研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2017年2月26日日曜日

豪華な感触で走りも穏やかな新型ワゴンR やりすぎを感じるのだが・・・


スズキのワゴンRがモデルチェンジされて、スマートハイブリッドを積極的に活用するシステムが搭載されたモデルもある。それによる性能向上は燃費や加速性能ばかりではなく、ドライバーに気持ちのゆとりを生むことにも結びついていると感じる。

マイルドハイブリッド仕様のFZ。これが一番かもしれないが、軽自動車としては少々お高い

ターボ仕様のスティングレーT。全体的にトルクを太らせる設定で、過給が高まって走りを高める感じではない
 
これまでのSエネチャージでは、アイドリングストップからの再始動と僅かなアシストにとどまっていたが、新型では、ISGを大型化して、回生ブレーキで貯蓄するリチウムイオンバッテリーの容量を大きくした結果、再始動用のモーターだけではなく、アクセルペダルを戻し、減速して13km/h以下になりアイドリングストップが作動すると、ブレーキペダルを踏んでいない微速状態では、10秒間のEVクリープ走行が可能となって、走行性能を向上。更にこのシステムでは、最長30秒間のアシストが得られ、スタート加速では時速100キロまで作動する。

ISG(モーター機能付発電機)を大型化し、それに合わせてリチウムイオンバッテリーの容量も大きくして、マイルドハイブリッドを実現した
 
もちろん停止から徐行するようなときには、ブレーキペダルから足を離した瞬間からEVクリープ状態となり、エンジン騒音がないことにより、住宅地の一時停止状態から、周りの音を聞き分けて、危険な状態に踏み込まない状態を作り出せる。

マイルドハイブリッドによる性能向上は計り知れないものがあるが、残念なのはEVクリープ走行中もクランクつまりエンジンを無理やり回転させること。給排気のバルブ作動を停止するシステムは採用されていないから、ポンピングロスの分だけ運転性能が下がる点。このことを改良するには、ISGをクランクシャフトプーリーで回すのではなく、ミッションのインプットシャフトを直接回さなければならないため、非常にややこしくなるで難しいだろう。

試乗時間が長くなり、新型ワゴンRに慣れてくると、停止寸前にインバーターの発信音のような音に気が付く。そのときにはメーター内に緑の「EV」表示が点灯することに気が付いた。そして、このEV走行の時には、車外にEVが走っていることを警告する、小さな音と共通している。

これまでの軽自動車のイメージを根底からひっくり返したインパネ回り。ダッシュボードの位置も低くした結果、運転席からの死角を最低限に抑えたばかりではなく、広々感も演出した
 
アクセルレスポンスで気になったのは、交差点を左に曲がり穏やかに加速しようとアクセルを軽く踏んだ瞬間に、いきなり加速力が大きく立ち上がること。アクセルペダルを強く踏んだわけではないので、これは恐らくハンドルを切ることで必要とされる電気負荷に対してエンジン回転を維持、つまり発電能力を高める制御が働いて、エンジン回転が高くなるとも考えられる。もちろん条件次第で起きることから、それまで十分に回生ブレーキ発電によりバッテリーに電機が溜まっていればこのような症状は起きないのかもしれない。

事実、その後ではこのような症状は発生しなかった。エンジン回転数フィードバックは採用しているだろうから、その制御に気を配れば解決しそうでもある。

それと、機械的な部分としては、アクセルペダルの位置が少々高いのは気になる。左足で当然のようにブレーキ操作をする人間にとって、ペダルの上に足を乗せて、いつでも踏める状態を作り出すことは普通に行うわけで、そのときに足首を強く上に曲げておくのはつらい。先代モデルではこのようなことはなかったと記憶するが。

この後席乗員が座るフットスペース。非常に広く、長時間のドライブでも、足置き場に困ることはない
 
室内スペースに関してはプラットフォームを一新し、アルトなどと同じものを採用した結果、乗員の乗る部分には大きなゆとりが生まれた。身長180cm近いドライバーが素早いハンドル操作の出来るポジションを取っても、後席の乗員は足を組んで、まだまだ余裕の有る状態は、コンパクトクラスのクルマよりも広い。

旧モデルと室内寸法の違いを表したもの。その数字からも納得できるだろう
 
これは、プラットフォームの変更によりホイールベースが35mm大きくなったことなどを有効に利用し、室内長が285mm増えたことによる影響である。そのゆとりは格別な空間を生み出し、これまでの軽自動車とは一線を画すものとなっている。

ターボ付きのスティングレーにも試乗した。ターボの感触としては、高速道路の追い越し車線を走らないのであるなら、それほど必要性は感じなかった。自然吸気仕様でも十分な動力性能を発揮してくれるからだ。ターボ仕様でも加速力が際立つような作りではなく、実用性を重視している。

また、過給圧制限のウエイストゲートバルブはバレーノやスイフトのように、普段は解放されて排気ガスの流れを阻害せず・・・という方式ではなく、これまでの同じで、設定圧になったらバルブが作動して、それ以上に過給圧を高めない方式。

どうせなら、スイフトなどと同じ方式にして、過給が必要なとき意外はフン詰まりを避けるようにすると、もう少し軽やかになり、自然吸気エンジンとの差が出るように思う。
 
ミッションは副変速機(変速比を変更)付きCVT仕様だけだが、ここはぜひ最近スズキで積極的に活用し始めたAGSの登場を願いたい。もちろんCVTのような滑らかな変速を要求するのなら無理な話だが、マニュアルミッションから発展した、効率の高い変速機として考えた場合、コストや街中での実走行燃費などを考慮すると、絶対に有利であると判断するからである。更に半クラッチの操作が完璧でない方でも、クラッチの磨耗に気を使う必要がなくなるなど、メリットは多い。