研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2014年11月7日金曜日

新型マツダ・デミオの1.5リッターディーゼルは、2.2リッターエンジン開発とは違った苦労があった


デミオクラスに搭載されるディーゼルエンジンであれば、1.5リッターとなることは自ずと判断できるのだが、ただ単純に排気量が小さなエンジンを造れば済むようなことではない。それがガソリンエンジンとポスト新長期を目指したディーゼルエンジンの大きな違いである。
新開発の1.5リッターディーゼルエンジン。マーケットは日本ばかりではない。アメリカでは魅力を感じてもらえないので、輸出するつもりはないという話だ
 
当然、Noxは後処理なしで、2.2リッター同様に基準値以下。アメリカ輸出のため2.2リッターではEGRの量を増やして対応しているが、1.5リッターとしてはアメリカ輸出を考えていない。それは、排気量が小さいと(アメリカ人は多少燃費が悪くても、とにかく大きなトルクを要求するので)、いくらディーゼルの燃費が良いからといって、購入する気持ちが働かないからだという。


もちろん先輩である2.2リッターエンジンがあるから、それと同等の燃焼効率で軽いフットワークを望まなければ話は簡単だが、それでは許されない世界をマツダ自身が作り上げてきた。

製造コストもそうであるが、小さなエンジンルーム内に収めるには、2.2リッターエンジンでやってきたことの一部を大きく変更しなければならなくなる。それがインタークーラーの取り付け場所と形状である。

すでに欧州メーカーでは取り入れているが、吸気コレクターの容積を上げ、そこに水冷式のインタークーラーを取り付けるという方法を採用した。排気量の大きなエンジンでは効率が悪くなる状況でも、1.5リッターであるなら、十分高い冷却効率とスペース効率、充填効率を確保できたのである。

吸気コレクターの中に納められた水冷式のインタークーラー。コンパクトであるだけではなく、過給パイプも短くなり過給遅れが小さいのも特徴
 
また、吸気マニホールドとターボコンプレッサーを繋ぐパイプが短くなるため、過給圧の上昇が早く、過給遅れの症状が小さくなることも見逃せない。

最大過給圧は2気圧でインジェクターの最大噴射圧力は2000気圧。これは2.2リッターエンジンと同じ。ただ大きく違うのはインジェクターの駆動がピエゾ素子からマグネット式に変更されたこと。それによるコストダウンはかなりあるというが、求める性能は十分で、インジェクターとしての作動インターバルはピエゾが0.1mmS(ミリ・セカント)であるが、新開発のマグネット式は0.2mmS。これまでのマグネット式では0.4~0.5mmSであったことからすると、大きな飛躍であり、噴射パターンを少なくしても排気ガス問題も起こらず、燃焼音も小さいので問題は出ていない。

下が1.5リッター用に開発したマグネット式のインジェクター。作動インターバルはピエゾに及ばないが、目的の噴射パターンには対応している
 
インジェクターの作動は大半が5パターンで、DPF再生の時には6パターンとなる。通常の噴射パターンはパイロット・プレ・プレ・メイン・アフターである。

ターボチャージャーは2.2リッターのようなシーケンシャルツインではなく、シングルで、それにVG(バリアブル・ジオメトリー)採用とした。

タービンに排気ガスが当たる角度を自由に調整できるVGターボの利点を生かし、冷間時始動ではVGを全閉とし、部分燃焼した排気ガスが行き場を失い、これをシリンダーに押し戻すことで、初期の圧縮温度を高め、始動を確保している。2.2リッターのような排気バルブを一時的にリフトして、吸気行程でその排気ガスを引き込むというような機構は採用していない。

VG付きのシングルターボ。バルブを完全に閉めることで、冷間時の始動性を確保した
 
また、排気量の関係で冷却損失が大きいため、圧縮比は2.2リッターの14よりも高い14.8にせざるを得ない状況になっている。

さらにシリンダーボアが小さくなることで、これまでの技術では追いつかない状態が出たため、ピストン頂面の形状を変更することによりこれを改善。

何が起きていて、それをどのように改善したのか

燃焼室(ガソリンエンジンとは違ってピストン側にある凹み)の形状こそ2.2リッターエンジンからの踏襲したエッグシェイプだが、マツダのSKYACTIV-Dは上死点燃焼を目標としている関係で、燃焼室上部端面からシリンダー壁面までの距離が小さいと、ピストンが下がる前に燃焼ガスの初期火炎がシリンダー壁に当たり、シリンダー壁面熱損失が発生するため、燃焼室に近いピストン頂面の一部を削り、段付きとしてこれを抑制。

右が1.5リッターディーゼルのピストン。ピストン頂面を見れば、段付きの形状がわかるだろう。これで効率を高めている。左が2.2リッターのもの
 
また、インジェクターからの噴霧を出来るだけ小さく飛ばし、燃焼初期の高温ガスを、出来るだけ燃焼室壁面から離すことで壁面熱逃げを抑制し、燃焼効率を高いものとした。

これによるトルク特性は、2.2リッターのような山型ではないものの、5200回転まで気持ちよく回るエンジンにより、十分に楽しめるエンジン特性を得ている。
1.5リッターディーゼルエンジンの上にカバーが付くとこうなる。エンジン音の低減だけではなく、見た目にもバランスがいい

カバーを取り外すとこのように。ゴムのグロメットに押し込まれているだけの固定なので、引き上げれば簡単に取り外せる

2014年11月2日日曜日

点火プラグの締め付け後における接地電極の向きについて、えっ、考えていなかったの、という状況が見える


これまで、点火プラグの締め付け後における接地電極の位置によっては、アイドル時の失火に結びつくようなことが起きるので、そのような条件にならないプラグを選んで、取り付けると良い方向に行くということを書いてきたが、それがどうも、そはうまくは行かない、ということがわかった。

つまり、数十年前にトヨタが「アイドル時の不安定燃焼を防ぐため、プラグメーカーに対して、接地電極の位置とネジの関係を統一させた」事が大きく関係していたのだ。

自動車メーカーがシリンダーヘッドの加工をするときに、プラグのネジ切りに関して、常に同じ位置から切り始めれば、プラグメーカーが作る点火プラグの接地電極位置と、燃焼で都合の良い状態は作り出せる。

それは、接地電極の開放している側(溶接部分の逆)が、吸気バルブ方向を向くようにすること。

点火プラグをしっかりと締め付けた後、接地電極の開放している側が吸気バルブ方向を向いていれば、混合気が点火プラグの電極間を流れる確率は高くなり、失火や斑な燃焼を引き起こすことがなくなりやすい。

特に回転数が低い領域では、タンブル(縦の渦)やスワール(横の渦)の発生が少なく、条件が悪い。

その条件の悪さを少しでも解消したい、というのが趣旨である。

さてここでよ~く考えてみると、点火プラグはどれも基本的に同じ位置に接地電極がある。N社は確認(画像でもわかるだろう)、D社は未確認。

このように、ふたつの点火プラグは、ほぼ同じネジの位置に接地電極が溶接されている。なので、点火プラグをしっかりと(ここ大事)締め付けてから、電極の開放側が吸気バルブ方向を向いていなかったら(完全でなくともいい。前後60度ぐらいはOKの範囲)、新品の点火プラグをいくつ購入しても、求める状態にはならない。その対策は、シム(極薄のワッシャ)を自作するか、ショップで購入して、点火プラグを取り付けるときに、標準ワッシャとの間に挟んで取り付けて解決する
 
ということは、もし今取り付けられている点火プラグの電極の向きが芳しくない場合、いくら新しい点火プラグを購入しても、求める位置に点火プラグの電極位置は来ないということ。

全てのバイクと自動車メーカーがこのことに対して、まじめに取り組んでいるわけではいないので(品質のことから考えても損だと思うのだが)、このようなエンジンに遭遇したときには、自分で解決するしか方法が無い。

そのときには、自分で薄いアルミ板や銅板を用いて作るか、チューニングショップ(カー用品店でもありそうだが)で販売している、専用のシムを購入して挟み込む。

点火プラグのネジピッチはBとDが1.25mmでCが1.0mmであるから、それを計算して挟み込むシムの厚さを計算すれば良い。

この方法で、ほぼベストな向きに点火プラグの締め付けが完了したことで、アイドル回転近くから穏やかに発進するとき、不意に発生していた、大きなミスファイヤーも無くなり、安心して走行できるように改善できた。

特にバイクで排気量とシリンダーボアの大きな2気筒や1気筒のエンジンにおいて、発進時にミスファイヤーやパスエンスト(パスッと言ってエンストするから)が出ていたら、この方法で解決出来る可能性は高い。

2014年10月25日土曜日

不定期連載 数式を使わない、クルマの走行安定性の話・4/17


荷馬車の車軸はガタガタが正しい!!!

もうひとつ面白い現象を考えてみよう。それは馬や牛が引くに馬車である。この荷馬車に付けられる車輪は、車軸に対してかなりガタガタである。人間や自転車で引くリヤカーにはボールベアリングが採用されていたにも関わらず、荷馬車の車輪はガタガタで、トーやキャンバーが常に変化する状態に取り付けられている。

これがいったい何を意味するものなのか、車輪の挙動変化や牛の動きを見てみるとなにかが分かる。例えば、どちらかの車輪が石などに引っかかり、動きが一瞬止まったときなど、このガタガタ車輪はトーがアウトになったりインになったりして、受けた外乱を処理しながら荷重の移動を行い、車体の姿勢変化もなく荷馬車は向きを変えることなしに前進する。

ところが、この車軸をボールベアリングで支持したとたんに、彼らは荷馬車を引かなくなる。もちろん衝撃荷重が強く作用すると、ベアリングが破損してしまうことにもなるのだが、そのような問題が発生する以前での話だ。なぜかというと、衝撃的に入る外乱の処理能力が、ボールベアリングの採用で失われたからである。

もちろんここに細い空気入りタイヤが使われていたら少し状況は違ってくる。空気入りタイヤがある程度までの衝撃的外乱は処理してしまうから、荷馬車の走行性にそれほど影響を与えないだろう。

ではなぜ彼らは荷馬車を引くのをやめたのであろうか。それは、車軸のガタがなくなり衝撃的な外乱を処理できなかった反動が、車体に伝わり、前方にのびたアーム(鞍に取り付けて、荷重と牽引力がかかる)がかれらの脇腹を叩くき、その痛みに耐えきれず牽引するのをやめると考えられる。

速度としてはわずか45km/hでのことであるが、車輪は堅くダイレクトな動きとなるために、より強調されることになる。こんな低速車にも、外乱の処理をする必要がある。

馬による牽引車では以下のような状況も見られる。それは、イギリスやフランスの競馬にあるもので、馬に騎手が直接乗るのではなく、小型の馬車を引き、そこに騎手が乗タイプのもの。この馬車に使われるタイヤは、細いが空気入りのもの。車輪とスピンドルは、当然のようにボールベアリングかテーパーベアリングである。走路はハードコートで、舗装ではなく泥と砂を混ぜて固めたもの。当然馬のひずめ等による凸凹や車輪による轍がある。

ここで馬車を走らせれば、路面からの外乱処理が問題になる。しかし、馬車には外乱処理のシステムは取り付けられてはいない。もしここで、馬と騎手だけによる走り方と同じ襲歩(しゅうほ・ギャロップ)としたら、たちまちのうちに馬も馬車も横転するだろう。とにかく、前後左右の足が同時に浮き上がっている状態が、入れ替わりに生じるので、当然のことといえそうだ。

つまり、あくまでも外乱は処理されていない訳で、その力をどこかに分散させてしまうか、あるいは押さえつけてしまうかである。あの馬車の場合、分散させることは難しい、押さえつけるしかない。

そこで生まれたのが、あの一見優雅に見える馬の走り方であると、勝手に結論付けた。その走り方をよく思い出してみると、必ず片側前後の足が同時に、しっかりと路面をとらえている。猫の早歩き方なのだ。つまり、馬車の車輪から入った外乱は、馬がそれを押さえつけてしまわなければならないわけで、あの走り方のテンポとしないと、押さえつけることはできない。ときどき見られる横転事故は、馬車に入り込んだ外乱が大きすぎたことによるものであったり、何かの拍子に、馬が両足を上げてしまったときに起きているように思う。

2014年10月15日水曜日

9月6日にアップしたBMWのX4カタログに出ていた、奇妙なクランクシャフトの結論が出た


このどうにも理解しがたいクランクシャフトの形について、BMW広報へ、調べて置いてくださるようお願いしていた。

その結果がやっと出た。

何のことは無い、少し面白いカタログにしようと、デザイナーが形をいじったというのである。

そこには「誰か気が付くかな」「気付くやつはいないかな」などの気持ちもあったでしょう、というのがBMW広報からの回答である。

実際のクランクシャフトは、ごく普通のワンプレーンで、1番と4番が同じ位置。2番と3番が同じ位置の等間隔燃焼ということだった。

デザイナーのお遊びに付き合ってしまった感じだが、それはそれで楽しかったな~。以上報告まで

2014年10月11日土曜日

不定期連載 数式を使わない、クルマの走行安定性の話・3/17


子供のローラースケートで間違えたセッティングをした

あまりにもお粗末な結論のために、日本車の操縦安定性に対する研究は、大幅に遅れることになったといえよう。ここで、もし基本的に、クルマの設計が悪いという結論になっていたとしたら、もっと早い時期に、まともなクルマになっていただろう。これがチャンスだったのである。

さらにおもしろい話を聞いた。いつ頃であったか忘れたが、日本のタイヤメーカーがメルセデスのバス用タイヤを造ることになったとき、これまでの日本のクルマメーカーから言われたことを重点にタイヤ造りをするつもりで、操縦安定性もその中に盛り込んだところ、メルセデスは「操縦安定性についてはこちらが性能を出すことで、タイヤメーカーが口を出すことではない」と、しかられたそうだ。そのタイヤメーカーに対して要求したことは、耐摩耗性と排水性(耐ハイドロプレーニング)であったそうだ。

ごく身近なところにもタイヤとボディをしっかりガタの無いように取り付けると走行性がおかしくなるものがある。例えば、子供達が使うローラースケートにおける、タイヤとスピンドルとのガタである。今はやりのインラインタイプではない、昔からあるタイヤが4個あるものでの話だ。

タイヤは、ゴムではなくプラスチックか木製。スピンドルとの間には玉押しボールベアリングが使われる。そして、取り付けナットはガタの調整が出来るようになっている。この堅いタイヤは、当然外乱をダイレクトに受けとめてしまう。

ある時、子供のローラースケートをいじっていた父親は、タイヤがガタガタで、ベアリングも油が切れていることを発見した。クルマのメンテナンスに自信のある父親は、そのローラースケートのベアリングアジャストナットを回し、ガタを完璧に取り、ベアリングにも適量のオイルを与え、音もなくスムーズにタイヤが回転するようにしてから、そのローラースケートを持って、子供と公園まで出かけた。

父親は、子供から「とても軽く走れて、スピードもでるし走りやすい」という言葉を期待していたのであるが、1周してきた彼からでた言葉は「とても走りづらくて、足首が疲れる」というものだった。

この状態から考えるに、つまりローラースケートのタイヤは、全ての外乱を処理できず、足に伝えてしまったのである。路面に散らばっている小さな石や凸凹は、ダイレクトにタイヤから伝わり、かつ子供の足の動きや荷重のかけ方が、そのままタイヤの向きを変えることになり、ローラースケートはあらぬ方向へ走り出すので、それを無理にコントロールしなければならず、ローラースケートは気持ちよくスイスイ走らないのだろう。

何が原因かは明らかである。父親が考え違いをしたのである。玉押しのボールベアリングに対して、いくらオイルを注したからと言って、ガタの無いようにしてしまったことが、乗りにくさにつながってしまったのだ。適度なベアリングに対するガタが、ローラースケートを快適に走らせる必要条件であったわけだが、ここで与えたガタはかなりの量で、結果としてみるとタイヤの幅に関係するものであった。

もちろん再調整後に、子供の笑顔が戻ってきたのは言うまでもない。これまで以上に快適になったかどうかは定かでないが、文句を言わなくなったことだけは確かである。

スーパーマーケットでもある現象を見た。それは篭を載せるお買い物カートにおいてである。ここに使われるタイヤは、自由に向きを変える自在キャスター付きのものが4個。このキャスターにトラブルが発生して、自由に向きが変わらなくなるとある問題が発生する。

スーパーマーケットの中のフロアはスリッピーであるし、非常に平らであるから、トラブルを抱えたキャスターでも、押して歩くことに対してそれほど問題が発生しない。多少力は必要になるが、無理をすれば自分の思っている方向へ移動することは可能である。

ところが駐車場に来ると事態は一変する。それまで何とかコントロールできたお買い物カートはとんでもない方角へ向かっていく。スーパーマーケットの中では片手でも、何の問題もなく押せていたものが、グリップのいいコンクリート路面となると、両手を使いしっかり向きを決めておかなければ、止めてある車に接触してしまう。とにかく勝手な方向へ進んでしまうのだ。

ここに使われているキャスター付きのタイヤは、その性質上キャスター角ゼロとして転がり、外乱をうまく処理している。正常に作用しているお買い物カー(カート)のタイヤを見れば、非常な勢いで首を振っていることが分かる。この首振りこそ外乱を処理している結果であるといえる。首を振らなくなったキャスター付きのカートは、外乱の処理が出来ないために、路面次第で勝手に向きを変えることになるのだ。

しかし、タイヤ経が少し大きくなったタイプで見ると、ほとんど首を振っていない。タイヤ幅は同じで外周にゴムを張ってある。当然キャスターゼロ(つまり直角)でもトレールは大きくなる。この部分が影響するのであろう。しかし、首の振り方が悪くなると、かなり悲惨な走り方となる。それは、いくら路面がフラットであっても、お買い物カートのコントロール性が非常に悪く、押して歩くことさえ大変となるのである。

2014年10月9日木曜日

本田エコマイレッジチャレンジの二輪車クラス車両規定が、2014年大会でやっとチグハグではなくなった


二輪車クラス(昨年までは市販車クラス)の規則は、下の文章のようなしっかりとしたもので、基本的に市販認定時の型式を変えてはいけない状態。

右の赤い文章が今年改正された車両規則。これで良いとはいえない。と言うのは、フレーム形式を変更しなければOKなので、アルミで同形式のものを作り、それで参加する、と言うようなことが起きそうだからだ。気軽に普段乗っているバイクで、燃費を争いましょう、と言う趣旨がおかしくなることは十分考えられると思う
 
全長、全幅、全高、シート高などの変更は認めない、というものだが、フェンダー前後やレッグシールドなどは取り外してもかまわない。

この取り外しが・・・で、それぞれ解釈が大きく違っていた。全長の変更はダメ、ということになっているが、一部のバイク以外、リヤフェンダーを取り外す(場合によっては切断)と全長が変わるのだが、それのおとがめはない。

諸元を重視するのか、取り外し項目を重視するのか、かなりいい加減な状態で車検が行われていた。

この状態で腹が立ったのは、2013年に見たもの。リムをアルミにしたチームのバイクを正式参加させない、という競技役員とのやり取り。公平を期するためというが、規則にはリムの材質変更を認めない、という項目はない。まして、認定時諸元に抵触することはないからだ。

公平を最優先するなら車両規則どおりにすべきであり、リヤフェンダーを取り外したり、切断して全長が短くなったバイクは、正式参加(燃費記録は参考値になる)させてはいけないはずだ。

これを正しい方向へするべきである、ということを競技委員長へ申し込みしておいたら、1年、間が開いて今年の車両規則で変更された。

今年は二輪車クラスの参加者が増えた。とても良いことだと思うが、行き当たりばったりでは無く、方向性をしっかりと決めた車両規則で、それを正しく運用しないと、趣旨がどこかへ行ってしまいそうだ
 
要するに、うるさいことは無くなり、大まかな車両規定になったのだ。これならタイヤサイズを変更しないでアルミリムの装着は可能であるし、シートを取り外したり、ハンドルの変更、全幅に関係するフットレストの取り外しなど、やりたい放題が可能となって楽しさ倍増!!!???。しかし、どのような形でも良いので、安全面からフットレストは装備させたほうが良いように思う。

2014年10月5日日曜日

本田エコマイレッジチャレンジ2014で見た、とんでもない光景


とんでもない光景とは、燃料であるガソリンが入る、ガラスの容器(主催者が用意する)のレベルを最終的に調整する、燃料微調整場所で練習走行日の土曜日に見たもの。

なんと、微調整で使用するガソリンが、オイルジョッキに入れられ、無造作にテーブル上に置かれているのだ。

運営組織が変わってからの燃料微調整場所。テーブルの上にボトルに注入するためのガソリンが、オイルジョッキに入れられ、無造作に置かれている。こうすることで、ボトルへの注入はやりやすいが、事故はその分起きやすい。作業性を優先するか、人命なのか、考える必要はないはず。この状態を運営組織が変わって最初のイベントで見つけられなかったのは、申し訳なかったのだが・・・でもこれ俺の仕事か~

もちろんこれが、密閉できる状態なら太陽の熱で暖められていないか、そのことは注意が必要だが、そうではなく、完全に開放状態。

誰かが、テーブルを突き飛ばしたとたん、そのオイルジョッキは落下し、周りにガソリンをぶちまける。隣ではエンジンを始動しているマシンもあるし、路面温度は高い、そこに工具でも落とそうなら、一巻の終わり。

火災になったとたん、周りの人は大慌てで、他のテーブルもひっくり返すことは目に見えているから、そこいらじゅうが火の海になる。

消火器は用意してあるが、常にそれを持っている人がいるわけではない。よって消火活動は出来ない。そこにいる全員が火だるまになるのは明らか。

そう考えたとたん、ぞっとすると同時に私は、その微調整エリアに近寄らないことを決めた。

直ぐに競技委員長へ電話を入れ(俺がやることではないのだが)、現場に来てもらい、状況を説明した。そして、現場のオフィシャルが言いうには「これまでの方法と変わっていません」。「昨年はテーブルの下にガソリンが入ったジョッキを置き、それを使っていましたが、誰かがそのジョッキを蹴飛ばし、こぼしたことがあったので、今年はテーブルの上に置いてます」。「運営組織が変わってから、同じ方法で、それまでのやり方は知りません」という返事。

あそ~ですか、で済ませるわけにはいかない。これでは事故が起きても当然であるし、起きないほうが不思議。起きなかったからラッキーは、イベントとして最低。

「何とかしたほうがいいよ」。ということを競技委員長に申し入れした結果、運営反省会で取り上げられ、決勝当日は燃料を注入するボトルへ給油する係りを決め、ガソリン携行缶からオイルジョッキへ移し、直ぐさまボトルへ注入。数多くのボトルが用意されていた。

ここまではよかったのだが、まだテーブルの上にはオイルジョッキにガソリンが入っている状態が見られた。これは、恐らく微調整で入れすぎたガソリンを抜く注射器が一杯になったものを、テーブルの上に無造作に載せられているオイルジョッキの中に放棄したものだろう。もちろん開放状態であった。

ガソリンの怖さを知らない人たちが、重要なポジションを支配していることに脅威を感じざるを得ない。

では、運営が変わる前の組織ではどうしていたのか、当時の運営関係者に聞いてみた。すると、やはり、当然、の答えが返ってきた。

「スポンサーとしてゼネラル石油をお願いしていたので、ガソリンの危険な取り扱いは、そのゼネラル石油から派遣されてくる方が携わっていた」「ゼネラル石油にしても、自分達がスポンサーしているイベントで何かあったら大変、という気持ちがあるため、確実にリスクは排除する方法を取っていた」「燃料微調整では、ガソリン携行缶に入れて必要な量を用意し、それをゼネラル石油のプロが、石油ポンプを使ってボトルに詰め、注射器で抜き取ったガソリンは、密封した容器に破棄する形をとっていた」

2005年、運営組織が変わる前の燃料微調整場所。オイルジョッキに入れたガソリンなど、どこにも見当たらない。それは当然、そのような安易な取り扱いをしていない。リスクを排除することは当然だからだ

これまで30回以上、この燃費競技会へは、いろいろな形の取材で訪れているが・・・

ガソリンの危険を知らない、或いは大丈夫、という安易な気持ちが、このようなやり方で進行していたようだ。

「燃料微調整場所で、タバコをすったり、テロ行為をするやつなんかいない」という気持ちは正しいと思うが、意図的ではないところで起きる事故、それを想定できないのは最低であると感じた。