研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2014年7月28日月曜日

NC750X・DCTを切る 700で問題だったコーナリングの癖はどうなった?・・・

コーナリング特性が大きく問題視されていたNC700シリーズに代わり、NC750シリーズが新発売された。果たして、コーナリング時の巻き込む癖は、どのようになっていたのか、1000キロ以上のツーリングに使用し、DCTの変速を含め、様々な道路状況において特性を判断できたので、その走りを分析してみた。

ハンドリングの違いは直ぐに掴めた

NC750X・DCTで1000キロ以上走ってみると、いろいろなことがわかってくる
 
青山のホンダ本社、地下駐車場から出る上りの右コーナーをゆっくりと走る最中に、700とは完全に違ったハンドルの感触を把握できた。

それまでの700であると、上り坂で駆動を与えているのにハンドルは巻き込み状態となって、切れ込まないように腕で突っ張りながら走らせたものだが、それがほとんどない。何がいったい変わったのだろうか?広報部ではタイヤを変更したことで・・・といっていたが。

こちらがピレリのSCOPION TRAIL。名称からしてもエンデューロタイヤだが、ロードの性能もすごい


700シリーズに装備されていたBS。タイヤ形状はピレリと変わらないように見える。パターンは当然違うが・・・

 

では、排気量は何故700から750にしたのか。それは大型バイクの教習車としては750でないといけない、という決まりがあるということで、自動車教習所での使用を考え、急遽750を作ることにしたのだ。ただし教習車として、700のコーナリング特性であると、教習所内での転倒事故が勃発する。これは当然の話で、半尻落(ハンケツオトシ)しで肩から突っ込むようなライディングをしないと、安定してコーナーを走れないからだ。(フロントタイヤのサイドをつぶす、ということらしい)

それは、まるでタイヤの空気圧が極端に低下しているかのようで、当然、交差点の角でも同様なライディングをしないと、速度に関係なく、スムーズに走れず、“オットット”状態となって、おっかなびっくりの連続。これでは使えないわけだ。

ただし、この半尻落(ハンケツオトシ)しで肩から突っ込むようなライディングが出来るライダーにとっては、忙しく右・左へと尻の位置を変えなければならないが、この上ない素晴らしいコーナリング特性を味わえる。

このスタイルを取っていると、フロントが小石や木の葉に乗り上げ、少しぐらい滑りを発生しても「アッそ」てな感じで特に緊張することなく、ハンドリングも乱れない。それは恐らく、ハンドルを押さえつけるようなライディングにならないからだろう。バイクの持つスタビリティが最大限に生かされるライディングスタイルなのだろう。

カメラの都合で走りの撮影が出来なかったが、NC700をこのライディングスタイルで乗れば、素晴らしいコーナリングを味わえる。700でコーナーを楽しめない方は、是非学んで欲しい。内側のひざはもっと開いていいが、この撮影時はツーリングパンツの形状が、ひざを大きく開ける状態ではなかった。もちろん750でも同様なライディングスタイルをとれば、より安定した走りが期待できる

そのようなことも改良項目に採り上げ(最重要項目だと思うが)NC750シリーズを発売した。

で、そのコーナリングの癖がほぼ解消した結果、大型バイクの教習車として合格だ。ただし、タイヤによるハンドル特性が大きく変化するセッティングは疑問が残る。“詰めが甘い”の一言である。

レーシングバイクであるなら尖がった特性は重要であるから、タイヤを選ぶということは必要なのだが、ツーリングバイクで、“タイヤを選ぶ”というのは、根本的に問題を抱えているといえそうだ。ホンダの研究所に長年勤務していた方に話を伺ったら「そりゃ造り方が違うんじゃない」と、一掃されてしまった。なるほど納得である。

フロント周りのアライメント変更は行われていない。代えたのはタイヤであるという。装着されているのは、これまでのBSからドイツ製ピレリSCORPION TRAILという名称のタイヤだ。タイヤの形状はBSと見比べても違いがなさそう。となると内部構造が大きく違うのだろう。

700にこのタイヤを取り付けて確認テストしてみたくなった。どこかのバイク雑誌でやるといいのだが。NC700Xでよければ、私が所有するバイクを貸し出してもかまわないと考えている。

外乱を跳ね飛ばすフロントとリヤのタイヤがすごい

1000キロ以上走行すると、ありとあらゆる路面に遭遇する。そこで受けた感じは、とにかく外乱に強いということ。路面に付けられた排水性を確保するグルービング(何本もの縦のみぞ)では、一般的なタイヤであると、小刻みにハンドルが振れ、場合によっては走行ラインさえ乱れる。しかし、このピレリは、グルービングがあるなんていうことを感じさせない。

試しに、グルービングを走行中、わざと走行ラインを乱して、タイヤに外乱負荷を掛けてみたが、走行ラインはもとよりハンドルも振れず、何事もなかったように走るのには、ただ唖然。

当然、道路の端に多くある縦の筋や轍のウネリでも、専門用語だとニブリングにも強い。ニブリングとは路面の状態からハンドルが取られる現象をいい、ハンドルの操作をしていないのに向きが変わることを指す。ところがピレリを履いた750はハンドルの取られる現象が非常に少ないのである。

NC700シリーズにお乗りの方で、ハンドリングに悩まされている方は、タイヤ交換のときにこのピレリを選んでみても損はないだろう。ピレリ日本のHPには、このタイヤを“スポーツタイヤ並みのオンロード性能を発揮する、最新のエンデューロタイヤ登場”とある。BMWのGSシリーズ、ヤマハのスーパーテネレなど、ビッグエンデューロ用のサイズも揃えているそうだ。NC750に装着されているタイヤは、ロードバイク専用ではなくビッグエンデューロバイク用なんだ。

なんと素晴らしいタイヤなのだろうか。とりあえず文句はない

無理に745ccとしなくても730cc辺りではいけなかったのか

ところで排気量を669ccから745ccへと、大きく変更したエンジンは成長したのだろうか。クランクのストロークは同じ80mmで、シリンダーのボアを73mmから77mmに拡大し745ccにしたのだが、正直に言って、あまり自然な状態ではない。トルクは増え(当然だろう)たのだから、加速力が強くなって高速道路などでは追い越し加速に申し分ないが、2000~3000回転での走行や、緩やかな加速において、エンジンのガサツな感触がいただけない。せっかくの270度クランクが死んでいる感じだ。

やはり基本設計が669ccであり、それをボアの拡張だけで745ccとすれば、シリンダーやシリンダーヘッドの剛性が問題になって当然(バランサーの見直しも行われているが)。その影響は、真夏の都内で、緩やかな上り坂を僅かに加速させるようにアクセルを開けているとき、エンジンから出たノッキングでも判断できる。

そして、DCT(ツインクラッチのギヤミッションAT)の制御にかかわる部分だが、気になるところがかなり多い。そこには排気量を大きくし、トルクアップを図り、燃費を考えて、ギヤ比を変更したことが、十分に煮詰められているとは思えない走りがあったからだ。

例えば、Dモードでの走行では、アップシフトが早めで、緩加速状態にあるとギクシャクとした走りをする部分が出る。更に、5速あたりで走行しているとき、急加速が必要で、いきなり大きくアクセルをひねっても、瞬間的にキックダウンしてくれない。6速を狙った状態であることは理解できるが・・・

そのギヤで加速し始め1~2秒後にやっとキックダウンとなる。これでは危険回避が出来ない。同様なことは6速での走行でも発生する。アクセルの角速度と角度を読み取り、素早くキックダウンとすることは重要であるし、アクセルが90%以上の全開状態であるなら、その瞬間から数秒間は自動的にSモード制御とすることが望ましい。やっているとしたら、もっと目立つような制御が必要だ。

何故!と思わせるような状態でハイギヤを堅持したり、あるいは必要以上に下のギヤで走ったり、チグハグな制御も目立つ。例えば、6速での走行中、1級河川の橋を渡り、その先の下りで、アクセルを戻しエンジンブレーキを使った数秒後、いきなり5速にダウンシフト。無理やり6速にシフトアップさせても(エンジン回転数は2000を切る)、直ぐに5速へ戻す。では、その坂を5速のエンジンブレーキで下れるのかというと、アクセルを開けない限り速度は徐々に低下する。下り坂で、その速度を維持するのにアクセルを開ける!!!そんなバカな。

停止するという信号は出していない。停止するにはブレーキを作動させているはずだから、ブレーキスイッチからの信号を取ればいいだろうし、場合によっては、ブレーキ液圧を感知するようなことも必要。最近は、クルマのアイドリングストップから、再始動するときの信号として、このブレーキ液圧信号を使っているので、センサーは安価で手に入るはず。

確かに、2000回転以下で6速というのは厳しいが、それは駆動力を必要としているときで、アクセルを戻しているエンジンブレーキ状態であれば、ギクシャクもなく普通に坂を下れる。おそらくこれは、「停止する」というプログラムのマップを読みに行っているからだろう。

逆にダウンシフトしたほうがスムーズに坂を上れるだろうに、というようなことも起きた。斜度10%になれば、速度が65キロぐらいであると5速に落とすのだが、8%程であると、どういうものか同じ速度でも6速を維持したりする。当然駆動力を出すためアクセルは少し開いているのだが、それにしてもガンバリ過ぎ。

タイトコーナーの続く峠で、それに雨天という悪条件は、このようなギヤの選び方をするのだとすると、それは素晴らしいといえるが、そこまでプログラムを作っているのか。

何故、クラッチ付きのバイクを乗るような制御が出来ないのだろうか

そのほかにも気になるギヤのダウンシフトがある。それは、前方の信号機を見て、減速行動を起こし、アクセルを戻しながらクラッチを切った状態で、場合によってはそのまま停止寸前まで速度を落としてから、1速ギヤもしくはニュートラルまで素早くシフトダウンする、というのがクラッチつきバイクのツーリング走行方法だと思っている。穏やかに停止まで持って行けるからだ。

ところが、NC700S(Xも)DCT程ではないが、まだ教習所スタイルのダウンシフトとクラッチ制御で、ギヤを下げるたびにクラッチを繋いでエンジンブレーキを掛け(良くなったといえるが)、減速状態が段階的に変化する。

これは、タンデム走行の場合、後ろから文句を言われる。それは、身体が前後に何回も揺すられるからである。Sモードなら当然であっても、Dモードは、とにかく穏やかに走らせることが絶対用件であり、大きなおせっかいはいらない。

どんな変化があるのか、何回も確認すると、Dモード走行で1速に落ちたときには、いきなりクラッチを繋げず、半クラッチを維持させながら、実に穏やかに繋ぐ。この感覚が重要であるわけで、何故他のギヤにも、このような感触を入れないのだろうか。

これが各ギヤで行われ、ダウンシフトのたびに穏やかにクラッチを繋いでくれれば、ギクシャク感はなくなり。スムーズな走行が可能となるはず。それよりクラッチを切ったままダウンシフトだけを行い、停止状態まで行けば問題ないのだが。

また、このような減速の途中でアクセルを大きく開ける行為が起きたときには、ショックが大きくてもかまわないから、クラッチはガツンと繋ぐべき。そのタイミングによっては、エンジンが悲鳴を上げるだろうから、そのようなときには半クラッチをほんの少し使えばいい。これ、クラッチつきのシングル、ツインでは当然の行為であり、これをやることで、危険回避行動が成立する。

燃費だが走行距離1087キロ走って35.11リッターのガソリンを消費したので、平均燃費は30.95キロになる。750になって新しく組み込まれた燃費計での平均燃費は29.7キロだった。ここに表示される燃費は計算値なので、実燃費とは少し違うようだが、走行条件が高速、雨天(かなりの時間)、街中、一般道、峠(ほとんど雨天だったので速度は上げられない)という状況からすると、十分に納得の出来る数字である。NC700S・DCTとさほど変わらないのである。さすがに最新技術を使って開発したツーリングバイクだ。
何故にホーンボタンが下から3段目にあるのか意味不明。シフトダウンさせる行為が最も優先させる必要があるなら納得するが、それはないはず。配線図を見るとホーンボタンもシフトダウンボタンも、アースを使っていない独立した構造なので、私が購入したら、即二つのボタンの役割を入れ替える
 

2014年7月20日日曜日

三角停止板と紫色の回転灯は同じように使えるはずだが、勝手に法律を作った交通機動隊員がいた


10年以上前の話だが、しばらくぶりに思い出したので、この際再認識のつもりで書いてみた。

それは、息子が一人でドライブに出かけたときのとこ。夜の9時ごろ、携帯電話が鳴った。「エンジンオイルが漏れ出して、佐久の手前の高速道路上にストップした」という話。

これはこれで、レスキューに出かければいいので、思い当たる部分の部品と工具を載せて出かけた。

もちろん息子には「JAFを呼んで近くのインターまで牽引してもらいなさい」と伝えておいたが、少し走ったところで、息子から電話が鳴った。

内容は「交通機動隊が来て、三角停止板を出しなさいというので、紫の回転灯ならあります」といったら「そんなもの、三角停止板の代用として認められるか」と拒否されたとか。

三角停止板と紫回転灯。今はLEDを使って、もっと認識しやすいものが出来ているかもしれない。三角表示板にもLEDを組み込み、自発光と反射を兼ね備えれば、確認率が上がるだろう
おまわりさん、勝手に法律を作ってはいけません。なぜなら、紫の回転灯で認定されたものは、三角停止板の代用として認められているし、作っているメーカーは、あなたたちが乗るパトカーの屋根にある回転灯を製造する“㈱パトライト”なんですから。
このように、国家公安委員会型式認定も取得している製品なのだ。パ社が製作している。パトライト社はパトカーの屋根に乗っている回転灯を作る会社なのだ
 
それに、三角停止板はライトの明かりを当てなければその存在がわからないのに対し、自分で発光する回転灯は、真夜中の高速道路であるなら1キロ以上も手前から、その存在を確認することが出来るので、私は当然搭載しているし、バッテリーが弱くなったことを考えて、三角停止板も搭載している。
 
息子に難癖をつけた交通機動隊の隊員だが、直ぐにJAFが来て、彼が乗る車を牽引することとなったため、その後は何も言わずに立ち去ったとか。本部に無線連絡して、紫の回転灯が三角停止板と同等である、ということを知ったのかも。
 
もし、ここで間違って違反切符を切っていたら、高機隊はどのような処理をするのだろうか。「すみません・・・」、では済まされないし、ことを大きくして当然だと思う。当時は自動車雑誌の編集部に身をおく立場にあったから、もし、間違って違反切符を息子に切っていたら、テレビや新聞に採り上げさせることのできるコネクションと立場にあったので・・・
 
クルマのオイル漏れトラブルは、直ぐに解消し、オイルを注入して帰宅。その後、ジムカーナの練習会でも走らせたが、問題の発生はなかった。

2014年7月4日金曜日

JRの駅ホーム放送で聞く「お客様を御案内中」の言葉に疑問を感じるのはオレだけ?


これは何を意味する言葉かというと、車椅子の方を乗車させるため、駅員の補助について放送したもの。

車椅子だけではな、手助けが必要な方を称して「お客様」なのだろうが、我々健常者だって「お客様」だろうに。

障害者イコール電車に乗るための手助けが必要な方ではないので、ここは、ハッキリと「車椅子の方を補助しています」という放送にすべきである。

また、英語ではhandicapped person(略してハンディキャッパーと呼ぶ場合が多い)で、言葉の響きはいいが、日本語の障害者という表現はあまりにも不仕付けすぎないかと思って、障害者の友人に、何かいい日本語はないか、と問いかけてみたことがある。

すると、思いも余らぬ答えが彼から返ってきた「障害者でいい。適切だし、それが全てでもあるから」。え・・・

こう言われると、返す言葉はなかった。健常者が考えているほど、障害者は気にしていないということらしいので、ここはひとつ、駅ホームでの表現も「車椅子の方を補助しています」に改めたほうが、聞いている乗客は素直に納得できると思うのだが。

2014年6月27日金曜日

トヨタが700万円で今年度に発売するという燃料電池車は、EVのレンジエクステンダーだった?


先日(2014年6月25日)トヨタ・メガウエイブで燃料電池車の開発説明会が行われた。

日本では今年度中に正式発売するというトヨタのFCV。水素ステーションの整っている地区での販売だけだが、順次拡大方向にある
 

発売時期は、国内が最初で今年度中。その価格は700万円を目標にするというのだから、これはかなり安い。他の自動車メーカーは、果たしてこの価格帯に参入できるのか気になるところ。

質疑応答のときに、2点ほど質問をしてみた。一つ目は2次電池のこと。

「2次電池の諸元をお知らせください」という質問に対し、「まだ内容がハッキリと決まらないので申し上げられません」「ただ、トヨタはこれまでのハイブリッド技術を出来るだけ多く使い、新規に全てを開発したのは燃料電池スタックと高圧ボンベだけです」「もちろん、制御にかかわるソフトなどは別ですが、出来るだけ多くの部分を流用することによって、販売価格を抑えることが出来ました」「このあたりから判断してください」。

という内容。この回答の途中で、アッ、やっぱりそうか、当初のFCVは2次電池を搭載し、そこに充電しながら、そこから電気を取り出す、という考えはなく、燃料電池で発電した電気を直接モーターに与えて走らせていたのだが、この状態であると、燃料電池への負荷変動によるダメージが大きく、実用性が乏しい、という評価が多かった。

そのため、「燃料電池を実用化するなら、家庭用の電源とするか、地域発電所のようなものがいい」、ということを科学者連中が発言していた。TVで見るエネファームは都市ガスなどから水素を取り出して燃料電池を家庭用として使っている。

そこで、比較的大きな2次電池(これまでの実績からニッケル水素か)を搭載し、燃料電池(発電機だから)からの電力をここに貯める。そのため、使用するモーターの効率から(これもハイブリッド技術)、燃料電池の発電電圧を昇圧させる装置も装備。

2次電池や昇圧コンバーターが装備されるということは、積極的にバッテリーの電力を活用し、電力がなくならないように燃料電池を作動させる。急速充電状態とはならない制御を加えれば、2次電池も燃料電池にも優しい状態となり、耐久性が高く、また燃料電池の製造コストも抑えることが可能となる
 

2次電池がバッファーとなるわけだから、燃料電池の負荷変動は少なく、耐久性にも影響が少ない。そればかりではなく、急加速の時にはバッテリーと燃料電池からの電力を足すことで、より強い動力が得られる。

もちろん、回生ブレーキなども有効利用できるわけだから、そこにはトヨタがこれまで培ってきたハイブリッド技術が、大いに活用できている。

そうかんがえると、EVながら、自家発電装置として燃料電池を搭載する、レンジエクステンダーであるとの結論に達するのだ。これなら、販売価格が思った以上に安くなる事実もうなずける。

もうひとつは、燃料代、つまり充填する水素の値段についてである。どの単位で、どのくらいの税金がかかるのかによって、正式販売価格が決まるわけだが。

例えとして、このような話をしてみた、それは天然ガスを自動車の燃料にするときの、その税金が当初は決まっていなかったので、登録されたカードを天然ガスステーションで提示することにより、天然ガスの料金は無料だった、という内容。

何故そのような処置がとられていたかというと、天然ガス自動車は当時、まだ普及の段階にあり、自動車燃料として使った場合の税金の基準となるものが決まっていなかった。つまり決まっていないので徴収できない。結果として、当時、自動車に注入する天然ガスは無料、という図式である。

このようなことから、水素を自動車の燃料として使う場合の税金が決まっていなければ、当分は無料ではないのか?

また、「トヨタとしては、いくらぐらいを予想しているのか?」という質問に対して「JC08のモード走行であるとガスを満タンに(700気圧)した場合700キロ走行が出来ますから、それを踏まえて、プリウスの燃費から計算し、同等な値段がいいのでは、と思っています」との答えが返ってきたが、水素を自動車燃料とした場合の、どれを基準に税金を掛けるかは、直に決まらないだろうから、たぶんしばらく後になりそうだ。つまり、また無料?期間が出そう。

2014年6月23日月曜日

ストレスを感じない場所での、ニッサン・スカイライン200GT-t試乗記


一般道を走らなかったので、周りからのストレスや注意する方向などが違うため、いいことばかりを感じてしまったが、これが全てではないことをお断りしておきたい。
テストコースにはわくわくするスカイラインが待っていた
これがダイムラー製の2リッター4気筒ターボ。エンジンルームに余裕があるため、パイプ類の配置や取り回しにもストレスがない。当然過給率は高く安定する
 

こりゃ、最近のハイブリッド・スカイラインとフィーリングがまるで違うぞ


ハイブリッド装備で発売・話題になっているスカイラインに、ダイムラー製の2リッターターボエンジン搭載モデルが追加された。それも、ただ単に追加されたのではなく、エンジン特性に見合った足回りの改良で、重厚な感じを強く前面に出さず、奥にしまいながら、必要なときにはそれが表面に出る、そんな感じでまとめられていた。

試乗はニッサン追浜工場内にあるテストコース。指定されたコースは直線が少なく、最高速はせいぜい120km/h程度。周りからのストレスを受けない状態なので、ほんの触りだけの感じを書いてみたい。

運転席に滑り込みシートとステアリングの位置を合わせる。助手席には関係者がいるので、コースの案内はしてくれそうだが・・・

多少緊張気味でATのセレクターをDポジションに。強いクリープはなく、ブレーキペダルを放しても直ぐに動き出さない。

ゆっくりアクセルペダルを踏みつけると、4気筒とは思えないほどの奥ゆかしさでスルスル走り出すのだが、そこから更に大きくアクセルを踏み込めば、気持ちのいいエンジン唸り音と背中に感じる僅かで気持ちがいい振動に癒させながら、速度は思った以上に高まる。

ダイムラー製のエンジンながら(失礼)4気筒とは思えないスムーズな回転上昇とその鼓動と振動は心地よい、と表現しても言い過ぎではないだろう。

もちろんターボの装備はエンジンのネガティブな部分を削除するように働くのは周知の事実。アクセルを踏み込んだときの負荷振動ばかりではなく、エンジンが出すノイズについても、ターボを取り付けることで穏やかになる。その効果がスカイライン200GT-tでは大きいということ。相性がいいとも言えそうだ。
本来V6を搭載するように作られたエンジンルームは、レイアウトに余裕が出来たため、換気性能にも優れることで、性能は安定する
ステアリングにATのパドルシフトが装備されていることを忘れて、運転を楽しんでしまった。それでも思ったような反応を示した
 
テクニカルなニッサン追浜のテストコースであるから、ハンドリングに関しては、素性が出てしまう。

で、その素性はというと、これまた、たまらく素晴らしい。サスペンションは柔らかくても(一般道ではわからないがテストコースで感じた範囲)ステアリングをコーナーの出口に向けながらアクセルを踏み込むと、引き込まれるような感覚で、期待以上の走りを見せる。クイックではないくせにタイヤの粘りはスポーツカーのごとくであるが、その感触は穏やかなスポーツカー???かもしれない。

ラック&ピニオンの取り付け位置、タイロッドの取り付け角度など、ロールステアが微妙に効いているようで、そこにキャンバースラストがバランスよく加わっている感じだ。

 とにかくガサツさがなく、素直で気持ちがいい。

最高速は抑えたが(初めての走行で1周限り)、120キロから突っ込むブラインドコーナーでも、アクセルはゆっくりと踏み込みつつ、速度が上がってトレースラインからずれるようなときにも、左足でブレーキペダルをス~ス~と、軽く踏みつけてやれば、確実に狙ったラインをキープする。
運転席に座りGoの合図を待つ。助手席には関係者が乗っているけれど、特別アドバイスがあるわけではなかった
 
これが可能なもの、素晴らしいブレーキ性能と、素晴らしいブレーキペダルの踏み込み感触があるからで、全てのクルマに使える話ではない。

7速ATの素晴らしさだけではなく、エンジン特性についても優れたものがある。ターボが装備されているのだから、当然のことであるが、最大トルクが自然吸気エンジン3.5リッター並ある(350N-m)。しかも、その最大値が1250~3500回転という範囲の、日常で一番使用頻度が高いところに持って来れたのも、走りの素晴らしさに結びついているといえよう。

2014年6月21日土曜日

おじいちゃんはモトクロスライダー


歳を取っても好きなことに取り組んでいる方はとても元気である。そのいい例が、運動能力が必要なバイクのオフロードレース、モトクロスである。見に行くのではなく、実際に自分の体力を考えたクラスに参加するのだ。

MCFAJが主催するモトクロス。アマチュアのバイクレース団体だから、オフィシャルも会員がやる。レース出場を兼ねて楽しむ方も多い
 
MCFAJ(全日本モーターサイクルクラブ連盟)が主催するモトクロスには、セニアクラスというものがあり、これはテクニックではなく“シニア”なのである。そのセニアクラスは、セニア50、セニア60、セニア70というクラス分けがある。

そう、この数字は年齢を表すのだ。セニア70は70歳以上というクラス。それにエントリーしたのは野田ジュニアレーシングの斉藤城太郎さん70歳。

一番手前のゼッケン71が斉藤さん。楽しむレースだから、怪我をしないように、余裕を持ってアクセルを開けたいが、いざスタートとなると、それを忘れるのが玉に傷
 
使用するマシンに排気量制限はない。斉藤さんはヤマハのYZ85(85cc2ストローク)で参加したが、同時に出走するセニア60クラスでは、ホンダの4ストロークマシンCRF450R(450cc)を乗りこなす方もいる。
 
 

当然、若い方々は成績はいいが、成績を気にしながらレースをやるわけではない。楽しみが最優先で、それで更に成績がよければそれに越したことはないのだ。

セニア60クラスで総合優勝した芹沢さんは64歳。マシンはホンダのCRF450R。2位の赤松さんは68歳。マシンはホンダのCRF150R(150cc)。

いやはや参った。元気そのもの“おじいちゃんは元気でモトクロス”。斉藤さんのご家庭は、お孫さんまで3代に渡ってモトクロスライダーなのだそうだ。これが家庭円満の秘密か!!!
斉藤さんクラス1位。やった~表彰台。でもセニア70クラスは出走台数が1台だったため、賞典外
 

2014年6月16日月曜日

初めて得た情報が間違っていても、それに疑問を持たない限り、その情報が市民権を得る悲劇


いろいろなところで、このような状態が起きている。最近では原発事故に関する放射能被害についてだが、我々の得意分野でも10年経ってやっと真実が一人歩き出来るようになることは起きている。

それは、アメリカ最大のレースであるインディ・シリーズに使われる燃料についてである。

インディ・シリーズに限らず、アメリカでは(オーストラリアでも)アルコールを燃料にすることが義務図けられているレースは多いのだが、なぜアルコールなのかを正しく報道するメディアやジャーナリストは存在せず、数十年が過ぎてしまった。それを正しい情報(それほどではないが)にしたのは、私が日本のツインリンクもてぎで行われることになった、CARTシリーズの取材と、記者発表を記事としたときからである。

そもそも、ツインリンクもてぎに造られたオーバルコースは、アメリカのCART(その後インディとなる)レースを招致することが目的。その当時からマシンの燃料はアルコール。それを使うわけだから、アルコールに対応した火災消火対策が装備されて当然のはず。

そのことについて、まだツインリンクもてぎが正式オープンしていない時期に、当時の初代社長・Kさんと2代目社長のSさんにお会いしたとき、「何故CARTやインディでは燃料がアルコールなのかご存知ですか」という質問をした。

 

その答えは「・・・・・・」で、回答なし。

そこで「アルコール(当時は毒の強いメタノールだがその後エタノール+数パーセントのガソリンに変更)は水の仲間ですから、火災の消火は水でOKなのです」。「インディ500のレースは見に行かれていますね。そのとき給油後にピットで、なにやらドライバーに吹きかけているシーンは見ていると思うのですが、それが何かはご存知ですか」と問い詰めると、「・・・???」で、これも回答なし。

「あれは水を吹きかけているのです」「給油中にこぼれたアルコールを限りなく水にすれば、火災は起きませんから」と説明。

「ということは、ツインリンクもてぎのオーバルコース(スーパースピードウエイ)のアルコール燃料に対する消火用の散水システムは、当然設計されていないのですね」、の質問に対して「水で消火できるという認識を持っていなかったので、何もありません」という返事。

しかし、その後の言葉は、非常に前向きだった。それは、「今からコースの内側に散水栓を取り付けることは出来ないが、スーパースピードウエイのピットには、雨水排出用の側溝があり、グランドスタンド側からパドックまで、太い水道管が引かれているので、そこから側溝の中に水道管を通せば、ピットに散水栓を造ることが可能なので、すぐにやります」という返事を得た。

 

その結果が、見ればわかる、後付けの散水栓である。

これが私のアドバイスにより後付けされた散水栓と蛇口。スーパースピードウエイのピットウォール内側排水側溝の中に水道管を無理やり通しているので、仕上がりは悪いが、メカニック達は喜んだ。消火用の水が手元にある。パドックから運ばなくていいし、いざとなればコックをひねって消火用に使えるからだ
 
何故このようになってしまったのか。それまで、ホンダは数多くのジャーナリストたちをインディ500に招待してきた。しかし、彼らはそこからレース場として必要な情報を何も得てこなかったからである。疑問を持っていなかったのだから仕方がないかもしれないが・・・

ま、インディ500を見に行かなくても、燃料にアルコールが使われ、それは日中に火が付いても見えないけれど、水と同化するので消火は水でいい、ということはわかっていたはず???

それより以前の話として、何故ガソリンや軽油からアルコールになったかの経緯を知っていれば(私のように)、当然、ツインリンクもてぎのスーパースピードウエイに消火用の散水栓は設計図の中に入る。

燃料をアルコールに変更した理由は、クラッシュの多いインディ500で、いったんマシンから火を噴くと、簡単には消火できず、それまでには多くのドライバーが悲しい事故死を遂げていたからである。

更に、アルコールは気化熱が大きいので、アルコールをたっぷりと含んだ状態であるとやけどし難い。コーヒーメーカーに使われるアルコールランプは、親指と人差し指で火の付いた芯をつまんで消火できる。芯も綿である。これが灯油ランプ(芯はアスベスト)だったら“ジュ”といって火は消えず火傷するだけ。実験結果から明らか。

さ、そこからCARTやインディレースで、使われる燃料がアルコールである理由の間違い報道。ある著名なジャーナリストがインディ500解説のテレビ中継(録画)の中で「アルコールを使う理由は、環境にやさしいからです」と発言。

毒性の強いホルムアルデヒドが多く発生するメチルアルコールは、ひとつも環境に優しくないはず。そのため、熱エネルギーは少ないが、十数年後にエチルアルコール+数パーセントの(2%だったかな)燃料に切り替えたのだ。

また、メチルアルコールはアルミやゴムを溶かすので(特に温度が高いと)レースのパドックではメカニック達は大変。何が大変かというと、走行が終了するたびに燃料ラインを完全に洗浄し、次の走行に備えなければならないのだから。エチルアルコールではその心配が要らないので、その分楽になった。

更に、数年後のテレビ中継でもこんなことがあった。ガソリンとアルコールを入れた小さな缶に火をつける。アルコールの方はカゲロウが立ち上るだけで、炎は見えない。「いよっ、これは水を掛けて火を消す実験か。やっと真実が・・・」と思ったら、いきなり照明を消し、「アルコールは日中だと火災が見えません。暗くすれば火の付いていることがわかります」「そのため火災については特に気を付けています」で終わり。

これらの発言と報道が、以後長く日本におけるCARTやインディのレースで、燃料にアルコールを使う理由として、ツインリンクもてぎで行われるCART(その後インディに)のプログラムにも、燃料がアルコールあることの間違いは、約10年間毎年同じ内容で印刷されていた。でもあるとき、やっと、アルコールを使う理由の正しい記事が載ることになった。もてぎでインディをやるようになってから10年後だった。

もちろん、私自身は、当時在籍していたクルマいじり雑誌の中で、毎回、アルコールを使う理由を記事に出し、環境にやさしいからだという情報は間違いだ、という表現をし、ツインリンクもてぎの関係者にも、その旨を伝え続けて、やっとである。なんとも情けない話だが、ほかにも同様な間違いによる間違いの報道はある。ヤハリ、新しい情報はある程度の疑問を持って取り組んだほうがよさそうだ。

なお、インディ500のレースを見ていると、コースの内側にある芝生には常に散水がなされており、ドライバーがそこに転がって火を消すことが出来るようになっている。だいぶ前だが、F1ドライバーだったN・マンセルがコンクリートウォールにヒットしたとき、いきなりマシンから降りてきて、その芝生の上で転げまわっていたことがある。こんなことも見逃してはいけないのだが・・・

2014年6月14日土曜日

バイクのナンバーを取らなくても、所有しているだけで税金がかかる???バイクだけではなかった


私の住む市では。以下のような規則がある。「軽自動車税は、原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車に対し、その所有者に課する」というもの。
確かに、第四百四十二条の二にそのような理不尽なことが書いてあるが、すんなりと了解できるものではない
 
つまり、ナンバーを取って公道を走行できる状態でなくても(廃車してあっても)、車検の必要な自動二輪車、軽自動車などでも税金は納めろ、という話らしい。

 

この事態に遭遇したのである。それは、10年以上乗らずに廃車していた自分のバイク。75cc原付のだから、維持費が安いし手軽なので、セカンドバイクとしてナンバーを取ろうとしたときに勃発。

 

区の窓口で応対してくれた女性曰く「ご自身で所有していたバイクですね、10年前に廃車していても、3年さかのぼっての税金を納入していただく必要があります」というのである。

このような規則になっているらしいが、言い回しが複雑すぎて何を言っているのかよくわからない。煙に巻いて納税させようとしている、と表現されても仕方がない文章だと思うのだが
 
そんなバカな、拡大解釈ではないですか。窓口の女性も済まなそうに同情。スッタモンダしての対策は、知り合いの中古屋さんから購入したことにする販売証明書をもらってくることでとりあえず引き上げた。

 

しかし、すでに私の素性は担当した窓口の女性にわかっている。そこに虚偽の販売証明を知り合いに発行してもらうのは、その知り合いに迷惑がかかる可能性がある。

 

数日後に再度、市の窓口を訪れ「中古屋から販売証明はもらえませんでした」「ですから、知り合いから購入したことにします」というと、「その方が市内の方ですと、納税義務が発生します」という話。

 

「では、書類が何もないバイクにナンバーを付けたいとなったら、どうするのですか?」と聞いてみると、「そのような場合は、盗難車ではないという証明が必要で、その書類がここにありますから、イシ刷り(フレームナンバーを鉛筆で写し取る)を添付して、必要事項を書き込んでいただければ結構です」、ということで一件落着。

 

それなら簡単。すでに盗難車ではないことを窓口の女性は認識しているし、お役所だから、書類さえ揃っていれば、問題なく通るようである。
 
 

2014年6月1日日曜日

クルマやバイクに関係ないけど、アイディア商品だと・・・


アイディア商品を作ったので、興味ある方は見てほしい。それは、ガスコンロに組み込まれている魚(だけではないが)焼きの網掃除に関するもの。

 

ガスコンロの魚焼き網掃除は、現在のガスコンロを購入(10年近く前)してから、どういうわけだか私の役目になっている。

 

この網は、魚の皮などは焼き付くので、たわし等でこすったぐらいでは落とすことはできない。金タワシでゴシゴシもいいが、汚れが金タワシの中に入り込み、それを放置できない性格であると、タワシの掃除が大変。

 

そこで考えたのが、ステンレスの板を使った掻き落とし工具。

面倒な清掃が短時間で終わるように考えた焼き網掃除工具。ボール盤と金属用ドリルがあれば製作・加工はできる
 

製作した焼け焦げ跡掻き落とし工具の寸法は、厚さ1.5mm、幅15mm、長さ約150mmというサイズ。ベストなサイズといえないが、網の部分に対する差し込み易さなどを計算すると、この寸法に収まった。

こんな感じに差し込んで網に付いた焦げ跡を掻き取る。ふたつの穴を開けそれを繋げるような切れ目を入れたのは、片側からの清掃作業で上下の清掃ができることを目的にしたため
 

掻き落とし部分はドリルで穴をふたつ開け、その部分が連結するよう金ノコで切れ目を入れる(お尻の形になる)。この部分は実際に魚などが乗る部分の網を清掃するために使い、網の骨格となる周りの太い部分に対しては、別にひとつだけ穴を開け、その穴に切れ目を入れることで成り立つ。

 

お尻の形にした部分では、一度その部分を焼き網に通せば、網をひっくり返さなくても、裏表から左右まで、全周の清掃が可能となる。これでめんどくさい作業が少なくなるのだ。

焼き網の骨格となる部分は、この様な形の加工を行い、使い易くした
 

網の骨格となる太い部分については、清掃工具を大きく動かせないので、頻繁に位置を変えることがし易い形とした。

10年物とは思えないほどきれいに清掃ができる。これまで掻き落としができなかった部分も、このように金属肌が出た

2014年5月28日水曜日

2014年、第24回人とくるまのテクノロジー展で見た


毎年パシフィコ横浜で行われる「人とくるまのテクノロジー展」(自動車技術会が主催し、今年は5月21日から23日までの3日間)。ここでは自動車技術の現在と未来が展示され、非常に興味深い内容があり、今年の来場者数はかなり多かったのではないかと思う。


パシフィコ横浜で行われるイベント。自動車の現在と未来に関するものが展示され、入場料は無料だ

 

その展示内容で、ヤハリと今更を見つけたので、アップしたいと思う。

 

最初は、ヤハリである。それは家電メーカーがEV業界へ積極的に参加し始めたこと。

何を隠そう、三菱自動車がi-MiEVを発売したとき、「これからは家電大型量販店の**カメラ、**電気などがもっと安いEVの販売を行うようになるのではないか。そのためには、自動車メーカーが開発したボディを積極的に販売すべきで、場合によっては、重要保安部品を組み込んだ、街工場でも安全性が高く、高品質なEVの製作ができるような環境作りが必要で、先陣を切ったメーカーはそのようなことを考え、やるべきでだ」、という話を開発者にしたことがある。

何故そのような発想に至ったのかというと、EVの製造コストで高価なものはバッテリーとそのシステム(モーターやインバーターなど)であり、そのふたつのコストが下がれば、EVはもっと買いやすくなる。

エンジンが無いということは、簡単に自動車が造れる、ということなのだ。ただし、衝突安全などの条件も満たそうとすると、街工場では無理。どうしても自動車メーカーが製造したボディが必要となる。

更に、どのように使用するかで、仕様の違うものがあるとしたら、それを選べばいい訳で、そこに1回充電での走行距離が大きく関係する。100キロの走行はしない、せいぜい30キロというのなら、それに合わせられるように仕様違いを作るのである。

一番の問題はバッテリーの製造コストであるから、高価な高性能バッテリーではなく、発展途上国が製造する安価な(密度は小さいが)もので十分となれば、EVの需要に弾みがつくだろう、という考えだった。クオリティが低くてもいいとなれば、モーターやインバーター、駆動ギヤなど、安価なものでまとめられるはず。

ところが、自動車メーカーが躊躇している間に、家電メーカーが参入してきた。バッテリー開発についてはノウハウが多く、これを自社でやるにはリスクが多い。でも、モーターやコントローラーなどは、作ってみれば結果はすぐに出せる。


三菱電機がEV業界へ参入するのか。バッテリーの開発はノウハウが多く、またすぐに結果を出せないが、モーターやコントローラー、駆動システムは造ってみればすぐにわかる。結果が出やすい、参入しやすい、ということなのだろう

衝突安全でもそれをパスさせるデータは多く、心配はないとなればEV事業に参入するのは当然の結果だろう。さて今後が楽しみである。

 
もうひとつは、今更である。

それは、点火プラグのこと。しかし、特別高性能ということではなく、接地電極の向きが悪いと、失火(というほどでもないが)の原因となり、HCの排出量が増えるばかりではなく、アイドリング中の不快な振動(アイドルストップが付いていたら関係ないか)に結びつく。

特に接地電極が吸気バルブ側を向いた状態で締め付けられると、最悪な条件となりやすい。

そこで考え出されたのが、どのような向きに締め付けられても、必ず電極間に混合気を導くための突起を設けた点火プラグ。


これが新しい点火プラグ。発想は新しくなくて、特別優れているとは判断しかねる。つまり、現在の日本車における点火プラグの締め付け後の接地電極位置は、どのエンジンもほぼ問題の出ない状況となるもの造りがされているということ

点火プラグの、スパークする電極間に混合気が入らない限り燃焼が起こらない。条件が悪ければ失火の原因となる。そうならないように考え出されたのが、デンソーの開発した“気流誘導プラグ”。接地電極から少し離れたところに、突起をつくり、そこに当たった混合気を電極に誘導しようとするもの。でもね~なのだが

しかし、最近のエンジンは吸気の最中にスワール(横周りの渦)やタンブル(縦回りの渦)を積極的に使うようになり、点火プラグの電極間には混合気が入りやすい状態で、それほど失火が起きないというのが実状なのだ。それでも吸気バルブが大きくシリンダーボアの大きなエンジンなら効果があるだろう。

また、締め付けたときの接地電極位置が重要である、という話は数十年前から採り上げており、私自身、使用する数より数本多くの点火プラグを購入し、その中からベストな位置になるようなものを選び、実際にクルマやバイクで実施している。

更に、その当時、トヨタ自動車のエンジン開発担当者と話しをし、締め付け後の接地電極の向きについて、どのように考えているか聞いてみると「トヨタの場合、アイドリングの乱れは許されませんから、点火プラグの締め付け後における接地電極の向きについて、神経質になっています。そのため、プラグメーカーと話をして、トヨタのエンジンはこの角度から点火プラグのネジを切り始めるので、そちらもそれに合わせられるような位置に接地電極をつけてほしい、という要望を出しています」という話だった。

そういえば、最近の国産車(クルマもバイクも)は、とんでもない角度に、締め付け後の接地電極が来るものがないように思う。輸入車と海外点火プラグは、どれも思わしくなかった。

2014年5月19日月曜日

Aピラーをいくら細くしても、これじゃね~


運転席からの死角をできるだけ少なくして、事故に結びつかないよう、クルマの設計者はボディデザインと衝突安全を確保しながら、特にAピラーについて、特別気を遣っているのだが・・・

 

何に気を遣うかというと、角度と太さである。

 

しかし、メーカー純正オプションとして装備されるサイドバイザーは、なんと、Aピラーが太くなったかのような、スモーク樹脂で見た目はいい。でも、せっかく細く作られ、死角を最小限にした構造なのに、意味がない。

 

Aピラーの傾斜角が多く(デザインのためだけではなく衝突安全やボディ剛性も関係する)、そのため雨天であると窓を少し開けただけで、水滴が室内に入ってしまう。

 

これを防止するには、サイドバイザーを前方へ延長して、Aピラー部分まで持ってこなければならない。

 

ところが、それをやると死角が多くなる。クリア樹脂を使っても経年変化で透明度は下がり、まるでスモークのような感じで死角が増える。

 

これを防止するには、サイドバイザーの延長している部分を切り、その上に雨水用のドリップ(雨どい)を製作すれば済む。

 

つまり、サイドバイザーの形状を生かしながら、水滴が入らないような工夫が必要で、以前乗っていたホンダ・フィットのサイドバイザーは、加工して目的を達成させた。

 

このくらいは自動車メーカーが考えてもいいんじゃないかな。

この状態だから死角が多くなり、せっかく細く設計されたAピラーも意味がなくなってしまう

そこで以前乗っていたホンダ・フィットでは、このようにサイドバイザーの前方部分を切り取り、視界を確保した。ドリップはシリコンシーラントを塗りつけた。このときには仕上げをしていなかったが、後日回転ヤスリで見栄えを上げた。このような考えは、自動車メーカーがもっと積極的にするものだと思う

2014年5月8日木曜日

BMWi3について思うこと

BMWが造ったEV(電池自動車)他の自動車評論家はどう評価するのだろうか。メーカー、広報の言われたままか。慣れれば問題ないと評価するのか。私はそのように評価しない。

確かにボディは最新技術のCFRP(カーボンプラスチック)で、シャシーはアルミ。剛性面では完璧とはいえないが、最初にやったということでは十分に評価はできる。

動力性能もすごい。モーターは自社製だというのだが、そのトルクの出方はこれまでのEVとは確実に違う。

一般的にはモーターのトルクが最大な回転数は、回る瞬間で、そこから回転数が増えるに従い低下するのだが、BMWが開発した(制御も重要)モーターの持つトルク特性は、回転が高くなっても低下する気配を見せない。

どうしてなのだろうか、広報担当者は「分からない」という。

しかし、この強力なトルクもアクセルペダルから足を離したとたん、強烈な回生ブレーキとなって乗員を襲う。エンジン搭載車のエンジンブレーキとは違って、穏やかに作用するわけではなく、強烈に作用する。しかも停止するまでそれが連続するのだから、疲れがたまる。

普通に走らせるのであるなら、かなりの高速であってもブレーキペダルの世話になる必要はないぐらいの減速と制動。広報担当者は「慣れれば問題ないという評価が多いのですが」というが、それはないだろう。

もちろん目的は回生量をできるだけ多くして、バッテリーの残量を多く確保するためだが、この走りではクルマとしての資質に疑問が出る。

リヤドライブであるから、雪道のコーナリングで、アクセルを放したとたん、スタビリティ制御が働く前にスピンする、と判断しても不思議ではない。その点についても広報担当者は「ドイツ本国の開発では、それも想定していると思うのですが・・・」。

一時問題となったトヨタプリウスの滑空事件だが、同様なことがどの速度からでも起きそうな気がしてならない。ブレーキペダルに足が掛かっていないだけに、さらにABS作動が遅れることにもなりそうだ。

また、バッテリーの充電は急速充電器と一般家庭にも一部引き込まれている、三線単相から取る200Vの専用線という。一般家庭に取り付けられている100Vには対応していない。三線単相からEV充電専用にコンセントをつけると、最低13万円以上かかる。これも問題だろう。
ボディはCFRP、シャシーはアルミ。ものすごく軽量ではある。専用設計の素晴らしさだ。なお、バッテリーだけの搭載モデルと、そのバッテリーに充電するためのエンジンを載せたモデル(レンジエクステンダー)がある