研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2023年7月9日日曜日

世界のトヨタは分解と組み立てでも、ヒューマンエラーが起きにくいクルマ造りをしてきたはずだが、最近は、利益志向が強くなり、他の自動車メーカーと変わらないような・・・

 

長いことクルマいじりの編集部に在籍していたことにより、日本における自動車メーカーが、最終的にどのような内容で造り上げていたのか(例えばオイルフィルターの交換手順など)、知ってしまうことが多くあった。そのオイルフィルターで言えば三菱ランサーエボリューションでは、フィルターが右フェンダーの中にあり、ステアリングを右に一杯切れば、目の前にフィルターが現れるという具合だった。

そんな中で、特にトヨタは部品のサプライヤーを含め、ある部分をいじったときに、そこにミスを押し込まないような作り方が随所に見られていた。例えば、サスペンションの部品交換で、その部品の交換が、まず発生しないと考えられるのに、関係する部分の脱着が容易に出来るような設計をしていた。

また、編集部には時々読者から質問の電話が掛かってくる。その中には「クルマいじりをしようと思うが、どのようなクルマがいいですか?」という内容。

そこでの答えは決まっていて、「トヨタのファミリーカーがお勧め」という返事をする。その根拠は、とにかくいじりやすいからだ。

勿論、それは、構造を簡単にすることで整備の時間短縮になるだけではなく、整備士のフューマンエラーが発生しにくい構造設計していると取れる、これにより整備初心者でもいじりやすい。このあたりの考え方は、他のメーカーでは、聞いたことがない。当時は如何にコストを抑えるかの方向が優先していたのだろう。

但し、このような話も聞いたことがある。軽自動車の場合、販売店の大半が他のメーカーも扱う修理工場なので、それぞれの機械的な違いや、整備のしやすさがハッキリと、判断されることが多く、「どこそこの部分は、あのメーカーのほうがいじりやすく、故障も少ない」。何とかしてくれという、厳しい意見が出るそうだ。それはその場で言い訳をせず・・・?

で、最近はどうなのだろうか。

三菱で素晴らしかったオイルフィルターの交換だが、当時トヨタでは、カートリッジ式の交換ではなく、フィルターエレメントそのものを交換するという方式を取っていた。そして問題は、そのフィルター取り付け位置が、FWD横置きエンジンのシリンダーブロック後ろ側、つまりエンジンルームを上から覗いても、簡単にフィルターを見つけることさえ出来ない位置にあって、リフトで揚げるか、ピットを使うか、ガレージジャッキで大きく揚げ、リジッドラックを使って安定させてからの作業が要求された。

ペーパーエレメントだけの交換は、欧州車に多くあるが、そこには環境問題を解決するという強い考えがあり、カートリッジ式での取り付け位置ではなく、もっと進んだ考え方が見えた。

欧州車のように、シリンダーヘッドの横にフィルターケースがが取りつけれれていれば、目の前にあるという構造なのだから、リフトで・・・という手順は必要ないわけで、このような形だったら、日本でも整備の現場からクレームが来る様なことはなかったかもしれない。

しかし、ペーパーエレメントだけの交換作業は時間が掛かるだけではなく、そのことによってお客様にも迷惑が掛かるということなのだろう、いつのまにか、これまでのカートリッジ式に変更されていた。

当時、そのペーパーエレメントを製造するメーカーに展示会で話を聞くと「トヨタ側の要求が高くて・・・」という話で、長続きしないでしょう、という悲観的な返事が返ってきていた。

2023年6月29日木曜日

天皇陛下がインドネシアを尋ねたとき、第2次世界大戦後、インドネシアに残り独立戦争で活躍した、日本人兵士の墓を慰霊した、という報道で・・・

 

時々思い出すのだが、インドネシアの独立戦争で、当時生き残った日本兵が、その独立戦争に加わり、インドネシアの独立を助けた実話。

その当事者に直接お会いしたことがある。大学3年生だったと思う。

その方は、日本人の奥様と共に、胃潰瘍の手術を受けるため一時日本へ戻っていた。病院へのお見舞いでお会いしたのだが、何故そのような方と繋がりがあるのかというと、それは当時父親がインドネシアの林業開発に関する仕事をしていた関係で、現地で知り合いとなっていたのだ。その方は『橋本さんという』。

橋本さんは、戦争のとき捕虜となり投獄されたのだが、見張りの憲兵を倒して脱出。インドネシアがオランダの植民地だったため、インドネシア軍に加わり、独立戦争を共に戦ったという。

その橋本さんとはそれ以来会うことはなかったのだが、橋本さんが韓国でヒーロー扱いを受けている、という話を1973年の本誌(モ-ターサイクリスト)主催、韓国でのラリーで、ルートの確認走行をしているとき、案内をしてくれた韓国の方(日本語はペラペラ)からビックリする話を聞かされた。

どんな話から橋本さんへ繋がったのかは覚えていない。たぶん今走っている高速道路は一部、10キロほど、有事の時には飛行機の滑走路として使うという、戦争の話からだったように思う。

スハルデマン橋本(勇者橋本と訳すらしい)は、戦争直後から韓国ではヒーローだから、日本国内では知らない人はいないだろう、ということだったが、残念にも、知る人ぞ知るで、その活躍は完全に無視されていた。

でも、橋本さんとは面識があり、父親の関係でお会いしたことがあり、憲兵だった橋本さんは、銃殺される前に、見張りの兵士を刺し殺し、脱出したという。

この話を、同行の韓国の方に話すと、それはすごい・・・かなりビックリされたようだった。

これを、天皇陛下がインドネシアの独立戦争で戦った日本兵の墓を慰霊したということで思い出した。

2023年5月18日木曜日

数十年前のことだが、トヨタのグループCレーシングカーTS010は、エンジン回転リミッターの正しい設計をしなかったため、報道関係者を集めた富士スピードウエイでの試走会では点火装置を不良にして、まともに走らせられないというアクシデントを起こした

 それまでトヨタが使っていたエンジンは、ツインターボ仕様。その型式がレギュレーションの変更で使えなくなり、新設計したNAエンジンを搭載。

ターボ仕様の時には、鈴鹿の耐久レースで、ガソリン給油のたびにラップタイムが低下し、スタートからトップを独走していたにもかかわらず、入賞を逃してしまった。

何が悪かったのか、この結果だけでは判断できなかったが、後日、大手のチューナーから電話があり「燃料給油でピットインするとき、エンジンはどうなっていた」という質問を受けた。「何故ですか?」という問いに対して「給油中のアイドリングは出来ないことになっているので、それに変わる何かをやらなければ、ターボの軸が焼きついて、過給圧が上がらなくなるからね」という答。

確かにその通りで、ターボを常に回さなくても、ターボへ潤滑オイルを強制的に送り、冷却と潤滑を行うなどすれば、ターボの軸が焼きつくことはない。それをトヨタはやらなかったので、成績は・・・

他に何も装備はなかったか、ということの答えは、「何もありませんでした」ということで「それジャーあんな成績になって当然だ。という結論で電話を切った。

その後、エンジンに対する規則が変更され、ターボではなく自然吸気エンジンの使用が決まったので、トヨタは新しくV10、3.5リッターエンジンを開発。最初のシェイクダウンは鈴鹿サーキットで、富士スピードウエイほど最高速が高くならなかったため、エンジン回転リミッターが作動するまでにならなかったのだろうが、富士スピードウエイでは、グランドスタンドのゴールラインを過ぎたあたりから、エンジン回転リミッターが作動。

その状態を目の当たりにしたとき、そばにいたトヨタの関係者に「次の周回でたぶんガレージに入るでしょう」と話したら、怪訝な顔をしていたがその通りになった。

何故、その予測をしたかというと、当時のエンジンにある対策をしない状態で、点火の間引きでエンジン回転リミッターを使うと、その点火に関する刺激がイグナイターに回り込み、点火装置全体を不良にする、という状況を知っていたからだ。

何故そのようなことが起きるか。それは、バイクのエンジンも当時は単純に点火を間引く方式でのリミッターを使うメーカーがいて、試乗会当日にエンジン不調が表面に出ていた。

その状況を別のバイクメーカー関係者に話をすると「うちでも同様なことをやり、点火装置が壊れることを確認していたので、回転リミッターとして使う場合には、点火を間引くのではなく、点火を遅らせたり、2ストロークの場合には、排気バルブを閉じる方向へ変化させて制御している、という話を聞いていたからだ。

点火の間引きで回転リミッターとすると、リミッターが作動した瞬間から、イグナイターに点火信号がキックバックしてしまうため、点火装置全体がトラブルを引き起こす。

このような結果となることを知らなかったトヨタは、試走会で、みっともない状況を作り出してしまったのだ。

最初のトラブル状況を理解していなかったため、ガレージに入ってから装置を交換して、再度テスト走行したが、結果は同じで、数周後にはガレージに。

勿論、実際のレースでは、トラブルの原因は解決されていたため、それなりの結果は出ている

2023年3月17日金曜日

フロントウインドウ上側に有った、緑色のトップシェードと呼ばれるものは、アクセサリーだったのか・・・

 

このトップシェードを最初に採用したのは、たぶんアメリカ車。1960年代からのことで、その目的はカッコーがいいから、というものではなく、アメリカ大陸を東海岸から西海岸まで走ってみれば分かる。

大陸を横断する道は、当然西から東へと繋がるわけで、そうなると西向きで走行した場合、午後になると太陽がまともにドライバーを直撃する。

これ、かなりまぶしい。サンバイザーなどを使えば一時的には回避できるが、数時間その状態を保つのは肉体的につらい。

そのため、ちょうどドライバーの目に当たる部分をサングラスのような仕様にすれば・・・ということでその部分に色を付けた。こうすれば目的を達成できる。

これは、実際にアメリカ大陸を西から東へ、東から西への横断ドライブを行った者の経験談である。

2023年2月14日火曜日

雪道で使用するタイヤチェーンは、道路に降り積もる雪の状態によって、その種類を変えないと駆動力を高めることは出来ない

 

先日の雪、坂道で止まってしまうクルマに、金属タイヤチェーンを取り付けて、「さてこれで一安心、坂を登って目的地まで・・」と思っただろうが、そうは問屋がおろさない。

路上には舗装が見えるぐらいにしか雪が積もっていない。ということは、タイヤに取り付けた金属チェーンが舗装路に食い込んで・・・とはならないので、駆動力が発揮されるはずはない。

金属のタイヤチェーンが威力を発揮できるのは、圧雪路面で、踏み固められた状態の雪。この状態なら、タイヤチェーンは雪に食い込み駆動力が路面に伝わる。

固いもの同士では、力が相手に伝わることはない。そこで登場するのが、最近話題となっている『タイヤソックス』なる製品。

理想的な製品と考えれれるのは、スイスで開発された(日本のタイヤメーカーがライセンス生産していたことも・・・)イエティスノーネットであると経験上判断できそうだ。

2023年2月9日木曜日

少し前の出来事だが・・・拳銃を持たない相手に発砲して殺害したことは、果たして正しい行為だったのか

 

警察官二人が逃走するクルマ窃盗犯に対して、4発(結果的には5発で、その5発目は、拳銃をホルスターにしまうとき)の拳銃を発砲して殺害したことは、その犯人の行為を止めるために必要だったのだろうか。

かなりの速度で(100キロ以上、120キロは出ていたと言う目撃者も)パトカーの追跡を逃げていたと言うが、パトカーが追い上げるから、犯人は速度を上げたのだろうから、こういう場合は、パトカーが追跡を止めて、応援のパトカーを呼び、走行の前方でバリケードを張ればいいのでは。

日本は、アメリカのように道路幅が広くないわけで、そこでカーチェイスをやれば、それに巻き込まれる無関係の人が出ることは予想できる。であるから、狭い道路で必要以上の速度を出してのパトカー追跡はやるべきではない。

日本の警察では、アメリカのようにポリスアカデミーがないから、緊張を伴っての拳銃発砲に慣れていない。的だけを狙って拳銃に慣れるという行為は、規則的に行っている、と言う話を聞いたことがある。しかし、緊張が強かったのでホルスターにしまうとき、撃鉄を戻さず、指が引き金を引いてしまったのである。

でも人間の性として、絶対的に問題があるそのものを撃ち殺す行為に発展する場合がある。

このとき、そのまま犯人のクルマを自由にしたのでは、更に大きな被害が出ることを懸念するのであろう。だったらクルマを動かないようにエンジン周りに打ち込めばいいと思うが、エンジンに当たっても、そう簡単にエンジンが停止するような状況は難しい。

なので、タイヤに向けて拳銃を発砲し、パンクさせれば、クルマの絶対的行動を阻害することが出来きるわけだから、ここはタイヤに発砲してパンクさせることが正解。

ところが、テレビでこの事件が放映されたときの、元警察官は「タイヤに向けて発砲しても、直ぐに空気は抜けないので、意味がない」と言うような表現をしていた。

素晴らしい、この元警察官は、犯人が乗っているクルマは、ランフラットタイヤ(俗に言うノーパンクタイヤ)、或いはムースタイヤを装着していた、と即座に判断したのか。そんなことはあるまい。いい加減なコメントはやらないほうがいい。

この間違ったコメントは、後日の放映では消されていた。当然だろうな・・・

またその後の企画では、例えタイヤをパンクさせても無理やり走らせる人はいるから、それをやらせない行為として、拳銃を使うのはやむ得ない、という人物がいたが、果たして、簡単に発砲する口実を造り、人を殺してもいいのだろうか。

銃社会のアメリカなどでも、このようなことが発生すると、その後その警察官に事情聴取を行い、場合によっては処罰される。で、日本では、あのときの警察官が処罰されたという報道はない。

また、あの犯人の行動を止める行為として、いきなり身体に向けて拳銃を撃つのではなく、足を狙うとか。或いは、全てのタイヤに撃ち込んで、4輪ともパンクさせれば、いくら何でも走り続けることは出来ない。

更に、ガラスを割って、犯人の行動を止めることだって出来るはず。ただし、クルマのガラスは簡単に割れない。特にフロントガラスは合わせガラスで間にプラスチックを挟んでいるため、ここを普通に割ることは不可能。

しかし、それ以外のガラスは、先のとがった小さなものでの衝撃で、実に簡単に割れる。

クルマからの脱出用として、我が愛車にはそれ用のハンマーを搭載しているが、そのハンマーを使って実験したところ、軽く触っただけの力で、バラバラになった。これは強化ガラスの特徴だ。

運転席側のガラスを割ってから、犯人に対して、投降を説得するとかの方法もあっただろう。

2023年2月2日木曜日

FWD車の試乗会で見つけた、とんでもない設計

 

それは、当時あたりまえに取り付けていたO2センサーと、そこから伸びるコードレイアウトで、とんでもない状態にあるものを見つけた。

発表会のときにはそこまで観察していなかったが、試乗会となると、ボンネットを開けてエンジン周りを観察。暫くすると必ず設計者が寄ってくる。

そこで、何か問題点を見つけて、設計者をギャフンと言わせるものがないか観察していると・・・

FWD横置きに搭載されたエンジンは、今の設計と違って、インテークはバルクヘッド側で、エキゾーストはラジエター側であり、O2センサーがラジエターの直ぐ後ろに位置する状態でエキゾーストマニホールドに取り付けられているのは当然なのだが、そのO2センサーから延びるコードがエンジンが振れることで、疲労破断しないよう、ボディ側ではなく、エンジン側で最初の振れ止めが必要で、これは絶対に重要。しかし、そのクルマはなんとボディが最初の振れ止め固定になっていた。

FWD車の場合、アクセルの開閉で、シリンダーヘッドは、大きく前後に振られるため、その振れる大きさを計算して最初のコード固定場所と、どのくらいそのコードに余裕を持たせるか、考えるわけだが・・・

最初の固定場所をエンジン本体のO2センサー近くに持ってきて、その後、そこから十分な余裕を取って、メインのワイヤーハーネスと接続する、という方法があたりまえなのだが。

O2センサーからのコードを、いきなりボディに振れ止め点を作れば、そのコードはO2センサー側で疲労切断するのは、短時間で起きることは予想できる。なぜそこに行き着かなかったのかは不明。というより、試乗会で私のそばにやってきた開発者は、そのことに対して、何も答えることは出来なかった。