研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2013年5月8日水曜日

試乗会で見つけた、とんでもないクルマ達 その②

これもH社のクルマで、日本では一般販売しなかった車種。基本的にアメリカだけがターゲットのEV。ここまで書くと「ハハーン、あのクルマか」と分かる方もいるだろう。

で、どのような欠陥があったのかと言うと、アクセル周りの制御である。

具体的には、アクセルを踏んでいないのに、数十メートル勝手に走る現象。

試乗会は、正式なナンバーが取れるものではなかったので、大磯プリンスホテルの駐車場。

試乗前の説明では、ブレーキを強くかけると回生ブレーキもしっかりと作動すると言うので、思いつくままの走らせ方をしてみた。

その方法は、前進している状態で、アクセルペダルから右足を離し、左足でブレーキを踏み、その瞬間セレクターをリバースとしながらアクセルを踏む。

すると、強い回生ブレーキ状態が2秒ほど続いてから普通に停止、と思いきや、停止した次の瞬間、そのクルマは、アクセルを踏んでいないのにバック走行を開始。

その距離、数十メートル。

バック走行しながら、同様にセレクターをDにして実験すると、停止後に前進を開始する。

アクセルを踏んでいたことで、その記憶が残り暴走するのだろう。

この話を開発者に直接言ってみたのだが「普通のATでも、そのような操作はするのですか」、と、かなりとぼけた返事。思っても見なかった状態だったのだろう。そこで「EVはセレクターがスイッチですから、機械的なダメージはないので、やった結果です」、と話をしたのだが、これは大きな欠陥であることが後日分かった。

ほかのメーカーが試作するEVにおいては、走行中にセレクターを操作すると、電気が遮断され、リセットを要求してくる。

このときにはいったん停止し、イグニッションキーをオフにしてから、再度オンとするだけのことなのだが、操作ミスなどが想定されての制御である。

これができていなかったのはH社がアメリカ向けに開発していたEV。もちろん輸出される前に修正されていたのは言うまでもない。

発想の乏しい人物が開発をやると、常識としてあるべきシステムに気が付かず、このような失敗をしでかす。輸出される前でよかった。

ところで、その後、私のところには、何のお礼の言葉もない・・・・

2013年4月29日月曜日

首相のクルマが追突事故 それを回避できたのでは

先日、阿部首相が乗る車列が首都高の代々木料金所で追突事故を起こしたと言う。

運転手のミスとしては、ETCカードの装着忘れ。それと、たとえバーが開かなかったとしても、それを突き破らなかったことの2点。

そして、いつも言うことだが、AT車に乗る場合には、左足も有効に使ったほうがいい。

つまり、左足でのブレーキ操作ができていれば、少なくても5台まとめての追突は避けられたはず。

ブレーキ操作が必要になるであろうと言う予測ができれば、その時点でブレーキペダルには足がかかっており、緊急状態が発生したときには、間髪をいれずブレーキペダルを踏める。そのためのブレーキオーバーライド制御(ブレーキ優先)なのだから。

アクセルペダルを受け持っている右足でブレーキペダルを踏む場合、どうしても時間差が生じるので、その分進み、車間を十分にとっていなければ、追突して当然だ。

2013年4月24日水曜日

試乗会で見つけた、とんでもないクルマ達 その①

だいぶ前の話だから、ここいらで暴露してもいいだろうと判断して、自動車メーカーにとっては耳の痛い話しをしよう。

そのとしてはH社の2.0と2.5リッターのI

何が問題だったかと言うと、直進性にである。これは試乗会でのことで、高速道路を走行中に100mほど走ると1~2mほど右へずれる症状。

ただし、そのときには「まさか」と言うこともあり、私の運転センサーがダメになってしまったのか、と言う結論を出した。

開発者との話は、TAのシフトゲート形状に終始し、高速直進性には行き着かなかった。

しかし、試乗会後2ヶ月ほどしたときに、フリーのライターが、試乗会で乗ったクルマではない2.0リッターモデルを借用してきた。そして、そのクルマに乗ると、なんと試乗会での出来事を思い出させた。右に行ってしまう現象だ。

広報部に親しい方がいて、クルマの運転にも精通していたので、その方に全ての同型車で走行を確認してもらうと、なんと「ここにあるIは全部、右に行ってしまいます」、と言う返事が返ってきた。

そこで、そのような問題を集めて、改良点を導き出すような組織にいる方に、車種と症状を告げ、何が問題だったのか、調べてもらうと、なんと、フロントサスペンションを取り付けるブラケットを位置決めするジグに狂いがあり、アライメント不良(経験からすると、おそらく右のキャスター角不足)となっていたと言うのだ。

フロントはトーしか調整ができないH社のクルマでは、当然ほかのキャスターやキャンバーなどをチェックするシステムはないわけで、普通に組み立てラインを流れていた。

私の情報から組み立てラインを停止し、修正が行われたのは当然だが、何故このようなことが発生したのか聞いてみると「当時はバブル期真っ盛りで、開発責任者が最終チェックをする暇もなく、そのまま出荷していた」というのだが、果たして、開発責任者が最終試乗しても、この問題点を発見できたか、大いに疑問である。

2013年4月16日火曜日

今年のパイクスピークに日本からサイドカーで参戦しようとするチームが救いを求めている

パイクスピークとは、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムのことで、アメリカのコロラド州で毎年開催される。

このパイクスピークに、日本からレーシングサイドカーでチャレンジしようとするのが、イギリス・マン島TTレースにも出場経験のある「Rising Sun Racing」

ドライバーは渡辺正人さん、パッセンジャーは安田武司さん、メカニック兼サブパッセンジャーは大関政広さん。以上の3名だが、ここのところの円安で、資金不足となり、悲鳴を上げている。

どなたかスポンサーとなる人、企業の方はいませんか、と言うことで動き出しているのだ。

ちなみに、今年(2013年)のパイクスピークは6月15日から30日までだ。

参加の許可はすでに得ており、後は渡米するのみ・・・

左がドライバーの渡辺さん、右はパッセンジャーの安田さん


問い合わせ先は、048-533-3169㈲渡測内Rising Sun Racing
E-mail:watanabe@risingsun-racing.com

2013年4月6日土曜日

トヨタはディーラーメカニックを100%信用していないから、いいクルマ造りになっていたはずだが

トヨタのクルマをいじっているとわかること、それは他のメーカーのクルマに対して、日常メンテナンスを含めた分解・整備が非常にやりやすいのである。

あるクルマなどは、エアクリーナーの交換が僅か数十秒で完了する。工具も必要なく、組み付けミスも出ない。ケースに書いてある操作をするだけで、初めての人でもパーフェクトに交換できる。

何故このような考え方にこだわるのか、それは、トヨタに限らずメカニックにはヒューマンエラーが多く発生するからである。

「ここまでは一般オーナーがやれる部分、ここから先はメカニック」という線引きもしていない。いくらメカニックであっても、気が付かない間違いを起こすからである。しかも、その間違いが自分のものとして返ってこない(フロントで処理されるだけ)。そこに大きな組織としての問題も潜む。街の修理工場は直接お客からの苦情がメカニックに届くので、優秀な人材の育つ土壌があるが。

このヒューマンエラーについては、実際にどのような結果となっているか、追跡調査も行っていた。


そのやり方とは・・・例えば完全にディーラーでメンテナンス管理されたクルマが、下取りとしてメンテをしていたディーラーに入ったとき、ポンコツにされる状態まで使い込んでいたり、あるいは事故車であったりした場合、走行距離、使用年数の多いものを研究所に運び込ませ、整備記録簿に記載されている事柄が正しく行われていたかどうかのデーターを集めたのである。もちろん、全国各地から、出来るだけ数多くを集めたのは言うまでもない。

当然、検証に使われたクルマには、メンテナンスをしたことにより発生している問題点が数多く発見できた。それにより、メカニックが陥りやすい構造など、出来るだけ排除する設計を順次取り入れて、現在に至っている。

前記のエアクリーナーがそうであるし、補修部品の段階でも変更が見られる。それは、ブレーキホースとディスクキャリパーの接続部分に使われるガスケット。このガスケットは、片側を入れ忘れないよう、2枚のガスケットがコの字形の一体構造に変更された。2枚バラバラのワッシャではないので、紛失もしにくいし使用してあることが一目瞭然である。

このように徹底したサービス優先のクルマ造りが、いつしか利益優先のクルマ造りに変わった。それが今、問題を引き起こし表面に出てきたのではないかと思う。

2013年3月6日水曜日

POPヨシムラ ゴッドハンドの真実

POPヨシムラが、ゴッドハンドの持ち主だ、と言われるようになった所以は


それは、POPヨシムラ氏が手仕上げしたカムを取り付けたバイクの性能と、そのカムをベースに親カムを造り、量産したカムを取り付けたバイクでの性能に、明らかな差が出ていたからだ。

POPヨシムラ氏を知らない方は、他のサイトで調べてください。ここで経歴を述べていると、文章が長くなりすぎますので割愛します。

POPヨシムラ氏(以後ポップ)は、言わずと知れたバイク(4輪にも手をつけたが)チューニング会の大御所。

そのポップがチューニングしたエンジンは、素晴らしいものばかりだったのは言うまでもない。

私自身はポップと個人的な知り合いでもあった。ただし最初はバイク誌「モーターサイクリスト」の編集記者としての仕事から、個人的な付き合いに発展したのだが・・・

長い間ポップは、バルブタイミングにこだわり、開発では独自にカムシャフトを設計し、手作業で造り出していた。今のような工作機械がない時代であるから、カムを造るとなったら大仕事。

量産する場合には「親カム」という大きなマスターカムを作って、それを研磨機で使えばいくらでも造れるのだが、その親カムを生むためのベースとなるカムを手作業で造ろうというのだから、これは並大抵のことではない。

もちろん最初の荒削りは手動の工作機械を使うが、大切な仕上げはオイルストーンを使う手仕上げで、これまでの感と手で触れるカム面の感触だけが頼りになる。

納得の出来るカムが出来れば、直ぐにバイクへ組み込み富士スピードウエイで走行テスト。十分な性能を確信した状態から量産用のマスターカムを造り、これを使ってカムの研磨をする。

開発で仕上げたベースカムから造る親カムであるから、当然性能は同じとなるはずだが、自分達のところで走らせても、手仕上げベースカムのような性能は出ない。

何故なのだろうか?


はゴッドハンドだと言う噂が広まってしまったのだが、その不思議なことも、疑問に思っていると、あるときいきなり解決する。
 ポップから話だけは聞いていたが、その後このことは頭から離れず、カムを見るたびにポップの仕上げたカムと量産は何故性能が違うのか、不思議儀思っていると、何時しかチューニング関係者の間からはPOPヨシムラ

ジャンプカムと言うのが答えだ


十数年後、当時のグループAと言うカテゴリーで、ラリーへ参加している三菱自動車の岡崎研究所を尋ね、エンジンのチューニング内容を取材しているときに「ジャンプカムで高回転時のバルブ開閉量を多くしています」、と言う答えが返ってきた。

何ですか「ジャンプカムって」と言う問に対して「吸気カムのリフトの途中に、小さな山を設けることです。低回転では、そのカム山の形に添ってバルブは押し開かれますが、回転が高くなると、いくら小さな山でも、その山で弾き飛ばされる形となりますから、バルブの開く量がそこから大きくなり、繋がるカム山に当たるまでの間が、バルブの開口面積の増大となりトルクが増えます」というのである。

ここで、これまでの疑問が解けた。ポップの手仕上げカムも、このジャンプカム状態になっていたこのだ。

 左から普通のカム、三菱が使っていたジャンプカム(赤く塗ってあるところがジャンプ台)、右が、ポップ吉村氏が手仕上げして作ったチューニングカムの表面を誇張したもの(これも赤く塗って)。顕微鏡精度からすると、このように凸凹となるわけで、高速回転になれば僅かな凸凹であっても、ロッカーアームを跳ね飛ばすことによりバルブの開閉量が増え、バルブタイミングも違ってくる。バルブリフト量は増えるのだが、そのときピストンは既に下がっているためバルブが当たることはない

2013年2月25日月曜日

地域起こしに活躍するバイクとその仲間たち

東京近郊地域でも、若者たちが家を出て、跡継ぎが少なくなり、過疎化している農業地域は多い。

少しでも若者たちを呼び寄せ、活性化を図ることは重要なテーマである。それでないと、そのような地域は、いずれ住民がいなくなり、ゴーストタウンと化してしまう。

そんな中で、つくばみらい市の狸穴地区では、個人の持ち物である山林を利用し、オフロードバイクの走行場所を造っている。

その走行場所を管理運営するのはウイリー松浦
ここへアクセスすれば、走公会の予定などのページがある
前方に見える山林の中にオフロードバイクの走行コースがある。初心者用とベテラン用のコースに分かれているので、走りやすい。バイクメーカーも注目するコースと運営方法だ

町興し、地域おこしでバイクの力を使うことが多くなってきた。そのいい例は埼玉県の小鹿野町である。

小鹿野町では、町を上げて“バイク集まれ”をスローガンとし、食堂などのお店を経営する方々は、ツーリング途中で立ち寄ってくれたライダーをもてなすため、無料でコーヒーやデザートを振舞うなど、積極的にバイク乗りが居心地のよい環境を作っている。このような扱われ方をされると、人間と言うものは、不思議に親近感が沸いて、小鹿野町の中を速度超過で走る気持ちがなくなる。当然交通事故も減少した。

つくばみらい市の狸穴地区にあるオフロードバイク走行場所でも、地域の皆さんから支援を受け、平日はもとより休日ともなると数十人が集まり、楽しくバイクで走り回っている。
坂を上っていくとオフロードバイクのコースがある。既に多くのライダーとファミリーが走行を楽しんでいる。騒音も小さく側で話が出来ない状態はない。トイレや水(井戸だがポンプ付き)なども完備。女性用には更衣室も用意されている

勿論、排気騒音には特別気を使い、管轄の警察署も認める大きさに規制して、住民に騒音公害を与えない配慮は最優先。

そこに集うバイク乗り達は、平日はバイクの好きな仲間だけで来るのだが、休日ともなると家族連れがほとんどで、自ずと走行会はそこに居る子供が主役になり、同じコースを走行する場合でも、優しく見守るような配慮があちこちで見られる。実にほほえましい限りである。
実に楽しそうに、そして安全に良い汗をかいている。そろそろ昼休み・・・

また、昼ごろになると、近くの農家の方が収穫したばかりの野菜や、卵、漬物などを持っての販売に訪れる。
日曜日限定だが、近くの農家の方が採れたての野菜や卵などを販売にやってくる
見てコレ、軽バンの後ろには行列が、早くしないと売り切れ御免だ 

あっという間に人垣が出来、男女を問わず欲しいものを買い求める。勿論若い奥様達もバイクライダーとして、ご主人や子供さん達と楽しんでいるので、当然、本日の夕食のおかずは、狸穴地区で収穫した野菜と卵が主役だろう。

いあや~実に素晴らしい光景を目にした。