつの間にかなのである。でも、とにかく感じの良い表面に変化し、乾燥した年寄りの手のひらでも滑る感触はなくなった。

2018年5月6日日曜日

ひたち海浜公園は、その昔、水戸の射爆場と呼ばれた。そこで開催されたエンデューロレースが「シルバー200」だ


その射爆場跡地で開催されたエンデューロレース「シルバー200」のプログラムを掲載してくれた雑誌がある。「自然山通信」と言うトライアル中心の雑誌だ。自然山通信4月号が欲しい方は℡045-989-1360.Fax045-989-1362(280円+税)まで問い合わせて欲しい。

自然山通信と言う表題の付いたトライアル専門誌がシルバー200のことを取り上げてくれた
 
水戸の射爆場は、戦後米軍が管理していた広大な森林と雑草が生い茂る演習場。その場所を日本政府に、返還することになったのだが、それを記念して何かバイクのイベントが出来ないだろうか、と言う話が、横田基地のバイク仲間から沸きあがっていたらしい。バイクが好きな隊員(米軍横田基地内にはMCFAJ・モーターサイクル・クラブ連盟にクラブ登録しているグループもあった)が多く、「アメリカで開催されているような広大な場所でのエンデューロレースができるといいのだが、水戸の射爆場跡地を利用して」、と言うような話がモーターサイクリスト編集部に舞い込んできた。

「水戸の射爆場跡地」なんていわれても、戦後に日本人がそこに入ってレースなどやったことはないし、ましてどこにあるのかさえ定かでなかった。

でもそれは面白そうだということで横田基地の将校さん宅を訪ねると、彼らはすっかりやる気で「さーどうする」的な話で迫ってくる。コースはどうなっているのか聞くと「射爆場の外周近くを走るコース」を考えており、大まかなレイアウトが出来上がっていた。

モーターサイクリスト誌(八重洲出版)は、今は亡き初代社長の酒井文人氏がモータースポーツ大好きで、浅間テストコースでのロードレースを主催したことがある。

そのモーターサイクリストはMCFAJという組織を作っていたわけで、そのような組織を巻き込めば水戸の射爆場跡地を使ったエンデューロもやれるのではないか、と米軍グループは考えたのだろう。

横田基地で打ち合わせに立ち会うこととなった私は、MCFAJの事務局長や理事長とも親しく、いろいろお手伝いする中で、いつの間にか競技の運営にも首を突っ込むことになったほどだった。

そんなこともあり、横田基地の担当者と話をする最中、計時や保険は?と言う問いかけをすると、計時も保険もまだ結論がでていない。何とかしなければならないのだが・・・

そこで、計時はMCFAJのレースで、常に計時の判定を行っていた方にお願いすることに。そして保険は、これもMCFAJの事務局長に相談済み。保険は何とかなります、と言う私の言葉に米軍関係者全員が「イヤー、ラッキー」「自分達はそれが一番心配だった」というのである。

レースの名称についての相談もしたが、シルバー200と言う名前になった経緯は忘れた。何かに引っ掛けたことは確かなのだが。

レースの開催日時はこちらのスケジュールで良いというので、編集の仕事が一段落する次の日曜日の7月30日に決定。コースの下見と確認は横田基地の関係者と編集部員の大光明(おおみや)が試走を2回ほど行い決定した。

コース1周の距離は12キロ。海岸線の波打ち際も走る。レースは時間レースで、そのときに一番周回数の多いライダーが総合優勝となるもの。スターと時刻は午前10時。終了は午後4時と決まった。

レースの内容は転倒事故の多い状態で(海岸線から上ってくる場所の埃がすごく、前が見えない)、私もコースマーシャルとして何周かしたが、転倒者を見つけて助けている直ぐその脇で、“ドデン”という転倒の音を何回か聞いたが、その状況が見えていたわけではない。

参加者には、今そのリストを見ると、有名人がかなり多いことが、初めてわかった。当時は、レースを最後までやりきることに神経を集中していたので、参加者の名前まで気が回らなかった。ここでその方々の名前はあえて出さないが(漏れると失礼になるので)、お許し願いたい。

そして午後4時にチェッカーフラッグを最初に受けたライダーは、勝俣輝勝さん。何周したか忘れたが10周ぐらいだったと思う。

2018年4月20日金曜日

夜間の歩行者とクルマの事故は、歩行者がクルマから見て右から横断する場合に多いらしい


夜間に年寄りが道路を横断するとき起きるクルマとの交通事故は、クルマ側から見て右側から横断する場合が多い、というレポートを掲載した会報があるのだが、どうして? 何故?がない。

そこで少し考えてみると、日本はクルマが左側通行。普通のヘッドライトは、ロービームでも左側に立つ歩行者などが発見し易いように、左上がりの配光パターンである。

右は対向車のことを考えた配光だから、歩行者や障害物はいくら明るいHIDでもまるで見えない。

その状態を右側にいる歩行者側から見ると「まぶしくないので距離感が取りにくい」ばかりではなく、「緊迫感」がないのだろう。

そのため、近づいてくるクルマやバイクとの距離目測を誤り、事故に結びつく?ただし、この右側から出てくるお年寄りに関しては、昼間でも左側より多く発生しているのはどういうこと?

恐らく距離と速度の感覚を把握する能力が低下するからだろう。でも、そのことを自覚していれば衝突事故はある程度防げると思うのだが。

クルマやバイク側からすると右側から出てくる人物は、お年寄りでも若者でも、夜間では発見しにくい。

左側であると左上がりの配光パターンがその目的を達成し、比較的手前から歩行者の発見が出来るので、その歩行者の動向を把握し易い。つまり、事故を回避できると考えたのだが。

高級車に取り付けられているインテリジェント・ヘッドライトなら、歩行者を見つけて照らしてくれるから、発見が遅れることは少ないのだが、価格の点で一般には採用例がないが、自動ブレーキがそうだったように、時間と共に下のクラスに採用がされるだろう。そうなったら、夜間における「歩行者の発見が、ヘッドライトの関係で・・・」という言い訳は効かなくなる。
早くそうなることを願いたい。

2018年3月29日木曜日

無関心すぎやしないか


これは数週間前の話だ。自宅近くのJR駅ホームでのこと。いつも乗る場所に行くと、若者が柱を背にして座り込んでいる。体調がおかしく助けが必要かもしれないので、自然と声をかけた。

「どうしました?」「気分が悪いのですか」顔色を見ると赤い。と言うことは二日酔い。直感でそう感じたため「二日酔いですか?」と言う質問に若者は「そうです」と言う返事。駅員さん呼びましょうか?」と言う質問に対し、「暫くここにしゃがんでいれば何とかなります」。と言うので、それ以上のことはしなかった。
 
この時大丈夫ですか、と言う声掛けはしない。それは、助けを必要としている方が、反射的に「大丈夫です」と言う返事をしてしまうからだ。これでは、その方が助けを必要としているかどうか、判断が難しくなる。ついつい「大丈夫ですか」と声を掛けてしまうので、注意して言葉を選んで声を掛けるようにしている。

何か異変があるといけないので、暫くその彼を観察。私以外に若者から年寄り(男女を問わず)まで彼の前を50人ぐらい通るのだが、誰一人として声をかけない。

おい大丈夫か、日本は!!!周りの異変に無関心すぎるヨ

2018年3月26日月曜日

トヤマハトレールDT1誕生50周年記念のイベントが埼玉入間のモクロスビレッジで4月15日に開催されるぞ


今から50年ほど前のオフロード界は、ヤマハから発売されたDT1が話題を独り占めにしていた。

スリムで軽量、強烈なパワーはないが、その扱いやすさは特別。開発のライダーは今でも元気な鈴木忠男(チュー)さん。先日のモーターサイクルショーでお会いしたとき「4月15日のイベントには参加されるのですか?」と言う質問をすると「当然です。私が開発ライダーでしたから」と即答。でもチューさんは「本来ならプライベーターではなく、ヤマハが主催するべきだと思うのだが・・・」。確かにその通りだと思う。本社が出てこなくても、支店でいいわけだし。

ビンテージバイクのモトクロス大会なので、マシンばかりではなくライダーも気遣いしながらアクセルを開ける。レースばかりではなく、進行ものんびりとしたもの。アットホームとはこういうものなのである。目くじらを立てず、全てに優しく、安全にイベントを楽しむ。年齢も関係なく、パドックに行けばそれこそ、中学校の同窓会的な話題で盛り上がる。

そのDT1と言えば、発売当時モーターサイクリスト編集部でモトクロスに参加していた関係もあり、当時の編集長が「試乗記は先輩の***が書くので、君はカメラマンを兼ねて、ついでに乗って来い」と言ううれしい業務命令。そして試乗DT1は2台あり、1台はGYTキットを組んだものと、他は完全ノーマルのもの。

当時は浜松周辺では警察もそれほどうるさくないのだろう、メーカーがこのようなチューニングキットを組み込んだバイクを試乗車として貸し出していたのだ。

ただし、GYTキットを組んであると言っても、マフラーはレース用ではなかったから、エンジンパフォーマンスとしては強烈ではなかったが、高回転まで気持ちよく吹き上がる特性は、それまでには味わったことのない、気持ちのいいものだったと記憶している。

その前の年のモーターショーには、このDT1が展示されており、晴海の貿易センターで行われるこのイベントに、我々メディアは搬入当日の午後に会場へ入り、しっかりと撮影、更にいじりまわしていた。スリムで軽量なDT1をトレールと言う言葉を知らなかったので、間違って「トライアル」と言っていたら、広報の方に「それ違いますとレールと言います」と訂正されたことを思い出す。

2018年3月21日水曜日

レースで重要なことに気が付いたのか。だとすれば今年のホンダF1はこれまでより楽しそうだ


マクラーレンとコンビを組んで、全てでうまく進行せず、何のためにF1をやっているのかさえ、皆目検討が付かない状態が昨年末まで延々と続いた。その結果、レースを見ても(たぶんやっている方も)つまらない。そして、マクラーレンもホンダも、ただ単に契約期間が終了するまでの、消化事業を行っていたかのようにも思えるからだ。

その原因は、人間関係にあると見ている。というのも、それ以前にホンダとマクラーレンが組んでいた時代はうまく行っていたが、新しいシャシーの開発で、厳しくなったクラッシュテストを合格させるためのデザインで意見がわかれた。それは、コクピット開口部分の大きさについてだ。マクラーレンはドライバーの出入りが楽に出来るよう、大きな(と言ってもそれまでよりは小さいらしいが)開口を要求したが、ホンダが考える開口部分はもっと小さい。

もちろんシャシー設計製作はマクラーレンが担当だが、ホンダでもシャシー開発ができるよう、十分な技術を溜め込んでいた。こうなるとホンダ側からも意見が出てくる。

もしクラッシュテストに合格しなかったら、次の年のレース参加が危うくなる。それは避けたいので、ホンダ側は頑として譲らなかった。

その結果何が起きたのかと言うと、マクラーレンとホンダの喧嘩別れである。これは噂ではなく、数年後にホンダ側の当事者から直接聞いたもの。マクラーレンと喧嘩別れした翌年(?)には、ホンダが鈴鹿サーキットなどで走らせた、カラーリングが施されていない、真っ黒な(カーボンファイバーそのもの)F1カーを見た記憶のある方がいるだろう。これこそ、ホンダがホンダ自身で開発していた技術により作り上げたもの「ホンダだってやれば出来るのだ」と言うことを世界に向けて発進させたと言うわけだ。

その後、暫く経っての共同開発。ホンダとマクラーレンが手を結び、エンジンはホンダ、シャシー周りはマクラーレンが担当となったが、「これ、まずうまく行かない」と言うのが私の見立て。それは、マクラーレン側は、喧嘩別れしたときの親分である、ロン・デニスが陣頭指揮を執っていたからだ。

とりあえず紳士的に振舞っても、心の奥での感情はわからない。まして、喧嘩別れしたときの担当者はホンダを定年退職している。マクラーレンと喧嘩別れしたときの状況をホンダ側で知っている方はいるのだろうか。その当時の担当者(出来れば喧嘩した方)がロン・デニスと会って、「あの時はごめんなさい」「これからはしっかりと手を組んで戦いましょう」と言う会話を交わしていればともかく、それは、ない。(このことは当の喧嘩した本人から聞いた)

こうなると、マクラーレン側には蟠りが残っているわけで、力の限りマシンの開発にエネルギーを注ぎこむことはしないだろう。言い方は悪いが、適当に、ホンダよりお金を引き出し、契約期間にレースをやりつくせれば良い。と言う、浅ましい考え方がでてきたとしても不思議ではない。

エンジン開発、セッティングには、シャシー周りからの情報が絶対的に必要で重要だと思っているのだ。シャシーからの情報が滞ると、レースでは制御系に多くの影響がでる。シビアに情報のやり取りがあってこそ、上位に入賞できる性能が引き出せる。エンジンばかりが優秀でも、シャシーだけが一人歩きしても、レースでは結果がでない。

それはマクラーレン側もホンダ側もわかっていたのに、「それを言っちゃーおしまいよ」的な気持ちが強く、チーム一丸となって・・・と言う状況にはなりえなかった。

でも今年は違う。トロ・ロッソと組んで、綿密に開発とテストが繰り返され、チーム全体の動きも素晴らしく、F1の記事を読んでいても気持ちがいい。傍から見て楽しそうにやっているチームは、レースでも結果が自然と付いてくる。なので、今年のホンダF1は楽しみなのだ。

2018年3月10日土曜日

忘れていた!タイヤをミシュラン・パイロットに変更したNC700Xは、いったいどうなったのか


当時標準装着のBSであると、NCを傾けたとたん、傾いたほうに強く回り込む癖。下りのタイトなコーナーでは足を出したくなるほど。交差点を曲がるときにもこの癖が出るので、疲れてしょうがない。この癖を御する方法は、大型バイクでサーキットを走るときに行う、ハングオフのライディングスタイルを取ること。でも・・・

ミシュランのタイヤは消耗が少なく、ツーリングライダーにとっては最高のチョイスかもしれない。そして操縦性も確保されるのだから言うこと無しである
 
また、路面の状況によってもハンドルが取られるので、すり抜けでは隣のクルマに吸い寄せられる感じが出て、これを押さえ込むには、直前に挙動を察知してそれを押さえ込むようなライディングが必要となる。年寄りには疲労が多くてしょうがない。

このどうしようもない癖を回避するため、大型バイクの教習所からの要請で750ccフルサイズで発売された、NC750Xに標準装着されるピレリ・スコーピオントレイル(高価だが)を購入し、フロントだけそれに交換して使っていた。もちろん次のことを考えてミシュラン・パイロットロード2も手に入れた。何かあったらすぐに交換できるようにするためである。

スコーピオントレイルの性能はそこそこ。しかし、消耗度合いが早い。数千キロ(8000キロぐらいだったと思う)で、スリップサインが直ぐそこに。そこで、ミシュランに変更。フロントばかりではなくリヤも同様にミシュラン・パイロットロード2に交換。

そして、1000キロ以上走行。その最中のハンドリングは、当時の標準だったBSなどお呼びも付かない安定性があった。ピレリよりも優れている。と言うより、NC700Xの悪い癖が表に出ないよう、その素晴らしいタイヤ性能でうまくカバーしてくれていた。

リヤもミシュラン・パイロットロード2に変更
 
そして、あるとき久しぶりの経験をした。それは、峠道の下りでだ。前方にマツダロードスター(最新モデルのMT車)が気持ちの良い速度で、穏やかだが速度を落とさないでのコーナーリング。フル加速、フルブレーキングではないので、後ろからバイクで適当に追従するペーストしては最高。

多少速度が遅く感じるときもあるが、ストレスはない。「こりゃ良いぞ~」と言う気持ちで左コーナーのイン側をアクセル開け気味で通過しようとした瞬間、「ガリ、ドスン」と言う音と靴に衝撃を感じた。

最初一体何が起きたのか???それほどコーナーを攻めたつもりはない。でも、ガリはフットレストのバンク角センサーが路面に当たった音。ドスンと言うのは、ブーツが路面に当たって、跳ね返され、フットレストやステーなどと衝突した音、と理解できた。

フットレストのバンク角センサーが路面と当たった跡。その写真を撮影するため針金で固定した。少し錆が見えるのは日にちが経過しているからだ
 
コーナーを攻めて、ハングオフスタイルを取るようなことをやっていれば(多少はそのようなライディングスタイルとなるのは普通)、フットレストが路面と当たるようなことは起きるだろうが、そのような走り方をしているつもりはない。

一般道でのこの経験は数十年振りである。サーキットならこのようなことが起きることを想定して走行するが、一般道の峠では???つまり、それほど安定性の高いタイヤであると言う証拠なのだろう。このようにタイヤ性能の全てに優れるミシュランをなぜ採用しなかったのか、有る筋から調べてみると「ピレリのほうが安かったから」と言う何とも納得できない答えが見つかった。

NC750Xでも最近のモデルは、BSを標準装備している。ということはNCそのものがタイヤを選ばない設計に(このことは普通の話である)変更されたのか、それともタイヤの構造をミシュランのようにしたのか???

2018年3月2日金曜日

これまで一番大変だったことといえば、バラバラにされたホンダのCVCCキャブ組み立て


何のことはない、ずぶの素人が全てのボルトとナット、ジェットなど適当に分解して、「どうしましょう?」。何がどこに取り付いていたのかわからなくなったのですが、何とかなりますか?と言ってきた。

それは、新人の編集部員として入社した若者。試用期間も終わり自分で企画編集を行わなければならない立場に成長!!!したころだった。当時の編集長がホンダから長期取材用として、新型シティ(トールボーイの)を通勤の足に使用していたクルマ。このシティを使って、何か取材したいという発想なのだろうが、いじくり回すならサービスマニュアルなどを入手ししっかりと熟読して、構造を理解し、その後に手を付けるのは当然だと思うが、どういうものか、その新人君は、いきなりキャブを取り外し、ネジというネジを闇雲に取り外し、その写真を撮影した。

でもその彼が、編集部に入ってくるときの触込みは「CB750のエンジンを分解したことがある」というものだったから、当然キャブの知識は持っているものと思っていた。もちろんシティのエンジンが、当時排気ガス規制をパスさせたCVCCで、そのキャブは構造と作動がややこしいということは理解していた???

私のところに、助けて欲しいという依頼があったとき「君は、CB750のエンジンを分解したり、整備したりができる、と上司から来ていたが、どうなの?」と言うと「いやあれは、CB750のエンジンを分解整備してみたい、と言う話をしたもので、自分ができると言う話はしていない」という。

「だろうな」、CVCCキャブの分解を見て、妙に納得してしまった。そのバラバラキャブを、本日中に組み立てなければ、編集長は自宅への足がない。

だからといって、今すぐにサービスマニュアルを入手することは不可能(後で考えてみると、会社から30分ぐらいのところにホンダのSF・サービスファクトリーがあったのだが)なので、これまでの経験を脳味噌からフルに引き出して、構造を理解することから始め、どこにどのエアジェットが取り付けられ、穴の違う燃料ジェットはどこに取り付けられるのか、と言う判断を、空気の通り道、ガソリンの通り道などから結論を出した。

スロットルバルブも3個あり、それらもバラバラ。ただし、このスルットルバルブは、取り付くところが決まるので、それほど手間はかからない。もちろん直ぐに結論が出るわけではない。あれやこれや考えをめぐらせながらのことであるから、2時間近くかかってしまった。

そして更に問題が出た。それは、フロート室のガソリン油面を決める、フロートバルブの高さ調整である。シティ以外のクルマであると、フロート室の横にガソリン油面を点検できる窓が取り付いているらしいが、それがない。シティのガソリン油面の確認には、専用のガラスシリンダーをフロートドレンプラグに装備し、エンジンを始動させながら、油面の高さ調整ネジを回すのだが、その専用ガラスシリンダーはない。

ここで先へ進めないのは悔しいので、キャブのフロート標準高さを求める手段として、バイクでやられている方法を取った。それは、フロートが取り付いている状態でアッパーをひっくり返し、フロートのベロ(フロートニードルを押す部分)がフロートニードルに当たる寸前ところで、そのフロートがアッパーボディと水平になる位置だ。

数回同じことをやって確認し、納得してから取り付けてエンジン始動。とりあえずうまくいった。後の微調整は、広報車の整備を行うSFに持ち込んで完成である。あ~つかれた~

2018年2月19日月曜日

だいぶ前の話だが、東名高速で起きた事故。前方から飛んできたクルマ、なぜ飛んだのか?


いろいろなテレビ局で、なぜ乗用車が飛び上がって、屋根をバス側に向けながら正面衝突したのか、ということの検証や解説をやっているが、私なりの判断を述べる事にする。

乗用車が走行車線を走りながら、よそ見運転して、気が付いたときに左側のガードレールに軽く接触したとすると、一般の方なら当然パニックとなり、アクセルは戻すがハンドルを大きく右に切るだろう。軽いエンジンブレーキとなり、フロントタイヤのグリップは確保され(FF車である)急激に右へ向きが変わる。すると、次には向きが変わりすぎたので左へ大きくハンドルを切る。

こうすると、クルマには横向きの大きな力がおき、横滑りが発生する。その状態で、右側の縁石の衝突すれば、クルマは裏返しのベクトルが強くなるので、普通なら横転ですむところを、その先にあるガードレールの上部に当たることで、更に上向きの力が大きく発生し、宙高く舞い上がる。

事故現場の道路は緩やかな右カーブで、走り易いようにカント(バンク)が付いている。そのことにより、衝突したクルマの右側には、高さ70cmほどの段差があり、それをカバーするため法面(のりめん)を作る羽目になったことが問題視されているが、警察の発表によると「法面を走った形跡がない」ということだから、縁石で跳ね上げられ、更にガードレールで突き上げられた可能性が高いと見る。

クルマが、どのくらいの速度で、どのくらいの段差があると、そこに乗り上げた場合、どのような挙動を生むか、という検証をしていた局もあるが、使用したクルマがまずい。排気量の大きなFR(フロントエンジン・リヤドライブ)だからだ。

事故を起こしたクルマはFF(フロントエンジン・フロントドライブ)で、当然、駆動輪の違い。前後重量バランスの違いから来る挙動は大きく違う。

どうせ実験をするのなら、事故当時と同じような条件を作り、再現したほうが説得力があるのだが、やりやすい方法でまとめると、結論が大きく違ってくることが多い。その結論を正しい判断だと捕らえる方はいるだろうから、事実と違う情報が独り歩きする。これはいいことではない。

2018年2月9日金曜日

やらなきゃ良かった!!!定期点検と定期交換 いじる人の経験によってヒューマンエラーの温床となる


定期点検と定期交換という項目は、いたるところに転がっているが、その定期点検によって、今後大きなトラブルに発展するであろう、問題の箇所を発見することは少ないと思っている。

そのような問題の有る部分は、定期点検以前の時期に何らかの症状が出ていると考えられる(制御系のセンサーやソフトとなると難しいが)。それを感じて整備に回すというのは・・・

このことは、何も先日のヘリコプター墜落に限ったことではない。クルマ、バイク、電車など、人の手が加わるものと場所にはどうしても出てしまう症状と捉えている。

部品交換や点検で、いくつかの周りの部品を取り外すことは出てきて当然。そして、その部品取り外しの後の組付けで、やってしまう問題が「ネジの仮締め」である。

後で完成時に全てを締めれば問題は出ないが、それを忘れるのが人間。特に時間に迫られていたり、仕事後の楽しい計画などがあると、そちらに神経が行ってしまい、気が付いたときには「事故」。ロボットだったらそんなことはないのだが。それが完結されるにはもう少し時間がかかりそうだ。

新幹線の台車が割れていた件では、「割れない」という思い込みがその問題発見が遅れた理由だろう。作業、もの造りの重要性は現代社会では当然のこと。しかし重量物、見た目にすごいものであると、その中に隠れている問題を見極めることは難しいが、常に「疑い」の目を持って物事に接していれば、「何だかおかしな・・・」を感じることが出来るはずと思う。

また、いつも若者に話していることは、作業の内容と進行を頭の中で反復できるように、反復しながら、そして確認しながら進めること。これにより、作業の内容を忘れることはないので、締め付けミスは出ない。

そうすると検査する道具の開発も自ずとできてしまうだろうし、またそうならないのはおかしい。その仕事をこなせばいいという考え方であると、不良部分を発見できないばかりか、「やらなきゃ良かった・・・」となって、トラブルを造り込むことに発展する。

特に重要なことは、いじる人物の性格、経験である。仕事として金銭を稼ぐことが重要目的であると、どうしても手元はおろそかになるが、その同じ作業でも、好きなことを選んでのことであると、必然的に気持ちが高ぶり、ヒューマンエラーに発展することは少ない。

また、部品を新しいものに交換するときには、その新しい部品が正しく作られているかの検証を行うことも重要で、新品=問題ない、という考え方は間違い。かえって、使われていたものの方がその実績もあるので、問題の起きない可能性がある。ただし、金属疲労ということを考えた場合では、新しいものと交換すべきなのだが、新しいものが絶対ではない、ということは肝に銘じておきたいこと。

組み付けでは、締め付けトルクが重要ではあるが、その数字は絶対ではない。どこに使われるネジなのか、どのようなネジの精度(一品生産のものが優れたネジ精度を持っていても、強度となると話は別)なのか、最初からクルクルと手で回せるネジがいいとは限らない。

昔のメルセデスやハーレーなどでは、軽くねじ込める状況ではなく、まるでセルフロックのネジを扱うような、とても時間のかかる造り方をしていた(現在のメルセデスは?)。これ全て、締め付けたネジが、締め付け不良に陥っても、それ以上緩まないことで大きなトラブルに発展しないよう考えられたものであると思う。

ネジの締め付けトルクで、トルクレンチ重視の方を見かけるが、そのトルクが必要な場所は、均等に締め付けることで性能の安定性が確保できる場合である、という考え方を持っている。シリンダーヘッドの締め付けなどはそうだろうが、ここでの締め付けトルクは、ガスケットから吹き抜けない程度の少ないに越したことはない。クランク回りのベアリングキャップとなると、強く締めても締め付け歪は関係ないので、大きいほうの指示トルクで締める。

とにかく、まず第一には整備士の感覚と腕の力を養って、どのような部分に使われるネジなら、このくらいの力(トルクレンチ無しに)で締めれば問題ない、ということを学習すべきであると思っている。

自己責任におけるクルマやバイクいじり、整備を数多く経験していれば、そこに自分の性格を見ることが出来る。また、周りにいる友人たちからの評価も、自ずと違ってくる。これが反省とそこから生まれる、「自信」ではないヤリガイが重要なのではないかな~と考える。

最近のクルマでは定期交換部品を指定しているものは少ない。特に自家用車となると、営業用とは違って無交換なんていう項目も多くなった。確かに、ディーラーメカニックの資質に疑問や問題が多いので、分解交換の作業を少なくして、一生物としたほうが、自家用車のオーナーにとってはベストなのかもしれないが・・・クレームで大きな部品交換をやってもらった結果、とんでもない作業ミスを埋め込まれた経験が有る者にとっては、それが言えそうだ。
 

2018年2月3日土曜日

新型スズキ・スペーシアは、大きく様変わりしているが、それをほとんど感じないことが残念


新型スペーシアは、プラットフォームをアルトやワゴンRと同じものを使用し、軽量で剛性に高いものになっただけではなく、リヤサスペンションもトーションビームとなり(プラットフォームがアルトなどと同じなので当然だが)、リヤサスペンションのストロークを大きくシナヤカに動かせるようになったことでの問題点はない(ただしFWDモデルのみ)。

スペーシアのフロントスタイルは、少し優しく感じるが、女性ユーザーのことを考えると、このようにまとめられるのか

スライドドアやリヤのゲートは扱いやすい

スペーシアカスタムのフロントデザインは、これまでのスズキ車にはなかったもの。堂々とした感じが男性に受けそうだ
 
これまでの方式では、横剛性をしっかりとするために、動きを規制するラテラルロッドなるものが採用されたいたため、サスペンションストロークを大きくすると、そのラテラルロッドのブッシュ軌跡がそのままボディへ伝わることになり、不快な挙動を後席では感じることがあったが、トーションビームとすることでそれが発生しないわけで、当然といえばその通りだ。

とここまではしっかりと進化しているのだが、ターボ仕様のカスタムと標準のスペーシアでは、ブレーキペダルのフィーリングに違いが有る。カスタムは非常にナチュラルで、姿勢変化を安定させるときに僅かに制動をかける場合でも、神経質になる必要はない。つまり、注意してブレーキペダルを踏むことを要求されないため、疲労は少ない。

その要因を開発者に問うてみたが、はっきりとした答えは返ってこなかった。そこで考えられることは、恐らくターボ装備ということで、バキューム圧の違いから来る、ブレーキマスターシリンダーに作用させる、ブレーキブースターの設計に差があるのではないのかということ。言いたいことは製造コストが同じだったら、標準スペーシアもこのブレーキブースターを使って欲しいところ。

ブレーキの違いはフロントのディスクローター構造に関係するかもしれない。カスタムはNAエンジンを含めてベンチレーテッドなのである。そうなるとキャリパーの構造などにも違いが出るだろうし、ヒョットするとパッドの材質も・・・

更に、ハンドリングに関しても違いがはっきりと出た。確かにホイールサイズやタイヤサイズの違いはあるが、それ以上にスタビライザーの径やショックアブソーバーの減衰力違いなども大きく関係するはず。話を聞かせてくれた開発者は、よくわからないということだった。

一概にハンドリングといっても千差万別だが、ワインディングの速度を高くしての走行というような、特殊な走りという話ではなく、郊外のクルマが少ない場所での走行を楽しむ場合であり、ステアリング操作が素直にクルマの向きを変えるか、修整舵がスムーズにやれるかどうかが重要であると思っているのだ。

スペーシアカスタムのインパネ。速度計だけで回転計は見当たらないが、それはフロントウインドウに投影されるシステム

フロントウインドウにヘッドアップディスプレイされるエンジン回転計と速度計。切り替えることによって燃費などの表示も可能だ

フロントシートとリヤシート間のルーフにはサーキュレーターが装備される。風の向きを効率よく変えるウイング構造が光る
 
カスタムはその点でも非常に感じがよく、素直に反応し素直に向きを変えるだけではなく、路面からの外乱を修正する場合も、意識的な操作は要求されない。それは、軽自動車という範疇を超えている、というのは言いすぎだろうか。

走行性の話をする中で、興味ある説明が出てきた、それはCVTに関してである。これまでは副変速機付のジャトコ製を使っていたが、新型スペーシアはアイシンAW製であるという。その目的を聞くと「軽量化を少しでも行いたかったからだ」というが、穿った見方をすると、モード燃費の等価慣性重量に関係するからか・・・

CVTのシステムを大きく変更することがユーザーにとってメリットがあるのならいいが、そうではなくメーカーの独りよがりになっているのなら心配である。

ジャトコの副変速機付CVTのメリットは、変速幅を大きく取れることで、発進加速の性能とクルーズ燃費のよさが光っていたのだ。このミッションが採用された当時の話では、構造的に複雑だが製造コストは変わらないというものだった。意外な話だが、CVTの製造コストで高いのは、金属ベルトをかけるプーリーであるという。そのプーリーが副変速機をつけることで小さくなり、その分のコストを副変速機に回せる、ということらしい。

新型スペーシアの変速幅と副変速機つきの変速幅の違いを聞くのを忘れたが、プーリー間にかける金属ベルトの構造をこれまでとは違ったものに変更し、その結果、変速幅がこれまで同様なら言うことはないが。

後日調べたところ、新型スペーシアはNA、ターボともにCVTの変速比は2.386~0.426だが、それまでの副変速機付ではワゴンRの場合、NAが2.186~0.553で、これに副変速機のローレシオが1.821でハイが1.000となるから、ローレシオでの変速比は3.980となる。ターボの場合は副変速機のレシオはNAと同じ。CVT側では2.000~0.550ということであるから、変速幅としては副変速機付きの方が大きいと思うが、どうなのだろうか?

身長180cmほどのドライバーが乗っても、後席の足元には広々とした空間が生まれている。これぞ軽自動車だ

スペーシアのNA(自然吸気)エンジン。アクセルを深く踏み込めば、ストレスない加速力を発揮する 

スペーシアカスタムのターボ仕様。カスタムにもNA仕様が有る。ともに全車ハイブリッドだから、アイドリングストップからの発進でも、セルモーターギヤが噛み込んで回るキュルキュル音はしない。それがスズキの特徴である
 
これにファイナルレシオが関係するので、数字で比較するにはファイナルのレシオがわからないとはっきり断定できないが、少なくとも、副変速機つきCVTの方が分がありそうだ。
なお、新型スペーシア以外のモデルでは、これまで同様に副変速機つきのCVTが採用されている。

2018年1月14日日曜日

1972年にヤマハトレールDT1をベースにしたトライアルバイクを造った話


倉庫の整頓をしていたら懐かしい写真が出てきたので、そのときのことを思い出しながら書いてみる。

モトクロス、ロードレースとやったが、トライアルにも足を突っ込んだ。なぜだか当の本人も思い出せない。でも40年以上前からの友人である冒険ライダーで有名な風間深志さん曰く「君の乗り方だったら、トライアルに向いているかもしれない・・・」という話は後から聞いたが、特別意識したわけではない。

ところで1973年1月にホンダからトライアルバイクが発売されるまで、日本にはその手のバイクはなかった(ホンダから発売されたトライアルバイクも本格的なものではなかったが)。写真を見たり人に聞いたり、或いは輸入されたトライアルバイクを観察したり、いろいろなことから情報を得て、それらしいバイクにしようと、改造にいそしんでいた。

当然私も同様で、最初は自宅ガレージの隅に放り出されていた、カワサキ120C2SSをベースに、イベントに参加できる程度のマシンを作り、適当に楽しんでいたが、どうしても大きなトライアルバイクが欲しくなり、当時、他のライダーが改造のベースとしていた、ヤマハDT1のポンコツを入手し(ピストンバルブ吸入)、これを、ありったけの情報と技術により改造した。

最初はカワサキC2SSを適当に改造。でも、これでは物足りなくなり、ヤマハDT1をベースに作り上げた
 
マシンの情報を集めていたとき、日本に本物のトライアルを普及させるため、西山俊樹さんがイギリスで使用していたモンテッサコタ250を個人輸入していたので、何がどのように造られているのか1時間近く、なめるように観察して、トレールバイクとどこが違うのか判断した。

フットレストが高く後ろにあるというのは誰でもわかるが、エンジンの中がどうなのか、高回転特性は必要ないといいながらも、伸びの有る特性はどうやって出すのか、エキゾーストパイプの長さやマフラーの形状、ステアリング周りではスランテッドアンングルという、トライアルセッティングはどの位とっているのかなどを観察。その結果、スランテッドアングルは上下のステアリングステムの間で5mmほどであることがなんとなく判断できた。

①ステアリングのキャスター角度を立てる必要があるのだが、普通の状態では簡単なことではない。そこで思い切ってフレームのバックボーン(ガソリンタンクで隠れる背中の部分)を切り、その切り開いたところを更に広げる加工する。エンジンを取り付けた状態でこれを行うことが重要で、ダウンチューブを少し曲げるようにすれば、フォークの角度は安定する。

適当にバックボーンの切り開いたところを40mm程にして、その部分に厚さ2mmの鉄板を丸めて押し当て、電気溶接する。当時、我が家にあった電気溶接は、大型トラックのバッテリー3個をポンコツ屋さんから仕入れ、そこに充電器を取り付け(その充電器もアイディアの塊とした)、充電しながら溶接。

この状態ではフォークが立ちすぎてトレールも少ないため、直進安定性が悪くなる。というより、タイヤから入る外乱をもろに受けてしまい、ロックセクションではハンドルが大きく取られることになる。そこで、当時のトライアルバイクはフロントフォークのインナーチューブを締め付けるアッパーとアンダーのフォークブラケットのオフセット量を変更していた。

スランテッドアングルというのが正式な呼び方だけど、バイクメーカーの開発者には「トライアルセッティング」という呼び方をしないとわからなかった。

写真を見るとわかるように、MARの上下フォークブラケットは同じ型を使ったもの。それをうまく加工するようだ

イギリスで74年にSSDT出場から個人輸入したMAR(ミック・アンドリュース・レプリカ)を見ると、ステアリングステムシャフトの通る穴が前方にズレていることがわかる
 
現在のトライアルバイクでは、キャスター角が立っていてもスランテッドアングルにはせず、横から見ると「つんのめりそう」な感じだが、これは、乗り方が大きく変わったことと、それに対応するバイク作りに徹したためであると判断したい。表現としてはまづいのだが、フロントタイヤ、ホイールは方向性を決めるために付いているのではなく、フロントを何かにぶつけ、その反動を使うための道具であるような感じだ。

とは言うものの、このスランテッドアングルを使っているバイクは、ホンダのコレクションホールへ行くと発見できる。トライアルバイクのRTL250やパリ・ダカール出場のワークスマシンが採用している。現在のダカールマシンはカウルが大きく上下のフォークブラケット中心を同時に見ることが出来ないので不明。

さて、どうやって上下フォークブラケットのオフセット量を変更したかというと、アッパーブラケットのステム中心から少し離れた部分両側を切り、外側となるものをそれぞれ手前に5mmほどずらして溶接した。初期のDT1はアッパーブラケットも鍛造鉄だったので溶接が出来たのだ。アルミを使うモデルでは、ステムの入る穴をアルミで埋めてから、できるだけ5mmに近い寸法でオフセットする位置を計測し、ステムを通す穴を開けた。

②フロントホイールは19インチから21インチへ変更するのは当然で、ブレーキは自宅にあったホンダCS90用を使う。これがその後の改造でうまくいく結果となった。

となるとスポークはどうするかである。しかし、人とのつながりとは素晴らしいもので、当時のトライアル競技ライバルの中には、本田の研究所に勤務する方がいて、しかもその方は、マネージャーであり権限を持っている。

あるとき、「DT1をベースに改造をしている」、という話をしたら「何かお手伝いできることがあれば、いつでも研究所のほうへ顔を出してください」といううれしいお言葉をいただいていた。これが、前後のブレーキドラムをホンダにしたことでの解決に結びつく。リムはフロント21インチ(DT1は19インチ)、リヤ18インチ。当然ドラムとリムの関係寸法は決まるが、それを出したところでスポークを必要な長さに作ってくれる工場を知らない。リムの寸法は規格品でドラムはホンダ製。つまりこれをベースにすればスポークの長さは自然に決まり、試作としてのスポークが出来る、というわけだ。もちろん話はとんとん拍子に進み、2週間後には手元にオンリーワンのスポークが来た。

③リヤホイールは18インチで変更ないが、ブレーキドラムを小さくし、ドリブンスプロケットもチェーンと合わせて下のサイズに変更。標準は520だったが、これを428とした。ブレーキドラムが小さく取り付け幅も少なくなったのでチェーンラインを合わせるため、スプロケットとブレーキドラムの取り付け部分にスペーサー(厚さ30mmほど)を作って合わせる。

④チェーンサイズが変わればドライブスプロケットもそのサイズにしなければならない。もちろん減速比を大きくして、低速走行性能を確保するため、ドライブスプロケットは歯数の少ないものを使用したいが、当時のヤマハは、ドライブスプロケットの取り付けスプライン形状がその後のものと大きく違っており、歯数の少ないスプロケットはない。そこで、標準のドライブスプロケットと、使用するスプロケットを合体させる。

唯一自宅に残っていた改造部品。ドライブスプロケットの駆動シャフトが合わないので、中心はDT1でスプロケット自体は自宅にあった歯数の少ないものと合わせた
 
ふたつのスプロケットを加熱し焼きなまし。旋盤で加工が出来るようにしてから、知り合いの機械加工屋サンに出向き、旋盤とバイトをお借りして自分で加工。それを自宅へ持ち帰り、溶接。

⑤フロントフォークはフルードを適当な粘度の柔らかいものに交換するぐらい。当然リヤショックも標準を「あ~でもない、こ~でもない」といじくり回したが、最終的には当時のカワサキトレール・ボブキャット用をベースに、全長を少し長く改造しながら、減衰力を下げるため、これも柔らかいフルードを自分で作り、ベストとなるまで毎週のようにフルードを交換して競技に挑んだ。

そのフルード交換のために、ショック外筒の下部に小さな穴を開け、フルード排出、注入を行う。その穴は、少し大きな真鍮の棒を押し込んで漏れ止めを行う。当然スプリングのセット荷重を小さくしなければならないので、それは、セット荷重調整用の凹みを更に削り込み対応した。

⑥リヤブレーキは、ブレーキドラムがDT1用ではなくなったことから、ロッドブレーキではなく、ワイヤーブレーキに変更。CB72のブレーキワイヤーとブレーキペダルを使った。

⑦エンジンの改造も必要なのは当然で、吹き上がり特性を穏やかにするため、フライホイールマスを大きくする必要がある。そこで、フラマグ(フライホイールマグネトー)の外周をマグネットが出るまで小さく削り。そこに真鍮のタガ(わっぱ)をはめることにした。真鍮の材料は材料屋さんから直接購入。もちろん自分で旋盤を回し、真鍮のタガの内径はフラマグより0.8mmぐらい小さくし、外径はクランクケースカバーぎりぎりまで大きく取り、削ったフラマグを焼きバメで結合。タガのほうをガスコンロで加熱し、フラマグをその中に入れたら、磁石に熱が伝わらないうちに冷却する。

⑧エンジンはそのほかにすごいことを思いつき、それを実行。なんと、エキゾーストポートタイミングが遅くなるような加工である。購入したDT1はポンコツ状態であったし、当然シリンダーはボーリングして使用する必要がある。ならば・・・というので、エキゾーストポートの上側に5~7mmほど溶接で盛り付ける。鋳鉄のシリンダースリーブだから電気溶接で何とかなる。それをリューターで適当に処理し、何食わぬ顔でボーリング屋さんに持ち込み、オーバーサイズでボーリング加工してもらった。

でも、その後に発売となったピストンリードバルブ吸入のモデル(DT1に限らず)はシリンダーベースを必要寸法(とはいってもシリンダーの上面からピストンリングが飛びなさないところまで)削れば済むので、その加工は楽なものである。

MCFAJのトライアルにも出場。規則でナンバーや保安部品を装着しなければならないので、ヘッドライトや方向指示器がみえる
 
⑨マフラーは、DT1ベースを使用したが、最終的にはフラマスの低減と共に、中速回転特性の優れたものに変更した。

⑩バイクの回転半径を小さくするにはホイールベースを短くするのが一番。それは、スイングアームの長さを出来るだけ短くすれば、要求に応えられることが判明。ただし、既存のスイングアームのどこを切断すればいいのか、これも計算しながら決める必要がある。

それでも最終的にはスイングアームピボット後ろ側のボックスセクション部分を切り取り、ピボットのブッシュもゴムとしたが、これは正解だったかどうか不明。なんたって比較しようがないからだ。フレーム剛性との関係からすると、スイングアームピボットはニードルベアリングか樹脂(DT1はこれ)がいいのかもしれないが・・・

⑪ガソリンタンクはもちろんスペシャルとした。当時親しくお付き合いしていた、淡路島に工房を構えるパシフィックオーバーシーズの吉原さんに趣旨を話し、ニーグリップをしない細くてスマートなFRP製のガソリンタンクとシートベースをお願いした。シートは上野の中古車販売店を主にお客とするシート張替え屋さんとも付き合いがあったので、そこに持ち込み形のいい物を作ってもらう。こうして改造マシンでは日本一と自負するトライアルバイクを作り上げたのだ。

早戸川の全日本トライアルに出場したときのもの。どういうものか、当時から自分の功績を残すという気持ちはなく、写真を撮影していない
 
全日本にも出場したが、翌年にはTY250が発売されており、その特性は素晴らしく、到底太刀打ちできるものではなかったが、自分のアイディアや改造工作作業と、その翌週にはコンペに出場するというやり方は、この上なく楽しく特別な日常を過ごした。