研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2012年11月29日木曜日

2007年初めにトヨタの“体たらく”を予見した奴が居た

それは2007年1月、AGN(今は消してしまったオートギャラリーネット)に原稿をアップした張本人、つまりこの私である


以下、当時の原文のまま

【こいつのここが気になる】カローラよお前もか


新型カローラには、新開発の1.8リッターエンジンである2ZR-FEを搭載している。新時代を見据えたエンジンとして、環境にも優しいという。それはいいことなのだが、メンテナンスに関することでは、疑問符が付く。オイルフィルターがバルクヘッド側(シリンダーブロックの裏側)にあり、ジャッキアップするかピット作業しなければフィルター交換ができない。

問題のオイルフィルター取り付け位置。後方排気なので、シリンダーブロックの後に位置していることがわかるだろう。な~ぜ

フィルターそのものは、ペーパーエレメントだけを交換するという、不燃物を少なくする方式で、環境にも優しい。でもおかしい。これまでのトヨタは、メンテナンスというサービスには、世界一気を配って、メンテナンスでミスの出ない、やりやすい方向でクルマ造りをしてきたメーカーである。

それがどうして? と思うのは、これまで数多くのクルマをいじり倒してきた経験を持つ編集者には納得できない。その点について、開発責任者にも聞いてみたが「図面の段階で、サービス評価グループからクレームが来ていないので、わかりません」という返事。世代交代が進んで、そんなものどうでもいい、という考え方が、主流を占めたのでは、という問いに対して「それはありません、いいものは継承していますから」。

では、エンジン開発責任者はどう答えるのだろうか。同じ質問をしてみると「ウーン、わかりません」という返事が返ってきた。なんだこれは、どこかで、誰かが悪い方向へ糸を引いている、としか思えない。

【編集部:青池 武】

ここからは追加原稿


当時のトヨタには(現在は知らない)開発時にその図面から整備性を評価するグループが居て、その権力は強く、100点主義を貫き通してきた。

つまり、如何にいじりやすく造り、整備することでやってしまうヒューマンエラーを少しでも少なくすることに特化していた。それだけディーラーメカニックを信用していないと言うことになるのだが、事実とんでもないトラブルを、私自身も押し込まれた経験がある。

エンジン開発者は「整備性を評価する方々が全てOKと言う印を押していますから、我々はそれ以上何も言えません」と言う返事だった。

では、何故オイルフィルターをバルクヘッド側に持ってきたのか、と言う問の対しては「エンジンフロント側をモジュール化して、コンパクトにした結果、近くにオイルフィルターを取り付ける場所がなかったので、安易にバルクヘッド側の空きスペースを利用したのです」と言う答え。

でも、エアコンのコンプレッサーとミッションハウジングの間には空きスペースがあり、他のメーカーではここにフィルターを持ってきているのですが、何故そのような設計をしなかったのですか、と聞いてみると・・・

今の状態を予見できる言葉が返ってきた。

「コストがかかるからです」


ここに全てが集約しているような気がしてならない。

あれほど素晴らしい整備性を持っていたトヨタは、今どこへ行ってしまったのだろうか
新時代を見据えて開発した2ZR-FE。軽量でコンパクトタイミングチェーンカバーなどもモジュール化して、スペース効率をアップ

フリクションを低減させるため、軽量ピストンを開発。ムービングパーツの軽量化により、燃費と騒音に貢献