研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2019年2月17日日曜日

FWD(FF)に限らず、ドライブシャフト・ジョイントのダストブーツは破損しにくくなった。その理由は


FWDではあたりまえのドライブシャフト・ジョイント部にあるダストブーツだが、数十年前までホイール側のブーツはハンドルを切ることによるストレスが加わり、耐久性は短かった(5万キロぐらい)。特に気にしないで駐車するときにハンドルを大きく切ったままであると、ジョイント部にあるブーツが強く引っ張られ続けられることで、大きなストレスとなり、ブーツの耐久性に影響した。

でも、最近のクルマはこのドライブシャフト・ダストブーツは、破損することが少なくなっている。

数十年前だが、新車試乗会でブーツの材質が代わっている事に気が付き、その理由を開発者に聞いてみると「アメリカの規則によるものです」と言う返事だった。

なぜアメリカはゴムではなく、簡単に破損しないものを要求したのかと言うと、砂漠地帯のブッシュを走る機会は日本に比べたら計り知れないほどあるわけで、そのときにゴムのダストブーツであるとブッシュを巻き込んで簡単に切れてしまい、そこからグリースが飛び出し、更のそのまま乗り続けると、ジョイントが破損する(アメリカ人はクルマに対する気の使い方が日本人ほどではないため)。ドライブシャフトが破損すれば当然走行不可能となり、砂漠の真ん中だったら遭難事故になる可能性が高いことも関係しているとの話。

何がどう代わっていたのかというと、それまで、当然のようにゴム製のブーツだったが、そのクルマに採用されていたものは樹脂プラスチック(現在発売されている日本のクルマは全てプラスチックだと思う)。

このように材質の変化がオーナーの使い方によるトラブルもカバーするように造られるのが日本車でもある。

そういえば、最近、FWD車で変な音を出しながら走行するクルマを見かけなくなった。これは、アウトボード側(ホイール側)等速ジョイントのトラブルが発生していないことを意味する。つまり、しっかりとダストブーツが性能を保持しているからである。

これ切れたダストブーツ。グリースはもともと添加剤混入のため黒い。ブレーキシリンダーにオイル汚れがあるので、かなり前にブーツは破損していたと考えられる。
 
ついでの話だが、水冷エンジンの冷却に使うLLC(ロング・ライフ・クーラント)、その交換時期(使用年月や走行距離)は自家用車において特に決められていない。

一般的に10万キロ対応となっているため(トヨタではスーパーLLCと称するものを使っている場合には17万キロ或いは7年毎と言う記載があるので、これまでのように2年で一回と言う話はない)、新車で車を購入した場合、走行距離が特別多いユーザー以外、交換を考える必要がなくなってきた。

交換なしとした理由は(交換しなくても良いLLCが製造できただけではなく、その状態でも腐食しないアルミ合金が開発されたからだが、最初の自動車メーカーはホンダだったように記憶している)、排出したLLCを下水などに流してしまったり、適当なところに放出するからで、このLLCに含まれる成分が環境破壊に結びつくと言うことからだった。

2019年2月4日月曜日

スペアタイヤに代わりに搭載のパンク修理キットだが、修理後の信頼性のないことをしっかりと理解する必要がある


最近はあたりまえになってしまったパンク修理キット。スペアタイヤより管理が簡単で、使い方のマニュアルを読めば、ひ弱な(失礼)女性でもパンク修理が出来る、と言うことが売込みだった。

確かに、女性(だけとは限らない)がスペアタイヤの交換をする作業は、少し無理だろう。女性に限らず男性であっても、正しい位置にジャッキを掛け(間違えると事故になる。またはクルマを痛める)タイヤ交換をする行為はかなり大変。ジャッキアップする前にホイールの締め付けナットを少し緩めておく、と言うやり方を使わないと、大事なところでトラブルとなるし・・・

また、せっかく交換したスペアタイヤの空気圧が不足しており、ペッチャンコなどということは当然のように起きている。

それならタイヤ交換よりその場で簡易的にパンク修理が出来ないものか、と言うことでまとめられたのが、パンク修理キットと言うやつだが、これでパンク修理が出来ても、完全ではないと言うことが周知されていないから、走行中に空気圧が不足して、大きな事故となることは考えられる。

また、カーショップなどで販売されている「瞬間パンク修理」用品だが、これもかなり条件が整っていないと効果は発揮しない。

基本的にはチューブレスタイヤのみであると言うこと。昔、チューブタイヤ(バイク)に使用したことがあるが、一時的にもタイヤが膨らむことはなかった。その理由は、パンク修理材は圧縮された状態で噴出するときにゴム状となり、接着性が生まれてパンクした穴を塞ぐからだ。

チューブレスなら(場所によるが)タイヤゴムの間を修理材が抜け出るとき、圧縮されることになるため、ゴムと化すのである。試しに少し噴出させて、それを指ですりつぶしてみると分かる。こうするとゴムと化すのだが、ほっといたのでは何の変化も起きずに、そのうち液体に変化する。

チューブタイヤでは、チューブを修理材が抜けるときに圧縮されないため、ゴム化しないから、パンクした穴はふさがらない。

また、チューブレスタイヤのパンク修理を、この瞬間パンク修理キットで行った場合には、出来るだけ早いうちに、本修理するように指導されている。

つまり、この行為(パンク修理キットを使った場合も)を行ってのパンク修理は、本修理ではないと言うこと。

で、その本修理とはどういうものかというと、ホイールからタイヤを外し、タイヤの内側から傘状のゴムをパンクした穴に通し、接着剤で接合する方法。外側からやれるキットもあるが、業者に頼むなら内側からをお勧めしたい。

2019年1月23日水曜日

なぜクルマとバイク、環境とテクノロジーに対する次元が同じようにならないのだろうか


クルマはEVだとかハイブリッドだとか、FCVなど、さまざまな動力を具現化して、今ではそこいらじゅうに走っている、と言うのが実状。対してバイクはというと、実験中や一部の制限があるものは条件をつけて市販などしているが、まだまだ実用性は低い。

では、実用性は今後どうなるのだろうか。いつも考えてしまうのでが、クルマのようにボディが大きくないバイクでは、今の技術力を酷使しても、到底成り立たないように思う。でもそれはいつかブレークスルーすることで達成できるのだろうか。

期待してもいいと思うが・・・・

と言うのも、今では当たり前となっているクルマの技術でも、その昔は無理だ、と言われたものが、ごく普通に市販され、お金を出せば誰でも購入できる環境は出来た。

そう簡単な話ではないだろうが、EVを例えにしてみると、やれば出来そうな感じである。小さな原付での実用性は今の状態では無理だろうが、それ以上に大きな軽2輪扱いとなれば、容量が大きなバッテリーを搭載することは可能であるし、モーターに対しては十分に対応できそうである。

以前マラソン、駅伝に使うカメラバイクや白バイなど、大型スクーターをベースにしたEVバイクを使うべきだ、と言う提案をバイクメーカーにしたこともある。でもそのときには否定的な反応をされた。モーターの駆動力は確保できてもバッテリーが持たないという。でも、一定速で走行するマラソンなら、十分にバッテリーは持つだろうし、容量が不足する事態が発生したら、次の中継所だけではなく、途中に同様のバイクを用意して、バトンタッチすれば済むはず。バッテリーバイクをどのように使ったらいいか考えれば、自ずと結論がでそうなのだが。

そしたら、小池都知事は「オリンピックのときにEVバイクで伴走させたい」と言うような発言をされていた。

いよいよ来たか~である。発言力を持つ誰かが言い出さないと新しいものへ挑戦することが出来ない国民性、それは日本人なのかもしれない。

マラソンの先頭を走る中継車や審判車でも、排ガス規制が強くなる前であると、ランナーはディーゼルトラックの黒煙と強烈な匂いを吸いながら走っていた。これでいいのか、と言うことを当時の陸上競技雑誌のジャーナリストに聞いてみたことがあるが、トップランナーの全てが、ディーゼルの匂いと黒煙を何とかして欲しい、と陸連にお願いしていたようだが、当時の陸連は「気にも留めてくれなかった」という。

クルマ雑誌でマラソンの伴走車に対する実状を、トップランナーの目から見たものを掲載してくれるなら、原稿料など要らない、彼らの気持ちを取材するので、ぜひ掲載してくれないか、と言われたことがある。

その掲載誌を持って陸連に出かけ「陸上競技に関係のないクルマ雑誌でさえ、伴走車の排ガスが、如何にランナーをいじめているか掲載している。何とかして欲しい」と言うことを直訴したいと言う話だった。

編集会議でそのことを話したが、ページを取ってくれなかった。あの時掲載ページを取っていれば、自動車雑誌の権威とか立場がもう少し高くなっていただろうに、と思うことりである。

ま、気にしている人にとっては、重大なことなのだが、そうでない人にとっては、どうでも良い内容となり、それに向けた改革は面倒なので、手を付けたくない、と言うのが実状だろう。

これでは進歩しないな~

2019年1月14日月曜日

EVが走行の途中で、或いは出先で電欠(俗に言うバッテリー上がり)となった場合の救済方法は考えているのだろうか


ニッサンはEVにかなり力を入れているが、その中でEVを活用することも、EVを広く認知させるため、いろいろと活動内容を編集していて、なるほどと感心することもあったが、「ハタ」とひらめいたことがある。

それは、タイトルにも書いたが、出先での電欠。電欠となる前にどこかで充電すればいいのだが、時と場合によってはそれが叶わないこともある。

せいぜい他のEVを派遣することぐらいだろう。牽引して、充電が出来る場所まで持ってくればいいが、それよりもっと良い方法は、派遣した(或いは同行している)EVのバッテリーから、電欠したEVのバッテリーに充電できるシステムを作ればいいのではないのか、と言う話。

もちろん普通に接続したのでは、いくら元気なEVのバッテリーでも、電欠(俗に言うバッテリー上がり)したEVのバッテリーに、しっかりと充電できる電圧とはならないから、ここは昇圧回路を組んで、ボルトを高くし充電効率を上げることが必要。

充電するには、充電器(或いはバッテリー)の容量よりも電圧が重要で、高いところから低いところへ流れるには、高いボルトを要求されるからである。

2018年12月25日火曜日

雪道、アイスバーン走行で必要とされるタイヤーチェーンだが、絶対ではない、使い方を間違えると・・・


今期から、大雪注意報が発令された場合には、スタッドレスタイヤだけでは通行させない。タイヤチェーンの装着を義務付ける場合があると言う。

この法律、できるようになった経緯はわかるが、タイヤチェーンを付けることによる不都合やトラブルについては、審議された方の経験と知識不足を感じてしまう。

東京での大雪(と言うほどでもないが)。今年の首都高速での渋滞原因は、テレビで見る限り大型トラックのタイヤに巻いたタイヤチェーンによるものだった。雪がない上り坂でのタイヤーチェーンは、舗装路でグリップしない。硬い鉄と硬い舗装路、これはどう見ても食い込まないので、駆動力は伝わらない。あの状態なら、トラックを止めてタイヤチェーンを取り外せば済むのに、なぜそれをやらせなかったのか、不思議でならない。

タイヤチェーンが舗装路ではグリップしないと言うことは、トンネルの中では同様なことが起きるので、排気ブレーキ(フットブレーキでなくとも)を使用したとたんスリップ、激突の事故は起きるだろう。

また、このような事例を目撃したことがある。それは、苗場スキー場からの帰り道。トンネル手前のダラダラの上り坂。荷物を積んでいない大型トラックが徐行しており、その後ろには助手と思われる方が、注意喚起をしている。

なぜノロノロ走行なのか見ると、タイヤチェーンを付けているが、圧雪された雪にはそのチェーンが食い込まない。ほとんど空転状態で何とか走っている。恐らく一度でも停止したら、その場から動くには雪かきして、走行抵抗を大きく下げなければ無理だろう。

以上のことから、タイヤチェーン絶対ではなく、ケースバイケースで使用する事が大事である。

チェーンでも金属ではない、樹脂やゴムのものならその効果はある程度期待できると思うが、大型トラック用の物はあるのだろうか。

それと、雪道でスタックしてしまうのは、圧倒的にトラック(大型)が多い。それなのに、全てのクルマにタイヤチェーン装着を義務付けるのはナンセンスなのでは。

それと、以前にも書いたが、乗用車でのタイヤチェーン装着は、前輪なのか後輪なのか。

上り坂ではFF、FRに関係なく駆動輪だが、下り坂となると少し違う。

FFで駆動輪(つまり前輪タイヤ)にチェーンを装着して、気持ちよくコーナリング。速度が出すぎているのでアクセルを戻したとたん、後輪が外側へスリップ。

これは当然の状況で、しっかりと路面を掴んでいるんは前輪だが、後輪は何もないため、その横力に耐えることが出来ず、スピンに至るのである。

そのため、タイヤチェーンが2本しかないのだったら、前輪に巻いてあるどちらかを外して、対角線上にある後輪に巻くこと。これをすることでコーナリング中のスピンはなくなるが、上り坂では駆動輪のタイヤチェーンの巻いていないほうがスリップするので、登坂は厳しくなる。

FRの場合には、上りも下りも速度を注意すればスピンに至ることはないが、ゆるい下り坂の渋滞路でクリープ走行中にブレーキペダルを軽く踏んでも減速が難しくなる。強く踏めばタイヤチェーンを巻いてある後輪が雪などに噛み付いて、制動力を発揮するが、軽く踏んだ場合には、前輪のタイヤチェーンを装着していないタイヤが、先にロックしながらABSが作動する。後輪はタイヤチェーンが雪道にしっかりと食い込むため、軽い制動ではロックになっていないのでので前進は止まらない。では、常に強くブレーキペダルを踏めば良い、と言う話になるが、これは急制動を意味するので、追突される危険が生まれる。そこで、渋滞路では下り坂でなくてもATのセレクターを動かして、Nポジションにし軽くブレーキペダルを踏む方法が理想的。

2018年11月30日金曜日

自動車の整備まで、海外から日本へ来る方に任せるのは、整備に対する考え方が違うので疑問


日本での働き手不足を補うため、人材を海外にゆだねると言う話が決まりそうだが、クルマの整備までそれを行うと言うことについて、ヒューマンエラーの実態を多く見たり体験している者からの意見としては、基本的に反対である。

というのも、この法律を決めようとしている議員さんたちは、ディーラーメカニックの技量を知らなさ過ぎるからであると断言できる。技量と言う内容は少し幅が広いが、全てのメカニックではなく、一部のメカニックであっても、走る凶器とまで言われたクルマ。メカニック自身の気質を、本人自身が理解しないまま、他人のクルマを整備することに対し、何か問題が発生して当然なわけで、考え方がそのことに行き着かないのが不思議である。

人間のやることは、そこにエラーが発生しても不思議ではないし(新幹線や飛行機の整備でも発生している)、発生して当然なのである。それを理解していない議員さんたちが、自動車の整備まで海外の人材を活用すると言うのは、あまりにも冒険過ぎる。

コンピューターではない人間なのだから、ミスをやってもフリーズすることはない。だからミスである作業を、その後発生する事故によって表面にでるまで見つけられないのだが、更に追求すると、その整備ミス(ヒューマンエラー)をしたメカニックのところまで結果が届くだろうか、と言うと、まずそれはない。自動車ディーラーの場合、フロントと言う受付でユーザーからの苦情がストップするようになっているからだ(現場から直接聞いた内容)。

以前のブログにも書いたと思うが、整備ミスをやってお客さんに迷惑を与えたメカニックは、事務所に呼びつけて(朝礼のような、大勢がいるところではダメ。自尊心が傷つくので)、個人的に叱責はしないのか、と言う質問を、当時の自動車メーカーサービス技術部担当者にしたら「怒ると辞めてしまうから、見てみぬ振りをするか、それとなく伝える」と言うのである。

これではクルマ、バイクをいじるための感性は育たない。本当は自分のクルマやバイクをいじるときにヒューマンエラーをして欲しいのだが(それによって他人に危害が加わるようではダメだが)、自分でクルマやバイクが所有できる環境にあるかどうかだ。

クルマをいじる環境について、ある自動車部品のサプライヤーで聞いたことがある。工場が休日のとき、そこを使ってのクルマいじり(ラリーカーを造ったり)を認め、技術と感性が育つことを推奨。それを実行していると言う。

また、少し内容は違うが、ある自動車メーカーに勤める方より、同じ系列の部品サプライヤーに勤める従業員のほうが、クルマやバイクが好きで仕事熱心、目的意識を持って取り組むと言う。

このあたりの考え方も重要ではないのか。

街の中にある何でも受け付ける修理工場のメカニックには優秀な方が多いのだが、それは全てではない。自動車整備士の給料が高くていいのだが、それに見合った仕事の内容であるべきだと思う。

2018年10月30日火曜日

ニッサン・セレナe-POWERを再試乗してわかったこと


話題となっているニッサンのミニバン、セレナe-POWERだが、発表会直後の試乗会では、アクセルを離した直後に起きる回生ブレーキ(これにより発電機の能力を高めて走行用のバッテリーに充電する)の立ち上がりが強烈で、とてもじゃないが評価する基準ではない、と言うような原稿を書いたのである。

その真実が開発陣に届いたのであろうか、「もう一度試乗してください」と言う案内が届いた。そして、試乗してみると、これなら問題ない。

ドライブモードをS/ECO或いはノーマルと切り替えても、ノーマルは当然として、そのほかのモードでも、アクセルを離したとき、強烈な立ち上がりの回生ブレーキは発生しない。

この制御であるなら、ドライバーはもとより同乗者も不快に感じることはない。最初からこの状態で試乗させてくれていれば、もっと他の記事も書けただろうし、クルマの良し悪しを評価できただろう。

例えば最初のジャーナリスト向け試乗会で、何か指摘されたら、そこから造り込みすれば・・・と言う自動車メーカーもいるが、それはあまりにもひどい話。しっかりと納得できるまで開発、造り込みをしてから市場に出すべきである。

回生ブレーキ、つまり駆動用モーターを駆動用バッテリーに充電するための発電システムは、どのように発電を行って回生させるかで、クルマの減速タイミングが大きく変化する。その変化が、突如に、やってくると強烈なエンジンブレーキと同じで、不愉快極まりないばかりではなく、同乗者はクルマ酔いしてしまう。そこで、どのようなタイミングで回生率を立ち上げるかが肝となる。これは当然のことで、それによってクルマの評価が大きく変わってしまう。ここは確実に周りの意見を素直に聞いて、作りこみをしなければいけないのである。