研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2010年11月3日水曜日

ノーマルのポイント式点火装置をセミトラに改造するときはここに注意

1970年代後半まで当然のように使われていた点火方式はポイント式だった。ベーシックなポイント式点火装置において、点火タイミングとイグニッションコイルに誘導発生させる接点は、そのポイントが開く瞬間に数百ボルト(閉じている間は12V4Aほど)の電圧がかかり、コンデンサーを取り付けても、常にスパークが発生し、ポイント接点を劣化させ、強いては点火エネルギーの低下ばかりではなく、点火時期が狂って性能悪化からエンジン始動不能まで、あらゆるトラブルの引き金になっていた。

現在では当たり前になっているポイントレスのフルトラ点火方式だが、旧車をポイントレスのフルトラやCDIに改造することは出来なくても、ポイントを保護し強力で安定したスパークを維持させることが出来る。それが、ポイント接点を有効活用したセミトラと称する点火方式だ。

取り付け方式は非常に簡単で、説明書通りに接続すれば良いのだが、その前に重要なことを整える必要がある。それは、使用するイグニッションコイルについてだ。純正のコイルか、あるいはセミトラに改造する前から使用し、ポイント焼けなどのトラブルを起こしていないコイルなら問題ない。でもやりがちなのが「この際だから強力なコイルに交換しておこう」、と言うパターン。

まずこれはダメ。と言うのは、強力なコイルとセミトラが電流的にマッチングしていないということが多いからだ。イグニッションコイルには1次側にも2次側にも内部抵抗があるのだが、1次側ではその抵抗値が外付け抵抗と合わせて、3Ω前後必要とされている(外付け抵抗なしの場合も3Ω)。

もちろん1次抵抗をテスターで計測し、3Ω前後あることを確認出来ればそのコイルを使用することに問題ないが、閉磁型(モールド型)と呼ばれるコイルでは1Ω程しか1次側に抵抗値がないので、ポイントに流れる電流は15A近くとなり、ポイントが焼けてしまう。

セミトラに改造したときに、このようなコイルを使用すると、コイルが大きな電流を要求する形となり、取り付け直後は問題なく始動できても、短期間でポイントではなく、イグナイターユニットが不良となる。

点火系のエネルギーを高くすれば、エンジン性能は上がるが、クルマによっては不具合なども発生するので、取り付けるクルマがどのように造られているか、十分に理解しておくことは重要。

例えば、タコメーターが動かなくなったり、キャブのアイドルカットソレノイドに通電できず、アイドリングしないと言うことも事例としてある。タコメーターに関しては回転感知方式がいろいろあるので、どこに繋げば良いのか、あるいはその対策はないのか、ということは不明だが、アイドルカットソレノイドを装備しているクルマでは、その構成を理解していれば、簡単に対策出来るはずだ。

なお、ポイント仕様の純正イグニッションコイルが入手できないのなら、イグナイターとイグニッションコイルが一体となった、ウルトラのNo8900などを入手して、それを取り付ける。これなら安心してセミトラ点火方式に変更できるだけではなく、点火エネルギーも純正コイルを使用するより高いため、エネルギー効率に優れる。

1.ポイント式点火装置をトランジスター点火装置に変更するウルトラのセミトラ。この点火装置を使用するときに注意したいのは、イグニッションコイルの1次側抵抗値である。


2.抵抗を計測すると、このコイルの場合(純正品)3.0Ω。外付けの抵抗を合わせてであるが、トータルの抵抗が重要なので、これで十分。


3.輸入品のコイルでももちろん対応しているものはあるが、純正のイグニッションコイルを使用することが大原則なので、そのことはしっかりと頭に入れておきたい。

4.手元にあるコイルに装着されている外付け抵抗は1.2Ωの刻印がある。ほとんどの外付け抵抗には抵抗値が刻印されている。抵抗が小さいため、計測するときの接触抵抗で誤差が大きくなるからだ。


5.抵抗や電位差を計測するにはデジタルテスターが便利。クルマ専用のアナライザーでなくても、ホームセンターで購入できるもので十分。計測できる抵抗最小値は200Ωぐらいが便利。1000Ω(1kΩ)では小数点以下が表示されないため、僅かなところで、確認できないことがある。



6.使ってはいけないイグニッションコイルが、この閉磁型と呼ばれるタイプ。

            

7.もし手元に純正のイグニッションコイルがないのなら、このように、セミトラのイグナイターと一緒になった物を選ぶしかない。ウルトラのハイパー・イグニッション・システムNo8900は、イグナイターとコイルをベストマッチングさせているので、強力な火花が得られる。



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