今のクルマはテクノロジーの塊。そのクルマに合ったコストバランスに優れたシステムを取り入れているので、そのテクノロジーを理解できなければ、クルマの正しい評価は出来ないと考えている。しかし、テクノロジーの評価はおろそかにされていた。
それを正したのは、昨年(2013年次)のRJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた、スズキ・グリーン・テクノロジーである。
如何に優れたテクノロジーであるかは、ここでの説明を省くが、販売に対する訴求力は強い。
燃費(エコも含む)、走り、安全という、分かりやすい内容が込められているからだ。それをスズキは巧みに使い、新聞ばかりではなくTVのCFを特別に制作し、全国放送を数ヶ月に渡って放映した。更に、各地で行われるイベントに、そのテクノロジーを搭載したクルマを展示し“RJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤー”に輝いたことを大きく、謳い文句で宣伝。
一般ユーザーでは分かり難い走りの性能ではなく(そのクルマの性能がどうでもいいということではない)、直接身に降りかかることに対してであるから、ユーザーは内容を理解しつつ、そのクルマを選んだはず。
このようなことを踏まえているのかどうか定かではないが、2014年次RJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤーとなった、三菱アウトランダーPHEVについて、年明け早々特別なCFを流すという。
この背景は、前述したスズキのグリーン・テクノロジーに対する評価と、その販売訴求力を“使える評価”としたとも取れる。
このように最先端のテクノロジーに対しての理解は重要で、そのような意味からホンダ・フィットハイブリッドに搭載された、ツインクラッチミッションとアシストモーターを採用した“SPORT HYBRID i-DCD”に対する評価は重要だったのだが(シックスベストにも選ばれなかった)、何がどのように素晴らしいのか、すごいことなのか、という内容を分かりやすく説明していなかった。
フィット3の発表会場ではRJC会員だけではなく「説明ボードを見れば分かるだろう」「質問のある方は受け付けます」的な態度だった。言ってみれば、モータージャーナリストを買い被り過ぎで、テクノロジー、最先端技術に興味や理解を示さない人物は、特に最近の難しい技術に対しては、アレルギー反応を示す方もいることを認識すべきだ。
よほどの基礎技術や興味を持つ人物(RJC会員だけに限らない)以外、理解できないことは非常に多くなっている。
そして、その技術は、そこから放たれる内容が分かりやすく、直接ユーザーに購買意欲を沸かせることとなっているようだから、ジャーナリスト達にも、自分の頭の中で人に説明できるだけの理解をしてもらわなければ、正しい評価は得られないし、その評価が正しいかの判断すら出来ない。
クルマの制御に対するテクノロジーも同様である。今は、軽自動車ですらCan通信を使って多くの情報をECUに送っている。最近では、これでも速さと情報量に不足するので、更なる通信技術を使う研究がなされている。
このように難しいと思われる最新のテクノロジーは、それを理解して最終選考会まで持ち込むには、自動車メーカー側もそれなりに努力が必要だ。