研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2012年10月28日日曜日

トラックにもツインクラッチとハイブリッドの組み合わせが登場してきた

三菱ふそう・キャンターエコハイブリッドの試乗会へ参加して気がついたことがある

 

開発・企画で大切なことは「自分の欲しいもの」であって、「これなら売れる」と言う発想で開発すると失敗が多い。ただし、「自分の欲しいもの」と言う考えがまとまるには、趣味や興味が大きなきっかけを作る

 

キャンターエコハイブリッドには、ボルグワーナーの特許に関わらないツインクラッチのシステムと、更に、リチウムイオンバッテリー搭載のモーターによるハイブリッドシステムが組み合わされている。

これが、三菱ふそうで開発された、トラック用のツインクラッチシステムとハイブリッドモーターが組み合わされたミッション。モーターだけでの走行も可能だが、エンジンの停止はしない。それをやるには補機類の駆動を見直す必要が有り、まだ時間がかかる。ツインクラッチなので、乗用車同様2ペダルのATである 

駆動モーターの電池に充電するのは、エンジンの動力ではなく、減速時のモーター/ジェネレーターによる回生ブレーキ発電でのみ。

ディーゼルエンジンなので、エンジンブレーキを強く利かせるため、排気ブレーキも付いているが、その作動開始は実に穏やか。排気ブレーキのバルブが閉ると、回生ブレーキを一瞬少なくし、その後再び、回生率を上げるので、強い減速力が起きず、ドライバーに優しい制御も組み込まれた。

試乗している最中に考え付いたのは、「トラックは積載量によって、走りが大きく違う。空荷のときと積載のときにハイブリッドモーターのアシスト量を変化させたらどうか」というもの。

もちろんモーターのアシスト量は、積載量として500kg増しごとぐらいで段階的に変化させれば十分。リニアな変化である必要はない。

空荷のときにはアシスト0でもいい。積載量が増えるにしたがって、アシスト量も増やしていくことが重要。

この狙いは、最大加速性能を一定として、ドライバーの運転負荷を減らすことが目的。

もちろん、積載量によっては、同じようにはならない(モーターの能力次第だが)だろうが、普通状態に近くなればそれで十分。

500kg増すごとに、最大積載重量までの段階で、アシストの変化が付け難いことはないだろう。この発想は乗用車とは違ったものとなるのだが、総重量が大きく変化するトラックでは十分使えると思う。

キャンターエコハイブリッド仕様。多くの種類を乗ることができた


2012年10月26日金曜日

ポイント式点火装置を勉強する その⑤

ポイント接点のギャップが狭いとどうなるのか

 

正常なポイントギャップの1次波形と2次波形、狭いときの波形を比べると、大きな違いは見当たらない。デジタルオシロなら違いを見つけられるのだろうが、アナログオシロでは無理のようだ。

実際のギャップは、指定された寸法の半分ほど。これで安定した火が飛び続ければそれでもいいのだが、実は、イグニッションコイルへの通電時間が長くなることによって、コイルが発熱し、効率が下がり、プラグへのエネルギーが低下する。

低速運転ほどその傾向が強くなるので、実用上の問題が出るため、やはり指定のポイントギャップが大切と言う話。

ポイントギャップが狭くなることで、ポイントが閉じた瞬間のバウンスはなくなるため、きれいに0Vとなることが分かるが、それならベストと言うわけではない

2次波形は放電時間とエネルギーを計測している。正常なポイントギャップのものと変化は放電時間の僅かな違いだが、それは、シャッタータイミングの違いかもしれない

2012年10月23日火曜日

ポイント式点火装置を勉強する その④

ポイントの接点が完璧でないと、1次電圧が低くなる。荒れることで接点間の抵抗が増え、イグニッションコイルへの通電量が低下するからだ


前回の1次波形を見ると分かるのだが、ポイントが荒れていると電圧の立ち上がりは問題ないとしても(時間設定のゼロ点位置が違うので同じ位置から表示していないが)、電圧は低く、点火エネルギーに影響する状況だった。

正常な状態のポイントを使った1次波形。十分な電圧と鋭い立ち上がりで、イグニッションコイルには確実に電気を送っていることがわかる。縦方向が電圧で一枡20V設定だから、最大80Vと言うことになる 

正常なポイントの1次波形を見るとバッテリー電圧の12Vではなく、瞬間は最大80~100Vであることが分かる(流れている電流は遮断した瞬間に高電圧が発生するので)。つまり、点火コイルには、ポイントが開いた瞬間この電圧が一瞬かかり、その衝撃によって点火コイルの2次側に溜まっている電流が放出され、点火プラグにスパークが起きる。

正常なポイントによる2次波形。しっかりときれいな放電波形が見える

2012年10月15日月曜日

ポイント式点火装置を勉強する その③

ポイントが正常でなければ波形も変化する


ポイント接点の状態とポイントギャップが重要。もちろん点火時期や進角装置が正しく作動していなければならないのは当然のこと


 進角装置にはふたつ組み込まれているのが一般的。ガバナ進角とバキューム進角。ガバナ進角は、エンジン回転数上昇に合わせてある回転まで点火時期を進める装置。バキューム進角は、基本的にエンジンの負荷によって点火時期を変化させるのだが、排気ガス規制が出来たことで、少し目的が変わってしまった、と言うより機能が追加された。

 バキューム進角は、スロットルバルブに作用するバキューム圧(スロットルバルブとスロットルボア間に発生する)を利用するのだが、スロットルバルブが完全に閉じている場合に、少しでも燃焼条件を良くするため、アイドル時だけの進角を行ったり、軽い負荷が加わったとき、遅角(点火時期を遅らせる。NOx対策)も行う機構が組み込まれているものもある。

 これらの装置が正しく作動しているとして、話を進める。

 ポイント式点火装置の波形を見ることで、しっかりと点火エネルギーが出ているかどうかの判断が出来るのだが、それを見るためには、点火装置のデモ機を造る必要があるのだが、それは前回のレポートのように何とか完成した。

 当初は100Vから電気を取り・・・と考えていたが、それよりもバッテリーを2個使用し、点火装置用、モーター用としたほうがよさそうだと言うことが分かった。と言うよりその方が造りやすいのだ。

 波形測定には数十年前に購入したアナログのオシログラフを使う。2現象だが、同時に(といっても代わり番になるが)測定すると、波形がややこしくなるのでプローブはそれぞれ繋いだ状態にして、別々に測定する。
波形測定に使用したオシログラフ。今じゃ骨董品。デジタルオシロが欲しいけれど・・・表示のボルトを設定するダイアルは、1次波形は2Vで、2次波形は0.2Vとした

 1次波形はコイルのマイナス側から取り、2次波形は点火プラグのアース側とデモ装置のグランドの間に、特別に製造してもらったアダプターを入れ、電流値を電圧に変換したものを測定し、エネルギーの比較を行う。電圧の波形を取ることも可能だが、比較が難しそうなのでやめた。
これが電流値と電圧値を計測するためのアダプター。エネルギーは電流であらわされるので、それを計測する

アダプターは点火プラグのアースとデモ機のグランド間に入れ、プローブは点火コイル側にプラスを繋ぎ、アースはデモ機のグランド側にする

 また、当初、回転数を可変にするということで、可変抵抗などを組み合わせたが、これは間違いだった。それは、回転数が変化すると波形も変化するからだ。そのため、最初にテストしたときの波形は使えないので、改めて配線をやり直し、可変抵抗器を取り去り、ダイレクトに12Vを加え、最高回転数での波形だけに止めた。
回転数は7000RPMを目標としたが、ポイントの状態もあって少々表示は上下する

 結果として、ポイントが荒れた状態を再現できなかったので(磨いてしまったので)、ポイントが荒れたときの波形は、その後に見る波形と状態が少し違っている。ただし、ファンクションダイヤルの位置は変更していないので、荒れた状態のポイントによる1次波形は、違いがしっかりと分かる。また、そのときの2次波形も取り忘れた。
装置としての状態も、実際に使用する上では重要な部分。たまには分解してガバナの作動や、バキューム進角の作動チェックをしたい

荒れた状態のポイント。導通常件が悪くなればコイルに加わる電圧に影響を及ぼす。結果として、プラグに飛ぶ火が弱くなる

荒れた状態のポイントによる1次波形。これだけ見たのでは、違いが分からない。コイルの1時側に加わる瞬間最大電圧は約40V。本来はもっと上のボルトになる。正常なポイントの波形は次回に。なお、説明したように2次波形は取り忘れた