研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2020年11月17日火曜日

JRがCO2削減として、環境に優しい電力を使用する、といっていたが・・・

手っ取り早い話が、ディーゼルカーを止めて、水素を燃料としたFCV(正確にはFCETか?)にするらしいが、そのシステムはどのようにするのだろうか。自動車で実績がある、水素ガスを高圧タンクに溜めて、そこから使用する水素を取り出すのだろうか。

 

でも、それでは効率が悪い。俺が考えるとしたら、液体水素(液体そして貯蔵するには、低温状態としなければならないので、液体窒素などのデバイスが必要だが)として使用するには、蒸発しないよう保つ装置が必要でこれだと効率が悪い。また、走行前の準備に時間とお金が掛かる。

 

だからといって、液体水素は魔法ビン状態の高圧タンクに溜めても、それを完全密閉したのでは、タンクが破裂(どこかのメーカーに液体水素を密閉した状態にすると、どの位の圧力となるのか聞いてみると「地球が破壊するぐらい」と言う返事だった。つまり計測できないらしい)してしまうから、常にパージさせておく必要がある。

 

これまでBMWが液体水素を燃料とした自動車を開発したとき(FCVではない直接水素も燃やす)、液体水素タンクからのパージ圧力は、5気圧だったと記憶する。そして、BMWでは、パージした水素を外部にある燃料電池に使用し、バッテリーに蓄えたと言う。

 

パージは24時間、水素がなくなるまで行われるのだが、おおよそ1週間で、液体水素は空になると言うことだった。

 

そこで、JRが使うとしたら、どのようなシステムを組めば効率がいいのか考えてみた。ひとつは魔法ビン状態の高圧タンクに液体水素を貯蔵する。この実験は数十年前に自動車を使った(ニッサンフェアレディZ)走行コンペティションとして、アメリカ横断レースに参加した実績がある。

 

当然そこから水素をパージさせなければならないので、そのパージさせた水素ガスは、別の高圧ボンベに溜める。高圧とするには別にコンプレッサーが必要だが、動力は十分にある。そのボンベも一杯になったら、BMWのように、液体水素ボンベからパージした水素ガスは、燃料電池用に使用し、床下にあるバッテリーに充電する。

 

システムはかなり大きくなるが、電車の床下にはそれ以上のスペースはあるはず。

 

電車は燃料電池からの電気で直接走らせる必要はなく、現在市販しているFCEV同様に、一度バッテリーに充電したものを使用すれば、負荷変動による燃料電池スタックの劣化も少ない。

 

ついでだが、液体水素と言うと、非常に危険で、爆発し易い、と誤解している方が居るだろうが、実は、低温貯蔵の状態から、それを大気に出して、火を点ける事をやっても、まず無理だと言う話。大気温度ではなかなか蒸発してくれないし、例え蒸発しても、軽いのでアッというまに上昇し、その場にとどまっていない。

 

また、火が点いたとして、その火の温度による蒸発が促進しても、蒸発量は僅かのため、チョロチョロと燃える程度だと言う。

 

水素ガスを使った飛行船の事故というと、着陸時に火災となったヒンデンブルグを思い浮かべるが、飛行船ヒンデンブルグが燃えたのは、水素に火が点いたのではなく、飛行船の外壁に塗装された塗料が紫外線により劣化し、着陸時に飛行船に溜まっていた静電気が、地上との間でスパークし、その塗料が発火したと、NASAが結論をしているので、気にする必要はなさそうだ。

2020年11月6日金曜日

旧車モトクロス 今年11月に行われた大会は、コロナの影響か旧者の出番は少なく、中年層がガンバッテいた











旧車イベントが楽しく開催されている。特にモトクロスは、マシンは手造りOKだし、エキサイトになることは少なく、とにかく、一日良い汗をかこう、が基本で楽しく集まり、楽しく情報交換をし、昼飯はバーベキュー、なんていうチームが多い。

一人で参加する方はいないようで、家族や親しい仲間、みんなでワイワイが基本。

数十年前なら、旧車のモトクロッサーは所有していたし、その後でもオフロードモデルをベースに改造した、とてつもなく速いモトクロッサーを自作していた。

排気量が大きなものから、当時のミニバイクと呼ばれるクラスまで、数多くのモトクロッサーを改造して造り、桶川のモトクロスコースに持ち込み、走りを楽しんでいた。あの時代に戻りたいものであるが、そうは行かないので、このような旧車のモトクロスを見ることで、当時を思い出したり、知り合いに、当時の話をして楽しむことにしている。

2020年11月2日月曜日

最近問題となっている自転車の走り方と行動について

自転車の走り方がおかしいことの原点が、「人は右、クルマは左」と言う交通規則にある気がしている。

なぜかと言うと、自転車に乗る前の行動規則としては、対面通行でクルマは左、人は右、と言うのが日本の法律。小学校に入ってからも、しつこくこれは徹底するのだが、そのうち自転車に乗るようになると、これが逆になる。

で、人間の行動と頭の経験は、そんなに簡単に切り替わらない。まして子供となるとなおさらで、最初に覚えたことを生涯やり通す、なんていうことが起きる。

その状態は歳を取っても続く。そして歳に関係なく行動が残り、自転車はどこを走ってもいいのだ、と言う気持ちが植えつけられる。

これを、クルマ同様に人も左側通行の規則にしたら、現在のような自転車の行動はおきにくいのではないだろうか。そして、人は左側を歩くのが自然の行為と言うことが、街の中を注意して歩けば当然分かる。対向してくる人は90%以上右側を(つまり左通行)歩いてくる。

意図的にそうしているのではなく、自然の行動だから難しい。だったら、人もクルマ同様に左側通行に規則を変えればいい。

実は、私自身意識して右側を歩き、対抗してくる人がいたら、下や横に視線をずらし、その方を無視するように意識すると、対抗してくる方は、たいていは避ける。

しかし、気にしている私でも、右側を歩くと言う意識がなくなると、いつの間にか左側を歩いている。

なので、人も左側通行として、対面通行をなくせばいい。対面通行になった理由は「日本は道路が狭いので、前方から走ってくるクルマが見えたほうが事故を回避できるから」と言う話を数十年前に聞いた記憶があるが、その発想は誰がいつ決めたのだろうか、改正する気はないのかを知りたい。

そして、自動車先進国の諸外国は、対面通行かどうか知りたい。

2020年10月14日水曜日

AT車の暴走について、高齢となったらMT限定、それもいいね

池袋の悲しい交通事故について、どうしたらあのような暴走をなくすことが出来るかの論争が各所で起きている。

 

高齢者からの免許取り上げということは簡単だが、それでことが済むはずもない。

 

アクセルとブレーキペダルの踏み間違いによる暴走だから、MTのように3ペダルとすれば、それを踏み間違いするには、かなりの訓練???が必要となるほど難しい。ので、暴走事故はなくなるだろう。

 

ただし、何十年にもわたってAT(2ペダル)だけを運転した方にとって、いきなりMT運転と言うのは「無理」。教習所へ再度入学して訓練しなければ、運転することは出来ないと言える。

 

運転免許を取るとき教習所でのTA限定免許ではなく、限定無しの状態でも、ATを何年にも渡って運転してきた方は、いきなりMTと言うことになって、それを普通に運転できるのだろうかと言う疑問もわく。でもそれを受け入れざるを得ない。果たしてうまく行くかな。

 

そこで私が常に提案しているのが、健常者だったら左足でのブレーキ操作である。

 

左足でブレーキを踏むと言う癖をつければ、アクセルとブレーキの踏み間違いなど起きようもないのだから。

 

左足でのブレーキ操作をすると、エンジン始動時に左足でブレーキペダルを踏み、発進時にNからDにシフトする(ブレーキペダルを踏んでいないとセレクターは動かない)時にはブレーキペダルを左足で踏んでいるわけで、そこからアクセルを踏まずに、ブレーキペダルを放したクリープ走行状態をつくり、穏やかに発進して、それから穏やかにアクセルを右足で踏みつける。

 

こうすることで、いきなり強い加速力が発生しないため、ビックリすることもなく、前方を走るくクルマについていける。

 

左足でのブレーキ操作が出来るようになると、MTの運転がまともに出来なくなるのでは、と言う疑問を持つが、心配無用。人間とは非常に優れた神経と学習能力を持っているようで、MTに乗れば、普通にそのクルマの仕様を理解し、サーキットでのレースにだって適応する。

 

その証拠に、マイカーはMTで、メーカーの試乗車はAT。どちらも問題なく、助手席に乗る(運転免許を持っている)方が、違和感を覚えるような状態にはならない。おしゃべりしながら、接近してくるクルマに気を配りながら、周囲に合わせた走行をやれているからだ。

 

教習所ではAT限定の教習で、左足でのブレーキ講習を行えばいいのだが、お役所が左足でのブレーキ操作を許さないらしい。でも別のお役所では「左足でのブレーキ操作をする方もいて、そのときにアクセルがしっかりと戻っていないと、ブレーキ性能に影響が出るので、ブレーキペダルを踏んだらアクセルが戻る装置をつけることが望ましい」。というわけで、現在のクルマにはブレーキ優先制御(ブレーキオーバーライド)と言うシステムが組み込まれている。これは、電子制御となっているからできる技なのだ。

 

なぜ?左足でブレーキペダルを踏んではいけないのだろうか。このような決め事(法律ではない)を決める方は、自分でクルマを運転しない方であろうから、実情に即したものとはいえない。

 

感覚的にブレーキペダルは右足で踏む、と言うことにこだわるようだが、なぜこだわるのか理解に苦しむ。

2020年10月11日日曜日

池袋の事故で、被告とTVコメンテーターに言いたいことがある

これは被告だけではなく、TVに出ているコメンテーターに対しても言えるものだ。

 

それは、いくらアクセルがトラブルを起こして、戻らなくても(フライバイワイヤーなので、機械的にスロットルバルブと連結していない)、ブレーキペダルを踏めば、クルマは停止状態まで持ってこれると言うこと。

 

踏力が足らなくても、速度をそれ以上にしない状態にはなる。或いは、少しずつでも速度を低下できるはず。また、プリウスの場合(トヨタ車の多くは)、ブレーキブースターは吸気管に作用するバキュームではなく、油圧ポンプによるブースターなので、いくら多くブレーキペダルを踏みつけても、ブースター能力が低下することはない。

 

そして、ブレーキの性能は、エンジンの出力よりも勝っているのであるから、速度が上昇することはない。

 

このあたりをTVコメンテーターはしっかりと説明して、視聴者を納得させる必要があるのだが、なぜそこに至らないのか不思議でならない。

2020年10月8日木曜日

ホンダとトヨタがF1のコンストラクターをやっていたとき、ケチをつけに担当者のところへ

今でこそ、当然のことが、当時は「それでいいの?」と言う内容の開発と目標が実しやかに発表されていた。

その内容は「完走を目標にする」ということで、トヨタでは記者発表のたびに言っていたのだ。

 

完走を目標にしたら完走できるデータを得られても優勝できるデータは得られないので、いつまでたっても優勝はない。エンジンの一部が破損しても、それを元に開発を進めれば、いつかは優勝となる。海外のレースをやるチームでは、当然のように「完走なんて要らない」、と発言していたのだ。

 

完走目的で走らせば、それ以上の結果は出ない。優勝出来そうな走り方をすることで、エンジン周りにトラブルが発生したら、そのトラブルが出ない改良をやる、それを繰り返せば、いつか優勝できると言うのだ。

 

そこで、トヨタの発表会のとき「いつまで完走目的にするのですか」と言う質問をするつもりで、質問時間に手を上げたのだが(当時の社長も、私が手を上げ続けていることがわかり、司会者に対して、しきりにアクションを起こしてくれていたが、広報が決めた人以外、指名されることはないと分かったので、終了後に、素早く開発責任者(以前からの顔見知り。グループCのエンジン担当もやっていたので)のところへ飛んで行き、「いつまで完走を目標にするのですか。それだと優勝に結びつかないのですが」と言ったところ「そうなんです。ですから今年から攻めにせめて、優勝目標のデータを集めます」と言う話をしてくれた。

 

そばにいた、他の記者さんたちも、この質問と開発担当の話は、レースと言うものに対する目標として、十分に参考となったはずだ。

 

その日の午後にはホンダがF1の新しいエンジン発表会を行うと言うので、そこにも出かけた。

 

当時のホンダ技術研究所の社長(後に本田技研工業の社長となる)は、10年以上も前から取材などでいろいろと関係があった方。基本的にはバイク開発の責任者を努めたので、そこからのつながりは深い。

 

一通りの説明の後、記者からの質問となるが、難しいこととなると、質問は出ない。

 

そこで、「福井さん、完走は要らないですよね。あくまでも優勝狙いのデーターが必要ですよね」と、傍から見ると、とんでもない質問を大勢の前で声を大きくして言ったもんだから、周りは一瞬静まり返ったが、次の瞬間「その通りです」と、福井さんの返事に、他の記者さんたちは、納得してペンを走らせていた。

アーア

2020年9月24日木曜日

トヨタが試作した2ストロークエンジンについてケチをつけた16

トヨタがポペットバルブ式2ストロークエンジンを試作したことがあったのをご存知だろうか。当時は、2ストローク開発が盛んで、スバルが開発していたのはポペットバルブではなく、バイクエンジンのようにシリンダーに開いたポートで吸気と排気のタイミングを取るもの。

もちろんスーパーチャージャーを装備し(クランク室の1次圧縮がないから、過給装置は絶対に必要)、クランク室はウエットサンプで、オイルリングが取り付けられているのは当然。 排気タイミングも重要で、当時バイク(ヤマハのYPVSとかホンダのATACなど)でしっかりと開発が進行していた構造を採用した。しかし、実験で造ったのは1シリンダーモデル。これでやれると思い、4気筒としたら、排気タイミングの機構が動かない。

更にクランク室のオイルが燃焼室に入り、排気煙がひどいばかりではなく、アイドリング回転も高くて普通に走行できる状態ではなかった。 そんな状況は、実際にそのスバル2ストロークを研究所に取材に出かけていたので、目の前で見ていた。単気筒試作エンジンを造った方と、その実験結果をマルチシリンダーに使って設計した方が違っていたのは、不思議なことだった。

原因は、各シリンダーの熱が、他のシリンダーにどのような影響を与えるか、と言う考えに及ばなかったこと。「聞いてくれれば教えてあげたのに」と、開発者に申し上げたが、失敗作扱いで、すでに開発は終了していて・・・

話は代わって同時期に、トヨタが試作した2ストロークエンジン試乗会での性能を、フリーライターから聞いて「どのように設計したのかを想像できた」 その性能は、とにかく回転が上がらない。動くことは動くが、走ると言う表現は使えない。回転計を見ると2000rpmが精一杯、と聞いていたので、おおよそ見当がつく。

そして、その年のモーターショーにそのエンジンが展示されていたので、開発者を捕まえて、かなり強烈な質問を浴びせた。 「このエンジンは、ヒョットすると、4ストロークと同じように、吸気側のバルブが大きく、排気側が小さい設計ですね」と言ったものだから、その担当者は「その通りです、よくわかりましたね」と言ってきたので、「いくら過給しているからといって、その過給圧で排気と掃気を考えた場合、吸気バルブと排気バルブの開口面積は、4ストロークと同じに考えたのでは、ただ始動できるだけのエンジンとなって、中身がないでしょう」、と言ったものだから相手は少しビックリ。

バイクエンジンのように1次クランク室の過給圧を利用して、掃気と排気を行えれば、それに越したことはないが、ポペットバルブを使用した2ストロークとなると、そんな理論は通用しない。

スーパージャージャーを採用して、その圧力により僅かの時間に開いている吸気バルブから空気を押し込み、僅かな時間に開いている排気バルブから排気ガスを押し出し、かつ、シリンダー内に新気となる空気を十分に送り込ませる必要がある。 吸気工程が存在しないと言っても過言ではない状況だから、それは非常に短い時間で完結させなければならないわけで、そうなると吸気側のバルブは小さくして(1シリンダー4バルブだったら、3ブルブを排気側とするなど)、過給圧を高くし、しっかりと空気を送り込みながら、掃気と排気を助ける設計が絶対に必要だからだ。

ここに行き着かなければ、2ストロークポペットバルブエンジンは実用化しない。 また、カムシャフトはエンジン回転数と同じに回転し、バルブの開閉もそれに合わせて、4ストロークの倍となるため、バルブそのものやバルブスプリング、リテーナーなどの関係パーツは、チタンなどの軽量素材を使う必要がある。 その後に他のメーカーが試作した同様な機構の2ストローク軽自動車のエンジンでは、ムービングパーツの全てをチタンとしたものが、モーターショーで展示されたこともあったが・・・

トヨタの場合、そのモーターショーには別の2ストロークエンジンが展示されていたと思う。排気量の小さな(600ccだっだと思う)2ストローク2気筒の試作エンジンで、スーパーチャージャーはルーツではなくリショルム式が採用されており、過給圧を高めてエンジンとしての資質に成功している。 この試作エンジンを搭載した試作モデルの取材申し込みにも広報を通さずに可能となり(後日話はしたが)、当時の東富士研究所に出向き、エンジン音や走行状態を見て、その完成度の高さに驚かされたが、やはり製造コストの問題が尾を引いており、量産化にはならなかったのは残念。同時期にヤマハも同様なエンジンの開発をやっていたと言う記憶があるが、取材していないので詳細は不明だ。