研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2018年9月14日金曜日

ATFの交換方法について、判断間違いがあるようなのでレポートしてみた その②オイルパンを取り外して内部を点検


走行距離がもう少し長い場合には、オイルパンを使用している車種なら、このオイルパンを取り外して、中の状況を見たほうが良い。見る部分はオイルパン底部に有る磁石。ここに金属粉が吸着しているのは仕方がないのでが、金属片となると話は別で、その金属片がどこからやってきたものかを確かめる必要がある。でも、その確かめはほとんど不可能だから(完全に分解しないと見極められない)、金属片が出たと言うことだけを頭に入れて使用するしかない。

更にバルブボディに取り付けられているフィルターも取り外し、フィルターの目詰まりも見る。ここにクラッチ板の破片やごみが張り付いていたら、これも要注意となる。

ホンダ車ではオイルパンの付いていない車種もあるので、その場合には、フィルターの交換や点検も出来ない(分解しないと出てこない)のであきらめるしかないのだが、そもそもそのようなホンダ車は、変速機機構が他の車種と違う。

一般的なステップATでは、遊星ギヤや湿式多バンのクラッチ、ブレーキバンドなど、各種の摩擦や高速回転するギヤなどが組み合わされており、その構造から磨耗粉が発生しても仕方がないが、オイルパンを持たないホンダ車は、遊星ギヤはなくブレーキバンドもない。

変速ギヤの方式は、遊星ギヤではなく常時かみ合い方式を持つマニュアルミッションの、シンクロ機構部分にクラッチ機構を持つと言うもので、それぞれのギヤにあるこのクラッチを制御して変速すると言う構造だから、ATFの中に磨耗粉の混入は少なくて当然。そのためオイルパンを持たないと考える。

新しいATFを注入するときには、注入量がハッキリとしないので、おおよそで注入して、充分に走行させAT本体とATFを完全に暖める。その後、ATFのレベルを計るのだが、アイドリング中で、サイドブレーキをしっかりと利かせ。ATセレクターをゆっくりとPRNDⅠⅡなど、全てのポジションへ持って行った後に、レベルゲージを抜き、再度差し込んで、レベルの確認をする。以下次回

2018年9月6日木曜日

ATFの交換方法について、判断間違いがあるようなのでレポートしてみた その①


ATF(オートマチック・トランスミッション・フルード)は交換の必要はない、と言う開発者やオーナーが居る。確かに交換無しで20万キロ走行しても破損することは無いようだが、変速シフトの快適性については走行距離と共に低下する(つまりATFの劣化など)。快適性が失われてもかまわないと言うことであるなら、あえて交換を薦めない。

快適に最後まで使用したいのであるならATFの交換はするべきであると思う。ドレンプラグ(ついていない車種もあるがそれは除く)から排出させての交換では、走行距離としては5万キロが目安と判断している。

ただしエンジンオイルのように、エンジンが暖まっているときに排出させるのではなく、一晩経ってからドレンプラグを外すこと。その意味は、AT内部に入り込んでいるATFをオイルパンに戻る時間を稼ぐためだ。

エンジンを止めて直ぐにドレンプラグを外して排出させると、出てくる量の少なさに驚く。そして、いつまで経ってもドレンプラグの穴からタラタラ滴り落ちる。滴り落ちる量は半端ではないが、自宅ガレージに余裕があるのなら、その状態で一晩置くというのもOK。ただし、廃油受けの量は大きなものを用意しないと、翌朝・・・

さてここで交換に使うATFの選び方であるが、カーショップで販売されているATFは使うべきではない。それが例え有名石油メーカーやクルマメーカーの名前がプリントしているのもでも、購入しないこと。

この手のATFで購入・使用しても問題とならない時代もあった。それは数十年前まで当時の標準ATFでもあったディキシロンⅡやⅢというATFが使われていたころの話。しかし、制御が細かくなり、動力性能ばかりではなく燃費にも関係してくると、それを満足させるものとして、自動車メーカーと石油メーカーが共同で開発したものが絶対の位置を占める。

例えATの型式が同じであっても、そのクルマに要求されている性能を持っているかどうかがわからないので、純正を購入することに越したことはない。

これを無視して手短なところで販売するATFを使用すると、シフトショックが出たり変速パターンが変化したりする。

ではどのようなATFを購入すればいいのか、というと、自動車メーカー純正のATFである。ディーラーも危ないので、ここは自動車部品商に出向き、初年度登録年月、型式、車台番号や原動機の型式、型式指定番号、類別区分番号を伝え(全てを伝えないと購入できない)、そのクルマ、そのミッションに適合したATFを最低4リッター購入する。

一晩置いてドレンプラグから排出させた場合で、交換量は2~3リッター。ここでどの位のATFを注入するかであるが、それは、排出した量が目安。排出ATFをオイルジョッキなどに移し、おおよその分量を量って、その量をレベルゲージ穴から注入する。

その後、完全暖機の状態を作るため、しっかりと走行させること。熱による膨張率もエンジンオイルより大きいので、ここまでしっかりと条件を同じにしないといけない。また、ATFはエンジンオイルより、レベルについては微妙で、多少少ないには問題ないが、多いと(レベルゲージで2~3cm)プラネタリーギヤなどにかき回され、攪拌抵抗によりATFの温度が上昇。その結果、ブリーザープラグから泡となって噴出す。

走行中はそれでも何とかなるが、停止し一晩経って、AT本体も冷えるとATFも冷え、その結果、AT内部に溜まっているはずのATFは少なくなり、エンジン始動後にセレクターをDとしても直ぐに発進せず、暫く経ってから、と言うような現象も起きる。

もっとしっかりと交換率を高くして作業したい、と言う話は次回に

2018年8月28日火曜日

2020年のパラリンピックについて、競技の知名度を上げれば観客が増えて入場券が売れる、と言う気持ちでいるように見えるが、果たしてそれだけで・・・


パラリンピックに対する知名度は確かに低い。でもそれが、競技会場に観戦に来る人が少なく、入場券が売れない、と言うことに結びつくので、知名度の低い競技を重点的に取り上げ、テレビでの企画を行っている。果たしてそれだけで十分なのだろうか。

競技会場に入場券を購入して、足を運ぶ方の、そのめんどくさい、でも行きたいという力はどこから来るのだろうか。

全ての競技(モータースポーツも)に言えることだと思うが、それは、話題の中心となる人物が要るかどうかなので、そのような人物を探し出し(あるいは意図的につくり)大々的に取り上げることだと思う。早い話が、今のF1はどうなのだろうか、と考えた場合、日本人のヒーローがいない。だから観客もサーキットに足を運ばない。TVでもろくに放映しない。悪循環となって話題がなくなり、雑誌も新聞もTVも報道しない。

これでは注目度は急勾配で下降する。人気がないから何をやってもダメと言う判断は間違いだと思う。人気は競技そのものだけではなく、そこに登場する人物、チームにも向けられているはず。

パラリンピックで話題の中心となると、その競技と言う話ではなく、そこに登場する人物や使用する機器に焦点を当て(特に認知度が低い競技)競技と共に紹介するような企画をTV局や雑誌、新聞で作り、言ってみればヒーロー的な状態で、一般に浸透させることだ必要ではないかと考えている。

モータースポーツで言うと鈴鹿8時間耐久レース。観客動員数は昔ほどではないが、根強い人気を保つ。その理由のひとつはチームの応援、ライダーの応援に尽きると思う。その強さが、高い入場券を購入し、更に東京から(東京だけではない)それを見に出かけるエネルギーとなる。

ライダーやチームに魅力を感じるから、強い欲望が生まれて行動力に結びついていると考えてもおかしくない。

現在人気のスポーツ(オリンピック、パラリンピックに限ったことではない)でも、最初観客はパラパラ。人気のミュージシャンであっても、地道な努力の積み重ねで現在が有る。そう考えると、集客力の裏側には、人=ヒーローの力が大きいと判断して見たがどうだろうか。

2018年8月18日土曜日

小さなクロカン・ジムニー なのに挙動の穏やかさを感じさせるのはなぜだろう


軽自動車と言う枠にあって、クロカンというジャンルを独り占めにしてきたジムニー。そのジムニーがフルモデルチェンジしたわけだが、開発に込められた並々ならぬ思いが伝わってきた。

住宅地でもなんとなく溶け込んでしまうジムニー
今回の試乗では残念ながら、オフロードそれもハードなコースでの走りはなかったが、舗装路の凹凸が激しいところでの安定性は十分に確認できた。また、走行中の振動(特にシートバックから背中に伝わる部分)、ノイズ、更にサウンドとも申し分なし。ただしこれは試乗車がMTの場合であって、ATは1500ccのジムニーシエラしか試乗車が用意されていなかったので、同様であるとの確認はない。

操縦性や静粛性、安定性が高くなった理由は、Xメンバーの変更やクロスメンバーなどを追加したラダーフレーム(これによって捻り剛性は1.5倍向上したという)に有るが、そこにはフレームとボディの接合部に使われるゴムブッシュの形状見直しも関係する。

3リンクのサスペンションは現場での改造が出来ないのが残念
補強されたラダーフレームは良いことばかりだった
 
唯一気に入らなかったのは、サスペンション形式で、リジッドでもいいからリーフスプリング式が良いのだが。と言うのも、3リンク式リジッドであると、横力を確保するためラテラルリンクを必要とし、そのリンクがサスペンションを大きく作動させたとき、ボディを左右に振り回す動きになってしまうからだ。

また、スプリングがコイル式であると、簡単に車高調整が出来ない(一部規則違反になるが)。リーフリジッドであると、シャックルピンのところにある取り付けプレートを長いものに変更すれば、現場でも簡単に車高調整が出来る。ただし、最低地上高の調整は無理。

ステアリングギヤボックスはリサキュレーションボール方式。ラック&ピニオン式は昔から採用できなかったが、それがまたいい方向へジムニーを引き寄せた
 
また、滑りやすい場所でのトラクションを確保するため、ブレーキLSDやトラクションコントロールは全てのクラスに標準装備されているのはうれしい。ただし、ブレーキLSDはレスポンスに遅れが生じるため、ハードな場所を走行する機会があるのなら、OPのヘリカルギヤ式トルセンデフLSD(リヤのみ)を組み込むべきだろう。なお価格は組み込み費ともで(本体価格79920円)11万円を超える。

走り出してビックリしたのは、そのレスポンスと更にスムーズで力強い加速性能。これまでのジムニーと比較したらビックリである。過渡特性が良いのは、ターボとのマッチングも大きく関係しているだろう。どのような手法でこの性能を手に入れたのか試乗後に開発者に聞いてみると「エンジンがこれまでのK6Aから、ワゴンRなどと同様なR06Aとして、ロングストーロークになりましたから」と言う話。また、最大トルクの回転数とその特性も変わって、実用領域でのトルクアップが効いているという。数字上では先代エンジンのほうが僅かだがトルクは大きいのだが、それがレスポンスとの関係から言うと、新型エンジンのほうがフリクションが少ない分、加速力にも優れると言うことになる。
トランスファーはAT・MTのどちらにも装備される。MTのシフトフィーリングも大きく向上した
こちらの画像はジムニーシエラAT。実は左足でのブレーキ操作がやりにくい。ステアリングシャフトが邪魔してブレーキペダルの正面に足を持って来られない。左角を踏みつける形になり、操作性が悪いのである


価格の安さにも驚く。これほど走破性の高さを確保しながら150万円以下からの設定だからだ。ベース価格が安くても、必要と思われる装備を付けると、思わぬ価格になってしまう、と言うのが軽自動車でもあるからだ。製造コストはセダン系あたりよりかかっていると思うのだが、それを払拭している。これほど込み入った機構と性能を確保しながら、魅力ある価格に出来るのは、ジムニーの歴史そのものから来るのかもしれない。

社会人になって初代ジムニー(LJ10)を新車で購入し、360ccと言う排気量から来る走行性能を納得しながら、河川の土手(道になっているところ)などを走り回ったが、その登坂力とコンパクトな造りは、動力性能以上のものを感じさせた。

フロントウインドウを前方に倒し、風をもろに受けながら40キロぐらいの速度で走らせるとき、隣に座らせている愛犬も満足げだったことが思い出される。最高速度は70km/h以下であるし、直進性も良くなかったから、のんびりと走らせる以外になかったのだが、現在のジムニーはかなり違うようだ。

2018年7月27日金曜日

シートの造りが悪いと言うレポートの多いNC700XとNC750Xだが、私の場合にはそんなこと気にすらならない


NC700Xをマイバイクとしてから数年経つが、その間にNC700DCT、750DCTなど、オートシフトのバイクにも乗ってみた。自分のバイクはともかく、これらの2台においても数十キロの走行ではなく、数百キロ(千キロを超えることも)、1~2泊でのツーリングである。

この距離を乗ると、そのバイクの癖をほとんど理解できるし、性能も把握する機会もある。

少しずつ改良を施し、手足に馴染むバイクに仕立てた。実は、リヤのキャリアはデイトナ製だが、高さを限界まで下げる目的で、溶接加工をしているから標準ではない。タイヤはもちろんミシュランである
 

また、「NC700Xや750Xのシートは座り心地が悪くて、尻が痛くなる」と言う話が理解できない。もちろん休み休みでの走行ではなく、一度走り出したら最低2時間、距離にすると一般道であるなら70~80キロ(場合によっては100キロ以上)。高速道路なら159キロぐらいノンストップ。

それでも尻が痛くなると言う経験をしたことがない。尻が痛くなって60分持たない、と言う方がいるけれど、その方はどのようなライディングスタイルなのであろうか。

シートにたっぷりと体重を掛けるアメリカンスタイルなのだろうか?これ、本人はそうではないと思っていても、物理的に判断すると、意外にシート荷重が高いこともある。

私の場合、どのようなライディングスタイルなのだろうかと、改めて考えてみたが・・・シートにたっぷりではなく、フットレストは土踏まずで荷重を加えず、指の付け根あたりで(つま先に近い場所)、フットレストを常時踏みつけており、必要時には土踏まずの位置にずらす、と言うことを自然にやっている。

薄いから尻が痛くなる、と言う考え方は間違い。シートに加わる荷重を均等に分散させる状態にあるか。また、その座り方も重要だと判断する
 

もちろんハンドルにはそれ相当の力が加わっているが、コーナリング時には力を抜く。

よくよく考えてみると、ハンドルを少し前方にして(マウントのボルトを緩め、持ち上げるようにすれば移動できる)、フットレストにかける体重(踏ん張りとして)を高くすることで、尻への負荷が少なくなるのではないか

このような乗り方を理論的に考えて乗っているわけではない。あくまでも自然にライディングスタイルとバイクにかかる重量を決めているのだろうから、尻が痛くなることはないのだ。身体の大きさは体重72Kg、身長178cm(最近の身体検査でのデータ)で、かなりの年寄りであるから、尻の肉はない。

2018年7月15日日曜日

冠水した道路をクルマで走る場合に注意したいこと それはアイドリングストップを作動させないこと


昨今の豪雨被害を見ていて、ふと気が付いたことがある。それは、マフラーのテールパイプ出口が水没する深さになる冠水場所を走行する場合、アイドリングストップさせると、とんでもないことが起きると言うことが考えられた。

それは、水がマフラーテールパイプから逆流する現象で、エンジン燃焼室内に水が浸入することとなって、再始動が不可能となると言う話。

なぜ水がマフラーのテールパイプから逆流するのかと言うと、まずアイドリングストップすると、クルマの後方下側に有るメインマフラー内に水が浸入。エンジンが始動していれば、排気の圧力でマフラー内の水が入り込むことは無いが(と言っても冠水の深さがあるとその水圧が排気圧に勝ちマフラー内に水が浸入する)、吐き出す作用が止まれば水は浸入する。

最初の何回かは、この状態となってもエンジンは始動してくれるが、エンジンは吸気バルブと排気バルブを同時に開くタイミングがあり、このときには当然テールパイプ側から排気ガスを引き込むような作用があり、ここに水があればそれを吸引。

もちろん一回でシリンダー内に入り込むことはないが、渋滞などで何回かのアイドリングストップからの再スタートにより、マフラー⇒排気管⇒触媒⇒エキゾーストマニホールドに到着し、再始動不可能になる。

そのような状態になると言うことを理解して、再始動した瞬間にギヤをニュートラルにして、エンジンを高回転に回し、排気系に入ってしまった水を吐き出させれば事なきを得られるが、冠水状態の場所で、常にこの作用をさせるにはミスも出る。

そこで簡単なのが、アイドリングストップをしないように停止ボタンを押しておくことである。

それでも水深のある場所を通過するときには、どうしても排気するための圧力が高くなり、不調の原因となるため、ニュートラルにして、アクセルを大きく踏み込み、マフラーテールパイプから、勢いよく内部の水を吐き出させる行為を行わないといけない。

もうひとつ知っておいて損はないものがある。それは、冠水の深い道路をどうしても走らなければならないときの取って置き方法。

水かさが増していれば、そこを走らせることによりエンジン吸気系から水を吸い込み(大型や背の高いクルマは別)エンジンストップ、或いはエンジン破損につながる。

でもそのような場所を通過しなければならないこともある。ひとつはバスなどの大型の後ろを出来るだけ近づいて走行する。大型のタイヤが水を左右に押しのけるので、水深が浅くなり何とかトラブルから回避できる。

それも出来ないようなときには、エンジンルームにある吸気の入り口近くに走行による水が当たらないような工夫をする。一番いいのは食品ラップをフロントグリル全てに貼り付けること。ラップがなかったら新聞紙でも十分。その新聞が落ちないようガムテープなどで止める。

フロントグリル内にはエンジン冷却用のラジエターがあるが、そこに当たる風を一時的に遮断しても、オーバーヒートなどのトラブルは起こさない。

このようにして水深の有る道路を走行する場合、エンジン回転は出来るだけ低くすること。ATであると簡単な話ではないが、アクセルを大きく踏み込まなければ可能なことである。

2018年6月25日月曜日

アウトボード・モーターボート用エンジンにもディーゼルがあった


2018年、今年パシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展」で、ディーゼルのアウトボード・モーターボート用のエンジンが展示されていた。クルマではないのだが、興味が持てる。同じアウトボード・モーターボートエンジンとしては、スズキが展示していたが、これは昨年の東京モーターショーで発表されていたもの。

パシフィコ横浜に展示されていたものは、日本のヤンマーが関係するもので、排気量804cc、2気筒直列、ターボ付き、コモンレール。そして、振動低減を目的にしたデュアルカウンター回転クランクシャフトでバランスを取っていると言う話。
 

デュアルカウンター回転クランクシャフトとはどのようなレイアウトなのだろうか、興味が持てるが、調べてもよくわからない。普通に逆転する配置に同じ質量の回転体を設け、それをギヤで逆回転させるように設計すれば、回転変化の反動トルクもなくなるし、当然振動も低減できる。

この構造とすることで、エンジン振動の低減だけではなく、アクセル開閉時に起きる反転するトルクがなくなるので、ハンドル操作が素直になり、操船性が向上すると言う。
 

クランクとしてではないが、バイクの世界では、すでにホンダが数十年前からクランクと逆回転させるクラッチ、ミッション軸を設け、完全に反動トルクをキャンセルしている。GL1800(それ以前のGL1000も)などがそうであるが、あえて反動トルクを僅かに残すような設計も有る。

ホンダであるとGL400やGL500、BMWも最近の高性能モデルでは、これまで以上に反動トルクが強くなることから、縦置きされた(ホンダも同様)クランクシャフトの下側に、クラッチを持って来て、それをスパイラルギヤで逆回転させることで、反動トルクを低減し、快適性と高性能を達成させた。個々のバイクによって設計が違うので、この説明が全てではない。

それはともかくとして、アウトボードエンジンにも4ストロークで大排気量の高出力型が主流(2ストロークの水中排気。排気ガスに含まれるエンジンオイルの問題から。スイスとドイツに跨るボーデン湖規制が有名だった)になった。それまでは4ストロークと言えばインボードエンジンやインボード・アウトボート(スターンドライブ)のような大掛かりなものが当然のように言われてきたが、装置そのものが大きく搭載性やメンテナンス性が悪いため、アウトボードエンジンに主力が傾きつつあるようだ。

アウトボード・モーターボートエンジンに4ストロークが当然になったことで、モーターボートエンジンも大きく様変わりした。ただし、このエンジンにはかなりのノウハウがあるようで、最初のうちは、アメリカの大手モーターボートエンジン・メーカーでも、日本からのOEM製品を販売していたのだ。

4ストロークのアウトボード・モーターボートエンジンは、日本のホンダが最初ではないはず。今から50年以上前にアメリカの(ホームライトとか言うメーカーだったと思う)メーカーが販売していた。当時は、その性能があまりにも低かったため、ユーザーからも受け入れてもらえず、いつの間にか消えたのだが、その後にホンダが同様なエンジンで発売したときも、性能的に、重量的に受け入れる土壌はなかった。当時を振り返って・・・

1964年にホンダが発売したGB30と言うエンジンは、4ストローク単気筒、171cc、4psで空冷。汎用エンジンのG30を流用したもので、ベルトドライブだから、カバーを取り外すと、現場での動力源に使用できると言う設計だったのは評価できる。