研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2014年2月19日水曜日

数年前スイス・ツェルマットで見た、その光景

スイスと言えば、取り分け環境にうるさいお国柄、その証拠がこれ

この街では建設機械以外の内燃機関(ディーゼルに限らない)は動いていない。その街とは、名峰マッターホルンのお膝元であるツェルマット。

観光客でもこの街に入るには観光バスは使えず、ひとつ前の町にある駅から電車に乗る以外にない。
ツェルマットの駅前。前方に見える車は全てEV。当然街の中はとても静か。唸りを上げて走るクルマがないのは、これほどなのだ、と改めて知る 
ツェルマットを走るクルマはバッテリーカー(EV)である。マイクロバスや小型のトラックも同様で、観光客の送迎や荷物の輸送には、専用のEVが走り、マイクロバスや小型トラックは改造車。

どのように改造してあるかというと、とても簡単で分かりやすい。何のことはない、リヤのデフをヒックリ返して後ろからモーター(たいていはDCブラシ式)をダイレクトに取り付けるという構造。

勿論、高価なリチウムイオンバッテリーなど使っていないし、使う必要もないぐらい、小さな町で、普通の鉛バッテリーで十分ことは足りてしまうようだ。

そのバッテリー充電は、家庭用電気であっても200Vなので、効率の高い充電器を使うことが出来、ちょくちょく充電をしている光景を見る。ホテル(基本的に大型の宿泊施設はない)では、裏の方に充電器があり、それが普通。この普通、という実績が強いのだろう。
これがEV用の充電器。ホテルの裏にひっそりと、さりげなく置いてある。これがツェルマットの当たり前

2014年2月14日金曜日

タイヤチェーン、付けるのは前、後ろ?

最近、関東地方の平野部分にも雪の降ることが多くなった。それは自然のことだからどうしようもないのだが、人間はそれを乗り越える知恵を身につけてきたはず。

その一つが、クルマを走らせるときのタイヤチェーンである。素晴らしいスタッドレスタイヤも登場しているが、舗装路面以外でそれ以上の駆動・制動性能を持つのがタイヤチェーンである。

さて問題はここから。

新車発表会の帰宅途中、降車した駅から自宅まで歩いていると、また翌日には雪が降る(2月14日の予報)ということなのだろう、とあるパン屋さんの前で、そこの配達用と思われる軽自動車にタイヤチェーンを取り付けているシーンに出くわした。

サクサク作業を行っていたら、何も気に留めなかったのだが、少々てこずっている。

元来がお節介の性分だから、その状況を数秒観察すると、どうやら、タイヤチェーンのつける位置が違っている。そのクルマはスズキのエブリイ・バン。ということは後輪駆動。なのに前輪に取り付けようとしている。4WDであるなら、前輪に取り付けても、セレクターで4WDシフトをすれば走るのだが・・・

それを見て「あの~チョットいいですか」と声を掛けながら、「このクルマ後輪駆動ですから、後輪にタイヤチェーンは付けないとダメですが」といったところ。「このクルマはFFだから、前輪にタイヤチェーンを付けるようにアドバイスされたのですが」。という話。

誰だ~そんないい加減なアドバイスをしたのは。軽自動車の多くはFFだから、前輪にタイヤチェーンを巻くというのは正解なのだが(絶対ではない、その話は後述)、トラックをベースにした軽自動車は後輪駆動。

後輪に取り付けなければいけないということを納得してもらうため(駆動輪に付けるということは理解していたので)、「ほら、ここにデフがあるでしょ。4WDなら少し話は違いますが」「いえ、このクルマは2輪駆動です」。ということで納得してくれた。

よって、エブリイ・バンなどは、後輪にタイヤチェーンを付けるのが正しい。

たまたま、正しい知識を持つ人間が通りかかったからいいようなもの、そのまま雪降る世界へ飛び出していたら、スタック間違いなし。チェーン装着だから安心、という勘違いで速度を出していたら、コントロールを失って、事故が起きていたかもしれない。

よかった、事故を未然に防げた

後述とした内容

それは、FFだからといって、走る場所によってタイヤチェーンを何処に取り付けるか、判断が重要という話。

何のことか分からない、という方に・・・FF車で、タイヤチェーンを付けて、下りのコーナーを駆け抜けると、どうなる?

アクセルを戻せばエンジンブレーキが掛かる。そのエンジンブレーキは前輪に掛かる。つまり、スリップしやすいところで前輪だけブレーキをかければ、後輪が外に飛び出す。これ道理

こうなったら、神に祈るだけ。どうコントロールしても元には戻らない。コーナリングに余裕があれば、アクセルを踏んで前輪に駆動を与え、立て直すことは可能だが、そんな余裕とドライビング技術を持ったドライバーなら、そのような状況となる前に、自然と回避しているだろう。

では、どうしたらいいのだろうか。タイヤチェーンがもう一組あれば全てのタイヤにタイヤチェーンを取り付ける。

既に取り付けているものしかないときには、対角線上に1本は前輪に、残る1本は後輪に取り付ける(くれぐれも、片側の前後に取り付けないこと)。

これでコーナリングの最中にエンジンブレーキをかけても飛び出すことはないが、ブレーキペダルを踏むとハンドルを取られる可能性はある。しかし、ABSを装備していれば、その恩恵にあずかることができるので、安定してブレーキペダルは踏める。

2014年2月7日金曜日

ブレーキ液が一人で完璧に交換できる“これぞワンマン・ブリーダー”

ブレーキのオーバーホールや、定期的に行うブレーキ液の交換では、ブレーキの全システムやパイプラインから、確実にエアを排出させなければ、ブレーキ性能を得ることが出来ない。

一般的には、メカニック二人で声を掛け合って、ブリーダープラグからエアを排出させるため、ブリーダープラグを緩めたり締めたりする。そのときにはブレーキペダルを「踏めー」「踏んだー」、「離せー」「離した」などの掛け声でやる。

これをやる必要のある理由は、ブレーキペダルを踏みつけてエア混じりのブレーキ液を排出させ、その後にペダルを放すと、マスターシリンダーから送られたブレーキ液を補充する作用がマスターシリンダーに発生。

それはブレーキライン全体にバキュームが起きる結果となり、一度排出したエア混じりのブレーキ液を吸い戻すだけではなく、ブリーザープラグのネジ部分からも、大気圧が加わり、エアがホイールシリンダーやキャリパーシリンダーに入ってしまう。これを防止するためには、ブレーキペダルを踏みつけている状態で、ブリーダープラグを閉め、エアを再度吸引しないようにする必要があるのだ。

しかし、一人だったらどうするか。

私の場合には、エンジンオイルをレベルゲージから吸引するバキュームポンプを使用する。この話は後日取り上げる。

世界には、一人でやりたい、やらなければならない方が多くおいでになるようで、海外では、素晴らしい部品を作っている。

それは、ワンマン・ブリーダープラグと呼ばれるものだ。

ブリーダープラグの排出部分にホースを取り付けて、そのホースにチェックバルブ(ワンウエイ)を設けたような、いい加減なものとは違う。

ワンマンでやることの問題点に、真正面から取り組み、それを解決している。

機構的なこととしては、ブレーキペダルを踏んで離したときに、ブリーダープラグ周りから、エアを吸い込まないことだけでいい。但し、これが少々厄介。

どこかにチェックバルブ機構を設ける必要があるからだ。

ここで、素晴らしい構造のワンマン・ブリーダープラグを紹介しよう。

一つは、40年ほど前にイギリスで購入したもの
これが40年も前にイギリスで購入した、ワンマン・ブリーダープラグ。確実にチェックバルブ構造となるため、ブレーキペダルを踏んで放した後に発生するエアの吸い戻しはない 

ブリーダープラグのシート部分を分離し、スライドできるような構造として、そこにスプリングを組み合わせた。これでブリーダープラグを緩めれば、チェックバルブ機構が成立し、排出しても、その後に吸引されることはない。

締め付けネジ部分も関係なくなるので、耐久性は高い。

もう一つは、アメリカで購入したもの。外観上は何の変哲もない状態だが、内部にはチャックバルブが組み込まれている。
 
カットモデルを作ったので、見てもらえればわかる。但し、この構造では、ブリーダープラグと、キャリパーやシリンダーのネジ部分からエアを吸い戻すことになるため、樹脂のコーティングがネジ部分にあ
るが、どの位使えるのか不明だ。

どこかのショップか工場で、イギリスで購入してきたものを複製するところはないものだろうか。見本は提供してもいいのだが。


2014年2月1日土曜日

自転車事故・違反の根源は日本独特の道路交通法にある、とのことになるのだが・・・

「自転車事故が増え、その賠償額は自動車と同じ」。だから注意して乗る必要がある、という結論に導くのは、少し的がずれているような気がしてならない。

根本的な部分を見ていないと思われるからだ。

数十年前からある観察を続けている。それは、歩行者同士が対面したとき、どちら側を歩くのだろうかという点。

また、歩道ではどちら側を歩いているだろうかという点。

日本の道路交通法では「人は右、クルマ(車両)は左」という大原則があるのだが、これは99%以上守られていない。

自分で歩くとき、気にしている人がいない、ということなのだが、私自身、気にしていないと、いつの間にか左側を歩いてしまう。つまり、人間の感性からすると、どうやら左側を歩く方がいいのか・・・

そして、この右側通行と左側通行という違いが、自転車の立場を分かりづらくしていると判断する。

一部では歩道の通行などが許される自転車。そのとき、対向して人が歩いてきたら、自転車はどちら側に避けるのか、一瞬にしてその判断が出来る人は少ない。いやいないかも知れない。

そのような時、脳裏に浮かぶのは「自転車は左側通行だから、左に避けるのが正しい」。となってしまうが、これは完全に逆。

どのような状態になるか、じっくりと考えてみると分かる。自動車と自転車、歩行者の通行区分位置を含めれば分かるはず。

自転車に乗っていると、時には歩行者と同等、時には自動車やバイクと同等と、勝手に解釈して、勝手な走り方をする。また、そのような状態を規則が作り出している。

その結果が事故を引き起こす原因。

道路交通法を変えて、人も左側通行と統一すれば、勘違いはなくなり、都合のいい解釈も出来なくし、自転車事故の撲滅に結び付けるべきだ、と特に最近思っている。

特記
30代の男性二人に「人は右、クルマは左」という道路交通法のあることを知っているか、と聞いてみたところ、「エっ、そんなの知りません」との返事。

「もう一度小学校で勉強して来い」、と吐き捨てたが、そんなことより、自然に左側を歩いてしまう人間(日本人だけ?)の感性を生かして、人も左側通行とすれば、少しは自転車事故も少なくなる方向へ行くのではないかと、最近思う。

いまさら「人も左側を歩く」、という法律に換えると、事故がおきやすい、という反対を述べる人はいないと思うのだが。というのも、人は右側通行ということが認識されていないのだから。

クルマは左、人は右、という車両と人が対面通行する道路交通法が、諸外国にもあるのか分からないが、日本でこのようなことになった理由は“日本は道が狭いので、同じ側を歩いていると自動車などのクルマが来たとき、それを事前に見つけて、素早く避けられないので危険。対向していれば、いち早くクルマを見つけることで、事故を回避できるから”、ということで、ゴチャゴチャな道路交通法が出来た、という話を60年近く前に聞いた。でもね~・・・

2014年1月13日月曜日

マツダが新ロータリーエンジンを開発

REの実用化で世界ナンバーワンのメーカーであるマツダは、RX8以降のREエンジン開発がどうなっていたか、あまり外部には漏れてこなかったが、開発陣はあきらめていなかったのである。

そのRE技術は、デミオEVの走行距離を大きく引き上げる目的で、搭載の発電機を回すことに行き着いた。デミオEVを俗に言うレンジエクステンダーにしたのである。
試作車となるデミオEVのレンジエクステンダー。試乗するとその静粛性と動力性能の高さは、高級車にも迫るものがある。後はいくらで販売できるかだ

その発電機用エンジンとして小型の1ローターREが開発された。排気量は300ccであるというから、かなり小さい。

新しくREを設計するなら、これまでやり残した技術を使って効率の高いエンジンを造り上げてほしいものであるが、話を聞くと既存の実績ある技術にこだわりがあるようなので、「それではマツダとしてブレークスルーにならないのでは」という話から、何をすべきなのか、おせっかいおじさんは、またまた一石ぶち上げた。

13B・REのときから気になっていたのは、ローターハウジングの内面処理。マツダREでは、鉄のタガを同時鋳込みし、その表面に硬質クロームめっきからポーラス処理(逆電流を流し、表面に無数の穴を作る。潤滑オイル保持が目的)をするというのだが、それは時代遅れもいいところ。

鉄のタガを同時鋳込みしたところで、熱による歪違いは処理できないことから、吹き抜け、潤滑不足など、さまざまな問題が発生する。
右奥が13BのRE。左手前が新REで、ローターの厚さは少なく、ハウジングの大きさも小さいことがわかる。ハウジングの内面は鉄のタガを同時鋳込み四、そこに硬質クロームのポーラスメッキを施すというのだが、それは時代遅れだ、ということを述べておいた 

そこで、バイクメーカーでは既に卒業してしまったシリンダーの表面処理を行うべきである、と助言。

シリンダーが穴だらけで排気ガスもそこを通過する2ストロークエンジンでは、如何に熱歪を最小限にとどめ、耐焼き付き性を向上させながら、更に高性能とするためレーシングバイクでの潤滑オイル混合は200(ガソリン):1(オイル)という状況で使われた。

潤滑オイルが少なくても、熱歪の少ないシリンダーが完成すれば、性能は向上する。そこで採用されたのが、アルミのシリンダー壁面にニッケルとシリコンカーバイトをコーティング処理するというもの。

アルミ地肌に硬質クロームメッキのポーラス仕上げは、ヤマハが45年以上前に完成させていた技術。

その硬質クローム・ポーラス仕上げよりも強固な仕上げが、ニッケルとシリコンカーバイトをコーティングするもので、混合気を薄くして(ガソリンとオイルを混ぜてしまう混合ガスの場合、潤滑オイルも少なくなる)性能アップを狙うと、場合によってはピストンとシリンダーは焼き付を起こしてしまう。

鋳鉄スリーブ同時鋳込みや、硬質クローム・ポーラス仕上げでは、このような状況になると、シリンダーにもダメージが加わり、再使用不可能であるが、ニッケルとシリコンカーバイトをコーティングしたシリンダーは、シリンダー表面にダメージが加わらないほど強固で、焼きついたピストンを無理やり引き出し(ピストンの再使用はできないが)、シリンダーに焼き付いているピストンのカスを、耐水ペーパーで研磨処理すれば、再使用も可能なほどのものなのだ。

このようにタフな表面のローターハウジングが出来れば、オイル消費量を積極的に押さえ、効率のいいREが出来上がるはず。

マツダにとってのブレークスルーを確立させるには、このようなこれまでに経験していない技術の導入も重要。ついでにローターもアルミにトライしてはどうか、ということも述べておいた。REを直接動力として使うことがないわけだから、エンジンに対する負荷は遥かに少ない。それは、十分にアルミローターを使用できる要素があるのではないのだろうか。
REは縦置きする(エキセントリックシャフトを直立にし、ローターは水平方向で回転させる)。それによりローターが回転することで発生する振動を、確実に処理できるばかりではなく、発電機とコクドベルトで繋げるので、更に回転変動にも対処でき、走行中の振動などは感じない

2013年12月29日日曜日

いい加減に使えよ!!この技術 圧力損失を8%低減する表面形状

いくら表面を平らにして磨いても、その上に流れる液体や気体は、大小の渦が出来ることで流れが阻害される。これが損失となる。

かれこれ35年以上も前の話だが、ある石油(原油)の輸入会社に対して、日本政府から「輸送タンカーを港へ止めておく時間がもったいないので、パイプライン(長さは数千キロに及ぶ)から送り出す原油の量をもっと増やせ」というような指示があったとか。

しかし、石油(原油)輸入会社は、「石油の井戸から港まで送るポンプの圧力は既に限界で、これ以上ポンプの圧力を上げたら、パイプラインが破損してしまう」「圧力損失があるので、それを何とかしてくれないと政府の要望に応えられない」というようなやり取りがあったらしい。

そこで研究開発されたのが、日本の工業技術院(確かそうだったと思う)による表面形状で、圧力損失は液体でも気体でも8%低減するというもの。

何故その形状の表面にすると圧力損失が低減するのか、読んでいたその新聞には(さすがに新聞、考察が何もない)、一切書かれていなかったので、その後数十年、私の頭の中では“ナゼナゼ問答が続いていた”。

話は変わるがエンジンのチューニングアップで加工することが多い吸気ポート。切削後に表面仕上げをしてもツルピカにしないほうが性能は出る、という話を聞いていたので、私のエンジンチューニングでも、吸気ポートは回転ヤスリ(リューター)で削り、適当に仕上げた。サンドペーパーを棒の先に巻きつけて、磨くことが面倒であるし、その必要ないという話に同調していたが、これは大正解だったことが後に分かった。

この、工業技術院が開発した表面形状というのは、液体・気体が流れる方向にギザギザを造るというもの。

確か山のピッチが1.2mmで、谷の深さは0.8mmだったと記憶する。(逆だったかな。正確には特許庁で調べれば分かると思う)
 
これは、バイクのシフトペダル取り付け部分のセレーション形状だが、同様な形状の表面とすることで、圧力損失が低減する


工業技術院が開発したということで、特許にはなっていない。つまり、日本人なら誰もが無料で、無許可で使えるものであるのだ。

肝心の圧力損失が8%低減する理由だが、言われて見れば「なるほど、その通り」で、この形状を利用した製品がほんの一部のメーカーから発売されていた。

それは、タイヤのハイドロプレーニングを防止することに応用されている。

何がどのようなことで、という疑問が出るだろうが、幅広タイヤに発生しやすいハイドロプレーニング。それを防止するためにトレッドには広い溝をつけることになるが、広い溝とすればハイドロプレーニングを防止できても、タイヤが路面に接地する面積は少なくなり、グリップ性能が低下する。

闇雲に排水用の溝を太くする以外の方法は、その溝に対して流れる水(雨水)が、常に有効な断面積を確保できているかどうかが重要となる。

ここに圧力損失との関係がある。逆台形の排水溝は常に確実な流れが約束されているわけではない。流速が高くなればなるほど大小の渦が出来、場合によっては流れが止まることすらある。これは圧力損失によって発生し、それを少しでも防止するため、前述の形状を排水溝の斜面の部分に造ったのだ。

【リブレットウォール】
溝の壁に微細加工を施し水流の抵抗を低減
従来のタイヤの溝の平らな壁面では、水流により発生した乱流渦を「面」で受けるため、抵抗が大きくなっていました。しかし、ハイドロシミュレーションを駆使して溝の壁にさらに微細な溝を刻んだ[リブレットウォール]は、乱流渦と「点」で接触、抵抗を低減しトレッド溝内のスムーズな流れを実現、耐ハイドロプレーニング性能向上を果たしました。「ブリヂストンのサイトより」

この形状を取り入れると、そこに流れる液体や気体によって、小さな渦が定常的に発生する。その渦の上を液体や気体が流れることとなるため、それ以上大きな渦は出来ず、流れの阻害が低下する。つまり、圧力損失が低下することになる。

ここで、やっと疑問が解決したのだが、そのときのタイヤメーカーから説明があったこの形状は「NASAが開発した・・・」だったのだが、実は日本の工業技術院。「それ違います」とやると開発者の面子がつぶれるので、あえて黙っていたが、出所の分からない技術を何でもNASAということはやめてもらいたいものだ。

この技術を使えば、飛行機のプロペラ、ジェットエンジンのファンブレード、船舶のスクリュー。勿論レーシングカーのエンジンチューニングにも、大きく貢献できると思うのだが。

但し、プロペラやスクリュー(プレジャーボートや競艇用では関係ないだろうが)は、ハイブリッド構造にしなければ、その溝から破損してしまうので、CFRPなどの表面にその形状を作り、それを貼り付けるようにすればいいと思う。

プロペラやスクリュー、ファンブレードでは、表面形状の変化をさせるところは全体ではなく、一番表面流速が速く仕事が高くなる部分だけでいいのだ。それ以外のところはこの形状をつけても効率は高くならない。

何故この技術を使わないのだろうか。知らなかった???

注:開発したのは日本だが、工業技術院だったかどうか確かではない。念のため

2013年12月27日金曜日

RJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤーについて考える

今のクルマはテクノロジーの塊。そのクルマに合ったコストバランスに優れたシステムを取り入れているので、そのテクノロジーを理解できなければ、クルマの正しい評価は出来ないと考えている。しかし、テクノロジーの評価はおろそかにされていた。

それを正したのは、昨年(2013年次)のRJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた、スズキ・グリーン・テクノロジーである。

如何に優れたテクノロジーであるかは、ここでの説明を省くが、販売に対する訴求力は強い。

燃費(エコも含む)、走り、安全という、分かりやすい内容が込められているからだ。それをスズキは巧みに使い、新聞ばかりではなくTVのCFを特別に制作し、全国放送を数ヶ月に渡って放映した。更に、各地で行われるイベントに、そのテクノロジーを搭載したクルマを展示し“RJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤー”に輝いたことを大きく、謳い文句で宣伝。

一般ユーザーでは分かり難い走りの性能ではなく(そのクルマの性能がどうでもいいということではない)、直接身に降りかかることに対してであるから、ユーザーは内容を理解しつつ、そのクルマを選んだはず。

このようなことを踏まえているのかどうか定かではないが、2014年次RJCテクノロジー・オブ・ザ・イヤーとなった、三菱アウトランダーPHEVについて、年明け早々特別なCFを流すという。

この背景は、前述したスズキのグリーン・テクノロジーに対する評価と、その販売訴求力を“使える評価”としたとも取れる。

このように最先端のテクノロジーに対しての理解は重要で、そのような意味からホンダ・フィットハイブリッドに搭載された、ツインクラッチミッションとアシストモーターを採用した“SPORT HYBRID i-DCD”に対する評価は重要だったのだが(シックスベストにも選ばれなかった)、何がどのように素晴らしいのか、すごいことなのか、という内容を分かりやすく説明していなかった。

フィット3のハイブリッドに採用されたツインクラッチミッションとモーターによるアシストの構造。その構造にはこれまでにはない内容が多く、非常に興味が沸く。但し、この構造と制御を、説明ボードから理解できた人は数多くない。そこが問題である。説明不足、勉強会不足だからだ 

フィット3の発表会場ではRJC会員だけではなく「説明ボードを見れば分かるだろう」「質問のある方は受け付けます」的な態度だった。言ってみれば、モータージャーナリストを買い被り過ぎで、テクノロジー、最先端技術に興味や理解を示さない人物は、特に最近の難しい技術に対しては、アレルギー反応を示す方もいることを認識すべきだ。

よほどの基礎技術や興味を持つ人物(RJC会員だけに限らない)以外、理解できないことは非常に多くなっている。

そして、その技術は、そこから放たれる内容が分かりやすく、直接ユーザーに購買意欲を沸かせることとなっているようだから、ジャーナリスト達にも、自分の頭の中で人に説明できるだけの理解をしてもらわなければ、正しい評価は得られないし、その評価が正しいかの判断すら出来ない。

クルマの制御に対するテクノロジーも同様である。今は、軽自動車ですらCan通信を使って多くの情報をECUに送っている。最近では、これでも速さと情報量に不足するので、更なる通信技術を使う研究がなされている。

このように難しいと思われる最新のテクノロジーは、それを理解して最終選考会まで持ち込むには、自動車メーカー側もそれなりに努力が必要だ。


2013年12月13日金曜日

カーナビとオートライトをリンクするといいと思うが

暗くなると点灯するオートライトを装備しているクルマがあるが、曇りの日などでは、橋の下を通過するだけでヘッドライトが点灯してしまう。

位置情報を持つカーナビは、今どこをどのような状態で走行しているかが分かるはず。

それを取り入れれば、必要のないことでヘッドライトやポジションライト(クリアランスライト)が点灯することもなくなる。

GPSが装備されているのだから、緯度を計算に取り入れれば、夕方の薄暗くなった時点で適正にライトの点灯も行われるはず。

何故、このようなものが組み込めないのか、十年以上前から不思議でならないのだ。

2013年12月1日日曜日

いまだにある、やり尽くしていない状態での自動車販売

モデルチェンジしたばかりのクルマとか、ニューモデルなどは、発売してすぐに買ってはいけない、ということを言われてきたが、一部の自動車メーカーのクルマでは、いまだにその状態が続いているような感じだ。

何故そのようなことが起きるのか、それは、新しいクルマの開発・企画で、販売を担当する営業も同席し、発表・販売時期を何年・何月・何日まで決めるのだが、これは何処の自動車・バイクメーカーも同じ(海外は知らない)。ただし、そのことで問題が出る場合があるということ。

発表・発売時期が近づいて、全ての開発と実験・走行が終了し、何処からも批判されないクルマに仕上がっているのなら問題ないのだが、往々にして、開発から「もう少し時間をくれ、せめて1ヶ月」などという意見が、営業に伝えられる。

「了解、思う存分、納得のいくまで開発を行ってくれ」という、購入したユーザーを第一に考えるメーカーも有るだろうが、言い方は悪いが「未完成でも、とりあえず売ってしまえ」、と計画重視の営業から、逆切れされているような場合があることを見て取れる。

発表・発売が遅れれば、当然利益はその分少なくなる。ライバルメーカーの同様なクルマへ購入者が流れてしまうこともある訳だから、営業としては、会社の利益を考えた場合、それはあってはならないこと。そのため開発グループに対して「発売が遅れたら、いったい何億損をするのか、知っているだろうな」。というような発言が、今でも飛び交うようだ。

このような話は、メーカーの開発者と未完成の話をしているときに聞くことがあるので、そのときには、このような内容で切り返しなさい、とアドバイスする。それは「開発をやりつくしていない状態のクルマを購入したユーザーでも、その内、何かおかしい、ということには気が付くし、ネットでもそのクルマに対する評価が出てくれば、当然未完成のクルマを売りつけられた、と分かる」「こうなれば、リピーターになってはくれないし、購入を希望するお客を紹介してもくれない」「そのときの損失は、いったい何十億になるのか考えたことはあるか」。という内容である。

これが、どれほど効果を生むか分からないが、実際に販売店では、直接矢面に立たされているわけだから、開発をやりつくしたクルマと、そうでないクルマのお客さんは、当然気持ちが違うはず。それをダイレクトに感じている販売店からの意見も重要だ。

見た目には分からない未完成・開発途中のクルマ。自動車ジャーナリストでも、それを見極められない方は多いので、当然、一般ユーザーが、数十分ディーラーで試乗しても分かるはずがない。雑誌の試乗記にも欠点や未完成と思われる内容が書かれていることは少ないからだ。

コンピューターによる解析が進んでいなかった時代では、ハード(ボディ構造、サスペンション構造と作動軌跡など、制御部分ではない)に問題や未完成部分を見ることはあった。コンピューターによる解析技術が進んだ現在でも、ハード部分の未完成が絶対ないわけではないが、やはり制御と、その使い方に未完成部分を見つけることがある。

欧州車には個性とか思い違いという特徴はあっても、おかしなところは感じたことがない(認識が足らないのか?)ので、開発をやりつくしてからでないと、販売店に並ばないのかもしれない。

2013年11月16日土曜日

エンジン・チューニングの極意。それはヘッドボルトを締めないこと

「いきなり何だ」と反論を返されそうだが、ヘッドボルトを持つもの?は、それを締めなければガス漏れ、水漏れが起きて当然なので、あくまでも極意であることを念頭に入れて読んで欲しい。

バイク・エンジンでの経験談を下に話を進めると、それはレースで得た結果がある。

数十年も前のことだが、筑波サーキットで、当時盛んに行われていたミニバイクレース。そのレース用にマシンを製作した。

ベースとなったバイクはヤマハのGT80で、当時はヤマハからレース用の部品が発売されていたので、シリンダー回りはそれを使用したが、ヘッドはヤマハのチューニングパーツを製作販売していた“スペシャルパーツ忠男”の水冷ヘッド。

勿論、圧縮比は標準以上高くするため、ヘッドの合わせ面を旋盤で1mmほど削る。スペアとした空冷のヘッドも同様に加工して、水冷ヘッドを組み込んだが、ヘッドの厚みがあり、ナットとボルトの噛みあい寸法が十分ではないため、指定トルクまで(いくつか忘れた)締め付けられず、適当に締め上げてレースに参加。

但し、この当日、別の仕事が入りレース場にはいけなかった。もともとライダーは私ではないので、その友人にマシンを預けて結果を待つことに。

で、聞きました。レース結果を。すると「予選はブッチギリで、誰も付いてくる状態ではなかった」、「でも夕方の決勝前にパドックでエンジンを始動すると、ヘッドとシリンダーの間から火が噴出していたので、空冷のヘッドと交換し、しっかりとナットを締め、決勝に挑んだが、予選の走りは何処へやら」。結果は8位だったらしい。

何が変わってしまったのか。そのときには判断できなかったが、ある時、レーシングカートのエンジンで、常に速いカーターのエンジンをチューニングする人物は、ヘッドボルトをしっかりと締めず、軽く締める程度で、暖機運転中はヘッドとシリンダーの間から炎を噴いているが、暖機終了時にはピタリと治まっている、とか。

その目的は、シリンダーヘッドのボルトを締めることで、シリンダーやヘッドの熱膨張に対する歪を逃がすことが出来なくなり、その結果がシリンダーの真円度に出るので、エンジン性能の低下に結びつく、というものだった。

つまり、シリンダーヘッドを締めないことが、エンジン・チューニングには必要なことなのだ???

特に2ストロークでシリンダーとシリンダーヘッドを、クランクケースからの通しボルトで(スタッドボルト)締め付けているエンジンでは、エンジンが熱を持つことでシリンダーやシリンダーヘッドが膨張しても、締め付けボルトはそれほど延びないことから、暖機が終了する頃には、規定トルク以上にボルトを締めていることとなり、その歪は、シリンダーの内径に悪影響を与えるのだ。

それを熟知していたホンダ・スーパーカブ(SOHCでキャブ)エンジン開発責任者は、シリンダーとヘッドの締め付けボルトを吟味し、大部分の外径を細くすることで、必要以上に締め付け力(軸力というのだが)が高くならないようにしていた。

同様なことは、VWビートルの空冷エンジンにも見られる。1300~1600ccエンジンで、使用するボルトは長く、径は8mm。このヘッドボルト締め付けトルクは、確か3kg-m以下だったと思うし、いくら締めても、キッチリとした手ごたえを感じることはなかった。それで、あの安定した性能が得られていたのだ。

ある時、仕事の取材で、当時のチャンピオンエンジンを製作するショップにお邪魔したついでに、ヘッドのボルト締め付けについて聞いてみると「普通の方は、規定している締め付けトルクの±表示があると、ついついプラスの数値で締めますが、我々はマイナス数値で締めます」とのこと。「これは、ダミーヘッドボーリングやホーニングを行っても、熱が加わった状態での加工ではないため、それを見越してのことです」と話してくれた。なるほど矢張り・・・

F1エンジン(当時のチャンピオン、ルノーだったと思う)で、ある時、よく観察すると、どう見てもヘッドとシリンダーは一体構造。トヨタのエンジンでは、明らかにクランクケースとシリンダーが一体(一般のエンジンと構造が同じ)。

シリンダーとシリンダーヘッドが一体であれば、ヘッドガスケットを持たない構造となり、その部分の締め付けがないことから、ヘッドやシリンダーに対して締め付け歪、熱歪の影響が非常に少なくなる。シリンダーのボア大きく、ピストンのストロークが小さいレーシングエンジンなら、下側からヘッドの加工やバルブの組み立てなど、造作もないこと。

この、シリンダーとヘッドの一体構造は、実際に見たわけではないので“仮想”かと思っていたら、ある時、ケーブルテレビの番組で、アメリカのベンチャー企業が、F1エンジンのコンストラクターに参加しようと開発していたエンジンを見て、やはり、私の判断に間違いはなかった。一瞬だが、シリンダーの穴の先にヘッドが一体となっていることを見つけた。

2013年10月26日土曜日

クラッチ操作に慣れた人はお勧めしないNC700DCT

ホンダNC700Xの試乗記にアクセスする方が非常に多いので、興味をもたれる方は、当然、自動変速モデルのNC700S・DCTなどの評価も気にされるのでは、と言うことで、再び広報車両を拝借し、700kmほどのツーリングに使用した結果を報告したいと思う。
NC700の特徴は、何と言ってもガソリンタンク部分がフルフェイスヘルメットの入るトランクになっていること。それにより、宿泊を伴うツーリングでも、リヤに縛り付けるのは、雨合羽だけ 

ズバリ言って、バイクを乗り込んだ人には向いていない。それは、クラッチのマニュアル操作が出来ないことからだ。惰性走行は無理なばかりか、停止手前からニュートラルにして、クラッチレバーから手を放し、スムーズに停止する、などということも不可能。

また、スロットルをほんの少し開け、穏やかに走り出すと、時として2速へアップシフトした瞬間、軽い加速変化が生じる。この状態であると、タンデムに乗るライダーから「へたくそ」の声が飛ぶだろう。

更に、走行状態から減速、ブレーキという一連の行動に対し、確実にダウンシフトしながら、その都度エンジンブレーキを作動させるため、ガクガクという音と共に、減速ショックが出る。これも、タンデムライダーからの苦情となるだろう。彼女や女房だったら、「何しているのよ」と、ヘルメットを叩かれそうである。

急減速ではないことが、アクセル開度と速度の変化から分かるはずなので、ここでのプログラムは、エンジンブレーキを作動させない、クラッチを切った状態で停止までもっていくべきだ。そのようなことが分からない、実験屋さん達、或いはその上の方が居るのかもしれないが、実験走行パターンをサーキットではなく、峠から街の信号停止にすれば、直ぐに分かる状態だが。

バイクのクラッチ操作は、ただ単純に動力の断続をするだけではなく、一瞬繋いだ後に再びクラッチを切り、バイクのバランスを取り直す挙動を作る、というようなことにも使うし、ハンドルをロック近くまで切った状態を維持しながら、スムーズに動き出させるだけではなく、次の瞬間には停止が出来る。これがクラッチ操作のいいところだが、マニュアルクラッチ操作がないDCTでは、アクセルでのコントロール以外はない。エンジン回転の調節で不安定時の極低速を操るには無理がある。

ではスクーターだとどうなるのか?それは同じ状態とはならない。なぜかと言えば、左手でリヤブレーキの操作が出来るからである。リヤブレーキ(左手側)を掛けながら、アクセル操作でバランスを取り、微速前進などということは朝飯前。これが、DCT仕様では無理。だから楽しくないし(既に購入されてしまった方には申し訳ないが)疲労も溜まる。
タイプSはネイキッドだが、多少値段が高くても、カウル付を選びたい。高速走行では明らかな差になって、走行感覚に違いが出るからだ 

また、NC700シリーズの特徴である、加速時に楽しいグツグツ感は乏しくなってしまった。それは、おそらく重たいクラッチがフライホイール効果を増大し、更にクラッチの制御に使うオイルポンプも、回転変動の吸収を受け持つ結果であろう。これは楽しくない条件になってしまう。

マニュアルクラッチ仕様との違いは、コーナリングの特性にも出ていた。

もちろん、半ケツ落としで、肩から突っ込むような、サーキット走行ライディングは要求されるのだが(ツーリングバイクなのに!!!?)、そのアクションが、DCTの場合、更に大きなものを要求される。

この原因は、おそらくツインクラッチ構造によるものではないかと考える。クラッチの重量が増えれば回転マスも増えるわけだから、ジャイロ効果が強くなり、傾きを変えるには力加減が変わるはず。これによる影響ではないかと思う。

但し、この半ケツ落としライディングを行うと、フロントタイヤが小石に乗ろうが、小枝を踏もうが、バイクが不安定になることはない。それは、どういうことなのか走りながら考えてみると、ツーリングでは普通リーンウイズのコーナリング姿勢を取るが、その姿勢だとNC700の場合、ハンドルが切れ込んでくるので、それを抑えるように乗らなければならないため、腕には力が入ってしまう。

そうなると、バイク本来が持つ安定性はスポイルする形となり、益々不安定で、走りにくい状態を作り出してしまう。

ところが、半ケツ落としで、肩から入るライディングスタイルを取ると、自然にハンドルを強く抑える力がなく、バイク本来のスタビリティが前面に出てくるのだろう。

このときには、非常にニュートラルなコーナリング性能で安定性に富み、過激な状態に持ち込んでいるにもかかわらず、不安な様子が何処にもないのは不思議でもある。

その他、重要な部分である、ハンドルスイッチは使いにくい。特に左側はゴチャゴチャと各種のスイッチがあり、それらを使いこなすには、数ヶ月必要だろう。慣れれば問題ない、という表現があるが、なれる前に事故・・・ではどうする?

特に問題としたいのはホーンボタンの位置である。これまでは、フラッシャースイッチの下側にあったのだが、どういう訳か上側にある。ハンドルをグリップしている状態から、親指をホーンボタンにまで移動するには距離と角度が大きい。
一番下がギヤシフトダウンのスイッチ、その上がフラッシャースイッチ、更に上が緊急時に大切なホーンボタン 

緊急時に使うホーンだが、700km走行する間に3回ほど必要に迫られたのに、一度たりとも鳴らすことは出来ず、毎回フラッシュースイッチのキャンセル行為を行っていた。役立たずの代物だ。

書き忘れたことがあった。それはDCTシステムの制御に関すること。ギヤをNからDとするには、エンジン始動後にアクセルグリップ近くにあるレバーを左に1秒倒すことでNからDに、ガツンと入る。そのレバーは更に左へ倒すとSモードとなる。

マニュアルシフトに変更するレバーはその反対側、フロントブレーキレバー側にあるので、チョイチョイDからMにして走りを楽しむことは難しい。また、Sモードにしても、サーキットで使うような状態のシフトとなり、ツーリングの最中に、いくら峠であっても、あまりお勧めできない。

それなら、Dモード状態をフルに使い、ギヤダウンレバーとギヤアップレバーを操作し、走りこんだ方が楽しく安全で速いと思う。ただ、このDモードで注意したいのは、クルマで言うところの、キックダウン反応が遅く、また、ダウンシフトするときのギヤ位置も強力で、かつ理想的な加速力を得られる状態とは言えないので、ここは一発、Dモードのマニュアル操作に終始した方が懸命。

Dモードとマニュアルシフトをバランスよく使い分けられれば(慣れるまでに時間はかかるが・・・)、コーナリングの最中に、アップシフト或いはダウンシフトが求められたとしても、ライディングのバランスを崩すことなく、レバー操作だけで安定して駆け抜けられるのは、確かにDCTならではのものと言える。

700kmを走っての燃費だが、高速走行が約半分という条件で30km/Lだった。マニュアルクラッチ仕様のNC700Xでは35km/Lを記録していたが。確実に同じ条件ではないので、参考程度だろう。

2013年10月22日火曜日

凸凹道は両手放しで真っ直ぐ走るが、鏡のような道では決まらない変なクルマ

かなり前のことだが、北海道で行われたそのクルマの試乗会。当然コースはバラエティに富んでいて、舗装の崩れた道路から、鏡のように平らな道路まである。

当時の我々の試乗項目には、ハンドルから両手を離した状態で、何処まで真っ直ぐ走るか、と言うようなことを組み入れていた。

その試乗車は、ステアリングとサスペンション周りも一新して、これまでにない直進安定性を確保した、と言うことがキャッチフレーズに盛り込まれていたが、走行ラインが何となくピタリと決まらないので、何処まで本当なのだろうか、と言う気持ちから両手放し走行を、鏡のように平らで凸凹のない道路でやってみた。

するとどうだろう、いつの間にか右へ行ったり、左へ来たり。シャキッと走らない。

この状態だと、舗装が壊れた凸凹道では、何処へ行くか危険だから、両手放し走行などやれるわけがない。デモ、恐る恐る両手をハンドルから放してみると、あら不思議、サスペンションは大きく作動しているものの、走行ラインに乱れは出ず、数百メートル両手放しで、普通に走りきってしまったのだ。

これ、普通は逆のはずだが、何か変である。第一、舗装のしっかりとしている道がほとんどの日本では、クルマの資質としては逆なので、疲労の多い状態となることが懸念された。

その原因について、当初の開発者はこちらの質問を素直に聞くつもりはないようで、結論が出なかったが、その後の情報で、その開発者は技術力がない人物だった、と言わざるを得ないことが判明。

その情報とは、フロントサスペンションが作動することで起きる、タイヤのトー変化を出来るだけ抑えて、直進安定性を高めるため、これまでと違うステアリングのラック&ピニオンからタイロッドに至る構造を取っていたことが原因で、タイロッドの重さとボールジョイントの摩擦が関係している、というものだ。

その構造を図示してみた。上が普通のラック&ピニオンからタイロッドに至る構造で、下が問題となったクルマに採用されていた構造。
上が普通のラック&ピニオンとタイロッドの関係位置。下がタイロッドを長くすることでサスペンション作動時のタイヤトー変化を小さく抑えるタイロッドの長さと位置関係。タイロッドが重く、垂れ下がり状態となり、フリクションが大きくなって、初期の動きが悪くなった結果、鏡のような平らな道路での直進性に問題が出た

何処が違うか一目瞭然。タイロッドの長さが違う。長ければサスペンションの上下動で変化するボールジョイント部分での円弧が大きくなり、強いてはその末端に取り付けられているナックルアームに影響を及ぼすことも少なく、タイヤはトーの変化が小さくなる。と言う構造で、素晴らしいものなのだが、作りこみと煮詰め不足により、問題点を我々が見つけてしまったのである。

このような問題のあることを、メーカーの開発人は認識していなかったと断言できる。それは、見かけ上の対策として、ごまかしが出来る内容だからだ。

しかし、そのような問題が、何故起きるのか、何処がまずいのか、更に一番の問題は、このようなことが起きていることを知っていたか、それが分かっていなければ、試乗車に対策することは出来ない。言い方が悪いが、分かっていなかったと断言できるのである。

何故、タイロッドを長くしたら鏡のような平らな道で直進安定性が出なかったのか。

それは、長いタイロッド=重量がある。と言うことで、常に垂れ下がり状態であり、更に、その垂れ下がったところは摩擦も大きい。動くもの同士が一度動きを止めて一体となると、再び動き出そうとするときの力は大きなものが要求される。これはボールジョイントのような、摩擦を使って回転や作動位置を決めているものも同様で、それが使い方と、一部の構造により悪さが出ることもある。

クルマが安定して真っ直ぐ走るには、タイヤからの外乱を受け流す構造が重要(レーシングカーとは考え方が違う)で、そこにあるタイロッドの長さと構造がどのようなことになるか、理解されていなかったことと思われる。つまり、動きの渋いタイロッドが全ての原因である。そのため、以後この構造を持つクルマは作られていない。

このタイロッド構造を持つクルマは1987年にVWサンタナとして、ニッサンがノックダウンし、日本でも発売されていたが、しっかりと作りこみがなされていたのだろう、これまで書いたような問題点はなかったように記憶する。


2013年10月9日水曜日

シンクロが弱くなったMTにATFを使うとどうなる?

実は、ATFをMTのオイルとして使用する、と言う方法は、実績を持っており、数種類のATFを使っての実験もある。

それは、ジムカーナ走行用にチューニングした、ニッサン・シルビアS13NA仕様。

ジムカーナのコースには180度ターンがあり、半径が3mほどであるため、リヤをスライドさせながら、カウンターステアをきれいに決めないとスムーズに通過しないのだが、重要なのは、速度を低下させない走りの中で、一瞬のうちに1速ギヤへのチェンジを必要とすること。

MTそのものがダブルコーンやトリプルコーンシンクロならともかく、そうではないシルビアでは、どうしてもシフトが遅れる。

そこで当初はガレージに転がっていたディキシロンⅡのATFで試したが、僅かに向上したものの、完璧とはならない。

次は、当時発売されていたニッサンセドリックに採用されていたトロイダルCVT用のATFを入手することだったが、部品販売はないという話。ATF交換などの必要性が出た場合には、全てディーラーがその特殊なATFを管理し、メンテな必要なクルマにのみ対応すると言うことなのだ。

トロイダルCVT用のオイルなら、その要求度高さから、たぶんMTのシンクロも格段に作動性が良くなるはずだが・・・仕方がないので、同じニッサンのハイパーCVT用のATFを購入して、入れ替えてみると、ここでもシフトの向上があり、何とか納得できる範疇に収まった。

このようなことがあったので、走行距離が多くシフト操作がスムーズではない、スズキ・エブリイワゴンMTに、ATFを使用する作戦に出た。原因は主にシンクロの磨耗にあることは明白。

この、へたったシンクロの対策をしてくれそうなのが、使用するオイルである。MTに求められるオイルは、あくまでも潤滑だが、オイルの切れがよければシンクロの滑りを抑制する効果がある。つまり、シンクロの作動が回復する?

ATFに要求されるものは、数万回転するギヤやベアリングの潤滑とクラッチ板を確実に保護しながら接続する能力、そして、作動油としての粘度である。

こうして見ると、MTにだって当てはまるものがあるわけだし、その要求度はATの方が高いとなれば、問題を抱えるMTにATFを使用するメリットはある。

実は、トヨタでも小型車のディーゼル搭載車MTに対し、ミッションオイルはATFを使用していたことがある。その理由は、ギヤオイルとしての性能が高く、攪拌抵抗も小さいことから、走行に対して有利だからと言うこと。ただし、ニュートラルのときアイドリングでクラッチペダルから足を離していると、ミッション内のギヤ歯打ち音が出るため、エンジン騒音の高いディーゼルだけにしているそうだ。

また、レースでの使用で実績もある。それは、3速のシンクロがへたったクルマ。筑波サーキットでのレースだから、3速の使用頻度は高く、シフトのたびにギヤ鳴りがしていてはシフトに時間がかかる。僅かな時間でも、ラップタイムには影響する。

そこで、ATF(ディキシロンⅢを使用)にギヤオイルを交換してみた。すると、これまでのことが嘘のように、シフトは気持ちよく決まったのだ。

このような経験から、即座にMTオイルをATFに交換。どのような結果になるかは、予想していた通り。

その効果は直ぐに現れ、徐行中の1速へのシフトが軽い。素早い2速へのシフトもスムーズ。これまで、タイミングを計らないとギヤ鳴りしていたのが嘘のようにない。

そして、気にしていた停止時ニュートラルのギヤ歯打ち音は、注意しなければ変化に気がつかない程度。これは、おそらくギヤが小さいため回転マス変動に対する追従性が高いからだと思う。

なお、このようなATFの使い方について試す場合には、全て自己責任でお願いしたい。
用意したのは2リッターほどのATFディキシロンⅢ.電動のオイルチェンジャーを逆に使って押し込む

バッテリーに接続しスイッチを入れれば、粘度の小さいATFは気持ちよく送り込まれる


2013年10月1日火曜日

南カリフォルニアで行われた“NISSAN360”会場で、リーフのレーシングカーをドライブ

NISSAN360会場には、特別なクルマも用意されていた。それが、リーフの動力系を流用して作られた「リーフRC」だった。

パワートレインは同じだからモーターの出力は80kW(107hp)。トルクは280N・m。バッテリーも同じものを使用しているので24kWhと言うことになるが、そのほか全てが違うのは当然のこと、と言っても過言ではない。

ボディ周りはレーシングカーであるから、目的志向は強く、サーキットでの走行しか計算していないので、大きなリヤウイングを装備し、全長は20mm長い4465mm。全幅は172mm広い1942mm。全高は333mm低い1212mm。そして車重は595kg軽い925kg。

また、前後重量配分と重心位置を理想なものとするため、バッテリーパックはシート後部のミッドシップへ。インバーターとモーターなどの駆動系はリヤに配置している。ここまでやってポテンシャルを引き上げていれば、ドライバー次第で、性能は十分に引き出せることは請け合いだ。

実は、このリーフRC、2011年のEVフェスティバルに展示されており、会場の筑波サーキットで広報の方に「乗せて」と、冗談半分に話をしていたのだが、それが現実になったことに若干興奮していた。

リーフRCに乗り込むには、着脱できるステアリングのおかげでそれほど難しいことではないが、レーシングシートのバケットは、しっかりと腰回りをサポートしてくれるようになっているため、そこに滑り込ませるには、多少の無理を強いられる。
これリーフをベースにしたレーシングカー。但しベースとなっているのは動力や駆動系だけで、純然たるレーシングカーである。クラッチもミッションもない分扱いやすさが光る 

フルハーネスのシートベルトは、アメリカ日産の方が装着を手伝ってくれるため、手間がかかることはない。ベルトを引き締めてから、更にシートスライドを前方へ移動させることにより、確実にシートに固定される。これで準備万端。

もちろん2ペダルで、左足でのブレーキ操作がしやすいように設計されているのは、ATのブレーキペダルを、基本的に左足で踏む私にとってはうれしい限りである。

そして、万が一のことを考えて、助手席には関係者が同乗。更に、テクニカルなコースでは、ナビ的に曲がる方を指し示してくれる。シート高が低く、コースは白線を引いたところもあるため、何処が走行ラインなのか、見えないこともあるからだ。

ゆっくりスタートラインに着くと、すぐさま“GO”のサインが出る。

ここぞとばかりにアクセルは床まで踏みつける。するとタイヤは、ズズズッと言う摩擦音を発し、ホイールスピンに近い状態を作り出しながら、完全トラクションでダッシュ。
大きなリヤウイングが目立つ。その効果がどのくらいであるかの体験は???当然リヤドライブである 

ところが車重が標準のリーフより600kg近く軽いこと、重心が低くタイヤとレッドの広いことが十分に効いて、ハンドリングは強烈に反応する。また、サーボを持たないブレーキの初期制動に一瞬戸惑うものの、強く踏みつける状態でもコントロールのしやすさを理解できると、以後は限界までブレーキを遅らせて、僅かに出るアンダーステアは左足のブレーキで、それを収め、すぐさまアクセルはベタ踏み。

次の瞬間、リヤが流れるような挙動を見せるが、そこはそれ、モーターの特性から、回転が増すとトルクが低下するため、マシン自体が自然にトラクションを回復させ、アクセルコントロールもステアリングの修整もほとんど必要なく、しっかりと押さえ込んでいれば、確実に狙ったラインをトレースする。

あっという間に1周が終了。同乗してくれた現地の方からは「パーフェクト」と言うお褒めの言葉を頂戴、自分でも納得の出来る走りだった。