研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2013年9月23日月曜日

NISSAN360について感じたこと

南カリフォルニアのアメリカ海兵隊航空基地跡、特設コースで開催された“NISSAN360”だが、ニッサンにおける数多くの事柄を説明・理解するには、2日間と言う時間が短すぎるばかりではなく、内容の項目が多いため、知識として頭に残すのが難しい状態であったのが残念だった。

滞在日数を長く取ればそれなりに十分消化できるとは思うが、それには予算がかかりすぎるだろう。

プレゼンテーションではニッサン・ブランド「ニッサン、インフィニティ、ダットサン」の紹介と、これからの方向性を説明するのだが、どれも時間の関係で短く内容は薄い。個別に質問すればいいのだろうが、時間がない。せいぜい僅かな昼食時だけだった。

また、試乗したいクルマも多くあり、ほんの数分と言う短さの中では(一般公道の試乗も可能なクルマもあったが・・・)、何かを感じるには難しいのが現実で、今振り返ると、試乗車の数を少なく選び、それを何回も乗る方法がよかったと反省している。

ただ、収穫も多くあった。それは、ニッサンにおけるクルマへの取り組む姿勢が理解できたこと。

過去から未来へと繋がる乗り物、貨物運搬までを考えた場合、世界規模で生き残っていくには、発展途上国での認知度が重要。それには、軽自動車からの波及モデルではなく、専用設計の現地製造が重要であるとのこと。これは確かにその通りで、ニーズに合い、それでいて少し上級の、手が届きそうなクルマの製造販売に力を注ぐと言うこと。

考えてみれば、我が日本でも、我々がバイクやクルマに興味を持ち、いつしか自分もオーナーになりたいと願ったとき、手がすぐに届く、直ぐに飽きてしまうようなバイクやクルマではなく、背伸びしても、少し高価なものを選んできた。それと同じと考えれば、ニッサンの戦略は正しいと言えよう。

もちろん近未来での開発も具現化しており、その代表例が自動走行だろう。EVのリーフをベースとしたモデルで、運転席には座らせてもらえなかったが、同乗走行で実力は確認できた。

これで完成ではなく、センサーなどがトラブルを起こしたときのフェールセイフについては、「どのようにしてドライバーに伝え、またどのような走らせ方をすればいいのか、これからの課題」、と話すのは開発責任者の松村さん。

更にEVの可能性をトコトン追求するニッサンは、EVレーシングカーNissan ZEOD RCで来年(2014年)のル・マンに挑戦し、「結果を出す」、と宣言しており、楽しみである。そのZEODレーシングカーのプロトタイプとして造られたのが、リーフをベースにした「リーフRC」。これにハンドルを握る機会が与えられたのは、非常に素晴らしい。
久しぶりにお会いした開発技術者の松村さん(右)。自動走行車両開発の責任者を務める。我々への説明が終わった後は、フランス・パリへの出張が決まっていた

2013年9月20日金曜日

南カリフォルニアで自動運転を体感する

8月19日からの1ヶ月に渡り、南カリフォルニアのエルトロ(アメリカ海兵隊航空基地跡地)に特設されれたのが“NISSAN360”
海兵隊航空基地跡を利用したテストコース。滑走路が走行場所となる。白い大きなテントがメイン会場

1年の準備期間を経て行われた、この日産グローバルイベント“NISSAN360”は、日産自動車の革新的技術、グローバル商品、ブランド戦略を披露する場であり、その会場にRJC会員の一部がお誘いを受けた、と言うわけである。

1ヶ月の間に参加したのは1000を超えるメディア、サプライヤー、自動車ディーラー、各業界のエキスパートと言う。その中に我々RJCのメンバーも加えていただけたことは、まことにうれしい限りである。

もちろん短時間だが試乗する機会もあり、目移りするほどの数から選ぶのは気ぜわしいが、体験した中から少しだけ紹介したいと思う。
自動運転の開始。運転席に座る技術者は、ハンドルから手を離したままだ 

最初は自動運転車両への同乗で、ベース車はEVのリーフ。仕様は制御装置の関係で一般道自動走行用と駐車自動システム搭載モデルの2台。


レーザースキャナー、アラウンド・ビュー・モニターカメラを搭載。プロトタイプであるから、一部のセンサーなどは露出しているが、機能としては変りないことであるし、自動運転を体験することに支障はない。

運転席には、万が一のことを想定して開発エンジニアが乗り込むが、ステアリングには手を添えない。

道路としている部分まで(白線が引いてある。白線を認知して走行ラインを決める)は、さすがに自動運転が出来ないので、そこまでの走行は手動で、これまでと同じ(カーナビとリンクさせればガレージからの自動運転も可能となる)。

自動運転に入ると、前方に普通のクルマが現れる。そのクルマと距離を保ちながら(車両間の距離は速度に合わせて自動で決まるが、変更も可能)カルガモ走行。

カーブも普通に曲がるし、対向車が来ても、それを認識しつつスムーズに走る。

もちろん、道路上にある標識はしっかりと内容を認識し、その指示通りに行動する。また、混走する他車の速度にあわせて、自車の速度も高めたり下げたりするが、制限速度を遥かに超えるような場合には、何処まで他車の速度に追従させるか、テーマでもある。
クルマの間から飛び出しがあったときなど、素早く回避する行動をとるが、それが避けられないと言う判断をした場合(左側などに余裕がないなど)は、フルブレーキングで、事故を最小限にとどめる 

クルマの間から人物などが飛び出した場合には、急ハンドルでそれを避ける。ただし、避けきれないことが判明した場合には、フルブレーキングで、衝突した場合の事故を最小限にとどめるのだそうだ。

自動駐車のシステムも、素晴らしい。駐車スペースがなく満車では一時停止するが、カメラに写る駐車スペースから動き出すクルマを見つけると、そのクルマが動き出すと同時に、自動運転のリーフもその開いたスペースに向かって、リヤから駐車を開始する。

もちろん、ドライバーが乗っていなくても、その自動駐車は可能で、クルマから降り、駐車命令を下せばそれでOK。乗車の時には、降車した位置を認識しているので、その場所まで自動で戻る。
自動駐車システムは便利だが、ドライバーが乗車していない場合の事故を想定しないと、クルマが何処に停まっているのかわからなくなる 

もちろんこれで完璧ではない、センサーやシステムがトラブルを起こしたときのフェールセイフが必要で、またそれをどのような形でドライバーに知らせるか重要なテーマである。更に、自動駐車システムでは、駐車中に他車からの衝突などでセンサーが破壊された場合、自動運転がストップすることはもちろんでも、「さて、我が愛車は何処に?」となりかねない。
自動運転車両のリーフと記念写真 

このような自動運転システムは、日本の各自動車メーカーでも挑戦しており、10年ほど前だが、スバルの自動運転車両に同乗したことがある。

同社のテストコースにある狭いワインディングを、搭載車のレガシィは、タイヤをきしませるほどの速度で駆け抜けた。

もちろん、飛び出す事故にも対応しており、そのような場所ではフルブレーキングする。でもその障害物を避けるハンドル操作は出来なかった。

このシステムは、測量用の(誤差10mm以下)GPSシステムを採用したもので、指定した地図上に従って行動する。問題は、いくら測量用とは言っても、常に安定した電波が出ている保証がないことだ。


2013年9月12日木曜日

日産が開発するレーシングEV Nissan ZEOD RCが公式にサーキット走行

来年(2014年)のル・マン24時間耐久レースに、特別枠で参加することを目標に開発が進むEVレーサー、それがNissan ZEOD RCだ。

その公式テスト走行が、10月18~20日に開催される世界選手権・富士レース期間中の3日間行われる。このときのドライバーはミハエル・クルム選手、「当日が楽しみ」と語っている。

これは、アメリカ・カリフォルニアで行われた、グローバル・メディアイベント“NISSAN360”で公表された。
写真は、カリフォルニアで行われたグローバル・メディア・イベント“NISSAN360”会場で撮影した
なおZEOD RCとはZero Emission On Demand Racing Carを略したもの

2013年9月1日日曜日

気になる、ブレーキとアクセルの踏み間違い

最近、ふと感じたこと、それは交通事故を起こしたドライバーが言う「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」、の証言は、事実からの言い逃れに使われる可能性があるのではないのかと言うこと。

この言葉を使うと、違反行為による事故ではなく、とっさの行動の中での間違いによるもので、よそ見運転、携帯電話(通信履歴が残らない、ボタン操作中)使用中、などが事実でも、そのことは消し飛んで、自動車運転過失致死傷罪の適用が正しく行われていない可能性もあるのではないかという話。

もちろん実際にブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故は起きているが、そうならないようにするには、健常者なら、遊んでいる反対側の足もしっかりと使えば、踏み間違いは起きない。でも、その行為に反対する方々もいる。何故だろう・・・・・・?

2013年8月14日水曜日

プリウスもバッテリー上がりで走行不能になる?

トヨタのハイブリッドカー・プリウスでも、バッテリー上がりで、始動できないことが有る。

正しくは、HVモーター駆動用のバッテリーではなく、補機類管理、そして作動用の12Vバッテリーが上がると言う話で、それによりシステムがダウンするから、始動・走行不能に陥るのである。

そのバッテリーは、完全密閉式でリヤのトランク内に装着してあり、エンジンルームではない。

また、走行用とエンジン始動用のバッテリーは、同じ。つまり、エンジンはハイブリッド用のモーターで始動する。

しかし、12Vのバッテリーも搭載しているわけで、そのバッテリーが上がると、つまり、システムがダウンすることになり、いくら走行用のニッケル水素バッテリー(或いはリチウムイオンバッテリー)に十分な容量が残っていても、クルマの頭脳がシャットダウンしている限り、走行不能となる。

ただし、これは非常に簡単な手当てで回復する。システム用のバッテリーを救援用の12Vバッテリーで、システムが回復するまで一時的に電圧を上げてやればいいだけ。その後、オーナーズマニュアルにあるような操作が必要となる。

システムが回復し走行が可能となると、始動ボタンの操作をすることで、駆動用のバッテリーからシステム用バッテリーへ充電が行われるので、自然に元に戻る。
エンジンルームにあるヒューズボックスの蓋を開けると、一番奥に赤いカバーがあり、それを開くことで救援用の端子が現れる。もちろんトランクに有るバッテリーへ直接繋いでもかまわない

救援に使うバッテリーは、始動に使うわけではないので、大きな電流は必要ない。極端な話、通信機用の完全密閉式バッテリー12V10Ah(秋葉原あたりで購入できる安物で良い)に、接続用のコードを用意しておけば、それで十分。

ACC状態で、ラジオやオーディオを長時間聞いていると、いきなりシャットダウンする。そこから自力で脱出するには、小さなバッテリーをどこかに積んでおけば役に立つが・・・

或いは、バイクや近くのクルマから電気を借りることも考えて、ブースターケーブルだけではなく、救援端子に噛み込み出来るワニ口クリップなどを用意しておくことも必要だろう。

また、自分のクルマではないので実験はしていないが、システム用のバッテリーは鉛バッテリーなので、このようにバッテリーが一時的に上がっても、暫らく放置すればかなり回復してくる。回復すれば元に戻れるが、たぶんバッテリーの端子を外すなどして、記憶の除去をしてやらないと、ダメなのかもしれない。

どなたかやってみてください。

なお、完全に上がってしまった場合(正常なバッテリーであると電圧降下を見て警告を出したり、自然にシャットダウンする)は、いくら満充電状態のバッテリーを接続しても、搭載バッテリーの容量を回復させたり、電圧を上げたりすることはできないので、充電作用が必要となる。つまり、救援車のエンジン始動で、充電の作業を行わなければならない。
オーナーズマニュアルには救援バッテリーの接続と回復の仕方が掲載されている。これを参考にして、自身で予備バッテリーを搭載しておくと言うことも考えたい

2013年8月3日土曜日

第43回東京モーターショーの前売り券発売開始

今年のモーターショーも東京ビッグサイトで行われる。その前売り入場券がネットでのオンラインチケット販売を、8月1日より開始した。
http://www.tokyo-motorshow.com

今回初めて導入するのは、プレビューナイトと呼ばれるもので、特別招待日(11月22日)の午後5時3分から午後8時まで入場できる、と言うチケットで、入場者数は1万人に限定。

そのプレビューナイトの入場券料金は3000円だ。

主催者側はユッタリと東京モーターショーを楽しんで・・・と言っているが、2時間30分で全部を見て歩くことは無理と思うのだ。
また、帰りのシャトルバスなども考えてくれているのだろうか。

なお、鉄道会社、旅行会社、コンビニなどでの前売り入場券発売は10月25日からだ。

2013年8月1日木曜日

バイクを使った町興しが頓挫したのかと思っていたら、第二ステージへ進んでいた

バイクの魅力ある力と、趣味を同じにする仲間はなんとなく群れを作りたがるのだが、暴走するわけでもなく、そこに集まり、バイク談義や開発者の話などに加わる面白さは、文字では書けない魅力がある。

そのバイクを間接的に使って町興しをやっていた、埼玉の小鹿野町であるが、町長が代わってからと言うのも、行政のバックアップがないことから、なんとなく沈下の方向へ進んでいた。でも実は、バイクツーリングライダー協賛店なるものを作り、そこを訪れたライダーに対して少しのサービスをする、と言う決まりがあった。これが評判となり、協賛店は売り上げを伸ばし始めている。当然数多くのお店が協賛店を名乗り始めた。

つまり、行政からのバックアップがなくなっても、小鹿野町を訪れるバイクライダーを歓迎するムードは、これまで以上に強くなって、何かをやれる土俵が出来つつあった。
ここが小鹿野町のバイカーズ・カフェMGGだ。バイク専用の駐車場や無料のロッカーも準備されている。我々も草津・軽井沢の帰りに一服、コーヒーブレイクで立ち寄ることがある 
そこへ、頼みの綱として引っ張り出されたのが、これまでも小鹿野町をバイクランドにしたい、と活動していた「鵜飼さん」である。

行政が力を貸してくれないのなら、自分たちの力でやれる最大限のことをやろうじゃないか、と始まったのが「モトグリーンG、訳してMGG」である。

MOTO GREEN-G1970年代がコンセプトのバイカーズ・カフェ。
首都圏から100km圏内にありながら鉄道の駅もない山間の町、
そこが、バイクで町おこしの小鹿野です。
ここに来ればバイクを楽しむ仲間がいる。
昔を知っているGG(爺)もいる。
モトグリーンGのHPトップページには、上記のような言葉が並んでいる。“プフッ”と噴出してしまうような・・・
巨大ホットドッグ。コーヒーかコーラが付いて、フォーラム参加費は1600円だから、十分元は取れる 
このバイカーズ・カフェでは、不定期でバイクに係わることをテーマにしたフォーラムをやっている。今回これに参加してみた。ハングオンハンバーガーか巨大ホットドッグのどちらかが選べ、飲み物まで付いて、参加費は1600円。

テーマは鈴鹿8時間耐久レースに関することで、当日はその鈴鹿でまさに8時間耐久レースが行われていた。レースの途中経過は、現地からのメールで分かる仕組み。
左から神谷さん、菱木さん、男鹿の町をバイクで町興しに陣頭指揮を取る、司会の鵜飼さん 
登壇者は本田技研に在籍していた神谷 忠さんと、その弟子で本田に3回も入社?した菱木哲哉さん。菱木さんはアメリカでの生活が長く、自称マイクと言っているが、これは、世界チャンピオンライダーのマイク・ヘイルウッドに憧れて付けたもの。私は、昔からの知り合いと言うこともあり“てっちゃん”と呼んでしまう。

神谷さんと菱木さんの話の内容は、細かいので割愛するが、11時から14時までと言う予定は大幅に伸びて、15時まで引っ張られた。それだけ聞きたいこと、知りたいことが満載していたと言う話だ。

次は、いったいどのような内容で、誰が登壇者になるのだろうか。とても楽しみである。


2013年7月15日月曜日

仮締めをやるとトラブルの元!!!“ヒューマンエラーを起こさないために”

クルマに限らず何かを分解、取り外しを行った瞬間から、ヒューマンエラーの可能性が、少しずつ増える。しかも、慣れれば慣れるほど見過ごしによるやり忘れが多くなるのだが、それを常に意識の中に入れて、作業を進めることでそのヒューマンエラーを防ぐことができる。

クルマで例えると、一番多いのがネジの閉め忘れである。「とりあえず落ちないように締めておいて、終了間際に本締めすればいいや」と言うやつが一番危ない。

エンジンのオーバーホールなどでは、作業の反復を常に心がけることで、確実に閉め忘れは防げる。しかし、これが意外と面倒で、ついつい部品の取り付けに集中してしまうが、そこを何とか乗り越えて、反復をするようにしたい。

また、やってしまう仮締めのトラブルとして一番多いのが、ホイールナットの締め忘れだ。

特にリジッドラックで固定した状態から、ブレーキパッドの交換などをやり、その後ホイールを取り付けるときには、当然ホイールの回転をロックできない状態なので、どうやっても仮締め状態になる。

リジッドラックから降ろしたときに、改めて締めるのは極普通だが、それを忘れることが起きる。

オートメカニック編集部にいるときに、読者のクルマいじりをサポートすると言う企画があり、それはブレーキパッドの交換だったのだが、「ホイールナットの締め付けを忘れないように、何か考えておいたほうがいいよ」、と言うアドバイスを聞かず「大丈夫です、いつもしっかりとやっていますから」・・・

さて、ブレーキパッドの交換も終わり、ホイールの取り付けも済み、リジッドラックからクルマを降ろし、「では、どうもありがとうございました」と読者は帰ろうとするが、「ほんとに全部終わったのかな~、俺だと終わっていないのだが」と言うと、さすがの読者も気が付いた「あ~ホイールナット・・・」

仮締めで走らせることにならなかったので、トラブルには発展しなかったが、同様なことはプロの世界でもかなりやっている。ひどい場合には、試乗の最中にホイールが外れ、高価なスポーツカーを台無しにするようなことも。

で、このようなことが起きないようにするにはどうするか。

ホイールキャップの付いているものでは、最後まで外したままにすれば、それとなく思い出す(でも複数で作業すると、気を利かせてホイールキャップを散りつけてしまう場合も)。では、ホイールキャップのない場合はどうするかだが、これも簡単な話。

ナットの仮締めになることは仕方がないので、仮締めかどうかを見ただけで思い出す作法を使う。
このように締め付けナットを床に放り出しておけば「何だこれ?」で、本締めしていないことに気が付く。つまり、思い出す簡単なきっかけを作っておけばいいのである。このような方法で、これまで仮締めによるトラブルを、かなり防いできた実績はある

それは、2箇所ほど取り付けずに、ナットを床に放り出しておくことである。これで、リジッドラックやリフトから降りした場合の最後になって、クルマの周りをうろうろすると、「何だこのナットは」で思い出す。

ばかばかしいアイディアであるが、見ると違和感がある状態にすることで、閉め忘れや組みつけ忘れはなくなる。

2013年7月7日日曜日

毎日が休日のシニア、日曜日の過ごし方

会社を定年退職し、何もやることがなくて、奥方から邪魔扱いされている御仁は多いだろう。しかし、その有り余る時間を有効に使っている方はいる。

例えば、これまでやりたかったのだが、家庭の事情によりやれなかったこと。でも定年退職を機にそのやれなかったことを実行した方がいる。

ここに取り上げたのは、両親を見送って、しばらく経ったある日、「以前から夢だったクラシックバイクでのレースをやりたいのだが」と女房殿に相談したら「やってもいいわよ、骨は拾ってあげるから」と、簡単にOKの許可が出た。{奥方が素晴らしいのだろうが}

それが、クラシックバイクでロードレースを楽しむ横瀬文明さん(66歳)だ。

バイクは、1964年製のホンダCB72(250cc)である。このバイクについて、詳しく知っている方は、かなりのバイクツーである。かく言う私も、このCB72/77(305cc)、92(125cc)に対しては造詣が深い。

横瀬さんは、もともとホンダサービス拠点のメカニックであり、バイクをいじることは朝飯前。特別な加工以外、全て自身の手で日夜いじり倒す。

横瀬さんが自ら改造を施した1964年式のCB72レーシング。非常に綺麗にまとめられている。自分で改造するわけだから、出来栄えには性格が現れるのだ。当時は若者の憧れのバイクであった。

クラシックバイクと言えども、ノーマル状態ではなく、確実にレーシングバイクとして改造が施されている。そして、時にはセッティングとトレーニングを兼ねて、レース場を訪れる。

この方が横瀬さん。当然メカニックなんていない。全て自分で管理する。それがまた楽しみであるし、充実した一日を送ることができる。友人達もレース観戦がてら応援に駆けつける。奥様は、そこに集まる友人たちの昼食まで心配する。なんともうらやましい限りである

もちろんレースばかりではなく、大型バイク(ホンダGL1800)でのツーリングもやるのだから、暇をもてあますなんていうことはない。

リタイヤしてから、周りに影響されて、趣味らしきものに足を突っ込んでも、長続きしない、と言うのが持論である。何故か、それは、若いうちなら湧き出す欲望、興味に対するエネルギーが、歳を取ると衰退し、惰性で行動するようになってくるからだ。こうなれば、当然「やってみるか」で始めた趣味は長続きしないのだ。

親しい友人たちが集まり、同じ趣味での行動を、リーダー格の方が積極的に仲間を振り回せば長続きするんだが。なかなかそのような組織には発展しない。

なので、生涯どっぷりと漬かっていられる趣味を、若いことから持つことは必要。会社人間で、会社の仲間ばかりと付き合っていると、そこから放り出されたときに行き場がない。その行き場となってくれるのが趣味で集まる人達だ。


2013年6月26日水曜日

ホンダN-BOXのブレーキオーバーライドとアイドルストップの関係に結論が出た

 結論から先に言うと、開発者の緊急脱出・事故回避に対する想定が甘く、数字的な性能優先が先走った。これを見直さない限り、ブレーキオーバーライド(ブレーキ優先制御)状態で停止するようなこととなった場合、リスクを背負い込むと考えられるので、くれぐれも注意して、ブレーキオーバーライドとならないように、ブレーキペダルを踏んだまま、アクセルを数回踏み替え、ブレーキオーバーライド制御をキャンセルさせることが必要になる。

でも、言うのは簡単だが、実際には半分パニックのなかで、冷静な判断により、どのような行動がベストなのか見極めるのは無理だ、と断言しておこう。

ただし、これはアイドルストップしないターボ仕様では関係ないこと。もちろんN-ONEも同様である。

このブログをアップすることになった経緯は、昨年(2012年)11月19日のブログで、N-BOX(アイドルストップ付)のブレーキオーバーライドとアイドルストップの関係がおかしいことを表記したら、1ヶ月ほどしてホンダ広報から一通の文書が届いた。実際には、RJCカーオブザイヤーの最終確認テストデー(ツインリンクもてぎ)で、そこにいた開発者二人(どの部分の開発だったか不明)に同乗してもらい、ブレーキオーバーライドとアイドルストップの関係がおかしいことを、再現し確認してもらってもいたのだ。そのときのブログはこれ
http://aonikike.blogspot.jp/2012/11/blog-post_19.html

届いた文書の内容は、公表すると書いた本人の名誉に関わりそうなので、あえて発表しないが、基本的には、私、青池の感覚がおかしい、と言うことのようだった。

これを黙って見逃すわけには行かないので、ある人(元ホンダOBのお偉いさん)を通じて、その文書を担当に突きつけてもらい、「青池が文句を言っている、そのことに対する返事を・・・」とやってもらった。

その結果が半年以上経った6月末に届いたのである。

それによると、「お説のように、ブレ-キオーバーライド状態で停止すると、エンジンはアイドルストップしてしまいますが(12月の文書ではアイドルストップはしないといっていたが、少しは自社の制御を理解してきたのか)、ブレーキペダルから足を離し、再始動で0.3秒かかっても、1秒後には他社製品より速度が出ていますから、問題ありません」と言うのだ。

正直、この話を聞いたとき、思わず「何だそれ」と言ってしまった。1秒後の世界ではなく、それより前の状況がどうなのか、と言うことだからである。

アイドルストップさせ、そこから再始動を0.3秒でやっても、その瞬間から動き出すわけではない(この動き出すと言うことが重要で、事故回避につながる)。トルクコンバーターが回転し、そこから動力が伝達され、そして始めて動き出す。

アイドルストップさせていなければ、トルクコンバーターは作動中であり、ブレーキペダルから足を離せば、直ぐに動き出す。

この僅かな、0.3~0.5秒の時間があれば、数十センチ、いや数メーター前進することで、車両の側面衝突から回避できる可能性はあると判断する。

更に、「常にアイドルストップさせることで、JC08走行モード燃費は向上することから、停止したら、アイドルストップさせる」、と言う考え方が重視された結果であると言う。

燃費と事故回避、どちらを優先させなければいけないのか、考える必要はないと思うが。

2013年6月21日金曜日

充電式ドライバーなどに使うバッテリーを、手軽に入手できるものと交換する

 充電式ドリル・ドライバーやインパクトレンチでの問題は、バッテリーが劣化したときのバッテリー購入コストである。なんとバッテリーパックを定価で購入すると、同じ性能(公称だから確かではないが)の安物が、スペアバッテリーと充電器付のフルセットで購入できてしまう、と言うとんでもない状況が起きる。

メーカーが安売りすればいいと思うのだが、リビルドをやってくれるメーカーであっても、その価格はバッテリー定価の半分ぐらい。当然5000円以上かかる。これじゃ~やってられない。

そこで、同じようなバッテリーを購入して入れ替えてしまう、と言う工作をするが、品切れだったりすることもあり、思うように進まない。
充電式ドリル・ドライバーなどに使用されるバッテリーは、少し前(時間的に今劣化が起きる)のバッテリーはニッカドが主流で、N-1300SCRやKR2000SCなどが多い。これが入手できれば、後はバッテリーパックの分解にチャレンジし、バッテリー間を接続するためのステンレス半田ができれば済むのだが、そう簡単な話ではない。

まず、どのようにバッテリーがレイアウトされているか、そして、その配線はどこを通ってどのバッテリーに接続されているか、しっかりと写真でも撮って記録するか、論理を理解して組みつけに備えることが重要。

また、異状な温度上昇を検出するセンサーも付いているので、それの位置はともかく、バッテリーにしっかりと貼り付けることを計算する。

で、ここからが本題。これらのニッカドバッテリーが手に入らなかったらどうするか。

ハタと気が付いた。同じような長さの単四バッテリーで、ニッカドではなくニッケル水素が使えないかということ。
ニッカドと寸法比較すると、工夫次第で組み込むことが可能と分かる。容量はこれまでのものより多くなる計算だが、3本を並列に繋ぐため、個々の性能差があって計算どおり行かないが、これまでより少なくなることはないはず

単四に限らずニッケル水素バッテリーは、100円ショップで販売されている。これを利用する。

寸法を測ってみると、ニッカドのN-1300SCR(KR2000SCも)ほぼ長さは単四と同じで、ニッカドが42mmほど、単四は44mmだが、プラス側の出っ張りを除けば42mmの寸法だから、ハンダ付けの位置を出っ張りの側面にすれば長さの問題は解決。

肝心の容量だが、KR2000SCで2000mAh、N-1300SCRはかなりの急速充電に耐えるとは言っても1300mAhだから、これらを上回る容量は欲しい。

100円ショップのダイソーブランド単四ニッケル水素の容量は750mAhであるから、これを3本束ねて使用すればこれまで以上の容量となる。計算上は2250mAhだが、それぞれのバッテリーの性能差(公差)があるので、この数字にはならないが、十分な性能は確保できる。

3本束ねて(写真は単四のアルカリだが、ニッケル水素とサイズは同じ)の直径はニッカドより1mm小さいので、ケースの収納は可能だ

さて、3本を束ねたときの直径はどうであるか計測すると、KR200SCなどでは22.5mmで、単四を3本束ねるとその直径は21mm。十分収納可能だ。

ニッケル水素バッテリーやニッカドバッテリーの外装はステンレスなので、それに対応したハンダでないと、瞬時に接続できないのため、専用ハンダは購入する。ニッケル水素に限らず、ハンダ付けで高温となるとバッテリーが劣化するのだ

適当なコード(バッテリーの配置があるので必要最低限の長さが重要)で各バッテリーを接続したら、ショートしないように絶縁体などを使って処理し、バッテリーケースの中に押し込み、無理やりでもいいから蓋を閉めて、場合によってはビニールテープで固定すれば終了。
バッテリーをケースに押し込むときには、必 ず絶縁板などを挟むことは重要
これは、電動ラチェットレンチに使われていたニッカドを、ダイソーブランドの単四ニッケル水素9本で蘇らせたもの。性能はこれまで以上で、とりあえずの問題は何もない

後は充電して、正常に動作するか確認するだけ。なお、充電中の温度と、バッテリー間でのショートには十分以上に注意して、自己責任で改造して欲しい。


2013年6月2日日曜日

試乗会で見つけたとんでもないクルマたち その③

とりあえず今回で終了予定のとんでもないクルマたち。最後となるのは、世界的なメーカーであるT社の有名なコンパクトカーV。

そのVが新しいコンセプトの元に発売されたときの試乗会。1000cc4気筒のエンジンは、ボアピッチなどが同じベースエンジンがあるため、型式からそれとなく分かってしまうと言う状態で、手抜きとは言わないが、「新型エンジンと言うなら、その新型らしさを取材しよう」と言う目的で、案内のあった試乗会場へ出向き、AT仕様を試乗して、戻ってきたときに、そのおかしな行動が目に入った。

当時はまだパワーステアリングの動力にエンジンからベルトで油圧ポンプを作動させ、その油圧によりステアリング操作をアシストすると言うもので、ごく当たり前のシステムだったが、その当たり前のシステムに問題のあることを見つけてしまった。

何が問題かと言うと、Dレンジに入れ、ブレーキペダルから足を離し、ステアリングを切るとエンジン回転が異常に上昇する。

このように、エンジン回転を上げるのは、エアコンなどの負荷が加わったときにも同様なことになるのだが、油圧パワステにおいても、負荷が加わるわけで、エンジン回転が低下しすぎないよう、アイドルコントロールバルブが作動し、回転数を保つようなことは当然行っている。

それが、この新型コンセプトモデルVでは強すぎるようで、クリープ走行しながら、ステアリングを左右に素早く切ることを繰り返すと、そのつどエンジンは回転数を上げ、速度が増していく。

令間時始動の直後ではアイドルアップをさせる必要があるので、回転数は高く保たれて当然だが、試乗会では、常に完全暖機状態であるのは当然のこと。

このことを、エンジン開発者に告げると「いや何かの操作ミスです、そのようなことは絶対にありません」と言うので、「では同じクルマで確認してください」と試乗を促し、20分以上その場で行ったり  来たりを繰り返し、試乗車から降りてきたときには、汗びっしょり。

「おっしゃるとおり、アイドル回転数が高くなりすぎて、暴走に近い状態が生じています」「コントロールプログラムのミスですから、書き換えれば直ります」

で、肝心な「エンジンについての取材をしたいのですが」、と言う申し出に対し「いや、今日は勘弁してください」と別室に逃げ込んでしまった。

気分は完全にブルー

私に指摘されたことが真実であったため、かなりのショックを受けたのだろう。

システム的に理解のできる人間で、いろいろな運転方法も自由にやれる試乗者なら、見つけられる事柄なのだが、これも、左足でのブレーキ操作が自由に使えないと、数十分乗っただけでは発見できないだろう。

そういえば、メーカーは違うが、あるクルマの試乗会で、左足でのブレーキ操作をもっとやりやすくして欲しい、と言う要望に対して、「左足でブレーキペダルを踏んでいると、マニュアルミッション車には乗れないでしょう」、と言ってきたので「でも、サーキット走行ではトゥ&ヒル使うんですがね~」と言ったら、その後何も言わず、話を聞くだけだった

2013年5月23日木曜日

2013年の人とクルマのテクノロジー展は、EVに関する展示と情報が多かった

毎年、5月の20日前後に、横浜の「パシフィコ横浜」で開催される、自動車技術会主催のイベント、それが人とクルマのテクノロジー展で、今年は5月22日から24日まで開催される。

入場料は無料だが、当日申し込みは、申込書にいろいろ書くことが要求されるから、事前にネット上から申し込みをしておいたほうが、当日スムーズに会場入りができるので、来年はぜひ行って見たい、と言う方は、ネット上の事前申し込みを使ったほうがいいようだ。

初日の22日に会場へ出かけてみると、昨年以上に盛況で、展示数ばかりではなく、入場者数も多い。

これは非常にいいことで、クルマに対する興味、開発の意気込み、製品の売り込み、など活発になれば、クルマに対する興味を持つ若者が増え、再び昔のようなクルマ文化が目覚める?と期待してしまう。

そのようなことは、最近のEV(電気自動車)に対するサプライヤーの製品開発が多くなったことからも、なんとなく見て取れる。

NSKが発表したインホイールモータは、ふたつのモーターと遊星ギヤを組み合わせ、モーターの欠点である回転数増加と共にトルクが低下する特性を改良し、常に必要なトルクを発揮できるよう、遊星ギヤでギヤ比を変化させ、モーターへ負荷を連続的に与えることで、エンジンに似た特性を引き出した

マツダデミオが使用するEV用のモーターは、水素吸蔵合金を使った燃料電池実験車時代から付き合いのある、安川電機のスリーコイル。負荷によってコイルを使い分けることで、必要なトルクを瞬時に引き出すと言うもの

ただし、今年の限って言えば、バッテリーに関する情報や展示が少なかったのは、ボーイング787の影響か。

もちろん内燃機関だって無視されているわけではない。まだまだやり残した部分、解析ができていない部分が多くある。それを見つけるのが実験エンジンで、小山ガレージが展示する実験エンジンは、特殊な石英ガラスを用いたシリンダーにより、燃焼そのものが肉眼で直接見えると言うもの。もちろん負荷だってかけられる。これと、毎秒10万シャッターのデジタルカメラを組み合わせると、とんでもない状況が見て取れると言う

機会があったら、この実験エンジンの取材もしてみたい





 


2013年5月12日日曜日

トヨタに有ったはずの熟成グループ 今はどうなっている

トヨタには、ほかの自動車メーカーにはない部署がある。(現在どうなっているのか定かではないが)

それが熟成グループという部署(組織と呼べない訳もある)

その名称を知ることになったきっかけは、昔勤めていたオートメカニック編集部時代に遡る。

熟成グループという言葉を知ることになった時代は、新しいエンジンが開発されると、そのエンジンの構造や作り方を紙面に取り上げるため、トヨタに限らず分解取材の申し込みを常に行っていた。そして、あるときトヨタの新エンジン搭載モデルに白羽の矢が立ったのだが、そのエンジンは注目されていた(クルマ本体と共に)こともあり、取材に対応してもらえるまでに数ヶ月の時間がかかってしまったのである。

発表・発売後に時間がかかってもいいのだが、普通に分解していくだけではなく、その構造説明や何故このような作り方をしたのか、などの質問を開発者に浴びせ、その時点で答えをもらいながら取材していくというのが、我々の方法だったので、分解の時には、エンジン開発担当者の同席が必要だった。

ところが、広報の担当者は、エンジンの準備が整っても、肝心の開発者がどこに移動となったのかわからないという。「今はその車種も“熟成グループ”に引き継がれていますし・・・」

熟成グループ???それなんですか。常に、何故、どうして、という疑問を持ちながら取材したり、話を聞く習慣から、熟成グループという言葉にひきつけられた。

熟成というからには、開発が終わり、発売されたそのクルマを、更に良くするため、またやり残した部分を開発し成熟させるために組まれた、特別な組織なのか、と思ったら、違っていた。そのような、やり残しの部分をやる組織は別にあり、それはそれで進行するという。

では、熟成グループとは、いったい何をする組織なのだろうか

熟成という言葉だけを聴くと、発売されたばかりのクルマを更に良くして、マイナーチェンジやモデルチェンジに生かすのではないかと思ってしまうが、実はまるで目標とすることが違う。

この熟成グループのやることは、宛がわれたクルマを普通に数人で使用し(テストコースでガンガン走らせるという項目はない)、欠点や不具合を見つけ、それを改良し、発展的データを集めること。

また、そこに集められるメンバーは、宛がわれたクルマの開発に一切携わらなかった人達で、クルマによって人員の数は違う。当時カローラクラスでは5名ほどだが、セルシオクラスでは10名以上という。

そして、そこに集められるメンバーは技術者とは限らず、事務系、仕入れ窓口、製造ラインなどありとあらゆる職種から選ばれる。

クルマを一般ユーザーが使うという設定に中で、何が不満となるのか検証するというわけだが、不満が出た部分は、改良を熟成グループが自ら行う。

それはサスペンションの改良などにも及ぶが、寸法などを変えることなく(コンセプトばかりではなく運輸省「国土交通省」へ届けたときと数字が変化するのは非合法ともなるし)剛性変更をブッシュ周りやアームの形状で行うにとどめる。スプリングやダンパー、ボディ周りの剛性バランスなど視野は全体に及ぶ。

更に、何故このような設計・開発をしたかわからないようなことも起きるが、そのようなことを想定して、この熟成グループ(一回限りの集団)には、開発者とコンタクトが取れる人員を1名だけ入れる。

で、一般的には、ここで得られたデータを次のモデルチェンジで有効活用する、と思われるのだが、それが違うのである。

もちろん一部のデータはモデルチェンジで使うこともあるが、大半は新型車を開発するときに、同様な設計をしたらどうなるのか、と言うような基礎的なものとして使われると言う。

やりがいがあるかどうかは知らないが、せっかく得られた貴重なデータが、日の目を見ないことは多いと言うことであった。

このような組織編制がほかの自動車メーカーにもある、と言うことを聞いたことはない。

2013年5月8日水曜日

試乗会で見つけた、とんでもないクルマ達 その②

これもH社のクルマで、日本では一般販売しなかった車種。基本的にアメリカだけがターゲットのEV。ここまで書くと「ハハーン、あのクルマか」と分かる方もいるだろう。

で、どのような欠陥があったのかと言うと、アクセル周りの制御である。

具体的には、アクセルを踏んでいないのに、数十メートル勝手に走る現象。

試乗会は、正式なナンバーが取れるものではなかったので、大磯プリンスホテルの駐車場。

試乗前の説明では、ブレーキを強くかけると回生ブレーキもしっかりと作動すると言うので、思いつくままの走らせ方をしてみた。

その方法は、前進している状態で、アクセルペダルから右足を離し、左足でブレーキを踏み、その瞬間セレクターをリバースとしながらアクセルを踏む。

すると、強い回生ブレーキ状態が2秒ほど続いてから普通に停止、と思いきや、停止した次の瞬間、そのクルマは、アクセルを踏んでいないのにバック走行を開始。

その距離、数十メートル。

バック走行しながら、同様にセレクターをDにして実験すると、停止後に前進を開始する。

アクセルを踏んでいたことで、その記憶が残り暴走するのだろう。

この話を開発者に直接言ってみたのだが「普通のATでも、そのような操作はするのですか」、と、かなりとぼけた返事。思っても見なかった状態だったのだろう。そこで「EVはセレクターがスイッチですから、機械的なダメージはないので、やった結果です」、と話をしたのだが、これは大きな欠陥であることが後日分かった。

ほかのメーカーが試作するEVにおいては、走行中にセレクターを操作すると、電気が遮断され、リセットを要求してくる。

このときにはいったん停止し、イグニッションキーをオフにしてから、再度オンとするだけのことなのだが、操作ミスなどが想定されての制御である。

これができていなかったのはH社がアメリカ向けに開発していたEV。もちろん輸出される前に修正されていたのは言うまでもない。

発想の乏しい人物が開発をやると、常識としてあるべきシステムに気が付かず、このような失敗をしでかす。輸出される前でよかった。

ところで、その後、私のところには、何のお礼の言葉もない・・・・

2013年4月29日月曜日

首相のクルマが追突事故 それを回避できたのでは

先日、阿部首相が乗る車列が首都高の代々木料金所で追突事故を起こしたと言う。

運転手のミスとしては、ETCカードの装着忘れ。それと、たとえバーが開かなかったとしても、それを突き破らなかったことの2点。

そして、いつも言うことだが、AT車に乗る場合には、左足も有効に使ったほうがいい。

つまり、左足でのブレーキ操作ができていれば、少なくても5台まとめての追突は避けられたはず。

ブレーキ操作が必要になるであろうと言う予測ができれば、その時点でブレーキペダルには足がかかっており、緊急状態が発生したときには、間髪をいれずブレーキペダルを踏める。そのためのブレーキオーバーライド制御(ブレーキ優先)なのだから。

アクセルペダルを受け持っている右足でブレーキペダルを踏む場合、どうしても時間差が生じるので、その分進み、車間を十分にとっていなければ、追突して当然だ。

2013年4月24日水曜日

試乗会で見つけた、とんでもないクルマ達 その①

だいぶ前の話だから、ここいらで暴露してもいいだろうと判断して、自動車メーカーにとっては耳の痛い話しをしよう。

そのとしてはH社の2.0と2.5リッターのI

何が問題だったかと言うと、直進性にである。これは試乗会でのことで、高速道路を走行中に100mほど走ると1~2mほど右へずれる症状。

ただし、そのときには「まさか」と言うこともあり、私の運転センサーがダメになってしまったのか、と言う結論を出した。

開発者との話は、TAのシフトゲート形状に終始し、高速直進性には行き着かなかった。

しかし、試乗会後2ヶ月ほどしたときに、フリーのライターが、試乗会で乗ったクルマではない2.0リッターモデルを借用してきた。そして、そのクルマに乗ると、なんと試乗会での出来事を思い出させた。右に行ってしまう現象だ。

広報部に親しい方がいて、クルマの運転にも精通していたので、その方に全ての同型車で走行を確認してもらうと、なんと「ここにあるIは全部、右に行ってしまいます」、と言う返事が返ってきた。

そこで、そのような問題を集めて、改良点を導き出すような組織にいる方に、車種と症状を告げ、何が問題だったのか、調べてもらうと、なんと、フロントサスペンションを取り付けるブラケットを位置決めするジグに狂いがあり、アライメント不良(経験からすると、おそらく右のキャスター角不足)となっていたと言うのだ。

フロントはトーしか調整ができないH社のクルマでは、当然ほかのキャスターやキャンバーなどをチェックするシステムはないわけで、普通に組み立てラインを流れていた。

私の情報から組み立てラインを停止し、修正が行われたのは当然だが、何故このようなことが発生したのか聞いてみると「当時はバブル期真っ盛りで、開発責任者が最終チェックをする暇もなく、そのまま出荷していた」というのだが、果たして、開発責任者が最終試乗しても、この問題点を発見できたか、大いに疑問である。