研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2013年3月6日水曜日

POPヨシムラ ゴッドハンドの真実

POPヨシムラが、ゴッドハンドの持ち主だ、と言われるようになった所以は


それは、POPヨシムラ氏が手仕上げしたカムを取り付けたバイクの性能と、そのカムをベースに親カムを造り、量産したカムを取り付けたバイクでの性能に、明らかな差が出ていたからだ。

POPヨシムラ氏を知らない方は、他のサイトで調べてください。ここで経歴を述べていると、文章が長くなりすぎますので割愛します。

POPヨシムラ氏(以後ポップ)は、言わずと知れたバイク(4輪にも手をつけたが)チューニング会の大御所。

そのポップがチューニングしたエンジンは、素晴らしいものばかりだったのは言うまでもない。

私自身はポップと個人的な知り合いでもあった。ただし最初はバイク誌「モーターサイクリスト」の編集記者としての仕事から、個人的な付き合いに発展したのだが・・・

長い間ポップは、バルブタイミングにこだわり、開発では独自にカムシャフトを設計し、手作業で造り出していた。今のような工作機械がない時代であるから、カムを造るとなったら大仕事。

量産する場合には「親カム」という大きなマスターカムを作って、それを研磨機で使えばいくらでも造れるのだが、その親カムを生むためのベースとなるカムを手作業で造ろうというのだから、これは並大抵のことではない。

もちろん最初の荒削りは手動の工作機械を使うが、大切な仕上げはオイルストーンを使う手仕上げで、これまでの感と手で触れるカム面の感触だけが頼りになる。

納得の出来るカムが出来れば、直ぐにバイクへ組み込み富士スピードウエイで走行テスト。十分な性能を確信した状態から量産用のマスターカムを造り、これを使ってカムの研磨をする。

開発で仕上げたベースカムから造る親カムであるから、当然性能は同じとなるはずだが、自分達のところで走らせても、手仕上げベースカムのような性能は出ない。

何故なのだろうか?


はゴッドハンドだと言う噂が広まってしまったのだが、その不思議なことも、疑問に思っていると、あるときいきなり解決する。
 ポップから話だけは聞いていたが、その後このことは頭から離れず、カムを見るたびにポップの仕上げたカムと量産は何故性能が違うのか、不思議儀思っていると、何時しかチューニング関係者の間からはPOPヨシムラ

ジャンプカムと言うのが答えだ


十数年後、当時のグループAと言うカテゴリーで、ラリーへ参加している三菱自動車の岡崎研究所を尋ね、エンジンのチューニング内容を取材しているときに「ジャンプカムで高回転時のバルブ開閉量を多くしています」、と言う答えが返ってきた。

何ですか「ジャンプカムって」と言う問に対して「吸気カムのリフトの途中に、小さな山を設けることです。低回転では、そのカム山の形に添ってバルブは押し開かれますが、回転が高くなると、いくら小さな山でも、その山で弾き飛ばされる形となりますから、バルブの開く量がそこから大きくなり、繋がるカム山に当たるまでの間が、バルブの開口面積の増大となりトルクが増えます」というのである。

ここで、これまでの疑問が解けた。ポップの手仕上げカムも、このジャンプカム状態になっていたこのだ。

 左から普通のカム、三菱が使っていたジャンプカム(赤く塗ってあるところがジャンプ台)、右が、ポップ吉村氏が手仕上げして作ったチューニングカムの表面を誇張したもの(これも赤く塗って)。顕微鏡精度からすると、このように凸凹となるわけで、高速回転になれば僅かな凸凹であっても、ロッカーアームを跳ね飛ばすことによりバルブの開閉量が増え、バルブタイミングも違ってくる。バルブリフト量は増えるのだが、そのときピストンは既に下がっているためバルブが当たることはない