研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2014年6月23日月曜日

ストレスを感じない場所での、ニッサン・スカイライン200GT-t試乗記


一般道を走らなかったので、周りからのストレスや注意する方向などが違うため、いいことばかりを感じてしまったが、これが全てではないことをお断りしておきたい。
テストコースにはわくわくするスカイラインが待っていた
これがダイムラー製の2リッター4気筒ターボ。エンジンルームに余裕があるため、パイプ類の配置や取り回しにもストレスがない。当然過給率は高く安定する
 

こりゃ、最近のハイブリッド・スカイラインとフィーリングがまるで違うぞ


ハイブリッド装備で発売・話題になっているスカイラインに、ダイムラー製の2リッターターボエンジン搭載モデルが追加された。それも、ただ単に追加されたのではなく、エンジン特性に見合った足回りの改良で、重厚な感じを強く前面に出さず、奥にしまいながら、必要なときにはそれが表面に出る、そんな感じでまとめられていた。

試乗はニッサン追浜工場内にあるテストコース。指定されたコースは直線が少なく、最高速はせいぜい120km/h程度。周りからのストレスを受けない状態なので、ほんの触りだけの感じを書いてみたい。

運転席に滑り込みシートとステアリングの位置を合わせる。助手席には関係者がいるので、コースの案内はしてくれそうだが・・・

多少緊張気味でATのセレクターをDポジションに。強いクリープはなく、ブレーキペダルを放しても直ぐに動き出さない。

ゆっくりアクセルペダルを踏みつけると、4気筒とは思えないほどの奥ゆかしさでスルスル走り出すのだが、そこから更に大きくアクセルを踏み込めば、気持ちのいいエンジン唸り音と背中に感じる僅かで気持ちがいい振動に癒させながら、速度は思った以上に高まる。

ダイムラー製のエンジンながら(失礼)4気筒とは思えないスムーズな回転上昇とその鼓動と振動は心地よい、と表現しても言い過ぎではないだろう。

もちろんターボの装備はエンジンのネガティブな部分を削除するように働くのは周知の事実。アクセルを踏み込んだときの負荷振動ばかりではなく、エンジンが出すノイズについても、ターボを取り付けることで穏やかになる。その効果がスカイライン200GT-tでは大きいということ。相性がいいとも言えそうだ。
本来V6を搭載するように作られたエンジンルームは、レイアウトに余裕が出来たため、換気性能にも優れることで、性能は安定する
ステアリングにATのパドルシフトが装備されていることを忘れて、運転を楽しんでしまった。それでも思ったような反応を示した
 
テクニカルなニッサン追浜のテストコースであるから、ハンドリングに関しては、素性が出てしまう。

で、その素性はというと、これまた、たまらく素晴らしい。サスペンションは柔らかくても(一般道ではわからないがテストコースで感じた範囲)ステアリングをコーナーの出口に向けながらアクセルを踏み込むと、引き込まれるような感覚で、期待以上の走りを見せる。クイックではないくせにタイヤの粘りはスポーツカーのごとくであるが、その感触は穏やかなスポーツカー???かもしれない。

ラック&ピニオンの取り付け位置、タイロッドの取り付け角度など、ロールステアが微妙に効いているようで、そこにキャンバースラストがバランスよく加わっている感じだ。

 とにかくガサツさがなく、素直で気持ちがいい。

最高速は抑えたが(初めての走行で1周限り)、120キロから突っ込むブラインドコーナーでも、アクセルはゆっくりと踏み込みつつ、速度が上がってトレースラインからずれるようなときにも、左足でブレーキペダルをス~ス~と、軽く踏みつけてやれば、確実に狙ったラインをキープする。
運転席に座りGoの合図を待つ。助手席には関係者が乗っているけれど、特別アドバイスがあるわけではなかった
 
これが可能なもの、素晴らしいブレーキ性能と、素晴らしいブレーキペダルの踏み込み感触があるからで、全てのクルマに使える話ではない。

7速ATの素晴らしさだけではなく、エンジン特性についても優れたものがある。ターボが装備されているのだから、当然のことであるが、最大トルクが自然吸気エンジン3.5リッター並ある(350N-m)。しかも、その最大値が1250~3500回転という範囲の、日常で一番使用頻度が高いところに持って来れたのも、走りの素晴らしさに結びついているといえよう。

2014年6月21日土曜日

おじいちゃんはモトクロスライダー


歳を取っても好きなことに取り組んでいる方はとても元気である。そのいい例が、運動能力が必要なバイクのオフロードレース、モトクロスである。見に行くのではなく、実際に自分の体力を考えたクラスに参加するのだ。

MCFAJが主催するモトクロス。アマチュアのバイクレース団体だから、オフィシャルも会員がやる。レース出場を兼ねて楽しむ方も多い
 
MCFAJ(全日本モーターサイクルクラブ連盟)が主催するモトクロスには、セニアクラスというものがあり、これはテクニックではなく“シニア”なのである。そのセニアクラスは、セニア50、セニア60、セニア70というクラス分けがある。

そう、この数字は年齢を表すのだ。セニア70は70歳以上というクラス。それにエントリーしたのは野田ジュニアレーシングの斉藤城太郎さん70歳。

一番手前のゼッケン71が斉藤さん。楽しむレースだから、怪我をしないように、余裕を持ってアクセルを開けたいが、いざスタートとなると、それを忘れるのが玉に傷
 
使用するマシンに排気量制限はない。斉藤さんはヤマハのYZ85(85cc2ストローク)で参加したが、同時に出走するセニア60クラスでは、ホンダの4ストロークマシンCRF450R(450cc)を乗りこなす方もいる。
 
 

当然、若い方々は成績はいいが、成績を気にしながらレースをやるわけではない。楽しみが最優先で、それで更に成績がよければそれに越したことはないのだ。

セニア60クラスで総合優勝した芹沢さんは64歳。マシンはホンダのCRF450R。2位の赤松さんは68歳。マシンはホンダのCRF150R(150cc)。

いやはや参った。元気そのもの“おじいちゃんは元気でモトクロス”。斉藤さんのご家庭は、お孫さんまで3代に渡ってモトクロスライダーなのだそうだ。これが家庭円満の秘密か!!!
斉藤さんクラス1位。やった~表彰台。でもセニア70クラスは出走台数が1台だったため、賞典外
 

2014年6月16日月曜日

初めて得た情報が間違っていても、それに疑問を持たない限り、その情報が市民権を得る悲劇


いろいろなところで、このような状態が起きている。最近では原発事故に関する放射能被害についてだが、我々の得意分野でも10年経ってやっと真実が一人歩き出来るようになることは起きている。

それは、アメリカ最大のレースであるインディ・シリーズに使われる燃料についてである。

インディ・シリーズに限らず、アメリカでは(オーストラリアでも)アルコールを燃料にすることが義務図けられているレースは多いのだが、なぜアルコールなのかを正しく報道するメディアやジャーナリストは存在せず、数十年が過ぎてしまった。それを正しい情報(それほどではないが)にしたのは、私が日本のツインリンクもてぎで行われることになった、CARTシリーズの取材と、記者発表を記事としたときからである。

そもそも、ツインリンクもてぎに造られたオーバルコースは、アメリカのCART(その後インディとなる)レースを招致することが目的。その当時からマシンの燃料はアルコール。それを使うわけだから、アルコールに対応した火災消火対策が装備されて当然のはず。

そのことについて、まだツインリンクもてぎが正式オープンしていない時期に、当時の初代社長・Kさんと2代目社長のSさんにお会いしたとき、「何故CARTやインディでは燃料がアルコールなのかご存知ですか」という質問をした。

 

その答えは「・・・・・・」で、回答なし。

そこで「アルコール(当時は毒の強いメタノールだがその後エタノール+数パーセントのガソリンに変更)は水の仲間ですから、火災の消火は水でOKなのです」。「インディ500のレースは見に行かれていますね。そのとき給油後にピットで、なにやらドライバーに吹きかけているシーンは見ていると思うのですが、それが何かはご存知ですか」と問い詰めると、「・・・???」で、これも回答なし。

「あれは水を吹きかけているのです」「給油中にこぼれたアルコールを限りなく水にすれば、火災は起きませんから」と説明。

「ということは、ツインリンクもてぎのオーバルコース(スーパースピードウエイ)のアルコール燃料に対する消火用の散水システムは、当然設計されていないのですね」、の質問に対して「水で消火できるという認識を持っていなかったので、何もありません」という返事。

しかし、その後の言葉は、非常に前向きだった。それは、「今からコースの内側に散水栓を取り付けることは出来ないが、スーパースピードウエイのピットには、雨水排出用の側溝があり、グランドスタンド側からパドックまで、太い水道管が引かれているので、そこから側溝の中に水道管を通せば、ピットに散水栓を造ることが可能なので、すぐにやります」という返事を得た。

 

その結果が、見ればわかる、後付けの散水栓である。

これが私のアドバイスにより後付けされた散水栓と蛇口。スーパースピードウエイのピットウォール内側排水側溝の中に水道管を無理やり通しているので、仕上がりは悪いが、メカニック達は喜んだ。消火用の水が手元にある。パドックから運ばなくていいし、いざとなればコックをひねって消火用に使えるからだ
 
何故このようになってしまったのか。それまで、ホンダは数多くのジャーナリストたちをインディ500に招待してきた。しかし、彼らはそこからレース場として必要な情報を何も得てこなかったからである。疑問を持っていなかったのだから仕方がないかもしれないが・・・

ま、インディ500を見に行かなくても、燃料にアルコールが使われ、それは日中に火が付いても見えないけれど、水と同化するので消火は水でいい、ということはわかっていたはず???

それより以前の話として、何故ガソリンや軽油からアルコールになったかの経緯を知っていれば(私のように)、当然、ツインリンクもてぎのスーパースピードウエイに消火用の散水栓は設計図の中に入る。

燃料をアルコールに変更した理由は、クラッシュの多いインディ500で、いったんマシンから火を噴くと、簡単には消火できず、それまでには多くのドライバーが悲しい事故死を遂げていたからである。

更に、アルコールは気化熱が大きいので、アルコールをたっぷりと含んだ状態であるとやけどし難い。コーヒーメーカーに使われるアルコールランプは、親指と人差し指で火の付いた芯をつまんで消火できる。芯も綿である。これが灯油ランプ(芯はアスベスト)だったら“ジュ”といって火は消えず火傷するだけ。実験結果から明らか。

さ、そこからCARTやインディレースで、使われる燃料がアルコールである理由の間違い報道。ある著名なジャーナリストがインディ500解説のテレビ中継(録画)の中で「アルコールを使う理由は、環境にやさしいからです」と発言。

毒性の強いホルムアルデヒドが多く発生するメチルアルコールは、ひとつも環境に優しくないはず。そのため、熱エネルギーは少ないが、十数年後にエチルアルコール+数パーセントの(2%だったかな)燃料に切り替えたのだ。

また、メチルアルコールはアルミやゴムを溶かすので(特に温度が高いと)レースのパドックではメカニック達は大変。何が大変かというと、走行が終了するたびに燃料ラインを完全に洗浄し、次の走行に備えなければならないのだから。エチルアルコールではその心配が要らないので、その分楽になった。

更に、数年後のテレビ中継でもこんなことがあった。ガソリンとアルコールを入れた小さな缶に火をつける。アルコールの方はカゲロウが立ち上るだけで、炎は見えない。「いよっ、これは水を掛けて火を消す実験か。やっと真実が・・・」と思ったら、いきなり照明を消し、「アルコールは日中だと火災が見えません。暗くすれば火の付いていることがわかります」「そのため火災については特に気を付けています」で終わり。

これらの発言と報道が、以後長く日本におけるCARTやインディのレースで、燃料にアルコールを使う理由として、ツインリンクもてぎで行われるCART(その後インディに)のプログラムにも、燃料がアルコールあることの間違いは、約10年間毎年同じ内容で印刷されていた。でもあるとき、やっと、アルコールを使う理由の正しい記事が載ることになった。もてぎでインディをやるようになってから10年後だった。

もちろん、私自身は、当時在籍していたクルマいじり雑誌の中で、毎回、アルコールを使う理由を記事に出し、環境にやさしいからだという情報は間違いだ、という表現をし、ツインリンクもてぎの関係者にも、その旨を伝え続けて、やっとである。なんとも情けない話だが、ほかにも同様な間違いによる間違いの報道はある。ヤハリ、新しい情報はある程度の疑問を持って取り組んだほうがよさそうだ。

なお、インディ500のレースを見ていると、コースの内側にある芝生には常に散水がなされており、ドライバーがそこに転がって火を消すことが出来るようになっている。だいぶ前だが、F1ドライバーだったN・マンセルがコンクリートウォールにヒットしたとき、いきなりマシンから降りてきて、その芝生の上で転げまわっていたことがある。こんなことも見逃してはいけないのだが・・・

2014年6月14日土曜日

バイクのナンバーを取らなくても、所有しているだけで税金がかかる???バイクだけではなかった


私の住む市では。以下のような規則がある。「軽自動車税は、原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車に対し、その所有者に課する」というもの。
確かに、第四百四十二条の二にそのような理不尽なことが書いてあるが、すんなりと了解できるものではない
 
つまり、ナンバーを取って公道を走行できる状態でなくても(廃車してあっても)、車検の必要な自動二輪車、軽自動車などでも税金は納めろ、という話らしい。

 

この事態に遭遇したのである。それは、10年以上乗らずに廃車していた自分のバイク。75cc原付のだから、維持費が安いし手軽なので、セカンドバイクとしてナンバーを取ろうとしたときに勃発。

 

区の窓口で応対してくれた女性曰く「ご自身で所有していたバイクですね、10年前に廃車していても、3年さかのぼっての税金を納入していただく必要があります」というのである。

このような規則になっているらしいが、言い回しが複雑すぎて何を言っているのかよくわからない。煙に巻いて納税させようとしている、と表現されても仕方がない文章だと思うのだが
 
そんなバカな、拡大解釈ではないですか。窓口の女性も済まなそうに同情。スッタモンダしての対策は、知り合いの中古屋さんから購入したことにする販売証明書をもらってくることでとりあえず引き上げた。

 

しかし、すでに私の素性は担当した窓口の女性にわかっている。そこに虚偽の販売証明を知り合いに発行してもらうのは、その知り合いに迷惑がかかる可能性がある。

 

数日後に再度、市の窓口を訪れ「中古屋から販売証明はもらえませんでした」「ですから、知り合いから購入したことにします」というと、「その方が市内の方ですと、納税義務が発生します」という話。

 

「では、書類が何もないバイクにナンバーを付けたいとなったら、どうするのですか?」と聞いてみると、「そのような場合は、盗難車ではないという証明が必要で、その書類がここにありますから、イシ刷り(フレームナンバーを鉛筆で写し取る)を添付して、必要事項を書き込んでいただければ結構です」、ということで一件落着。

 

それなら簡単。すでに盗難車ではないことを窓口の女性は認識しているし、お役所だから、書類さえ揃っていれば、問題なく通るようである。
 
 

2014年6月1日日曜日

クルマやバイクに関係ないけど、アイディア商品だと・・・


アイディア商品を作ったので、興味ある方は見てほしい。それは、ガスコンロに組み込まれている魚(だけではないが)焼きの網掃除に関するもの。

 

ガスコンロの魚焼き網掃除は、現在のガスコンロを購入(10年近く前)してから、どういうわけだか私の役目になっている。

 

この網は、魚の皮などは焼き付くので、たわし等でこすったぐらいでは落とすことはできない。金タワシでゴシゴシもいいが、汚れが金タワシの中に入り込み、それを放置できない性格であると、タワシの掃除が大変。

 

そこで考えたのが、ステンレスの板を使った掻き落とし工具。

面倒な清掃が短時間で終わるように考えた焼き網掃除工具。ボール盤と金属用ドリルがあれば製作・加工はできる
 

製作した焼け焦げ跡掻き落とし工具の寸法は、厚さ1.5mm、幅15mm、長さ約150mmというサイズ。ベストなサイズといえないが、網の部分に対する差し込み易さなどを計算すると、この寸法に収まった。

こんな感じに差し込んで網に付いた焦げ跡を掻き取る。ふたつの穴を開けそれを繋げるような切れ目を入れたのは、片側からの清掃作業で上下の清掃ができることを目的にしたため
 

掻き落とし部分はドリルで穴をふたつ開け、その部分が連結するよう金ノコで切れ目を入れる(お尻の形になる)。この部分は実際に魚などが乗る部分の網を清掃するために使い、網の骨格となる周りの太い部分に対しては、別にひとつだけ穴を開け、その穴に切れ目を入れることで成り立つ。

 

お尻の形にした部分では、一度その部分を焼き網に通せば、網をひっくり返さなくても、裏表から左右まで、全周の清掃が可能となる。これでめんどくさい作業が少なくなるのだ。

焼き網の骨格となる部分は、この様な形の加工を行い、使い易くした
 

網の骨格となる太い部分については、清掃工具を大きく動かせないので、頻繁に位置を変えることがし易い形とした。

10年物とは思えないほどきれいに清掃ができる。これまで掻き落としができなかった部分も、このように金属肌が出た

2014年5月28日水曜日

2014年、第24回人とくるまのテクノロジー展で見た


毎年パシフィコ横浜で行われる「人とくるまのテクノロジー展」(自動車技術会が主催し、今年は5月21日から23日までの3日間)。ここでは自動車技術の現在と未来が展示され、非常に興味深い内容があり、今年の来場者数はかなり多かったのではないかと思う。


パシフィコ横浜で行われるイベント。自動車の現在と未来に関するものが展示され、入場料は無料だ

 

その展示内容で、ヤハリと今更を見つけたので、アップしたいと思う。

 

最初は、ヤハリである。それは家電メーカーがEV業界へ積極的に参加し始めたこと。

何を隠そう、三菱自動車がi-MiEVを発売したとき、「これからは家電大型量販店の**カメラ、**電気などがもっと安いEVの販売を行うようになるのではないか。そのためには、自動車メーカーが開発したボディを積極的に販売すべきで、場合によっては、重要保安部品を組み込んだ、街工場でも安全性が高く、高品質なEVの製作ができるような環境作りが必要で、先陣を切ったメーカーはそのようなことを考え、やるべきでだ」、という話を開発者にしたことがある。

何故そのような発想に至ったのかというと、EVの製造コストで高価なものはバッテリーとそのシステム(モーターやインバーターなど)であり、そのふたつのコストが下がれば、EVはもっと買いやすくなる。

エンジンが無いということは、簡単に自動車が造れる、ということなのだ。ただし、衝突安全などの条件も満たそうとすると、街工場では無理。どうしても自動車メーカーが製造したボディが必要となる。

更に、どのように使用するかで、仕様の違うものがあるとしたら、それを選べばいい訳で、そこに1回充電での走行距離が大きく関係する。100キロの走行はしない、せいぜい30キロというのなら、それに合わせられるように仕様違いを作るのである。

一番の問題はバッテリーの製造コストであるから、高価な高性能バッテリーではなく、発展途上国が製造する安価な(密度は小さいが)もので十分となれば、EVの需要に弾みがつくだろう、という考えだった。クオリティが低くてもいいとなれば、モーターやインバーター、駆動ギヤなど、安価なものでまとめられるはず。

ところが、自動車メーカーが躊躇している間に、家電メーカーが参入してきた。バッテリー開発についてはノウハウが多く、これを自社でやるにはリスクが多い。でも、モーターやコントローラーなどは、作ってみれば結果はすぐに出せる。


三菱電機がEV業界へ参入するのか。バッテリーの開発はノウハウが多く、またすぐに結果を出せないが、モーターやコントローラー、駆動システムは造ってみればすぐにわかる。結果が出やすい、参入しやすい、ということなのだろう

衝突安全でもそれをパスさせるデータは多く、心配はないとなればEV事業に参入するのは当然の結果だろう。さて今後が楽しみである。

 
もうひとつは、今更である。

それは、点火プラグのこと。しかし、特別高性能ということではなく、接地電極の向きが悪いと、失火(というほどでもないが)の原因となり、HCの排出量が増えるばかりではなく、アイドリング中の不快な振動(アイドルストップが付いていたら関係ないか)に結びつく。

特に接地電極が吸気バルブ側を向いた状態で締め付けられると、最悪な条件となりやすい。

そこで考え出されたのが、どのような向きに締め付けられても、必ず電極間に混合気を導くための突起を設けた点火プラグ。


これが新しい点火プラグ。発想は新しくなくて、特別優れているとは判断しかねる。つまり、現在の日本車における点火プラグの締め付け後の接地電極位置は、どのエンジンもほぼ問題の出ない状況となるもの造りがされているということ

点火プラグの、スパークする電極間に混合気が入らない限り燃焼が起こらない。条件が悪ければ失火の原因となる。そうならないように考え出されたのが、デンソーの開発した“気流誘導プラグ”。接地電極から少し離れたところに、突起をつくり、そこに当たった混合気を電極に誘導しようとするもの。でもね~なのだが

しかし、最近のエンジンは吸気の最中にスワール(横周りの渦)やタンブル(縦回りの渦)を積極的に使うようになり、点火プラグの電極間には混合気が入りやすい状態で、それほど失火が起きないというのが実状なのだ。それでも吸気バルブが大きくシリンダーボアの大きなエンジンなら効果があるだろう。

また、締め付けたときの接地電極位置が重要である、という話は数十年前から採り上げており、私自身、使用する数より数本多くの点火プラグを購入し、その中からベストな位置になるようなものを選び、実際にクルマやバイクで実施している。

更に、その当時、トヨタ自動車のエンジン開発担当者と話しをし、締め付け後の接地電極の向きについて、どのように考えているか聞いてみると「トヨタの場合、アイドリングの乱れは許されませんから、点火プラグの締め付け後における接地電極の向きについて、神経質になっています。そのため、プラグメーカーと話をして、トヨタのエンジンはこの角度から点火プラグのネジを切り始めるので、そちらもそれに合わせられるような位置に接地電極をつけてほしい、という要望を出しています」という話だった。

そういえば、最近の国産車(クルマもバイクも)は、とんでもない角度に、締め付け後の接地電極が来るものがないように思う。輸入車と海外点火プラグは、どれも思わしくなかった。

2014年5月19日月曜日

Aピラーをいくら細くしても、これじゃね~


運転席からの死角をできるだけ少なくして、事故に結びつかないよう、クルマの設計者はボディデザインと衝突安全を確保しながら、特にAピラーについて、特別気を遣っているのだが・・・

 

何に気を遣うかというと、角度と太さである。

 

しかし、メーカー純正オプションとして装備されるサイドバイザーは、なんと、Aピラーが太くなったかのような、スモーク樹脂で見た目はいい。でも、せっかく細く作られ、死角を最小限にした構造なのに、意味がない。

 

Aピラーの傾斜角が多く(デザインのためだけではなく衝突安全やボディ剛性も関係する)、そのため雨天であると窓を少し開けただけで、水滴が室内に入ってしまう。

 

これを防止するには、サイドバイザーを前方へ延長して、Aピラー部分まで持ってこなければならない。

 

ところが、それをやると死角が多くなる。クリア樹脂を使っても経年変化で透明度は下がり、まるでスモークのような感じで死角が増える。

 

これを防止するには、サイドバイザーの延長している部分を切り、その上に雨水用のドリップ(雨どい)を製作すれば済む。

 

つまり、サイドバイザーの形状を生かしながら、水滴が入らないような工夫が必要で、以前乗っていたホンダ・フィットのサイドバイザーは、加工して目的を達成させた。

 

このくらいは自動車メーカーが考えてもいいんじゃないかな。

この状態だから死角が多くなり、せっかく細く設計されたAピラーも意味がなくなってしまう

そこで以前乗っていたホンダ・フィットでは、このようにサイドバイザーの前方部分を切り取り、視界を確保した。ドリップはシリコンシーラントを塗りつけた。このときには仕上げをしていなかったが、後日回転ヤスリで見栄えを上げた。このような考えは、自動車メーカーがもっと積極的にするものだと思う

2014年5月8日木曜日

BMWi3について思うこと

BMWが造ったEV(電池自動車)他の自動車評論家はどう評価するのだろうか。メーカー、広報の言われたままか。慣れれば問題ないと評価するのか。私はそのように評価しない。

確かにボディは最新技術のCFRP(カーボンプラスチック)で、シャシーはアルミ。剛性面では完璧とはいえないが、最初にやったということでは十分に評価はできる。

動力性能もすごい。モーターは自社製だというのだが、そのトルクの出方はこれまでのEVとは確実に違う。

一般的にはモーターのトルクが最大な回転数は、回る瞬間で、そこから回転数が増えるに従い低下するのだが、BMWが開発した(制御も重要)モーターの持つトルク特性は、回転が高くなっても低下する気配を見せない。

どうしてなのだろうか、広報担当者は「分からない」という。

しかし、この強力なトルクもアクセルペダルから足を離したとたん、強烈な回生ブレーキとなって乗員を襲う。エンジン搭載車のエンジンブレーキとは違って、穏やかに作用するわけではなく、強烈に作用する。しかも停止するまでそれが連続するのだから、疲れがたまる。

普通に走らせるのであるなら、かなりの高速であってもブレーキペダルの世話になる必要はないぐらいの減速と制動。広報担当者は「慣れれば問題ないという評価が多いのですが」というが、それはないだろう。

もちろん目的は回生量をできるだけ多くして、バッテリーの残量を多く確保するためだが、この走りではクルマとしての資質に疑問が出る。

リヤドライブであるから、雪道のコーナリングで、アクセルを放したとたん、スタビリティ制御が働く前にスピンする、と判断しても不思議ではない。その点についても広報担当者は「ドイツ本国の開発では、それも想定していると思うのですが・・・」。

一時問題となったトヨタプリウスの滑空事件だが、同様なことがどの速度からでも起きそうな気がしてならない。ブレーキペダルに足が掛かっていないだけに、さらにABS作動が遅れることにもなりそうだ。

また、バッテリーの充電は急速充電器と一般家庭にも一部引き込まれている、三線単相から取る200Vの専用線という。一般家庭に取り付けられている100Vには対応していない。三線単相からEV充電専用にコンセントをつけると、最低13万円以上かかる。これも問題だろう。
ボディはCFRP、シャシーはアルミ。ものすごく軽量ではある。専用設計の素晴らしさだ。なお、バッテリーだけの搭載モデルと、そのバッテリーに充電するためのエンジンを載せたモデル(レンジエクステンダー)がある

2014年5月1日木曜日

特許が取れるブレーキのエア抜きホース・でもね~

ワンマンブリーダーとか何とか言っても、それが確実ではないし使い勝手も悪く、ブレーキフルードのロスも多いのが現状。

二人で、声を掛け合って作業しなければならないかの理由は、ブリーダープラグから排出したエアを再度吸い込んでしまうからだ。

何故吸い込むのかというと、ブレーキペダルを踏んでから放したとき、内部に吸引作用が働く。なので、ブリーダープラグを閉めないと、エアが逆流してしまう。

更に排出したホースの中にあるエアだけではなく、ブリーダープラグとシリンダーのネジ部からエアを吸い込むのである。

そのため、以前アップしたような、ワンウエイバルブを組み込んだブリーダープラグがあるのだが、求められる条件に合わせる方法があった。それは、ブリーダープラグのネジからエアを吸い込まないような作用を、排出したブレーキフルードそのものにさせればいい、ということ。

つまり、排出させるためのビニールホース(耐油でもシリコンでもいい)を高いところまで引き回し、更に途中にフルード溜りを取り付ける。

ブリーダープラグは3/4回転ほど開き、そのまま数分待っていると、フルードがビニールホースの中に流れ出してくる。

20~30cmの高さになるまで排出させる。この状態になったら、ブレーキペダルを踏んでも、エアが逆流することはない。

ブレーキ関係を全てOHしたときには、最初のシリンダーにフルードは出てくるまでかなりの時間がかかり、マスターシリンダーのフルードを切らさないよう、注意しなければならない。

それは当然のことで、各所に溜まるエアを押し出すための時間である。

待つ時間を少なくする方法は、中間に取り付けたフルード溜りに、フルードを注入してブリーダープラグに排出ホースを取り付けること。

この状態で、ブリーダープラグを3/4回転ほど緩め、ブレーキペダルを何回も踏み続ければ、効果的にブレーキシステム内のエアを押し出すことができる。

排出した、あるいはそこに溜まるフルードが逆流する力で、ブリーダープラグとシリンダーのネジ部から、エアを吸い込まないようになる。

シリンダーの中に吸引作用が働いても、吸い難いブリーダーのネジ部より、吸い易いホース側に吸引作用が強く働いて当然で、その力を利用して、ワンウエイバルブと同様な仕事をさせるだけだ。

何故かと言うと、ブリーダープラグから押し出されたフルードは、高いところから落ちようとする力が作用して、シリンダーの中に吸引作用が働いても、ブリーダープラグとシリンダーのネジからエアを吸うより、排出したフルードが落下する力が勝ち、ネジ部からエアが入り込むことはない。

これ、特許が取れる製品だけど、誰でも簡単に作れるし、特許の申請料を考えたら、絶対に元が取れないのでやらないだけだ。
シリコンホースの間に適当な大きさの容器を取り付ける。ただそれだけ
これが取り付けた容器。たまたま自宅にあったバイク用の燃料フィルターだが、ホースとつなげる構造なら何でもいい。但し、あまり大きなものは使い勝手が悪いので、適当な大きさを選びたい。また、中に溜まるフルードが見えることは重要
このように排出ホースと中間に取り付ける容器は高い位置にする
このような状態となれば、ブリーダープラグに対して、排出したフルードは逆流する力が強く、ブレーキペダルから足を離しても、シリンダーとブリーダープラグのネジ部からエアを吸い込むことはない。つまり、ワンウエイバルブと同様な働きをするので、一人で確実にフルード交換やエア抜きができる。今のところ確実で、バキュームポンプを使ったものより作業性がいいだけではなく、製造コストも安い

2014年4月23日水曜日

スズキの軽自動車、やっと他のメーカーと同様なリヤサスペンションに改良

スズキの軽自動車(カーゴ系を除く)に採用されていたリヤサスペンションは、横力を規制するラテラルロッド(スズキではアイソレーテッド・トレーリング・リンクと呼んでいる)を使ったもので、大きく作動させるような状態や、コーナーの途中でブレーキをかけると、大きく挙動が変化する状態に陥る。

他のメーカーでもSUVなどに採用されているので、いまだにそのようなクルマが街中に多数あるのだが。

しかし、すでに多くのメーカーが、軽自動車でもツイストビーム(トーションビーム)アクスルを採用して、おかしな挙動が出ないような構造をとっている。

しかし、スズキの新型の軽が発表されるたびに「いつになったら、トーションビームのリヤサスを採用するのか」と言う質問を浴びせていたが、いつも適当な答えしか返ってこなかった。

乗用車としての挙動を求めた場合、手軽に作れるラテラルロッド採用のリヤサスペンションは、絶対にやめるべきである、ということを常々唱えていたので、やっとその方向へ動き出したことは、評価したいが、それがいつなのかは、発表されなかった。

次に出てくる新型からです、と言うことで、言葉を濁している。
これが次世代のプラットフォーム。一目見てリヤサスペンション構造が、これまでのようなラテラルロッド式から、トーションビーム式に変わったことが分かる。どこを見れば・・・リヤサスペンションアームの前側取り付けの部分に、トーションビーム独特の構造があるからだ。また、ラテラルロッドを取り付ける部分もない

2014年4月15日火曜日

電車の緊急停止ボタンの高さに???

皆さん気にならないのだろうか。電車のホームにある緊急停止ボタンの高さ。

大人の身長を基準にしていると、あの高さになるだろう。子供の身長を考えたら高すぎ。

何故、あの高さ(高すぎだと思う)にしたのだろうか。考えるに、たぶん子供がいたずらすると困るから。

子供はいたずらするかな~。酔っ払った大人はいたずらするだろうが、子供はやらない。結果を想像できるからだ。

例えば、大人が周りにいない状況で、ホームからの転落事故があった場合、緊急停止ボタンを子供が押せない、使えない。

助けられる命も、助けることは出来ない。いたずら防止を優先した結果である。これでいいのなら文句はない。

どこかでもあったような気がする。いたずらされると面倒だから、ということで関係者しか知らない緊急通報電話だかボタンが。

緊急というからには、誰でもその状態を通報できるようなもの作りが最重要であると考える。いたずら対策は二の次だ。

では、ホームにおける緊急停止ボタンを小学生でも押せるようにするにはどうするか。

もちろん、低い位置に取り付け直せばいいのだが、大人の頭が当たるようでは、これもまずい。

そこでいい方法がある、それは、足を掛けられるステップを作り、更に、足を掛けた状態から腕の力を使って、身体をリフトさせるためのグリップパイプ(棒)を取り付ければ、緊急停止ボタンの取り付け高さまで、小学生でも手は届くはず。

何故このような対策を施さないのだろうか。事故が起こらないとやらない体質がなくなっていないのか。
この高さである。自動販売機の高さから判断して、2m近いと思われる。小学生は使えない。これでいいのだろうか

2014年4月13日日曜日

ここでのすり抜け!!! あなたは何を予測しますか 私の答え『何も予測しない』

昨年だったか、毎月来る、ある組織の機関紙で「片側2車線の道路で、あなたはバイクに乗っています。右側には大きなクルマがあり、右前方は見えません。すぐ前は信号機のある大きな交差点です。この状態で、右側をすり抜けようとしています。このとき、あなたは何を予測しますか」。

というような内容だったと記憶する。

設問者の期待する、このときの答えは「前方から右折するクルマがあるので・・・」なのだろうが、私の出す答えは『何も予測しません』である。

なぜか。このような状況の中で、左側をすり抜ければ、事故に巻き込まれる可能性があることは明白。

右側にいるクルマは、絶対に何の合図もなく左折する。或いは左へ寄ると考えて行動する。これ、バイク乗りでは常識の考え方。

左側をすり抜けるのであるなら、クルマが停止中にやる。或いは、広い交差点であれば、その交差点に入り、徐々に加速しながら見通しが利く状態で、右側の確認ができるのなら、その時点で左側をすり抜ける。

だと思ってバイクには乗り続けている。横にいるクルマが何の前ぶれも無くいきなり左へ、これは日常茶飯事。ひどい運転の場合には、バイクを抜いていきなり左折。これで事故を回避できたのは、日頃から周りにいるクルマの行動を疑っているからだ。

右にフラッシャーを出しているからといって、絶対に左へ来ない可能性はない。

どちらにハンドルを切るか、ドライバーの気持ちしだいだからだ。右に行くつもりだったが、左側にコンビニを見つけ「アッそうだ、寄って行こう」、となれば、右に曲がる合図をしていても、そのことは忘れ、いきなり左へハンドルを切る。

これは、絶対に頭に入れ、周りの状況からこの後何が起きるのか、身体で覚えて反応することを心がけることが重要だと思う。

2014年4月7日月曜日

ナンダこれ?ハンドルだ 第41回モーターサイクルショウ

ある部品展示のところで見慣れないもの、というより、見たこともないものに遭遇した。

それは、新しい発想によるハンドルだった。バイクメーカーに売り込んだのだが、採用してくれないので、自社で特許を取り、販売しようという話で、「レボハンドル」という名称。

開発製造する会社は、広島に本社がある親和金属。本業は金属メッキの会社である。下にURLを添付したので、興味のある方はアクセスしてみて欲しい。

説明を受けながら、その発想と素晴らしさに脱帽。何故バイクメーカーが採用しないのか不思議。やはりあらゆる場面の経験が不足しているから、その素晴らしさに気がつかないのだ、といっても反論できないだろう。言っておくが、特別な配慮を頂いたわけではない。
このような形になる。オフロードバイクからツーリングバイク、スクーターまで、形状を変えれば装着できる。アクセサリーの取り付けもしやすい

一瞬にして、これがハンドルであると理解は出来なかった。それほど突飛な形状なのだが、じっくり見て観察すると、その発想の素晴らしさが見えてきた。なるほどこれはいい 

手前内側に曲がりこんだ部分にグリップがあり、レバー類が来る。ハンドルスイッチも自然な位置に来るばかりではなく、親指以外の指先の触る部分にもタップスイッチを装備できるから、親指だけに頼っていた方向指示やヘッドライト、ハザードスイッチなど、緊急性の必要ではないスイッチ類は、指先スイッチで済み、操作性が向上する。

特に、マニュアルシフト制御を持つスクーターや、最近ホンダで売り出しているDCT(ツインクラッチAT)モデルでは、数多くのスイッチがあり、どれがどれやら???で、使いこなすには難しいのだが、このハンドルを使えば、操作性のいいところに、シンプルな表示でスイッチを配備できるから、素晴らしいだろうに。

更に素晴らしいのは、自然な形で手にガードが出来ること。何か硬いものに接触しても、これまでのように手の甲へ直接当たることはなく、パイプハンドルに当たる。また、その部分にウインドウ&レインプロテクターなどを装着すれば、これも使い勝手がいい。

専用のレバーホルダーやハンドルスイッチを製作しなくても、既存のものをそのまま装備できそうだから、どこかの用品メーカーが販売して欲しいものである。

2014年4月6日日曜日

第41回・今年のモーターサイクルショウで気になった一台

毎年、この時期に開催されているモーターサイクルショウだが、今のようなメーカーやショップ主体は最初からではなかった。

モーターサイクルショウは、個人の持っているバイクを見せ合うことをコンセプトとして、自動車ジャーナリストである大久保力氏が始めたもので、私も自身で改造したバイクや、海外でコンペティションに参加したときのバイクを何度か出品したことがある。出品料は無料だった。

そのような個人ユーザーの自慢のバイクを展示することから始まったモーターサイクルショウだが、時代と共に大きな力の影響を受け、主催者が変わると共にメーカー、インポーター、ショップ主体の大イベントに成長した。これはこれで素晴らしいことであると思う。何しろ海外メーカーでは、モーターショウへの出品より、モーターサイクルショウへの出品の方へ重点を置いているほどだから。

毎年、欠かさずにこのイベントには顔を出しているが、今年は特に気になったバイクがあったので、それを紹介したい。

このバイクが今年中に販売されるというMT-07。スポーツバイクではなくツーリングバイクというカテゴリーになる

ヤマハのブースに有った、MT-07というバイクである。排気量は700(689cc)で、2気筒。クランクは180度でもなければ360度でもない。ヤマハお得意の270度クランクである。ヤマハは10年以上前から市販の2気筒バイクに採用し、また、モトGP用のマシンも、4気筒に対して270度クランクを採用する。高回転時の気持ちよさが違うという。

270度クランクのいいところは、片方のピストンが何処の位置にあっても、残りのピストンは動きを持つ状態にあること。これによって、実に気持ちのいいモーメント振動が生まれる。270度クランクのエンジン。バランサーシャフトも装備。ホンダNCシリーズのように左右のバルブタイミングを変更して、燃焼圧力に変化を与えているかどうかは不明

180度や360度では、例え4気筒であっても、どこかのピストンが上死点、もしくは下死点にあるとき、必ず他のピストンも同様な位置にあり、一瞬では有るが動きが止まる。そのことで楽しさは阻害されるのだ。直列6気筒の感触を知っている人なら分かる。この6気筒も同様な状態にあるからだ。

それは置いといて、とにかく楽しいクランク角度の配置。ホンダが2012年に発売したNC700シリーズも同様の270度クランクを採用しており、その鼓動はこれまでのホンダ車には無いものを持っている。

そして、ホンダのNC700シリーズは、価格的にも購入しやすいこともあり、大型バイクとしては、販売台数が多い。でも、教習所での大型バイク免許用講習バイクは、750ccと決められているそうで、それに合わせてNC700もNC750に変わり、価格も高くなった。果たして持続的に売れるのか・・・

そのあたりに影響されたのか、ヤマハはあえて700で挑戦。ホンダのNCよりコンパクトで、ツーリングにおける走行性で大切なハンドリングに関しても、ニュートラルであるというから、このあたりは興味あるところ。

但し、ホンダのNC700(750)シリーズのように、ガソリンタンク部分はボックスになっていない。ガソリンタンクとなる場所が、フルフェイスヘルメットが入るほどのボックスであるNC700(750)シリーズは、そこに大きな魅力があるのだが。

2014年4月3日木曜日

3ない運動の余波が、こんなところにも及んでいた

それは、バイクやクルマ造りに関係していたのである


今から30年以上前になるだろうが、「バイクを乗ると不良になる」。だからバイクの免許は取らせない、バイクを買わない、バイクに乗せない。ので「3ない運動」というような、訳のわからない標語を造り、見えるところだけは取り繕ってきたが、実際のところでは、隠れて乗るとこでの事故やバイクの窃盗などに波及した。

今となっては、正しい指導を行わず、表面的な規制で、実務的には対策になっていなかったと思うし、若者ならバイクやクルマが好きになり、乗り回したくなって当然。ここの部分を指導する優秀な指導者が必要だったのだ。

それを規制したわけだから、心身ともに健全な状態で成長するはずがない。

我が家でも、その余波が残る時期に息子は公立高校へ進学。でも2歳ぐらいのオシメをしているときから、小さなバイクの(ギヤ付き)ガソリンタンクの上にまたがらせ、アクセルワークをマスターさせ、さらに免許を取ったら直ぐに走り出せるよう、息子が欲しいバイクを購入しておいたほど、条件は整えておいた。

なので当然、免許が取れる歳になったら、学校の先生を説得して、原付第1種50の免許は取らせるつもりでいたら、息子曰く「免許を取っても乗る暇がないからイイヤ」という、なんとも悲しい返事。

部活、塾通い、自由な時間はない。学業一本槍の生活だった。でも、この余波は大学に入った瞬間から炸裂した。

まず50cc免許を取得。当然私とツーリングに出かける。その最中には、どのような状態に小さなバイクが置かれるか、説明すると同時に自分も体験する。

これにより、交通弱者を体験する。そのため、大きなバイクやクルマを運転するようになっても、常に弱者のことは無意識の中にあり、交通事故も起こさないし、違反で切符を切られることもない。

バイクの運転もうまいし、クルマの運転も素晴らしい。これ、全て学生時代に父親から(つまり私)教わったルールや走らせ方が影響しているはず。

ただし、いじるほうはダメ。我が家には全ての条件が揃っていても、小さいうちからバイクを友としてこなかったため、要領が分からないのである。

バイクを最大限に友として扱える時代が来るのは、我が家であってもせいぜい大学に入ってから。

それでも、一人でツーリングしたり、試乗会に出かけたりで、それぞれの走り方や、バイクの特性は理解したようだ。

これが、バイク造りに影響を与える。つまり、せめて我が息子のように、街中から峠、高速道路まで(小さい頃にはモトクロス場も)、あらゆるロケーションを走行していれば、何処を走らせるバイクなのかによって、特性や制御に必要なことをある程度理解しているのだが・・・

しかし、高校はもとより大学に入っても免許は取らず、大学卒業と同時に自動車メーカーに就職し、それから免許を取って開発・実験をやり、キーマンとなる立場になった人物が、3ない運動真っ盛りに、生徒・学生だった人物では(年齢的にそうなる)、経験不足により、目標となるバイクは、せいぜいサーキットを重点的に走らせるものだけ。(テストコースだけで走行開発をすればいいので)

ツーリングを経験しない開発者が、ツーリングバイクを造れば、当然サーキットバイクが出来上がってしまう。

そりゃそうだ、バイクが心底好きで自動車(バイク)メーカーに就職したわけでもなく(昔は○○キチガイと呼ばれた人たちが集まっていた)、単純に仕事だけ。休日に仲間と数百キロのツーリングに出かけることもない。

こうなれば、どのようなハンドリングがツーリングバイクに重要か(必要かではない)。どのような制御が必要か、これすら理解していないのだから、中他半端なバイクが完成してしまう。

バイクに限らず、クルマにもいえそうな感じだ。

ジャ~どうしたらいいのか・・・とりあえず、先輩達から意見を聞いて、学習し、身をもって体験するしかないかな。