研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2018年10月30日火曜日

ニッサン・セレナe-POWERを再試乗してわかったこと


話題となっているニッサンのミニバン、セレナe-POWERだが、発表会直後の試乗会では、アクセルを離した直後に起きる回生ブレーキ(これにより発電機の能力を高めて走行用のバッテリーに充電する)の立ち上がりが強烈で、とてもじゃないが評価する基準ではない、と言うような原稿を書いたのである。

その真実が開発陣に届いたのであろうか、「もう一度試乗してください」と言う案内が届いた。そして、試乗してみると、これなら問題ない。

ドライブモードをS/ECO或いはノーマルと切り替えても、ノーマルは当然として、そのほかのモードでも、アクセルを離したとき、強烈な立ち上がりの回生ブレーキは発生しない。

この制御であるなら、ドライバーはもとより同乗者も不快に感じることはない。最初からこの状態で試乗させてくれていれば、もっと他の記事も書けただろうし、クルマの良し悪しを評価できただろう。

例えば最初のジャーナリスト向け試乗会で、何か指摘されたら、そこから造り込みすれば・・・と言う自動車メーカーもいるが、それはあまりにもひどい話。しっかりと納得できるまで開発、造り込みをしてから市場に出すべきである。

回生ブレーキ、つまり駆動用モーターを駆動用バッテリーに充電するための発電システムは、どのように発電を行って回生させるかで、クルマの減速タイミングが大きく変化する。その変化が、突如に、やってくると強烈なエンジンブレーキと同じで、不愉快極まりないばかりではなく、同乗者はクルマ酔いしてしまう。そこで、どのようなタイミングで回生率を立ち上げるかが肝となる。これは当然のことで、それによってクルマの評価が大きく変わってしまう。ここは確実に周りの意見を素直に聞いて、作りこみをしなければいけないのである。

2018年10月16日火曜日

思い出したぞ、やってもらわなければ良かった初回点検


数十年前のことだが、あるイベントの現場でトラブルに巻き込まれ、それを人脈と技術で克服した話をしてみる。

そのイベントとは、今でこそメジャーになったイーハトーブトライアルである。

公道、林道、ハイキングコースを走りながら、そこここに点在する(主催者側が人工的に或いは自然に地形を利用して)セクションと呼ばれる障害物的な場所に専用のバイクでトライし、そこを如何にスムーズに走り抜けられるか、的な評価で勝敗を争うイベント。詳しく言うのは面倒なので割愛。

そのイーハトーブトライアルに、当時同僚だった人間が取材を兼ねて参加するので、経験の有る私が同行し面倒を見ることとなった。私が乗るバイクはスペインのオッサMAR(ミック・アンドリュース・レプリカ)で、その問題の出た同僚が乗るのは、当時再販したホンダのTL125(イーハトーブ)。

新車で購入し、意気揚々と会場に集合。前日には当時のホンダ・サービス拠点の中枢であるSFに持ち込んで、初回点検を済ませてきたと言う。この点検をやると言う話は事前に聞いていたので「止めとけ、今現在問題のない状態なら、一部でも手を付かないほうがいいぞ」と助言したのだが、聞く耳を持たない彼は、その拠点にバイクを持ち込んで、初回点検(何をしたのかは不明)をやってもらった。コレが大失敗。

イベントの前日にクルマから降ろしたバイク(イーハトーブ)のエンジンを始動させようとしたが、いくらキックペダルを蹴飛ばしても始動しない。そこで点火プラグにスパークがあるかどうか確認したところ、何も起きない。これはやばい・・・

そこで、何が不具合なのかわからないので、とりあえずシリンダーヘッド左側にある、点火タイミングを決めるパルサーがどうなっているか点検したが、見るだけのことしか出来ないので、結果は不明。

このままでは問題を発見できないので、クランクケース左側に取り付けられているフラマグ(ダイナモ)のカバーを外すと、なんと中から6mmのボルトが1本出てきた。そして、更にそのボルトが何をしたのか見ると、点火発電用のコイルを切断していた。フライホイールは磁石になっているので、それによりガチャガチャに掻き回されたのだろう。

だが、こんな山奥に部品はない。そこで、このイベントを積極的に応援し裏方で動いている盛岡のホンダディーラーの方に相談すると、「まだメンバーはバイクショップにいるので、新車から取り外して持ってくることは可能」というが、その取り外した部品を補充しないといけないのだが、そのトラブルを起こした原因は、SFのメカニックであるので、バイクのオーナーがそれを負担するのはおかしい。

そこで、ホンダ広報に電話をかけると、責任者で親しい方がまだ会社にいた。経緯を話して、部品の補充を盛岡ホンダへやってもらうことの約束を取り付ける。

盛岡ホンダから届いた部品を組み付ければ問題解決。2日間にわたるイベントは無事終了。

さて、何でこのようなトラブルが起きたのか考えてみると、サービスの現場があまりにも整いすぎていたからとしか言いようがない。(必要な部品は常に多数保管して有る)つまり、意味もなくエンジン左のカバーを開け、なにやら増し締めみたいなことをやったのだろう。そのとき、カバーの締め付けネジはどのように管理していたかである。近くには強力な磁石がある。それを無視すると・・・

1本見つからない。探したのだけれども(恐らくすでにフライホイールの磁石に張り付いていただろう)見つからないので、部品庫に出かけ同じボルトを探して組み付けたと思われる。表面的には問題解決だが、その奥に爆弾が仕掛けられたことを知る由もない。

そして、イベントの前日にその爆弾が爆発した。

で、この初回点検だが、私は「問題がなければヤルナ」と口を酸っぱくしてその同僚に話していたのだが、聞く耳を持たなかったため、メカニックのヒューマンエラーに巻き込まれたと言う話。

人間がやることに対しては、常に「大丈夫かな?」と言う気持ち、疑いの目を持つことは重要と思っている。

2018年10月7日日曜日

ホンダエコマイレッジチャレンジの車両規則に疑問



エコノパワーと言う名称を使い始めたときから、毎年取材や参加、或いは観戦に出かけているのだが、どうも疑問に感じる規則が多い。これまでも、チクチクと競技委員長などに問題を投げかけたり、(2014年10月5日にアップした本田エコマイレッジチャレンジ2014で見た、とんでもない光景を見ればわかる)ブログで事実を公表することでだいぶ正常(?)になったかとは思うのだが、まだ足らない部分がある。

それは、使用するバッテリーのこと。私が参加した時代はインジェクションがなかったので、バッテリーは12V8AHまで、と言うレギュレーションがあった。

しかし、インジェクションの普及と共に、それまでのバッテリー容量では不足する、と言う話がどこからとも沸きあがり、容量の規則は消し飛んだ。実際のところ、12V8AHで十分で、現在インジェクションのマシンでも、この容量で足りているどころか、有り余っている。

さてここでの問題は、バッテリーは市販品なら制限がないという点。何ボルトでも容量何アンペアでもいいということだから、ずる賢いチームはモーターを主動力としたハイブリッドのマシンを造り出しそう。

もちろんエンジンは付いているが、それを使用するのはスタート時だけで、その後のスピードアップは、クランクケース内に組み込まれたギヤを切り替え、セルモーターで加速する。バッテリーの消費が多いのは停止時からのトルクを多く必要とするときだけだから、走り出したらそれほどのバッテリー消費はない。

それでも、どの位の容量のバッテリーがあればいいのかわからないから、小型自動車で使われる12V36Bなどのものを用意すれば事足りるだろう。
 
もしこのような違法改造マシンで競技会に参加したら、とんでもない記録が出ることになる。リッター10000キロ????改造の手間と費用は高が知れてる
 
スタート前の車検では、エンジン内部構造がどうなっているかわからないので、競技終了後にそれぞれのクラス上位2台ぐらいは、再車検でエンジン分解を義務付けるべき。それを規則に入れることで、このようなずるいく気持ちの悪い改造はなくなると思うのだが・・・。
 
以前にはこのようなことを書いて、主催者に提出したことがあるが、その後何の音沙汰もない。また、当時は「分解なんて出来ないよ。構造がどうなっているかわからないマシンだから」と逃げていたが、レースでも再車検の分解はそのチーム自身で行うことになっているため、オフィシャルが手を出す必要はないので、同様に規則を作ればいいだけだ。

2018年10月4日木曜日

ATFの交換方法 その4  究極の交換方法がこれ、そのやり方をレポートしてみた 


その②で書くべきことだったのだが、忘れていたことがある。それは、メルセデスに搭載されているATには、トルクコンバーターに、ATFのドレンプラグが付いている(最近のものはわからない)。これを外せばトルクコンバーターに溜まっているATFを排出できるので、交換率はかなり高くなる、と言う話。

もうひとつ、それはレベルゲージの見方。HOTとCOLDの刻印がゲージの先端についているので、完全にエンジンとAT本体が冷えているときに新油を注入する場合、COLDの刻印で注入量OKの判断をしてしまうが、この刻印はあくまでも目安であり、正しくは60分ほど走行させ、完全暖機の状態で点検することが必要。

交換方法としては、外部のポンプを使った強制循環で交換と言う方式も有るが、これは多量(正確には知らないが20~30リッター位らしい)のATFを使って、強制的にATFをAT内部に押し込み、循環させることで新油とするもの。それだけ聞くと問題ないように見えるが、実は強制的に高圧のATFを流し込むことで、それまで各部分におとなしく溜まっていたスラッジが浮き上がり、AT内部に漂うこととなって、その後ジャダーの発生(スラッジのボールベアリング効果から発生)などのトラブルに結びつくので、やらないほうが良い。ただし、ジャダーなどの発生は6ヶ月を過ぎたあたりから小さくなる。(これは、再びスラッジが落ち着く場所に落ち着いたからで、それでもATリビルダーはトラブルと評価するらしい)料金も多量のATFを使用することから、かなりの額になるようだ。

交換の方法をいくつか試しても、暫くするとATFの色が、きれいな赤ではなく、どす黒い状態になっている、と言うことであると、これはATそのものを完全に分解して、内部の洗浄を行い、更にバージョンアップされた一部の部品を交換するなど、完全にリビルドしなければならないのが普通だが・・・

この状態のATであると(走行13万キロ)、走行中にセレクターをDからLなどに動かし、エンジンブレーキを強く利かせるようなことをすると、そのときに発生するショックはかなり大きく、壊れてしまうのではないかと思うほど(経験から)。

でも、いくらかでもベストな状態に近づきたいと言うのであるなら、私がやったように、ATのオイルパンを外した状態でエンジンを始動し、ATFのフィルターから新油を吸引させATF交換を行う方法がベスト。

使用するATFは純正品。容量としては8~12リッターぐらいだろう。さらに、ATのオイルパンも剥がすので、組みつけに使うパッキン(或いはシーラー)も購入。そして、バルブボディに取り付けられているATFのストレーナーも購入(再使用してもいいが)。ストレーナーには銅パイプをハンダ付けする必要があるので、そのための銅パイプ(ホームセンターで売っている)も購入。ついでにそのパイプへ取り付けられるビニールホースも必要。

取り外したオイルパン内部をバルブボディや磁石など、金属の破片がないことを確認したら、バルブボディに取り付けられているATFのフィルターを取り外す。その目的は、フィルターの状態確認だけではなく、ATF吸引口にホームセンターで購入した銅のパイプをハンダ付けするため。よって、ハンダ付けが完璧に出来ない方には無理の作業。もちろん自身でなくとも知り合いに頼むと言う方法もあるが・・・

銅のパイプをハンダ付けしたフィルターを元の位置に取り付け、そこにビニールホースを接続し、その反対側をATFの入った缶に差し込む。

なお、AT本体のオイルポンプは吸引能力が高くないので、リフトに載せて高い位置での作業は出来ない。リジットラックで固定するぐらいの高さで行う。

AT本体の下側には、オイルパンよりも大きい受け皿を用意し、エンジンを始動する。ATFを吸引し始めたら、アイドリング状態からATのセレクターをDレンジとし、更に新油を吸引させるのだが、セレクターを動かしたら、素早くアクセルを軽く踏んで、60キロぐらいに速度を上げる。するとAT内部のほとんどの通路に新油が流れ込む。

吸引させている新油がなくならないうちにアクセルを離すと、アキュムレーターに溜まっている古く汚れたATFが「ゴボゴボ」と言いながら排出される。この汚れたATFが問題なので、コレを見届ける必要がある。

8リッターほどのATFを使用してこの作業を行えば、AT内部の各所に新油が送られるので、ほとんどの場所でATFが入れ替わる。
 
オイルパンを外してエンジンを始動させる、ということに違和感があるだろうが、ウエットサンプのエンジンだって、オイルをクランクケースの下に有るオイルパンに溜めているだけなので、それは便宜的にそのような構造としているだけで、そのオイルパンがなくても、ストレーナーからオイルが吸引できるような状態としておけば、これも普通に回して差し支えないのだ。