研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2020年7月31日金曜日

ロードスターNCのハンドリングについてケチをつけた⑫

マツダロードスターが2リッターとなったNC(3代目)だが、筑波サーキットでの試乗会で、特性を確かめられた。それは、左コーナーの第一ヘアピンを走り抜けるときだ。チョイと他の方と違う走り方をすると、とてつもなくタイムを縮められることが分かっている。果たしてモデルチェンジされたロードスターは、これまでのNBよりも優れたコーナリング性能を示すのだろうか。

ワクワクしならが第一ヘアピンに突っ込み、これまでと同様な操作をすると・・・ その走り方は、NBでのレース直前にマスターしたもので、そのレース決勝では大雨でスリップし易い中を(練習時はドライだった)、ドライと同様な走り方が可能だった。

どのような走り方かと言うと、コーナーのクリッピングポイント手前10mぐらいのところで、ハンドルをコーナーに合わせて左に切りながら、2速ギヤで、いきなりアクセル全開に踏み込む。 この目的は、リヤを振り出してカウンターステアを当てながら、走り抜けようとするものだったが、パワーがないロードスターでは、リヤが流れる状態とはならず、逆にフロントがハンドルの向きと反対となるアンダーステア状態が僅かに発生した。

そのときにアクセルを戻すと不安定な状態となるため、リヤが流れ始める。すかさずアクセルを全開にすると同時にハンドルを若干戻すカウンター状態だが、それをすることによってハンドルは直進状態を向いている。そして、このときにはロードスターも進行方向をしっかりと向いており、アクセルに対する反応も良くなり(荷重がバランスよく働いている)、ホイールスピンすることもなく、いきなり奪取する。そして、この状態が右回りとなる第二ヘアピンまで持続した。 この走りの状態をモデルチェンジしたNCでやってみたが、フロントが飛び跳ねてしまい、どうにも楽しくてスピーディーな走りが出来ない。

その点について開発者には意見を述べたが、明確な返事は返ってこなかった。 ロードスターレースのときにマスターした条件を考えてみれば、オープンカーにレース用のロールケージを装備しているので、その分ボディ剛性は高い。それが、コーナリング性能にも影響しているのか? 疑問だらけだったNCのコーナリング特性について、そのことが解決する状況が出てきた。それは、排気量も小さくなったNDが発売されたときである。

新しい開発者に、NCの筑波サーキットでの走りについて、何気なく聞いてみると「NCの場合は、サスペンション周りをロータリーのRX8用を流用しましたから、ボディ剛性などとのバランスが取れていなかったと思います」と言う返事が返ってきた。 つまり、NCでのコーナリング性能で下した評価は、正しかったと言うことが分かった。 

2020年7月23日木曜日

国産初のジェット旅客機は???



ジェット旅客機に話しになると必ず出てくるのが、三菱重工の純国産ジェット旅客機に話し、しかし、テレビでの解説では国産初のジェット旅客機という表現をしているが、国産初のジェット旅客機はYS11と理解しているが違うのだろうか。

YS11は確かにプロペラはついているが、そのプロペラを回す動力はジェットエンジン。ターボプロップと呼ばれるもので、この形式のジェット旅客機は(旅客機に限らず)今でも製造されており、数多くある。なおYS11に使用されていたのはロールスロイス製のエンジン。

なのに、どうして三菱重工が開発する飛行機を国産初のジェット旅客機と言う言い方をするのか理解に苦しむ。

それとも、ジェット推進で飛行する飛行機だけをジェット旅客機と言うのなら別だが。

話は違うが、20年以上前のことだが、茨城県潮来にあるボート製造工場で面白いエンジンを見つけた。それは星型の(何気筒だったか忘れた)エンジンで、工場の床にデンと置かれていた。

「今でもこんなエンジン使っているのですか?」と聞いたところ、「自衛隊の飛行機では、まだ使っていますヨ」とのことだった。

しかし、このエンジンはどんなボートに使用するのか興味があったので、ついでに聞いてみると、「エアボート用」と言う話。霞ヶ浦ではなく、それよりも太平洋側にある北浦。水深は浅くスクリューのボートでは、走る場所が限られるので、非常時などのことを考えると、エアボートが必要なんだそうだ。

現在はそのようなボートがなくても、ジェットスキーなどのボートで、非常時には対応できるだろうから、まだこのようなエアボートを作っているとしたら、完全にレジャー用だろう。

ネットでエアボートと北浦について調べていると、観光用として使用していることが分かった。興味のある方は問い合わせてみるといいかもしれない。

2020年7月16日木曜日

試乗会などでバリアフリーと言う説明に対しケチをつけた⑪



オリンピックが近づくとバリアフリーの話が出てくる。前回の東京オリンピックのときにもそうだった。でも、彼らが言うところのバリアフリー化は達成できていない。

今回の話はオリンピックと関係のないもので、自動車メーカーでも一時期「バリアフリー・・・・」を謳いものにするクルマが発売された。

バリアフリーと言う言葉に違和感を持っていたので、試乗会での説明などで「このクルマはバリアフリーをコンセプトにしました」などという発言を聞くと、その言葉が終わるか終わらないうちに「バリアフリーって何ですか?」「どこかに健常者が区分けの線を引いて、ここからは障害者、その手前は健常者」と言うようなことを言っているから、素晴らしいものや街、物事が先に進まないのではないですか。

あなたたちがバリアフリーと言って差別と区分けをするような発言をしてはいけないのです。という話を数回したら、いつの間にか自動車メーカーの説明から、バリアフリーが消えた。

バリアフリーなんていっているから、バリアを造ることになるのだ、と日頃から思っている人間にとって、この言葉は気になるのだ。

障害者に優しい道路やクルマ、人が動くときだけではなく(駅などの階段もある)全ての事柄に対しても差別無しとしておくこと。自分もいつかはお世話になる事柄だから、これをフリーにしておけば、住みやすく生きやすくなると思うのだが。

2020年7月3日金曜日

ツインリンクもてぎがオープンするときにもケチをつけた



クルマやバイクばかりではなく、関係する組織にもケチをつけた

ツインリンクもてぎのスーパースピードウエイのオーバルコースは、ここでアメリカのレースが開催されることになっている。NASカーはガソリンが燃料なので、火災が発生したときにはそれなりの消火方法が必要だが、インディカーとなると燃料はアルコール。

アルコールを使用する理由は、どこかのジャーナリストが「環境に優しい」からだと言う。でも当時のアルコールはメタノール。メタノールはアルミやゴムを溶かす。なので、走るたびにマシンの燃料ラインはクリーニングすると言う、実にヤッカイなものだった。さらに、高速燃焼(内燃機関などの場合)させると「ホルムアルデヒド」と言う毒ガスを発生する。

その毒ガスに変化するメタノールがその後どうなったのかの話は後に取っておいて、燃料として使った場合の火災はどうのように消火するのか、と言うことに行き着く。

アルコール=水であるので、水による消火は可能となる。それを理解していれば、オーバルコースのイン側に、散水栓を常設すれば利用価値が高い。

そこで、ジャーナリスト関係者の下見会に参加し、初代社長(ホンダの広報時代からの知り合い)と2代目社長となる方の3人となったときに、インディカーと燃料についての質問と、アルコールなら消火栓の設置はどうしたか聞いてみた。この質問は、お二人の立場を考えて、私以外の方が、アクティブトレーニングセンタの説明に出かけているときを見計らった。

その結果、消火栓はどこにも設置していないことだけではなく、燃料つまりアルコールなので、水で消火できる、と言う認識もなかった。

コースのイン側に取り付けることは出来ないが、ピットなら側溝が手前に通っているので、その中を水道管が通せること。さらに、中央付近には、グランドスタンド側からピット側に水を流す、太い水道管があることも分かり、それを使うということで、私の提案は受け入れられた。インディカーのメカニック達は、この設計変更には喜んだはずだ。

いくら火の点いていることが分かりにくいアルコールでも、消火に使える水が手元にあることで、アクシデントが発生したときには、慌てずに利用できるからだ。散水用のホースばかりではなく、ドラム缶に入れた水をピットまで運ぶ、と言う作業からも開放された。

オーバルコースのピット内側、排水の側溝から飛び出しているパイプが、私のアドバイスで取り付けられた散水栓
 
ついでの話だが、アルコール燃料は、その後メタノールからエタノールに変更され、ホルムアルデヒドの心配や、ゴムとアルミの溶解はなくなったんだが、100%エタノールであると、それを飲んでしまう人が居るので、ガソリンを5%(だったと思う)ぐらい混合したという。そのため、当初日本でのエタノール使用が、酒税法に抵触するので、「税金をかける」とかの問題が国税庁から出されていたが、それも解決した。

2020年6月25日木曜日

ニッサン・スカイライン32GTRと33GTRの違いに素早く反応した結果は、33GTRは・・・



33GTRにケチをつけた

32GTRの素晴らしさは、菅生サーキットでの試乗会で体感していた。それまで菅生サーキットをクルマで走ったことのないのに、いきなりアクセル全開。前方に走るベテランレポーターがブレーキを掛ける時点を確認したら、「オレは彼よりも10m先からブレーキを掛ける」なんていうことを考えながら、試乗を楽しんだ。

とにかく、運転者の気持ちと技量を32GTRは読み取ってくれているようで、不安な要素はひとつもなかった。そこから「アクセルを踏み込め」なんていう動きの状態まで理解できる。32GTRと意思の疎通がやれているような気持ちを味わった。

もちろん、32スカイラインのフロントサスペンション周りに欠点があるということはこのときに知る由もなかったが。

フロントのマルチリンクサスペンションは、コンピューター解析により生まれたものだが、熟成と詰めは甘かった。サスペンションジオメトリーとそのジオメトリー通りにサスペンションを作動させるには、サスペンション周りのボディ剛性、取り付け点の精度、さらに使用されるゴムブッシュの硬さの均一化が必要となるのだが・・・

それはともかく、33GTRが発売されたときの試乗会は筑波サーキットで行われた。筑波サーキットは走り慣れたサーキットであるし、32GTRでも走っていたので、32GTRの操縦性の素直さや素晴らしさは十分に理解していた。

100Rから90Rに変化する最終コーナーでは、3速エンジンブレーキのアンダーステアとなる状況から、アクセルを全開にするまで踏み込むタイミング。そして、4WDのアテーサETSによるフロントへの駆動力配分もよく、アンダーステアはピタリと止まり、それと同時に気持ちの良い加速力を味わえた。つまりドライバーの気持ちがそのまま反映され、狙ったラインを確実にトレースする素晴らしさは、これまで味わったことのないものだった。

その経験から33GTRはもっとすごいのだろうと言う期待を持って試乗したのだが、見事に裏切られた。

速度が高い最終コーナー。32GTR同様の挙動が帰ってくるのかと期待したが、いくら待っても返答はない。どこからアクセルを踏み込めばいいのか分からないのだ。で、楽しく試乗は出来なかった。

反対に、カウンターステアを得意とする試乗者は、パワフルで思いのままだ、と言う評価であったが、私とは正反対。

この制御ではダメだ、と言う評価をしたのだが、それは、その後の市場が端的に良否の判断をしている。33GTRは販売が伸びなかったのだ。チューニングショップの評価もそうであったし、一般の方が買い替えしたときの評価は、最低だったからだ。

高性能カーは、ドライバーとのコミュニケーションがしっかりと取れていないと、安全で楽しくは運転できないということであると思う。

2020年6月17日水曜日

燃費競技会のホンダエコノパワー(エコマイレッジチャレンジに代わる前だけではなく、現在の運営組織にも)に対してもケチをつけた



ケチをつけは話

数十年に 亘り取材や運営のアドバイスをしていると、他の方では気が付かないことに目がいく。

例えばそれは、走行中にオフィシャルが振るフラッグに対してがまず最初だったように思う。コース上にトラブルで停止している競技車があれば、それを後続のクルマに知らせて、事故などが起きないようにするのだが、その旗を振る位置や高さがベストではないと気が付いた。フラッグの振る位置が高すぎるのである。

これであると、あの狭く窮屈なドライビング状態から、旗の色と振り方から、何を表現しているのか判断に悩むだけではなく、旗が振られていることさえ認識しにくい。

いくら速度が遅いからといって、目の前で旗が振られたのでは、走行ラインを変えるとこは不可能。ましてブレーキを掛けるという行為は、そのイベントからの脱落を意味するのだから。

事故になるかもしれない状況を見ると(実際に事故が起きる手前から事故後まで、全てを見ることもあった)、現場で競技関係者にそのことを伝える。

また、スタート最終チェックでは、燃料が正しい位置まで入っているかを見て、不足している場合だけではなく、レベルが高すぎるときにも、スポイトなどを使用してその燃料(ガソリン)をレベルに合わせるのだが、運営組織が変わってから、その過不足を調整するガソリンが、テーブルのオイルジョッキに入って、無造作に置かれていたことも。

この状態で、誰かが机にぶつかり、ジョッキに入っているガソリンをコース上にぶちまけ、それにビックリした関係者が、持っている工具などを落としたとしたら、そこのこぼれているガソリンの蒸発ガスに簡単に火が点く。

これが想定されたので、そのことを関係者に話したら「ここにいる連中は、こぼれたガソリンに火をつけるようなやつは居ないから、心配ない」と言う
返事。故意に火をつけることはなくても、事故は起きる。
 
運営組織が変わったことで、何が重要なのかがわからなくなり、適当に運営すると、このような大きな事故要素が生まれる。勿論、この現状は直ぐに改善させた。

では、それまでの運営組織はどのようにガソリンの管理をしていたのか、当時の組織に聞いてみると「ガソリンメーカーをスポンサーにしていたので、全てはそのガソリンメーカーのエキスパートが管理して、どこから見ても事故が起きないようにしていた」、と言う話だ。あるほど、昔の画像を見てもそのような危険な状態は発見できなっかた。

またあるとき、車検後の路面に青く広がった痕を発見。これはエンジンオイルが垂れたもので、多量ではないが事故の元になることはある。

なぜこのようなことになっているかと言うと、燃費競技会に使うエンジンは、ウエットサンプ潤滑の状態が必要なく、適当にオイル分が各所にあれば良い。そのため、勿論オイルポンプもない(改造してあるエンジンは)。場合によっては、シリンダーヘッドのヘッドカバー内に、必要最低のオイルを滴下させたエンジンも。そして、当然軽量化と熱量低減のため、クランクケース下は密封されていない。

こうなれば、滴下したオイルの行き先は、走行路面と言うことになる。それを防止するため、どのようなエンジンであっても、クランクカース下にオイル受けを付けるという規則を作った。

また、あるとき燃料の温度についても管理と規制が必要である、と気が付いた。それは、埼玉県桶川にあるホンダのレインボー教習所の直線コースで行われた大会で、関係者が、配給されたガソリンの入ったガラス容器を、ドライアイスで60分ほど冷やす行為。これによりガラス容器のガソリンは体積が小さくなり、ビックリするほどガソリンレベルが低下していた。

これでスタート前チェックでは、レベルの下がったガソリンを補給してくれるわけで、燃費の計算としては有利になる。

ただこの行為をやったマシンは、テレビ局のアナウンサーが乗るもので、乗り方がいい加減だから本来の性能は出ない。そのため、結果に対して文句を言うものは居なかった。

これを思い出したので、最終燃料調整のところで、非接触型(今巷で使用している体温測定と同じもの)の温度計を使って、燃料温度を測るべきだという提案をした。

翌年のイベントでは、全てのマシンに対して、燃料の温度を測定する行為が見られた。

その後の規則には燃料を冷やしてはいけない、と言う条項が追加されたが、エコマイレッジチャレンジと言う開催名に変わってから、この燃料温度の計測がない。

その旨を競技関係者に伝えたら、決勝日になって、どこからか1個だけ借りてきた温度計で、抜き打ち検査をしていたが、抜き打ちではダメで、全車やる必要がある。

その温度測定違反に引っかからなかったラッキーなマシン、チームが出てしまっては、規則が何のためにあるのか分からなくなるからだ。

2020年6月6日土曜日

アイドリングのクリープ走行から、ハンドルを操作すると速度が勝手に上がるファミリーカー



ケチをつけた話

それは、新車の試乗会での出来事だった。試乗車に乗り込み、エンジンを始動し、左足をブレーキペダルに載せながら、アイドル状態のクリープ走行をするが、次の瞬間、これまでにない挙動に自分の操作が間違ったのか、と一瞬あせった。

そこで、再度試乗車の駐車場所にクルマを戻し、そこから、絶対に操作の間違いをしないような行動を取って、同じようにクリープで発進し、ハンドル操作を行うと、その試乗車は速度が上がる。強烈な加速ではないが、左右にハンドルを動かすことを連続すると、ハンドル操作するたびに少しずつ速度は上がる。

ま、左足をブレーキペダルの上に乗せているので、問題が発生したら急ブレーキを十分に利かせられるのだが、一般の方だったら、どうなることか。

このクルマはT社の初代ヴィッツ。以前にもブログに書いたと思う。

おかしな挙動なので、試乗後に開発担当者にそのことを話すと、20分ほど行ったり来たりを繰り返していたが、降りてきたときには汗をびっしょりと掻いていた。

原因は何かと聞くと「・・??」

私が察するに、当時は、ステアリングのアシストが油圧式で、ハンドル操作すれば、当然エンジンに負担が掛かるので、回転が落ちないよう、アイドリング回転数フィードバック制御を使っていたはず。

しかし、そのプログラムが間違っていたとすると、今回のような結果が起きるのではないのか。

しかし、そのときには、その問題の取材ではなく、使用したエンジンに対しての取材だったが、開発担当者は「今日は無理です」といって、扉の向こうに消えていった。