3月22日、東京国際フォーラムで行われた、国土交通省が主催する“超小型のモビリティシンポジウム”超小型のモビリティの成果と可能性、の会場に出かけて、国と自動車メーカー、サプライヤーの意見と考え方を聞いてみたが、質疑応答があるわけではないので、突っ込んだ内容は一切なし。これからどうする、どうすべきだ、というようなこともなく、ただ単に、「こうなってます」的な発表会(失礼)に過ぎなかったのは残念でしょうがない。
参加費無料という魅力は有ったが、内容は・・・。自動車メーカー、サプライヤーなどの関係者が多くいたが、はたして皆さん納得できる内容だったのだろうか。私にとっては内容が有ったとは思えない。あまりにもお粗末とは言わないが、もっと深い、内容の濃い話と研究内容を期待したのだが
現在、日本で購入するとなると85万円ぐらいになるようだが、これはその使用目的でもっと安く出来る。一律に企画した性能一杯を求める結果、高性能バッテリー(これが一番高価の原因)、高性能モーター(ここでの要求はトルクが少なくて良いということではない)の開発と採用がコスト高を招いている。
どうすればコストを下げられるのか、三菱がアイミーブを発売した当初にも提案したことだが、それは、走行性能を使用者のニーズに合わせて盛り込むこと。つまり、高性能・高価格のバッテリーは要らない。モーターや駆動系も同様で、そこそこ走ればいい。
となると、製造コストが安い(高性能ではないが十分に使える)地域、国で開発製造された、製品を組み合わせれば販売価格は下げられる。更に、製造メーカーは重要保安部品を組み付け、コストの高い部品はDIY、或いは街の修理工場で組み付けられるような構造で設計・製造すれば、当然販売価格は抑えられ、暇でしょうがない地方の修理工場も少しは利益を生むことが出来るだろうし。
大手の家電販売店でも、この超小型のモビリティを販売すれば、ディスカウント販売も可能となる。
超小型のモビリティについて、イギリスでの話が出ていた。年間15万台も製造販売しているという。
イギリスなど欧州では、家庭用電気が200V以上であり、充電というシステムで、日本よりやりやすい。ただし、日本でも電気温水器を取り付けている家庭(3線単相は200V)。更に、全国に散らばる農家では、動力線としての200V(動力線なので3相)があるから、意外に地方のほうが充電インフラは整うのが早いかもしれない。
で、イギリスの話だが、日本と大きく違うのは、道路運送車両法保安基準の適用方法と社会的背景。
とにかく、保安基準に適合していれば(TVでトピックとして出てくるベッドが街を走るシーンなど)、自作したバイクやクルマも正式なナンバープレートをつけて走行できる。つまり、木製のシャシー(古くは木製のフレームが正式な自動車として販売されていた事実もある)を使うクルマもOK。極端な話し、ダンボールだってOKとなってしまうのがイギリス。
例えば、今でこそバイクにおいてもヘッドライトのようなものを取り付ける規則が出来ているが、数十年前までは、夜間走行しないのならヘッドライトは不要、という規則になっていた。もちろん方向指示器やテールランプ、ブレーキランプも不要。バックミラーも要らない。ホーンは、100円ショップで売っているような、ラッパでOK。
当時のトライアルバイクでは、点火用の発電システムは装備していても、それ以外の電源用のコイルは装備していなかった。ただし、ガソリンタンクはFRPでの販売は不可で、コンペティションバイクではアルミタンクが採用されていた。
DIY王国というとアメリカを想像するが、実はイギリスであるということを認識して欲しい。ホームセンターやDIYショップ、カー用品店に行くと、日本では考えられないようなものが販売されているばかりではなく、素晴らしいアイディア製品が多くみれれる。
日本であると、新しい企画のもの(この場合にはバイクや自動車)を作って、実際に街で走らせようとなったとき、そのような乗り物のカテゴリーが出来ていれば、それにあわせて造られているかどうかの判定をして、許可が下りるのだが。そうでない場合にはとても大変。
実績がない状態であると、まず特区を作って、使用するに当たり問題が出ないかの検証を数年にわたり行った後に、やっと国は腰を上げる。これを何とかして欲しい。
こんな格好のいいEVが街の中を走っていたら、誰もが振り向くだろう。但し、販売価格が大きく問題となる。それが解決できれば販売は延びるのだが・・・
また、モーターの出力が大きくなると軽自動車扱いとなる(2人乗りは原付の範疇だが4人乗りとなると)。つまり、車検、重量税がかかる。ランニングコストが上がるし、めんどくさい。
車検は必要という気持ちもわかるが、EVとなると定期交換部品はほとんどない。エンジンオイルない。冷却水ない。ブレーキは回生での制動が高いので、ライニングやパッドはほとんど磨耗しない。ここの磨耗がないということは、ブレーキフルードの劣化も進行が遅い。更に、高速走行がないとすれば、ブレーキフルードの沸点に対する制約も強くいらない。足回りの部品に磨耗は出るだろうが、2年に1回の車検でなくても十分に交換サイクルは伸びる。
車検までの間に走る距離を考えたら、ガソリン車の5分の1ぐらいだろうから、それに合わせた、超小型モビリティ専用の車検システム、重量税のあり方が大切に思う。