研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2015年9月28日月曜日

ホンダエコマイレッジチャレンジで、これまでにも主催者側に提案してきたこと


それは、車検のときに合格しない、ブレーキ性能不足に対応することで、一般の参加者は認識が深く、制動不良はあまりないが、中学、高校など、これまでの参加があっても、先輩たちからマシンを受け継がず、独自の力で製造するようになると、詰めの甘さが出てしまうことが多い。

ホンダエコマイレッジチャレンジについては、名称が変わる前から全国大会のイベントに、出場、取材などで顔を出しているため、何が問題かの見極めは、その場においでになる関係者よりも深く知っているつもりである。

他に車両規則に問題もあるが(それはおいおい記載したいと思う)、それだけではない。ブレーキが効かないのは、事故の元だが、このブレーキも、実際の制動となると疑問は多い。というのは、ほとんどのマシンは後輪1輪だけにブレーキを持つ。そして、この1輪に制動をかけたところで、細いタイヤ、軽い車重、荷重の移動により後輪は簡単にロック。スリップ音すら出ない(経験上)。

ブレーキテストは傾斜版の上で行なう。スリップ防止パッドが張られた上で、勾配20%(11度)で停止できればOK
 
とは言うものの、基準は大切だから規則を作ったのだ。それでも、ブレーキテストを合格しないマシンとメンバーに対して、主催者側がどう対応するかである。

これまで主催者側に提案してきたこと、それは「日当などいらないから、効かないブレーキに対して、それを回復させる手段があるので、その作業をするためテーブル、ガソリン、リヤを持ち上げる角材、そして作業する場所などを用意してくれないか、その場での改良は私が対応します」。という企画書を数回渡したが、なしのつぶて。

ブレーキテストに合格しないマシンを見てみると、「昨日、学校での制動テストは問題なかったのですが、ブレーキゴムを新品にして会場へ持ち込んだら、制動不足でした」。という話も。

この状態ご覧ください。指定されたピット内は制動不良で対策しなければならないチームでゴッタガエシタ。市販車クラスや二人乗りクラスを除くと、10%近くに問題が発見されたような感じだ
 
そのようなことをやってしまった方に対しての説明では、工業高校の場合「クルマのメンテナンスはやったことがあるでしょう。そのときディスクブレーキのパッド交換直後は、制動不足を感じて、しばらく走らせると、効くようになった、という経験があると思いますが、あれは、当たりが付いていないからです。それは自転車のブレーキにも当てはまるのです」。と説明すると彼らは納得してくれる。

このように、リムとブレーキゴムの当たりが悪い場合には、ウォーミングアップエリアで、ブレーキを掛けながら走らせればいいのだが(ゴムくさくなるまで)、なかなかうまくいかないようだ。

そこで、主催者側が提案するとしたら、決まったエリアでのブレーキチューニング。ひとつは走らせている状態の再現となる。作業を行なうピットは決めているが、アドバイスする人は主催側でない私ぐらい。今年も3チームの方に助言を行い(私が手を汚したほうが確実で早いのだが)、そのチームは無事車検に合格。

中学生となるとせんせいのぎじゅつがものを言うことになるのだが、それがなかなかうまくいかない。その結果、わかり易い制動不良となって現れる。しゃしんの中学生たちは、何とか合格した
 
慣性ダイナモがあれば越したことはないが、それが無理なら、決められたピットの中で、エンジン始動とリヤタイヤを回しながらブレーキを掛け、エンストしないように(オーバーヒートにも注意)しながら数分ブレーキゴムをリムに焼き付ける。ゴムくさくなれば終了。

リムに熱で溶けたゴムが付着するので、制動力は高くなる。そのほかにやる手段としては、野球のバット滑り止め(以前は松脂だったが)を吹き付けること。ただし、これは塗り方が難しい。スプレーなので、闇雲にリムに向けて噴出しても、確実性がない。そこで、いったん滑り止めを容器に移し、それを刷毛でリムに塗る。

そして重要なのは、どの程度の効果があるのか。また、欠点はないのかの検証も必要。なので、そのうちスポーツ用品店で同製品を購入し、試してみたいと思う。

また、リムとブレーキゴムの摩擦が強くなるため、ブレーキロックの発生が懸念される。よって、この対策は十分にデーターを集めてから行うべきである。

50年以上前の話だが、効かないドラムブレーキのオートバイに、松脂を溶かして塗りつけた。効くようにはなったが、ブレーキに熱を持つと、溶けた松脂がブレーキライニングとドラムに張り付き、不都合の出た経験がある。

マシンの製造過程では、正しいブレーキキャリパーの取り付け方、ブレーキレバーの角度、長さなど重要なことを指導する。ホームページにある競技規則の中にアドバイスとして組み込むことは重要だと思う。他の項目にアドバイスとして入れても、それを熟読してくれないからだ。これを間違えると効きの悪いブレーキとなってしまう。

2015年9月13日日曜日

数式を使わない、クルマの走行安定性の話・15/17


タイヤの直進性に関係するのは、キャスター角を付けることで発生するトレールだが、それだけではない

キャスター角について考えると、普通に思うことは、角度を小さくするように立てると、ステアリング操作は軽くなること。最近のスポーツバイク、レーシングバイクは、どれもキャスター角が以前より小さく立っている。

これはコーナリングの限界点を上げるため、フロントにおいても太いタイヤを履くことで生じるハンドリングの向上が目的になる。ところが、これまでのキャスター角ではタイヤに多くの荷重がかかるだけでなく、ステアリング操作したときの路面に対する軌跡が大きく、ハンドリングは軽くできない。太いタイヤを履いてもハンドリングを軽くする(ヒラヒラ感を出す)には、キャスター角を小さく立てることが必要になったからだ。

単純にキャスターを小さく立てると、ハンドリングは軽くなるが、キャスターと関係するトレールが減少する。トレールが減少するとタイヤ(ホイール)のスピンドルに発生する、ホイールを前方に引いていくという力が減少する。これが減少すると直進安定性が悪くなる。

そこで、バイクの場合ではフロントフォークをステアリングヘッドに取り付ける、フォークブラケットのオフセット量を少なくして、必要なトレール量を確保する。或いはホイールスピンドルの位置を手前に持ってきてトレール量を確保する(スクーターなどに見られる)。ハンドルの切れ角は非常に少なくなるが、回転半径をそれほど要求しないスポーツバイクやレーシングバイクでは、ほとんど関係ない状態である。

つまり、タイヤ(ホイール/クルマ)の直進安定性(これで全てが決まるわけではない)を保つのはステアリングのセルフアライニング(走り出すことで自然に進行方向にハンドルが戻る現象)に関係するのはキャスター角よりも、それによって発生するトレールが大きく関係しているのである。

キャスターを取ることで、ハンドルを操作してから手放しすると、ハンドルが自然と元の位置へ戻るため、つい勘違いしてしまうが、これは、キャスター角を付けることでトレールが生まれ、ハンドル操作によってタイヤが向きを変えても、走り出すことでホイールスピンドル軸に対して引っ張る方向の力が発生し、自然に進行方向を向くからである。キャスター角によってタイヤが変形し、それが戻ることも関係しているだろう。そのため、タイヤ幅が広いとステアリングはかなり強烈に戻る。

キャスター角がゼロ或いは90度(つまり垂直)で、トレールだけが存在するものとして、スーパーマーケットにあるお買い物カートの転がり部分や、オフィスで使われる椅子の足にある、自在キャスターと呼ばれるものがある。

これの転がり具合をよく観察すると、必ずホイールは進行方向を向く(進行方向にあるわけではない)。上部に乗るものに引っ張られる形となるため、自由に何処へでも向きを変える構造と、オフセットされたホイールの軸は、常に引きずり状態で力が掛かり、結果的にホイールは進行方向を保つことになる。つまり直進安定性がひとりでに起こる。しかも速度を増せば増すほどその傾向が強くなる。

自在キャスターだが、この状態だと右へ移動している。キャスター角がなくても、そこにはバイクやクルマとは違う位置にトレールが出来上がる。そのため安定して転がる
 
ただし、ホイールが小さいと路面の状態をもろに受けて、速度を増せば増すほど首振り現象が多く発生するが、いきなり進行方向が変わることはない。それによりスタビリティは失われるが・・・