研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2011年1月4日火曜日

左足でブレーキを踏むことを前提とした、ブレーキ優先制御とAT限定免許との関係がおかしい

AT車の暴走に端を発したブレーキオーバーライド(ブレーキ優先制御)だが、国土交通省の方向としては、積極的にこのブレーキオーバーライド制御を採用して欲しい、と言うことなのだが、何かおかしくないか。

そして、そのことを具現化させる会議なるものを立ち上げたが、そこに加わっているメンバーは、一体どこまで左足ブレーキのことを理解しているのだろうか。どこの自動車メーカーがどのような経緯で取り入れたのか、そのことも分かっているのだろうか。

それにも増して、唯一(世界でといっても良いかもしれない)「左足でのブレーキ操作がしやすいペダル配置や、ブレーキブースターの機構からシート、左の膝位置なども考慮した」、と開発責任者が言うクルマがあるのだが、そのクルマがどこのなんと言うクルマなのか知っているのだろうか。この会議には、何名かの著名な自動車評論家が加わっていたはずだから、彼らは試乗会で十分知る機会があり、開発責任者に話も聞けたはずだ。でも、常に左足ブレーキの感触を気にしていない方であれば、気がつくことはないだろう。そのようなことが頭に入っていないで、会議をやったところで、先進的な意見など出るはずもない。

このような経緯を知って、現在どのような制御がその先輩たち(クルマと開発者)は行っているのか、十分に理解した上での話し合いが重要だと思う。上っ面な情報だけでの会議では間違った方向へ導きかねない。そして、先輩たちは第2世代(バージョン2)の制御となっているのだが、どのように進化させたのか、ご存知だろうか。

また、日本の自動車教習所におけるAT限定免許や、運転講習では「ブレーキペダルを右足で踏むこと」、となっており、万が一にも左足で踏もうものなら、教官から大目玉を食うという。なのに、国土交通省は「左足でブレーキを踏んだ場合に、もし右足で踏んでいるアクセルペダルを戻し損ねても、しっかりとブレーキが効くように」というのである。何か変だと思うのは私だけだろうか。つまり「左足ブレーキが前提での制御を取り入れろ」、と言うのだから。

AT車を乗る場合、遊んでいる左足を有効に(健常者として)使わない手はない。増して、基本的な動作として、ブレーキを左足で踏むことによって、アクセルとブレーキの踏み間違いによる暴走事故はなくなる。これ当然の話。なのに、絶対に右足だと言うのはおかしい。右足でないと力が入らない、と言う人物もいるが、腕の筋肉とは違い、両足とも同じ力を持っているはずだから、この方の考えはあまりにも時限が低い。

左足だと、急ブレーキの場合、しっかりと踏ん張れず運転姿勢が乱れるとか何とかの言いわけもあるが、フットボードを踏みつけていれば、しっかりと体を押さえられるとでも思っているのだろうか。急ブレーキ時の運転姿勢や体重を支えてくれるのはシートベルトである。それより制動による減速力をブレーキペダルの踏む力にしたほうが、よほどましだと思う。左足でのブレーキ操作が、如何に安全で事故となる状況が起き難いか、と言う話はしないが(考えれば分かるはず)、正しい運転姿勢を取っていれば、何も問題は出ないし、出たことはない。

そして、パニックブレーキでは両足に踏ん張る力が入るため、左足でブレーキを踏むと、同様に右足でアクセルを強く踏みつけるので、制動距離が伸びる、と言う話しをする方がいるけれど、それは経験したことなのだろうか、それとも憶測の話なのか。私自身、実際にそのようなことを経験したことはないが、そうならないために組み込まれるのが、ブレーキ優先制御(ブレーキオーバーライド)でもある。

AT車の暴走事故は単純そのもので、少しのパニック状態からブレーキペダルのつもりで、アクセルペダルを思いっきり踏みつけ、大きなパニックに陥ってしまうことで起きる。本人はブレーキのつもりだから、自分が間違っていると言う自覚はない。その結果、事故が起きる。

このAT車によるアクセルとブレーキの踏み間違い事故は、何も一般ドライバーに限ったことではない。関係者からの情報では「救急車はかなりやってます。緊張からだと思います」、と言うことなのだが、更にビックリしたのは警察車両で特にパトカーであると言う。どの事故も大きくない状態なので、内部での処理としているようだが、これも左足でのブレーキ操作が出来れば、何も起きないはず。

もちろん誰でもが絶対に左足でブレーキペダルを踏め、なんて言うことは言わない。それは個人の自由だからだが、せめて教習所ではAT限定免許を取る場合「左足での教習にしますか、それとも右足ですか、教習の途中で逆の選択をしてもかまいません」、ぐらいのことはあってもしかるべきだと思う。でも、このような教習をやるには、教官がどちらの足でもブレーキペダルを踏めるように訓練していないと成立しないが。

またアメリカ人はAT車の運転で、左足ブレーキを使う人が多いと聞く。そして、ある日本の自動車メーカーの人がアメリカに赴任したとき、一番最初に言われたことは「左足でブレーキが踏めないのなら、1週間時間をやるから、その間にマスターせよ」と業務命令が出たとか。何故そこまでこだわるのかと聞いてみると「研究・開発に対して、自分たち(つまりアメリカ人)と同じ生活・行動のパターンを持たない連中の話は聞かない」という気質があるからだと言う。なるほど・・・

左足でのブレーキ操作も慣れてくると、両足でのブレーキ操作が出来るようになる。もちろん右足でのブレーキ操作がしっかりとやれての話ではある。パニックブレーキを両足で、と言うのはチョイと無理のような気もするが、渋滞路での長時間走行では、意識的に両足でペダルを踏むと、力が要らない。というよりも足の重さで十分停止しておける。

また、バイクの話だが、昔のイギリス車は左足ブレーキで、極最近までインド製のイギリス設計バイク(ロイヤルエンフィールド)は左足ブレーキだった。もちろん日本製のバイクでも、その昔には左足ブレーキがあったし、あのハーレーでさえ一部の車種に左足ブレーキがあったのだ。


1.開発責任者が「左足で踏みやすく、使いやすいブレーキを作りました」と言うクルマのペダル周り。今でこそたいした評価とならないだろうが、その当時(8年ほど前)はその素晴らしさにビックリした。試乗会で、「左足でのブレーキ操作が素晴らしいのですが、何かあったのですか」と開発責任者に尋ねると、「そうでしょう、分かる人には分かるんです。良くぞ感じてくださいました」と、身を乗り出してきたのだ。

2.左足でのブレーキ操作がやりにくかったので、少し大きめのペダルパッドを取り付けた。もちろん高さが上がらないように、ペダルのゴムを取り、間にスリップ止めを挟んでいる。自然の操作感が重要であるのだ。また、左足でブレーキペダルを踏ことに違和感をなくすには、右足とは評価基準が違うところにある。それは、左足では構えている状態からペダルを比較的ゆっくりと踏む機会が多く、マスターシリンダーから油圧が高まり、パッドを押し当てるまでのフィーリングを中心にチューニングする必要があるというが、右足であると、いきなりペダルを踏みつけるので、パッドが制動を開始してからのフィーリングを評価することが多いからだという。

3.もちろん右足でもブレーキペダルを踏める。間にツイタテを入れて・・・なんていう話ではない。重要なのは、左足でのブレーキ操作が出来る人に対して、使いやすいペダルの設計をしてあること。また、左足でブレーキペダルの操作が出来れば、バカバカしい事故から大きな事故へ結びつくこともなくなる。

4.慣れると、両足でのブレーキ操作も出来る。普段使うと言うより、渋滞で足が疲れたときに、両足で踏むと、踏むと言う力が必要なく、足の重さだけで停止しておける。
5.左足の位置が重要となるので、このようにスポンジパッドを貼り付けて解消。本来は膝を当てるようにしたいのだが、その位置にコンソールなどがないので、ここで我慢。それでも、左足の位置が決まるため、はるかに踏みやすくなっている。