研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2017年7月28日金曜日

自動車の車検時に行う光軸検査で、問題が出るようになり、検査ラインで時間のかかることが多くなった。何が悪いのだ


その原因は、複数のLEDヘッドライトを搭載するクルマが多くなり、そして、複数のLEDを採用したものであると、ハイビームではどこが中心であるかの判断がヘッドライトテスター(自動のコンピューター制御)では出来ないことから、なんとなくそれとわかるロービームなら、水平ラインから左に上がる場所を基準点とすればいいだろうと言うわけで、最近の車検ラインではロービームの光軸で判断するようになった。

ハイビームでのテストが出来るクルマのヘッドライトレンズをよく見ると、小さなでっぱりのようなものがレンズの中にある。これは、ライトのバルブと一直線上にあり、ここを基準としてハイビームの光軸を検査するようになっているのだ。その昔では、レンズカットなるものがあり(光の明るさが減衰してしまうが)、それによりバルブの中心とレンズは一体であることから光軸は求め易かった。

レンズカットの有るヘッドライトは、光軸調整でリフレクターとレンズは一体となっており、ヘッドライト全部を動かしての調整だが、最近流行のレンズカットがないものでは、ヘッドライトをハイビーム点灯させたとき、どこを目標に光軸を測定すればいいのか不明となるため、透明で小さな出っ張りをレンズ内部に作り、それとバルブからでる光を捉え、これを基準にハイビームの光軸を検査していた。

ところが、ハイビーム重視でヘッドライトを造っているわけだから、それを、いきなりロービームとなれば、基準となるヘッドライトのレンズマークはない。はて???

これが、問題を引き起こしている。全てのクルマがロービームで高軸(ハイビームでの重要性を求めるが・・・)が決まればいいが、そうはいかない。

ロービームでのテストに変わったことは知っているので、車検の前に近くのテスター屋さんで、ロービーム光軸調整を行ったのだが、ヘッドライト検査で不合格。

その不合格がでるまで、何回も検査し、更にハイビームでの検査にも切り替え、それも何回も行う。結果としては、ヘッドライト検査の時間は10分近くかかって、不合格判定。

再度テスター屋さんに出かけ、状況を話してロービームだけではなくハイビームでの光軸調整も行って、再検(検査ラインに入るところに何をテストするのか選ぶボタンがある)を行ったが、ロービームでは左側はOKであるが右側はダメ。

こうなると最初と同じで、ハイビームにして検査をやり直す。ここで、何とか合格。いや~検査で時間のかかること。どうりで隣の検査ラインも先に進まない訳だ。

これからどうすれば、この問題は解決するかであるが、いっそのこと複数のLEDを使用したものでない場合には、最初からハイビームでの検査でお願いすればいいのだ!!!バイクはハイビームなんだから。

2017年7月13日木曜日

以前にも同じようなことを書いたが、日本の道路交通法の「人は右・クルマは左」ということは、自転車を使う方が咄嗟のときに迷ってしまうのではないか、という話


道路交通法には、人は右・クルマは左という法規がある。クルマとは全ての車両を意味するから、当然自転車もその中に入る。

ところが、この法規が歩行者のほとんど、自転車の一部で守られていない。それは、道路の両側にある歩道を歩いてみればわかる、というより体験する。もちろん歩道の幅が広ければ気になるような状態にはならないのだが。

歩道の幅が1mぐらいのところでは自転車を乗り入れることは少なく、例え乗り入れていてもその方は気を使って走らせるので、それはそれで納得できるが、その場合、対向してくる歩行者のどちら側で擦れ違えばいいのか。自転車は左側を走る、ということが法律で決められているからと、歩行者の左側を走ってしまう。これ間違い・・・

では、歩行者はというと、本来は右側通行なのに左側を歩く方がほとんど。それを否締めたら、とてもいやな経験をしたので、それ以後、こちらから右側をしっかりと歩いて、先方から来た方も右側(つまり左側歩行)を歩いて、避ける気配がないときには、右下を向いてその方を無視するような行動を取ると、直前まで来たときにその方は避ける行動を取る。

自宅近くの駅前交差点では、右側にそこへのショートカットがある関係で、歩道の右側に歩行者が待つ。ここまではいいのだが、その後はひどい。右側に待つ方がほとんどだから、そのまま右側を渡り右側を歩くのかと思いきや、いきなりクロスして左側を団体行動的に歩く。

そういう私も、漠然と歩いているといつの間にか左側。ということは、人間の本性は左側を歩くことが正しいのかもしれない。これらのことが、自転車を走らせるときにも、精神的な影響として表に出てしまうのではないだろうか。そうなると、「人は左・クルマも左」、という法律にしたほうが瞬間の判断を間違わないで済むし、それによる事故も少なくなると思う。

更に自転車の走行レーンをしっかりと道路上にマークし、そこを走ってもらうことで事故の抑制を図る、という趣旨で最近はいたるところに、理解しにくい(決まったマークではないし、色も統一されていないので)マークが有るらしいのだが、果たしてそれは確実に守れる状況にあるのか、ということに行き着く。

そのマークしているところは、大型も走り、かつそれらのクルマは普通に自転車走行レーン上に駐停車する。そのときには、自転車が歩道上に回避できる(このような構造は見たことはないが)道路設計となっていれば問題は起きないが、そのような設計ではないとなると、交通量の多い中央側に飛び出して、これを避けることになる。

周りを常に注意してクルマを走らせる運転手は、自転車・その前方にクルマが止まっていれば、当然自分の走る側に出てくるな、という予想をして、何事もなかったかのようにアクセルを戻し、ブレーキペダルの上に足を乗せ、いつでも回避行動が起こせる状態を作るのだが、そうでない場合には事故が起きる。

日本の道路行政は、時代遅れになっていることは世界中が認めるところ。認めていないのは、東大卒のお役人?だけかもしれない。

海外旅行の経験は多くても、ツアーコンダクターが手配した運転手付でのクルマで移動したのでは何もわからない。現地でレンタカーを借りて、いろいろな道路を走ってみれば、如何に日本の道路行政がいい加減で、手前勝手に規制されているということに気が付くはず。ただし、いい加減な運転をすると、気が付かないかもしれないが・・・事故になるというリスクをしっかりと認識していれば、その事故を起こさない、或いは事故に結びつくような行動は何か、などにも行き着く。

でも、このような規制、規則を作る方は実際にそのような道路を自転車や自動車、バイクで何回も走ったことのない方で、机上論で決めているような感じがしている。例えばこのような話がある、会社勤めをしていたとき、大学院生たちが卒論のテーマとして、「日本の道路についての研究を・・・」で話を聞きたいと会社を尋ねてきた。

一通りの話が終わってから、その方たち(3人だったと思う)に、海外旅行の経験は?と聞くと「行ったとこはあります」という答え。それは、ツアーコンダクター同行ですか、という問いかけをすると、全員がツアコン同行で、個人旅行ではないという。

普通に外国を経験するのなら、ツアコン同行でもいいが、日本と違う環境をしっかりと経験するには、やはり個人旅行だから、ぜひ在学中に個人旅行を経験してください。それによる内容は今後とてもためになると思います、と締めくくった。

2017年7月5日水曜日

高齢者の自動車事故が多いから、高齢者には各種自動装置が付いたクルマ限定で運転を許可しよう・・・という話が出ているが


警察庁の有識者会議の中で、高齢者の事故に対する対策として、自動ブレーキやレーンキープなどの付いたものでなければ運転できないようにしようか、という話が出ているようだが、果たしてそれで事故は減少するのか?

自動ブレーキが付いていれば、確実に停止できる、という話は誰が出したのか。私が自動車メーカーの開発者に聴いた話では、「この自動ブレーキシステムやその他の自動装置は、あくまでも補助的に作動するもので、絶対ではありません」。ということ。

それは当然だろうと思う。絶対に壊れない装置なってないし、誤作動やシステムエラーだって発生する。運悪く、このようなトラブルを抱えているときに、タイミングよく事故が起きる状況になったときには、そのまま事故となる。

例えばABSやエアバッグ、エンジンシステムなどが正しく作動しているかの判断が出来るように、システムチェックランプが装備されている。このようなチェック装備があるということは、その安全装備がトラブルを起こすことがあり、そのトラブルがあったときには、ランプを点灯させて知らせる必要があるからだ。

つまり、かなり歴史のある安全装置でも、トラブルを起こすことはあり、それに対する備えが必要ということ。なので、自動ブレーキやレーンキープなどの装備も同じ。このあたりが確立していないように感じる。

このようなことは警察庁の方やお集まりの有識者は考えなかったのだろうか。たぶん、自動車メーカーもそのことに関しては、「自動装置を絶対と思わないでください」というのではないのかな。

高齢者事故で多いのは、ブレーキとアクセルの踏み間違いであるという。だったら、左足で(ブレーキペダルに足が届かないクルマもあるが)のブレーキペダル操作がいい。

左足で踏めば、左足で触るものはブレーキペダルしかないので、踏み間違いなど発生しない。

自動車教習場での実技教習では、AT限定免許であるなら、左足ブレーキ教習をすべきだと、常日頃から思っている。

ただし、これを行うには教習所の問題ではなく、運転免許を管轄する警察庁の頭を変えなければ話が先に進まない。とにかく、ブレーキは右足で踏むのである。左足などもってのほか、ということが、まかり通っているからだ。

また、「左足でブレーキ操作を行うとブレーキペダルの上に足を乗せたまま走る方がいて、ブレーキランプが点灯しており、後方を走ると危険を感じる」、という話だが、それは、リヤフォグを点灯させたまま(使い方が間違っている)という場合もある。左足がブレーキペダルの上に載って、ブレーキランプが点灯しいることによるトラブルを事前に防止するには、室内に小さなLEDを取り付け、ブレーキペダルが踏まれていることを、ドライバーに知らせるようにすれば事は済むと思う。

そして、気になることは、例えば自動ブレーキ装備車であると、運転中でも何かあればクルマが的確にブレーキを掛けてくれる、という気持ちが大きくなり、頼り切ってしまうことから、ドライバーのブレーキ操作がおろそかになり、ますます事故が増えると思うのだが。今のところ、自動装置はあくまでも運転の補助であると思うので、自動運転車両が普及すれば、それは技術力の成果であろうから、マシントラブルによる事故は起きない???

2017年5月22日月曜日

全てのバッテリー(乾電池も)に言えること


電層ごとに違う性能が問題を引き起こす

性能差がないように造りたいのは山々だが、人工的に造るものは、どうしても容量、電圧、内部抵抗に差が出来る。

この差があると、直列に繋いで電圧を高くする場合(EVやハイブリッド用として使うとなると当然こうなる)、電気的な負荷を与えた瞬間に、元気な電層から電圧の上がっていない電層に充電が始まる。

モーターを回すことが目的なのに、隣のバッテリーに充電したのでは、本来持っている性能が発揮できなくて当然。このようなことが起きるため、EVを造るあるメーカーでは、充電後に各バッテリーの電圧を計測し、他のものより高い場合には放電(パージ、ショート)させ、全体のバランスを取るという。

その方がバッテリーの能力を発揮できるというが、それにしてももったいない話である。

全てのバッテリー(普通の鉛バッテリーも乾電池も)で目的とすること、それは公差が出てしまうことを、いかに小さく、そして、それがないようにするかである。しかし、いくら研究・開発が進んでも、近い将来では、なしえない状態にあるという。

EVの走行距離アップで研究目標となっているのが、バッテリーセルの性能合わせで、それがなかなか達成できない。

人が人工的に作り出すものは、必ず100%同じにはならないのは、

バッテリーも同様で、それゆえ、EVに現在使用しているリチウムイオンバッテリーやチタン酸リチウム負極(SCiBは、ひとつのセルでの電圧を高める研究が進んでいる。

極端な話が、ひとつのセルだけで300Vや600Vのバッテリーが出来れば、公差なんて関係なくなるのだが・・・

数十年前にこんな話を聞いた。それはビデオカメラにニッカドバッテリーが使われていたころで、TV局でも同様に使用。

ただし、TV局に販売されるニッカドバッテリーは、公差が非常に小さなもので、製造メーカーは使用中の電圧に差が出ないものを寄せ集めた。つまり、完成したニッカドバッテリーをそのままTV局へ納入するのではなく、一度負荷をかける状態で使用し、その途中での電圧降下状態を計測。出来るだけ降下率の同じものをまとめるだけではなく、降下の少ないものを選んだ。

では巷に出ていたニッカドバッテリーは、というと、これらはプロ仕様の中で端にも棒にも引っかからないジャンク品、といっても過言ではない内容のものだった。当然モーターラジコンなどでもプロ仕様を手に入れた人が勝ってしまうのは明白。「そーかー。それでオレはあいつに勝てなかったのか~」なんていう昔を思い出す人も要るだろう。

このようにして優れたものだけを集めてTV局へ持ち込まれたわけだが、使用時間が来ると処分される。

あるテレビ局の関係者は、その状態の処分ニッカドバッテリーを分解し、自分が使用するビデオに合うように組み直し、使用する。その結果、なんと指定バッテリーを購入したときより数倍長持ちした、というのである。

これ、当然で納得

2017年5月17日水曜日

ホンダNC700Xのコーナーを曲がるときに癖は、タイヤの変更によってある程度解決できるようだ


NC700Xを最初に試乗したとき、フロントタイヤがパンクしているのではないか、と感じさせるほどの巻き込みが発生していた。これは、特性という範疇を超えた欠点であるという捕らえ方をした。その結論を導き出す背景には、これまでこんなにひどい巻き込み現象が発生するバイクに乗ったことがないからである。

とにかくその癖は恐ろしく強いもので、街中でも速度に関係なく巻き込み(強い切れ込み)が発生する。というわけで疲労の発生がひどい。

しかも、全ての角(交差点も)、コーナーを走り抜けるとき、ライディングスタイルをツーリングで楽なリーンウイズではなく、レース場でやる、ハングオフ(半尻落しで、内側の膝を開き、更にハンドルを突っ張らず、肩からコーナーに入っていくような感じ)での走行は、年寄りばかりではなく若者だって楽しくないばかりか、疲労も蓄積する。

そこで、750にモデルチェンジされたNC750Xに採用されていた、ピレリのスコーピオントレイルというタイヤにチェンジ。値段が高価なのとどのような評価になるか心配だったから、フロントだけを購入して交換。

 
純正装着のBSから手前のピレリスコーピオントレイルに交換して、走行性に違いを感じていたが、その磨耗の激しいこと、それに磨耗することでハンドルの感触に大きな変化が出てきた
 

確かにコーナーでの巻き込み現象は低減していて、ニブリング現象も弱くなったので、すり抜けでヒヤリとすることは少なく、ツーリングでの疲労もこれまでよりはるかに少ない。

しかし、タイヤ交換して4000キロぐらい走行するころから、なんとなくフロントが粘っこく反応する。もちろん、純正装着タイヤのBSとは違う感触で、タイトな上りのコーナー(地下駐車場からでるような場合)でも特に気になる表情は見せないのだが、どことなくハンドルが粘っこい割りに落ち着かない。

また、タイヤのトレッドを監視していると、磨耗が早いようで8000キロでスリップサインが出てきてしまった。スコーピオントレイルを装着してから、磨耗が激しいという書き込みは見ていたが、まさかこれほどとは思わなかった。ま、これも経験だから仕方がないか・・・


スリップサインが出てしまったピレリ。そこで、車検ついでに早々と購入していたミシュランにチェンジ。ハンドルの感触ばかりではなく、非常に素直な感じを受ける。コレがどこまで続くかは数ヶ月先でないとわからないが・・・
 そのようなことも計算していたので、次に装着するタイヤはミシュランのパイロッドロード2。当時はロード3なども発売されていたが、値段が高いので、ロード2を選んだ。何がどう違うのかは知らないが、ある方の話だと「ロード2のほうが走行性がいい」というのである。確かにその方のバイクにはロード2が装着されていた。

そして、ピレリのスコーピオントレイルからミシュランのパイロットロード2に交換すると、その違いがハッキリと現れた。

何が違うのかというと、ハンドルが軽いのである。徐行状態での粘っこさはなく、スムーズそのもの。それはスコーピオントレイルを履いたときに感じたものとは完全に違って、タイヤが細くなったような感触なのだ。

交換してから街乗りしかやっていないので、総合評価は出来ないが、そのうちツーリングに出かけるので、直ぐにわかるだろう。

コーナリング性能が著しく劣ることはないだろう。また、サーキット走行となれば、当然ライディングスタイルは違うので、判断基準も変わるから、それは何ともいえない。

でも、何でこれほど顕著なハンドリングの違いがでるのだろうか。タイヤのパターンではなく構造が問題なのだろう。それを示すかのように、最近のNC750には、またBSブランドのタイヤが純正装着されている。ということは、恐らくホンダ側からBSに対して、タイヤ構造の見直し要求が出て、それに合わせて製造しなおしたとも言えそうだ。

タイヤの開発製造で一番コストのかかる部分はトレッドパターンに関するもので、構造(断面)ではないからだ。

2017年5月8日月曜日

BMWバイクの素晴らしいハンドリングを改めて再発見した2017年JAIAバイク試乗会


今年で3回目となる輸入バイクの試乗会に参加した。JAIA(日本自動車輸入組合)はクルマもバイクも同じ組織で、これまで開催されなかったことがおかしかったのだが、3年前(正式には4年前のアンケートが後押しした)から、会場は同じ大磯プリンスホテル駐車場。

試乗会場は大磯プリンスホテルの駐車場をベースにしたもので、ここから一般道へ
 

JAIAに加入していないバイクは残念ながら参加していないので、モーターサイクルショーで見る珍しいバイクの試乗はない。また、試乗リストに挙がっていても最新モデルであると用意が遅れてしまい、キャンセルされることがあるのは残念。

第1回目は天候の関係で参加を取りやめたが、2回目(つまり昨年)からは参加している。

用意されているバイクの中で、どうしても話題のあるものに乗りたいライダーが集中して、これは抽選となるため、全てのバイクに乗れないのが残念。それでも、確認したいバイクには乗ることが出来た。

さて確認したいバイクとは、BMWである。昨年もBMWのF800GSにチョイと試乗したが、その自然なハンドリングに度肝を抜かれた。何とも非常に自然なハンドリングなのである。ライダーが行きたい方向を向くと自然に方向を変える。そして、ハンドル(フロントタイヤ)が引き込まれるような感触は微塵もない。

これにはびっくり仰天である。このような感触の日本車(バイク)にはお目にかかったことがない。最徐行しようが加速しようが、その状態を変えることはないのである。峠のワインディングはもちろん市街地、渋滞時などの微妙にバランスが要求されるところでも、普通にライディングしていれば何も起きない。

ホンダ研究所を定年退職したウルサ型の足回り担当の方も、このF800GSを自分のバイクとして購入。そのハンドリングの素晴らしさには、かぶとを脱いでおり「自分達がこれぞと思って開発したバイクでさえ足元にも及ばない」「N**なんかくそ喰らえだ」と暴言を吐くほどである。

試乗したS1000XR。1000cc4気筒モデルであるから当然重さがある・・・というのは間違いで、いざシートにまたがりギヤを1速に入れゆっくりと走り出せば、「何だコレ」なのである。おかしいから「何だ」ではなく、非常に素直で癖のないハンドリングだからである。コレまで経験した日本の大型バイクにはない特性には脱帽である
 

ツインのF800GSばかりではなく、他の水平対抗や並列4気筒のモデルはどうなのか、興味を持てるのでS1000XR(並列4気筒)アドベンチャースポーツというキャッチフレーズの付いたこのモデルでその素性を確認すると、今現在自分で乗っているモデルのだらしなさをマザマザと見せ付けられた。

見よこのしっかりとしたフロントフォーク。サスペンション回りでもBMWは、特別な配慮をもって設計していることがわかる
 

F800GS同様のハンドリングで、1速ギヤのアイドリング走行でも、ごく普通に何の問題もなく、腰や足でのバランスを必要とせず、バイク任せの走行が可能。というより、それがあたりまえの状態をなのである。

このモデルではあまり電子制御は取り入れていない。隠れたところにテクノロジーがある
 

日本のバイクメーカーのモデル全てを乗っていないので、断言は出来ないが、現在のモデルでこのようなハンドリングの日本製バイクは存在するのだろうか?

2017年4月27日木曜日

AT仕様のクルマの暴走事故があるが、AT車のブレーキペダルが幅広で大きい理由は何?


自動ブレーキのシステムを搭載したクルマが発売されているので、アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故は少なくなるだろうが、完全になくなるわけではない。障害物を認識しなかったり、認識するのが遅れれば事故は起きる。更に、このシステムが絶対に故障しないわけでもなく、いつ故障するかわからない。

となると頼みは運転手。運転手が間違いの操作をしなければ、ブレーキとアクセルを踏み違うことでの事故は発生しない。

そこで、AT車を運転するときに遊んでいる左足(健常者での話)を有効に使うという発想が生まれる。使えるものは何でも使えばいいのだから。

クルマの暴走事故は今に始まったことではない。2ペダル(AT車)のクルマでは、健常者であると右足でアクセルとブレーキを踏むように、半ば強制的に習慣付けられ、日本の自動車教習制度をつかさどる警察庁の指導(規則)では、ブレーキペダルは右足で踏む、ということになっているらしい。実技教習指導中に左足でブレーキペダルを踏むと、教官から怒鳴られる、という話も聞く。

それでいいのか???

では、なぜAT車のブレーキペダルは幅が広く(全てのクルマではないが)大きいのだろうか。

これつまり、健常者であればどちらの足を使ってもブレーキペダルを確実に操作できるように、ということが目的ではないのだろうか。今から50年以上前の日本車でもそのような設計であったし、ましてやAT車大国のアメリカでは、これより以前からブレーキペダルは幅広で大きかった。

その意味合いを語れる設計者はすでのお亡くなりだろうから、そこに至った真実は知ることはできない。でも、現在のクルマでさえ、このような作りになっているということは、考え方(つまり左足も自由に使うということ)をそのままコピーした、ということが言えやしないか。

左足でブレーキペダルの操作をすると、いいこと尽くめなのである。

いつも書いているが、ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故はなくなる。踏み間違いをしないからである。それは、左足で足の裏に触るペダルはブレーキであり、右足ではアクセルである、というごく普通の構造が当然そうさせる。

左足でのブレーキ操作は訓練というようなことではなく、単に慣れでしかない。道路を走っていて、不安に思ったら、ブレーキペダルの上に足を添えて、いつでも踏めるように構えていれば、いざというときに間髪をいれず、ブレーキ操作が出来る。

そして、人間とはすごいもので、このように構えているときの緊急ブレーキは、とても冷静にブレーキ操作が出来たことを数多く経験している。

こんな経験もした。それは試乗会での出来事。道路の一時停止場所。それがまた左右が見にくい。右はまだしも左はかなりはみ出さないと確認不可能。

そのままいつまでもそこにいるわけにも行かないので、左足はブレーキペダルを操作しながら、右足はアクセルを僅かに踏む。左を再度確認しながらのことだが、それがなかなか難しい。素早く通過しようとアクセルを踏んだ瞬間、左からクルマが。すると、頭の中で「待て、クルマが来るぞ」的な指令が起き、アクセルペダルはそのままに、左足は強くブレーキペダルを踏む(操作する)状態になった。

このとき、自分自身でもなぜそのような行動になったのか判断できなかったが、考えてみれば左足も右足も(健常者なら)自由勝手に動くのは普通。例えばMT車の操作は、自然に右足と左足は必要とする操作に対する動きとなる。それは、何の意識なしでのことだから、AT車での左足と右足が、それぞれ勝手な方向で、そのときのベストな動きになっても不思議ではない???のかもしれない。

アクセルペダルを踏んでいる右足でブレーキペダルも踏まないと、アクセルが戻っていないから、制動能力に劣るのでダメ、という方がお出でになるが、それをカバーするために、最近のATでは、ブレーキオーバーライド(ブレーキペダル優先制御)なるシステムが組み込まれているので、その心配はない。

自動車の構造・規格などを管轄する国土交通省では「AT車の場合、左足でブレーキペダルを踏む人もいるので、例えアクセルペダルを踏んでいても、ブレーキペダルを踏んだ瞬間にアクセルを戻すシステムをつけるように」という指針を出している。電子制御となったアクセル制御では、この装置を搭載するのは簡単なことである。

また、ブレーキ性能のほうがエンジン性能より高いので、多少アクセルペダルが踏み込まれた状態でも、制動能力が大きく低下することはない。

マニュアルミッションでの制動力や操作でも、特別制動距離が伸びるという話は聞いたことがない。急ブレーキ時にクラッチを切って・・・という行為は無理。でも、ブレーキは十分に利く。ABSが装備される前には、クラッチを切らない急ブレーキのほうが、タイヤのロックを防げて、制動能力が高くなるということを述べていた人物もいた。

バイクのギヤ付では、左右の足はそのギヤ操作に合わせてかなりややこしい(乗りこなしていればそれを感じることはないのだが)。左右の足としたのは、その昔ではギヤのシフトペダルは右のものや左のもの、さらにロータリー変速(シフトペダルを踏み続けているとN1234N或いはN4321N)となるシフトパターン。更に、ハーフシフトの位置にN(ニュートラル)があり、そこから1段踏み下げて1、ペダルの下側につま先をいれ、かき上げるとハーフシフトのNを通り越して2になる。変速のたびに3、4、5、6でストップとなり、元へ戻す場合には、シフトペダル(チェンジペダル)を1段ずつ踏み下げる。最高6段変速で、これはレースのレギュレーションからなんとなく変速段数が決まったと思う。

現在発売されているスポーツバイクでは、このシフトパターンが標準。更にアメリカでのMVSS規格において、このシフトパターンであること、という規則まで存在する。そしてシフトペダルは左で右がブレーキペダルである。

現在ではこのような規則に則って右がブレーキ左がギヤチェンジと決まっているが、その昔には、各メーカーの主義主張で勝手に決めていた。また、そのバイクがどのような目的を持つかでも、ブレーキペダルとギヤチェンジペダルの左右はある。

その例がアメリカのハーレーで、フラットトラック(日本ではダートトラックという呼び方をする)を目的にしたモデルでは、1周1マイルレース用のベースモデルとなると、ギヤチェンジが必要となるため、左足をステップから外した状態で、金属のスリッパを取り付けたブーツで、バランスを取りながら、その足をスライドさせるためギヤチェンジは当然右側に装備された。

ついでの話だが、AT車で左足でのブレーキ操作が完璧に出来るようになると、渋滞時では両足でのブレーキ操作も出来てしまう。特に停止時では、ブレーキペダルを踏む、という行為ではなく、ブレーキペダルに両足を乗せる、ということでクルマを停止させて置けるので、疲れも少ない。

また、ある集まりで、左足でのブレーキ操作について議論していたら、ある若者が「そうすると、MT車に乗ったとき、うまく操作が出来ず、暴走や事故になるので、賛成できない」という、感覚的な意見を述べてきた。

そして、周りにいた私と同年代の方々も、「そうだね」的な相槌を打ったので。「誰がそんなことを述べているのか聞きたい。どちらの仕様のクルマに乗っても、まごつくことはない。現に私は自家用車としてMT仕様であるし、試乗会ではほとんどAT.とっかえひっかえ乗り換えても問題を感じたことはないし、MTであれば、トー&ヒルの操作をすることだってある」と話したら、不満げな顔をしていた。

レーシングドライバーはどのような意見を持つのであろうか。人づてに聞いた話では、「サーキットではともかく、一般道では危険となるので、左足でのブレーキ操作は推奨しない」という話がある。

サーキットは、どこでブレーキを開始するのが早く走れるかという練習をするから、冷静に計算した上で普通に左足でブレーキペダルを踏めるのだろうが、こと一般道となると、ブレーキを踏む、その必要性は、サーキットに比べ物にならないくらい多く、更にいつその必要性が生まれるかということも熟知していないと、完璧なブレーキ操作が出来ない。

つまり、サーキットばかりで左足を使ってブレーキ操作しているドライバーは、一般道ではいざとなったときには左足でのブレーキ操作に支障をきたすのだろう。そのような経験から出た言葉なので、正しいとは判断できない。

逆に、ある自動車メーカーのレーシングドライバーは、走行実験の担当者に対して「左足でのブレーキ操作をマスターしたほうがいい、早く走れることはともかく、それより重要な安全そしてスムーズな運転を導き出せるから」という話をするそうだ。

問題は、自動車ジャーナリストとして活躍するのなら、人から聞いた、偏った話を鵜呑みにするのではなく、自分で当事者に聞くなり、実証実験してその結果を自分のものにするべきだと思う。