研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2021年5月31日月曜日

自動車メーカーの開発者で、後日その社内では怖い人物と言う評判のある方と、どう言う訳か親しくなることが多い。なぜだ?


クルマとバイクの特にメカニズムや整備(バイクは自分でスペシャルを設計・製作したり、メーカーのテストコースやサーキットを高速で走らせることができる試乗会に参加。もちろんMXやRR、TRなどもマシンの設計と製作を行って競技への参加もした)を中心にした雑誌に長年携わっていると、クルマの評価基準が、他の編集者とは違った視点から見ることが多くなり、素晴らしい部分だけではなく、問題点を見つけて開発者と話していると、だんだん、その開発責任者との距離が近くなっていたことを、リタイヤしてから知るようになった。

 

ところが、その責任者が社内で怖い人(何を持って怖いと言うのかは知らないが・・・)であるということは当時知らないわけだが、お互いに意見を交わすことで、それぞれの持っている感性、観察力や技術に対する意見交換をしていると、気持ちの通じ合うことは多く、他の方から見たら、気心が知れた仲間???

 

それくらい言葉が弾んでいた!!! 口げんか状態もあったが・・・

 

その①

最初に怖い人、「鬼」などというあだ名がついた方と知り合いになったのは(当然そのときにはそんなことは知らないし、バイクの開発責任者にそのような方がいるとは思っても居なかった)アメリカ・ロサンゼルス。

 

ピシッとしたサングラスで、カッコーが良い方、ぐらいにしか感じなかった。でもその方が、怖い人と言う話を聞いたのは、10年以上経ってからだったが、当然我々メディアに対しては、普通の紳士であった。

 

その方とは年賀状などのやり取りもしていたので、人事異動でドイツに赴任されたときも、更にそこから日本へ戻るときも、連絡をいただいた。

 

鬼の・・・と言うあだ名が有ったぐらいだから、それはすごいのだろう。所属していた部署では、その方から電話(国際)が来ると、誰も取りたくない、と言う話は数年後に聞くことになった。「へーそうなんだ」と思ったが、特別気分を悪くすることはなく、普通にお付き合いをし、記念イベントも一緒に参加し、もてぎでのトライアルGPなどにも一台のクルマに二人同乗して出かけた。

 

そして、その方が白血病で亡くなる寸前までお付き合いが続いたのだ。もちろんご自宅にも行って、奥様とお会いしたり、昔話に花を咲かせた。

 

その②

その①の方は2輪畑だったが、4輪畑の方とも親しくなった。技術広報としてメカニズムがわかる方が必要だったからだが、難しい話や、ややこしい内容の質問をするのは『私』ぐらいだったので、当然その方との話は、独り占め状態になってしまった。

 

こうなれば、当然シークレットな内容まで踏み込むこともあり、かなりヤバイ話に及ぶこともあった。これは後に非常に面白い結果を招いた。

 

フリーのジャーナリストには真実を話さない、と言うことも知らされた。なぜ?と言う質問に対して「その内容を他のメーカーに行って話をされる可能性があり、いくら内緒ですからといっても、自分の立場や金銭的なことを優先するので、内容が表に出るのはメーカーにとって好ましくないからです。そのため細かな点については話さない」と言うことだった。「でも、出版社の編集者であれば、内容には責任を持って管理してくれるので、内緒の話でも安心できるからだ」。と言うことで、私のそばには、絶えず広報の方が張り付き、内容を録音していたり、メモを取っていた。

 

ここで重要なのは、私の質問に答える内容には、どうしても他の関係者には聞かせたくないことが含まれるし、その話をしないと、質問の答えがちぐはぐになり、言葉として通用しなくなるからでもある。

 

そして、インタビューが終わると、傍にいた広報の方から「内緒の話が出ていましたが、あれは絶対に出さないでくださいね」と念を押されたことを思い出した。

 

その方が、私の話をまじめに聞くようになったキッカケは、あるクルマの試乗会での出来事にあるだろう。そのときに乗ったクルマの異常を発見したのだ。その異常とは、大きくバウンドすると、リヤの方から『ギク』と言う異音が発生する。最初は何かの聞き違いではないかと思ったが、同じような状況となると、再び異音が発生する。

 

そこで、リヤサスペンションを確認すると、ラテラルロッドを用いたコイルスプリング。トレーリングアーム形式なので、横力を抑える構造が必要となり、そのためのロッドがラテラルロッドである。そして結論を出した。『恐らくこのロッド取り付け部分のボルト締め付け不良』。

 

試乗会場では、時々各部の点検を行うのは当然で、一度締め付け部分を緩め、ゴムブッシュの位置を落ち着かせる、なんていう作業を行う。そして、その最中に「***電話だぞー」なんて言うイレギュラーな用事が入り、その結果、そのネジの締め付けがおろそかになった。ということだろう。

 

この結論を持って、試乗会場に戻り「ことの詳細を広報部に連絡」。後に、こちらで判断した状態であったことが判明した。当日、技術広報の方と話をすると「連絡が来ています。すみませんでした」ということだった。

 

ここでの出来事により、私の分析能力を高く評価してもらえた。なぜかと言うと、この状態のまま(リヤからの異音発生)数人のジャーナリストが試乗しているが、誰もその異常を訴える人がいなかった。しかし、その異常を私達が見つけたからだ。

 

その③

また、しばらくしてからの試乗会で乗ったクルマが、路面がフラットでサスペンションが作動することがないような道路では、両手離し運転をすると、少しずつどちらかに向きを変えて真っ直ぐに走らない。しかし、路面が少し荒れたような、サスペンションが作動するような場所では、ビックリするぐらい真っ直ぐに走る。もちろん両手離しでである。

 

そのときには、以前お会いした技術広報の方とお会いできなかったので、その疑問を投げかけることは出来なかったが、後日お会いしたときの、その時の疑問をぶつけてみると、やはり・・・

 

そのクルマのフロントサスペンションは、サスペンションが大きく作動したとき、タイロッドの長さによるタイヤのトー変化を最小限とするため、今までのようなステアリングラックの末端にそれぞれのタイロッドを取り付けるタイプではなく、ラックの中央に左右のタイロッドを集中させて取り付ける構造とした。当然、タイロッドは長くなるので、サスペンションが上下動したときの円弧は大きくなり、それによってタイヤのトー変化も少なくなる、と言うような構造。

 

確かにその構造による効果はあるが、造りかたを間違えると、基本がどこかに行ってしまう。この構造のクルマは欧州車にあり、そのクルマは、特に気になる直進性に問題は出なかった。

 

では、日本におけるコピー構造ステアリング機構は、どのような問題が発生していたのかと言うと、長くなったタイロッドは、重くなった分、下向に引かれる力が大きく発生し、その引かれることで摩擦が多くなり、本来ならそのサスペンションが持っている、優しく自由に動く動作が阻害されるため、クルマは自然のスタビリティがなくなり、路面がフラットであると手放しでは真っ直ぐに走行しないようなことになる。

 

どのような状況が起きていたのかを、例を挙げて説明すると。問題のクルマは、タイヤの左右に向きを変える動きがなんとなく渋くなったことで(自転車やバイクのステアリングヘッドのネジを締めこみすぎていると、オフロードでは障害が出ないが、フラットな路面では自由にタイヤが左右に動かないため、その反動が直進性に影響する)、サスペンションが作動するような道路では両手離し運転でも直進性は保たれるが、サスペンションが作動しないような路面では、サスペンションの自由な動きがなくなり、その結果、「なんとなく真っ直ぐ走らない」クルマのなってしまったのである。

 

このような出来のクルマは、当然モデルチェンジでベーシックな構造に変更されたのはいうまでもない。

 

その④

他のメーカーでもこのようなことがあった。それは、事前撮影会で言葉を交わしたことがキッカケで、あるクルマの開発担当主査になったときにお会いすることになったのだが、そのクルマでの素晴らしさを、唯一気が付いたのが私だった(その部分はかなりの気持ちを込めて開発したらしい)。

 

それは、左足でのブレーキ操作性とその性能である。試乗後にその方とお会いして、「左足でのブレーキ操作や制動性能が素晴らしいですね」と発言したとたん「分かりましたか」と言って、身を乗り出してきた。

 

それまで、かなりのジャーナリストが試乗してきたはずだが、ブレーキ性能とペダルのことに対する評価がされていなかったようだ。開発時の目標として、左足でのブレーキ操作を完璧にすることを詰め込んだ。そのためブレーキペダルの配置からその動きに対するチューニングなど、全てをイチから見直して、左足でブレーキ操作を行う誰でもが、素晴らしさを感じるようにしたと言うのだ。

 

ただし、残念にも当時のジャーナリストには左足でのブレーキ操作を完璧に出来る人間がほとんどいなかったようで、私が試乗して、その素晴らしさを伝えたことで、開発担当者とこれまで以上に気持ちが繋がったといえよう。

 

このようなクルマの開発責任者なので、同じメーカーのブレーキに対する問題点を発見したとき、***さんに相談してはどうですか、と言うアドバイスをしたのだが、なんだか反応がおかしい。「聞きに行けない」と言うのである。『ヒョとして怖い人なのかな』と言う気持ちが沸いたが、10年以上が経って、やはり社内では怖い人だということが分かった。

 

以上思い出すままに書いてみた。また思い出したら追記したいと・・・

2021年5月22日土曜日

クルマ誤操作の代表としては、パニック状態でのブレーキとアクセル踏み違い暴走事故があるが・・・

 

AT車(2ペダル)のブレーキとアクセルの踏み違いによる暴走事故のほとんどが、高齢者だけによるもの、と言うイメージで報道されているが、果たしてそうなのだろうかと思っている。

高齢者は、正直に(それを認めない上級国民もいるが)自分の行為を認めることが多いのだ。つまりアクセルとブレーキの踏み違いは=高齢者と言う図式が出来ているからなのだろう。

ところが中年や若者となると、同じような事故を起こしても、自分が高齢者グループに入れられてしまうことを恥じて、「よそ見していたとか」、「ボ~ッとしていた」、「猫が飛び出した」、などの言い訳で済まそうとしているのではないかと感じている。

コンビニの駐車場からお店に飛び込むような事故は、確かに男女共に高齢者に多いと言えるだろう。ただし、何歳以上を高齢者と呼ぶのかで違ってくるが。

ま、健常者なら、いつも言っているように左足でブレーキ操作すれば、踏み違いなどが発生する事はない。

なぜこの左足ブレーキの操作を、警察庁はもっと広く意見として求めて、改正することをしないのか、不思議でならない。

アクセルペダルが戻っていないとブレーキ性能が落ちる、と言う話もあるが、現在のクルマは電子制御なのでアクセルペダルを踏んだ状態でも、ブレーキペダルを踏むと、間接的(電気的)にアクセルと繋がるスロットルバルブは、アイドル状態となるのが現在にAT車制御だ。

自動車免許をすでに取得している方でも、自動車教習所での練習(あえて教習とは言わない)により、左足でのブレーキ操作は出来るようになる。もちろん強制する必要はないのだが。

どれほど優位性があるのか、知りたければ見本を示してあげても良い。いとも簡単に出来るからだ。

話は違うが高齢者講習の教習所における走行では、左足ブレーキを普通に使っていても、隣に座る教官はそれを知らないわけで、『20cmほどの段差にタイヤを当てた状態で一時停止し、その段差に出来るだけスムーズに乗り上げる』、と言う走り方をするように指令が出るが、一時停止後に加減速することなくスムーズにその20cmの段に乗り上げていると、急激な挙動を示さないので、教官は『さあやってみましょう』と言う言葉を発するが、すでにその行為は終了しているので、「クリープが発生し進むだけですが」というと、なんとなく理解したようで、『では次に進みましょう』と言う。

それ以前に行った行為でその段差を乗り上げていることを感じていない。つまり、それほど穏やかに走らせることが出来るのも、左足でのブレーキ操作をしているからだ。『試しに私の隣に乗ってみる?』そして、その素晴らしさを体験して欲しい。

スムーズに走らせられるだけではなく、事故抑制と防止にも役立っている。

例えば、運転していて、「横道からクルマや人、自転車が出てきそうだな」、と感じたときには、自然に左足はブレーキペダルの上に乗せる習慣が出来ているので、実際に飛び出しが有っても、ビックリすることなく(つまりパニックにはならないと言うこと)間髪をいれず、ブレーキペダルに力が入り、制動操作を行える。

助手席に乗る方も、私の行為を見ているので、ビックリすることもなく「横道から飛び出しても、緊張しませんね」、と言う言葉を発したほどだ。