研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2014年6月27日金曜日

トヨタが700万円で今年度に発売するという燃料電池車は、EVのレンジエクステンダーだった?


先日(2014年6月25日)トヨタ・メガウエイブで燃料電池車の開発説明会が行われた。

日本では今年度中に正式発売するというトヨタのFCV。水素ステーションの整っている地区での販売だけだが、順次拡大方向にある
 

発売時期は、国内が最初で今年度中。その価格は700万円を目標にするというのだから、これはかなり安い。他の自動車メーカーは、果たしてこの価格帯に参入できるのか気になるところ。

質疑応答のときに、2点ほど質問をしてみた。一つ目は2次電池のこと。

「2次電池の諸元をお知らせください」という質問に対し、「まだ内容がハッキリと決まらないので申し上げられません」「ただ、トヨタはこれまでのハイブリッド技術を出来るだけ多く使い、新規に全てを開発したのは燃料電池スタックと高圧ボンベだけです」「もちろん、制御にかかわるソフトなどは別ですが、出来るだけ多くの部分を流用することによって、販売価格を抑えることが出来ました」「このあたりから判断してください」。

という内容。この回答の途中で、アッ、やっぱりそうか、当初のFCVは2次電池を搭載し、そこに充電しながら、そこから電気を取り出す、という考えはなく、燃料電池で発電した電気を直接モーターに与えて走らせていたのだが、この状態であると、燃料電池への負荷変動によるダメージが大きく、実用性が乏しい、という評価が多かった。

そのため、「燃料電池を実用化するなら、家庭用の電源とするか、地域発電所のようなものがいい」、ということを科学者連中が発言していた。TVで見るエネファームは都市ガスなどから水素を取り出して燃料電池を家庭用として使っている。

そこで、比較的大きな2次電池(これまでの実績からニッケル水素か)を搭載し、燃料電池(発電機だから)からの電力をここに貯める。そのため、使用するモーターの効率から(これもハイブリッド技術)、燃料電池の発電電圧を昇圧させる装置も装備。

2次電池や昇圧コンバーターが装備されるということは、積極的にバッテリーの電力を活用し、電力がなくならないように燃料電池を作動させる。急速充電状態とはならない制御を加えれば、2次電池も燃料電池にも優しい状態となり、耐久性が高く、また燃料電池の製造コストも抑えることが可能となる
 

2次電池がバッファーとなるわけだから、燃料電池の負荷変動は少なく、耐久性にも影響が少ない。そればかりではなく、急加速の時にはバッテリーと燃料電池からの電力を足すことで、より強い動力が得られる。

もちろん、回生ブレーキなども有効利用できるわけだから、そこにはトヨタがこれまで培ってきたハイブリッド技術が、大いに活用できている。

そうかんがえると、EVながら、自家発電装置として燃料電池を搭載する、レンジエクステンダーであるとの結論に達するのだ。これなら、販売価格が思った以上に安くなる事実もうなずける。

もうひとつは、燃料代、つまり充填する水素の値段についてである。どの単位で、どのくらいの税金がかかるのかによって、正式販売価格が決まるわけだが。

例えとして、このような話をしてみた、それは天然ガスを自動車の燃料にするときの、その税金が当初は決まっていなかったので、登録されたカードを天然ガスステーションで提示することにより、天然ガスの料金は無料だった、という内容。

何故そのような処置がとられていたかというと、天然ガス自動車は当時、まだ普及の段階にあり、自動車燃料として使った場合の税金の基準となるものが決まっていなかった。つまり決まっていないので徴収できない。結果として、当時、自動車に注入する天然ガスは無料、という図式である。

このようなことから、水素を自動車の燃料として使う場合の税金が決まっていなければ、当分は無料ではないのか?

また、「トヨタとしては、いくらぐらいを予想しているのか?」という質問に対して「JC08のモード走行であるとガスを満タンに(700気圧)した場合700キロ走行が出来ますから、それを踏まえて、プリウスの燃費から計算し、同等な値段がいいのでは、と思っています」との答えが返ってきたが、水素を自動車燃料とした場合の、どれを基準に税金を掛けるかは、直に決まらないだろうから、たぶんしばらく後になりそうだ。つまり、また無料?期間が出そう。