人間とは、実にわがままなものである、ということを自分の感情で改めて知る
正直な話、最初は不安で、乗りにくくて、いやになってしまったが、思い切ったライディングスタイルを取ることで、難なくコーナリングが出来ることを発見した。
それは、リーンウイズのツーリングスタイルではなく(ツーリングバイクというコンセプトなのに)、お尻半分を曲がる側の内側に落とし、ハンドルへの腕は突っ張らず、肩から突っ込むように、ひじは軽く曲げるライディングスタイル。これでステアリング周りは自由になる。
ステアリング周りが自由になることで、バイクが持つ本来のスタビリティは確保され、多少フロントが取られても、リヤが滑っても、それすら不安材料とならない安定感が生まれる。それは、まるでレーシングバイクでサーキットを楽しく走らせているような錯覚さえ覚えるのだ。
尻がそれ以上落ちないように太ももの内側でしっかりとガソリンタンクを押さえつけながら(というより、ぶら下がってガソリンタンクを押さえつけてバイクを寝かせる感じ)、同じ外側の足はフットレストを強く踏みつける形になる。
なので、バイクに対するライダーの加重はリヤが滑ったときにリーンアウトと同じになり、そのため滑ってもライダーは置いてきぼりにならず、素直な走りとなる。ここの行為はこのライディングスタイルとすることで、自然に生まれる。
簡単な話、大型バイクのサーキット走行ライディング・スタイルである。両腕を突っ張らなければ、バイクが持っているスタビリティ、或いはタイヤのグリップも自然に確保出来るので、かなり攻め込んでも不安な感じは出ない。
このライディングスタイルを習得してから、コーナリングはかなりオーバーなアクションとはなるものの、不安な感じは微塵もなく、一種の楽しささえ覚え始めていたが、コーナー(小さなカーブ、交差点を曲がるときも)では、常にこのライディングフォームを取らなければならないため、長距離の峠道走行やツーリングでは疲労が溜まる。
つまり、尻を左右にずらす必要があるわけで、その都度、尻を軽く持ち上げ、移動させる行為は???
話しは変わるが、あるとき、峠の頂上で同じNC700Xに乗る若者と会ったので「コーナーは楽しいですか」という質問をしてみた。それの答えは「いや、よくわからなくて、ハンドルが取られて怖いです」、という返事。
そこで、おせっかいなオジサンは、ライディングフォームの話をした後「では、私の後についてきてください、そして、そのライディングフォームを少しでも真似て、習得してください」と話し、その若者を30分以上引っ張った。
下りのコーナーばかりだから、しっかりとしたライディングフォームを取らないと、少しも楽しくNC700Xを走らせられない。
少しは理解してもらえたかな、という距離を走って「いかがでしたか」と聞いて見ると「少しは理解できたような気がします。でも片手ばなしの運転は、当分出来そうにありません」という返事。
片手離し???そういえば、その若者のペースに合わせて走ったため、腰周りが痛くなったので、直線ばかりではなく、コーナリングの最中にも走りながらポンポンと腰を叩いていた気がする。
「いや~そんなつもりではなかったのですが・・・」。我々は、途中から左へ曲がるので、その若者とはそこで別れた。少しでもライディングフォームを習得して、楽しく走らせて欲しいものである。
標準で取り付けられていたブリヂストンは、コーナーを攻める必要が会ったので、かなりリーンさせていたことがわかる。交換したピレリは、そのようなことはないようだ
それでも、やはり年寄りには長距離ツーリングでの疲労は多いので、フロントタイヤを思い切って、NC750Xと同じ、ピレリのSCORPION TRAILに交換してみたのだが、しばらくすると、何のことはない、それまで使用していたBSのバトラックスを履いていたときのライディングが懐かしくなってしまった。
確かに、ピレリでは低速でも安定した走りなのだが、バイクを御するということからすると、そこには究極の楽しみがない。もはやわがまま?。
オークションでNC700Xのフロントホイールを購入して、時と場合に合わせて、タイヤを選んで走るか・・・、それはちょっと